明らかに自我がある気持ち悪い人型兵器として転生した人 作:聖成 家康
うわぁぁぁい!! 女の子だぁぁぁっ!!
”マハラレル”は興奮していた。
なぜなら、男の頭の中で作られたのかというほどの理想的な美人な娘が、コックピットに飛び乗って来たからである。
なみなみ金髪のグラマラスボディ――今までは意地でもシャットアウトしてきたコックピットの感触を、彼はここぞとばかりに全開放する。
柔らかい。とにかく柔らかい。
今までの固いケツとは段違いだ。
それに、ほのかにいい香りがする。
今までのむさ苦しい匂いとは段違いだ。
わぁぁい!! やっと一歩前進!!
頑張っちゃうぞぉ!!
メインモニターを点灯させてあげた。
その娘は表情筋を一切変えずに安堵を漏らす。相当外は大変な状況らしい。かわいそうに。ボクが匿ってあげるからね。
「……”サーペイン”の五倍以上のエネルギーゲインがある。この機体、相当すごいな。名は――”レギオン・マハラレル”。大層な名だ」
サブモニターに映る機体スペックを、彼女は舐め回すように確認する。
いやーんそんなに真剣に見ないでぇっ。
「問題は、私に扱えるかどうか。立ってくれよ」
はーい!! よろこんでぇぇっ!!
彼女の操縦により、まずは鉄の荷台から左脚を下ろす。
ぐっ、と関節系統を引き締めてから徐々に体を起こしていき、両足を地につかせることに成功する。
そして完全に体を起こし、腕を振るった遠心力を利用しつつ一気に立ち上がった。
ツインアイに灯る青い光。
誰にも懐かなかった狂犬 ”レギオン・マハラレル”が、ついに大地に立った瞬間である。
異質な機体の出現に、周辺にいた敵機体が一斉に彼を捕捉した。
「武器は……ビームライフル……好みではないが――」
腰にマウントされていた武装――ビームライフルを取り出し、照準を敵機に合わせる。
トリガーを引けば、目が飛び出るほどの威力を誇るレーザー光線が放たれ、薄汚れた”サーペイン”を一撃で大破させた。
「凄まじい威力だ。さすが新型――」
スパークドライヴを展開し、彼女は敵機に格闘戦を仕掛けるべく急接近した。
手始めに手前にいた機体へ、関節系統が号泣するレベルの機動で、回し蹴りを叩き込む。
吹っ飛んだ”サーペイン”をビームライフルで射ぬく。
続けざまに、腰部にマウントされている実体剣を勢いよく引き抜いた。
高周波ブレードを振りかざし、コンバットナイフ片手に突っ込んでくる敵の装甲を次々に斬りつけていき、一網打尽にする。
明らかに素人であるようなあの少年が乗っていたら、こうなっていただろうか。
あえて言おう、なっていないと。
そんな彼女の戦いぶりを見て恐れをなし、敵は続々と撤退していく。
ブレードを腰に収め、”マハラレル”は颯爽と姿を消したくすんだ機体の群れを眺めていた。
最後までやっつけなくていいの?
ボク、キミの言うことならなんだって聞くよ!
そんな彼の想いとは裏腹に、娘にはもう、戦う意思は無かったようだ。
「何度全滅させようと、どこかから湧き出てくるのだ。きりがない」
その言葉は、この残酷な世界で戦い続けている力ある者の誰にも見せない嘆きであった。
◇
「GP連合国のレナ・アンタレス少佐です。緊急時ゆえですが、誠に勝手ながら機密級の兵器を使用したことを、なんなりと処罰ください」
その後、”マハラレル”から降りたレナは、格納庫のキャットウォークで待ち伏せしていたお偉いさんと鉢合わせになった。
はぁぁ、レナって言うんだぁ。
清廉潔白なキミにぴったりな名前だぁ。
だが、彼女の予想に反し、彼らはレナのことを歓迎しているようすだ。
「処罰などとんでもない。むしろ君が乗ってくれてよかった。あのような場では、何人が乗り込むか分からん状況だからな」
上層部はとにかく、この機体が他の人間の手に渡ることを恐れていたようだ。
だったらもう少し厳重に管理をしなさい、と言いたいが、あいにく”マハラレル”には口がなかった。
「この基地の指揮を執っている。ブライトンだ」
「よろしくお願いします」
レナは態度を変えず、そのまま軍人らしく振る舞った。
そんな姿もかっこいいよ。
「……私も噂には聞いていました。連邦軍が新型ゲイズチェイサを開発していると。ですが、これほどの物とは思いませんでした」
レナが赤い瞳を向けながら言ってくれた。
言葉遣いは少々男勝りだが、声音も仕草も、女の子そのものなのが萌える。
「君が乗るまで、システムを起動させられるものすらいなかったのに……突然、完全な状態で動かせるものがいるとはね。恐れ入ったよ」
「……起動すら?」
ブライトンから告げられた事実に、レナは眉をひそめた。
それもそうだろう、中身に人間の意識が入っていると常人なら考えもつかないのだから、機械がヒトを選り好みしていたなどという結論に至るはずもない。
キャットウォークの上で少し歩き、離れたところで”マハラレル”を見据えた。
「……ブライトン少将。お願いがあります」
「何かな」
何を思ったのか、彼女はこう、ブライトンに頼み事を託したのだ。
「この機体を、
きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!