METAL WOLF Archive XD   作:W.B.O

46 / 58
Go on vacation(旅行に行こう)
InterludeⅡ-Ⅰ ”Let's go to the beach(海に行こう)


 水平線を遥かに望み、白い砂浜に立つ足を波が洗う。風を感じて空を見上げれば、太陽が燦々と輝いて露出している肌を焼いていく。

 ここはD.U.の南方に位置するリゾート施設、その名もロスト・パラダイス・リゾート。今夏オープン予定でいまだ施設の一部が未完成の状態ではあるものの、この地には今100を大きく越える数の生徒の姿があった。そのうちの8割9割がトリニティで保護されているアリウスの生徒である。

 

 

「う、うわあ……」

 

「アリウスの皆様は波打ち際から離れないように! 沖に流されたら危険ですわ!」

 

「すごい……水がこんなに。水だけでお腹いっぱいになれそう」

 

「海水を飲むと身体に良くないからやめましょうね!?」

 

 

 幾人かの引率のトリニティ生徒がついた上でビーチを楽しんでいるようだが、一般常識に乏しい彼女たちが興味本位で海水を飲もうとしたり、泳げないくせにどんどん深みに行こうとする事があるので引率生徒は大変そうだ。実際、そういう生徒を羽交い締めにする形で制止している姿を現在進行系で見ている。

 

 

”アリウスの皆も楽しめているようで何よりだ、うん”

 

 

 そんな彼女たちを引き連れているのは、やはりというべきか連邦捜査部シャーレの顧問、マイケル・ウィルソン。何時もの連邦生徒会のスーツではなく、アロハシャツにハーフパンツというラフな格好で、サングラスをかけたその姿はかなり印象が異なって見えたことだろう。

 

 

「ほ、本当にこのリゾート全体が私たちの貸し切りなんですか!?」

 

「しかも費用はあちら持ちだなんて、先生の魔法はすごいですね」

 

”ま、私にかかればざっとこんなものさ”

 

 

 彼の後ろに控えていた阿慈谷ヒフミと浦和ハナコは、予想もできぬほどに立派なリゾートに驚き、感心した様子で周囲を見る。立派なリゾートホテルや、海辺のコテージ等の宿泊施設、売店やそれ以外にも娯楽施設が充実している先進的なものだ。

 

 

「アズサ、海は初めてでしょ?」

 

「うん、海というのがどんなものか、知識としてしか持っていなかったけれども、これは……」

 

「どう?」

 

「水ってこんなに沢山あるんだなって。アリウスでは水源は限られていたから、まるで夢を見てるみたいだ」

 

 

 そのさらに後ろで、初めての海を前にしたアズサに声を掛けるコハル。補習授業部をつい先日脱したばかりの彼女たちであったが、そこで育んだ友情は消えはしないとばかりに徒党を組んでいた。

 その一方で、ここに3年生の2人の姿はない。イルミはゲヘナとのエデン条約調印前の調整に再び駆り出されて多忙を極めており、イトハに関しては自警団と正義実現委員会と共同で実施中のアリウス残党の掃討に参加しているという。彼女としては、バカンスによりも戦闘参加のほうが楽しいのだろう、とんだ戦闘狂である。

 

 

「やっほー、ヒフミちゃん久しぶり~」

 

「え? あっ……アビドス高校の皆さん! 皆さんももしかして?」

 

「うん、息抜きは必要だろうって先生が招待してくれた」

 

「……あら、ヒフミちゃんのお友達ですか?」

 

 

 そんな時、ヒフミの姿を認めて近づいてくる一団があった。それは水着姿のアビドス高校の面々で、どことなく浮ついたように感じられる。日々過酷なアビドスで過ごしている彼女たちからすればこれほどの人数の中に混ざるのなど初めてで、知り合いを見つけてほっと一息ついたというところだろうか。

 それを見てハナコがすっと目を細めるが、相手はトリニティの生徒でないということを思い出して頭を振ってにっこりと微笑んだ。疑りから入るのは悪い癖だというのを自覚して是正できるあたり、彼女も補習授業部で成長したことが見て取れる。

 

 

「はい~、ヒフミちゃんとは以前に色々ありまして~……あっ、私、十六夜ノノミって言います。アビドス高校2年です、よろしくお願いします~」

 

「そうだね、自己紹介しよっかみんな。私は3年生の小鳥遊ホシノだよ~」

 

「ん、2年の砂狼シロコ。よろしく」

 

「黒見セリカよ! 今日は思いっきり楽しむわ!」

 

「奥空アヤネです。トリニティの皆さんとこうしてお会いできて光栄です」

 

 

 ヒフミ以外とは初対面ということもあり、対策委員会一同は自己紹介をする。元補習授業部の面々もそれに応じるが、唯一コハルはハナコの後ろに隠れてもじもじとしていた。相変わらずの人見知りだ。

 

 

「……小鳥遊ホシノという人、あの人はかなり強い。見ただけで判る」

 

「へえ~、白洲アズサちゃんだっけ? ふぅん、なるほどねぇ……まあ、みんなで仲良く楽しもうよ、このバカンスをさ~」

 

「うん……そうしよう」

 

「それじゃあ、私たちは先に海で泳いでるよ~先生~」

 

”ああ、気を付けてな”

 

 

 挨拶を終えたところで、対策委員会の面々を観察していたアズサはホシノの実力に感づき、同時にホシノもまたアズサの戦闘技能の高さに気づく。視線が交わり、緊張の一瞬。しかし直ぐにホシノは態度を崩して場の空気を弛緩させる。

 その意図を正しく読み取ったアズサはこれ以上追求すること無く、海辺に向かって走り去る対策委員会の面々を見送った。

 

 

「……今のなんだったの?」

 

”ま、とりあえず楽しむのが正解ということだ。細かいことを気にする必要もない”

 

 

 そして彼女たちに声が届かないレベルに離れてから、わけがわからないと言わんばかりにコハルは首を傾げる。それに対しアズサではなく先生(マイケル)が曖昧に答えるに留めるのであった。

 

 

「先生の仰る通りですね! 私たちも楽しみましょう!」

 

「うん!」

 

「それでは先生、私たちはこれで」

 

”ああ、気を付けてな”

 

 

 かつて部長であったヒフミの号令に従う形で、彼女たちもまた海を楽しむべく走っていく。ようやく一人になったことで彼はため息をついて天を仰ぐが、しかし落ち着かせはしないとばかりに、また別の集団が近づいてきた。

 

 

「ヤッホー、せーんせっ!」

 

「お久しぶりです」

 

”ん……ゲーム開発部の皆か、それにケイも”

 

「はい、ユウカにお目付け役を命じられまして」

 

「アリス、ゲームでは何度か来たことがありますがリアルで海は初めてです!!」

 

 

 次にやってきたのは、ミレニアムのゲーム開発部一同。そしてお目付け役として同行しているケイであったが、そこに部長であるユズの姿はない。

 何処に居るのかと周囲を見渡してみると、木陰で怯えている彼女の姿が見えた。対人恐怖症はおさまりつつあるとは言え、やはりこの数は辛いのだろうか。

 とりあえず手招きしてみると、彼女は首を激しく横に振った。どうやら本気で駄目っぽいので、やむなくこちらから近づくことにする。

 

 

「ほらユズ! せっかくだし楽しまなきゃもったいないよ!」

 

「ど、どうしてこんな人の多い所に……」

 

やれやれ(Whatever)

 

 

 モモイが木陰から引っ張り出そうとするものの、ユズは木にしがみついて離れない。呆れた様子で先生(マイケル)は肩を竦めた。

 

 

「せっかくユウカが旅行に行かせてくれたんだからさー、楽しまなきゃ損だよ!」

 

「こんなに人が多いなんて聞いてない……」

 

「あれ? 言ってなかったっけ、先生が企画した複数学園のリゾート旅行だって」

 

「……どうやら、モモイが伝達ミスをしていたようですね」

 

「うっ」

 

 

 兎に角人の多さに怯えているユズ。モモイとのやり取りから、ユズへの情報伝達にミスがあったと察し、ケイの表情が険しくなる。

 セミナーに所属している形になっている彼女だが、ミレニアムは実力さえ伴えば部の掛け持ちがOKなところがあり、ゲーム開発部のマネジメントを担当しているのは本人は否定しているものの、広く知られている事実だ。

 当然のことではあるが、マネジメントにあたって最大の敵は適当さである。そしてモモイはかなり適当な行動を多くすることがあり、そのたびにケイの怒声がミレニアムに響くというのが定番に成っているのだが……少なくとも、今回この環境では怒鳴り散らす真似はしないという分別がケイにはあった。

 

 

「……最低限の事もできないようならこちらにも考えがありますが」

 

「ご、ごめんってケイ」

 

「うわーん! ケイが怖いです!」

 

「お姉ちゃんの謝罪が早い……」

 

 

 その代わり、底冷えするような冷たい目線で見つめるやいなや、その圧に屈したモモイの無条件降伏が発生する。その後ろで同じく圧に負けたアリスの悲鳴が響き、ミドリは呆れた様子でそれを見た。

 

 

「はぁ……兎に角、これはいい機会です。良いゲームをつくるには引き出しを多く作る必要があるということですから、この環境をうまく使いましょう。もしかしたら新しい発見があるかもしれませんし、出来ることなら他の学園に友人をつくるのもいいでしょうね」

 

「ケイは簡単に言うけどさぁ……学園越えて友達つくるのって言うほど簡単じゃないからね!?」

 

「いいえ、これはケイの言うとおりです! 仲間を増やしてこその勇者というものですから!」

 

 

 ゲーム開発部一同の情けない姿を見て。思わずため息を漏らすケイ。この旅行の意義と成すべき方針を示すが、その内容はインドア組には中々辛いものがある。モモイの言葉にユズが無言で首を縦に何度も振って抗議の意を示すが、ケイは意に介す様子はない。

 逆にアリスが目を輝かせてそれを肯定したことで、ゲーム開発部VSケイという構図はあっさりと崩壊した。

 

 

”……ま、とりあえず私としては、あのトリニティの所にいる子たちと仲良くなってくれると嬉しいな。彼女たちは少々特殊な事情を抱えていてね、娯楽とかそういうのを全然知らないんだ。君たちがゲームを通して新しい世界を教えてくれるならば、それは私にとっても幸いだ”

 

「……えーっ!? ゲーム、知らないの!? そんなの人生の半分以上を損してるようなものじゃん!」

 

「お姉ちゃん、それは言い過ぎ……だけど、楽しいことを知らないで今まで生きていたなんて、一体どういう環境にいたんだろう」

 

 

 先生(マイケル)はケイの言葉を肯定するように、アリウスの生徒たちの事情を話した。無論、アリウス分校という存在を表立っては公表できないためにうまいこと所属を誤魔化しながら紹介したわけだが、特に娯楽を知らないというところが彼女たちの癪に障ったらしい。

 娯楽、すなわちゲームを知らない学生がいるという事実に憤慨する才羽姉妹。また、アリスとユズも信じられないといった表情を浮かべており、唯一ある程度の事情を聞いているケイだけは、彼が今その事情を話した意図を完全に理解していた。

 

 

「このリゾートにはゲームセンターもありますし、私たちでゲームの楽しさを教えれば良いんですよ。それに、もしかすればゲーム開発部のゲームの新規ファンが開拓できるかもしれませんね?」

 

「ぐぬぬぬ……ケイが正論すぎて何も言い返せない」

 

「言い返す必要もないでしょ」

 

「パンパカパーン! アリス、新たなクエストを受注しました!」

 

 

 そして、彼女に誘導されるようにゲーム開発部の面々はアリウスの生徒に関わるように意識が切り替わっていく。あのユズでさえその気になったのだから凄いものだ。

 しかし、そもそもどうしてこうも多くの生徒を引き連れてこのリゾートにやってくることになったのだろうか。話は数日前に遡る。

 

 

 

******************************************************************

 

 

 

 オフィスに響くペンの音、そしてタイプ音。積み重なった書類の山が見る見る崩されていき、人の頭が現れる。さらに書類の山は崩されて丘へとその姿を変え、しかし僅かな時間をおいて新たに用意された山がデスクに積み重なっていく。

 

 

ああ、くそっ(Oh, darn)

 

 

 新たに積み上げられた書類の量に思わず声を漏らすのは、このビルの主たる連邦捜査部シャーレの顧問、マイケル・ウィルソン。彼はトリニティでの一連の騒動が一段落し、いくらかぶりにシャーレのビルでの業務を行っていた。

 向こうでも日々業務を行っていたので仕事が貯まり貯まって大爆発みたいなことはないが、それでもこの量は普通にしんどいものである。もっとも、この量を選んだのは彼自身なのであまり強くは言えないのだが。

 気を取り直して再び書類の決裁を始める彼の眼の前で、シッテムの箱からアロナのホログラムが現れ、何か紙のようなものを持ちながら神妙な面持ちで口を開いた。

 

 

『先生、30分後に連邦生徒会からの面会予定が入っていますが……』

 

”そうだったのか? リンと……ふむ、財務室長がか。そうなると、歓迎の用意をしないと”

 

「来客の予定があるんですか?」

 

 

 アロナの言葉を受けて改めて自分の方でも確認すると、確かにリンともう一人がやってくるという予定になっている。いつこんな予定を入れたか覚えていないのだが、トリニティでの一件におけるゴタゴタの最中に入ったのだろう。

 迎えるにあたりコーヒーとお茶菓子の準備をするべきだなと彼は一旦仕事の手を止めて立ち上がろうとするものの、本日の当番であるシミコがそれを制止する。

 

 

「でしたら私が用意しますので、先生はお仕事の方を」

 

”ン……わかった、頼むよシミコ”

 

 

 それから書類を整理して山を1つ崩した頃、執務室の扉を叩く音が響く。時計を見ると予定の時間であり、すりガラスの向こうに2人分の人影が見えた。

 特に問題もないので招くと、入ってくる2人の生徒。七神リンともう一人、ユウカに似た菫色の髪をした生徒。間違いなく彼女が財務室長だろう。

 

 

「お忙しい所失礼します、先生」

 

”やあ、リン。それと……”

 

「はじめまして先生、連邦生徒会財務室長の扇喜アオイよ。今日はよろしくお願いするわ」

 

”うむ、よろしく”

 

 

 挨拶するアオイに対し、右手を差し出す。彼女は少しの戸惑いを見せた後、怖ず怖ずとその手を握った。

 

 

”シミコ、コーヒーとお茶菓子を”

 

「はい、どうぞ」

 

「ありがとうございます」

 

 

 ソファーに座る2人に対し、シミコは用意していたコーヒーとお茶菓子を出す。受け取るリンとアオイ、自分の分を用意していた先生(マイケル)はブラックのコーヒーを軽く呷って出方を伺う。

 その視線を受けつつ砂糖とミルクを混ぜたコーヒーを飲んだ2人は、互いに顔を見合わせた後にまずリンから口を開いた。

 

 

「本日は我々連邦生徒会の抱える問題について先生の手を借りるべく、このようなアポイントメントを取ったわけですが……」

 

「詳しくは私の方から説明させてもらうわ。現在、我々は連邦生徒会長失踪から続く一連の混乱により、D.U.地区の治安状況悪化、及び統治能力の低下に伴い増強された企業私設軍に対応するべく、莫大な額の防衛予算が必要となっているの。SRT特殊学園の維持、ヴァルキューレ警察学校の武装強化、どれも現行の予算では厳しいものがあるわ」

 

”ふむ、続けてくれ”

 

「新たな財源を確保するべく、連邦生徒会の保有する資産を整理していた所……相応に価値はあれど、死蔵状態にあるものが幾つも見つかったの。それらを活用して歳入とするプランを立てたのだけれども、先生にはそのための手助けをして欲しい……といった所かしら」

 

 

 そう言い、アオイが何枚かの資料を差し出してくる。書かれているのは「ロスト・パラダイス・リゾート再開発計画」というタイトルと、それに伴う各種情報。それらを手にとってささっと流し読みし、彼は顔を上げた。

 

 

”これは……公的な土地の民間資本による開発、そして土地のレンタル料での収入? 元は連邦生徒会の保養地として確保していたものを再利用して収入にするには悪くないプランと思うが、売却ではなくレンタルか”

 

「ええ、かなり昔のリゾート施設しか残っていない状況で売却しても二束三文にしかならない以上は、管理責任などの多少のリスクはあれどこういう形にする他なかったわ。一応、この群島はリゾートとしては良い立地をしているから投資額に見合うだけの利益を得られる筈よ」

 

「……連邦生徒会の資産を切り売りする形になるのは私としては望まない所がありますが、予算の問題はどうしようもありません。断腸の思いで今回の決断に至りました」

 

 

 どうやらこのプランはアオイが主導したものらしく、リンはあまり乗り気ではない様子。しかしそれでも首を縦に振らねばならぬほど連邦生徒会の予算が逼迫しているのは問題だ。

 お金がなければ行政は動けないというのはどこの世界でも共通である。議会の対立で予算が不成立になり公的機関が停止するのはアメリカではよくある話であった。

 

 

”まあ、それで私には何をしてもらいたいのか聞かせてもらおうか”

 

「ええ、先生には開発されたリゾートのモニターをしてもらいたいの。既に各種施設はある程度完成しているのだけれど、運営者が快適度を高めるために生の声を聞きたいと言ってるわ」

 

「できる限り大勢の声を聞きたいという要望でしたので、多くの学園から生徒を所属させているシャーレに白羽の矢が立ちました」

 

”なるほど、なるほど……大勢か。ふむ、どのくらいが良いとか、そういう要望はあるのか?”

 

「そこはお任せします。ただ、リゾートのキャパシティを越える数はやはり困ると思いますので、その点に関しては資料を参考にしてください」

 

 

 リゾートのモニターとして生徒を連れてきて欲しいという事業者の要望を伝えるリンとアオイ。資料を改めて読んだ彼は、収容人数を確認したうえでどの程度の数を連れて行こうかと考える。

 ロスト・パラダイス・リゾード群島、D.U.からそう遠くない南方の海域に存在する文字通り複数の島々からなる地域。1つ1つはそれ程大きな島ではないものの、かなり島々の密度が高いため実質的には相応に大きい島として扱うことが出来るのが利点。

 資料の中にあったパンフレットによれば、群島全体の宿泊可能人数は数百人レベルであるという。無論、まだ拡張可能な数字だというので最終的にはもっと増えることだろう。とすれば、数人程度では明らかに足りない。2桁人数でも全然だとすれば、やはり3桁人数ぐらいは連れて行くべきだなと彼は考える。

 

 

(”ふーむ、となるとやはりアリウスの子たちを連れて行くべきか。少々刺激は強いだろうが、楽しいことが沢山あるというのを教えるのにぴったりな場所だ。後は、他の学校の生徒とも交流させたいが……”)

 

 

 腕を組み、じーっとパンフレットを眺める先生(マイケル)の姿は、かつてホワイトハウスで世界地図を眺めながら国家の舵取りをしていた時の様子となんら変わりはしない。それはつまり、かつてはアメリカ、今は生徒たちを最重要と位置づけている証であった。

 

 

”……よし、わかった。多くて200人、そう伝えておいてくれ。最低限でも3桁の人数を連れて行くことになる”

 

「わかりました先生。それでは、私たちは先方にその旨を伝えておきます」

 

”ああ、頼むよ。それと……この間頼んだ件、予定日には間に合わせてくれるよな? そのためにこちらも色々やっているんだ、こいつは遅らせちゃいけない”

 

「……はい、その件は既に事務方に回しています。ご安心ください」

 

 

 方針は定まり、後は根回しなどを行い実際に生徒を集めるフェーズへと移っていく。

 かくして、連邦生徒会からの依頼によるシャーレ夏のバカンス大作戦が始まるのであった。

 

 

 

******************************************************************

 

 

「なるほど、事情はおおよそ把握できました」

 

「面白い目論見……だとは思うよ、私は。彼女たちの世界は未だに狭いからね、それを突き崩そうとする先生の意図は十分に理解できる。ただ、問題は……」

 

”刺激が強すぎる……それは十分理解しているが、あの子たちは外を知る機会が必要だ”

 

 

 ティーパーティーのテラスにおいてセイアとナギサにバカンス大作戦の概要について話した先生(マイケルは)、2人の反応を見ながら話を続けている。ちなみにミカは療養中という建前があるので今回の話には不参加だ。

 補習授業部にいるアリウスの生徒を可能な限り全員リゾートに送るというそのプランは、彼女たちの境遇を考えるといささか刺激が強すぎるように思えた。何せ、彼女たちは海を知らないのだ。

 しかし、先生(マイケル)が言うように彼女たちは外を知らねばならない。その点において、貸し切りのリゾートはおあつらえ向きの空間ではあった。できる限り部外者の干渉を排除し、純粋に環境のみで影響を与えられる機会はそうそうない。

 

 

「……ええ、わかりました。()()()()()()()()()()を先生に預けます。どうか、彼女たちに新たな学びを与えてください」

 

「まあ、ナギサならそういうと思ったよ。私としても異論はないつもりだ」

 

「とはいえ、彼女たちだけでは心配ですし、先生のキャパシティの問題もあるでしょう。我々の方からも先生の補佐のために何人か生徒を手配しますのでご安心ください」

 

”そいつは願ってもない話だ”

 

 

 思案の末、ナギサは彼の案を了承する。セイアもそれに同調した以上はティーパーティーの決定ということでもあり、誰も口を挟むことは出来ない。さらに補佐のための生徒まで手配してくれるというのだから至れり尽くせりといったところだろう。

 

 

「先生の案では他の学園の生徒も招くそうですから、トリニティの品位を下げぬようにふさわしい人材を用意します。先生、他に何か必要なものがあれば用立てしますが……ご希望のものはありますか?」

 

”うーん、そうだな……”

 

 

 さらにナギサは物資の面でも支援してくれるという。となれば何が必要かと彼は考え数秒、そう言えばこいつが必要だなと手を打ちながら思いついた。

 

 

”バーベキューセット、やはり休日といえばこいつだ。ただ大人数でやるとなると色々材料も多く必要になるだろうし、グリルも大型のを複数用意しなければならない”

 

「そのくらいの施設ならあると思いますが……」

 

”いいや、違うぞナギサ。良いか、バーベキューというのは本来低温でじっくり肉の中心まで火を通す調理法であって、キヴォトスで行われているようなものはgrillingという種類だからバーベキューとは別物なんだ。それで、私の故郷はバーベキューの本場でね、かくいう私も我が家に伝わるバーベキューのレシピを持っている。口の中でホロホロに崩れるブリスケット、骨から簡単にはがせるスペアリブ、肉のスモーキーな風味たるや、バーベキューソースをかけての一口……おっと、ここ数ヶ月食べれてないからか話してて涎がたれそうだ、失礼”

 

「は、はぁ……」

 

 

 バーベキューに対してただならぬ熱意を語る先生(マイケル)の姿に、思わず引くナギサ。上流階級的な暮らしをしている彼女にはあまり馴染みのないものなのかもしれないが、一方セイアは話を聞いて興味津々といった様子。病弱なのにアウトドア趣味フォックスですまない。

 

 

「ふーむ、実に美味しそうな話じゃないか。今はエデン条約の調印式を前にしているから私たちは休めないが、先生が後にご馳走してくれると約束してくれるかい?」

 

”ああ、勿論さ。とびきりのものを食べさせてあげよう”

 

 

 約束を交わし、ニンマリと笑う2人。セイアはあんなに積極的な性格をしていたのかと驚くナギサだが、先生(マイケル)の手料理が食べられるという話は魅力的だ。

 3人はそれからバーベキューに必要な食材、グリルの自作のために必要な材料などを手配し、お茶を楽しむ。なお、この会談のことは後にミカにバレてしまい、彼女が拗ねたということは言うまでもなかった。

 

 

******************************************************************

 

 

「それで、ミレニアムから誰かを出して欲しいということですか」

 

”ああ、そうだ。心当たりはないかユウカ?”

 

 

 所変わってシャーレにてユウカと話し合う先生(マイケル)。参加者の殆どはアリウスには決めているのだが、他校の生徒と触れ合わせることも彼のプランにはあった。

 ただし、その人員選定に関してはかなり慎重に決めなければならない。アリウスの生徒は元々ゲヘナに対して恨み辛みを叩き込まれているので、ゲヘナ学園から選ぶことはできないのだ。

 あくまで環境と、人材交流でアリウスの生徒たちに学びを与えるのが目的なので、そういった負の要素は今回は除いておきたい。ついでに言えば、百鬼夜行も()()()が相応に居るので同じ理由で選びづらいものがある。ゲヘナではないとはいえ、外見的特徴の類似がアリウス生徒にどのような悪影響を及ぼすかわからないため、そこは苦渋の決断である。

 他の学園を考えようにも山海経はそもそも閉鎖的なところがあり、レッドウィンターは純粋に劇物すぎる。そういうことも勘案して慎重に慎重を重ね選定した結果、残ったのはミレニアムともう1校―――

 

 

「うん、事情は理解した。今皆にも知らせたけど、全員OKだって」

 

”ありがとうシロコ”

 

 

 ―――アビドス高校。今となってはどこからも顧みられないがゆえに、しがらみのない学園。こういう時に都合良く声をかけられる存在は希少だ。

 借金返済の筋道も立ち、余裕があるからこそでもあるのだが、彼女たちにとっても休暇をのびのびと過ごせるのは魅力的なのだろう。シロコは対策委員会の皆のグループチャットを先生(マイケル)に見せ、ドヤ顔である。

 

 

「アビドスはこれでOKだけど、ミレニアムはどうなの、ユウカ?」

 

「ちょっと待ってて、今考えてるから」

 

 

 いつの間にか知り合いになり、それなりに交流を重ねていたシロコがユウカを急かす。とはいえ、アビドスと違ってミレニアムの生徒数はとても多く、適切な人材を記憶から引っ張り出すのは容易ではない。

 それから少しした後、ようやく出しても良い生徒の目星がついたのか、ユウカは先生(マイケル)へと改めて向き直った。

 

 

「ゲーム開発部の子たちが丁度よく手が空いてますね。ただ、あの子達だけだと不安なのでセミナーからケイちゃんを出しておきます。あの子、ゲーム開発部にも結構顔を出してるから問題はないはずです」

 

”OKOK、これだけいれば十分かな”

 

 

 アビドス高校とゲーム開発部(+ケイ)。数にすれば10名でしかなく、100名を大きく越える補習授業部(アリウス)の生徒からすればわずかだが、彼女たちのキャラの濃さを覚えていた彼はそれで十分だとした。今回の旅行の主役はあくまで補習授業部(アリウス)なのである。

 

 

「出来ることなら私もついていきたかったんですけど、今ちょっとセミナーの方で色々立て込んでいまして……はぁ、私だって海でゆっくりしたかったですよ」

 

「大変だね、大きい学校は。その点アビドスはアットホームで全校生徒が家族みたいなもの」

 

「それって、言い換えれば全校生徒の数が少ないってことですよねシロコさん?」

 

「困った……そう言われたら何も言い返せない」

 

 

 ため息を付きながら自分が行きたかったと漏らすユウカ。しかし仕事が溜まっている以上はそれ放り出して参加するわけにはいかず、残念そうだ。

 それを見たシロコが煽ってるのか心配しているのか、それとも母校自慢をしたいのか良くわからない言葉をかける。しかしユウカにマジレスを返され、なんとも微妙な表情を見せるのであった。

 

 

 

******************************************************************

 

 

 

 かくして彼の諸々の調整によって夏のバカンス大作戦は実行に移され、トリニティからはティーパーティーと正義実現委員会からそれぞれ10名、補習授業部からは130名&元補習授業部4名、アビドス5名、ゲーム開発部5名というかなりの大所帯がロスト・パラダイス・リゾートへとやってきていた。

 トリニティの面々はなんと客船をチャーターしての来島で、ここぞとばかりに資金力の違いを見せつけてくる。ちなみにアビドスは先日買ったというMH-60ヘリコプターで乗り付け、ゲーム開発部はセミナー、もといリオが保有しているという輸送機での送迎だ。

 既に全員がチェックインを済ませてビーチに集まっているが、ビーチ全体の広さから見ればこの人数でもまだまだ余裕はありそうではある。マイアミビーチやワイキキビーチと比べれば規模こそ幾らか劣るものの、質で言えば十分匹敵できるだろう。群島全体のキャパシティは千人単位を越える規模になるのは間違いないはずだ。

 

 

「いかがですかな、このロスト・パラダイス・リゾートは。このようなポテンシャルのある土地が死蔵されていたなど、連邦生徒会の頑迷さには呆れ果てるばかりですが」

 

”あなたは……”

 

「はじめまして、シャーレの先生。私は百鬼夜行連合学院自治区で観光地開発などを手掛けるヨツイ不動産開発、本プロジェクトの責任者であるヨツイです。先の百夜ノ春ノ桜花祭において魑魅一座とニャン天丸の妨害を打ち砕いたあなたのことは、ニュースで何度も耳にしました」

 

”これはこれは、ご丁寧にどうも”

 

 

 ビーチを眺めている彼に唐突に声をかけてくるのは、スーツをピチッと決めた柴犬獣人。ヨツイと名乗った彼と挨拶を交わし、名刺を受け取る。彼が今回このロスト・パラダイス・リゾートの開発の仕掛け人のようだ。ぱっと見、それなりに教養のありそうなビジネスマンに見える。

 

 

「我々ヨツイ不動産開発は今回お祭り運営委員会と協力してこのプロジェクトを立ち上げました。河和シズコさんは新規事業として海の家を経営したいと言っていましたからね、丁度我々も新規のリゾート開発を目指していたので渡りに船といったところでしょうか」

 

”シズコが? なるほど、彼女もここに?”

 

「はい、百夜堂出張版である海の家の設営に関わっています。マイケル先生が顔を見せれば彼女も喜ぶでしょうね」

 

”ふーむ”

 

 

 ()()()を避けるべくあえて百鬼夜行を選定から外したというのに、ここで百鬼夜行が絡んでくるとは思わなかった彼は腕を組んで思案する。が、居るならば仕方ないと割り切ることにした。これはシャーレの管轄外のことだからやむを得ない。

 

 

「それにしても、話は既に伺っておりましたが随分多くの生徒さんを集められましたね。流石はシャーレといったところでしょうか……私どもとしては当初は十数人がせいぜいだと想定していたので、これは予想外ではあります。無論、良い意味でですが」

 

”巡り巡って生徒のためさ、そのための努力は惜しまんよ”

 

「なるほどなるほど、噂通り生徒のためなら()()()()()ということですか。そういうことならば先生、当初の契約のとおりにモニター調査のことをよろしくお願いしますね」

 

 

 そう言い、ヨツイはお辞儀をしてから足早に去っていく。そのまま視線を浜辺に向けると、先程の話にあった海の家の周りに沢山の生徒が集まっているようだ。しかし、どうやら何やら揉めているようにも見える。

 慌てて駆け出した彼が海の家の前にたどり着くと、そこではアリウスの生徒同士での乱闘が発生していた。銃を持ち出さないように事前に預けさせていたので殴り合いにとどまっているが、どうしたものか。

 

 

「あわわ……あ、先生! ご無沙汰しています。その、この喧嘩を止めるのを手伝ってください!」

 

”何があったんだ、こいつは”

 

 

 海の家の正面では、アリウスの生徒の一部が2グループに分かれて乱闘状態になっていた。海の家の従業員……ではなく、お祭り運営委員会の委員長である河和シズコが仲裁に入ろうとしているものの、迫真の殴り合いの前に気圧されているようで助けを求めてきた。

 当然これを止めようとする先生(マイケル)であったが、流石に一人でこの数を捌き切るのは難しいものがある。思わず周囲に手を貸してくれそうな生徒が居ないか見てみると、海から上がってくる対策委員会の面々と視線があう。ナイスタイミングだ。

 

―――手を貸してくれ

 

 先生(マイケル)のアイサイン、対策委員会の皆は無言で頷くと一気に走り出し、近づいてくる。その手には銃を抱え……銃を? 彼が状況を把握しようとしたその瞬間、先頭を走るホシノは喧嘩しているアリウス生徒に銃口を向け―――

 

 

こりゃまずい(Oh, gosh)

 

 

 慌ててシッテムの箱を抱え、飛び退く。まさにそれと同時に銃声がビーチに響き渡った。

 

 

 

******************************************************************

 

 

 

 対策委員会の攻撃によって喧嘩をしていたアリウスの生徒たちはものの見事に全員昏倒し、百夜堂の従業員によって救護されることとなった。結局何が原因だったのかを周囲に聞けば、海の家で食べ物を買おうとしたアリウスの生徒間で列の横入りうんぬんがあったということらしく、その解決法としてアリウス流(決闘)が選ばれたのだとその場に居合わせたアズサは語った。

 先生(マイケル)は呆れながらもアリウスの皆に十分な量はあるから安心してくれと通達し、これ以上騒ぎを起こさないように釘を刺す。その一方で圧倒的な力強さを見せた対策委員会に対しては、アリウスの生徒たちはある主の畏敬の念を抱くことになったようだ。

 

 

「うへ~、強さの秘訣とか聞かれても困るな~」

 

「あなたみたいな強さがあれば、私たちだって先生の役に立てると思う。どうか師匠と呼ばせてください!」

 

「人気だね、ホシノ先輩」

 

「シロコちゃーん、他人事だとおもわないでよ~」

 

 

 師事したいと詰め寄るアリウスの生徒たちに辟易しながら、ホシノ達は焼きそばやイカ焼き、たこ焼きなどを食べていた。相変わらずのおじさん風な言動をしているものの、ホシノは一瞬で5人の生徒を昏倒させるという力強さを見せていたため、この扱いもやむなしといったところだろうか。

 皮肉なのか感心しているのかよくわからないシロコの言葉に、しょぼくれた表情を見せて泣き言のような言葉を漏らすホシノ。とはいえ、そのままイカ焼きをパクリと食べるあたり本気の言葉ではないのが丸わかりだ。

 

 

「いやー、喧嘩を止めてくださってありがとうございますー。これらは私からのお気持ちということで」

 

「わあ~、豪華なデザートですね~!」

 

「これ……すっごくおいしい!」

 

「……! 本当に美味しいですね!」

 

 

 なんとかアリウスの生徒たちからのラブコールから逃れた彼女たちに対し、シズコはお礼とばかりに特性のかき氷を持ってくる。シロップをかけただけのものではなく、フルーツや白玉が乗っている豪華なやつだ。

 受け取ったノノミが思わず声を上げ、受け取った皆も思わず目を輝かせる百夜堂特性スイーツかき氷。味は当然保証されているので、早速食べたセリカは至福の表情を浮かべている。それを見て食べたアヤネもまた同じような顔となった。

 

 

「ところでさー、君ってこの海の家の責任者か何かかな? 随分と手慣れてる感じがするけど」

 

「あれ、知らないんですかホシノ先輩? 百夜堂っていうと、百鬼夜行でも有名な喫茶店ですよ。そしてこの方はオーナー兼看板娘の河和シズコさん……ですよね?」

 

「あ、はいっ! えへへ、どこの自治区かは知りませんが、百夜堂の名が売れてるって聞くのは気分がいいですね!」

 

「ん、私たちはアビドス高校」

 

「アビドス、アビドス……あぁ、少し前にカイザーが痛い目にあったっていう!」

 

 

 対策委員会との話の中で、シズコは対策委員会の出身であるアビドスに関して思い出していた。少し前にカイザーグループが大きな損害を受けたというニュースをどこかで聞いていたし、その結果カイザーローンが潰れ、投資の話が消し飛んだことは記憶に残っている。

 無論、そのことで恨むアビドスを恨むシズコではない。後々、その投資話は詐欺めいたものであったと陰陽部のニヤから聞いていたので、むしろざまあみろといった所だ。

 さらに彼女たちと会話を交わしていくが、そうしている内にアビドスの事情―――すなわち9億円程度あったという借金の話を知り、複雑な表情を浮かべる。

 

 

「……多額の借金背負って、大変なんですねぇ。私も百夜堂を大きくするために日々お金のこと考えてますが、流石にここまでの借金は」

 

「ええ、まあ。でも、先生のお陰で相当借金は減ったんですよ? 終わりないディフェンスは終わって、ゴールが見えてきたと言いますか」

 

「シズコ、せっかくだし良い儲け話とか知らない? アビドスの借金は一日も早くなくしたい」

 

「うーん、残念ですがアビドスの今の状況では産業は呼び込めませんねぇ。観光にしても何にしても、砂嵐がなんとかならないとどうしようもないと言いますか」

 

「そっか、残念。でもまあ、気持ちだけは受け取っておくね」

 

 

 百夜堂オーナーとして、あるいはお祭り運営委員会の委員長として、お金の大事さを身に沁みているシズコには、アビドスの苦しみはある程度理解できるものがあった。とはいえ、アビドス自治区の現状を聞いたところでそれに対する案を出せるはずがない。それは彼女にとって心苦しいものだ。

 しかし、シロコとして外部からの支援など端から期待はしていない。アビドスの問題はできる限りアビドスで解決するべきだというホシノの教えが息づいている。とはいえ、一応同情はしてくれたし、かなり本気で何かないかと考えてくれたことの礼を述べるだけの良心はシロコにも存在した。

 

 

「話はかわりますけれど、皆さんはこれからどうされるつもりです? 夜までにはまだ時間がありますし、また海で泳ぐんですか?」

 

「うーん、そうだねぇ……どうせなら、お魚でも獲ってみる? うへへ、せっかくこういう場所に来たんだし、もっと楽しもうよ」

 

「いいですね~、ボートの貸し出しもしているみたいですし、雨雲号に積んできた釣具持ってきちゃいましょうか♤」

 

「ん……それならカジキマグロを釣り上げてみたい」

 

「いやいや、そんなのが島の近くに来るわけ無いでしょシロコ先輩……」

 

「あ、あは、あはは……」

 

 

 やりたいことを楽しげに語る対策委員会の皆の姿は、先生(マイケル)がアリウスの生徒たちにさせたい未来の姿でもある。その目的が果たされるかどうかはわからないが、バカンスはまだ始まったばかりでだ。

 

 

To be Continued in Interlude Ⅱ-Ⅱ ”Enjoy the summer(夏を楽しもう)




 夏イベント開催! アビドスリゾート復旧対策委員会及び出張!百夜堂海の家FC計画に相当する話ですが、前提条件としてカイザーローンが破綻し、オクトパスバンクが表に引っ張り出されているため詐欺られてません。しかし、マイケル・ウィルソンには狙いがあった。
 正規の手続きで行われているリゾート開発、その場を使ってアリウスの生徒たちに社会学習をさせようという彼の計画に巻き込まれる対策委員会とゲーム開発部、そしてアズサと一緒に遊びたいと混ざる元補習授業部、さらにリゾート開発に便乗して一儲けを企むお祭り運営居委員会。彼女たちはこのバカンスを無事に楽しむことができるのでしょうか。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。