多くの職員や避難してきた住人、あるいはヴァルキューレの生徒達が行き交う中、人々の流れをすり抜けるようにマイケルがやって来たのは医務室のあるフロア。避難民の中で重傷を負ったものや、あるいは持病のあるものが担ぎ込まれて治療を受ける中、とある病室には2人の患者が放り込まれている。
ゲマトリアの黒服とマエストロ、アルファ・ワーム感染と黒衣のシロコからの銃撃を受けて重篤な状況にある彼等は安静が必要であり、病室のベッドから抜け出すことなど許されない。そんな2人が入っている病室に近い待合室にアビドスの面々は居た。ホシノ、2人のシロコ、ノノミ、アヤネ、セリカ、欠けはない。
「遅かったね先生」
「仕方がない、今の状況では引っ張りだこだ。まったくスターは辛いね」
どこか冷ややかな視線を向けるホシノに対し、マイケルは飄々とした態度を崩さず肩を竦める。先程まで状況分析及び報告の場に参加していただけにその言葉に嘘はなく、この先の予定もびっしりと埋まっている。
「それで……説明、してくれるよね? なんで黒服を助けたの?」
「まるであいつを助ける事が悪いみたいな物言いをするな、君は」
「……」
ホシノはマイケルが黒服を助けたことがやはり気に入らないようで、あからさまに不機嫌そうな表情をしている。黒衣のシロコを除いた他の面々はそんなホシノの様子に戦々恐々としているようだ。
しかし、マイケルの放った一言でホシノの表情が呆気にとられたようなものに変わる。他人から指摘されて自分の主張がどのようなものか客観視した場合、それがどう見られるか自覚したらしい。
「やれやれ、図星か。まあ、君の立場になってみればわからなくもないが……」
「でも、あの人がカイザーと手を組んでいたというのならホシノ先輩の気持ちは分からなくはないです」
「ん、私も同じ。というか、私も一応あれに捕まってた事があるからあいつに良い気はしない」
「あれはシロコ先輩の自業自得な所があるでしょ……」
「んんっ!」
ホシノに同調するシロコだったが、アビドス事件の際にカイザー……というよりも黒服に捕まったのは、マイケルからの待機命令を無視してカイザーの基地に単身向かったのが原因だということを指摘されると弱い。わざとらしくそっぽを向いてごまかそうとするシロコであったが、そんな様子を見て黒衣のシロコは呆れたように肩を竦めた。
「こっちのシロコは随分とヤンチャなんだね」
「ん~~~~っ!!」
「はいはい、そこまでだ」
こちらのシロコが抗議の態度を取ったところでマイケルは二人の間に割り込み、ぐぐっと引き離す。こうして落ち着いたところで彼は姿勢を正し、話題を戻した。
「それで、だ。私が黒服達を助けた理由が知りたいようだが……まあ、まず第一にあいつ等はアルファ・ワームに感染していた。放置すると感染変異体になって周囲の人々を襲い始める可能性があったため、所有していたワクチンを与えた。これはいいな?」
「うん、まあ……それは理解できるけど」
ホシノとしては不満だが、アルファ・ワームの脅威を実感した身としてはマイケルの説明には同意できる。いくら黒服が気に入らないとはいえ、そのために感染を許すべきではないという程度の分別はあった。
「次に、奴らの集団……名前はゲマトリアというのだが、こいつがまた妙な技術を持つ連中でな。特にアリウス自治区を支配していたベアトリーチェとかいう奴はエデン条約の際に色々と仕掛けてきた。ニュースぐらいは見ているだろう?」
「あー……聖堂が爆発で半壊したとかいう、あれ?」
エデン条約はトリニティとゲヘナの間で結ばれたもの。アビドスは全く関係なかったが、トリニティと自治区が隣接していることもあり一応ニュースを見ては居たのだ。とはいえ、彼女たちが見たのは事態が全て終わった後。その際に何が起きていたのかまでは、報道された以上のことは知らない。
「そうだ、ゲマトリアは個人個人に干渉はせずそれぞれが独自の研究をしているそうだが、それはつまりホシノの時の黒服のような事をしたとして、それを止めるつもりはないということだ。そんな連中がこの状況下で野放しとなっていたら何をしでかすかわからない……ということで、ここで保護することで監視も兼ねる、それが私の考えだ」
「えぇっと、つまり?」
セリカが首を傾げる。どうやら彼女は話をうまく飲み込めていないようで、そんな彼女のためにアヤネが口を開いた。
「先生はあの2人を監視するために救助した……ということでしょうか?」
「正解だアヤネ、アビドスに10点。ま、そういうことだ……それにな、黒服には以前釘を刺してるんだよ、二度と生徒に関わるなとな。一応、あいつは素直にその約束を守っているようだ。となれば、あそこで見捨てるのは気分が悪い」
「先生、あいつらとそんな約束結んでたの!?」
予期せぬ事実にホシノは驚きの声を上げる。実際、ゲマトリアとの個人的な取り決めは生徒に話していないのでその反応は当然と言えるだろう。
「それとだが、あのマエストロとかいう奴はアリウスのために匿名で資金提供してくれたんだ。おっと、これは秘密だぞ」
「……なんだろう、ちょっとイメージと違うんだけど」
「人の行いは見た目によらないということだ、1つ賢くなったな」
黒服に引っ張られ、ゲマトリアに対して悪感情しか抱いていなかったホシノは黒服の意外な一面と、マエストロの思いもよらぬ善行を知り目を丸くしている。もっとも、マエストロのもう1つの側面である偏執的な芸術家という顔は伏せた。今その話をしても面倒になるだけだ。
一先ず説明を受けて彼女たちはゲマトリアの2人については納得はしたらしく、先程までの不満げな雰囲気は消えていた。正しくは消えていないのだが、表に出すのを止めたというのが正しいだろうか。それを確認したマイケルはようやく彼女たちに告げるべき話題を切り出す。
「さて、本題に入るが……これから我々は出現した塔に対する反攻作戦を行わなければならない。制限時間は100時間、それまでに6つの塔全てを破壊する必要があるが、こういう場合多くの学校の強力が不可欠だ。君たちにも参加してもらいたいが、どうかな?」
「反攻作戦?」
「いや、そもそも制限時間100時間って、あんまり時間無いじゃないの!?」
「先生、もしそれを越えたら……どうなるんでしょうか?」
制限時間についてノノミが質問すると、マイケルは大げさに肩を竦めて答えた。
「多分、キヴォトスが滅ぶ。こいつはミレニアムが出した推定値だからな、信憑性はあるだろう」
「……冗談だったら良かったのにね」
マイケルの言葉に続き黒衣のシロコが呟く。故郷を滅ぼされた彼女の一言は重く、故にアビドスの面々は気持ちを切り替える必要があった。
「わかった、おじさんたちも参加するよ。アビドスの塔をどうにかしないと自治区の人たちも大変なことになりそうだし」
「ああ、それなら会議室に移動してくれ。
「それじゃ、みんな行こう」
作戦への参加を決断したアビドスの面々を会議室へ案内すると、彼女たちと入れ替わるように2人の少女がマイケルの前に立つ。ライトグリーンの髪に紺色の制服、ハイランダー鉄道学園の橘姉妹だ。もう一人、内海アオバの姿が見当たらないが、その姿を探して顔を動かすとノゾミが笑う。
「もしかしてアオバを探してるの? 乗り物酔いが治らなくてまだぐったりしてるよ」
「アオバは仕方なしー、体質はどうしようもなーい」
「ふむ、それで君たちは何の用事で?」
アオバが居ないのは仕方ないとして、2人が何故やって来たのか。その理由をマイケルが問うと、2人は顔を見合わせた後に双子らしいシンクロを見せながら答えた。
「連邦生徒会の交通室からシャーレに協力するようにって要請があったから、ハイランダーは全面協力するって理事会が決めたらしいよ」
「それでー、なんとヒカリ達は連絡係になれって命令がー」
「輸送列車から装甲列車まで、何でも使っていいってさ!」
「ああ、なるほど……」
どうやら交通室長であるモモカが手を回してくれていたらしい。ハイランダーが協力してくれるとなると、戦略輸送や住人避難等で非常に便利だ。後で彼女には明太子スナックを買ってあげるとしようと彼は思った。もっとも、キヴォトスに未来があればだが。
「それなら、君たちも会議室に向かってくれないか。今から反攻作戦を練らなければならないが、他の学園との調整もある」
「はーい、お菓子はあるー?」
「それはまあ、言えば出してくれるんじゃないか? 一応備蓄はあるはずだしな。ただし、あまり騒がないようにな、他の生徒も沢山居る」
「おー、ぐれーいと」
「パヒャッ! それじゃ行こう、ヒカリ」
2人がフロアを離れ、会議室へと向かう。その背中を目で追った後、マイケルがふぅと息を吐くと歩き出して病室の1つに向かった。この中にいるのは先程話していたゲマトリアの2人、彼等に用があるからこそここに来たのだ。
「入るぞ」
ノックを軽くした後、返事を待たずに部屋へと踏み込む。中にはベッドが2つ並んでおり、その住人となっていた黒服とマエストロは入院着に着替えさせられていた。これでは黒服とは呼べないなと頭の片隅で考えるが、それは置いておいてマイケルは二人の前に立った。
「ご機嫌いかがかな? 生憎ここにはスイートルームは無いから、ベッドが硬いのは勘弁してくれないか。まあ、ゆっくり休む余裕もないとは思うが」
彼の言葉に、黒服とマエストロの頭が動く。マエストロは砕けた左半身を保護するように布が巻かれ、一方黒服は弾けた風船のようになっていた顔が、とりあえずは人の頭部の形にある程度は戻り始めている。どうやらある程度は回復したらしい。
相変わらずどこが目と口なのかわからない顔面をしているが、黒服はマイケルの姿を認めるとすっと目*1を細めて頭を下げる。命を救われた以上、礼を言うのは
「……今回は助けていただいたこと、感謝します閣下。ですが、それがただの善意ではないことは理解しています。私どもに一体何を求めているのか、説明をお願いできませんか?」
「どの道我らに拒否権などは無いがな」
相変わらず表面上は慇懃な態度を崩さぬ黒服と、どこか不貞腐れた様子のマエストロ。そんな2人にマイケルは小さく肩を竦め、口を開く。
「良くわかっているじゃないか黒服、今キヴォトスを襲っている未曾有の危機をどうにかするためにお前たちの知識と技術を提供してもらう。お前たちとしても、キヴォトスが滅ぶのは本意ではないだろう?」
「……知識はともかく、技術は無理だ。我々の拠点は既に襲われて恐らく破壊されている……改良を続けていたヒエロニムスや、新しく作り始めていたグレゴリオも今や我が手には無い」
そう言ってマエストロは心底残念そうに肩を落とす。自分の作品を完成させる事ができずに失ったことは、彼のようなタイプでなくともショックだろう。
「私もラボを喪失した以上、出せるモノはほぼありませんね……もしゴルコンダが居れば何かしらのものを提供できたでしょうが」
「そのゴルコンダだが、今は別人になっているぞ。確か、あいつはフランシスと名乗っていたか」
「フランシスだと……よりにもよってフランシスか」
吐き捨てるようにマエストロが言う。同僚にここまで言われるとは、よほどフランシスとかいう奴は嫌味な性格をしているのだろうか。あるいは、また別の理由なのか。そんなマイケルの表情を察したのか、マエストロは補足するように言葉を続けた。
「奴はある意味、ベアトリーチェよりも危険なものだ。自分の望む結果を引き出すためなら禁忌に手を出す……それと相対してそなたが無事であったのは幸いだ」
「本体であるデカルコマニーもフランシスの事はあまり好いていないようですからね」
「どうやらとんでもない奴に目をつけられたようだな、やれやれ」
マイケルは小さく肩を竦めた後、窓際に腰を下ろす。外は相変わらずの様子で、D.U.のそこかしこから黒煙も立ち上っていた。もっとも、先程の戦闘で敵の兵力を大きく削ったこともあり、こう見えてD.U.の戦線は安定しているため暫くは大丈夫だろう。
視線を外から室内に戻し、黒服とマエストロを交互に見る。技術の提供は無理だったが、となれば知識は出してもらわねば困るというもの。こればかりは譲れないと強く睨みつけると、彼等は肩を落とす。
「……わかりました、私共の持つ知識を共有しましょう。それが現状、払うことができる唯一の対価ですので」
「あまり好ましいものではないが、背に腹は代えられぬということだな」
2人は観念し、マイケルへの協力に同意する。ゲマトリアは壊滅し、残ったのは2人のみ、さらには生死の間にいたところを救ってもらった以上、何もしないということは不可能だった。
「それじゃあ、少しばかり聞かせてもらおうじゃないか。「色彩」についてお前たちが知っていることと、もう1つ―――ミメシスについて、だな」
そう言い放ち、マイケルの目がすっと細められる。絶対に嘘偽りなく話してもらうぞという彼の圧は凄まじく、2人はたまらず息を呑んだ。
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マイケルが会議室に戻ると、先程出たときよりも多くの学園の生徒たちが集まり情報交換やら自己紹介やら、多くのコミュニケーションを取っていた。変に対立する様子がないのはそんな事をしている余裕がないからなのか、あるいはここに来ている生徒たちが皆理性的なのか、それはわからないが、これから会議をするにあたって懸念点が無いのは良いことだ。
彼の姿を認めたリオは部屋の隅の体育座りから脱し、素知らぬ顔でケイやノアの横に立つ。先程までの様子を見ていた少なくない生徒たちはその変貌っぷりに鳩が豆鉄砲を食ったような表情を浮かべ、今までのは何だったのかと思わず目をこする。その隣ではセイアが涙目でずっと尻をさすっていたが、面と向かって何があったのかと聞くものは誰も居なかった。
それはさておき、マイケルが戻ってきたことでようやく塔への対応を主眼とした反攻作戦を考案することができるようになった。連邦生徒会からはリン、カヤ、そしてモモカが参加し、ヴァルキューレからはカンナが、SRTからはユキノが出ており、皆席についている。
また、いくらかの学校に声をかけた所、百鬼夜行や山海経、レッドウィンターといった中央から離れたところからも参加するという返事が得られていた。彼女たち用のディスプレイとカメラも用意し、マイケルは演台に立つ。
「さて、良く来てくれた諸君。これから我々は敵の侵略に対する反攻作戦を開始する」
彼の背後にあるスクリーンにプロジェクターから映像が投影される。キヴォトス全体の地図と、塔が出現したエリアがマークされているものだ。
「敵は6つの塔を出現させ、そのエネルギーの増幅によってキヴォトスを滅ぼすつもりらしい。これはミレニアムの協力があり判明したことだ。残り時間は100時間にも満たない」
「…………」
「それまでにすべての塔を破壊し、これ以上のキヴォトスへの攻撃を防ぐ。これが本作戦の目的であり、それ以外の結果は求められない。そのために、ここでは皆に意見を出し合ってもらう。1人で考えるよりも2人で、2人で考えるよりも3人で考えれば良い結果が得られるということだな」
『にゃはは、先生が三大校だけでなく我々にも声をかけたのはそういう意図があったんですね~』
モニターの1つがアクティブになり、角の生えた糸目の少女が映る。彼女は百鬼夜行連合学院、生徒会*2陰陽部の部長である天地ニヤ。先のサンクトゥムタワーの会議の際には出席していたが、その後自治区に戻っていたためリモートでの参加である。
『確かに、3人の凡人でも力を合わせれば1人の天才に勝るという諺もあるからの。それ故に妾もこの度の呼びかけに応じたのじゃ』
そして、さらに別のモニターもアクティブになり、一見儚げな雰囲気の小柄な少女が映る。ニヤと違い黒っぽい衣装に身を包んだ彼女は、マイケルからすれば初対面であった。
「君は……」
『ふむ、そう言えば初対面じゃったの。妾は竜華キサキ、山海経高級中学校の生徒会、玄竜門の門主を務めておる。エデン条約の時の演説は見事じゃったぞ先生』
「なるほど、私のファンということだな」
『ふふ、確かにそうかも知れぬの』
マイケルのファンであるという言葉を否定はせず、キサキは小さく笑う。実際、エデン条約の際の演説放送を見て彼に興味を持っていたからこそ、今回の呼びかけに応じたという面がある。
山海経は本来、外部との交流をほぼすることがない学園である。観光業は重要な収入源だが、学園としては極めて保守的な風土を持つが故に独自の文化を維持し続けているという。そんな山海経が今回、シャーレの呼びかけに応じて馳せ参じたというのはある意味衝撃的なものといえるだろう。
『おいらも居るぞ!』
「チェリノか、マリナはどうした?」
『うむ、マリナはおいらの指示でレッドウィンターの守りを固めさせているぞ』
「そうか、それならよかった」
そして3つ目のモニターに映し出されるのはレッドウィンターの指導者、連河チェリノ。相変わらずの尊大な態度で、付け髭もしっかりと決めている。傍にはトモエもいるのか、時折チラチラと見切れていた。
百鬼夜行、山海経、レッドウィンター、この3校が呼びかけに応じてくれたのはマイケルとしては正直助かる思いだった。
「さて、資料はそちらにも配信されているはずだ。何か案、あるいは気になる事があれば忌憚のない意見を述べてくれ」
さあ、これから議論を始めよう。そのマイケルの一言により人々は一斉に資料に手を伸ばすが、それと同時に一人の生徒が挙手をする。皆の視線が集中する中、挙手した生徒―――防衛室長、不知火カヤは起立して口を開いた。
「それなら、連邦生徒会防衛室から補足情報を。我々は保有する
「これは……」
リオがアップロードされた写真を見ると、確かに各自治区に出現した塔を上空から撮影したものだ。ズームで撮影されたものからは出現した兵力の種類や数、配置などを知ることができる。
無名の守護者や青白い
アビドス砂漠の塔の前に座す、
廃墟の塔の前に立ちはだかる、かつてミレニアムのインフラ整備を担っていた
ヒノム火山の塔の前の大地を踏み均す、まるで
廃遊園地スランピアの塔の前で踊る、
アリウス自治区の塔の前に佇む、
そして最後に、D.U.の塔の前に居たのは
どれもマイケルにとっては以前戦った事のあるものであったが、その様子は明らかにおかしい。ビナーとホドは本来デカグラマトンの預言者であり、色彩の配下には無かったはずだ。それに、ヒエロニムスと
これらが敵として立ちはだかるという事実に、マイケルは僅かに眉間にシワを寄せる。戦うにしろ、その撃破は非常に困難なのは明らかだ。
「……この直後、無人偵察機は撃墜されてロストしました。これらの映像に映し出されていたのは塔の直掩を行うように配置されているため、塔の守護者であると我々は判断しています」
カヤはそう言い、発言は終わりだと言わんばかりに腰を下ろした。
「通常の兵力すら相当だというのに、さらに特記すべき戦力まである。やはり敵としては塔への攻撃を阻止したいのだろうね」
「というかこれ、以前倒した連中じゃない? なんでこんなのが敵に回ってるのさ」
「私にもわからん……だが、一度倒したということは二度目も大丈夫ということだ。絶対に倒せない相手ではないというのは素直に喜ぶべきだろう」
「そういう考えもあるのか……」
皆、全員で明日を迎えたいという想いは同じである。だがその実現のためのハードルは高く、だからこそ皆で協力する必要があるのだと強く実感するのだった。