METAL WOLF Archive XD   作:W.B.O

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ChapterⅠ-Ⅲ ”Mystery of AL-1S(アリスの謎)

 それは、銃というのはあまりにも大きすぎた。

 ミレニアムサイエンススクールの科学力、その最先端の集大成とも言える白亜の筐体、元の電磁投射砲から冷却システムと大容量コンデンサが上下に増設され、独特な形状を持つその武器の名は『光の剣:スーパーノヴァMk.Ⅱ』という。

 

 

「基本重量160kg、全備重量は220kgを超える。実体弾発射時の反動は言うまでもないが……人が持って運用する事は一切考慮していない。もし君がこれを持ち、撃つことが出来たのならばこれを君のものとしても構わないよ」

 

「う、ウタハ先輩、本当にそれでいいんですか?」

 

「ふふ、出来ればの話だよコトリ。これを運用できるとすれば、リツコのパワードスーツか先生の『メタルウルフ』ぐらいなもの……」

 

 

 スーパーノヴァMk.Ⅱの説明をしながら、試すようにアリスを見るウタハ。

 彼女がアンドロイドと知っているからこその挑戦状である。

 

 

「……汝、その言葉に一点の曇りもないと誓えるか?」

 

「また変な喋り方をしやがるな」

 

「ふむ、何となく意味は察するが、挑戦するつもりだってことだね。ふふっ、やってみるといい」

 

 

 挑戦状を叩きつけられたアリスはといえば、またトンチキな言葉遣いをもって意欲を見せると、ウタハは不敵な笑みを浮かべた。

 そして、スーパーノヴァMk.Ⅱに近づき―――グリップを握りしめた。

 

 

「ふんっ……んんんっ!」

 

 

 目一杯踏ん張り、力を込めて、まるで岩に突き刺さった聖剣を引き抜くかのように持ち上げようとするアリス。

 台座に収まっていた筐体は呼応するように少しづつ動き始める。

 

 

「この剣を抜くもの―――」

 

「動いた!?」

 

「クレーンでもないと持ち上がらないはずなのに……!?」

 

 

 ゲーム開発部とエンジニア部の1年生組は、その光景に驚きを隠せない。

 そのままアリスは更にグリップを握りしめ―――

 

 

「―――此の地の覇者となるであろう!!」

 

 

 ―――自らの言葉を証明するかのように、スーパーノヴァMk.Ⅱを力強く掲げた。

 

 

「……マジか」

 

「これは……」

 

 

 3年生の二人も目を丸くし、言葉を失う。

 予想を超え、遥かに強力な膂力、この出力ならば純粋に殴っただけで人を1人吹き飛ばすことなど容易いことだろう。

 しかし彼女はゲーム開発部の部室ではその様な素振りはなく、制御できているということでもあった。

 

 

「……やりました! アリスは光の剣を引き抜きました!」

 

「すごい……すごいよアリス!」

 

「信じられない……どういう身体の作りをしてるの?」

 

 

 スーパーノヴァMk.Ⅱを掲げたまま、モモイ達にアピールするアリス。

 無邪気に喜ぶモモイに対し、ヒビキはこの砲の重量を知っていることもあり、戦慄する。

 あの小さな体躯でどうやってあれほどの力を出せるのか、理解が及ばないのだ。

 

 

「でもアリス、それを撃てないと光の剣はアリスの物にならないってウタハ先輩は言ってたよね」

 

「そうでした。発射するには……このボタンでしょうか」

 

「あっ、ちょっと待っ―――」

 

 

 ミドリの言葉に先程のウタハの条件を思い出したアリスは、スーパーノヴァMk.Ⅱを腰だめに構えた後に発射のためのトリガーを探る。

 咄嗟にコトリは止めようとするが、アリスがトリガーに気づくほうが早い。

 彼女の指がトリガーに触れた瞬間、スーパーノヴァMk.Ⅱの砲口から光が漏れ―――

 

 

「……ッ、光よ!」 

 

 

 まばゆい光とともに、部室を引き裂く砲声。

 もしも直視することが出来たのならば、プラズマ化した砲弾が飛び出す瞬間を見れたであろう。

 

 

「……て、天井が」

 

「なんて威力……」

 

 

 光で眩んだ目がようやく視力を回復すれば、眼の前に広がっているのは大穴の向こうに覗く青空。

 パラパラとコンクリートの破片が降り、粉塵が舞う中、射手であるアリスへと注意を向けると―――

 

 

「……すごいです。アリス、この武器を装備します!」

 

 

 ―――彼女はケロッとした様子で、スーパーノヴァMk.Ⅱを構えたまま目を輝かせていた。

 

 

「おい、安全装置はどうした安全装置は」

 

「こ、個人携行を想定してなかったから想定外だよこれは」

 

 

 場のほぼ全員が呆然とする中、施設に大きなダメージが発生したこともあり、生徒会役員として冷静に開発者のウタハを〆るリツコ。

 胸ぐらを掴まれて命の危険を感じながらも弁明するが、ウタハの言うようにスーパーノヴァMk.Ⅱを個人で持つなどイレギュラーな事態であるため、彼女の言い分はまあ分かるというもの。

 

 

「それで、どうするんだよ」

 

「言った手前、約束を反故にはできないよ。安全装置の増設と携行武器としての小改造を施して彼女に与えるつもりさ」

 

「大丈夫かね……」

 

 

 締め上げる手を緩め、不安げにアリスをちらりと見るリツコ。

 今の射撃で彼女の身体能力の一部がより明らかになったわけだが、はっきり言って人間サイズのパワードスーツみたいなものだ。

 レールガンの運用すら可能な、決戦的存在になりうるもの……精神レベルと比較して、あまりにも身体スペックが高すぎた。

 

 

「さてアリス、約束通りそれは君のものだが……一つ、恐縮だが頼みを聞いてくれないだろうか?」

 

「?」

 

「スーパーノヴァMk.Ⅱは君のものだが……我々が大金をかけて建造したのもまた事実。せめて戦闘運用データを取らせてもらえないだろうか」

 

「う、ウタハ先輩、それってつまり……」

 

「ふふっ、察しが良いねミドリ。君たちの好みに合わせて言うならば―――」

 

 

 ウタハの言葉、その意味を察したミドリが顔を歪める。

 それを肯定するように、ウタハは薄笑いを浮かべて一呼吸置き―――

 

 

「―――我々の試練を乗り越えたまえ!」

 

 

 ―――力強く宣言した。

 

 

******************************************************************

 

 

「それで、どういうことなんですか?」

 

”うーん、これは説明をしてもらおうじゃないか”

 

「……ちょっとした事故さ」

 

 

 ウタハを前に仁王立ちして説明を乞うのはユウカと『メタルウルフ』もといマイケル。

 スーパーノヴァMk.Ⅱの砲撃で天井が吹き飛ぶという事態は、実験中の事故が多発するミレニアムサイエンススクールといえど異常であった。

 セミナー会計であるユウカは被害金額算出のために駆けつけ、エンジニア部に『メタルウルフ』を持ち込もうとしたマイケルと道中合流し、こうしてウタハを二人して問い詰めている。

 天井に空いた大穴、アリスが持つ大型の電磁投射砲、そこから導き出される答えは明白だが、ここで問題が一つ発生していた。

 

 

「それにあの子、確かに学籍はあるみたいですけども何時入ってきたんですか? 私、ミレニアムの全生徒覚えているつもりでしたけども」

 

 

 ユウカはリオやリツコの企みを一切知らないため、見覚えのないアリスに対し疑念を抱いたのだ。

 確かに手続き上正式な学生として登録されてはいるのだが、実態は裏口入門もいいところであり、アリスの存在そのものはともかくその正体について不明である以上大っぴらにするわけにも行かず、実態を知るのは拾ってきたゲーム開発部と対応にあたった特異現象捜査部、会長副会長のみ。

 

 

「昨日付けでな、今日が初登校なんだよ。それで学園を案内していたんだが……」

 

「なるほど、そうでしたか。部活は決まっているんですか?」

 

「ゲーム開発部だ。本人の強い意向でね、確認はきちんとしたよ」

 

「嘘……まさか本当に新入部員が?」

 

「ああ、それとちゃんと改定した規約は伝えたからそこは心配するな」

 

 

 故に、カバーストーリーに事実を交えて誤魔化す他ないのだ。

 実際、アリスは自分の意志でゲーム開発部に所属することを決めたし、証人だってちゃんといる。

 たとえ根底が偽りであっても、事実で覆い隠せばそれは外からではわからない。

 結果として、ユウカはアリスを転入生として認識したのであった。

 

 

「先輩、処分品のドローンとロボットの準備は終わったよ」

 

「試験場、電磁バリアの展開用意OKです! スーパーノヴァMk.Ⅱの直撃でも壁に穴が空くことはありません!」

 

 

 ウタハの背後ではエンジニア部の2人が()()の段取りを終え、報告する。

 部室の奥にあるもう一つの部屋、兵器クラスの発明品の安全な試験のために必要な完璧な防御性能を誇る密室、それが試験場。

 並べられたドローンやスイーパータイプのロボットは、違法品としてセミナーからエンジニア部に解体処分を依頼されていたものであったが、どうせ解体するならと全機持ち出されていた。

 数にして30ほどであり、一般的な生徒が1人で相手をするのはかなり厳しいものであったが、アリスは自信満々といった様子でスーパーノヴァMk.Ⅱを構えている。

 

 

「アリス、戦闘準備完了です!」

 

「試験前にチュートリアルを一つ挟んでおこうか。スーパーノヴァMk.Ⅱは2つの射撃モードを備えている。手元のスイッチ一つでレールガンモードからハイレーザーモードに変化するから、まずは切り替えてみるんだ」

 

 

 アリスにスーパーノヴァMk.Ⅱの使い方をレクチャーするウタハ。

 言われたとおりにスイッチを押すと、筐体が開いた後に弾倉が収納され、その後ろから発振器が現れて砲身へと接続される。

 

 

「これがハイレーザーモード。ハイレーザーは貫通力と威力が高いが、バッテリーの消費も激しい。レールガンはノンチャージではそこそこの速射が効くし、チャージすれば高い威力での砲撃も可能だ。戦況に合わせて切り替えて使うんだ」

 

「おぉ……これは上級者向けのテクニカルな武器なのですね」

 

「あの、ところで……なんでレールガンにレーザー砲をくっつけたの?」

 

 

 レクチャーを横から聞いていたモモイは、ふと疑問を口にする。

 レーザーとレールガン、合体させて意味があるような組み合わせではない。

 

 

「ふふ、それは愚問だよモモイ。複合武装はロマンということさ!」

 

「うわあっ! やっぱバカだ! 頭のいいバカの集団だ!」

 

 

 それをロマンと言い切るウタハに、思わず叫ぶモモイ。

 様々な奇天烈な発明を繰り返すエンジニア部の評価は、彼女の言葉の通りであろう。

 

 

「さて、チュートリアルはおしまいだよアリス。此処から先は、スーパーノヴァMk.Ⅱの初実戦だ。存分に戦いたまえ!」

 

「はい!」

 

 

 話はそれたものの、レクチャーが済んだ以上はアリスを何時までも待たせるわけにはいかないと試験の開始を宣言する。

 同時に、左右に別れて挟み撃ちしようとする武装ドローン。

 まっすぐ突っ込んでくるスイーパーが目くらましとなり、アリスはどれから倒すべきなのか目移りしてしまう。

 

 

「右ー! 右からくる! 右だー!」

 

「左のドローンのほうが早く射程に入るよ!」

 

「うわーん! 外野(指示厨)がうるさいです!」

 

 

 モモイとミドリのノイズ、もとい声援に集中力を削がれたアリスが泣き言を言う。

 そうしている内に左右合わせて10機のドローンがアリスを射程に収め、銃撃を浴びせかけた。

 

 

「痛っ、いたた、痛い、けど……!」

 

 

 全身を銃弾で打ち据えられながらも、アリスの身体は倒れない。

 青い瞳がドローンを睨みつけ、スーパーノヴァMk.Ⅱの砲口を向けてトリガーを引く。

 ノンチャージ(最低出力)で発射された砲弾は、それでも尚ドローンを真っ二つに粉砕した。

 

 

「アリスは負けません!」

 

 

 続けて、その場から一歩も動くこと無く一発一発正確な狙いでドローンを撃ち落としていく。

 粉々になったドローンの残骸が降り注ぐ中、アリスの狙いは残る20体のスイーパーに向けられて即座に引き金を引くが、発射システムはうんともすんと反応しない。

 スーパーノヴァMk.Ⅱのレールガンの装弾数は10発、丁度弾切れだ。

 

 

「!!」

 

 

 初めて使うということもあり、装弾数を考慮していなかったアリスは驚愕に目を見開く。

 だが、同時に先程のチュートリアルを覚えていたこともあり、次の行動に移るのは一瞬。

 

 

「……魔力充電、100%!」

 

 

 スイッチを切り替え、ハイレーザーモードに。

 発振器がシステムに繋がり、コンデンサに貯められた大容量のエネルギーは直ちに変換されて増幅されていく。

 青白い光が砲口から漏れ出し、その先にはスイーパーの群れ。

 ためらうこと無く、彼女はトリガーを引いた。

 

 

「光よッ!」

 

 

 船乗りを美声と歌で惑わす怪物セイレーンがいるとすれば、この轟音は彼女の悲鳴に似つかわしい。

 悲鳴を耳にしたものは、何人も逃れることはできない。

 そして何より、駆ける光線は手を伸ばしそうになるほど美しいものだった。

 

 

「おおっ!」

 

「ま、まぶしいっ」

 

 

 歓声を上げるコトリの横で、目が眩むユウカ。

 光が収まった後、20体のスイーパーの全ては完膚なきまでに破壊され、それだとわかる残骸が残ったのはその半数以下でしか無い。

 まさしく圧倒的な破壊の力といえよう。

 

 

「パンパカパーン! アリスの勝利です!」

 

「これがスーパーノヴァMk.Ⅱの真の力……見事だよアリス。認めよう、君の力を。今この瞬間から、君は剣の主だ」

 

 

 無邪気に喜ぶアリスに、手をたたきながら近づくウタハ。

 彼女としても、スーパーノヴァMk.Ⅱの実戦データが取れたのが嬉しいのだ。

 

 

”これはすごい、あのサイズで強力なレーザー砲か……”

 

「ふふふ、先生を驚かすことが出来たようで何よりだ。下半期の予算の80%をかけた甲斐があるというものだね」

 

「80%!? ちょっとウタハ先輩、特別予算2億だけに飽き足らずそんなに使い込んで―――」

 

「しまった、ユウカが居る時に金額の話をするべきではなかった」

 

 

 そしてマイケルはというと、武器としては小ぶり*1なはずのスーパーノヴァMk.Ⅱが放ったレーザーの威力に素直に驚いていた。

 無論、威力という点で言えば彼の世界における各種兵器、ついでにその技術によって生まれたカイザーの大型兵器には劣るが、サイズ比という観点で見れば一番高威力と言える。

 眼の前の少女がそれを作り上げたと知れば、驚くのは当然だろう。

 それを称賛と受け取ったウタハは誇らしげにアピールするが、そこに予算額が上げられればセミナー会計たるユウカは黙っては居ない。

 これを完成させるために2億円の特別予算を出して『ドロシー』を買い取っているのだから、余計に文句の一つも言いたくなるというもの。

 ウタハはユウカの激詰めにたじたじとなってしまい、話す相手が居なくなったマイケルに近づくのは、真剣な表情を浮かべるリツコであった。

 

 

「先生、アリスだが……スーパーノヴァMk.Ⅱの砲撃を最低出力とは言え10連射し、更に被弾した負傷はもう治っている。握力は推定1トン、外装はタンパク質を模したナノマシンか? とにかく、普通のアンドロイドとは言えないだろうな」

 

”アレを見ただけでそこまでわかるのか?”

 

「私はハードウェア方面じゃリオより上だって自負があるんだが?」

 

 

 アリスの性能を見ただけである程度の数値を算出し、自慢げにふんすと鼻息を鳴らす。

 しかし、直ぐに表情を引き締めてもう一度アリスの方へと視線を動かした。

 

 

「もう少し、アリスの精神面のテストをしてみたいところではある。ドローン相手じゃ軽くトリガーを引いたが、対人ではどうか……」

 

”……レールガンとレーザーを、生身の人間に?”

 

 

 まさかの対人試験をしたいと言い出すリツコに胡乱な目を向けるマイケル。

 彼女に()()があるからか、ニューヨークの戦いを思い出してしまったのだ。

 市街地制圧用の無人兵器のテストのために、800万の市民をモルモットのように扱った悪逆非道なクーデター軍の計画は彼の手によって粉砕されたものの、決して少なくない被害が出てしまった苦い記憶。

 勿論、リオから依頼されている以上、アリスの正体を知るためにテストすること自体は文句はないのだが……

 

 

「心配無用、戦うのは当然私がいく」

 

”……huh?”

 

 

 しかし彼女は、自分がターゲットになると言い切った。

 正気を疑うものであったが、彼女の目は本気と書いてマジなもので、冗談は一切含まれていない。

 しかし、彼の心配は杞憂というべきであり、キヴォトス人ならばレールガンの最大出力の直撃でも気絶か満身創痍で済むし、ハイレーザーもキヴォトス人を蒸発させるだけの出力は発し得ないように、ウタハはリミッターを掛けていた。

 

 

「アリス、ちょっと私と戦ってみようか」

 

「や、野生の魔王が現れました……」

 

 

 というわけで、スーパーノヴァMk.Ⅱを手にご満悦なアリスに挑戦状を叩きつけるリツコであったが、2度もモモイを拳骨一発で沈めている彼女を見ているアリスは当然というべきか恐れおののいた。

 

 

「仲間と組んでも全然構わんからな?」

 

「ならば、我が仲間と共にこの試練を乗り越えてみせよう―――!」

 

「な、なんで私達まで副会長と戦わないと行けないの!?」

 

 

 しかし、タイマンではなくそっちは仲間引き連れてOKだぞと言えば、アリスは即座にモモイとミドリを引っ張ってくる。

 リツコの実力は見たことがない彼女たちだが、それでも話に聞いたことぐらいはあるもので、故に2人は顔を青くした。

 特にモモイは、先程2発叩き込まれた拳骨の被弾箇所がまだジンジンと痛むこともあり、とてもではないが乗り気にはなれなかった。

 

 

「ンフフフ、ハンデで銃を1丁だけにしてやろう。お前たちだって勝てるかもしれんぞ?」

 

 

 リツコの言葉に、モモイの表情が固まる。

 

 

「3対1、さらにこっちは銃を半分にする。これで勝てない奴なんて居るかぁ? それとも、怖いのか?」

 

 

 明らかに挑発、しかも舐めプ宣言付きときた。

 そして、2度もぶん殴られて黙っていられるような性格をするモモイではなく、瞬間沸騰する彼女の理性。

 

 

「ミドリ! アリス! 副会長はっ倒すよ!」

 

「お、お姉ちゃん!?」

 

「わあ、モモイがやる気です!」

 

 

 愛銃『ユニーク・アイデア』の安全装置を外しながら吠えるモモイ。

 ミドリは姉の暴走を制止しようとして果たせず、アリスはやる気満々だと誤認し喜んだ。

 そして―――

 

 

 

 

「誰が副会長なんか、副会長なんか怖くないぞぉぉぉぉ! ぶちのめしてやるぅ!!!」

 

 

 

 

 ―――目を血走らせながら、モモイは1人リツコに向けて突っ込んでいった。

 

 

******************************************************************

 

 

 マイケルの視線の先、電磁バリアで保護された強化ガラスの向こうでは、頭に血が上ったモモイが小さな身体ながらリツコに対し近接格闘を仕掛ける勢いで飛びかかっている。

 ゲーセンで対戦相手へのリアルファイトを仕掛ける時もこの様な感じだと知るのは、この場ではミドリのみ。

 一方でリツコは軽くモモイの飛び蹴りをいなし、空いた左手で腕を掴むと蹴りの勢いを逆に利用してくるりとその場で一回転、モモイの身体をアリスの方へとぶん投げる。

 

 

「うわあああっ!? げふっ!」

 

「わあっ!?」

 

「お姉ちゃん! アリスちゃん!」

 

 

 空中で姿勢制御できるわけもなく、アリスに……というよりも、咄嗟に盾にしてしまったスーパーノヴァMk.Ⅱにぶつかり、潰れたように息を吐き出すモモイ。

 予期せぬ激突に踏ん張りを忘れ、思わず尻餅をつくアリスであったが、ミドリがその隙をカバーするかのように『フレッシュ・インスピレーション』を構えて牽制射撃。

 だが、リツコはわずかに身を捩っただけで全弾をかわし切ると、右手の『リツコスペシャルR』をミドリへと向ける。

 

 

「どうした、もっと狙わないと当たらないぞ!」

 

「わわっ!?」

 

 

 指切りバーストでの3点射、原型のAR-15からより切り詰めた短銃身から放たれた弾丸は、ミドリが隠れる遮蔽物を大きくえぐり、破片を飛ばす。

 微細な破片が顔を叩き、ミドリは泡を食って頭を下げた。

 

 

”……3対1、さらには武装縛りであっても全然相手になってないな”

 

「そうだろう? リツコより生身で強い人間はこのミレニアムでは1人しか居ない」

 

”1人でも居るのが驚きなんだが?”

 

 

 安全地帯からその戦いを眺めつつ、マイケルは素直にリツコの戦闘能力に感心する。

 やはりと言うべきか、普通にフィジカルが凄まじいのだ。

 彼女の持つ銃はAR-15のショートピストルカスタム、所謂パトリオットと呼ばれるものだが、それに100連マガジンを装着した極めてフロントヘビーな代物。

 バッファーチューブに重しとして切断されたストックを装着しているが、肩につけるわけでもなく、ピストルブレースとして固定するわけでもなく、彼女は純粋に膂力だけで片手撃ちをしている。

 しかも、先程の様子を見るにセミオートだけでなく連射も制御し、ついでに言えば本来は2丁で使っているというのだから凄まじいというものだ。

 そして、そんな彼女より強いと言える人物がこのミレニアムに一人いるとウタハは言う。

 その事実には、素で驚くほかなかった。

 

 

「う、うわーん! 魔王リツコが強すぎます!」

 

 

 視線をウタハから試験場に戻すと、アリスがスーパーノヴァMk.Ⅱを盾にリツコの猛攻をしのいでいる。

 白亜の筐体は極めて頑丈に作られており、5.56mmライフル弾を受けても傷一つなく、アリスの身体を見事に守っているが、逆に言えば武器としては使えていない。

 

 

「こなくそー!」

 

「ンフ、フハッ! 単純、単純だ!」

 

 

 アリスを援護するために遮蔽を飛び出し、突撃を敢行するモモイ。

 走りながら引き金を引くが、安定性のない射撃はリツコに掠ることもなく再び近接格闘のレンジに踏み込んだ。

 

 

「ううっ、モモイが邪魔で狙えません」

 

「お姉ちゃん! 距離を取って!」

 

 

 モモイの突撃で自由となったアリスはスーパーノヴァMk.Ⅱを構えるが、モモイとリツコが入り乱れているせいで迂闊に引き金を引くことが出来ないでいた。

 もし彼女が躊躇なく撃てばモモイを巻き込むだろうが、リツコに命中させることは可能だろう。

 しかし、彼女はモモイを傷つける選択を()()()()()()

 

 

「ふーむ、なるほど……リツコの狙いはそれか」

 

「……副会長がただ弄んでいるようにしか見えないんですけど」

 

「そうかい?」

 

 

 モモイのがむしゃらな攻撃を軽くいなすリツコ。

 その様子を見てウタハが一言漏らすと、それ聞き逃さなかったユウカが問う。

 予期せぬ質問に彼女はユウカにどう返すべきか、少なくともアリスがアンドロイドということはまだ秘密にしておくべきだろうと考える。

 

 

「……アリスの性格面を見ているんだよ。ほら、モモイが邪魔で撃てないでいるだろう?」

 

「そうですね、モモイが副会長に絡んでいる限り……あっ」

 

「気づいたようだねユウカ。リツコの実力ならモモイを叩きのめす事くらいは容易いのに、あえて時間を掛けている……アリスに選択を強いているんだ」

 

 

 ウタハの指摘にユウカはハッとする。

 モモイはかなり暴れまわっている生徒ではあるが、体力や技能は治安組織である保安部の生徒に劣るわけで、リツコからすれば実力は数段下だ。

 にも関わらず、彼女は攻撃を牽制以外では能動的に行わず、意図してモモイをアリスとの間に置き続けることでアリスの攻撃を抑止していたのだ。

 

 

「あの子がモモイごと撃つか、確認したかったんだろう」

 

「そんな乱暴な……」

 

「だが、手っ取り早い。こういうのはヒアリングとかではわからない所もあるだろうからね」

 

 

 モモイが突き飛ばされ、射線が開く。

 すかさずアリスはトリガーを引き、コンマ数秒のラグの後にレールガンが放たれたが、リツコはわずかに身体を動かしただけで回避した。

 まさか避けられると思ってなかったアリスは衝撃で動きが固まり、リツコはそこを見逃さずに3点射を浴びせかけるが、命中こそすれど致命打には至らない。

 

 

「ふざけやぎゃっ!?」

 

「モ、モモイ!」

 

 

 すかさず愛銃で殴りかかったモモイであったが、体格、膂力の差は如何ともしがたく、余裕で受け止められた上に左手で顔面を掴まれてしまう。

 ギリギリと締め付けられる痛みに銃を手放し、引き剥がそうと両手で抵抗するものの、まるで万力であるかのようにリツコの左手はびくともしない。

 そして、リツコは掴んだモモイを盾にするようにアリスへと向けた。

 

 

「ひ、卑怯だ!」

 

「フハハハ、卑怯だから勝てないって言うつもりか?」

 

 

 ミドリの非難を一蹴し、段々と距離を詰める。

 迫るモモイの背中、リツコは笑いながらミドリへの牽制射撃を繰り返し、頭を出させない。

 

 

「さあ、どうする勇者よ! 諦めて降参するか?」

 

「アリスは……」

 

「あぐぐぐぐぐっ」

 

 

 迫る魔王、対峙する勇者、ついでに囚われのプリンセス*2というシチュエーションはアリスの好みと合致するが、それを実際にやるとなると中々に辛いものがあった。

 RPGゲームとは違い、行動は提示されない。自分で決めねば始まらないのだ。

 プリンセスを救い、魔王を倒すために勇者アリスが選ぶのは―――

 

 

「アリスは諦めません! 光の剣よ!」

 

「なっ……その銃身を、振り回せんのかよッ!?」

 

 

 ―――その瞬間、光の剣:スーパーノヴァMk.Ⅱは銃ではなく、間違いなく剣であった。

 リツコを遥かに上回る膂力で振り上げられるその砲身に、彼女は驚きを隠せない。

 一瞬、彼女の視線はスーパーノヴァMk.Ⅱに釘付けとなり、ミドリは完全なフリーとなる。

 そして、それを見逃すミドリではなかった。

 

 

「お姉ちゃんを離せ!」

 

「!」

 

「ふぎゃっ!」

 

 

 リツコの左手首を狙い、引き金を引く。

 放たれた銃弾は狙い通りに彼女の左手首に当たり、その衝撃でモモイの顔面を掴む左手が僅かに緩む。

 結果としてモモイはようやく拘束から開放されたが、予期せぬことでもあったのでバランスを崩し、その場に尻もちをついた。

 同時に、リツコの眼の前にフルスイングされたスーパーノヴァMk.Ⅱの砲身が迫ってくる。

 

 

「―――オォッ!」

 

 

 足元にモモイがいるため後ろに飛び退いて回避することも出来ず、かといってもろに直撃を受ければ流石に骨が折れそうな質量であるため、リツコがとれる手段は多くはない。

 咄嗟に銃を手放し、砲身の下に潜り込みながら、殴りつけるように両手でスーパーノヴァMk.Ⅱの軌道をずらしていく。

 

 

「嘘でしょ……!?」

 

「そんな……!?」

 

 

 そして彼女は、両手を赤くしながらもスーパーノヴァMk.Ⅱによる一撃をかわし切る。

 渾身の一撃を回避されたアリスが驚愕に目を見開き、ミドリも信じられぬものを見たと言わんばかりにあんぐりとした。

 モモイに至っては顔面を締め付けられた痛みで半泣き状態であり、そもそもアリスが殴打してきたことに気づいていない。

 3人が完全に隙を晒す中、リツコは―――

 

 

「……はぁ、終わりだ終わり。手が痺れて銃が持てない、降参だ」

 

 

 ―――両手を上げて降参する意思を示した。

 

 

******************************************************************

 

 

「……えっと、それで副会長に勝った、でいいの?」

 

「舐めプされて、しかもほとんど無傷のギブアップなんて認められるわけ無いじゃん!」

 

「ひえっ」

 

 

 アリスの学園見学が終わり、時刻は夕方、午後4時を回る頃。

 部室に戻ったゲーム開発部の面々は非常に疲れた様子で床に座り込むと、唯一居残りしていたユズに今日の出来事を話したモモイであったが、ユズがおずおずとリツコとの戦闘結果について問うと怒りを爆発させた。

 2発の拳骨を喰らい、挑発され、舐めプされ、挙げ句にアイアンクローを食らった怒りの炎はいまだ彼女の中でメラメラと燃えていた。明後日辺りには鎮火してそうではあったが。

 

 

「お姉ちゃん、終わったことを今更言っても仕方ないよ。それに、『テイルズ・サガ・クロニクル2』を開発する準備をそろそろしないと」

 

「ミドリの言うとおりです! 冒険は終わり、次の冒険のための準備をしなければいけません」

 

「むむむ……」

 

 

 そもそも、『テイルズ・サガ・クロニクル2』を作ってミレニアムプライスに出品し、入賞せねばゲーム開発部の存続は不可能である。

 優先順位のトップが何かなど、ミドリが言うまでもなく明らかだ。

 モモイも理性でそこは理解しているので、不満ながらもこの場での矛を収めた。

 

 

「……『テイルズ・サガ・クロニクル2』を作るにはやっぱりG.Bibleが必要だよね」

 

「お姉ちゃん、まだそれにこだわってるの?」

 

「だって、神ゲー作るにはそれしかないでしょ!」

 

 

 では『テイルズ・サガ・クロニクル2』を作るためにはどうすべきか、となればモモイは強くG.Bibleの入手を主張する。

 伝説的ゲームクリエイターの作った手引書なるそれが無ければ、神ゲーを作れないのだと。

 クソゲーランキング1位を作ってしまった手前、それを否定することは彼女たちにはできない。

 

 

「でも、そのためにまた廃墟に行くのは怖いな……ロボットが一杯だったし」

 

「そこはほら、先生といっしょに行けば問題ないというか?」

 

「そういえば、先生はいつの間にか居ません。部屋に入るまでは居たと思ったのですが」

 

 

 廃墟に行くことを渋るミドリに、マイケルが入れば大丈夫だと説得するモモイ。

 先生の名が出たことでアリスは周囲をキョロキョロと見回す。

 部室棟まで一緒に居たはずが、いつの間にか居なくなっているマイケルの姿を探そうとロッカーを開けたりするが、その姿はどこにもない。

 首を傾げるアリスであったが、同時に部室にモニターをつけた一体のドローンが入ってきた。

 

 

「な、なにこれ」

 

「……もしかして」

 

 

 一瞬の沈黙、するとモニターに電源がONになり、映し出されるのはマイケルの顔。

 かなりのどアップで、輪郭もなく目と鼻と口しか画面に映ってはいないのが笑いを誘うが、モモイとミドリはなんとか大笑いするのを堪えることが出来ていた。

 

 

”やあ、悪いね。ユズが怖がらないようにドローンを借りてきた”

 

「あっ……」

 

”自己紹介が遅れたが、私が連邦捜査部S.C.H.A.L.Eの顧問、マイケル・ウィルソンだ。ゲーム開発部の依頼により、君たちの手伝いをさせてもらうことになった”

 

 

 1輪自走式で、ドア開閉用の手がついたドローンはモーションキャプチャーを使っているのか、ユズにそっと手を差し出す。

 その意図を理解したユズであるが、ドローンとは言えその向こうに人の意志が存在すると思うと、その手を取る勇気はいまだ持てなかった。

 

 

”……hmm、まあ無理はしないでいい。G.Bibleを取りに行くんだろう? 少なくとも、そこまでは手伝うと言った以上は最後まで付き合うつもりだ”

 

「やった! 先生が居てくれるなら安心だぁ!」

 

 

 ユズの怯えを察して手を引っ込めるマイケルであったが、手を引っ込めるところに残念さを出さないように身振りを追加し、話を引っ張っていく。

 G.Bible捜索、少なくともここまでは手伝うと明言した以上は、反故にはできないということを伝える。

 彼の協力を得られると明らかになり、モモイは飛び跳ねて喜びを露わにした。

 

 

”それで、何時行くつもりなんだ?”

 

「うーん、これ以上遅くなると日が暮れそうだからすぐ行きたいんだけど、どうかな先生」

 

”……少し待ってくれ、セミナーやエンジニア部の予定と被っていないか確認する”

 

 

 直ぐにでも出発したいというモモイであったが、流石にそれに即答するのは避けざるを得ない。

 何故ならば―――

 

 

「……これは困りましたね、まさかG.Bibleの在処と『ケセド』の所在が同一だったとは」

 

『そうね、アリスの能力や精神性の把握について大きく進展はあったけれども、ここで『デカグラマトン』とアリスの問題がコンフリクトを起こすなんて』

 

 

 マイケルの隣でホログラフィによって描写される廃墟の地図を見ながら困り顔をするのは、ヒマリ。

 その後ろにはエイミがおり、モニターを通じリモートで参加するのはリオとリツコ。

 ここは特異現象捜査部の部室、マイケルはゲーム開発部が部室棟に戻るまでの間にヒマリに呼ばれ、こっそり抜け出してやってきていた。

 

 

『先生、ゲーム開発部を止めてもらえないかしら。今廃墟に出向くのは危険よ』

 

”そうはしたいんだがね、その……言うことを聞いてもらえるのかわからない”

 

『先生の危惧は正しい。あいつらに残された時間は多くない……密かに再び廃墟に入る可能性は考えられる』

 

『……』

 

 

 何故今こうして会議をしているのか、それは先日位置を特定した『ケセド』に対し、調査を兼ねた攻撃計画を実行するためである。

 廃墟の武器工場でロボット軍団を作り続ける『ケセド』への対策は、ミレニアムの安全のためを考えると一刻も早く実行する必要があり、リオとしては1秒たりとも無駄には出来ない。

 そこに廃墟へ潜り込もうとするゲーム開発部の話が飛び込んできたとなれば、止めてくれとマイケルに頼むのも当然のことといえた。

 しかし、問題児たるゲーム開発部がマイケルの言う事をきちんと聞くかと問われると……はいと素直に言えないところではあった。

 

 

「リオ、貴女はそうやって問題から他人を遠ざけ、自分で解決しようとするのは悪い癖だと以前伝えたと思いましたが」

 

『……能力のあるものが秩序を維持し、問題を解決するのが一番合理的なのよ。私は3年前にそう学んだの』

 

『……』

 

「それは思い上がりというものですよ。世の中には”二人で知恵を絞れば、よい思案も浮かぶ(Two heads are better than one.)”という言葉もあります。たとえそれが羊の頭であっても(even if the one’s a sheep’s)

 

 

 問題へのあたり方についての口論を始める2人。そしてなんとも言えぬ微妙な顔をするリツコ。

 正確には一方的にヒマリがまくしたてる形ではあるが、しかしそうしている時間ですら惜しいというのが正直な所。

 勿論、マイケル個人としてはヒマリの主張は理解できるところではあるし、賛同もできる。

 能力あるものが支配する社会というのは、名前を変えた貴族社会に他ならない。

 彼はそれを阻止するために命がけで全米を駆け回ったのだ。

 

 

『ねえ先生、どうなの?』

 

”……いまセミナーが立て込んでるんだ、もう少しだけ待ってくれ”

 

 

 返答が遅いことを訝しんだモモイの催促に、とりあえず嘘ではない答えを返す。

 それが口論の幕引きとなり、ヒマリは大きくため息をついた。

 

 

「……ゲーム開発部の子たちにとって、見えざるミレニアム全体の脅威よりも今目の前に迫る廃部の危機の方が優先されるのは当然のことです。ここは無理に止めるよりも、あの子達をうまく誘導すれば危険を回避しつつ目的を果たす事は可能でしょう」

 

『それができる人物は……先生だけ、というわけね。一刻を争う以上、もう動くしかない。投入するのはAMAS部隊とリツコ、エイミ……それと今回はC&Cの00と01を投入するわ』

 

”C&C?”

 

 

 止めたところで保証はなく、さりとて放置するわけにもいかず。

 ゲーム開発部の廃墟行きはマイケルの引率のもと制御した形とし、『ケセド』攻撃の余波に巻き込まれぬようにするという都合の良い形におさめることとなった。

 そして、『ケセド』攻撃のための部隊を告知するリオであったが、マイケルはその中に含まれる知らぬ単語に首を傾げた。

 

 

『先生は初めて聞くか。C&Cってのは正式名称Cleaning&Clearing、ミレニアムの誇る特殊エージェント集団だ。00と01っていうのはナンバー持ちで、この2人は極めて腕利きでな。リオや私とも付き合いが長い』

 

”なるほど、わかった。それと確認だが、君たちが先行してゲーム開発部は私が引率しながらゆっくりと後をつける。ただし、君たちがピンチとなれば私も参戦する、それでいいんだな?”

 

『その認識で間違いないわ。では、作戦開始は1800……作戦名はそうね、『()セド』の『調()査』だから『ケチ作戦』とかどうかしら』

 

 

 リツコの解説でおおよそ理解したマイケルは、確認のために作戦の流れを口にした。

 認識の齟齬はないのが確認できたため、リオは頷き最後に作戦に名をつけるが―――

 

 

「……会長のネーミングセンスってよくわかんないよね」

 

「デザインセンスも疑う所ですよ、エイミ」

 

『……私から言うことはないぞ』

 

”ノーコメントで”

 

 

 場の全員が呆れ果てるそのセンスは、アロナのそれに匹敵するものであった。

 そして彼は大きくため息を付き、ゲーム開発部にこの回答を示すべくマイクのスイッチをオンにする。

 

 

『あ、先生、どうだった?』

 

”ああ、そうだな―――”

 

 

 ゲーム開発部に詳細を省きながら説明をするマイケル。

 少なくとも、夕食をゆっくり食べる時間はなくなりそうであった。

 

 

To be Continued in ChapterⅠ-Ⅳ ”ARIS's KEY(アリスの鍵)

 

*1
特殊機動重装甲基準である

*2
多分きっと、メイビー




 スーパーノヴァMk.Ⅱのハイレーザーモードの発射音は『カァオ!』となっております。

メカニック名鑑
名前:光の剣:スーパーノヴァMk.Ⅱ
分類:複合型電磁投射光線砲(ハイブリッドレールガン)
製造:ミレニアムサイエンススクールエンジニア部
エンジニア部が宇宙戦艦の主砲として制作した電磁投射砲である光の剣:スーパーノヴァを『ドロシー』の解析で得られた各種技術を組み込み、改良したもの。
バッテリーと冷却システムの増設で重量が増したが、元々艦載砲であるために問題しされなかった所をアリスが手持ちで運用し始めたため、この部位の軽量化が喫緊の課題となっている。
破壊力は絶大で、ハイレーザーモードかフルチャージのレールガンの射撃はカイザーの大型兵器を一撃で屠ることが可能である。
また、システムとして独立しているため『メタルウルフ』といったパワードスーツもやろうと思えば運用は可能だ。
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