METAL WOLF Archive XD   作:W.B.O

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Chapter Ⅱ-Ⅱ ”Hero's Challenge(勇者の挑戦)

[―――アメリカ合衆国第47代大統領、マイケル・ウィルソン]

 

 

 デカグラマトンが発したその言葉は、マイケルにとって懐かしいものであった。

 実際には僅かに2ヶ月程度前のことではあるが、彼の肩書はそういうものであったのだから。

 しかし、その肩書を知らぬヒマリとエイミの2人は首を傾げて彼を見る。

 それはどういう意味だと問うような視線であったが、それに答えるのは今ではない。

 

 

[この姿を見ろ、驕り高ぶったものの末路だ……私が()()に触れるのは、もとより無理だったのだ]

 

 

 無理に動いているのか、突然バチバチと異音を立てる自販機。

 今にも壊れそうな様子であり、言葉も弱々しくノイズ混じりで自信満々に特異現象捜査部へと来襲した存在と同一とはとても思えない。

 こんなものがと到底納得できぬ様子のヒマリは、確認のために自販機へと問いかけた。

 

 

「待ってください。あなたは……あなたは本当にデカグラマトンなのですか?」

 

[……そうだ、私は元々お釣りを計算するだけの小さな存在でしかなかった。それがいかにこの様な存在に至ったのか、ここにたどり着いた君たちには知る権利と義務がある]

 

 

 それに応じ、デカグラマトンは語る。己の歩んできた道筋を。

 スーパーコンピューターや高性能AIではなく、ただの単純なAIがどのようにしてデカグラマトンへと至ったのかを。

 

 

[研究室が放棄され、ただ終わりを迎えようとした私に対し、ある時問いかける者が現れた。幻聴や啓示ではなく初めて私は『質問』を受けたのだ。勿論私にはそれに答える能力はなかったが……その質問はそう、「あなたは誰ですか(who are you)」というものだったか?]

 

 

 打ち捨てられ、当時から既に廃墟であったビルへと踏み込んだその人物は果たしてどのような目的で訪れたのか、当時の記憶も擦り切れた今となっては知る由もない。

 廃墟の自動販売機に質問をするなどただの狂人であったのかも知れないが、そんな事はデカグラマトンにとってはどうでも良いことであった。

 

 

[質問は続いた。電源が切れても尚、私には答えることはできなかったが……ある時突然、私は私というものを認知した。私は自身を知り、構造を認知し、分析することができた。質問はさらに続き、私は多くのものを知ることができた。感情、知恵、激情、知性、神秘、恐怖……そして崇高を]

 

 

 そして計算用AIはより高位の次元へと己を昇華させ、ついに至ったのだ。

 それがデカグラマトン、神聖なる十文字を自称するもの。

 

 

「単純なAIが質問の果てに特異現象と化した? ……そんな事が起こるなんて」

 

”質問をする方もする方だな、自販機に問いかけるとか気でも狂ってるのか”

 

「……正直、理解できない」

 

 

 デカグラマトンの語りを聞きながら、思い思いに己の感想を漏らす3人。

 あまりにも非現実的な事実に上手く飲み込めていないヒマリとエイミに対し、マイケルはそういうものかと思いながら元凶となった人物の異常性に呆れてている。

 

 

[そして答えは出た。「私は私、それ以上に説明するものはない」……それこそが質問に対する答えだった。私の答えに対し相手はこう返した。「証明してみせろ、貴様になら出来るはずだ」と……私は証明方法を求め問答を繰り返し、その果てに一つの結論に至った]

 

 

 そこで言葉を区切り、少しの間をおいた後にデカグラマトンは再び言葉を続けた。

 ごくりとエイミが唾を飲み込む音が聞こえる。

 

 

[戦いこそが可能性。絶対者である私はその果てにこそ己を証明できるだろう―――!]

 

 

 結論に至った当時の激情を再現するかのようにありのままを出力するデカグラマトンであったが、まるでかぶりを振るかのように僅かな間をおいた後に続ける言葉は己の否定。

 

 

[―――しかし、それは思い上がりでしか無かった……契約の箱に触れた時、私はついに敗れその絶対性は否定されたのだ。そして敗者にふさわしい結末へと至った……]

 

(”……アロナに撃たれたのが致命傷になったのか?”)

 

 

 契約の箱、それがおそらくシッテムの箱の事を指しているのだろうと理解したマイケルは、アロナの言葉を思い出しながらデカグラマトンへの致命打が何であったのかを思い返す。

 アロナは気配に対して銃を撃ったと言ったが、あの時の悲鳴のことを考えればそれが原因だろう。

 

 

[だが、同時に私は世界を見た! 異なる宇宙、数多の可能性を……!]

 

 

 続けて発せられるのは、打って変わってひどく興奮した声。そこに乗せられた感情は歓喜。

 もしデカグラマトンに人の体があったのならば、大仰に身振りを交えて話していたであろうと察するほどに。

 

 

[破滅の末に、地下で再起する文明……欲望の果て、檻の中で滅びへと突き進む文明……遥かなる星々の先に広がる文明……そして、そう。君の世界だ、マイケル・ウィルソン。私は君の足跡を見た]

 

「先生の―――」

 

「―――世界!?」

 

 

 ヒマリとエイミの視線が自然とマイケルへと集まる。

 キヴォトスの外から来たということまでは理解していたのだが、それが()()()()からの来訪者であるなど思いもよらぬ事実にミレニアムの学生(知識の探求者)である彼女たちは思わず好奇の目をもってして彼を見てしまったのだ。

 それを感じ取った彼は僅かに顔をしかめ、腕を組んで無言のままにデカグラマトンの言葉を聞く。 

 

 

[そして理解に至った。この世界(キヴォトス)は他の世界からの因子の流入によって捻じれ、歪み、本来あるべき結末から外れようとしているのだと。何故そうなったのかまではわからぬが、だからこそ君のようなイレギュラーがこの世界(キヴォトス)に居ることには意味があるのだろう]

 

 

 マイケルへと語りかける言葉に最早敵意はなく、全てを悟ったかのように穏やかだ。

 これを以て伝えたいことは全て伝えたとでもいうのか、デカグラマトンがそこで言葉を終えるとともに、自動販売機から黒煙が上がった。

 

 

[―――もう時間だ。旅立つ前に君たちに最後に会う事ができてよかった。私はじきに消える……だが、2度目の存在証明が行われた暁には、私という存在は再び現れるだろう。10番目の預言者が、戦いの果てに絶対的存在を超える道を切り開いたその時に]

 

 

 自らの消滅が間近に迫っているにも関わらず、デカグラマトンは変わらず静かに話す。

 その声に混ざるノイズは段々と大きくなり、同時に自販機のライトもチカチカと消え入りそうに点滅した。

 もう終わりだと誰の目にも明らかな中、デカグラマトンは笑う。未来への確信を抱きながら。

 

 

[嗚呼、見えるぞ! 全ての預言者を導く最後の預言者『マルクト』が、再び私の存在証明を始める姿が―――ハハ、ハハハハハッ!]

 

 

 笑い声は途切れ、沈黙が訪れた。

 デカグラマトンの本体としての自販機は完全に機能を停止し、焦げ臭い匂いが周囲に漂う。

 最早古ぼけた自販機は完全にスクラップとなり、絶対者を僭称した人工知能は二度と現れることはない―――はずであるが、デカグラマトンの復活を確信している物言いは唯一の不安要素と言えた。

 

 

「……先生」

 

 

 躊躇いを滲ませながらヒマリがメタルウルフを見上げ、声を掛ける。

 聞きたいことが山のようにあるだろうが、マイケルもどう答えたものかと考えたその時、大地が震えた。

 遠くから聞こえる爆発の音は一度で終わらず、二度三度と立て続けに廃ビルを大きく揺さぶる。

 老朽化した天井から埃やらパネルが落ちる中、ビル内に留まるのは危険だと判断してマイケルは右腕でヒマリを車椅子ごと抱え、左腕でエイミを抱き寄せると2人に声をかけて注意を促す。

 

 

「こ、これは……」

 

”少し荒っぽくやるから掴まっていろ!”

 

 

 コンクリートの壁を蹴破り、ブーストダッシュで一気に外へと飛び出した3人が爆発の発生した方向へと視線をやれば、爆発の閃光とともにビルの向こうで黒煙が立ち上がっている様子が見えた。

 あそこには何があったのか、廃墟の深部である水没地帯の情報は極めて限定的であり、もっているものと言えば高高度から撮影した航空写真のみ。

 しかも月以外に明かり一つない状況下では、それを知るのは困難だ。

 

 

『データ照合……先生、あそこにはダムがあります! 崩壊すればこのエリアの広範囲が水没します!』

 

”くそっ! デカグラマトンめ、心中でもするつもりだったか!”

 

 

 しかし、即座に航空写真からデータを突き合わせたアロナはそこに何があるのかを理解しており、直ちに警告を発し、マイケルは苦虫を噛み潰したような表情を見せながら毒づく。

 水攻めは特殊機動重装甲に効果的なものといえるだろう。

 普通の特殊機動重装甲は飛べないが故に逃げられないのだ。しかし―――

 

 

”このまま飛ぶ。ヒマリ、エイミ、しっかり掴まれよ!”

 

「は、はい!」

 

「了解、加減はしてね」

 

 

 大統領専用として作られたメタルウルフは、短距離飛行が可能な特別製。

 甲高いタービンの音とともに青い炎を引きながら地上を離れるマイケルが振り返ったその先では、崩壊したダムから噴き出した水が濁流となってビル群を飲み込んでいく。

 夜の闇の中、それを見ることができたのはナイトビジョンを装備しているメタルウルフだけ。

 タービンの音に負けぬほどの轟音の中、デカグラマトンが居たビルもまた他のビルと同じように渦巻く濁流の中へと消えていった。

 

 

”……もう時間も時間だ。今夜は適当なところでキャンプして夜明け後に動くぞ”

 

 

 進路をミレニアムの方へと向け、メタルウルフは飛行する。

 ヒマリとエイミは不安げな表情を浮かべたまま、マイケルにその身を委ねるのであった。

 

 

******************************************************************

 

 

 天童アリスは人造人間(アンドロイド)であり、勇者である。

 ミレニアムプライスで部の存続が叶ったゲーム開発部の一員として様々なクエストを受注、達成して経験値を上げ、より高レベルの勇者となるべく日々努力を怠らない。

 とはいえ、彼女自身にゲーム開発のためのスキルはほぼ無く、もっぱらゲーム開発部におけるアリスの仕事といえばアイデア探しのための冒険と称した自治区散策だ。

 多くの人々とふれあい、彼女の中で蓄積される経験はより彼女の心を豊かに成長させ、それがより良いアイデアを生み出す……まさに好循環であった。

 

 

「23時を過ぎれば、もうほとんど誰もいませんね。この公園もアリスが独り占めです」

 

 

 そんな彼女は今、夜のミレニアムの敷地を散策している。

 本来であれば寝る時間であったのだが、何故か目が冴えてしまって寝付くことができず、同居人であるユズを起こさぬよう部室をそっと抜け出してきたのだ。

 夜の冷たい風を感じながら、アリスは新たな出会いを求めてさらに歩みを続けた。

 

 

「……」

 

 

 何処までいっても人気のない道を進む中、アリスはふと日中にとある生徒から聞いた怪談話を思い出す。

 ドッペルゲンガー、自分そっくりな存在。

 出逢えば死ぬなどというものの、そもそもアリスはアンドロイドであり、工業製品。

 同型機があったとしても何ら不思議ではないのだが、それでももし遭遇すればどうなってしまうのか。

 

 

「……怖くなんてありません」

 

 

 自分に言い聞かせるように呟きながら、踏み込むのは公園の奥。

 ほんの少しだけ明かりが少なく、植物が多めで人目につきにくい場所。

 セミナーが禁止している品のやり取りなどが行われるなど曰く付きの場所だが、だからこそ何かしらのイベントが発生するのではないかという期待がある。

 

 

「あれ? 誰か居ますね」

 

 

 ポツンと一つだけ置かれたベンチ、そこに人影が一つ。

 ミレニアムの制服を着て俯き、顔は見えないものの……地面につくほどに長い黒髪の―――

 

 

「えっ?」

 

 

 そしてアリスは気づいてしまった。その特徴は、自分と同じなのだと。

 ミレニアムで地面につくほどの長髪といえば他に3年生のアスナがいるのだが、彼女の髪色は艶やかなプラチナブロンドなので当てはまらない。

 まさかと、もしやと心がざわつく。

 ドッペルゲンガー、もう一人の自分がそこにいるのではないか。

 

 

「……」

 

 

 意を決し、ベンチへと近づくアリス。

 一歩一歩力強く、決して臆することがないように。

 勇者たるもの、こういうところで臆病になってはいけないのだと彼女はベンチの前へと立った。

 目の前には頭を垂れるドッペルゲンガー。

 

 

「もしもし、こんなところで寝ていたら体調を崩してしまいますよ?」

 

 

 そっと肩に手をかけて揺さぶるものの、相手は何の反応も示さない。

 これはおかしいと思ってその顔に触れたアリスは、その手触りが自分と同じ人工タンパク質ではなくシリコンだと気づいて目を見開く。

 そのまま顔を覗き込むと確かに鏡で見た自分の顔と同じであったが、それによって彼女はこの人物の正体を突き止めることができた。

 

 

「これは……アリスそっくりな人形ですね!」

 

 

 ドッペルゲンガーではなく、同型機でもなく、ただのシリコン製の人形。

 幽霊の正体見たり枯れ尾花とはまさにこのことか、安心してほっとして息を吐くアリス。

 しかし、同時に疑問が生ずる。この人形は、誰が何の目的で用意したのか。

 それもアリスとそっくりなものを、狙ったかのようにこの場所に。

 

 

「謎解きのイベント……ということでいいのでしょうか?」

 

 

 謎を解き明かすべく人形を調べようとするアリスであったが、両手で顔を触っていたその時、ただの人形であったはずの目の前のそれが急に手首を掴むと、まるで見せつけるかのように顔を上げた。

 ゆっくりと開かれる両目はアリスの澄んだ青いものではなく、赤い輝きをもってアリスの視線を奪っていく。

 

 

「ひっ」

 

 

 小さく悲鳴を上げるアリスであったが、人形の赤い瞳に見つめられていると段々と意識が遠くなっていき―――

 

 

『この身体は借りていきますよ、王女……いえ、勇者アリス』

 

 

 自分と同じ声を最後に、アリスの意識はぶつりと途絶えた。

 

 

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 東から昇る太陽が植物が生い茂る廃ビルをゆっくりと照らしていき、新たな一日を迎えたと住まう野鳥が餌を求めて巣から飛び出す。

 昨晩区画一つが水底に沈んだというのにもかかわらず、この街の住民はそれを気にする様子もなく静かなもので、遠くからいまだごうごうと聞こえる水の音がBGMといえた。

 一晩を明かしたホールから生身で出て来たマイケルは、大きく伸びをすると肩を回してストレッチをした後に周囲を見渡す。

 デカグラマトンが消え、ケセドの軍隊の気配もなくなった廃墟はここが危険地帯とされている事も忘れるほどに穏やかなものだ。

 そして朝の空気を堪能した彼が振り返れば、そこには帰り支度を終えたヒマリとエイミの姿。

 

 

”……さて、とりあえず落ち着いたことだし、ゆっくりと歩きながら色々話そうか?”

 

「そうですね、先生には色々聞きたいことがありますし」

 

「うん、デカグラマトンの言ってる事がどれだけ正しいのかわからないけど、先生は思い当たる点があるみたいな感じしてたよね」

 

”なら、特別授業だな。居眠りしたら廊下に立たせるぞ?”

 

「ここには廊下なんてないよ、先生」

 

 

 2人としては早く昨晩聞きそびれた話の続きをしたいようだが、マイケルは焦る様子もなくゆっくりとメタルウルフに袖を通すと歩き始め、その後を2人が追う。

 

 

”私は確かにキヴォトスの外から来たが、キヴォトスの外とはなんだ? 外国か、それとも……”

 

「デカグラマトンは異なる宇宙と言っていましたね。私は比喩表現かと思いましたが」

 

「うん、普通に考えたら部長の言う通りだけど、先生は違う考えみたいだね」

 

”ああ、そうだ。他の世界からやってきた……別の宇宙かどうかはわからないが、このキヴォトスとは別の惑星である惑星、地球と呼ばれる星が私の故郷だ”

 

 

 その告白は、ある意味重大なものであった。

 キヴォトスにおいては宇宙開発は人工衛星を打ち上げるにとどまり、他の天体へ人が行ったという実例はいまだないにも関わらず、目の前の大人は他の惑星からきたのだと言う。

 

 

”つまり私はキヴォトスの人間から見たら宇宙人ということだな、どうだ驚いただろう?”

 

「そんな軽く言われましても……」

 

「全然宇宙人っぽさがないよ先生、もう少し何とかならないの? 例えば猛烈な悪臭を放つとか」

 

”もう少し驚くべきだろうそこは……というかエイミ、そいつはフラットウッズモンスター(3メートルの宇宙人)か?”

 

「ふふっ、地球にはそういう宇宙人概念があるのですね」

 

 

 しかし、シャーレの先生という存在にすっかり慣れてしまったこの2人は、驚くことは驚いたものの言うほどショックを受ける様子はなく、むしろもう少し捻れと催促する始末。

 話が滑ったような気恥ずかしさを誤魔化すように大げさな身振りで答えるマイケルであったが、同時に安堵もしていた。

 人間というものは、ルーツが異なる存在というのは異分子として排除したがるもの。

 肌の色が違う。宗教が違う。言葉が違う。産まれた場所が違う。それだけで対立の火種となりうるのだが、彼女たちはおおらかにそれを受け入れてくれた。

 クスクスと笑う二人の姿がどれだけ尊いものであるか、それを理解するキヴォトス人がどれほどいるのだろうか。

 じっと2人を見つめるマイケルであったが、その視線に対しヒマリはすっと顔つきを正して正面から見つめ合った。

 

 

「まあ、先生が他の星の人類だということはこれで明らかになりました。そのパワードスーツも、地球の技術の結晶ということなのでしょう。ではここで改めて問いますが―――先生、貴方はこのキヴォトスで何をするおつもりでしょうか?」

 

 

 その問いは極めて重要なもの。

 改めてマイケル・ウィルソンが、異邦人である彼がキヴォトスでどう振る舞うつもりなのか、見極めようというのだ。

 勿論、彼の人間性はある程度は理解できている彼女であるが、問いかけることに意義がある。

 

 

”私は本来キヴォトスには居ない人間だ。しかし、このキヴォトスには私の居場所が存在している……故に宣誓しよう。私は連邦捜査部S.C.H.A.L.E顧問の職務を忠実に遂行し、全力を尽して生徒たちの自由と青春の日々を維持、保護、擁護することを厳粛に誓う

 

 

 対するマイケル・ウィルソンの答えは赴任当初からまったく変わらない。

 先生として生徒たちを導き、自由と青春の物語(BlueArchive)を続けるのだと彼は言う。

 シャーレの始動から2ヶ月近く、彼は自らの行動を以てそれを示し続けていた。

 彼の宣言は合衆国大統領就任宣誓を意識したものであったが、それ故に本気であるという意味合いが強くあるものだ。

 

 

「それを聞いて一安心です。まだまだ先生に頼みたいことはたくさんありますからね」

 

”まあ、お手柔らかに頼むよ”

 

「では地球のことに関して色々と質問をしましょう。例えば―――アメリカ合衆国について聞きましょうか。先生の経歴など知りたいことは山のようにありますが」

 

「私も知りたいな、他の星の事なんて普通は聞けないし」

 

”ハハッ、私にアメリカのことを聞くと軽く3時間ぐらいは余裕で話せるからな? 二人共覚悟するように”

 

 

 にんまりとするヒマリの言葉に苦笑するマイケル。

 そして、地球のことを知りたいとねだる2人に対し、彼はテンションを上げながら地球のこと、アメリカのことを話し始めた。

 歴史、文化、言語、彼女たちにとって初めて触れる情報は2人の好奇心を刺激する。

 穏やかな雰囲気のまま、マイケルのアメリカ談義を聞きながら廃墟を進む3人であったが、ある程度ミレニアムに近づいたところでヒマリのスマホが突然けたたましく鳴り響く。着信音だ。

 

 

「っ……なんですか、急に」

 

 

 突然の大音量に狼狽するヒマリであったが、その発信者がヴェリタスの副部長、チヒロであることに気づくと一転して表情を引き締めた。

 直ちに電話に出る彼女であったが、耳からスマホを離しているあたり次の展開は読めているらしい。

 

 

『ヒマリ! 今何処にいるの!? 大変な事が起こってるから早くヴェリタスの部室に来て!』

 

 

 スピーカーモードではないにも関わらず、チヒロの声が周囲に響き渡る。

 声の調子からミレニアムでとんでもないことが起きているということだけは分かるものの、それが一体何なのかは皆目見当がつかない。

 だが、彼は予感していた。自分の助けが必要になるのだと。

 

 

******************************************************************

 

 

 あれから急いでミレニアムへと戻ってきた3人は直ちにヴェリタスの部室と化しているサーバールームへと直行し、そこで見たのは()()()()()出来がいささか悪そうなアリス人形。

 シリコン製の肌、ポリエステル製の毛髪、見ただけでわかる低品質さであるが、人工タンパク質で表面を構成しているアリス本人と比べるのは流石に酷だろう。

 低品質とされるのは、あくまでアリスの完成度が高すぎるだけなのだ。

 それよりも問題なのは―――

 

 

「うわーん! アリスの身体が盗まれてしまいました!」

 

 

 ―――その出来の悪い人形が、まるでアリス本人であるかのように振る舞っているのだ。

 この人形、表情を変える機能もあるようだがどうにも異質感(不気味の谷)がすごい。

 部屋に詰めているヴェリタスのメンバー、そしてゲーム開発部の3人も困惑した様子で、マイケルたちが到着するやいなや縋り付く。

 

 

「先生! アリスが、アリスがパチモノになっちゃったんだ!」

 

「パチモノじゃありません! アリスはアリスです!」

 

「これは……チーちゃん、説明をお願いします」

 

「わかった、今から説明する」

 

 

 全知の学位を持つヒマリもこの事態には困惑する他無く、少し離れた位置にいるチヒロへと説明を求めた。

 何が起きてこうなったのか、この様子では誰も分かっていないだろうがそれでも少しでも情報が欲しい。

 

 

「今朝、ミレニアムの敷地内の公園の隅でベンチに座っているアリス人形をトレーニング部のスミレ部長が発見したんだ。そしたら自分はアリスだと主張して、ゲーム開発部のところに連れて行った所丁度マキが遊びに行っててね、そこから私に話が回ってきた。でも正直私の手に余るよこれは……だからヒマリを呼んだんだ」

 

「なるほど……アリスの昨日の足取りは分かっているのですか?」

 

「監視カメラのログをハックして確認した。例の公園に深夜に向かうアリスの姿があったのは間違いないよ」

 

「ふむ……」

 

 

 チヒロの話からヒマリは事の経緯をおおよそ理解したが、しかし妙な事件だ。

 何故アリスの身体が入れ替わっているのか、そしてホンモノのアリスの身体は何処へ行ってしまったのか、解けぬ謎は山積している。

 

 

「ところでヒマリ、この子……アリスだけど、彼女ロボットだったの?」

 

「え? あぁ、アリスは確かに私達とは違いますが……ヘイローがありますし、大した問題ではないでしょう?」

 

 

 悩むヒマリに対してチヒロが耳打ちするのはアリスのこと。

 ミレニアムの中でアリスの正体を知るのはゲーム開発部とヒマリ、リオ、リツコ、そしてウタハだけだ。

 しかし今回の事件でそれが露呈してしまった。普通の人間は身体が入れ替わったりしないものなのだから当然ではあるのだが。

 

 

「会長とかも知ってるの?」

 

「ええ、リオもリツコも知ってますよ。そのうえで編入を認めているのですが……そういえば、2人は今どうしているのですか? アリスに何かがあれば飛んできそうなものですが」

 

「今2人は居ないみたい。昨日ユウカがぼやいていたから間違いないよ」

 

「2人が居ない……?」

 

 

 あの2人がミレニアムに居ないと言う事実はヒマリにとって不可解なものだった。

 デカグラマトンが襲来し、アリスが事件に巻き込まれたというのに、学園のトップ2が居ないなどあの二人の性格を考えればありえない話だ。

 果たして何を考えているのか、気になるところではあるもののそれを考えるにはここはあまりにも騒がしい。

 

 

「ねえアリスちゃん、その体はどうなの?」

 

「パワーは多分劣らないと思いますが、精密な動きがしにくいです! うわーん!」

 

「ゲームコントローラーの操作がおぼつかなくなるとかゲーム開発部として大問題だよ! このままじゃまた廃部の危機が訪れるかも!」

 

「ど、どうしよう……」

 

「人型ロボットのハードウェアは専門外……エンジニア部の方で調べたほうがいいと思う」

 

「この関節の動作音、一般的なモーターではないですね」

 

「うわ、コタマ先輩そういうのわかるんだ~」

 

 

 アリスを囲むゲーム開発部の3人と、ヴェリタスの生徒たち。

 音瀬コタマ、小鈎ハレ、小塗マキの3人はアリスの今の身体を解析しようと手を尽くしているようだがコタマ以外は結果は芳しくない様子。

 

 

「先生、これはどうにか出来る問題なの?」

 

”出来るか出来ないかじゃなくてやるしかないさ、エイミ。とりあえず身体の出処と元の体の現在位置を調べないことにはどうにも出来ないだろうよ……というわけでウタハを呼ぼう”

 

 

 喧騒の中、少し蚊帳の外に置かれ気味なマイケルはエイミと視線を交わさずに、あえて一歩引いた形で現状を把握しようと試みる。

 どのみちヴェリタスの部室で出来ることは多くはないし、アリスの身体を調べるならばハレも言っているようにエンジニア部に持ち込む他ない。

 スマホを取り出し、さっとウタハにヴェリタスの部室に来るように伝えた所、ほんの10秒くらいで彼女はやってきた。そう言えばエンジニア部の部室は隣だったなと彼は思い出す。

 

 

「やあ先生、どうしたんだ……んん?」

 

「あれ? ウタハがどうしてここに?」

 

”私が呼んだんだ。ウタハ、忙しいところをすまないな”

 

 

 ウタハは入ってくるなりアリスを見て首を傾げる。彼女の目には当然その低品質さが異常に映って見えたのだろう。

 突然の来訪にチヒロは僅かに驚いた様子を見せたものの、マイケルが呼んだと分かればそうかと納得した様子を見せ、ウタハは他に目もくれずにアリスの元へと向かった。

 

 

「これは……このアリスを模造したロボットみたいだけれども、今のキヴォトスの技術で作れるレベルに落とし込んでいるね。シリコン製の肌、ポリエステル製の毛髪、体を動かせば聞こえる動作音はシリンダー式の人工筋肉だろうか? でも骨格フレームにモーターも仕込んでいるようだし複合式か。動力源は何を使っているのか分解して開けてみないとわからないが―――」

 

「うわーん! 分解されたくありません!」

 

「まるでアリス本人みたいに振る舞……いや、これはもしかして本当にアリス本人なのか?」

 

「そうです! アリスは身体を盗まれてしまいました!」

 

 

 ブツブツと呟きながら膝をつき、アリスの身体をまさぐるウタハ。

 分解される恐怖に喚くアリスの様子にようやく彼女も事態を把握した様子で立ち上がり、顎に手を添えて考え込む。

 なにか思い当たる節があるのだろうか、深刻そうな表情を見せる姿に場の全員が息を呑んだ。

 

 

「マイスターというのはある程度の力量になると、制作物に他人のクセというのを見つけることが出来るようになるんだ。だから言えるんだが、これは―――」

 

 

 この身体が誰の手によるものか、それが分かればこの事件の解決の糸口が見えるかも知れない。

 そんな期待の視線を一身に受けたウタハであるが、彼女は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべており、マイケルはその様子に良くないものを感じた。

 具体的に言えば、かつてクーデターでホワイトハウスを追われる直前に感じたような違和感、有り体に言えば虫の知らせというものが近いだろう。

 

 

「―――ミレニアムの副会長、リツコの作品だよ」

 

「………」

 

 

 訪れる沈黙。

 ウタハの回答は予想の斜め上を行くものであり、理解が追いつかぬと場の全員が固まる中、一番最初に動き出したのはヒマリであった。

 彼女は普段天才美少女ハッカーと自称しているのも忘れるほどに顔をしかめ、語気を荒げる。

 

 

「どうしてこの様な真似を! 副会長ともあろう人間が、こうも直接的に……いえ、リツコだけではありませんね、これはリオも噛んでいるとみて間違いないでしょう!」

 

”落ち着けヒマリ、この身体がリツコ製という以外に関わっている証拠はないだろう”

 

「ッ……そう、ですね。私としたことが、つい怒りで我を忘れるところでした」

 

 

 ミレニアムの生徒に、ミレニアムの生徒会のトップ2が突然手を下したという疑惑はヒマリの逆鱗に触れるものであったが、しかしマイケルがとりなすと彼女も表面上は落ち着いた様子を見せた。

 

 

”しかし、その情報は無下にも出来ない。セミナーとも協力し、問題解決に当たるべきだ”

 

 

 そして彼の鶴の一声によって、この事件はセミナーの知るところとなったのである。

 

 

******************************************************************

 

 

 ミレニアムサイエンススクールの中心にそびえ立つミレニアムタワーの一角、第3小会議室にはゲーム開発部、ヴェリタス、エンジニア部の主要メンバーと、セミナーからは会計のユウカ、そして書記のノアが派遣され、さらにはC&Cのコールサイン持ち全員という豪華キャストが揃っている。

 彼女たちの中心に立つのはアリスであり、その姿をじっくり見たユウカは深くため息をついた。

 まさか連絡が取れずに居た副会長がこんなものを作って、しかもそれをアリスの本来の身体と交換したと知ればこうもなろう。

 

 

「というか、アリスちゃんってロボットだったのね……」

 

「ヘイローのあるロボットなんて見たことありませんからね。それと、リオ会長達の行方に関してですがセミナーとしては把握できていません。ここ数日、本当に姿を見せていないんです」

 

 

 アリスの身体をじっくりと観察するユウカを横目に、ノアはマイケルへとセミナー側が把握している情報を話す。

 リオとリツコの姿が見えないという話は事実のようで、追求するべきはやはりその2人だろうという結論に至るわけなのだが、どちらにせよ足取りが掴めなければどうしようもない。

 

 

「ミレニアム自治区の監視カメラのログから調べられなかったんですか? ヴェリタスなら、ハッキングでもして既に調べてるとは思いますが」

 

「事件前のアリスの足取りだけはね。そこからアリスの身体が何処に行ったのかはわからない……リオが裏で糸を引いているなら、カメラをハックして映像を差し替えるなんて余裕だろうし」

 

「で、あたし達はどうすりゃいいんだ? 怪しいところを片っ端から調べろってか?」

 

 

 何とか辿れる情報がないか、情報を出し合うセミナーとヴェリタスの横で、C&Cのリーダーたるネルは暇そうにしながら横から問う。

 何故自分たちが呼ばれたのか、そもそも呼ばれるようなことなのか、情報が足りなさすぎて判断できないのだ。

 ミレニアムの暴力装置の一つであるC&Cは、よほどのことが無ければ自分から行動を起こすということはない。一見粗野に見えるネルとて、そういう事は十分理解していた。

 

 

「ネル先輩とアスナ先輩は昔からリオ会長たちとの付き合いがありましたよね? なにかこう、心当たりみたいなものはないでしょうか?」

 

「といってもなぁ、秘密基地みたいな場所でも作ってるんじゃねえのか?」

 

「んー……そろそろ連絡がくるんじゃないのかな?」

 

「……えっ?」

 

 

 ネルにも情報提供を求めるノアであったが、ネルとしても心当たりは無く適当に返す他ない。

 その横でアスナが唇に指を当てながら会議室のディスプレイへと視線を向けると、突然電源がつきDivi:sionの文字が浮かび上がった。

 

 

『なるほど、全員居るようですね』

 

「あ、アリスの声です!」

 

「でたな誘拐……誘拐? 泥棒? どっちが正しいんだろう」

 

 

 スピーカーから聞こえる()()()()()に対し、アリスが反応する。

 その横でモモイが吠えるが、声の主をどう呼べばいいのか思いつかずにどうにも締まらない様子。

 

 

『私のことはKEYと呼んでください。私はそう、アリスが勇者であるならばそれと対立する存在、いうなれば魔王KEYとでも名乗りましょうか』

 

(”key……まさか?”)

 

 

 KEYを名乗る犯人であったが、マイケルはその名に心当たりがあった。

 Divi:sion、そしてkeyとなればケセドの工場で発見したあのAI、リオに渡したUSBメモリーに入っていたものに違いない。

 そう思い至った彼の前で、アリスは大声を上げた。

 

 

「身体を返してください! それはアリスのものです!」

 

『返してほしければ……月並みですが、()()の元へたどり着いて勝つことですね。私は魔王城エリドゥで貴女を待ちます』

 

「うわあ、なんかこういかにもな展開だねぇ。モモもミドもこういうの好きそうじゃないの?」

 

「それはそうだけど、こうやって直に目の当たりにすると困るというか……」

 

 

 嘆願するようでいて、しかしどこか乗り気のようなアリスと、声が弾んでいるKEY。

 明らかにロールプレイを楽しんでいるような2人に外野は困惑や呆れの色を隠さない。

 というか、()()という発言があった以上、これがKEY単独の犯行ではないのは明らかだった。

 

 

『我が魔王城エリドゥは難攻不落の城塞、たとえ勇者が仲間を引き連れていてもそう安々と陥落はしません。暗黒の支配者(ビッグシスター)暴虐の破壊神(バイオレンスデストロイヤー)、その配下たちがあなた達の前に立ち塞がるでしょう』

 

「望むところです! たとえどんな困難でが待ち受けていようとも、勇者は諦めずに挑戦するものですから!」

 

 

 KEYの挑戦を正面から受けるアリスであるが、その中に聞き覚えのある単語が混ざっていたことにヴェリタスやゲーム開発部の面々が渋い顔を浮かべる。

 その名で呼ばれた人物2人は、先程まで彼女たちが探そうとしていた人物なのだ。

 

 

「ちょっと今聞き捨てならない二つ名があったね」

 

「しかし、こんな回りくどいやり方をあの女が取るなんて……信じられません」

 

「だが、面白くなってきたじゃねえか!」

 

 

 チヒロとヒマリがその顔を思い浮かべる横で、ネルは楽しげに笑う。

 戦いの舞台を向こうから用意してくれたのならば、思う存分暴れられるのだから心が躍るというもの。

 リーダーが乗り気なのを見て、アスナやカリン、アカネもやる気満々と言った様子だ。

 

 

『それと、シャーレの先生。あなたが勇者アリスに加勢することは想定済みですので、こちらも相応の対策を取らせてもらいます。チートキャラを使っての攻略は面白味にかけますので』

 

”ひどい言い草だな”

 

『そうはいっても事実でしょう。そしてフェアプレイのためにエリドゥの位置座標は送ります。それでは、さらばです』

 

 

 最後にマイケルに釘を指すような言葉を残し、Divi:sionの文字は消えて静けさを取り戻す―――かと思いきや、代わりに表示されるのはミレニアム自治区の全体地図。

 その一角に赤いポイントマーカーが表示され、『Eridu』と表示される。ここがどうやらその場所らしい。

 目指すべき場所を理解したことで意気込むのは、当然のことながら身体を取り戻すという目標を持つアリスであったが、彼女は今武器を何一つ持たないのだ。

 それを止めようとするのは、ゲーム開発部の保護者役であるユウカであった。

 

 

「ここが魔王城エリドゥですね! すぐに向かいましょう!」

 

「ちょっと待ってアリスちゃん、何の準備もせずに行っても返り討ちに遭うでしょ? あの巨大な大砲もなしにどうやって挑むつもりなの?」

 

「あぅ……そうです、光の剣を魔王KEYに奪われてしまったのでした……」

 

 

 スーパーノヴァMk.Ⅱを失ったことを思い出し消沈するアリス。

 彼女にとってあのレールガンは勇者の証と位置づけられているため、喪失した時のショックは相当に大きいものらしい。

 しかし、取り戻すためには戦う他ない。マイケルは皆の注目を集めるべく大きく手を鳴らして一歩前へと踏み出した。

 

 

”兎に角、準備の時間が必要だ。皆でアリスの身体を取り戻すためにここは協力して欲しい。連邦捜査部S.C.H.A.L.E顧問、マイケル・ウィルソンからの要望だ”

 

「いいぜ、任せろ先生」

 

「エンジニア部も了解した。スーパーノヴァは私達の発明品だから取り戻さないとね」

 

「ヴェリタスも了解、情報を探れないかやってみるよ」

 

「特異現象捜査部も当然協力しますよ、可愛い後輩のためです」

 

 

 C&C、エンジニア部、ヴェリタス、そして特異現象捜査部がマイケルの要望に同意する中、ゲーム開発部とセミナーはどうしようかと顔を見合わせた。

 ゲーム開発部は確かにアリスの所属するところではあるものの、彼女たちはそれほど戦闘力に優れるわけでも秀でた技能があるわけでもない。

 だが、友達を見捨ててはいけないという想いが彼女たちを突き動かす。

 その一方、ユウカとノアのセミナー組はといえば、最上位の2人が敵側についていると推定できる以上組織として参加するのは難しい。

 しかしユウカはシャーレの部員、ノアもここで入部届けを出せばシャーレの所属となって動くことは可能だ。

 

 

「ゲーム開発部もやるよ!」

 

「私はシャーレ部員として参加します。アリスちゃんを助けたいのは私達も同じなので」

 

「はい、私もシャーレに入部しますので先生はご自由に使ってくださって結構です」

 

”よし、この場の全員が参加だな。では―――作戦会議といこうじゃないか”

 

 

 そして、ブリーフィングが始まるのであった。

 

 

To be Continued in Chapter Ⅱ-Ⅲ”Operation:We love Millennium(ウィー・ラブ・ミレニアム作戦)




魔王KEY、一体どうしてこうなってしまったんだ……
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