どうも、木林です。
ここまでがプロローグその1です。
そういえば今は本編2年前です。
空崎ヒナは現在1年生であります。
それでは、どうぞ。
コツコツ、、コツコツ、、
今日もお見舞いに来てしまった。すこし来すぎではないだろうか。でも、あの人、、ゲールさんと話すのは、楽しい。 彼は私が知らない知識や戦い方をよく教えてくれる。それにたわいのない雑談もとても楽しい。
そろそろ病室だ、、
「困りましたねえ。」「、、!」
病室の扉を開ける前に、ゲールさんの声が聞こえて来た。何かに困っている?
、、もしかしたら、お見舞いにくるの、迷惑だっただろうか?
「・・・・・・」
どうしよう、このまま入ってもいいのかな。ゲールさんを、嫌な気持ちにさせないかな。やっぱり私みたいな可愛くない子とは、話すのは苦痛だったのかな。
気持ちが落ち込んでくる。
いつも同じゲールさんの優しい顔が、あの裏に嫌な気持ちを隠していたのだろうかと、嫌な想像ばかりが脳内を支配する。
「、、、、、帰ろう。」
私が踵を返し、その場を去ろうとした時だ。
「、、空崎、さん? そこにいるのでしょうか?」「!」
なんで、いる事がわかったの?彼は気配がなんとなくわかると言っていた。まさかここまで鋭いとは。
、、、、思い切って聞いてみようか?
たしかにゲールさんに嫌われていたら嫌だけど、、 でも、このままゲールさんを苦しめるくらいなら、、、
「、、、ゲールさん、こんにちは。」
「えぇ、こんにちは。」
ーー ーー ーー
「・・・」「・・・?」
どうしたのでしょうか、今日はいつもより元気がありませんね。何かあったのでしょうか?
「えぇと、空崎さん?」
「その、、、ゲールさんは、何か困っていることは、ない?」
(聞いてしまった、どんな答えが返って来るのだろう。怖い。)
「、、、もしや、先ほどの独り言、聞いておられましたか?」
「・・・・・・!」
マズイ、傭兵信用度が下がった事と、その理由を話せば空崎さんは悲しんでしまうでしょう。自分のせいだと思ってしまうかもしれません。
どうしましょう。
「、、実は、」
「最近、ずっと病院食でしょう?もっと美味しい物を食べたいなぁと思っていた所なのですよ。」
どうだ、、、
「、、、、、ゲールさん、他にも悩みは、あるよね?」
駄目か、、、言葉を濁してはいますが、この話はウソだと気づいていますね。こうなっては本当のことを言わないと、更に傷つけるだけでしょう。
「、、私、撃たれたでしょう? アレがかなりの人に知られた様です。それで私の傭兵信用度、というのが、下がってしまったのですよ。」
「、、その、傭兵信用度、というのが下がると、どうなるの?」
「・・・・・・簡単に言うと、私がしていた傭兵の仕事、その受けられる依頼の量や、質や、報酬が下がります。」
「どのくらい下がったのか、聞いてもいい?」
「、、正直にいうと、今後の生活も、危ないかもしれません。足の後遺症のこともありますし、、」
実は私の右足は、動かなくなってしまいました。膝から下、ふくらはぎの途中からは神経の状態があまりよろしく無く、動かせもしません。なので、切ってしまいました。今は義足の状態です。
ですが、逆を言えばふくらはぎの途中までは動きますので、リハビリ次第ではどうにかなるかもしれません。
「、、、そうだったの。 私の、せいで。」
「、、空崎さん、どうか自分を責めないでください。これは私が勝手にした事ですから。」
「やっぱり、私の事、嫌いだったよね。 貴方が苦しんでいるのに、私はいつも、何の気も無しにここに訪れて、、、」
「、、、」
「ごめんなさい。 ごめ、、ん、なさ、」
もういやだ。やっぱりわたしのせいだったんだ。ゲールさんがくるしむのも、あしがうごかなくなったのも、しごとがなくなったかもしれないことも、ぜんぶ、ぜんぶ、、、
わたしが、、、
「空崎さん。」
「こちらに、来てください。」
少しふらつきながら、空崎さんはこちらに来てくれた。その顔は涙を流し、私を見てくれない。
「げーるさん、、わた、わたし、、、」
私は、空崎さんを腕で抱きしめた。
空崎さんは、涙を流している。
こんなにも優しいこの方が、私のために、泣いてくださっている。
こんな、戦いにしか使わなかった手でも、誰かを慰めることができるのなら、、、
私は不慣れな手つきで、空崎さんの頭を撫でる。
ずっと、そうしていた。
かなり時間が経った。
ーー ーー ーー
「その、ごめんなさい。こんなはしたない所を、、、」
「大丈夫ですよ。落ち着きましたか、、? すみません、私の方こそ。少々馴れ馴れしかったですかね、、、」
「うん、大丈夫。それで、その、」
「何でしょうか?」
「ゲールさんが良かったらでいいんだけど、その、、」
「わたしのところに、こない?」
え?
「これから生活にも、困るのかもしれないのでしょう?」
ん?
「なら、わたしと一緒に、生活しない?」
????
「あっ、もちろん、ゲールさんが嫌なら、断ってもらって構わないけど、、、」
まてまてまて、落ち着、落ち着け。ん? ど、どう言う事だ?
私の、ところに? 私が、空崎さんの、所に?
イッショニセイカツ?
「ええと、もし罪悪感を感じてらっしゃるのでしたら、全然気にしな、、、」
「私がそうしたいから言っているの。」
???
ど、どうすれば、いや、私は構わないが、、、
さすがに、、、ねぇ? ほら、その、、、
「ど、どうなの? 私のところに、来て、くれる、、、、?」
マズイマズイマズイ!このままだと一緒に住むことに、、、でも、空崎さんは善意で言ってくれていて、だけど、これは流石に、、、 いや、でも、、しかし、、、、
わ、私は、、、、、、、、、、、、
「、、ハイ。イキマス。」
「、、ふふっ。ありがとう。」
えぇ、、なんかすごいことになってませんか?
勢いでOKしましたけど、これって同棲、、?
、、、!待て、ゲール。先程空崎さんは生活に困るのなら、といっていた。つまりこれから介護される、、?
流石にやばい。同棲だけでもアウトなのに、年下の女の子に世話になるなどプライドが複雑骨折して死んでしまう!
「で、ですが、私にもプライドはあります!貴女の生活を、私に手伝わせてください!」
「そ、そう?別にそこまでしてもらわなくても、、」
「私は誰かに養って貰う訳にはいきません!」
「、、、、ふふふっ。」
「な、なんですか?」
「、、、必死で可愛いなって。」
もうだめだ。私は空崎さんには勝てないかもしれません。いつのまにかメチャクチャ強くなってません?もう手玉に取られ始めてますよ?
「まぁ、これから、その、、よろしく、ね?」
「、、ハイ。空崎さん。」
「これから一緒に住むんだから、そう言う堅苦しいのは、やめてほしい。名前で、呼んで?」
「、、、っっ! 、、ヒ、」
「ヒ?」
「ヒ、ヒナ様。」
「、、もっと堅苦しくなった気もするけど、まぁいいわ。」
ふと窓を見れば、空が紅に染まっていた。
それは私の頬の色の様で、、、
夕方、太陽が沈み、月が昇る時。
なんだかその二つは、私と、ヒナ様の様だった。
「それじゃあ、また明日。ゲールさん。」
「私も、もっと気楽に良いですよ。」
「そう? 、、じゃあまたね。ゲール。」
バタン。
、、、なんか気にしてるの私だけみたいで恥ずかしいじゃないですか!!!!!!!!
ーー ーー ーー
言っちゃった言っちゃった言っちゃった言っちゃった言っちゃった!!!
い、勢いだったけど、ゲールさんとい、い、一緒に、、、!
はずかしいはずかしいはずかしいはずかしいはずかしいはずかしいはずかしいはずかしいはずかしいはずかしいはずかしいはずかしいはずかしいはずかしいはずかしいはずかしいはずかしいはずかしいはずかしいはずかしいはずかしいはずかしいはずかしいはずかしい
ーー ーー ーー
「、、、うん。もう傷は大丈夫そうだね。」
「これからは気をつけてね?どうやら貴方は、普通の人より傷つきやすいみたいだからね。」
「、、はい。どうも有り難うございました。」
遂に退院の時が来ました。ヒナ様の邪魔にならない様にリハビリを超頑張った結果、私は頑張れば走れるくらいにはなりました。やったぜ。
「ゲール。無事に退院できたのね。」
「はい。来てくださったのですね。」
「それじゃあ行こう。」
私たちは2人並んで歩き始めた。2人の足音が小気味よく響く。ゲヘナの救急医学部部長に、ゲヘナの中でも常識的な場所の病院を選んでもらったおかげで、ここらあたりは騒がしくない。
「ヒナ様、貴女はゲヘナ学園の寮に住んでいると話していましたよね?」
「えぇ、そうだったけど?」
「そうだった?」
「学園寮は同居人禁止だったから、学園近くのマンションを新しく借りたわ。」
さらっと凄いこと言ってないか?
「それはその、、大丈夫だったのですか?支出的に。」
「大丈夫よ。だって貴方のためだもの。」
「」
愛が強い!嬉しいけど!
「ゲールの方のアパートは大丈夫なの?」
「はい、電話して、解約しておきました。」
ーー ーー ーー
「そういえばゲール、貴方、苗字とかファミリーネームはないの?」
「、、、あぁ。ありませんね。」
「それは、家庭の事情?」
「まぁ、そんなところです。」
ホントは親の顔も知らないんですけどね。私、すぐに身売りに出されたみたいですし。
「そっか。」
「じゃあ、ゲール。私の苗字、使っても良いよ。」
「、、、いいのですか?」
「うん。だって私達、家族みたいなものでしょう?」
「、、そうですか。ありがとう、ございます。」
「空崎、、空崎、ゲール。私の名前。」
ー ー ー
この男、前世でマトモな環境に居なかったからか、苗字が同じである事の意味をよく知らない。
それは家族の証であり、決して切れない絆であり、婚姻の意味でもある。
だが、それは生物にとって大した意味はない。
或いは、無いからこそ人はそれに意味を持たせるのかもしれない。
ー ー ー
ふう、、(やりきった感)