METAL WOLF Archive XD   作:W.B.O

14 / 58
Chapter Ⅱ-Ⅱ ”Debriefing”(事後報告)

 その瞬間、場に居た全員の背筋に一瞬冷たいものが走ったのは間違いない。

 柴関ラーメン跡地で『メタルウルフ』の発掘作業を行っていた対策委員会とゲヘナ風紀委員会のメンバーは、僅かに怒気を孕んだホシノの声に思わず作業の手を止めてしまった。

 

 

「どうしてゲヘナ風紀委員会の部隊が武装して展開しているのかな? この惨状は何?」

 

 

 周辺にはマーケットガードの戦車の残骸とバラバラになったオートマタ兵士のパーツが転がり、建築物の半数以上が倒壊して、まるで竜巻(トルネード)が過ぎ去ったかのような惨状であり、さらにはそこにゲヘナ学園(他の学園)風紀委員会(武力組織)が屯してるとなれば彼女の怒りも理解は出来る。自治区(故郷)を破壊されたと思ったのだから。

 漏れ出る怒気にゲヘナ風紀委員会のメンバーは思わずヒナの背後に身を寄せた。

 

 

「……勘違いしてほしくはないのだけれど、私も被害者だから」

 

 

 大きな翼で背後に身を寄せる風紀委員たちを庇いながらヒナはホシノと対峙する。

 一触即発の空気、しかしその間に対策委員会の3人が割り込んだ。

 

 

「ちょーっとまったぁ! ホシノ先輩は今まで何をしていたの!? 私達、散々電話かけたりモモトークにもメッセージ飛ばしてたんだけど!」

 

「ゲヘナ風紀委員とは肩を並べて戦った間柄、つまり戦友」

 

「寝坊助なホシノ先輩はこの件で口出しする権利はありませんよー」

 

 

 何故今まで連絡に反応しなかったのかと怒るセリカ、風紀委員を戦友だとしてかばうシロコ、そして穏やかながらも内心青筋を立ててホシノの干渉を拒絶するノノミ。

 後輩三人の反発にホシノはギョッとした様子で、むき出しだった敵意が霧散した。

 

 

「う、うへー、後輩たちの当たりが酷いよー、アヤネちゃん助けてぇー」

 

『駄目です。私だって怒っています』

 

「そ、そんなぁー、おじさんの味方は誰も居ないのかぁー……」

 

 

 最後の望みであったアヤネへの泣きつきすら切り捨てられ、ホシノはがっくりと肩を落とした。

 その様子を見てヒナは広げた翼を畳み、大きく息を吐いて一歩前に出る。

 

 

「ホシノ……小鳥遊ホシノ、アビドスにまだ残っていたのね」

 

「うへ……おじさんのことを知っているんだねゲヘナの風紀委員ちゃん?」

 

 

 互いに探るような視線、しかし今度は落ち着いた様子で言葉をかわす。そこに敵意は無かった。

 

 

「2年前、貴女はアビドス自治区の要注意生徒としてゲヘナの情報部にマークされていた。()()()()の後一切の情報が更新されなくなったから去ったものだとばかり思ってたけども……」

 

「……」

 

「まだアビドスに居たのね。それに、いい後輩を迎えることができた」

 

 

 ヒナは横目で対策委員会の3人を見る。「私、怒ってます」という表情を崩さない三人の視線にホシノはたじたじであった。

 

 

「うへぇぇ~、おじさんが悪かったから機嫌直してよ~」

 

 

 そして、ついにそれに耐えきれなくなったホシノは白旗を上げた。

 その情けない声に思わず笑う3人。ヒナも思わず口角が上がってしまい、風紀委員達からも笑い声が漏れ、場の空気はあっという間に弛緩していく。

 

 

”良いかな? 場が落ち着いたことだし今回のことで色々と情報を交換しておきたいことが有る。落ち着ける場所……アビドス高校で話そうじゃないか”

 

 

 その瞬間を見逃さず、マイケルが割り込んで場所を移すことを提案する。アビドス自治区ではない場所(カイザーの所有地)で長々と会話するのはあまりよろしくないと彼は考えていた。

 カイザー製の『ドロシー2』をマーケットガードが運用していた事実はブラックマーケットとカイザーの繋がりを明確に示すものであり、もしこの場所に居続けていた場合、戦闘行為を問題視して何かしらの要求を突きつけてくるであろうということが容易に想像できた。

 

 

”それと……便利屋の皆にも色々と話しておきたいこともある”

 

 

 不意に話を振られ、びくっと肩を震わせるアル。ヒナがこの場にいるせいで便利屋の全員は借りてきた猫のように大人しくなっていた。

 暗黙の了解で共闘していたものの、本来風紀委員会と便利屋68は追い追われる立場なのだから仕方がないとも言える。

 

 

「わ、わかったわ」

 

「……確かにそれがよさそうね。確かにここで長話をするのは良くない」

 

「柴大将も命に別状はなさそうとはいえ、病院で色々見て貰う必要があるから私達が送るわ」

 

「ホシノ先輩もいいですよね?」

 

「拒否する選択肢がないよ~」

 

 

 便利屋と風紀委員会、そして対策委員会もマイケルの提案を了承し、全員が直ちにこの場所からの撤収の準備を始める。

 元々少人数でやって来たこともありゲヘナ風紀委員会の撤収作業は極めて短時間で済み、対策委員会もそれに便乗する形で15分もすれば戦場となった区画から両校の生徒は撤収した。

 残されたのは、燃え盛る戦車の残骸と破壊された街並みだけであった。

 

 

******************************************************************

 

 ()()にアビドス自治区と呼べるアビドス高等学校の校庭に着陸したNH90ヘリコプターから降りて整列する風紀委員会のメンバーたち。その先頭に立つヒナと相対するのはアビドス廃校対策委員会の全員だ。少し外れて便利屋も並んでいる。

 エンジンを止め、静かになった校庭でようやく落ち着いた形での対話が可能になったことから、彼女たちは互いに自己紹介を始める。

 

 

「改めて、ゲヘナ学園風紀委員会委員長の空崎ヒナ」

 

「風紀委員会行政官の天雨アコです」

 

「風紀委員会、銀鏡イオリだ」

 

「風紀委員会兼、シャーレ所属の火宮チナツです」

 

 

 ゲヘナ風紀委員会、総勢18名の自己紹介が終わり、続いて対策委員会が入学したてのような挨拶を互いに交わした。そして、双方共に自分たちを知ってるから必要ないと()()()括っていた便利屋も、双方の圧力で自己紹介をさせられる。*1

 自己紹介の最中、便利屋たちはヒナがそばにいるせいでやたらと落ち着きがなく、アルに至っては胃のあたりを押さえているあたり、相当なストレスを感じていたのだろう。

 

 

「えーっと、それじゃあ何が起きたか聞かせてもらっていいかな?」

 

 

 一先ず落ち着いた後、おずおずと挙手しながらホシノが問う。先ほど後輩たちに反発されたこともあり、かなり遠慮した様子ではあった。

 ヒナは一旦目を閉じ、先の状況を思い出すとホシノの問いに答えた。

 

 

「昼頃、私と先生は食事を摂りながらゲヘナ風紀委員会とシャーレの業務協力について話をしていた所、突然砲撃を受けた。犯人はマーケットガード、私と先生は辛うじてほぼ無傷で抜け出せたけれども気絶した店主を先生が担いで現場から離脱しようとした……」

 

”そこからは便利屋と合流した私達と、ヒナを救出しに来たゲヘナ風紀委員会、そして自治区の戦闘を抑制しようとした対策委員会がそれぞれマーケットガードとの戦闘を行いこれ撃破した、ということだ。分かったかホシノ?”

 

「それは分かったんだけど、何でゲヘナの風紀委員会が即座に来たの? それに、マーケットガードがどうして侵攻してきたのか理由がわからないんだけど」

 

 

 頭の上のヘイローがクエスチョンマークになったかのような表情を浮かべるホシノ。

 何が起きたのかはわかったが、何故そうなったのかさっぱりわからないのだから仕方がない。

 

 

「風紀委員会がやって来たことに関して言えば、生徒会長のマコトがアコを焚き付けたのが原因。マーケットガードが動くという情報をどこからか仕入れて教えたみたい」

 

「で、ですが委員長」

 

「アコ、理由は何であれ許可なく他の土地に武装した兵員を展開させるのは外交問題になる。正直助かったところはあるけども、後で反省文だから」

 

「うぅ……わかりました……」

 

 

 風紀委員がやって来た理由を述べるヒナ。ついでに焚き付けられたとはいえ暴走したアコへの懲罰も忘れない。風紀委員たるもの信賞必罰はしっかりしなければならないのだ。

 がっくりと項垂れたアコを横目に、今度はアルが前に出た。

 

 

「マーケットガードがやって来た理由は簡単よ。あいつら、銀行強盗犯を探しに来たの」

 

 

 アルの言葉に顔を引き攣らせる対策委員会の面々。便利屋たちの視線が「お前たちのことだぞ」と強く訴えている。

 本来マコトから説明を受けたアコもこの理由を知っているのだが、彼女はヒナのことで頭がいっぱいになっていたのですっかり抜け落ちてしまっていた。

 

 

「陸八魔アル、貴女は濡れ衣だと主張してたけどマーケットガードは親の仇みたいに狙ってたのは何故?」

 

「な、何故って、それは……えーっと……」

 

 

 そういえば、と戦闘中の言動を思い出したヒナの追求に、アルはしどろもどろになる。

 銀行強盗犯(覆面水着隊)が捨てていったカバンからお金をネコババしただなんて、とてもではないが言えない。特にヒナの前では。

 そのアルの様子にある程度の事情を察したのか、ヒナは大きくため息を付いてから言葉を続けた。

 

 

「……ゲヘナでの出来事ではないなら一旦は目を瞑ることにする」

 

「銀行強盗犯が捨てたお金を拾いました……」

 

 

 ヒナによる恩赦の宣告を受け即座に自白するアル。ヒナの眼の前で見栄を張っても意味がないと理解しての行動だ。

 そして、色褪せ使い込んだ様子の財布を取り出し、中から札束を一つ取り出した。

 

 

「アルちゃん、何で札束のままに入れてるの?」

 

「い、一度くらい釣りはいらないわ……ってやってみたかったのよ!」

 

”気持ちはわかるがね……ん?”

 

 

 アルが取り出した札束を掴み上げたマイケルはその瞬間僅かな違和感を覚えた。

 ()()()()()()ような感覚にハッとし、シッテムの箱を取り出すと、画面に映ったアロナが目を見開いていて指を指す。

 

 

『先生、この札束から電波の発信があります!』

 

well,well,well(これはこれは)……”

 

 

 アロナの指摘を受け、帯を解き、札束をバラバラにする。すると、この札束は中がくり抜かれた偽の札束であり、そのスペースには小型の機械が入っていた。

 それをつまみ上げて裏表を見る。どうやら、これは位置情報を送信する機械のようだ。

 

 

”防犯用の発信機だ。こいつで位置を特定していたのか”

 

「ほらセリカちゃん、あれ捨てて正解だったでしょ」

 

「う、うぅ」

 

 

 後ろでヒソヒソしているアビドスの面子はさておき、発信機をその場の全員に良く見せた後、マイケルはそれを握りつぶして破片を校庭にばらまいた。少なくともこれで以降の追跡は免れることが出来るだろう。

 

 

”さて、それと……”

 

「待ってください先生、私達はもう一つ知りたいものがあります」

 

 

 続けて話そうとするマイケルを制し、アヤネが挙手し声を上げる。対策委員会以外の全員の視線が彼女に向いた。

 

 

「戦闘中、風紀委員会の行政官……アコさんが柴関ラーメン近辺の土地がアビドス高校のものではないと言いました。それが事実かどうか、私達は知る権利があります」

 

”……私もヒナとの食事中に知ったんだが、事実だ。これを見てくれ”

 

 

 シッテムの箱をくるりと回して対策委員会の皆に見せるのは、連邦生徒会のセントラルネットワークからダウンロードした地籍図だ。

 アビドス自治区の分だけではあったが、それでも広大な土地なだけに膨大な量に登る。

 

 

「そんな……本当にアビドス自治区の殆どがアビドス高校の手から離れているなんて……」

 

「しかも所有しているのは……カイザーコンストラクション。これはカイザーグループの中核企業の一つです!」

 

 

 一通り見終わった後、ショックの大きさからアヤネはふらつき、ノノミが支えながら指摘するのはアビドス自治区の土地を買った企業の名。

 カイザーコンストラクション、カイザーグループの中で不動産を取り扱う企業であり、ノノミの言うようにグループ内でも上位の企業だ。

 そんなものが出てきている以上、アビドスの問題はカイザーローン単体ではなく想像した通りにカイザーグループ全体の息がかかっているのは間違いなさそうだった。

 

 

「で、でもどうして自治区の土地が売られてるのよ!」

 

「―――昔のアビドスの生徒会が売ったんでしょ、きっと借金の返済のために」

 

 

 荒れるセリカの声に静かに返すのはホシノだ。

 彼女は冷めた目で地籍図を眺め、権利が移った日付を確認すると小さく息を吐いてヒナたちの方を向く。確認したいことがあった。

 

 

「ゲヘナはこのことについてどこまで情報を持っているのか、教えてくれないかな?」

 

「……二年前を最後に、アビドスは土地の取引を止めた。アビドスの最後の生徒会長に代替わりした時から土地の売却は行われなかったと記録されている。生徒会の動向についての記録についてはそれでおしまい」

 

「そうだね、私が生徒会に入ってからそういった話はなかった。そもそも、生徒会長と私の二人だけの生徒会でまともな業務は行えてなかったんだ」

 

 

 ヒナの言葉を聞き、どこか遠くを見ながらホシノは言う。2年前の出来事を思い出しながら、己の過去()を忘れぬように。

 

 

「カイザーの狙いは、アビドスの土地そのもの。昔の生徒会は借金の利子の支払いに土地の売却益を流用していた。生徒会が機能不全に陥ってから土地の取引が行われなくなり、だからカイザーはヘルメット団を雇って私達の学校を攻撃してきた。私達が攻撃に耐えかねて去れば土地は全てカイザーのもの……ようやく全貌がわかったよ」

 

 

 カイザーの狙い、探し続けていた最後のピースがはまって浮かび上がる答え。納得するしないではなく、ただ突きつけられる事実にホシノの表情が固くなった。

 対策委員会の全員も表情が沈み、風紀委員会だけでなく便利屋すらも思わず同情してしまう。

 

 

「……先生はどう対処するつもり?」

 

 

 そんな中、ヒナが試すようにマイケルに問う。

 この難問に彼はどう答えるつもりなのか本気度を知りたかっただけなのだが、しかし彼がもう動き始めていることを彼女は知らない。

 

 

”インチキ詐欺師共をどうするかなんて、決まっているだろう。ぶん殴るのさ(Kick ass)!”

 

「ぶ、ぶん殴ッ……!?」

 

 

 予想もしない答えにヒナは目を丸くした。ついでに言えば、他の風紀委員のメンバーも「マジかこの大人」という表情を浮かべる。

 そして便利屋もまた彼の答えに驚愕した。話の中で自分たちのクライアントがカイザーだと知った彼女たちであったが、カイザーが裏社会においてどれだけの影響力を持っているのか知っているので、それに正面から挑むという彼の発言は正気を疑うものだった。

 場の空気がざわめく中で、事前にマイケルがカイザーに何かを仕掛けると知っている対策委員会だけが冷静に物事を受け止めている。どうやるかまでは想像がついていないのだが。

 

 

「……勝算はあるの?」

 

”もちろんさ。だが、正面から挑むと()()面倒なのは事実だ。変に逃げられても困る……だから少しカイザーを油断させるために一芝居打とうと思う”

 

「一芝居?」

 

 

 首を傾げるシロコ。悪どい笑みを浮かべるマイケルに、その場に居た全員がこの大人がとんでもないことをするという確信を得ていた。

 

 

”何、見てのお楽しみさ”

 

 

******************************************************************

 

 

『親愛なるキヴォトス市民の皆さん、こんばんは。”ペンは銃よりも強し”がモットーのクロノスニュースネットワーク(KNN)が19時のニュースをお伝えします。まず、最初のニュースは本日昼頃、連邦捜査部シャーレのマイケル・ウィルソン先生がアビドス自治区での活動中に爆発に巻き込まれて重傷を負ったというものです。怪我の程度は不明で、先生は直ちに病院に搬送され―――』

 

 

「く、ククク……クハハハハ!」

 

 

 まだキャスターが話しているというのにテレビの電源を落とし、身なりの良い服装のロボット族の男はさも愉快そうに笑いを堪えきれず、声を上げた。

 その一方で対面に居る黒いヒトガタはあまり興味を持っていない様子で、顔の亀裂は一切の変化を示さない。

 

 

「ハッハッハッハ! まさか、シャーレの先生を巻き込めるとはな! マーケットガードが『ドロシー2』含めて壊滅したと聞いた時は驚いたが、奴を排除できたとなると必要経費だ」

 

 

 男は持っていたタブレットを机の上に置いた。映し出されているのはマーケットガードの兵士が撮影した瓦礫に埋もれた『メタルウルフ』の頭部の写真だ。

 そして、スワイプすると救急車でD.U.の病院に担ぎ込まれるマイケルの写真。こちらは潜伏させている諜報員が撮影している。

 

 

「奴がアビドスから消えたことでようやくまともに襲撃を行えるようになる。とはいえ、便利屋68はもう使えん……まったく、闇銀行を襲うとは後先考えないガキ共だな」

 

 

 完全に濡れ衣なのだが、マーケットガードから報告がそういう上がっている以上彼の中ではもう便利屋68は銀行強盗犯ということで固まっていた。アルはキレて良い。

 男は途端に不機嫌になり、トントンと音を立てながら椅子の肘掛けを指で叩く。

 それに反応するように、対面の黒いヒトガタは顔を向ける。顔の亀裂が僅かに動いた。

 

 

「ふむ、ではどのようなプランで動かれますか? 私としては暁のホルス……小鳥遊ホシノと契約を結べるのであればそちらがどのような手段を取ろうと問題視はしませんが」

 

「そう急くな。物事には順序と時機がある……連中に絶望を与え、貴様の望む形に誘導するには少し時間が必要だ。もっとも、アビドス高校の連中が自分たちから虎穴に飛び込むような愚か者であるならばその限りではないがね」

 

「クックック……貴方の手腕に期待しています」

 

 

 黒いヒトガタは席を立ち、部屋から出ようとドアノブに手を掛ける直前に男へと顔を向けた。

 ゆらり、と亀裂から漏れる光が黒いヒトガタの感情の動きを表す。

 

 

「我々もこれまでにかなりの支援をしています。今回の件に関して言えば、これ以上の失敗は許されません」

 

「ふん、貴様に言われるまでもない」

 

 

 男は腕を組み、鼻を鳴らして黒いヒトガタに応えた。

 

******************************************************************

 

 夜のシャーレ、執務室はカーテンが閉じられ外へ光が漏れることはなく、外から中を監視する事もできぬ状態のその部屋に()()()()()()()()はずのマイケルの姿があった。

 彼の言う一芝居とは、自身が病院送りにされたと対外的に喧伝することで連邦捜査部シャーレの脅威度を引き下げさせることだった。

 彼が居なければ、シャーレはその権限を行使することができないので実際無力化できたように見せられる。

 その日の当番であったセリナに事情を説明して救護騎士団経由でD.U.の病院に偽装で搬送された後に変装して抜け出し、こっそりとシャーレビルに帰還した彼はそこでようやく元不良のシャーレ生徒に説明することができた。

 多大な心配をかけてしまったわけだが、ピンピンしている姿を見せたらすっかり安心したようで彼女たちは進んで偽装工作に勤しんだ。

 

 

”……さて、そろそろ時間だが”

 

 

 時計を見てマイケルは呟く。報道を見てものすごい勢いでリンが鬼電をかけてきたのだが、伝えてきたのは先日面談の予定を入れたSRT特殊学園のHOUND小隊の準備が整ったというものであったので、彼女たちを迎え入れるべく待っていたのだ。

 時計の秒針が時を刻む音が響く中、ドアの向こうに人の気配が4つ。続けてノックの音が響く。

 

 

”入ってくれ”

 

「リン首席行政官から話は聞いているな!? これより、我々HOUND小隊は連邦捜査部シャーレの指揮下に入る!」

 

”……これはこれは元気なお嬢さんだ”

 

 

 先頭を切って部屋に入ってきたのは緑のショートヘア、そして断耳されたドーベルマンのような尖った犬耳を持つ鋭い目つきの少女だ。鼻の真ん中辺りを水平に走る傷跡が特徴的でもある。

 続けて、灰色で少し癖のあるミドルロングの少女が入る。彼女の頭部にはジャーマンシェパードを思わせる耳があり、前髪が垂れて左目が隠れていた。

 3人目は紫色の髪を後ろで結ってポニーテールにした少女。眼鏡をかけ、頭部にはビーグルを思わせる垂れた犬耳がある。

 そして4人目、彼女は色白で頭髪も白いが、先端にいくにつれて赤くなるグラデーションのロングヘアで、頭部にはホワイトシェパードを想起させる耳があった。

 先頭の少女の勢いに最初は面食らった様子を見せたものの、マイケルは秒で立ち直りにこやかに笑って彼女たちを迎え入れた。

 

 

「自己紹介がまだだったな! 私はコールサインHOUND1、岸洲(がんず)トミだ」

 

「コールサインHOUND2、陸双(むそう)カズミ」

 

「コールサインHOUND3、美路(びじ)タエコ。よろしく先生」

 

「コールサインHOUND4、礼文(れぶん)アリアです。お世話になります」

 

 

 4人が並び、挨拶をする。SRT特殊学園の制服らしきセーラー服を着た彼女たちは特殊部隊らしく統率が取れた動きで、まったく隙がない。

 まるで特殊作戦軍(SOCOM)の所属隊員を思わせる彼女たちに感心をしながらマイケルは席から立ち上がり、全員と握手を交わした。

 

 

”私は連邦捜査部S.C.H.A.L.E顧問のマイケル・ウィルソンだ。よく来てくれた、歓迎しよう。ところで、君たちはリンから話を聞いていると思うが……私の指揮下に入って動いてもSRTの功績にはならないと最初に説明しておく”

 

「心配することはないぞ先生、うちの連中は看板にこだわりを持ってるのは一人も居ない! どのような任務にアサインされようとも、完全にこなすのが我々HOUNDだ」

 

 

 SRT生はSRT所属であることに誇りを持っている、というリンの忠告を覚えていたマイケルはシャーレで活動する上でのリスクを説明するが、トミはニヤリと笑いながらそれを一蹴する。

 他のHOUND隊員も異論はないようで、誰もトミの発言に口を挟むことはなかった。

 

 

「さて、先生も私達のことをよく知りたいだろうから各々の口から説明しよう。まず私だが、HOUND小隊のリーダーを務めている。得意なことは強襲だ。次、カズミ!」

 

「私は……ヘリによる支援及びオペレート業務を担当している。荒事(直接戦闘)は好まないが、SRTとしての最低限の技能は有しているつもりだ。タエコ、次はお前の番だ」

 

「はいはい、私は火力支援全般を担当しているよ。機関銃からミサイル、スナイパー、UGV(無人地上車両)までなんでもござれ、さ。さあアリア、最後はあんただよ」

 

「はい、私はポイントマンを担当しています。重装備による正面突破から軽装による機動戦まで、様々な戦場に対応できる自負があります」

 

「以上だ! それと、補足しておくが私以外の3人はハッキングの技能も優れている。うまく使えばカイザーの役立たず共に一泡吹かせることができることを覚えておいてくれ」

 

 

 HOUND小隊のポジション紹介をが終わり、リーダーたるトミが〆る。

 全員休めの姿勢になり、マイケルの反応を待っていた。

 

 

素晴らしい(Excellent)、丁度欲しかった人材の理想みたいなものじゃないか。リンも完璧な人材を紹介してくれたものだ”

 

 

 手を叩き、マイケルは満足げに頷く。完全に要望に答えてくれたリンへの感謝も忘れない。

 

 

”君たちとなら成功させられるだろう。カイザーローン強制捜査……”

 

『先生先生! 今度こそ! 今度こそ素敵な作戦名を考えつきましたよ!』

 

 

 話の途中に割り込むアロナの声に、彼はシッテムの箱を手にしてその画面を覗き込む。

 やはりと言うべきか、アロナがフリップを手にしてニコニコしながら自信満々な様子を見せているのだが、その姿に何故か大統領時代の秘書であるジョディがダブった。

 

 

『今回の作戦名は……これです!』

 

 

 無駄に演出が強化され、ドラムロールで勿体ぶりながら締めのシンバルと同時にフリップを掲げる。そこに書かれていたのは―――

 

 

”―――『掟無用の大捜査、カイザーの悪事を暴け!』大作戦、をな”

 

「あっはっはっは! いいね先生、笑えるよそれ!」

 

『な、なんでですかぁ!』

 

 

 腹を抱えて笑うタエコに、アロナは大いに憤慨した。

 

******************************************************************

 

 翌朝、アビドス高校から僅かに離れた区画にある今は住人の居ない3階建てのビル、いまだアビドス高校の所有地であるここに一台のトラックがやってきた。

 運転するのは便利屋68のカヨコで、助手席にムツキを座らせ、センターシートに窮屈そうにおさまるのは社長のアル。ハルカは荷物といっしょに荷台に乗っている。

 そして、完全に停車するとエンジンを切って全員が降り、トラックの荷台から荷物をおろし始めた。

 

 

「前の事務所はカイザーに露呈してるから移動しなければ行けなかったのは確かなんだけど、こんな立派な建物に住まわせてもらっていいのかな」

 

 

 書類の入ったダンボールを抱えながらカヨコはビルを見上げた。

 多少砂嵐の影響を受けてこそいるものの、建物自体はかなり立派でありアビドスのかつての栄光の面影を残している。

 インフラも水道に電気が生きているということで、少し掃除をすればあっという間に住めるというのだから至れり尽くせりだ。

 

 

「いいのよカヨコ。今の私達の敵はアビドスではなくカイザー、同じ敵を相手に手を組むのだからってあちらから居住許可を出してくれたんだから」

 

 

 新居を見上げてキラキラと目を輝かせながらアルはいう。

 そして彼女が言うように、便利屋は元の事務所を捨ててアビドス高校の正式な許可を得て()()()()()()()の建物に引っ越してきたのだ。

 

 

「アルちゃん、昔だったら「施しは受けないわ!」とか間違いなく言うところだけど、最近変わったね」

 

「そうだねムツキ、ブラックマーケットの一件から社長は何かを掴もうとしている……シャーレの先生と会話したのがきっかけ?」

 

「かもねー、アルちゃんが夢を現実的に落とし込むのは成長してるって感じだけど、それだけじゃつまらないかなー。アルちゃんはもっとこう……輝いていて欲しいっていうか? 私のわがままみたいなのは実感してるけどさ」

 

 

 事務所の中にとりあえず荷物を仮置きしながら、ムツキとカヨコはアルについて話し合う。

 確かにアルは変わりつつある。彼女は”信じる自由のために戦う”というマイケルの言葉にひどく感銘を受け、その結果彼女の中のアウトロー象は段々と変化していた。

 無闇にワルっぽく振る舞えば良いわけではないと意味深(見栄っ張り)な言動は以前と比べて鳴りを潜めるようになり、それにつられてかハルカの暴走もわかるレベルで減っている。

 

 

「昨日も先生に色々聞いてたね、色々学ぶところは多いんだろうけど」

 

 

 そしてカヨコは、昨日のことを思い出した―――

 

******************************************************************

 

 

”便利屋68の皆はどうするつもりだ? 誤解であっても向こう(カイザー)は敵だと思っているだろう”

 

 

 一芝居を打つという宣言をした後、関係各所への連絡を済ませたマイケルは便利屋達の前に立ち問いかけた。

 彼女たち自身に落ち度(ネコババ)はあるとはいえ、自分達(覆面水着隊)の行いが原因でブラックマーケットのブラックリストに載ってしまったであろう彼女たちの今後のことを考えると、多少のケアは必要だろうと彼は考えていた。

 

 

「うーん、今の事務所の所在とか風紀委員にバレちゃったし、仕事の方も結局この状況だからねぇ、公園で野宿でもする?」

 

「わ、私はアル様が一緒なら地獄でもついていきます……!」

 

「当てはないね、今のところは」

 

 

 アルを除く3人の意見を聞き、思いっきり渋い顔をするマイケル。

 子供がホームレスなんていうのは普通に良心が痛むのだ。

 

 

「……ねぇ先生、先生がもし私達と同じ立場だったらどうするのかしら?」

 

 

 そんな中、アルは少しだけ思案した後に静かに問いかける。

 予想だにしない逆質問に一瞬だけ面食らったが、その眼差しの真剣さを見てアルに向き合うべく彼は答えた。

 

 

”……それはアウトロー志望として考えを示して欲しい、ということで違いないか?”

 

「ええ、そうよ」

 

 

 アルは知りたかった。シャーレの先生なら、自分と同じ立場に置かれたときにどういう選択をするのかを。

 

 

”そうか、なら答えは……『カイザーをぶん殴るためにアビドスと手を組む』だ。逃げても追われる、かといって大人しくゲヘナに戻るつもりもないなら、徹底抗戦して目にもの見せてやるというのが私の考え方だ。そして、目的を同じとするならば手を組める相手とは手を組むべきだ”

 

「……そうまでする理由を聞かせてちょうだい」

 

”理由? そんな大仰なものは必要ない! これは自由と尊厳を守るための戦いだ。裏社会を支配し、生徒(子供)をいいように使い潰し、自らの欲望のままにさらなる犠牲者を求める悪党を叩くのに、一々小難しい理屈をこねる必要があるのか?”

 

 

 自由と尊厳のために戦う。マイケルはそう強く主張したが、まだ子供であるアルたち便利屋には彼の言葉に秘められた意味まで理解は及ばない。

 しかし、()()()()()()()()相手に自分の自由と尊厳を守るために戦うというものは、すなわち秩序への反逆、アウトロー的な行為だとアルは解釈した。

 

 

「なるほど、それが先生のアウトロー観なのね」

 

”ああ、そうだ。自分の決めたルールに従い、突き進むこと……そして大事なのは、ナメられてはいけないということだ。私からの教示(instruction)はこんなところだが、分かったかい?”

 

「ええ、それじゃあだけど、アビドスと手を組むのに……仲介、お願いしていい?」

 

 

 気恥ずかしいのか、少し上目遣いでマイケルにお願いをするアル。

 彼は肩を竦めながらも、快く引き受けることにした。

 

******************************************************************

 

 便利屋達が新居への引っ越し作業をしている中、対策委員会の5人もまた新たな局面に対応するために準備をしている―――わけではなく、全員揃ったうえでかなり暇を持て余しているようであった。

 便利屋の引っ越しの手伝いをしようか、という声もあったが、それは向こう側が必要ないと言ってきたのでやることが本当に無い。

 アビドス市街地(カイザー管理地)へ出かけようにも昨日の今日なのであまり大っぴらに動くことができず、せいぜいが柴大将への見舞いにこっそり数人ずつ動くということぐらいだろう。

 食料や水の備蓄はしっかりしているので、数日程度であるならばアビドス高校で籠城することも可能であったが、なにはともあれ暇だ。

 

 

「あとどれくらい待機しなきゃいけないのよ!」

 

「うへぇー、先生が言うには明後日の朝までらしいんだけどねぇ、暇だよねぇ」

 

 

 待機命令が出て1日も経っていないのだが、すでに我慢の限界を迎えていたセリカが吠えるのをホシノが宥める。

 セリカは本来今日もバイトの予定だったのだが、勤務先(柴関ラーメン)が破壊されたので本当にやることがないのだ。アビドスには娯楽もないので余計にイライラが募っていた。

 ちなみに、ホシノの方も落ち着かないのかしきりに目を動かしている。

 

 

「学校の清掃でもやりますか? ここ最近、落ち着いて補修とかもできませんでしたし」

 

 

 兎に角体を動かして時間を潰したい。そういう思いからノノミは校舎の清掃を提案するが、他のメンバーの反応は芳しくない。

 こんな時にそんなのんびりとしていて良いのだろうかと、理由もなく焦ってしまうのだ。

 

 

「掃除はともかく補修は資材の調達が今難しいので……その、私達は本当に何もしなくて良いのでしょうか?」

 

「この期に及んで()()()()()()()()ってのは……まぁ、モヤッとするよね、確かに」

 

 

 アヤネの言葉に頷きながらも、ホシノは昨日のマイケルの言葉を思い出す。

 

 

『”事を起こすのはD.U.だ。君たちがアビドスを出ると連中が警戒するだろう。そこで、作戦開始までアビドス高校防衛にあたってほしい。君たちは十分働いているから、これは私から君たちへプレゼントする休暇だと思ってくれ”』

 

 

 のんびり出来るぞ、とは最初は思っていたものの、いざこうして何も無い予定と行動制限を眼の前にするとどうにもこうにも落ち着かない。

 ついでに言えば、昨日の戦いに不参加になった理由を問い詰められた結果()()()()()()退部届の存在を白状したのも居心地の悪さに拍車をかけていた。

 

 

『だ、だからあれは昼寝してて……』

 

『”あれだけ派手な戦闘があって寝ていて気付かなかったというのはジョークにしては笑えないな”』

 

『う、うへ……』

 

『”悩みがあるなら相談を受け付けるのも先生の仕事だ、ホシノ”』

 

 

 あの時のマイケルの目はかなり本気で怒っているようであり、それでいて心配もしているようでもあった。

 そして、彼が()()()()()という事実が彼女のトラウマ(罪悪感)を刺激したこともあり、つい何が起きたのかを漏らしてしまったのだ。

 2年前、アビドスに入校してからずっと黒尽くめの何者かのスカウトを受けていたが断り続けていたこと、今日も呼び出されてアビドスの借金の半分を肩代わりするという破格の条件を出されたこと、そしてそれを断ったことを。

 もしかしたら使う可能性があるかもしれないと用意していた退部届に取り出し、皆の眼の前で破り捨てた。

 これでこの話はおしまい―――としたかったのだが、一度退学の可能性を持ち出してしまったこともあり、後ろめたさがずっと尾を引いている。

 

 

「シロコちゃんは何かあるか―――」

 

 

 先程から無言を貫いているシロコに顔を向けたホシノは、その瞬間目を丸くした。

 カバンに覆面、ドローン、予備のミサイルを詰め込んでいるシロコの姿がそこにはあった。

 

 

「し、シロコちゃんそれは何をするつもりなのかな……?」

 

 

 恐る恐る聞くホシノ。他のメンバーも戦々恐々といった様子でシロコの動向を伺っている。

 

 

「アビドスに展開しているカイザーの施設を偵察する。こっちの情報があったほうが先生もきっと助かるはず」

 

 

 そんな中、シロコは堂々と自ら地雷原に飛び込むような発言をした。

 あまりにも唐突で予想外であったために場の全員が理解するのに数秒を要し、理解に至った瞬間シロコを除く全員の声がアビドスの校舎を震わせることとなった。

 

 

「ちょ、ちょっとシロコ先輩! それまずいって! 下手に動いてカイザー刺激したらそれこそ先生に迷惑かけちゃうんじゃないの!?」

 

「そうですよ! ここは先生の言う通りにじっとしていたほうが……」

 

「大丈夫、問題ない」

 

 

 セリカとアヤネは先輩の突然の暴走に面食らい、止めようとするがシロコは問題ないと言い張り一歩も引き下がるつもりはないようだった。

 

 

「シロコちゃん、準備もなしに動いても何の成果も得られませんよ?」

 

「ノノミちゃんの言う通りだよ。風紀委員長ちゃんが言ってた砂漠に行くつもりだろうけど、あの砂漠はきちんと準備をしないと危ないよ?」

 

 

 ノノミとホシノは準備不足を指摘する。特にホシノに至っては抑揚の少ない、ひどく冷めた声(マジトーン)であった。

 それこそ、()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「……むぅ」

 

 

 流石に同学年と先輩にかなり本気で止められると強弁できないのか、シロコは頬を膨らませて不満を表現したが、二人の背後に浮かび上がる鬼の気配にしゅんとなる。

 なんとか止められたかと胸を撫で下ろす4人であったが、実際の所砂漠に展開しているカイザー勢力の情報は気がかりではあった。

 

 

『……カイザーはアビドスの捨てられた砂漠で活動している。何を目的としているのかわからないけど、気をつけておいて』

 

『”こいつか、気になってはいたがカイザーの施設だったのか”』

 

 

 ヒナはゲヘナに戻る前にマイケルにカイザーがアビドス砂漠で活動していることを伝えた。

 以前、『ドロシー』を運用していたカタカタヘルメット団の拠点の様子を確認するためにスキャンイーグル無人偵察機を飛ばし、旧市街地から砂漠の空撮をやっていた時に見つけた謎の施設がヒナの話の通りであるならば、これこそがアビドスにおけるカイザーの駐屯拠点といえるだろう。

 

 

「砂漠でカイザーが何をしているのか、突き止める必要はあると思うけど……少なくとも、先生が動いてからでいいんじゃないかな」

 

「そうですよ、この基地に『ドロシー』みたいな戦車が居たら私達単独では対処が困難です」

 

「……」

 

 

 畳み掛けられ、ぐうの音も出なくなったシロコは完全にへそを曲げたようにそっぽを向く。

 皆はその様子に苦笑しながらも、なんとかシロコ止められたことに安堵した。

 

 だが―――

 

 

『やっぱり調べたほうが良いと思うので出かけてくる。夕方までには戻る』

 

 

 翌日、一枚の書き置きを残してシロコはアビドス高校から姿を消した。

 

 

To be Continued in ChapterⅡ-Ⅲ ”The Ride of the HOUNDS”

 

*1
お前もやるんだよ!




2話連続でメタルウルフが活躍しないとかこれは本当にメタルウルフカオスのクロスなのかと思わなくもないですが、次からは暴れてくれるでしょう。

キャラクター名鑑
名前:岸洲トミ(がんず とみ)
所属:SRT特殊学園
学年:2年
年齢:16
身長:170cm
部活:HOUND小隊
趣味:訓練、装備改造
SRT特殊学園のHOUND小隊に所属する2年生。
荒々しい性格をしているものの広い視野を持ち、人の得意分野や苦手分野を見分けることが得意。
戦闘においては性格に見合わず慎重な立ち回りを見せ、味方の被害を抑える采配をする。
カズミとは昔からの付き合いがある。

名前:陸双カズミ(むそう かずみ)
所属:SRT特殊学園
学年:2年
年齢:16
身長:168cm
部活:HOUND小隊
趣味:音楽鑑賞
SRT特殊学園のHOUND小隊に所属する2年生。
表向きは物静かな性格をしているが、内面は熱いものがありヒートアップすると自ら危険地帯に飛び込むことも厭わない。
意外と金持ちであり、部隊の消耗品の補充申請が手間になるとポケットマネーで補充することもある。
ヘリの操縦やハッキングの才能があり、HOUND小隊には彼女のサポートが不可欠。
トミとは昔からの付き合いがあり、タエコとは幼馴染の間柄。

名前:美路タエコ(びじ たえこ)
所属:SRT特殊学園
学年:2年
年齢:16
身長:172cm
部活:HOUND小隊
趣味:人工知能作成
SRT特殊学園のHOUND小隊に所属する2年生。
豪快な性格をしており、多少の出来事は笑って済ませる器の大きさがある。
その性格故か、戦い方も派手というか大雑把。
機関銃やミサイルなど精密攻撃には向かない装備を好むが、実際はスナイパーなどの精密攻撃も十二分に扱え、SRTの中ではオールラウンダーと言える。
また、人工知能を作成するなど電子方面でも強く、現場でのハッキングなども対応する。
カズミとは幼馴染の間柄。

名前:礼文アリア(れぶん ありあ)
所属:SRT特殊学園
学年:2年
年齢:16
身長:156cm
部活:HOUND小隊
趣味:自然散策
SRT特殊学園のHOUND小隊に所属する2年生。
穏やかな性格をしており、自然の中で環境音を聞くのが趣味ととても特殊部隊とは思えぬ少女。
しかし、天性の才能があり任務に合わせて装備を切り替え、様々な状況に対応できる。
また、小隊内で最もハッキングの能力が高く彼女の前にほとんどの防壁は意味をなさない。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。