METAL WOLF Archive XD   作:W.B.O

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Episode9 ”New Dawn(新たな夜明け)

「あ、あぁぁ……アアァァァッ!!!」

 

 ベアトリーチェの悲鳴とともに異形の肉体が青白い炎を噴き上げ、身を捩らせながら全身に燃え広がっていく。もはや絶対者を僭称していた面影はなく、もがき苦しみながら終わりの時を待つばかりの哀れな怪物に過ぎない。

 

 青白い炎の中で彼女の肉体は土塊のように段々と崩れていき、枯木のような姿は元の人間の女性に近しい姿へと戻っていく。あちこちが焦げて床に這いつくばるその姿は、まさにベアトリーチェが敗者であることを如実に示していた。

 

 

「………まさか、本当に?」

 

「や、やった……やったぞ……先生がやったんだ!!」

 

 

 信じられぬと呆然とするアリウス分校の生徒に対し、アリウス高校の生徒達は歓びを爆発させた。自由を取り戻すための戦いは自分たちの勝利で終わったのだと鬨の声を上げる彼女達の姿は、まさに新たな時代の幕開けといえるだろう。

 

 その一方、恐怖に顔を引き攣らせているベアトリーチェはこの場から逃れようともがくものの、肉体のダメージがあまりにも大きすぎるために満足に動くこともままならない状況にあった。眼の前には月明かりの大剣(Moonlight Sword)を手にしたメタルウルフがゆっくり、ゆっくりと近づいてくる。それがまた彼女の恐怖心を呼び起こす。

 

 

「く、来るな……!」

 

”哀れだな、先程までの威勢はどうした? お前のやってきたこと、その報いを受ける時が来たと言うだけなのに”

 

「ひ、ヒィ……っ」

 

 

 情けない悲鳴を上げて地べたを這いずり回るベアトリーチェの姿は、もはやアリウスの支配者として生徒達を支配していた面影はなくなっていた。流石に大人であるが故か、あるいは()()()()()()()()()()()()()()()恐怖のあまり失禁するということはなかったものの、そのあまりの情けなさに、スバル他アリウス分校の生徒達は自分たちの人生がこんな奴に滅茶苦茶にされたのだということを認識し始める。

 その認識はアリウス生徒の怒りを呼び覚まし、結果として彼女達はその衝動に突き動かされるように銃を力強く握り、隊列を組むでもなく思い思いにベアトリーチェに近づいていく。彼女達の胸中に渦巻く思いはただ一つ、復讐だ。

 

 

「…………」

 

 

 誰も言葉を発さず、目を血走らせながらベアトリーチェを囲む少女達。ここに分校や高校といった区別はなく、強いて言えばベアトリーチェ被害者の会という言葉で表現するほか無いだろう。彼女達はまるで銃殺隊のように、誰に言われるでもなく一糸乱れぬ動きで銃を構える。これもベアトリーチェによる教育の賜物であった。

 

 

Vanitas vanitatum(全ては虚しい。) et omnia vanitas.(どこまで行こうとも全ては虚しいものだ)……マダム、あなたは私たちにそう教えてきましたよね。そして、誰もが殺意を抱く人殺しだとも」

 

「す、スバル……」

 

「どんな気分ですか、マダム? 私たちが人殺しだというのならば、今ここであなたを撃ち殺しても良い。それを肯定したのはあなた自身だったはずです」

 

 

 スバルは冷めた目つきで銃口を向け、慄くベアトリーチェに対し淡々と告げる。先生(マイケル)が言うように、今までのツケを支払う時が来たということだろう。

 

 

「……ですので、恨まないでくださいね。全部あなたの言ったことですから」

 

「構えろ!」

 

「ひ、ひいぃっ、や、やめっ……」

 

 

 アリウスの生徒達が一斉に銃を構え、すぐにでも銃殺を始めようという気配を出せば、ベアトリーチェは震えながら哀願する他なかった。1発2発の銃弾では死なないかもしれないが、これほどの数の銃口から弾が放たれれば死に至る可能性は十分にある。

 恐怖に震えるベアトリーチェの姿は哀れなものだが、やはり今までの所業のこともあり、彼女達がそれで止まるはずもなく―――

 

 

”まあ、待て”

 

 

 彼女達を止められるのは、この場ではシャーレの先生(マイケル・ウィルソン)ただ一人。彼が月明かりの大剣(Moonlight Sword)でアリウス生徒とベアトリーチェを遮るように振るうと、スバルは予想外といった様子の表情を見せてメタルウルフの顔を見上げた。

 

 

「……何故止めるんですか?」

 

”理由は簡単、君達を人殺しにするわけにはいかないからな。ベアトリーチェの教えなんて捨ててしまえ、どうせただの支配するための方便に過ぎないだろう。それに、こいつに聞きたいことは山ほどあるんだ”

 

「そう、ですか。ですが、その教えが私たちにとっては人生みたいなものでした。そう簡単に捨てられるものではありませんよ」

 

”ならば捨てずとも新しい学びを得れば良い。それこそが正しい学校のあり方というものだ”

 

「……そういう考えもあるんですね」

 

 

 短い問答。人殺しを前提としていたアリウスの教えを否定し、学びをやり直すべきだと主張する先生(マイケル)の言葉は感情面ではすぐには認められないが、スバルの中の理性は納得する。だからこそ、構えていた銃を下ろすという選択をすることができた。

 

 他の生徒達もスバル先輩がそうするならば取った様子で銃を下げ、生命の危機が去ったとベアトリーチェはホッとした様子だが、何を勘違いしているのかとメタルウルフの赤い単眼からの射るような視線に再び顔を引き攣らせる。

 

 

”さて、ベアトリーチェに色々聞きたいことはあるが……その前に、ミカとアツコを解放しよう。いつまでも磔にされたままというのは可哀想だ”

 

「そ、そうだ、アツコ……!」

 

「サオリさんは安静にしていてください、私たちでやります」

 

 

 ベアトリーチェを逮捕し、裁判にかける。法の支配を重んじるならばそれ以外に方法はなく、当然のことながら先生(マイケル)はそのつもりであった。だが、それとは別にゲマトリアの情報を引っこ抜きたいという欲が彼には存在していた。今のところゲマトリアに関しては黒服からしか話を聞けていないため、どこからどこまで信じて良いのか分からない。真偽確認のために他の構成員から情報を聞き出すのは必須といえるだろう。

 

 このまま尋問を始めたい先生(マイケル)であったが、その前にやることがある。磔にされ、生贄とされていたミカとアツコの2人を助けねばならない。そもそも今回のアリウスの戦いはアツコ救出を目的としていたのだから、こっちが最優先だ。

 

 ベアトリーチェの情けない姿に呆然としていたサオリたちはここに至ってようやく本来の目的を果たそうとするものの、バルバラ達に叩きのめされた際に受けた傷は深く、立ち上がるだけでも痛みに顔を顰めるレベル。見かねたスズミ他数名が名乗り出て彼女達の代わりに2人を十字架から下ろし、応急的に手当をしながら健康状態を確認すると、外傷こそあれど命に別状はなさそうだと判断する。

 

 

「大丈夫、生きています。呼吸と脈を確認できました」

 

「アツコ……よかった、生きていてくれて……」

 

「急いで後続の救護騎士団に引き渡しましょう。彼女達なら本格的な治療行為が受けられるはずです。それに、あなた達の治療も必要でしょうし」

 

「そ、そうか……」

 

 

 アツコの無事に安堵するサオリだが、当人たちも重傷であるということを忘れてはならない。後送を極めて強く促すスズミの言葉は決して心配性によるものではなく、出血や打撲傷の多さを認めたからなのである。

 

 

”……さて、と。これで準備は整ったな、ベアトリーチェ”

 

「……ッ!」

 

 

 そんなやり取りを横目に、ベアトリーチェに対し本格的な尋問を始めようとする先生(マイケル)だが、しかし―――

 

 

 

 

「……お見事でした、先生。大変素晴らしいショーを見させてもらいましたよ」

 

「そういうこったぁ!」

 

「私からも賛辞を送らせてもらおう、シャーレの先生よ」

 

 

 

 

 突如至聖所に響く拍手。この場にいる全員が振り向けば、崩れた柱の影から頭部のないコート姿の男性と双頭の木製のマネキンのような怪人が姿を現す。

 

 

「あいつは……!」

 

”ゲマトリアか……”

 

 

 まさかここでゲマトリアが介入してくるとは、先生(マイケル)はややうんざりした様子で肩を竦めた。黒服がこの場に居ないのは、このアリウスから彼が完全に手を引いているからだろうか。兎に角水を差された形であるため、彼は明らかに不機嫌そうな態度を隠そうとはしなかった。

 

 

”一応聞いておくが、何をしに来た?”

 

「そのように刺々しい物言いは好ましくありませんね、閣下。我々はあなたと敵対するつもりはありませんので……あぁ、自己紹介が遅れましたね。私はゲマトリアのゴルコンダと申します」

 

「まあそういうこったぁ!」

 

「こちらは私の身体を代行しているデカルコマニー……私とデカルコマニーの関係性について色々と語りたい所はありますが、お互いそのような時間は無いので残念ながら次の機会に致しましょう」

 

”………”

 

 

 慇懃な物言いをするが、この男も所詮はゲマトリア。どのような事を腹の中で企んでいるか分かったものではないため、先生(マイケル)は警戒を解くことなく2人、あるいは3人を睨みつける。

 

 

「さて、先生……私共はマダムを連れ戻しに来たのですが、あなたはそれを許さないでしょう。ですが、我々としてもそれでは困るものなのです」

 

”当たり前だ、こいつの行いは罰せられなければならない。そうでなければ正義はどこにあるというのか”

 

「この場でそれ(正義)を問うのはナンセンスですが……ふむ、やはりあなたが絡むと物語は変質してしまう。立ちふさがる何もかもを破壊し、本来のゴールを歪めてしまうのはあなたの持つ『記号』が全てを塗りつぶすほどに強いからなのでしょうか。私が望んだテクストはもっと繊細で、悲劇的で、文学的なものでしたが……」

 

”悲劇を楽しむのは物語の中だけにすることだな。痛み、苦しみ、悲しみは他者が好き勝手に弄んで良いものじゃない”

 

 

 先生(マイケル)月明かりの大剣(Moonlight Sword)の切先を向け、ゴルコンダに対して怒りを表現する。アリウスの子どもたちが受けた様々な苦痛を文学的に消費しようというその態度は彼の逆鱗に触れるものであった。

 

 

「これは失礼しました。どうにも、我々ゲマトリアというものは共感性に乏しいものでして、あなたの気分を害するつもりは無かったのですが……」

 

”ベアトリーチェの回収など認められるか。こいつは裁判にかけ、子どもたちの人生を滅茶苦茶にしたその代償を支払わせる。もし止めたいのならば私を倒す必要があるが、お前に出来るのか?”

 

「いえいえ、我々には戦う手段はありません。マダムのような怪物に変身する力もない以上、閣下と戦えばわたくし共は一方的に討ち滅ぼされるだけです」

 

 

 睨み合う大人と大人。このままぶつかればゴルコンダの言うように先生(マイケル)が一方的に殲滅する結果しか見えないが、しかしゲマトリアの2人も諦める様子はない。空気が張り詰め、周囲の生徒達はどうなってしまうのかと気を揉むが、双方動く気配は見られない。

 これは単純にゲマトリア側には対抗手段が無いことと、先生(マイケル)側は武装が月明かりの大剣(Moonlight Sword)を除き全て喪失してしまったことにある。この剣の性能は人を斬るには過剰すぎて、生徒の前で使う気にはなれないのだ。

 

 

「……ゴルコンダよ、私としてはベアトリーチェのためにシャーレの先生と敵対するのはあまり賢い選択とは思えぬ。せめて、彼の者に利がなければ納得しないだろう」

 

「マエストロ、あなたはシャーレの先生の肩を持つつもりですか?」

 

「我々にカードは無いのだ、欲をかけばすべてを失うのはこちらだということを忘れるな」

 

「………」

 

 

 マエストロの言うように、ゲマトリア側には交渉するためのカードは何一つ存在しない。マエストロの傑作であるヒエロニムスは両断され、アリウスを率いていたベアトリーチェは倒され、今回は完全に敗北と言って良い状況といえるだろう。故に、もしゴルコンダがベアトリーチェの身柄を求めるのならば相応のものを差し出す他無い。

 その事実を改めて突きつけられ、ゴルコンダは考え込むような仕草を見せる。眼の前の怒れる3m級のパワードスーツを納得させるには何が必要なのか―――

 

 

「……仕方がありません。私としてもこのような手段は使いたくないのですが―――」

 

”!?”

 

 

 そう言い、ゴルコンダ……もとい、身体であるデカルコマニーが懐から取り出したのはM57起爆装置に似たスイッチ。見た目からして爆弾の起爆装置であるため、先生(マイケル)は反射的に剣を振りかざすが―――

 

 

「先生、これはヘイロー破壊爆弾の起爆装置です。私の創り出した作品の一つで、マダムに提供したもの……効果は名前の通り、ヘイローを破壊する事ができます」

 

「!!!」

 

”何だと……?”

 

 

 ヘイロー破壊爆弾―――アリウス自治区において最も危惧するべきもの。その開発者が目の前で起爆スイッチに指をかけているという事実を目の当たりにし、アリウスの一部の生徒の顔が恐怖に歪み、同時にメタルウルフの動きが止まった。

 

 

「このスイッチはデカルコマニーが身につけている爆弾を起爆させるもの。効果範囲は……そうですね、見た所至聖所全体に及ぶでしょうか。もし起爆すればどうなるか、分からないあなたでは無いはずです」

 

”自爆をチラつかせるなど、正気とは思えない”

 

「ええ、そうでしょう。あなたのような武力を持たぬ以上、交渉するにはこのような手段を取らざるを得ないのです。ただ、ヘイロー破壊爆弾はヘイローを持たぬものに一切の効果はありませんので、あなたや我々は起爆した所で何ともありませんが」

 

この野郎(You bastard)……!”

 

 

 スイッチは有線式で、辿ればデカルコマニーのコートの中に繋がっているのが見える。普通に考えればただのハッタリと思えるかもしれないが、しかしメタルウルフのセンサーは眼の前の男から爆発物の反応を検出していた。まさか自爆をチラつかせるなどという予想外の事態を前に、先生(マイケル)は悪態をつきながらも冷静に状況を把握しようとする。

 

 今、至聖所には数十名の生徒達が居る。もしゴルコンダの爆弾が本当にヘイロー破壊爆弾であるならば、彼女達の生命の危機といえるだろう。ベアトリーチェの身柄と生徒の生命、どちらを選ばなければならないという状況に彼は苦虫を噛み潰したような表情を見せた。

 

 

”……引き渡す代わりに、ヘイロー破壊爆弾の技術を完全に捨てろ。そしてアリウスに二度と近づくな”

 

「賢明な判断、感謝します。さあマダム、こちらへ」

 

「う、うぅ……」

 

「どうやら動けないようですが……申し訳ありませんマエストロ、マダムに手を貸してあげてください」

 

「……仕方あるまい」

 

 

 大統領という1国を背負う役職にあった彼にとって、そのような重大な決断を迫られることは以前にも何度かあった。何かを得ようとすれば何かを捨てざるを得ないという事は決して珍しいものではなく、その度に彼は決断を下してきたのだ。今回天秤にかけられているのは生徒の命とベアトリーチェの身柄というもので、その重さは正直な所釣り合いが取れていない。

 故に、先生(マイケル)はベアトリーチェを解放するという苦渋の決断をせざるを得なかった。もしこの事態を予見できていたならゴルコンダの無力化を行い制圧するという手段を選んでいたのだが、それは後知恵というものだろう。

 

 ただ、引き換えにヘイロー破壊爆弾という危険な技術の放棄を要求すれば、ゴルコンダはいとも容易くそれに応じた。明らかに裏がありそうだが、ヘイロー破壊爆弾という危険なものは到底放置できない以上、そう要求するほか無い。アリウスに近づくなと言う条件もゴルコンダにとってはどうでもいいものでしかなく、彼は簡単に要求を飲む。

 

 一方、解放されたとはいえ、ベアトリーチェは心が折れたのか、あるいは負傷が思ったよりも重いのか、先程から蹲ったまま動かない。このままでは埒が明かないとみたゴルコンダはマエストロに回収を依頼した。

 

 

「シャーレの先生よ、私としてはこのような事をしてまでベアトリーチェを回収する意義を見出していない……極めて不本意だが、ゲマトリア加入時の契約によるもの故、どうか容赦していただきたい。私個人はそなたと競い合うことこそが崇高に至る近道だと思っているのだが……」

 

”……さっさと連れて行け、私の気が変わる前にな”

 

 

 それに対しマエストロは不承不承といった様子ベアトリーチェの元へと歩んでいき、先生(マイケル)に言い訳じみた事を述べながら彼女を回収してゴルコンダの元へと戻っていく。それを確認した後、ゴルコンダ、もといデカルコマニーはスイッチをその場に置き、更には身につけた爆弾を落とした。

 

 

「感謝しますよ、ミスター・マイケル。約束通りヘイロー破壊爆弾の製造技術は破棄し、二度と製造することはないでしょう。アリウス自治区へも二度と手を出しません。それでは、我々はこれで失礼させていただきます」

 

「さらばだ、先生。いつかまた、私の作品を見てもらう時がくるかもしれないな」

 

 

 互いに契約を履行し、ゲマトリアはアリウスから去っていく。先生(マイケル)とその他生徒達はその背中を追うことはせず、メタルウルフのレーダーから彼らの反応が消失するまで引き金から指を離すことなく警戒を続けるのであった。

 

 

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 全てが白く塗りつぶされ、方向感覚のみならず時間すら定かではない空間、夢と現実の狭間で百合園セイアは自らの終焉を迎えようとしていた。

 ベアトリーチェの儀式によって『色彩』と接触した彼女はその身を蝕まれ、器の崩壊はもはや誰にも止めることはできない。精神の死は即ち人間としての死であり、ここで朽ち果てればトリニティにある肉体も生命活動を停止することだろう。セイアは気合一つでかろうじて踏みとどまっているが、どれほど持ちこたえられるのか。

 

 

(私はまだ……まだここで斃れるわけにはいかない……!)

 

 

 這いずるように前へと進もうとするセイアだが、この狭間の空間でそれにどれほどの意味があるのだろうか。ゴールすらわからぬ中、しかし彼女は諦めるつもりはない。そして、そんな人物にこそ、奇跡というものは呼び寄せられるものなのだ。

 

 

「これはこれは……また会えたね、お嬢さん」

 

「あなたは……先生のお父上……」

 

 

 朦朧とするセイアの耳に飛び込んでくるのはカツカツという硬い足音。かろうじて顔を上げた彼女の眼の前に立つスーツ姿の男性は、先日トリニティのクーデター時に夢の中で邂逅したマイケル・ウィルソン・シニアその人。彼は呆然とするセイアを抱え上げ、まじまじと顔を覗き込む。

 

 

「ふむ……どうやらアレに当てられたか。ともすれば、少々急がねばならないな」

 

 

 彼はどういうわけかセイアの現状をある程度把握すると、右手の指をパチンと鳴らす。途端に周囲の風景が移り変わっていき、彼女は気づけば和風建築―――キヴォトスで言えば百鬼夜行風の建物の中に居た。

 

 

「此処は……」

 

「―――ふぅむ、よもやこの場所に己の意思で訪れるものが居ようとは」

 

 

 見知らぬ場所、聞き覚えのない声。咄嗟に振り返った先には、一人の生徒と思しき人物が煙管を片手に佇んでいる。小柄で、自身と同じような狐の特徴を持つその人物から感じられる気配は人が持つものではなく、まるで神か何かと対面しているかのようだ。

 

 

「これは……ふむ、死人と……もう一人は生者、しかしその身体……さては『色彩』と接触したな? そもそもとして奇妙な組み合わせじゃが、何故妾の元を訪れたのかぇ?」

 

「!!」

 

 

 『色彩』というその言葉によってセイアの記憶が呼び覚まされ、フラッシュバックを起こす。空が赤く染まり、滅びゆくキヴォトスのイメージが再び脳に叩きつけられ、その負荷によって彼女は過呼吸に陥りかけるが、極めて強い精神力を以てなんとか踏みとどまった。

 

 

「アポイントメントも無しですまないが……彼女を助けてやってはくれないだろうか。ただの死人でしかない私には、これ以上の干渉などできないものでね」

 

 

 呼吸を荒くするセイアの横で、マイケル・シニアは眼の前の人物に頭を下げて頼み込む。己は既に死人であり、現世に直接干渉する術が無いが故に。そんな彼の様子を見て、眼の前の人物は少々驚いているような様子を見せた。

 

 

「これは驚いた。其方がなにゆえ妾の事を知っているのかは分からぬが……まあ、確かに妾であれば『色彩』に触れた者であっても導くことは不可能ではない。無論、代償は伴うが……」

 

「ほ、本当なのか……!?」

 

「この妾―――百鬼夜行の預言者であるクズノハは嘘などつかぬよ」

 

 

 生徒らしき人物―――クズノハと名乗った彼女は不敵な笑みを浮かべながらセイアと視線を交わす。まるで試すようなその目に、セイアは息を呑んだ。

 

 

「もし色彩から逃れたいのならば、己の本質の一部を手放さなければならない。今回でいえばそう……『未来視』あたりになるかのぅ? さあ、其方はどのような選択をするのかの、トリニティの預言者よ」

 

「それで済むのならば、私は構わない。もとより持て余していた力だ……それを失ったところで私自身あまり痛いものではない。それよりも、私の帰りを待っている人たちが居る」

 

「なるほど、迷いの一つも見せぬとは―――見事じゃ、百合園セイア」

 

 

 クズノハの問いに対し、セイアは考える素振りすら見せずに即答する。ベアトリーチェに囚われてから半ば捨ててたような命であり、それを拾い直せるならば未来視の力など惜しくはない。そんな彼女の決意にクズノハは感心した様子で頷くと、彼女の顔の前に手をかざす。

 

 

「……さて、此れにてさらばじゃ、セイア。もし現世に戻れたとしても妾を探そうとするなよ? 妾と見えたこの地は限られた者しか立ち入れられぬもの故、な」

 

「……!」

 

「おっと、言い忘れていたが、本質を喪う過程で最後の予知が発動するじゃろう。少々刺激的な光景を見るやもしれぬが―――まあ、避けて通れぬものじゃ、我慢せい」

 

 

 クズノハの言葉と共にセイアの意識は暗転し、彼女の姿はまるで溶けるようにこの庵から消えていく。果たしてどのようなビジョンを見たのか確認する術は無いが、それはともかく―――

 

 

「……あの男、妾を知っているとは何者なのかのぅ。出来ることなら生きている内に会ってみたかったものなのじゃが」

 

 

 先程のやり取りの間に去ったのか、いつの間にかマイケル・シニアの姿は庵から消えていた。色々聞きたいものはあったが、元より死人と名乗っていた以上は干渉できなくなったのだろうか。クズノハは少々残念そうな表情を浮かべると、静かに煙管を吹かすのであった。

 

 

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 東の空が白み始め、アリウス自治区は新しい朝を迎えようとしている。圧制者であったベアトリーチェは去り、それに伴いアリウス分校という勢力は消滅、連邦生徒会に登録されているアリウス高等学校が新たなアリウス自治区の主となったのだ。

 

 エデン条約機構とアリウス高校の部隊は自治区の各地で事実を知らないアリウス分校の生徒に対して呼びかけを行い、武装解除を促して回っていく。その際一部抵抗する生徒達がいたが、同行していた梯スバルは多くの生徒に慕われていたのか、彼女が呼びかければ殆ど無血で分校生徒は武装解除に応じ、各々の健康状態に応じて救護騎士団、救急医学部の世話になっていった。

 

 

「こちらで栄養食や水の配布を行っています。数は十分ありますので、皆さん安心してください!」

 

「怪我をされている方はこちらに。大丈夫です、きちんとした治療をお約束します」

 

「わ、わぁ……見て、透明な水だよぉ……」

 

「ごはん……こんなにもらえるなんて初めてかも」

 

「清潔な包帯……私達、古い布切れを使いまわしていたのに」

 

「というか、この機械何……」

 

 

 提供される支援の質は流石三大校というべきか、一つ一つがパッケージングされたブロックタイプや流動食スタイルの栄養食や500mlの水が詰まった段ボールが山のように積まれ、アリウス生徒に1セット配布してもまだ余るという状況はまだ序の口。持ち込まれた機材を使って野戦病院を設営し、高度な診察機器を用いて健康診断を始めるというのはアリウスの生徒にとって理解が及ぶものではない。

 

 当初心配されていた彼女達の中に根付いていたトリニティやゲヘナに対する恨み辛みは、結局のところアリウスが貧しく衣食住が満たされぬが故の不満を逸らすためのスケープゴートのようなものであり、こうして支援を直接受けられるとなれば断ることなどできるはずもなかった。人間、結局のところ腹が満たされるかどうかな所があるのだ。

 

 そうして支援が進む中、守月スズミは一人集団から抜け出して市街地を見渡せる場所へと足を運んでいた。小高い丘の上に建っているバシリカを中心として街が作られているため、バシリカの周囲には意図して街を監視できるようなポイントがあり、そのうちの一つはとても景色が良く、幼い頃にはこの場所が好きだったということを思い出したのだ。

 段々と空が明るくなり、闇に包まれていたアリウスの街並みは今や照明がなくとも見渡すことが出来るようになっていたが、ただでさえ荒れ果てていた市街地の半分近くがヒエロニムスとの戦闘によって焼失しているのを目の当たりにした時、スズミの胸に様々な思いが去来する。

 

 

「……何でしょうか、この気持ちは。アリウスに対して未練なんて無いはずなのですが」

 

 

 街並みをぼんやりと眺めながら彼女は呟く。既にアリウスから追われ、トリニティの生徒として振る舞っていた彼女にとってこの地には生まれた場所以上の価値は無いはずなのに、何故これほどまでに悲しいのだろうか。

 

 

”スズミ、此処にいたのか”

 

「先生……どうしてこちらに?」

 

”どこかに行くのが見えたんでね、少し追いかけさせてもらった”

 

 

 思いにふけっているスズミは不意に声をかけられて振り向くと、その視線の先に居たのは中破したメタルウルフから降り、生身の体を晒す先生(マイケル)。さり気なくを装ってはいるものの、一人ふらっと離れた彼女を心配している様子が見て取れた。そんな彼の目を見て、スズミは思わず自身の胸中に渦巻く想いを吐露する。

 

 

「先生、私はアリウスのことは好きではありませんでした。憎しみに囚われ、暴力を振るう事を肯定するこの場所は本当に息苦しくて……トリニティに逃げ出した時、正直な所ほっとしたんです」

 

”……”

 

「でも、いざ帰ってみてみると……どうしてですかね、焼け野原になった街並みを見ると、とても悲しい気持ちになってしまいます。どうしてなのでしょうか?」

 

”それはな、スズミ……人間というのは生まれたときから積み重ねていたものがあってこそ、今の自分があるからだ。君にとってアリウスが馴染める場所ではなかったとしても、ここで生まれ、育ったからこそ今の君がある。だから、この地も君の一部だと言えるだろう”

 

「そういうもの……なのでしょうか」

 

”ああ、私の元いた場所には「故郷へかえりたい(Take Me Home, Country Roads)」なんて歌もあるくらいだ。君の感覚は人として普通のものだから安心してくれ、スズミ”

 

 

 結局、自分はアリウスの人間なのだという事実を突きつけられる形となり、スズミは僅かに俯く。しかし直ぐに先生(マイケル)の顔を見上げた。

 

 

「先生は……遠いキヴォトスの外から来たと伺っていますが、故郷が懐かしいとか帰りたいとかそういう事を思ったことはありますか?」

 

”ふーむ……まあ、懐かしく思うことはあるさ。私だって人の子だ、ノスタルジーに浸ることぐらいはあるよ”

 

「そうですか……ちょっと意外ですね。先生ってそういうのあまり気にしないタイプだと思っていたので」

 

”君は私を何だと思っているんだ”

 

 

 互いに小さく笑い、改めてアリウスの街並みを2人で眺める。アリウスの大半は焼け野原になってしまったが、逆を言えばゼロから立て直すことができるということでもあるのだ。ベアトリーチェが去り、新しい夜明けを迎えるアリウスがどのような形で復興するのか、それはこれから話し合う必要があるだろう。

 

 

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「あ、先生! ミカ様が目を覚ましましたよ!」

 

”そいつは本当か!?”

 

 

 スズミと並んでバシリカ前の広場に戻ってきたシャーレの先生(マイケル・ウィルソン)を待っていたのは、救護騎士団の生徒からのミカが目を覚ましたという報告であった。生贄として捧げられていたミカとアツコの2人は負傷者の中で最も重傷であり、ただの外傷ならともかく生命力を吸われていたようで中々目を覚さずにいたのだが、これで一安心といったところだ。

 

 

”すぐにエデン条約機構(ETO)の本部へと連絡をいれてくれ、ナギサもこれで安心できることだろう”

 

「はい、直ちに!」

 

 

 直ちにエデン条約機構(ETO)の本部、つまりナギサに連絡を入れるように指示を出し、彼は急いで医療テントへと向かう。一応救出直後に速報として連絡を入れていたのだが、その時は向こう側で何か問題が起きていたのかナギサは通信には出ず、代理の人員が対応にあたっていたのだ。

 その後はアリウスの戦災救助に注力していたため本部との連絡は最低限になっていたものの、支援が一段落したこともあり改めて状況の報告を行う必要があった。あれから幾らか時間が経っていることもあり、今ならナギサも手が空いているかもしれない。ミカの無事を伝えられるのであればこれ以上無い吉報となるだろう。

 

 

「あ……先生! ごめん、やられちゃって……」

 

”いやいや、ミカが無事で何よりだ”

 

 

 駆け足で飛び込んだテントの中、仮設ベッドの上で上体を起こすミカの姿を認めた先生(マイケル)はすぐに駆け寄りその手を握った。全身に包帯が巻かれるほどの重傷ではあったが、しっかりと人の温もりが感じられ、ミカが生きているという事実を改めて実感した彼は胸をなで下ろす。

 

 

”ベアトリーチェの生贄にされていたが、傷以外に何かあるか? 体調が良くないと感じたら無理をするんじゃないぞ”

 

「あ、うん、大丈夫だよ。多分手遅れになる前にセイアちゃんが助けてくれたみたいだし」

 

”セイアが……?”

 

「うーん、なんて言ったらいいのかな……あのオバサンの生贄にされてさ、前みたいな暗闇の中に居た時にかすかに聞こえたんだ、セイアちゃんの声が。そしたら急に身体が楽になって……気がついたらベッドの上って感じ?」

 

”うーむ……なるほど”

 

 

 ミカは生贄にされていた時に何が起きたのかを語るが、その内容に引っかかるものを感じた先生(マイケル)は首を傾げる。だが、セイアの声が聞こえたというのは彼も体験したことであり、それが決して気の所為ではないというのは明らかだ。とすれば、セイアの身に何かが起きているというのだろうか。

 

 そうして考え込む彼の様子を隣のベッドで眺めているのは本来の救助対象であった秤アツコ。彼女も全身に包帯を巻かれるほどの重傷者であるが、なんとも逞しそうに恐らく救護騎士団の生徒が用意したであろうカットされたりんごを食べている。当初は衰弱が予想されていたのだが、健康面でもまったく問題が無さそうなのは僥倖といえた。

 

 

「……はじめまして先生。そしてありがとう、サっちゃんを助けてくれて」

 

”ああ……はじめましてアツコ、私が連邦捜査部S.C.H.A.L.Eの顧問、マイケル・ウィルソンだ。君が無事で本当に良かったよ”

 

 

 りんごを食べる手を止め、先生(マイケル)に対し礼を述べるアツコ。彼女に対しても握手を求めれば、少々驚いた顔をしつつもその手を握り返す。先生(マイケル)の大きな手は彼女にとって無骨であれど、どこか心が落ち着けるものであった。

 

 

”サオリ、アズサ、ミサキ、ヒヨリ、君達も大丈夫そうで何よりだ”

 

「……先生には、本当に感謝してもしきれないな。まさかアツコを助けてくれるだけでなく、アリウス自治区全体を解放してくれるなんて」

 

 

 そして、アリウススクワッドの面々。彼女達も怪我の程度はある程度重かったものの、こうして全員が無事に揃い、解放の歓びを分かち合えているというのは昨日まで想像できぬものであっただろう。それを成し遂げた先生(マイケル)に対し、スクワッドを代表してサオリが頭を下げる。

 

 

”大変なのはここからだ、サオリ。壊すのは楽でも再建するのは中々険しいぞ? 私も最大限協力するが、大事なのは君達がどうしたいかということなんだ”

 

「どうしたいか、か……今まで考えたこともなかったな」

 

 

 先生(マイケル)の「自分たちがどうしたいのか」という問いかけにサオリ他、アズサを除くスクワッドの面々は考え込む。今までのアリウスの教えはVanitas vanitatum(全ては虚しい。) et omnia vanitas.(どこまで行こうとも全ては虚しいものだ)といったように虚無主義的なものであり、希望を見出すものではなかったため突然言われても困るというのが正直な所。無論、先生(マイケル)もそれは理解しているので、彼女達の考えがドツボにハマらぬ内に助け舟を出した。

 

 

”まあ、今すぐというわけにも行かないだろうからな。そこの所はおいおいで構わないが、最低限アリウス自治区の生活環境をまっとうなものにせにゃならん。そのためにもまずはトリニティと緊密に協議する必要もあるだろうな、そのためにもまずは君達は傷を治す事に集中するべきだろう”

 

「あ、ああ、わかった……」

 

 

 元より生真面目なサオリは先生(マイケル)が休めと言えば休むタイプ。環境の変化に対する戸惑いを感じながらも言われたとおりに大人しくなると、横からミカが茶々を入れるように口を開いた。

 

 

「先生、ずっとそんなこと考えて頭パンクしない? 私にはちょっと無理かなぁ」

 

”ミカ……アリウスと仲良くしたいというのはそもそも君の要望だろう? だったら君も手と頭を動かすんだよ、そもそもこの物語を始めたのは君じゃないか”

 

「うっ……それ言われると何も言い返せない……」

 

”ハハハッ、まあ君も身体を十分に休めることだ。私はとりあえず本部との連絡のために失礼させてもらおう”

 

 

 実際、この一連の騒動はミカがアリウス自治区に訪れた事を切っ掛けに始まっており、お前が始めた物語だろうと言われればまさにその通り。人に茶々入れる前に働けと言われるのもやむなしであるのだが、無論それは彼なりのジョークである。

 

 がっくりと項垂れるミカの肩を軽く叩きながら医療テントから出ていく彼が向かうのは、広場に設営されている仮設本部のテント。正義実現委員会の生徒が無線機を通してトリニティ自治区の本部と交信しているその横につくと、彼女の肩に手を置いてインカムを受け取り席を替わってもらう。そしてすぐさま通話を始めるが―――

 

 

”あー、聞こえるか? こちらはマイケル・ウィルソン。ナギサはいるか?”

 

『―――はい、聞こえています先生。申し訳ありません、トリニティの方で少々問題が生じていまして連絡が遅れました』

 

”こちらも色々あったからまあ、お互い様だ。こちらは目標を達成し、アリウス自治区の解放に成功した。安心してくれ、誰のヘイローも破壊されていない”

 

 

 作戦成功、犠牲者ゼロ―――その報告を先生(マイケル)の口から直接聞いたことで安心したのか、通信の向こうでナギサがほっと息を吐く音が聞こえる。

 

 

『こちらは……正直に申し上げますと、セイアさんが途中で倒れ、意識を失っていました。数時間ほど前に意識を取り戻しましたが―――』

 

”セイアが!?”

 

『安心してください、先生。ミネ団長による診察の結果問題ないことが明らかになっていますし、それに―――』

 

 

 セイアが倒れたという事実を初めて知り、腰を浮かべて思わず大声を上げる先生(マイケル)。その声にテント内の生徒の視線が集中するが、彼がそれに気づくことは無かった。そんな彼の慌てぶりにナギサは落ち着かせるように穏やかに語りかけ、マイクを替わる。その相手はと言うと―――

 

 

『やあ、心配をかけて申し訳ない。私はこうして無事に居るよ先生、だから落ち着いて欲しい』

 

”そ、そうか……よかったよ、セイア……”

 

 

 インカムから聞こえてくるのはセイアの元気そうな声。先生(マイケル)は拍子抜けして椅子に座り込み、安堵の息を吐く。彼女に色々聞きたいことはあるのだが、それは今すぐ必要というものではないので順番を間違えてはならない。今必要なのはアリウス自治区に関するこれからの話だ。気を取り直し、姿勢を正して彼は話を続けた。

 

 

”さて二人とも、アリウス自治区の現状について軽く説明させてもらうとすると―――”

 

 

 彼が制圧したアリウス自治区の現状について話し始めたまさにその時、テントの入口から光が差し込む。晴れ渡る東の空から太陽が顔を出し、オレンジ色の光がアリウス自治区全体を染め上げていく。今、アリウス自治区に新たな夜明けが訪れたのだ。それはまるで彼女達の新たな門出を祝っているかのようで―――その神々しさに人々は言葉を忘れて見惚れるのであった。

 

 

To be Continued in Epilogue ”New Age(新時代)

 




 エデン条約編は次のエピローグで終わりになります。ベアトリーチェには逃げられましたが、あれだけ痛めつけられれば二度と悪いことをしようなんて思わないでしょう(フラグ)
 エピローグの後はカルバノグの兎編に相当する話になりますが、SRTが存続している本作ではRABBIT小隊が小ウサギ公園でデモをする必要など無く……どうなってしまうんでしょうね?
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