この物語は私のガンダム妄想を一つの形として、残せたらいいなと思い、書いております。
初めて書く、小説ですので至らないところもありますが、よろしくお願いいたします。
リアルティー重視で作っており、ガンダム作品だと08小隊、イグルー、サンダーボルト、UC。
他作品だとボトムズ、エリア88のような作風を目指しております。
また、アムロやカミーユのようなメジャーなキャラクターではなく。
ゲームやコミックなどの外伝作品などのマニアックなキャラクターが沢山、物語に出てきます。
私の独自解釈で物語を書きますので、解釈違いで不愉快な思いをさせてしまいましたら、申し訳ございません。
それでも、読んでくださる皆様が楽しんで読んでもらえるように頑張っていきたいです。
この作品の質問や感想など、心よりお待ちしております。
出来る限りはお返事しますが、ネタバレになる内容は、話を濁しますので、ご容赦ください。
それでは、お楽しみください。
プロローグ
訓練通りにすればいい。
訓練通りにすればいい。
訓練通りにすればいい。
訓練通りにすればいい。
心の中で何度も何度も同じ言葉を唱えた。
操縦桿を握る指先が、震えすぎて感覚が痺れる。
量産型ガンキャノンのコックピットは、訓練のときと同じ匂いがするはずなのに、今は鉄と油と自分の汗の臭いしか感じない。
月明かりが白すぎる。
森の木々が、黒い影を地面に落としている。
遠くで、砲声が遅れて届く。
まだ遠い。まだ安全。まだ――
「ロングボウ小隊、全機射撃陣地展開。陸戦型ジム3個小隊の突入と同時に支援射撃開始だ。」
アロンソ大尉の声が、訓練の時より硬い。
私は反射的に量産型ガンキャノンの膝をつかせ、キャノン砲を構える。
照準モニターに、2000メートル先のジオン軍塹壕が映る。
ザクが、月明かりにモノアイを光らせて動いている。
――カウントダウンが始まった。
「ナイト1よりロングボウ、ナイト小隊全機。突入まで……10、9、8……」
オデッサ北部戦線
MS部隊長のイーサン・ミチェル・オルグレン少佐の声は、深夜の無線でも揺るがない。
「7、6、5……」
カウントが進む度に私は心の中で、あることを強く願った。
「4、3、2……」
死にたくない、死にたくない、と私は心の中で強く願い、欲した。
「1、突入開始!」
瞬間、轟音が腹の底を貫いた。
ガンキャノンの両肩の240mmキャノン砲が火を噴く。
反動でコックピットが激しく揺れる。
モニターに映る砲弾の軌跡が、月明かりを切り裂いて一直線に伸びる。
着弾。2000メートル先のジオン陣地が、まるで地獄の蓋が開いたように爆発した。
テントが紙のように舞い上がり、トラックが宙を飛び、人間だったものが火の粉になって夜空に散る。
次の瞬間、陸戦型ジム9機が森林限界線を越えて突撃を開始する。
白いスラスターの光が、闇を切り裂いて疾走する。
私はただ、必死に照準を合わせる。
左手で照準補正、右手でトリガー。
キャノン砲が再び火を噴く。
着弾。爆炎。また一つ、陣地の塊が消し飛ぶ。
敵のザク9機が、塹壕から這い上がるように立ち上がった。
モノアイが赤く瞬き、ザク・マシンガンが火を噴く。
無数の曳光弾が夜を縫い、陸戦型ジムのシールドに火花を散らし、火線が交錯する。
まるで悪夢の花火だ。
私は操縦桿のトリガーを必死に引き続けた。
撃つ。
撃つ。
訓練通りにすればいい。
死にたくない。
死にたくない。
――でも、あの中に人がいる。
その思いは、まだ胸の奥で小さく疼くだけだった。
まだ、モニターの向こうは「敵」でしかなかった。
「ロングボウ小隊、全機砲撃停止! 味方が突入した!」
アロンソ大尉の声が無線を劈く。
モニターの中、陸戦型ジム9機がザクの群れに飛び込み、ビーム・サーベルとヒートホークが火花を散らす。
敵と味方の距離が近すぎて、キャノン砲は撃てない。
曳光弾の閃光が縦横に走り、ザクの装甲が裂ける音が遅れて届く。――まだ、俺の出番は終わってない。突然、大尉の声が直撃した。
「タカバ・ソウヤ少尉!ロングボウ3!お前のビームライフルだ!味方を巻き込むなよ、援護しろ!」
心臓が一瞬止まる。
「は、はいっ!」
声が裏返った。
震える手で武器セレクターをビームライフルに切り替える。
照準スコープがモニター中央に現れる。
味方のジムと敵のザクが、縦横無尽に絡み合い。
一瞬でも照準がズレたら、味方を誤射してまう。
息を止め、照準のブレを最小限に抑えようとした。
スコープの中で、一機のザクがジムの背後に回り込もうとしている。
ヒートホークを振り上げている。味方のジムは気づいていない。
――今だ。
引き金を絞る。ビームが閃いた。赤い光の槍が夜を貫き、ザクの胴体を真っ直ぐ貫通する。
装甲が溶け、内部で何かが爆発。
ザクは動きを止め、そのまま前のめりに倒れた。
「やった……!」
声が勝手に漏れた。
初めて自分で敵を撃破した。
胸の奥に、小さな火花みたいな歓喜が弾ける。
その瞬間、ピーッという甲高い警告音がコックピットを突き抜けた。
「!?」
モニターの後方に赤い点が3つ浮き上がる。
センサー反応、距離800、急速接近!
「タカバ少尉!ぼさっとするな!」
アロンソ大尉の怒声が耳を劈く。
「敵影! 6時方向、距離700! ザク3機!」
センサーの警告音が頭を割る。
先の防衛線とは別の部隊だ。
森の陰から月光を浴びて現れた3機のザクは、全機がザク・マシンガンを構え、
こちらの支援砲撃部隊を潰すためだけに突っ込んでくる。
「ロングボウ3、ビームライフルはそのまま! 1番前の機体を1番機と呼称!1番機はソウヤが対応!2番機は俺、3番機はコルサコフ!死ぬなよ!」
大尉のガンキャノンが横に移動。
コルサコフ中尉もキャノン砲を振り向ける。
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない。
死の恐怖が私の心に広がり、全てを埋め尽くして支配した。
震える手で照準を合わせる。
スコープにザクのシルエットがどんどん大きくなる。
赤いモノアイが、まるで自分を睨みつけているみたいだ。
目の前に迫るザクⅡのザク・マシンガンが火を噴いた。
120mm弾が夜を切り裂き、ガンキャノンの右肩装甲に着弾し、装甲が凹んだ。
ザクの弾が着弾した瞬間、私の体は『死』と言う、現実を突きつけられた。
体が硬直した。
指がいつも通りに動かない。
喉が麻痺して、息すら吸えない。
だが、私は無我夢中に引き金に触れている人差し指に力を入れた。
「来るなぁぁーー!!」
ビームライフルから赤い閃光が放たれる。
その赤い閃光がザクの右肩を撃ち抜いた。
装甲が溶け、火花が散る。
マシンガンを持った右腕は引き金を引いたまま、地上で、のたうち回る。
ザクはよろめいたが、それでも止まらない。
腰からヒートホークを引き抜き。
赤熱した刃が月光より輝き、視界を灼いた。
距離はもう80……60……
ザクのヒートホークが振りかぶられる寸前、私は直感的にビームライフルを突きつけた。
銃口がザクの胸部中央を捉えた瞬間、引き金を引いた。
ビームが走る。
至近距離で赤い光がザクの胸装甲を直撃。
装甲が一瞬で溶け、赤熱した装甲が花弁のようにはがれ落ちる。
内部からオレンジの炎が噴き出し、熔けた鉄が巻き上がる。
まだ倒れ込んでくる。
「うわああああーっ!」
私は叫びながら、立て続けに2発目を、3発目を撃ち込んだ。
2発目は1発目から少し右にずれ、3発目は少し上に逸れた。
胸部ブロックがぐしゃりと潰れ、溶けた装甲が地面に滴り落ちる。
ザクは前のめりに崩れ、重い音を立てて地面に叩きつけられた。
煙と炎が立ち昇る。
モニター越しに胸の部分がぐちゃぐちゃに溶けているのが見えた。
何もかもが溶けて、形を失っている。
ハッチも、座席も、操縦者も……全部が溶けた金属と炎に飲み込まれていく。
……何も、見えない。
何も、残っていない。
操縦桿を握りしめたまま、ただ呆然とそれを見つめていた。
モニターに映るのは、燃え落ちるザクの残骸だけ。
……倒した。
……敵を倒した。
震える手で操縦桿を握りしめる。
まだ、心臓が鳴り止まない。
無線から、大尉の声が割って入った。
「タカバ少尉、よくやった。……残り2機も俺たちが片付けた。お前はもう下がれ、援護は十分だ。」
森の奥から響いていた銃声が、ぴたりと止んだ。
無線に短い報告が次々と入ってくる。
「ナイト1から各機へ、敵防衛線の敵機殲滅。制圧が完了した。」
「こちらはロングボウ1、被害なし。弾薬残量……ロングボウ3のみ若干多消費。」
静寂が戻る。
大尉の声が、静かに告げた。
「ロンクボウ小隊の各機へ。これにて戦闘終了。
ロングボウ小隊は直ちに前進を開始する。
……少尉、お前もだ。ゆっくりでいい。ついてこい。」
私は返答もできずに、ただ操縦桿を握ったまま機体を前進させた。
静寂が戻った。
月明かりだけが、かつて防衛線だった場所を照らしている。
焼け焦げた土が広がり、掘り返された塹壕は半壊し、倒壊したテントの布が風にたなびいている。
焼け落ちたトラックの残骸、散乱した弾薬箱。
そして、動かなくなったザク達の残骸。
私はモニター越しにその景色を眺めていた。
防衛線陣地は、もう完全に沈黙していた。
1機の陸戦型ジムがビームライフルを持っている量産型ガンキャノンを見ていた。
パイロットはモニター越しでガンキャノンを見続けていた。
「大丈夫か?ヤザン?」
「ええ、あのガンキャノンに助けられました。」
量産型ガンキャノンが、月明かりの中をゆっくりとこちらへ向かってくる。
「ヤザン、俺たちも移動を開始しよう。オデッサまで、もう少しだからな。」
「了解しました。」
ガンキャノンを見ていた陸戦型ジムはオデッサに向かうために南下を始めた。
ガンキャノンの足が、焼け焦げた地面を踏みしめるたびに、ドスン、ドスン、と鈍い音がコックピットに響いた。
私はモニターで地表を見た。
篝火のように燃えている死体。
地面を這うように転がっている死体。
内臓が黒く焦げながら飛び出している死体。
顔が判別できない死体。
そして、私が最初に溶かしたザクの残骸があった。
操縦者の体は、どこにも残っていない。
ただ、胸部を貫いたビームの跡だけが、黒く空いた穴としてぽっかりと残っていた。
(自分の引き金で殺したんだ。)
喉が熱い。
胃がひっくり返る。
喉の奥から熱いものが込み上げてくる。
ヘルメットのバイザーを急いで開け、コックピットの中で盛大に吐いた。
酸っぱい胃液と、さっきまで食べたレーションが、床にべちゃりと広がる。
「おい!どうした、少尉!」
アロンソ大尉の声が、無線で響く。
「大丈夫です……! 問題ありません……! 進んでください……!」
必死に声を絞り出した。
涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしながら、操縦桿を握り直す。
「落ち着け。深呼吸しろ。誰もお前を責めちゃいない」
「……はい……!」
嘘だ。
周りの人は責めてないかもしれないけど、自分がやったことを、どうしても、受け止めなきゃいけなかった。
自分の指で引き金を引いた。
私はパイロットを殺した。
溶けた鉄の向こうに確かに人がいた。
もう、逃げられない。
俺は震える足でペダルを踏み、吐いた胃液の臭いが充満するコックピットの中で、ゆっくりと前進を再開した。
焼け焦げた死体を踏み潰しながらオデッサを目指した。
東の空が薄い灰色に変わり始めた頃、作戦司令部の全軍周波に興奮した声が飛び込んできた。
『こちら作戦司令部! 全隊に通達!ホワイトベース隊が黒い三連星を撃破!繰り返す!黒い三連星のドム3機を撃破した!」
あの黒い三連星が本当に倒されたのか。
私は驚きと同時に胸の奥がズキリと痛んだ。
自分が溶かしたザクの中にも、名前も知らない誰かがいたように。
あの人たちにも、家族がいたんだろうな。
でも……でも、これは戦争だ。
敵は私を殺すために襲ってきた。
俺は生きるために引き金を引いた。
仕方なかった。
仕方ないんだ。
震える唇を噛み、自分に言い聞かせた。
――仕方ないことだったんだ。
朝日が昇る。
オデッサの大地を真っ赤に照らし出す。
オデッサ作戦は始まったばかりだ。
人物プロフィール
ソウヤ・タカバ (鷹羽 蒼矢)
誕生日 宇宙世紀0058年生まれ 1月6日
出身地 日本 年齢21歳 O型 階級 少尉
希望CV 鈴村健一 (声のイメージはFGOのロマニ・アーキマン)
父がルナリアン、母が地球人のハーフ。
容姿は日本人だが、瞳は父親譲りの美しい青い瞳をしている。
幼少の頃に母親と死別している。
出身地は日本だが、後に月面のフォン・ブラウンに移住。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
不定期の更新になりますが、最後まで物語を完結させようと思っております。
質問や感想など、気軽にしてください。
【機動戦士ガンダム オリオンの軌跡】に登場するオリジナル機体で好きな機体はなんですか?
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陸戦型ジム改
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バイアリーターク
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ペイルライダー・ヴァンガード
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ペイルライダー・マスケッティア
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ヴァルキリー
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グフ・ノクターン