アリウス生徒の朝は早い。もはや身体に染み付いた習慣とも言えるのだが、アリウス分校においては訓練は早朝から行われるものであり、それまでに起きれなければ懲罰がある。故に、自然と目が覚めてしまうのだ。
無論、保護されてからはそういうことは無くなったので一般的な起床時間まで寝ていられるのだが、彼女たちが二度寝せずにぐっすり眠れるようになるのにはまだまだ時間はかかるだろう。
閑話休題、目が覚めたアリウスの生徒たちは昨日の興奮が収まらぬようで、早速海に行こうとする生徒たちが十数人、ホテルを抜け出しビーチへと向かう。
だがその途中、香ばしい匂いがどこからとも無く漂ってきて彼女たちは足を止めた。朝食はまだ先のはずなのだが、一体これは何なのだろうか。
「こっちから匂いがするよね」
「うん、なんだろう……」
匂いのもとを探すべく、ビーチを歩く生徒たち。百夜堂出張版海の家はまだやっていないし、もう少し奥からこの匂いは漂ってくる。その先の木陰を覗き込んだ彼女たちは、いくつも並び煙を吐く、横倒しになって足の生えたドラム缶の群れに目を丸くした。
恐る恐る近づいていくと、それらは規則的に並んでおり、丁度彼女たちから見てドラム缶の群れを挟んだ向こうに1つのビーチチェアと、横に立つ濃紺色の巨人が見える。
それがシャーレの先生、マイケル・ウィルソンのメタルウルフだと言うことは、この場にいるアリウスの全員が知っていた。先の事件において、あれにこっぴどくやられたのは記憶に新しい。
”♪~♫~”
「あ、先生」
”おはよう、朝4時から何をしているんだい?”
「海で泳ごうかと思ってきたんだけど、先生こそこんな時間に何をしてるの?」
鼻歌交じりでドラム缶の蓋を開け、中の肉にアップルビネガーを塗布する
アリウスの生徒たちは彼の挨拶代わりの質問に答えると、逆に質問を返す。彼女達からすれば、現在進行系で
”ああ、これか……これはな、バーベキューだ。肉を焼いているんだ、今日の昼に食べられるようにな”
「え、こんな時間から?」
”うん、こいつは10時間ぐらいは焼く必要がある。昼に食おうと思ったら、まあ夜の間からやらないとな”
「黒焦げになっちゃいませんか、10時間も焼いたら」
”直接火にかけなければ大丈夫なのさ、そういう調理法なんだ”
「はぇ~……そうなんですか」
バーベキューについて軽くレクチャーを受け、学びを得た彼女たちは感心した様子でグリルを覗き込む。そこには彼女たちから見ればびっくりするほどに大きな肉が乗せられており、驚愕の表情のまま
”さて、次に手を入れるまで1時間ある。海で泳ぎたいんだろう? 私が見ておこうじゃないか”
「あ、良いんですか? えっと、それじゃあ、お願いします!」
”アロナ、タイマーと温度計の管理は任せる”
『はい、任せてください! 美味しいお肉のために、アロナ頑張ります!』
「先生、早く早く!」
そして彼は、アリウス生徒の海で泳ぎたいという要望に基づき、その安全のために監視員としての役割を申し出る。危険だから監視員無しでは泳ぐなと言われていた故にこっそりと泳ぐつもりだった彼女たちであったが、思っても見なかった彼の提案に色めき立つ。
そして今すぐにでも泳ぎたいと気持ちが前のめりになり、
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このロスト・パラダイス・リゾートに忍び込んでいるジャブジャブヘルメット団、そのリーダーである河駒風ラブはひっそりと身を潜めながらリゾートに配備されている対空迎撃システムに近づいていく。
これらはレーダー管制によって自動的に作動する30mmの連装自動砲塔で、実力を伴う妨害を想定して配備されているものである。このリゾートの中心部がある島には4基ほどが配備されており、ドローンによる爆撃、あるいはミサイル攻撃に備えているのだが……彼女たちの目的はまさにこのリゾートの破壊であり、その達成のためにはこれらが邪魔なのだ。
彼女たちのプランでは夜間から日中に警備態勢が入れ替わるその瞬間を狙って迎撃システムを破壊、その後
『な、なんだぁ!? なんでこんな早い時間から泳いでるやつが居るんだよ!』
「ちょっと、何があったのよ2班! きちんと報告しなさい!」
『ら、ラブ隊長、イレギュラーです! ぎゃあっ!?』
幾つかに別れた別働隊のうちの1つからの緊急通信。何事かとラブが問うものの、銃声と同時に断末魔の悲鳴が聞こえ、途絶する。先程の通信先と銃声が聞こえた方向から察するに、今のはビーチ方面だ。
迎撃システムは4基全てを破壊しない限りミサイルによる攻撃は効果が薄くなる。事前にもらった資料によってそのすべての位置は知っているのだが、特にビーチに配備されているシステムは全方位に射線が通っており、これは最重要標的であった。そのビーチのシステムへ向かった部隊が撃破されたというのは大問題であり、ラブは選択を迫られる。今撃破された仲間を助けるべきか、見捨てるべきか。
(ビーチに人が居て、それに見つかったにしてもやられるまでが早すぎる。でも、仲間を見捨てて逃げ出すなんて出来ないし……ええい、ままよ!)
「全部隊に通達、作戦変更! 各自担当のものを破壊次第、ビーチに集合! 敵がいるわ、気を引き締めなさい!」
『了解!』
しかし、ラブには仲間を見捨てて逃げ出すという選択肢は取れなかった。そもそもこのジャブジャブヘルメット団、ラブの人柄に寄って成り立っているところが大きい故に、情けない真似などできようはずがないのだ。
彼女の号令によってジャブジャブヘルメット団はビーチへと向かう。その士気は高く、彼女たちは未来の栄光を信じて進むのであった。
―――その先に居るのが何であるのか、何も知らずに。
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「目標ダウン、拘束します」
「拘束って言っても、ハンドカフないよ? 適当な紐で縛っちゃう?」
ビーチにて、ズタボロになった招かれざる客もといヘルメット団を囲む十数人のアリウス生徒達。泳いでる最中に突然現れ、丸腰だと思って油断して襲いかかってきたものの、そこは流石にアリウス出身者。防水袋に銃を入れて携行していたため、数の暴力であっという間に制圧したのだ。
賊は数にして4名、装備を改めて見たところコンポジション爆薬を携行しており、このヘルメット団員が破壊工作を目論んでいたことは明白。拷問、もとい尋問をするべきだと拘束を試みるが、水着姿の彼女たちには拘束するための道具はない。
適当な紐を見繕おうと探し回り、見つけたのはビニール紐。ささっと手を縛り、いざ尋問開始……そう思った矢先、リゾートの各地から爆発音が鳴り響いた。
”何だ?”
「爆発! こいつら、やっぱり仲間がいるんだ!」
シッテムの箱を手に周囲を見渡す
直ちに浜に置いた荷物から弾薬、マガジンを取り出し身につける。戦闘準備を整えた彼女たちは
「先生、指示をお願いします」
”……わかった。アロナ、生徒登録。リゾートのカメラなどをハッキングして情報収集だ”
『はい! お肉のタイマーまであと20分、それまでに決着を付けましょう!』
シッテムの箱に生徒達を登録し、データリンク。このままメタルウルフのところまで戻りたいが、どうやらそんな余裕は無いらしい。接近するヘルメット団の姿をアロナはしっかりと捉え、シッテムの箱に転送する。
『カメラからの映像確認、ヘルメット団の生徒さんが接近しています。最短の接触まで50秒!』
”部隊を半分に分けるぞ。君たちがA班、そちらはB班、A班は接近するヘルメット団にあたり、B班は回り込んで側面を取る。今すぐ動け、
「了解!」「行きます!」
直接指揮できるのが前衛4名後衛2名の計6名なのが唯一の欠点といえるが、周辺地域を俯瞰して生徒を複数、リソースごとまとめて管理できるこのシステムがあるからこそで、先生として生徒を指揮し、その能力を完全に発揮させることができる。
「来た!
「良くもうちらの仲間をいたぶってくれたわね! お前ら、やるわよ!」
「うおおおおっ!」
”今だ、
縛られている仲間を認め、その解放と報復を狙って突撃してくるヘルメット団と正面からぶち当たるA班は、数において劣るが練度では勝る。
光学照準器をあまり使わずアイアンサイトを多用するキヴォトスでは、きちんとしたフォームで狙えるかどうかというのは純粋に命中率に直結するのだ。その点において不良生徒というのはきちんとした訓練を受けていない事が多く、銃撃戦において不利になる。
「うわぁっ!?」
「な、なによこいつら! こんなのが居るだなんて聞いてないわよ!」
先程までの勢いはどこへやら、アリウス生徒の正確な射撃の前にラブ達は瞬く間にその突進力を失い身を隠す場所を探そうと隊列が崩れる。そして、その瞬間を見逃す
”B班、突撃”
「行っけぇぇぇっ!」
「うわあっ! 横から?!」
迂回し、
次々に被弾し、その場に昏倒する団員たち。もはや逃げることも出来ないとラブは物陰で縮こまる。しかし、彼女には逆転のための切り札があり、今こそそれを使う時だ。
「う、うちらを助けなさい、ワカモ!」
「あがっ!?」
「一人やられた!」
ラブが声を張り上げその名を呼んだ瞬間、どこからか飛んできた射撃によってアリウス生徒の一人が倒れる。さらに銃声が鳴り、もう一名。
「まったく、随分と情けない姿を晒して居るようですが……」
「そ、そんなことはどうでもいいから、早くうちらを助けなさい!」
ライフルのボルトを引いて次弾装填しながら物陰から姿を見せるワカモは、ジャブジャブヘルメット団の情けない姿に呆れた様子を見せつつも、また狙いを付けて引き金を引く。
狙われたアリウス生徒は咄嗟に身構え、腕で頭部をかばうことで気絶を免れたが、それと引き換えに受けたダメージは大きく、銃をその場に落としてしまった。
「うぐっ!」
”君は……”
「!? あ、貴方様は……これは一体、どういうことで……」
「……あれ? ちょっと、どうしたのよ!」
そしてワカモと
マイケル・ウィルソンは新たに乱入してきた賊、その姿に見覚えがあった。和装に近い服装と、狐面。赴任した初日、シャーレビルで遭遇したのがつい昨日の事のように思い出される。
一方のワカモはといえば、
そして恋する乙女モードとなったワカモは今現在
「攻撃の手が止んだ今がチャンスだ! 全員、火力集中!」
「いけーっ!」「このっ!」
「あっ……ひぃん!」
「ちょっと、どこ行くのよ!」
その隙を見逃さず、アリウス生徒たちは持てる火力をワカモに向ける。硬直状態であった彼女はダメージこそ少ないものの、たまらず悲鳴を上げてその場から飛び退いた。そしてそのまま戦線を離脱しようとする動きを見せ、実際に射撃をしながら下がっていく。
まさかのワカモの逃亡に声を荒げるラブであったが、この瞬間において勝機が消滅したことを悟る冷静さもあった。少なくとも、こうなってしまったのなら今は玉砕するではなく逃げるが勝ちだ。
「くっそぉ……覚えてなさいよ! あんたたちも起きてるならさっさと逃げなさい!」
「退却、退却ーっ!」
ラブの号令のもと、ばらばらに敗走するジャブジャブヘルメット団。拘束していた最初の生徒たちも戦闘の隙をついて逃げ出すことに成功し、木陰の向こうへと消えていく。
「……やった、勝った!」
”戦闘時間3分。皆、良くやってくれた!”
「いえい! 先生の指揮があるとこんなにも戦いやすいなんて!」
捕虜が逃げてしまったのは残念だが、どうやらこれでカタはついたようだ。
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「この度は当方の警備の不手際でこのような事態を招き、大変申し訳ございませんでした」
あれから2時間、騒ぎを聞きつけたリゾートの警備員が事態の収拾にあたり、破壊された対空迎撃システムの消火、散乱したゴミの片付けなどを終え、一先ずビーチは再び利用できるようにはなった頃、ヨツイ不動産開発の社長であるヨツイは
しかし、生徒たちはそれ程問題に思っている感じはなく、アリウスの生徒たちは何であれアリウスよりマシだぜ! といった感じであるし、対策委員会はまたヘルメット団? といった様子で、ゲーム開発部と元補習授業部に至っては何が起きたのかの把握すらおぼつかないようだ。
”まあまあ、頭を上げてくださいミスターヨツイ。我々に怪我はなく、リゾートの設備も殆ど損害を受けなかった。それで十分ではないですか”
「ま、マイケル・ウィルソン先生……」
”しかし、あのヘルメット団は何を狙っていたのか……破壊されたのは対空迎撃システムというのが気になりますが、心当たりはありますか?”
「……そうですね、このリゾートの開発は我がヨツイ不動産開発の社運を賭けたものです。そして我が社は百鬼夜行自治区において多くのリゾート開発を手掛けていますので、その利権が欲しい外部の同業他社が我々を破滅させる目的で工作することは考えられます」
”Oh...企業倫理どうなっているんだキヴォトス、いい加減にしろよ……”
ここに至り、ロスト・パラダイス・リゾート開発に当たっての裏事情を語るヨツイ。企業間抗争の可能性が浮かび上がり、
「あの対空迎撃システムはドローンからの爆撃、あるいはミサイル攻撃からリゾートを守ります。幸いビーチのシステムが生きているので、そういう攻撃があっても大丈夫とは思いますが」
「…………」
”ん、どうしたハナコ?”
それでもあくまで安全を語るヨツイであったが、ハナコがぶつぶつと何かを呟いている事に気づいて
「あ、いえ……先程のお話で出て来たヘルメット団ですが、そもそもどうやってこの島に入ったんでしょうか? ここはそこそこD.U.からも離れていて小さなボートでは到底来ることは出来ませんし、空から来ると対空迎撃システムに撃たれるんですよね?」
”そうだな”
「……総数20名程はヘリで運ぶには多いです。彼女たちは恐らく中規模以上の船舶を運用しているものと推測できますが、武装している船舶での攻撃を企図しているのではないでしょうか?」
「あわわ……ハナコちゃんの目が据わってます」
「あれは怒っている……でいいんだろうか」
「多分……」
話を聞いていた彼女は、
その横では元補習授業部のメンバーがそんなハナコの対応についてヒソヒソと小声で話し合っていた。実際、彼女たちの言葉の通り今のハナコはすこぶる機嫌が悪い。せっかく元補習授業部のメンバー、それも上級生は抜きで遊べるという理想的な状況にあるのに、水を差された形なのだ。
彼女の中でヘルメット団許すまじという気持ちが大きくなり、自身の頭脳を使ってでも追い詰めてやろうという意図がそこにはあった。とにかく、こういう時にハナコを怒らせるとあとが怖い。
「地形データは拝見させてもらいました。現状、私の推測でしかありませんがヘルメット団の潜伏先についてはこのあたりではないかと」
「東の……入り江ですか。確かにこちらはまだ開発途中で手があまり入っていないエリアですね」
”どちらにせよ、逃げ出したヘルメット団の捜索をする必要はあるでしょう。それとミスターヨツイ、ヘルメット団は狐坂ワカモを雇い入れていた。百鬼夜行出身ならばその意味は判ると思いますが……”
「さ、災厄の狐まで居るとは……ですが、我が方の警備部隊にお任せください。これ以上、生徒さんたちの手を煩わせるわけにはいきません。あとはこちらで始末をつけますので、どうかごゆっくりと。朝食の方は予定通り用意しておりますので」
”…………”
ワカモの存在に顔を青くしつつも、あくまでこの件を企業間抗争によるものとして片付けようとするヨツイ。しかしそうなった場合には無学籍生徒たるヘルメット団がどうなってしまうのか、それは想像に難くはない。
おおよその場合企業に労働力として搾取されるか、あるいは矯正局にぶち込まれるか。どちらにせよ、このまま鎮圧された場合ラブ達の未来は明るくないのは明らかである。連邦捜査部シャーレの顧問、キヴォトス全土の生徒の先生であるマイケル・ウィルソンとしては看過できるものではなかった。ヘルメット団のような不良であっても、再起の機会はあってて然るべきというのが彼の考えだ。
そして彼は腕を組み、考える。果たしてこの件をこのまま見過ごしてしまって良いのだろうかと悩み、そして一つの結論に至る。
”いいえ、ミスターヨツイ。生徒の起こした事件ならば、連邦捜査部S.C.H.A.L.Eが対応しましょう。それが先生として私が取るべき責任というものです”
「……まさか、お客人の手を煩わせるわけには参りません。ここは我々にお任せください」
”キヴォトスの全ての生徒は私の生徒です。どうかミスターヨツイ、私にこの場を任せていただきたい”
「せ、先生!?」「先生が頭下げてる……」
引き下がらぬヨツイに対し、
「ま、マイケル・ウィルソン先生、あなたがそこまでしなくとも……」
”頭を下げて生徒の未来の1つでも守れるならば何度でも下げましょう。それが例えヘルメット団であっても、私は彼女たちに明るい未来を見せてやりたいんです”
「うへ……そういえば、先生はそういう人だったね。アビドスの時もヘルメット団に声がけしていたなぁ」
「そう言えば……そんなこともありましたねぇ」
「………わかりました、先生。ヘルメット団の掃討はあなたに一任し、警備部隊はあくまで施設の警備と防衛に全力を尽くすように命じます」
”ありがとうございます、ミスターヨツイ”
あくまで生徒のためと粘る
このまま平行線になったらどうしようというところだったが、ヨツイがワカモを相手に戦うことを内心嫌がったのが彼が折れた理由である。百鬼夜行出身者ならばワカモの被害は飽きるほど聞いたであろうから、この結論に至るのは当然と言えた。
「……まあ、それでも朝食は食べていってください。当リゾートのシェフが腕によりをかけて作っていますし、何より朝に何も食べないと1日の元気がでないでしょうからね」
”ええ、それはもちろん。ああ、それと……”
「なんですか?」
”掃討に出かけるのはもう少し後にしていいですかね、ちょっと今バーベキューの手が離せなくなる時間になるので”
「は、はぁ……まあ、問題はありませんよ、これ以上の被害がでないのなら……」
ヨツイは先程から気にしないようにしていたが、
しかし、これはもしかしたら商機になるのではないかと彼の経営者としての嗅覚が働く。シャーレの先生の人気は右肩上がりの青天井、シャーレの先生直伝の肉料理を提供できれば、手間こそかかれどこのリゾートのウリになるのではないか。
「マイケル・ウィルソン先生、もしよろしければうちのシェフにこのバーベキューのやり方を教えていただけませんか? あなたの名声はキヴォトス全土に響いていますので、あなた直伝の料理となれば我がリゾートの目玉になるのではないかと」
”……なるほど、考えましたな。いいでしょうミスターヨツイ、その話を承諾します”
ヨツイの提案を彼は即座に承諾した。あまりの即決っぷりにヨツイも驚いた顔を浮かべるが、
「では、早速シェフを呼んできます」
”ええ、できる限り早めにお願いしますねミスター”
ヨツイがシェフを呼びに離れるのを見送ってからブリスケットに引き続き、スペアリブを焼き始める
身の安全のためにメタルウルフをバックに、彼は火や温度の管理を行っていく。ここから3時間ほど経てば次の工程に進めるが、それまではこういう細かな調整を繰り返すだけだ。
「先生、お食事を持ってきました! 一緒に食べましょう!」
”お、ありがとう”
「まだ肉は焼けないんですね、本当に10時間はかかるんですか? こんなに手間のかかる料理なんて、アリウスではまず無理でしたから食べるのが楽しみです」
”なら楽しみにしてくれ、君たちの度肝を抜いてやろう。それと、こいつのやり方を君たちにも少し教えておこうか”
「はい!」
先程の戦闘で指揮したアリウスの生徒の一団が持ってきてくれた食事を共に食べ、バーベキューについて語っていく。彼女たちにとってそれは新しい知識との出会いであり、全てが新鮮なモノと言えた。
「お待たせしました、マイケル・ウィルソン先生。こちらが当ホテルのシェフになります」
”よし、ではインストラクションだ。メモを忘れずにな”
そしてヨツイの連れてきたシェフと共に、バーベキューのやり方を彼女たちは学ぶ。それこそ肉の下ごしらえから仕上げまで、流石に全部を実演することはできないが、ウィルソン家秘蔵のレシピ本の中身を余すこと無く教えてていく。
その中で、いつかこの料理をアリウスのみんなに食べてもらいたいなというささやかな願いが、彼女たちの中に芽生えるのであった。
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島の東、いまだ未開発の原生林が茂る丘陵をトボトボと歩くジャブジャブヘルメット団一同。奇襲して大勝利のはずが、逆に目標を達成できなかったということもあって士気はどん底で、その足取りは重い。
「うぅ、お腹すいた……」
「しっかりしなさい、もう少しで拠点に戻れるんだから」
おまけに朝駆けした都合朝食もまだなので、彼女たちは空腹、疲労、負傷というトリプルパンチを受けてボロボロである。ラブが目を光らせているので落伍者は出ていないが、彼女自身も非常に辛いのを我慢していた。部下が見ている手前、弱気な姿を見せるわけにはいかないのだ。
「ねえワカモ、なんであそこで攻撃やめたのよ。あんたがもっと頑張れば成功したかもしれないのにさ」
「………」
足を引きずりながらも先程の戦いで予想外の逃亡をしたワカモに対し、その理由を問う。ここで喚き散らし、当たり散らすことをしないのはその元気が無いからだ。一方ワカモはなにかブツブツと呟き、ラブの言葉が耳に入っていない様子。
「なんとか言ったらどうなのよ!」
「あぁ、あなた様……あなた様はどうしてシャーレの先生なのでしょうか」
「ちょっと、聞いてる!?」
明らかに自分の世界に浸っているワカモに対し、ラブは思わず声を荒げる。するとギョロリと言った様子でワカモの狐面が向き、思わず彼女は仰け反った。
「どうしてシャーレの先生がこの地にいらっしゃることを黙っていたのですか?」
「う、うちらだって知らなかったのよ。ただクライアントからこのリゾートを破壊しろとしか言われて無くて……」
「うふふ……そうですか。では、私からお願いがあります」
「へ?」
ラブの弁明を聞いて不敵に笑うワカモの姿に、彼女は背筋が凍りつくような感覚を覚えた。まるで自分たちが捕食者の前に立たされたような感覚に陥り思わず足が震える。
「ええ、簡単なことです。先生はきっとあなた方を追ってくるでしょう、その際に少々他の方々の足止めをしてもらいたいのです」
「は、はぁ!?」
「うふふ、私と先生が一対一になる場面を作ってもらいたい、ということです。出来ないとは言いませんよね?」
それはあまりにも無茶苦茶な要望……いや、要望ではないだろう、これは事実上の命令だ。ただの雇われの用心棒であったはずのワカモに命令される事態に、ラブは頭に血が上りそうになった。
しかし、反論しようとした瞬間に銃剣が喉元に突きつけられ、吐き出すべき言葉を失う。もし何か言い返せば、間違いなく言葉ではなく暴力が返されるのは明らかだ。
「私は確かにお願いをしていますが、そもそも貴女方に拒否権があるとお思いで?」
「わ、わかった、わかったわ。でも、少し休憩して軽い食事ぐらいは許してよ、何も食べてないと流石に力が出ないわ……」
「……まぁ、その位でしたらいいでしょう。うふふ、あなた様……今、このワカモが会いに行きます」
この場にいる全員の力を合わせたところでワカモ一人に対処する能力もなく、ラブ達ジャブジャブヘルメット団はこの瞬間を以て乗っ取られてしまう。ヘルメット団という駒を手にした彼女は
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あれからしばらくの後、マイケル・ウィルソンは志願者を募ってヘルメット団追跡のための部隊を編成、島の東側の捜索に乗り出した。とはいえ、実を言えばほとんど全員が志願したために20人程度に選抜し、それを3つに分けての投入である。さらに補佐役としてアヤネ他数人がビーチからドローンを操作し、支援を行っていた。
あぶれた生徒たちはビーチなどで待機しているものの、選抜した生徒たちの実力は十分なので彼女たちの出番はないだろう。そのまま遊んでくれれば良いのだが。
指揮のためにメタルウルフを着込んだ
以前、エリドゥにおける事件の最終盤において天童アリスがケイと共に
『こちらはアリスです。空からは海と森しか見えません!』
アリスからの通信によれば、どうやら彼女からは地上の様子がよく確認できないらしい。意外とこの周辺の木々は密度が高い上に、不意の被弾を避けるためにやや高度を取っているため細かい索敵ができないのだろう。
『アビドス班、現在ヘルメット団のものらしき足跡見つけたよ~』
『アリウス班、視線を感じます。近くにいるとは思いますが、姿は見えません』
その一方で地上で前衛を張る対策委員会の4名と、残りはアリウスの生徒で揃えられたチームがそれぞれヘルメット団の近くにいるということを伝えてくる。
いつどこから撃たれるのかわからないストレスがあるだろうに、通信の向こうから聞こえるホシノの声は何時ものような気が抜けたようなままだ。その一方で、アリウスの方は緊張している様子が声だけでも感じ取ることが出来た。
『ワイヤートラップを確認、周辺に敵影は見えず……解除します』
”……っ! いかん、そいつには手を出すな!”
『えっ……っ!?』
直後、ブービートラップを見つけたアリウス班は捜索中の事故防止のためにその解除を試みる。しかし、明らかに見え透いた位置のトラップなど、実践ではミスディレクションを誘うテクニックだ。
呆けたようなアリウス生徒の声の直後、無線からはノイズが走る。同時に激しい爆発が起こり、衝撃波で木々が揺さぶられた。隣でユズが悲鳴を上げ、モモイとミドリが思わず目を瞑る―――彼女たちが注意が散漫になったその瞬間、銃声が響く。
「うっ、狙撃!?」
「あわ、わわわ……」
”待ち伏せか……一旦下がれ、私が殿を務める!”
ケイがどこからとも無く放たれた銃弾を頭部に被弾し、大きくよろめく。アンドロイドボディ故の頑丈さで気絶はしなかったものの、今の一撃のダメージは相応に強烈だったようで、自身の武器であるエアレンデル:ルミナス・ノヴァ*1を杖代わりにして転倒しないようにしていた。
この状態では応戦は厳しいと見た
”ホシノ、そっちはどうだ!?”
『10人位から撃たれてるけど、こっちは大丈夫! 今一人減った!』
”そうか、無理はするなよ。今日の昼が食べられなくなるのはもったいないからな!”
シッテムの箱から得られる情報によって、
彼は直ちにブースターを噴射し、跳躍。木々の枝々をへし折りながら目的地に到達すると、アリウス生徒とヘルメット団の間に割り込むように機体を滑らせて生徒たちの盾とした。銃弾が装甲を叩くが、先に述べたように歩兵用小火器程度ではメタルウルフはびくともしないのだ。
「先生!」
”私がこの場を引き受ける、君たちは急いで離脱しろ!”
「は、はい!」
『アリスです! 先生の位置を確認しました、これから援護します!』
アリウス生徒が気絶した仲間を担いで離脱する間、メタルウルフは2丁のペイント弾拳銃を手にしてヘルメット団を狙い撃つ。正確なヘッドショットでヘルメット団は染料によって視界を奪われ、そこへ空からアリスが正確な射撃を行い、次々に敵を撃ち倒していく。
今アリスが持っているのは、リオやエンジニア部が協力して制作した小型軽量化されたレーザーライフル。その名も光の剣:スーパーノヴァ for ブレイブアーマー……Mk.Ⅱと比べて出力は大幅に劣るものの、それでも対人出力で放てば一般的な生徒は一撃で昏倒する威力を持っていた。
「く、くそっ! 逃げろ、後退だ!」
”アリス、相手は退いていく。私は良いから離脱したアリウス生徒たちを援護してやってくれ”
『はい! アリス、新たなクエストを受注しました!』
たちまち半数が撃ち倒されて逃げ出すヘルメット団の姿を見て拳銃を下ろした
『先生、0方向から接近する反応があります!』
”今日の天気は快晴のはずだろう!”
次の瞬間、アロナの警告に従い上を向いた
生徒が落着した衝撃で周囲に土煙が立ち込めその姿は良く確認できないが、先程見えた狐面は間違いなくワカモのもの。
「うふ、ふふ、ふふふふ……流石はあなた様。今の一撃を躱すとは、このワカモの目に狂いはありませんでしたわ」
”……一体何なんだ、これは”
土煙が晴れ、立ち上がるワカモ。彩り鮮やかな日傘を片手に仮面の下で笑うその姿に
「ふふふ……このワカモ、あなた様をひと目見たあの時からずぅーっと心焦がれておりました。そして今、このリゾートであなた様と再び出会えたのも何かの縁、私と一夏の思い出作りを致しましょう!」
”………huh?”
「あのような有象無象は置いておいて、こちらの入り江で私と楽しみましょう? そのためにも、その無粋な鎧を剥がして差し上げます!」
”チッ!”
あからさまな好意、それこそ熱愛と表現しても過言ではないものを向けられて思わず呆気にとられた
彼の反射神経をもってしてもそれは躱すことが出来ず、メタルウルフの装甲を穿つように銃弾が突き刺さる。モニターの片隅でダメージレベルが表記されるが、ただの歩兵用ライフルだというのにまるで機関砲弾を叩き込まれたような威力だ。
反撃のために咄嗟にペイント拳銃を向けるが、その引き金を引く寸前にワカモは跳躍して回避すると、さらにもう一発を頭部カメラ目掛けて放った。流石にこれは首を動かして直撃こそ避けるが、衝撃で内部コンソールがスパークする。
”この歳になって若い子にモテるとは思わなかったが、しかし!”
「あなた様がその鎧を脱いでいただけるのならば、このような真似はせずに済むのですが……!」
”そちらこそ、レディーならレディーらしく大人しくしてくれるとありがたいんだが、な!”
激しい銃撃の応酬、しかしワカモの攻撃は単発が致命打にはならず、
キヴォトスの猛者は銃弾を避ける事ができることは知っていたし、実際に見たこともあったのだが、直接こうして相対するのは初めてだ。彼は表面には出さないものの狙いが定まらないことに苛つき、火器管制をFCSからマニュアルへと切り替える。
『先生、そっちはどうなの? さっきから銃声が聞こえるけども』
”少しばかり立て込んでいるよ、少々手間取っていてね……!”
『なんだかヤバそうじゃない? 今そっちに行くから、待ってて!』
『わかった、こっちは任せてホシノ先輩!』
戦いの最中、通信で割り込んでくるホシノは
”こいつなら、どうだ!”
「そんな玩具でこのワカモを止めようだなんて、あなた様はお優しいですね!」
マニュアルによる射撃を2発、ワカモはそれが避けきれないと見るや日傘を盾に受け止めた。一体どんな素材を使っているのか知らないが、ペイント弾とはいえ直撃を受けても布地は破れずに赤い染料がべっとりと付く。
そこから流れるように彼女はもう一度日傘を真上へと放り投げ、何処に持っていたのかダブルバレルショットガンを構えると、狙いをもう一度メタルウルフの頭部につけてトリガーを引いた。
放たれたのは徹甲榴弾、FRAG-12。
”
姿勢を崩したことに一瞬気を取られ、リアクションタイムを失う。このまま頭部への被弾が避けられないように思えたが―――
「それはさせない……よっ!」
”ホシノか!”
「ちっ……邪魔が入りましたか」
IRON HORUSを構え、メタルウルフとワカモの間に滑り込むホシノ。盾の表面で2発のFRAG-12が炸裂して小さなクレーターを作るが、貫通はしていない。
邪魔が入ったことでワカモは舌打ちをし、仮面の下で表情を歪ませる。しかし同時に冷静に状況を分析し、ヘルメット団が壊滅状況に陥ったことを悟った。
「まったく、ヘルメット団も根性がありませんね……この程度の数を押さえられないなんて」
「逃げるつもり? そうはさせないんだけどねぇ~」
身を翻し、場を離れるワカモ。それを追うホシノを彼は更に追いかける。この先は入り江を臨む断崖絶壁で逃げ場など無いはずだが、ワカモは何をするつもりだろうか。
『あっ! ヘルメット団が逃げ出した!』
『残弾が乏しいから追撃は無理よ、シロコ先輩』
”アリス、聞こえるか? 敵が全面的に逃げ出した……空から先回りしてくれ、それと船がでてきたら一度下がるように”
『わかりました、先生!』
対策委員会からの通信でヘルメット団が全面的に敗走していることを知った彼は、一度下がらせたアリスを再度呼び戻す。海側から圧力をかけ、挟み撃ちの形に持ち込み降伏を勧告するつもりなのだが、問題はハナコが予想していたヘルメット団がこの島に乗り付けてきたであろう船だ。
どんな船に乗ってきたのかは知らないが、武装船舶だった場合には少々面倒なことになるのは間違いないだろう。
走る彼の上空をアリスが通過する音が聞こえると同時に森が開け、岬へと至る。そこでは既にホシノがワカモと対峙し、銃口を突きつけ合っていた。
「さあ、もう逃げ場はないよ。大人しく捕まってくれれば先生に面倒をかけさせないんだけど?」
「ふふふ……勝ったつもりになるのは、些か早いのではないでしょうか?」
「そうかな? 後ろでアリスちゃんが狙っているのくらい見えてるでしょ、それでもまだやるの?」
「はい! アリスの狙いはバッチリです!」
前門のホシノ、後門のアリス。こうなってはあの空崎ヒナであっても無傷で離脱することは不可能で、普通であれば投降するか叩きのめされるかの二択しかないだろう。だというのにワカモは懐中時計を取り出して呑気に時間を気にしている。
「さて、そろそろ時間でしょうか」
「なーにが時間なのかなぁ? いい加減にしないと、おじさん―――」
「……ッ!? センサーに反応があります! これはッ!?」
あまりにも危機感を感じさせぬ態度に苛ついたホシノは、とうとう我慢の限界を迎えて引き金にかけた指に力を込める。もう少しで弾丸が発射されようとしたその瞬間、アリスが何かを察知して叫んだことでホシノの意識がワカモから外れた。
遠くから聞こえるタービンの音、ジェットエンジンが奏でる騒音が段々と近づいてくる。それが一体何なのかと理解する時間もなく、今度は崖下から重低音が響いてきた。直後、入り江の中から偽装のシートを引きちぎり、姿を現す巨大な赤い船体。
全長57.6m、全幅25.6m。3基のプロペラにより推進するエアクッション揚陸艦、ジャブジャブヘルメット団の拠点として使用されているドルフィン号は、ゆっくりと海に入りつつあった。
「それでは、邪魔なものは全て焼き払って綺麗さっぱりにしてから先生との一時を楽しませていただきましょう」
「逃がすと思って……うわっ!?」
ホシノ、アリス、そして
「先生、接近してくるのはミサイルです! 沖合に何隻か船が見えますが……」
”くそっ、手が回らん。アロナ、リゾートの全員に緊急警報! ホシノとアリスも離脱してビーチに集合、私は接近してくるミサイルを迎撃してから合流する”
「わかった、先生も無理しないで!」
”大丈夫さ、ミサイルを迎撃するのはミサイルの仕事だ”
沖合へと逃げていくドルフィン号を無視し、メタルウルフは背面コンテナからMIM-204ミサイルを取り出した。MIM-104パトリオットミサイルを単純に短縮して
4発搭載されているランチャーを担ぎ、光学ロック。接近してくるミサイルは3発ごと2群に分かれているが、これらの編隊の中心に位置する大型の巡航ミサイルに2発ずつ発射する。
”そしてこいつはささやかなプレゼントだ!”
「先生、発砲!」
「総員、何かに掴まりなさい!」
その結果を見ること無くメタルウルフは武器を変え、先日ミレニアムに新造してもらった
その間に放たれたミサイルは中間誘導の必要もなくシーカーに目標を捉え、誘導を開始。1発たりとも外すこと無く近接信管が作動し、接近してくるミサイルを全て叩き落とすのであった。
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ロスト・パラダイス・リゾートの沖合に並ぶ3隻の小型戦闘艦、その旗艦のブリッジで双眼鏡を覗くヘルメット団員は発射した巡航ミサイルが撃墜されたことを目視で確認し、舌打ちした。
彼女たちはジャブジャブヘルメット団と同じく、ロスト・パラダイス・リゾートの破壊をクライアントから依頼された海賊系ヘルメット団であるザブザブヘルメット団、ミサイルコルベット艦3隻を保有するというかなり強力な集団である。
「ジャブジャブの奴ら、迎撃システムを破壊できていないのか?」
「少し違うみたいです。見る限りミサイルで迎撃されたようなので」
「何ィ、じゃあ一体何なんだぁ?」
見張りの報告に疑問を抱いたザブザブヘルメット団のリーダーは自分の双眼鏡で島を見る。赤い船体のホバークラフトが激しい銃撃を島に加えているものの、反撃を受けて周囲に水柱が上がっているのが見えた。相手は視認できないが、なんであれジャブジャブヘルメット団は苦戦しているらしい。
「あいつらアホだな、奴らを援護するぞ」
「了解しました、全速前進」
「全速前進、ヨーソロ!」
リーダーの命令のもと、3隻のコルベット艦は全速で島との距離を詰めていく。ミサイルが迎撃されるならば、搭載してある艦砲で瓦礫の山にしてやればいい。彼女たちは慢心によってさしたる警戒監視もせずに島へと近づく。
「……何だ、ビーチに赤い光?」
「おい、報告は正確に―――」
艦隊がビーチ正面に回り込もうとした所で、監視をしている団員が思わず声を上げる。指揮官が叱責しようとしたその瞬間、一番先頭をいくコルベットを赤い閃光が貫き、僅かに遅れて艦橋構造から炎が上がった。
To be Continued in Interlude Ⅱ-Ⅳ ”
ワカモが暴れ回った結果、なんだか大騒動になってしまいました。七囚人は伊達ではないという所でしょうか。ついでに言えば、原作ワカモと違って本作のワカモはやたらと積極的ですね……その男は既婚者だぞワカモ、大丈夫か?
そして総力戦ホバークラフト&ヘルメット団艦隊開幕! 早速1隻撃破されていますが、果たして生徒たちは無事に切り抜け、バーベキューを食べることができるのでしょうか。
用語解説
ザブザブヘルメット団
タランタル型ミサイルコルベットを3隻保有する海洋行動型のヘルメット団。今回のロスト・パラダイス・リゾート攻撃のためにジャブジャブヘルメット団と同じように雇われた。