全てを覆い尽くすような闇の中、ナギサは孤独に膝を抱える。正しいと思っていた事が全て誤りで、それに気づかぬままにこの事態に至ってしまった後悔、幼馴染に裏切られた絶望、そしてヒフミを疑ってしまった罪悪感、その全てが彼女の心を押しつぶそうとしていた。
(私は……どこから間違ってしまったんでしょうか……)
顔を膝に埋め、今にも泣き出しそうなナギサ。しかしここは彼女の心の内、声を掛けるものなど居ない。ただただ後悔を積み重ねるのみ。
生徒会長として重責を背負っていた彼女であるが、同時に多感な年頃の少女でもあるが故にその心の傷は深い。
(私なんかがホストになるべきでは……なかった)
深く傷ついた彼女は己を責め立て、それがより一層心を閉ざしていくことに繋がる負のスパイラルへと陥っていく。もはや絶望に染まった彼女の心は救えないのかと思われたその時―――
「ナギサ……聞こえているかい、ナギサ……」
「この声は……セイアさん?」
微かに聞こえたセイアの声にナギサは顔を上げる。周囲を覆っていた闇はいつの間にかティーパーティーのテラスへと変わり、長テーブルの向こうには数カ月ぶりに見る懐かしい友人、百合園セイアがホストの座るべき椅子へと座っていた。
「……久方ぶりの再会、というところかな、ナギサ」
「………」
声をかけられ、呆然としていたナギサの表情が大きく崩る。その両の眼からは涙があふれ、こぼれ落ちた。
「セイアさん……本当に、セイアさんですか……?」
「ああ、証明することは難しいが、私は百合園セイアだ。君が見ている幻などではない。私が夢を通じて様々なものを見ることが出来るというのは知っているだろう? これはそれのちょっとした応用だ、正直ここまで都合良くいけるとは思っていなかったが……」
突然泣き出したナギサに面食らいながらも、セイアは椅子から立ち上がり彼女のもとへと歩んでいく。まるで幼子をあやすように優しく状況を説明しながら彼女の傍に立ったセイアは、視線を合わせるように姿勢を変えた。
「まずは君に謝罪を。何の連絡もなく消息を絶ったことでホストの重責を背負わせ、やりたくもない決断をさせてしまった。結果こんなことになるのならば私は逃げるべきではなかったんだろう」
そう言い、セイアは頭を下げる。死を偽造して身の安全を確保するというやり方を発案、実行したのはミネだが、夢の中に逃げ込んだのはセイア自身に他ならない。
能力が実際には制御できるものではないという事情はあれど、それでも現実であがき、傷ついたナギサをどうして咎めることができようか。
「私が見た未来は破局に繋がっていくものだった。あらゆる希望が潰え、終末へと向かう救いようのないバッドエンド。多くの人々の未来が消えるその中に……ミカの姿もあった」
「……っ」
最悪の未来を語るセイアの言葉にナギサは言葉を失った。
そもそもの始まりがミカの行いとは言え、その果てに命を失うというのはあまりにも重い罰ではないか。静かに彼女は唇を噛む。
「私がホストのままでも、きっとこの結末は変えられなかっただろう。だからナギサ、思い詰めないでくれ、これは君だけの責任ではない。いや、むしろ私がもう少しミカと対話すべきだったのだろうな」
「セイア、さん……」
「今となっては全ては後の祭りだ。しかし、それでも尚結末を変えようと足掻く人がいる」
セイアは俯き、自身の無力さを噛み締めるように肩を震わせる。
実際、彼女に未来を変える力はない。が、しかし―――
「シャーレの先生、あの人は言ったよ。”私達がゆくべき場所に道など必要ない”とね……私はそれを信じてみたい」
「……先生」
ナギサは最後に会った時の
”たとえ結末が君にとって信じられぬものであったとしても、事実をきちんと受け止める事が大切だ。そうでなければ、君は永遠に疑心暗鬼の中に囚われることになる”
あの時、彼は別れ際にそう言っていた。今思えばこの時点でミカが犯人だという目星がついていたのかも知れない。
もしあの時にミカがそうだと言われた場合、果たして認めることができただろうか。今にして思えば、彼があそこで答えを口にしなかったのには相応の理由があったのだと理解した。
「先生は今戦っている。ミカが死ぬという未来を回避し、トリニティの平和を取り戻すために」
「―――そうとも、あいつは最後まで諦めない男だ」
「……だ、誰ですかっ!?」「誰だ!?」
突如割り込む男性の声に、セイアとナギサは思わず揃って声を上げる。ここは現実ならざる夢と精神の世界、普通の人間が割り込むことは出来ないはずだ。
2人が視線を向けるのはテラスの入口、そのドアがゆっくりと開いていき、一人の男性がその姿を現す。黒いスーツに赤いネクタイを身に着け、金髪をオールバックに固めた男性の顔は、2人にとって見覚えのあるもので―――
「せ、先生!?」
「いや、待てナギサ。確かに面影はあるが先生と比べると幾らか
「おっと失礼、アイサツをするのを忘れていたよ。私は
男性、マイケル・ウィルソン・シニアはそう言い、オジギをする。
「えっ!?」「バカな、先生の……お父上だって!?」
その人物がまさか先生の父親であったことを知り、2人は驚きを隠せなかった。そもそも何故この場所にいるのかという最初の疑問が吹き飛ぶほどの衝撃だったが、マイケル・シニアは律儀にも自分が何者で、そしてどうしてここにいるかということを話していく。
「さて、あまり時間がないから手短に言うが、まず前提として
「は、はぁ……」
「私が君たちに声をかけた理由は……そう、あのピンク髪のお嬢さん、君たちの友達なのだろう? あの子について1つ、教えておこうと思ってね」
「!!」
初手で自分が死人だとぶっちゃけるマイケル・シニアに2人は困惑するばかりだが、ミカについて話がしたいというその一言で表情が一気に引き締まる。この人が何を知っているのかわからないものの、ミカを救うことができることが出来るならば悪魔とだって契約を結ぶこともやぶさかではないのだ。
「あの子は今、誰かにとって都合のいい操り人形になっている。あの子の心を解き放つには君たちの協力が必要だ。この世界では友情というものは大きな力を発揮するようだからね、そうすれば彼女の暴走は止められるだろう」
「それは……願ってもない話ですが、その、根拠はあるのでしょうか。いえ、信用していないというわけではないのですが」
「だが君たちに選択肢はない。私から言えるのはただ1つ、
「……」
確かに怪しいことこの上ないが、しかし他に手段はないのは確か。あの悪夢を振り払うためにも彼の案に乗るしか無いとセイアは覚悟を決めた。
彼が実際なにを考えているのかを理解することは不可能だ。他人の本心を理解することなど、永遠に出来る日はこないだろう。証明できないものに対して取るべき答え、それは―――
「わかった、
「……ああ、ありがとうお嬢さん。私は、君たちの願いを決して裏切らない」
信じること。それがただの願望であっても、信じ続けることができるのならばそれは真実に近しいことになる。そんなセイアの願いを聞き届けたマイケル・シニアはニッコリと微笑み、頷いた。
「あの子の魂に打ち込まれた楔を取り除いた時、君たちが呼びかけるんだ。彼女の心に響くようにな。君たちが本当にあの子のことを想い、案じているならば―――きっと、彼女はもとに戻れる」
「そんなことで良いんですか……?」
「ふふっ、言っただろう?
「あっ……」
そう言い残すと、彼の輪郭が薄っすらと消えていく。思わず手を伸ばす2人であるが、それは届くこと無く痕跡1つ残さず彼は消えてしまった。
しかし、彼の言葉は2人の胸に深く刻み込まれ、やらねばならぬことができたとナギサも当初の気落ちっぷりはどこかへと吹き飛んだ様子で表情を引き締める。
セイアもまた答えを得たと互いに見つめ合い、頷く。
「やりましょう、セイアさん!」
「ああ、あのお転婆娘を取り戻そうじゃないか!」
2人は並んでティーパーティーのテラスを出るべく、扉をくぐり―――
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押し寄せるアリウスの軍勢に対し、寡戦を強いられる補習授業部は構築した防御陣地と徹底した遅滞戦術をもって立ち向かう。アズサ謹製のトラップは2つしかない別館の出入り口を完全にカバーし、僅かな漏れも許さない。
また、イルミが呼び寄せた自警団のメンバーが合流したことで防衛人数が20人程になったのは大きい。これでもアリウスと戦うならば戦力比1:10を下回っているが、自警団のメンバーは皆生え抜きで良く持ちこたえてくれている。
”スナイパーチーム、アリウスの火力支援部隊は1時方向に展開している。
「目標補足、攻撃します!」
「うふふ、参ります!」
アリウスの重火器を使用する集団が展開しようとするが、それを見逃すマイケル・ウィルソンではなかった。シッテムの箱で戦域情報を確認した後直ちにスナイパーライフルを扱うハスミ、ハルナ、そしてコハルに撃破を指示すれば、直ちに正確な射撃がロケットランチャーを装備するアリウスの生徒たちを襲い、ことごとくを昏倒させていった。
「アリウスがバリケードに取り付いた! 反撃しろ!」
「はあッ!」
「こういうのは……楽しくはないんだが……ッ!」
その一方でアリウスの物量は早々止められるものではない。地雷やIEDを抜け、玄関前のバリケードに取り付いた生徒たちが障害を排除しようとするのを前衛のミネやイトハ、自警団のメンバーが撃破していく。
とはいえ、既に半分くらいは除去されており、うかうかすれば敵の進入を許してしまうかも知れない。近づく敵へと銃撃を続ける彼女たちだが、その一方でもう一つの入口については手が回らない。
ただしこちらの出入り口はアズサのアホみたいな密度のトラップと
実際、アリウス部隊の半数近くが裏口を同時に攻め立てているのだが、こちらは殆どバリケードに到達する事すら出来ていない。だからといって彼が下手に表に回れば裏口から突破されるのは間違いないだろう。故に彼は裏口から離れられないのだ。
「もー、あの程度の数に手間取ってなにしてるのかな?」
そんな中、聖園ミカは何度も突入を試みては撃退されるを繰り返すアリウスに苛立ちの混ざった声を上げる。部隊指揮官は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべるが、幸いにもガスマスクを身につけているためそれを見られることはなかった。
「予想以上に防御が硬い。裏切ったスパイがトラップを仕掛けているせいで進めないんだ」
「ふーん、とりあえずあの正面のバリケード壊せればいけるでしょ? じゃあ私がちょっとお手伝いしてあげるよ」
「……聖園ミカ、お前一体何をするつもりだ!?」
「言ったでしょ、
あまりにも進捗がよろしくないことにとうとうミカはしびれを切らし、前衛に立つ。ハスミやハルナの射撃が彼女を狙うが、それを物ともせずに彼女は近くにある
「……おい、なんだあれは」
「冗談じゃありませんよ……ッ!」
そのまま放たれるローラーは低伸弾道で正面玄関へと飛来し、バリケードごと扉を粉砕。それはまるで大砲を撃ち込まれたかのようだ。
「ああっ!?」
「くっ、バリケードが……! 今のでの負傷者は居ますか!?」
「自警団、欠員なし! 戦闘継続可能です!」
バリケードごしに交戦していた自警団とミネは飛び散った破片によって幾らかの傷を負いながらも、決して下がること無く踏みとどまり押し寄せるアリウスへと向けて引き金を引く。
「ホッカホカの榴弾、行きます!」
「やばいでしょ今の、何あのゴリラみたいなパワー!」
「ジュンコ、騒ぐ暇があったら兎に角撃ってよ~!」
2階にいる美食研究会が阻止射撃を行うものの、勢いに乗ったアリウスはついに別館への突入に成功し、戦いは銃撃戦から白兵戦へと移行した。最早敵味方入り乱れ、区別するのは困難である。
「はあっ! くっ、そこです!」
「スズミさん、後ろに!」
「ありがとうございます、ミネ団長」
「ここは私に任せて、スズミさんは一度立て直してください!」
迫るアリウスの生徒の殴打を愛銃で受け、銃床で殴り返すスズミ。その後ろに迫る別のアリウス生徒が銃を振りかぶったその瞬間、ミネがシールドバッシュで吹き飛ばす。
感謝の言葉を述べつつ腰だめの銃撃で牽制しながらスズミが僅かに下がり、それと入れ違いになる形でイトハと5名の自警団員が突撃をしかけた。
「まるで腹をすかせた犬どもだ、痩せっぽちでどいつもこいつも骨がないな……」
「そうはいうけどねイトハ君、君が強すぎるだけだよ」
「リコ先輩の言うとおりです。イトハ先輩は我々のエースですからね……!」
「なんだこいつら、強いぞ!?」
イトハが左手で特殊警棒を振り回して殴打しながら右手のアサルトライフルで別の生徒を一撃で昏倒させ、更にはドローンをけしかけ一人で3人を同時に相手にするという離れ業を見せる。
他の自警団も次々にアリウスの生徒たちを昏倒させていくものの、それでも8人ではこの防衛線を支えきれるものではない。
「あーもう、邪魔しないで欲しいな」
「来たか、聖園ミカ」
「これはまずいね……我々は後退するべきだろう。スズミ、アルネ、リク、君たちが先に下がっておきなさい、我々が援護するよ」
「は、はい、リコ先輩」
ミカが乗り込んできたのを見るや、これ以上の維持は不可能として彼女たちは後退を決断。3年生のメンバーが体を張って下級生を下がらせ、ミカとアリウス相手にアズサの仕掛けたトラップを活用して時間を稼ぐ。
だが、多少の被弾をものともせずミカは前進制圧を続けていく。まるで戦車を相手しているかのようだ。
「あはは、無駄だよ。そんな爆弾じゃ私は止められない」
「どうかな、それは試してみないことにはな」
ミカが前へ進もうとしたその瞬間、物陰に隠していた
「痛ったいなぁ、指向性散弾とかどこで手に入れたの?」
「あれ受けて痛いで済むお前はおかしいやつだな、聖園!」
「それは見えてるよ!」
「なっ!?」
しかし、ミカはそれを耐えきった。耐えきるどころか、あまり効いていないかのように服を手で払う動作をし、にやりと笑う。イトハがすかさず銃撃を仕掛けながら警棒で殴りかかろうとするも、それを完全に予想したカウンターのパンチが彼女の腹に突き刺さった。
直撃を受けたイトハは砲弾のように廊下を飛び、転がる。
彼女はすぐに立ち上がろうとするも、足に力が入らないのか這いつくばるのが精一杯のようだ。胃の中身をぶちまけ、苦しそうにもがいていた。
「く、くそっ……ここからが面白くなるところだろう、動けよ私の身体……!」
「あーあ、今ので骨が折れたんじゃないの? 大人しくしてればこういう事にならなかったのになぁ」
「させません! 閃光弾を!」
「あっ」
追い打ちをかけようとするミカに対し、既に離脱を終えていたはずのスズミは踵を返し、流れるような動作で閃光弾を投げ込んだ。まるでレーザービームのようにそれはミカの眼の前に飛んでいき、そこで時限信管が作動する。
激しい閃光、耳をつんざく大音量。まるで人間の形をした戦車みたいなミカでも、視覚聴覚は人間のそれだ。オーダーメイドの閃光弾による一撃は流石に一瞬意識が吹き飛び、思わずよろめく彼女の隙をついて自警団のメンバーとミネはイトハを回収して後退することに成功した。
「……うーん、流石に今のは効いたかな。まだ良く見えないや」
「敵は逃げたぞ、この先は行き止まりだ!」
ミカの潰された視覚と聴覚の回復を待つ間、アリウスの部隊が別館を制圧していく。1階と地下は瞬く間に制圧され、そのまま2階に向かうがすっかりもぬけの殻となっていた。美食研究会も、ハスミとコハルもその姿はどこにもない。
探索するアリウスだが、やはりと言うべきか残っている生徒の姿はない。
2階から突入しようとする彼女たちだが、渡り廊下が破壊されていて通ることが出来ない。アリウス部隊の指揮官は苛立ちを募らせる。だが―――
『こ、こちらチームⅣ! 大変だ、大聖堂からシスターフッドが殴り込んできた!』
『チームⅦ、シャーレの先生のパワードスーツが止められない! 何なんだあいつは、銃を使わないで私達を倒すつもりか!?』
『こちらチームⅢ、正義実現委員会が動いている! 我々に対抗できる戦力なし、撤退する!』
「な、何が起きているんだ!?」
立て続けに入る凶報、追い詰めていたはずがいつの間にか自分たちが追い込まれているという事実に指揮官は混乱した。情報が処理できず、頭が真っ白になっていく。
どうすればいいのか彼女にはわからない。当初の予定ではミカのクーデターに乗じてあっという間にトリニティを制圧する予定であったため、想定外の事態に彼女のキャパシティはあっという間にいっぱいとなり、判断に迷う。
そもそも、この指揮官はそれ程適正が高いわけではない。アリウスの生徒におおよそ共通する弱点だが、彼女たちは自由裁量というものを活用できていないのだ。
独裁者の軍隊にはよくある話ではある。そういうところでは兵士の自由意志など不要で、忠誠心だけが求められるのだが、そんな軍隊は予想外の事態には弱いというのが相場であり、事実アリウス大隊はそういう軍隊であった。
「お、おい聖園ミカ、何か案はないのか、案は! このままでは私達は―――」
「―――うるさいなぁ、黙っててよ」
「がっ!?」
ここに至って思わずミカに縋る指揮官であったが、冷ややかな目で見られた後に振り抜かれた拳が彼女を壁へとめり込ませる。
周囲のアリウス生徒がぎょっとしたが、敵が迫っている中ミカへと銃を向けるものは居ない。その濁った瞳に睨まれて、何も言えないというのが正解だろうか。
「……ナギちゃんをもう1回捕まえればそれで済むでしょ、それしかもう私達の勝ち筋はないの。だから全員、突撃」
「お、おおおおーっ!」
狂気を孕むミカの言葉にアリウスの生徒たちは恐怖し、従う。追われるように―――実際追われている―――アリウスの生徒たちが体育館へと押しかけ扉をぶち破ったその直後、入口の周囲に貼り付けられたプラスチック爆弾に気が付き、1名を除いた全員の顔が青ざめた。
「これが最後だ!」
正面で待ち構えるアズサが手にしたスイッチを強く押し込み、そこから発せられた電気信号が信管を正しく作動させる。
引き伸ばされる体感時間の中、ゆっくりと広がる爆炎がミカの身体を覆い尽くしていき―――
時は僅かに遡り、アリウスの攻撃が始まる直前のこと。空から帰還した
”皆、今から私が言うことを聞いて欲しい。どうやらミカは洗脳状態にあるようだ。胸元にあるブローチ、そいつが原因らしい”
「そうだったのか、だからこんな急に……」
「……マダムならやりそうな話ですね。少なくとも、心当たりは無くはない話です。彼女もまた利用された、そういうことですか」
彼の説明に、アズサとスズミは納得した様子を見せる。子供を洗脳するのはマダムのやり方であることを良く知っているが故に、彼の説明は納得できるものであった。
昨日今日のアリウスの急な動きは十中八九マダムの都合だろう。そういう確信があった故に2人はミカもまた被害者であるという認識を持つに至る。
「では、どうすればその洗脳を解くことができるのでしょうか?」
”ハナコ、それについてはブローチを取り上げるか破壊するのがまず最優先だ。その後はミカを正気に戻すべく呼びかける必要がある。ナギサとセイアはどうした?”
「それが、ナギサ様はまだ意識が戻られてないんです。ミネ団長やセリナさん、セイア様が診ているのですが」
”なんだと……”
正気に戻す方法を伝授する
ナギサとセイアの二人の力が必要だと言うのに、これではミカの心に響かせることはできないではないか。早速プランが頓挫しそうなことに頭を抱えるが、しかし―――
「……大変ご心配をおかけしました、先生」
「私達なら大丈夫だ。そろそろ私達の出番が来ると思っていたよ」
「ナギサ様!」
ミネに連れられ、姿を見せる2人。自らの足でしっかりと立ち、その瞳には確かな決意の光が宿っていた。
表情を崩して駆け寄るヒフミに柔らかな笑顔を見せるナギサは先日までのどこか張り詰めたような面影はなく、現実をうまく飲み込んだうえで自ら乗り越えようという意思を感じる。隣のセイアもそうだ。
「ミカを止めるために私達は協力を惜しまない。どうすれば良いのかも聞いているよ、君のお父上からね」
”父さんが……?”
父がどうして彼女たちに声をかけられるのかさっぱり分からず首を傾げる
”……まあ、それは置いとくとしてだ。ブローチを排除し、ナギサとセイアがミカに呼びかけることで正気に戻ってもらう。必要なのはこれだけだが……あのミカを止めてブローチだけを排除するのは難しいだろうな”
「ミカ様は実力でいえばツルギに匹敵します。正直な所、私達は個別では止めるのは難しいでしょう」
”そうだな、それとセイアの預言がある以上、私が直接ミカと交戦するリスクは下げたい。気をつけてはいるが事故る可能性は潰すべきだと思う。だから君たちに頑張ってもらうほか無い、私としては不本意極まりないのだが”
ミカを正気に戻す方法はある。だが、そのためにはミカを戦闘不能に追い込む必要があった。そしてそれは非常に高いハードルであり、困難極まることが予想されるのだが、それを生徒に任せねばならないというのは忸怩たる思いだ。
しかしそれはミカの死亡という最悪の結末を回避するための不可避のもの。出来る限りのサポートをすることで子どもたちの苦労を軽減するのが大人として出来ることだろう。
「正面から止められないのなら搦手で仕留めるほか無いと思う。例えばそう、トラップがある」
「相当量の爆弾を至近距離で起爆させればいかにミカ様とはいえ、戦闘不能に追い込める可能性はありますね。であるならば、必要な爆薬量は……」
「それは私に任せてください。こういうこともあろうかと、戦闘教本は一通り読んでおきましたから暗算でいけます」
「トラップの配置換えをするなら私がやる。あまり時間はないだろうから、急ごしらえになるかもしれないが」
ミカを止めるために罠へと誘い込むという方針を決め、必要な爆弾量をシミコが計算し、アズサが既存トラップを解体して資材を流用、再設置する。一先ずこれで罠は完成するが、次はそれにどうやっておびき寄せる、あるいは追い込むかだ。
「私とセイアさんの連名で正義実現委員会に出動命令を出しましょう。ツルギさんの圧があれば流石のミカさんも行動を制限できると想います」
「……シスターフッドも協力できると思います。サクラコさんには事前に協力を要請していましたので、恐らくは動いてもらえるものと」
「ええ、歌住サクラコならば間違いなく動くでしょう。挟み撃ちに近い形に出来るやも知れませんね」
”であるならば、私も正面の防衛には回らずに援護を行う。タイミングを合わせれば間違いなく成功できるはずだ。いや、
ナギサが目覚めたことで正義実現委員会への命令権を掌握したのは最も重要な要素である。これでアリウス大隊に対し純粋に正面戦力で対抗できるようになったのは、このクーデター事件において決定打となる出来事であった。
さらにシスターフッドと密約を交わしていたハナコとイルミがシスターフッドの援軍があると伝えれば、最早これ以上やれることはないだろう。人事を尽くして天命を待つという言葉の通り、あとは出たとこ勝負。勝利の女神が微笑むのはどちらになるか、まだこの時点で決まっては居ないのだ。
シミコの計算した通りの量の爆薬はアズサの手によって最大限効果を高められるように設置され、彼女に手によってミカに対し最大の威力を発揮するタイミングで起爆された。
この爆発で体育館の半分と別館の一部が吹き飛び、ついでに巻き添えを食らったアリウスの生徒たちも瓦礫の下に埋もれて昏倒する。広がっているのはまるで航空爆弾を放り込まれたかのような惨状だ。
爆発で巻き上がった粉塵が落ち着くまでの間、それぞれ障害物に隠れて身を守っていた皆は恐る恐る顔を上げ、その効果を確かめようとした。
「……随分派手に吹き飛んじゃいましたね」
「アズサちゃん、これはやりすぎじゃ……」
「これじゃあ全員気絶してるでしょ!」
「完璧に決まった」
ハナコ、ヒフミ、コハルの補習授業部組は見るも無惨にリフォームされた体育館の姿に顔を引き攣らせている。アズサはドヤ顔を決めているが、コラテラル・ダメージというにはあまりにも損害が大きすぎだ。
埃を払いながら他の面々も顔を覗かせ、自然と集まっていく。これで終わりという空気が漂い、張り詰めた緊張が一気に弛緩していくのを感じながら、それでも警戒を怠らない一部の面々は武器を構えながら力なく項垂れるミカへと近づいていった。
彼女の愛銃は手から離れ、既にあらぬ方向へと飛んでいる。危険はない……はずだ。
「………」
「動きませんねー、これでおしまいでしょうか?」
「いやアカリ、それはフラグでしょ!?」
少し離れて様子を見ていたアカリが何気なく発する一言に噛みつくジュンコ。しかし、その言葉が引き金となったのか、ミカの指が僅かに動いたのをミネは見逃さなかった。
「まさか……!?」
ゆっくりとミカの右手が爆発でへし折れた鉄筋コンクリート造の柱に伸びていく。
ありえないはずだ、あの威力の爆発を受けて意識を保てる筈がない―――しかし今現実として聖園ミカはゆっくりとだが動いている。
「………ホントはさぁ、こんな事やりたくなかったんだよ。私のキャラじゃないし、ね」
「あの威力を受けて……動けるはずが……!?」
柱を支えに立ち上がるミカ。決して無傷ではなくあちこちに外傷を負い出血しているが、それを気にする様子無く彼女は柱を片手でフルスイングした。
長さにして3.5メートル、縦横共に50センチ程度の柱はまるで野球バットを思わせる軽さを見せるが、当然ながらその質量は大。
真っ先に狙われたミネは咄嗟にシールドを構えるものの、銃弾とは比べ物にならぬ破壊力で粉々に砕け散り、そのまま直撃を受けた彼女は野球ボールさながらに壁へとめり込みヘイローが消える。
「団長!」
「うわああっ、アカリが余計な事言うから!」
「あはっ! 次はそこの角つきだよ!」
「ちょっと冗談にしてはきついですわね……!」
動揺が走り、反応が鈍い面々を出し抜きミカは跳躍する。目標は美食研究会、振り下ろされる質量に4人が蜘蛛の子を散らすように逃げ出し、先程まで居た場所へと柱が突き刺さった。
猛烈な衝撃で粉塵が飛び散り、視界が急速に悪化する。
「こうなったら榴弾を直接当てて……!」
「角つきは逃さないじゃん、ね!」
「あっ」
咄嗟に反撃しようとするアカリだが、それ故に粉塵の中から飛び出したミカの目標となってしまう。眼と眼が合い、いつも笑みを絶やさぬアカリの表情が凍りつく。
高速で迫る柱の前に彼女は成すすべもなく打ちのめされ、2階の壁へと
「うわーっ! アカリがホームランされた!」
「お友達のあとを追わせてあげるからさぁ!」
「止めてくださいミカ様!」
悲鳴を上げるイズミをロックオンするミカ。しかし、それ止めにシミコが飛び込む。柱を抱えるようにしがみつき、渾身の力を込めて引っ張るが、純粋な膂力ではミカのほうが上だ。
「邪魔しないで欲しいなぁ、こういうときにさ!」
「きゃああっ!」
「う、撃て! 聖園ミカを止めろッ!」
まるで虫を払うかのように、彼女もまた壁へと打ち付けられた。
スイングの直撃を受けたわけではないので意識を失うほどのダメージはないようだが、それでも立ち上がることの出来る状態ではない。
ようやく周りの面々が動き出して銃撃を加えるが、柱を盾にするなどして有効なダメージを与える事が出来ないでいた。
「シミコさん!」
「ナギサ様、どちらへ!?」
ここに至り、ナギサは思わず走り出した。これ以上ミカが誰かを傷つけるのを見たくないとハスミの静止を振り切り彼女はミカの前に立つ。
「あはっ、殊勝だねナギちゃん、自分からくるなんてさぁ。でも、今の私に近づいたら怪我をするよ?」
「ミカさん……これ以上やるなら私を倒してからにしてください」
「ふーん、そういう事言うんだ。じゃあ、腕の一本ぐらいは折れても仕方ないよ……ねっ!」
「ナギサッ!」
両腕を広げ、自らを盾とするナギサに対し、ミカは柱を振りかぶる。セイアの悲鳴が聞こえる中、次に襲ってくるであろう痛みに耐えるべく目を瞑り―――
”Yeahhhhhhhhhhh!!!”
しかし、次が襲ってくることはなく、その代わりに聞こえたのは
「せ、先生!?」
”危なかったな、ナギサ! そしてミカ、流石にそいつは見過ごせないぞ!”
「今更先生ぶったところで……!」
しっかりと柱を掴み、メタルウルフとミカの力比べが始まる。だが、この瞬間ミカは身動きが取れず、無防備な姿を曝け出していることにナギサは気付いた。
しかし周囲からの射線は通らない。メタルウルフと柱、双方が邪魔になっていて狙えないのだ。唯一至近距離に居るナギサ以外には。
「……ありがとうございます、先生。そしてミカさん、ごめんなさい。今から貴女を撃ちます」
ナギサはそう言い、ホルスターから拳銃を抜く。これほどの距離ならば外すことはないだろう。
メタルウルフの陰からナギサが姿を現し、拳銃を向けるのを見たミカは目を見開いて硬直した。まさかナギサにそんな勇気があると思っていなかったかのような反応だが、狙いを付けるナギサの目つきは鋭く、放たれた銃弾はまっすぐにミカの胸元のブローチへと到達、完全にそれを粉砕した。
「あ……あぁ? あ、アアアアッ!」
ブローチが破壊されると同時にミカは苦しみだし、柱から手を離して頭を抱え、身悶えする。
メタルウルフはそのまま柱ごと離脱して安全な距離まで退避すると、入れ替わるようにセイアが前へと出てナギサに並んだ。
これで条件は達成された。あとは彼女たちがミカの心に呼びかけるのみ。
「ナギサ!」
「はい、セイアさん。私たちの思いを……ミカさんにぶつけましょう!」
意を決した2人は手をつなぎ、そして――――
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気がつけば2人は闇の中に居た。ナギサと同じように心を閉ざそうとしている時は人間同じような心象世界を持っているのだろうか。
右も左もわからないままだが、2人は自然と足が向かうがままに任せてしばらく進んでいく。そのうち、少し離れたところに蹲るミカの姿が見えた。
「……」
「ミカ……可哀想な娘だ。自分のやりたいことがわからなくなっていき、誰かの駒に成り果ててしまったなんて」
2人はゆっくりと近づき、ミカの前に立つ。しかし彼女はそれに気づいていないのか、身動ぎ1つせずに顔を伏せている。どうするべきか2人は一瞬迷ったものの、声をかけねば始まらない。
「ミカさん、ミカさん……どうか私たちの声を聞いて下さい」
「私たちは君に謝らなければならない。本当はもっと話し合い、理解し合う必要があっただろうに……かつてトリニティという統合を成し遂げた古のティーパーティーのように」
「……2人は怒らないの? 私、とっても悪いことをしたのに」
友人の声を聞き、絞り出すように話し出すミカ。顔を上げた彼女の目は赤く泣き腫らしており、この一人ぼっちの闇の中で涙を流し続けていたのだろう。
ようやくミカの声を聞くことができたことでほっと安堵の表情を見せれるようになった2人は、まるで幼子をあやす母親のような穏やかさで彼女に語りかけた。
「いいえ、ミカさん。悪いことをしたのは私たちも同じなんです。あなただけじゃない」
「権謀術数がまかり通るトリニティの中枢において、疑心暗鬼と絶望に囚われ何もしようとしなかった私たちこそ君を傷つけていた。君のようにただ仲良くしたいという純粋な善意を何かと理由をつけて拒絶し……君が私に怒りを抱くのも無理はないよ」
「で、でも、私はセイアちゃんを―――」
それでも罪悪感に苛まれ、己を責めようとするミカの口にセイアはそっと手を添える。
「確かに君のやり方はよろしくなかった。だが、君に
「セイアちゃん……」
「だから悪いのはアリウスの指導者だろう、アリウスの生徒たちもその被害者に過ぎない。少なくとも私はそう思っているし、先生もきっと同じように考えているはずさ。だからそんなに重く考える必要は無いよ、ミカ」
「そうですよ、ミカさんがそんな凶悪犯罪者みたいな人間だったら最初から友達なんてやっていません」
「ああ、ナギサの言う通りだ。私たちは仲間で、かけがえのない友達のはずだ。そして友達というのは本音で話し合える関係だろう? だからもう一度、初心に立ち返ろう」
「ゔ……あぁ……ゼイア゙……ぢゃん……ナギ……ぢゃん……!」
差し伸べられる2人の手に、ミカの視界が涙で歪む。こんな自分でもまだ友達だと言ってくれる2人の優しさに彼女はついに感情が決壊。
あふれる涙を拭うわけでもなく、大声でただただ泣きじゃくる彼女をナギサとセイアは優しく抱き寄せ、彼女が泣き止むまでの間ずっとそのままでいた。
「ぐすっ……二人とも、ごめんなさい……ありがとう」
一体どれほどの時間が流れたか、ようやく落ち着いたミカは赤く泣き腫らした目のまま、改めて頭を下げる。珍しく殊勝な態度の彼女に2人は互いに顔を見合わせ、小さく笑う。
「ああ、そして改めてよろしく、ミカ」
「また一緒にお茶をしましょうね、ミカさん」
「……うんっ!」
3人が手を取り合うと、いつの間にか周囲の闇は晴れてティーパーティーのテラスへと変わっていた。やはりこの場こそがこの3人にとっての原風景と言うべきか、心が落ち着く。
唯一の出入り口である扉から光が差し込んでいるのを確認した彼女たちは、現実へと戻るべく並んで扉を潜った。
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トリニティの各地で鳴り響いていた銃声はおさまり、アリウスとミカによるクーデター騒ぎはこうして終わりを告げる。正義実現委員会とシスターフッドの反撃でアリウスの生徒たちは散り散りに逃げ出すかあるいは捕縛され、夜が明ける頃には治安は完全に回復した。
「………」
正義実現委員会の委員長である剣先ツルギが見上げるのは、補習授業部が合宿場としていた校舎別館。各所でトラップが起爆し、挙げ句には即席爆弾で校舎の多くを吹き飛ばされて酷い有様だが、それはここで激しい戦いがあったことの証明でもある。
そんな彼女を現場での事後処理を終えたハスミが見つけ、声をかけた。
「なんとかなりましたね、ツルギ」
「ハスミか……」
「先生のおかげでナギサ様は無事、セイア様の健在が確認され……
そう言い、ハスミが視線を向けた先に居たのはメタルウルフを脱ぎ、正義実現委員会の生徒から事情聴取を受ける
つられて顔を向けたツルギはそんな彼の横顔を眺めて数秒、急に顔を真っ赤にして奇声を上げた。突然のことに近くに居た他の生徒はぎょっとした様子だが、ハスミは慣れたもののようで、まったく気に留める様子もない。
「ぎ……ぎぇぇぇぇ……!」
「シャーレに興味があるなら紹介しますよ?」
「あ、ぅぅ……ひぎゃああああっ!」
「……おや、どうしたのでしょうかツルギ」
そのまま走り去るツルギに首を傾げながらも、彼女がそういうことをするのは稀によくある事ではあるためハスミは意識を別の方へと向ける。
そこは護騎士団の車が何台も到着し、負傷者の収容や野戦病院のためのテントの設営に当たっている現場だ。
「重傷者複数! 直ちに病室を用意してください!」
「野戦病院をここに設営、30分で完了して! それ以外の負傷者はここで治療を!」
「足りないものがあれば本部へ連絡を!」
ミカ直接ブチのめされたイトハ、ミネ、アカリの3名と、精神が解き放たれた反動で昏睡状態にあるミカはストレッチャーに乗せられ、それぞれの付き添いのもと救護騎士団の病室へと送られるだろう。
さらにはトリニティの生徒だけでなく、アリウスの生徒たちにも治療を受けさせるべく救護騎士団の生徒たちは駆け回っていた。
”……アリウスの指導者、マダムか。必ず決着をつける必要があるな”
事情聴取が終わり、解放された
多くの生徒がこの事件で傷ついた。心も、身体も……だが、この事件の黒幕は一切の被害無くその玉座にふんぞり返っていることだろう。彼はそれが我慢ならない。
いつか決着をつける日が来ることを確信し、昇る朝日を見つめる。今日が彼女たちにとって良い1日となることを祈りながら。
To be Continued in Epilogue ”
クーデターを防ぎ、ミカを救出し、大団円かと思いきや補習授業部は実はまだ終了条件をクリアできていません。何せ第2回の特別学力試験さえ受けていませんので。
次回エピローグの後、エデン条約編3章に相当する話は予告通りに数話のInterludeを挟んでから始まります。本編は早く始めたいんですが、そのために色々とフラグを建てねば……
解説
自警団の最初の8人
自警団創設時からその名簿に記載されている8名。
当初プロットではいくらかちょい役で出番があるはずだったが、圧縮のために出番が削られた人たちでもある。
1番:風路イトハ
2番:洲根イルミ
3番:
4番:守月スズミ
5番:
6番:
7番:
8番:
それぞれの名前の元ネタは言うまでもなくヴェスパーの番号付き。