ジャブローの密林上空を、10機以上のガウ攻撃空母が埋め尽くしていた。
量産型ガンキャノンのコックピットで、ソウヤはモニターに映る、その光景に息を呑む。
「ジオンが…本気でジャブローを攻めてきた…!」
隣の通信で、ヤザン・ゲーブルが叫ぶ。
「くそっ、こいつらマジかよ! 降下したやつから、ぶっ潰してやる!」
イーサン・ミチェル・オルグレン少佐のジム・ドミナンスが冷静に通信で応じる。
「落ち着け、二人とも。ジャブローを攻め落とすには数が少ない。このジャブローを落とすなら倍の戦力が必要だ。陽動か、特定の目標へのピンポイント攻撃だ。油断するな。」
司令部からの緊急通信が響く。
「オリオン小隊、上空のガウと降下したモビルスーツを迎撃せよ! 高高度のガウは別部隊のデルタチームのジムスナイパーⅡがロングレンジ・ビームライフルで対応する。オリオン小隊は低空のガウと降下部隊を叩け!」
「オリオン1、了解!」
イーサンが即座に応じる。
「ソウヤ、量産型ガンキャノンのビームライフルで低空のガウを攻撃。ヤザン、右腰の100mmマシンガンに持ち替え、ロケット・ランチャーをランドセルに固定。ガウから降下するモビルスーツは俺が二連ビームライフルで迎撃する。行くぞ!」
ヤザンが素早くロケット・ランチャーを背中のランドセルに固定し、右腰から100mmマシンガンを取り出す。
「よっしゃ! 降下したやつから、蜂の巣にしてやるよ!」
ソウヤはビームライフルを構え、密林の湿気と泥濘む地面を踏みしめる。
ガウがモビルスーツを降下させる瞬間、ガウ攻撃空母は減速し、隙を見せる。
イーサンの号令が響く。
「今だ、迎撃開始!」
同じ瞬間、ジャブローの防空迎撃システムが作動。密林の上空に無数の対空ミサイルと機関砲の弾幕が炸裂し、降下するジオンのモビルスーツを飲み込む。
ソウヤはモニター越しにその猛烈な火力を目撃し、驚愕する。
「こ、こんな弾幕…!」
ヤザンも通信で唸る。
「くそっ、ジオンの奴らが気の毒になるくらいの火力と弾幕だな…。こんな対空弾幕は俺でも、ごめんだ。」
ソウヤはガンキャノンのビームライフルを握り、照準モニターに目を凝らす。
1機のガウがわずかに減速させ、モビルスーツの降下準備に入った。
その動きは鈍重だが、装甲の厚さとミサイルの脅威がモニターに映る。
ソウヤは深呼吸し、照準をガウの左翼の熱核ジェットエンジンに合わせる。
密林の湿気でレンズが曇る中、センサーがガウの熱源を捉え、距離と風速データを瞬時に表示。
「エネルギー出力安定…照準補正、0.3度左…」と呟きながら、ソウヤはトリガーを引く。
赤いビームが密林の木々を突き抜け、ガウの左翼熱核ジェットエンジンに直撃。
爆炎がオレンジ色の光を放ち、ガウは左に大きく傾きながら密林に向かって墜落する。
積載していた爆弾が引火し、空中で大爆発を起こす。
「ガウ、1機撃破!」
ソウヤが報告。
すぐさま、2機目の低空を飛んでいるガウに標準を合わせる。
機体は先ほどのガウより速度が速く、絨毯爆撃の準備に入っているようだ。
ソウヤは冷静にモニターのデータを確認。
ガウの機首がわずかに上を向き、爆撃用のハッチが開く瞬間を捉える。
「今だ…あの爆撃用ハッチを!」
ソウヤはビームライフルの照準を微調整し、ガウの爆撃用ハッチにロックオン。
密林の木々が視界を遮るが、センサーの補助で正確な射線を確保。
指がトリガーを引き、ビームが爆撃用ハッチに着弾。
ガウの爆撃用ハッチは炎と黒煙を吹き出し、機体は不安定に揺れながら右に傾きながら墜落。
爆発音が密林に響き、黒煙が空を覆う。
「ガウ、2機目撃破!」
ソウヤの声が通信に響いた。
遠くの密林から空に一筋の赤い光が閃く。高高度を飛行していたガウが一機撃墜される。
「あれが…デルタチームのジムスナイパーⅡのロングレンジ・ビームライフル! あの精度とビーム出力、どんな火器管制システム使っているんだ…?」
技術的好奇心が湧くが、ソウヤはすぐに火器コントロールをキャノン砲に切り替え、散弾モードを選択。
接近するドップの編隊に向け、ガンキャノンの両肩のキャノン砲が火を噴く。
散弾が密林の上空に広がり、ドップ2機が爆散する。
「ドップ、2機撃墜!」
ソウヤが叫ぶ。
ヤザンは100mmマシンガンを連射し、機敏に動くドップを次々と撃ち落とす。
「ハハッ、ドップだろうがザクだろうが、このマシンガンで蜂の巣にしてやるよ!」
100mmマシンガンを次のドップに狙いを定め、戦闘の興奮に目を輝かせる。
イーサンのジム・ドミナンスは二連ビームライフルを構え、降下するザクⅡとグフを正確に狙撃。
センサー強化アタッチメントが捉えた敵機を次々と撃破し、爆炎が密林に落ちる。
「降下モビルスーツ、3機撃破! まだ来るぞ、油断するな!」
ソウヤがキャノン砲でドップを追う中、突然、背中に悪寒が走り、頭に稲妻のような閃光が閃く。
反射的にガンキャノンを横に噴射させ、緊急回避を行う。
直後、後方から放たれた、ジオンのバズーカの弾が地面を爆砕する。
「後方から攻撃!?」
心臓が早鐘を打つ中、イーサンの声が響く。
「ソウヤ、無事か!?」
イーサンの声がコックピット内に響く。
三人はバズーカが発射された、後ろを振り返る。
密林の暗がりに、黒紫の装甲が揺らめく、オデッサ作戦のジオン工場制圧時に遭遇したグフ・ノクターンだ。
そのステルス性能と不気味なシルエットに、ソウヤは息を呑む。
ノクターンの姿を見たヤザンが叫ぶ。
「てめえ! オデッサの工場で俺とやり合った、忍者グフじゃねえか! あの時は逃げられたが、今度は逃がさねえぞ!」
イーサンが冷静に制する。
「ヤザン、突っ込むな! 下手に分散すると各個撃破されるぞ!」
ジャブローの防空弾幕が降下部隊を叩く中、オリオン小隊はグフ・ノクターンと対峙する。
ジャブローの密林、南ブロック監視所跡は炎と煙に包まれ、ガウ攻撃空母の残骸が木々をなぎ倒して燃えていた。
オリオン小隊のモビルスーツは破壊された監視所の周囲に展開し、グフ・ノクターンと対峙する。
ソウヤ・タカバ少尉は量産型ガンキャノンのコックピットで、モニターに映るグフ・ノクターンの黒紫の装甲が不気味に揺らめく。
ステルス性能でセンサーに一瞬しか映らず、密林の闇に溶け込む。
「オリオン小隊、戦闘態勢!」
イーサン・ミチェル・オルグレン少佐の声が通信で響く。
「ソウヤ、ドップの迎撃に専念しろ! 上空を抑えて俺とヤザンの援護!」
「了解です、隊長!」
ソウヤが応じ、座席の後ろからスコープを取り出し、機敏に低空を飛び回るドップの編隊に狙いを定める。
「ドップの速度…予測軌道…散弾で落とす!」
両肩のキャノン砲が火を噴き、散弾が密林の上空に広がる。
散弾の破片に当たったドップ2機が火花を散らして爆散し、残骸が木々に引っかかりながら落ちるのだった。
「ドップ、2機撃墜!」
イーサンのジム・ドミナンスとヤザン・ゲーブルの陸戦型ジム改がグフ・ノクターンとの距離を詰める。
「ヤザン!あいつに同時に突っ込むぞ!」
イーサンが二連ビームライフルを構え、センサー強化アタッチメントでグフ・ノクターンを捉え。
ヤザンは100mmマシンガンを相手に向け、ニヤリと笑う。
「忍者グフ! オデッサの借りを返すぜ!」
だが、その瞬間、密林の川岸から2機のアッガイが姿を現す。
ずんぐりした装甲の赤いモノアイが光り、頭部の105mmバルカン4門が一斉に火を噴く。
轟音とともに弾幕がイーサンとヤザンに襲いかかり、泥濘んだ地面が爆発する。
イーサンはジム・ドミナンスを左腕に装備した盾で弾幕を防ぎ、ヤザンは陸戦型ジム改を木々の陰に滑り込ませ、ギリギリで回避した。
「くそっ、アッガイの待ち伏せか!」
ヤザンが叫ぶ。
イーサンはヤザンに素早く指示を出す。
「ヤザン、お前はグフ・ノクターンに集中しろ! アッガイ2機は俺が引き受ける!」
ジム・ドミナンスは破損した左腕の盾をパージし、二連ビームライフをアッガイに照準を合わせ、ビームライフルを連射。
片方のアッガイの右肩装甲にビームが掠り、火花が散る。
「任せたぞ!ヤザン!」
イーサンのドミナンスはアッガイ2機を相手取り、戦闘を始めた。
ヤザンは100mmマシンガンを右腰のアタッチメントに装着をし直し、ランドセルに装着していたロケット・ランチャーを構える。
「忍者野郎! オデッサでの決着をつけようぜ!」
グフ・ノクターンから通信が入り、ミツル・サタケの激情した声が響く。
「連邦の犬が! オデッサでの傷の借り、 このジャブローで返させてもらう!」
グフ・ノクターンがザク・バズーカを放ち、爆発が密林の木々を吹き飛ばす。
ヤザンは陸戦型ジム改を急加速、泥濘を跳ね上げ、木々の間を縫うように回避。
ロケット・ランチャーを連射し、「くらえ!」と叫ぶ。
ロケット弾がグフ・ノクターンの周囲で炸裂、土煙が舞い、木々が折れる。
密林を疾走しながら、ヤザンとサタケの遠距離戦が続く。
グフ・ノクターンがステルスで姿を消し、木々の影からノクターンはバズーカを撃ち込む。
爆風で地面が抉れ、ヤザンは陸戦型ジム改を急停止、逆方向に跳躍して回避。
「ハハッ、隠れても無駄だぜ!」
ロケット・ランチャーを連射し、グフ・ノクターンの足元を爆砕。
サタケが反撃し、3連装35mmガトリング砲を唸らせる。
3連装35mmガトリング砲の弾幕が陸戦型ジム改の装甲をかすめ、火花が散る。
「そのガトリング、うぜえな!」
ヤザンは木々を盾にしながらロケット弾を撃ち込み、グフ・ノクターンを追い詰める。
バズーカとロケットランチャーの応酬で密林が震え、双方の弾薬が尽きる。
ヤザンが叫ぶ。
「弾切れか!だが、 これからが本番だ!」
グフ・ノクターンと陸戦型ジム改は互いに持っていたバズーカとランチャーを捨て、背中のバックパックからビームサーベルを抜き放つ。
ヤザンは操縦席のダイヤルを回し、ビームサーベルの出力を上げる。
「さあ!俺と、とことん殺り合おうぜ…!」
そう呟くと、陸戦型ジム改は出力を上げたビームサーベルを振りかざし、グフ・ノクターンもそれを迎え撃つようにコールド・ブレードを抜刀。
陸戦型ジム改のビームの刃とグフ・ノクターンの物体の刃が激しく交錯し、
近接戦に入るのだった。
その頃、ソウヤは上空のドップの迎撃に専念していた。
3機編成のドップが急降下し、ミサイルを放つ。
「ちっ!ミサイルか!」
素早く火器管制を操作し、キャノン砲から頭部バルカンに切り換えを行う。
頭部バルカンを連射、ミサイルを撃ち落としながら1機のドップのエンジンを撃ち抜き、火炎を纏ったドップはジャブローの大河に墜ちる。
「ドップ、1機撃墜!」
再度、火器管制操作を行い、キャノン砲に素早く切り換える。
こちらに近付いてきた残りのドップ2機に散弾の砲撃を浴びせ、散弾で残る2機を巻き込み、爆散させる。
「ドップ、2機撃墜! 上空クリア!」
ソウヤは仲間を信じ、ヤザンとイーサンの援護に徹するのだった。
密林の中で紺と黒紫の機影が木々をなぎ倒しながら激しく動き回る。
近づいては離れ、近づいては離れを繰り返し、グフ・ノクターンのコールド・ブレードと陸戦型ジム改のビームサーベルが幾度も刃を交えていた。
だが、長時間のビームサーベル使用で内蔵されていたミノフスキー粒子が枯渇。
ヤザンのビーム刃が消失する。
「ちっ!高出力モードで使いすぎた!」
グフ・ノクターンはコールド・ブレードを構え、密林を疾走してヤザンに斬りかかる。
「隙あり!これで終わりだ!」
サタケの声が密林に響く。
だが、ヤザンはコックピットで牙を剥くようにニヤリと笑う。
ギラギラした獣のような眼がモニター越しに光り、獲物を罠に掛けた野生の猛獣の如く、闘志がほとばしる。
「終わるのは!お前の方だよ!」
ビームサーベルのエネルギー切れはヤザンの策略だった。
ヤザンは左腕のシールド・ヒートクローを起動、灼熱の鉤爪がコールド・ブレードを受け止める。
「ハハッ、近づいてきたな、ジオン野郎!」
ヤザンは陸戦型ジム改の右腕のスタン・アンカーを発射。
電磁ワイヤーの杭がグフ・ノクターンの左肩に命中する。
「ビビり野郎は芝居を打たなきゃ逃げちまうからな! 痺れな!」
スタン・アンカーの杭から高圧電流が流れ、グフ・ノクターンの左腕から黒煙が登る。
電流がガトリング砲のマガジンに誘爆、グフ・ノクターンの左腕が爆発。
グフ・ノクターンは左腕を損失する。
「うぐああっ!」
サタケの呻き声が通信に響く。
誘爆の衝撃でグフ・ノクターンがよろめく瞬間、ヤザンはシールド・ヒートクローを斬り上げる。
「これで終わりだ!」
灼熱の爪がグフ・ノクターンの腰を横から真っ二つに切り裂いた。
下半身を失ったグフ・ノクターンは衝撃で河まで吹き飛び。
巨大な水しぶきを上げる。
河に沈んだグフ・ノクターンはそのまま姿を現すことはなかった。
「ちっ、河に落としちまったか。撃破できたか、確認ができねぇな。」
ヤザンが吐き捨てる。
グフ・ノクターンの撃破にアッガイ2機は動揺した。
イーサンはその隙を逃さず、ジム・ドミナンスのビームライフルを構える。
「動揺は命取りだ。」
二連ビームライフルからビームが放たれ、アッガイの周りの密林の木々を焼き消す。
周辺の木々を焼き消されたアッガイは姿を露わにされるのだった。
1機目のアッガイが左腕のロケットランチャーで反撃するが、イーサンは機体を左前に滑らせ、ロケットランチャーの攻撃を回避。
センサーがコックピットの位置を捕捉し、左腕のボックス・ビーム・サーベルを起動させ、アッガイのコックピットを貫く。
「アッガイ、1機撃破!」
2機目がクローを振り上げるが、イーサンは貫いたアッガイを盾にすることで攻撃を防ぐ。
ジム・ドミナンスは左腕のビーム刃を消すと一気に距離を取り、二連ビームライフルを構えた。
「これで仕留める!」
二連ビームライフルからビームが放たれ、アッガイの胴体に大きな風穴を開ける。
「アッガイ、2機撃破!」
アッガイ2機を相手にしながら、ヤザンの陸戦型ジム改にアッガイの射線が通らないように立ち回り、最小限の動きで仕留めたイーサンに感銘を受ける。
イーサンの操縦はモビルスーツに対する深い知識と冷静な状況判断の賜物だと、ソウヤは思うのだった。
ジャブローの地上戦が一時的に落ち着いたようだ。
ソウヤは量産型ガンキャノンのコックピットで息を整える。
「今までの特訓…ガンダム五号機のシミュレーターでの戦闘、今日の実戦で活かされた…。」
ヤザンが通信で笑う。
「ハハッ、ソウヤ、俺もだ! あのシミュレーターのクソキツい訓練がなけりゃ、忍者グフにやられてたぜ!」
イーサンが静かに微笑む。
「よくやった、二人とも。ソウヤの援護がドップの攻撃を抑え、ヤザンがグフ・ノクターンを倒した。俺たちの役割が噛み合った結果だ。オリオン小隊の初戦に相応しい勝利だ。」
オリオン小隊の実戦での、初めての勝利の余韻に浸っていると突然、司令部から緊急通信が入る。
「オリオン小隊、聞こえるか!?ジオンの部隊がジャブロー内部の宇宙船ドッグエリアに侵入した! 至急、指定した宇宙船ドックに向かってくれ!」
「オリオン1、了解!」
イーサンが応じ、ジム・ドミナンスを旋回させる。
「ソウヤ、ヤザン、宇宙船ドックへ急ぐぞ! 」
ソウヤは操縦桿を握り直す。
「くっ、宇宙船ドックまで侵入されていたのか!」
ヤザンが叫ぶ。
「ふん、侵入した敵も俺が狩ってやる。」
オリオン小隊は密林を抜け、地下基地の宇宙船ドックに急行した。
オリオン小隊はジャブローの地下基地の鍾乳洞を突き進み、宇宙船ドックエリアに到着した。
広大な格納庫は鉄骨とコンクリートが交錯し、頭上のパイプから蒸気が漏れる。
イーサンのジム・ドミナンスがセンサー強化アタッチメントで宇宙船ドックエリアをスキャンするとセンサーが巨大な熱源を感知。
「センサーに感あり!前方にかなり巨大な熱源があるようだ、確認に向かうぞ!」
オリオン小隊は熱源が感知された方向に急行する。
すると、量産型ガンキャノンのモニターに、ペガサス級の白い船体が映し出される。
ホワイトベースに似たシルエットだが、メガ粒子砲が艦首寄りに配置され、装甲の継ぎ目が鋭角的だ。
だが、その白い馬体は炎に包まれ、溶けたメガ粒子砲の砲塔から火花が散っていた。
「ペガサス級が炎上しています!」
ソウヤが声を上げる。
燃え上がるペガサス級の周りには消化班が殺到し、消火活動を行っていた。
消火剤を噴射するが、炎の勢いが止まらず。
紅蓮の炎がペガサス級の馬体を焼き続けるのだった。
オルグレン少佐はペガサス級を消化している消火班と連絡を取り、敵の索敵と護衛を依頼される。
「オリオン小隊、周囲の敵を索敵しろ! ブランリヴァルを襲ったジオンの部隊が潜んでいる可能性がある!」
「了解!」
ヤザン・ゲーブルが陸戦型ジム改を動かし、右腰に装備していた100mmマシンガンを構えた。
「襲った奴がいたら、ぶっ潰してやるぜ!」
ソウヤはガンキャノンの広範囲索敵センサーを起動し、周辺に索敵を行う。
「周辺に敵影はなし。うん?この反応は…友軍か?」
センサーが反応を示し、格納庫の奥に炎上するモビルスーツを発見する。
白と青の装甲、キャノン砲が取り付けられたバックパック、額にV型のアンテナ、赤い二つの瞳、コックピット付近が炎に包まれ、冷却用の胸ダクトから黒煙が上がる。
その姿を発見したソウヤが叫ぶ。
「隊長、ガンダムタイプのモビルスーツを確認! 炎上中です!冷却システムがやられてます!」
イーサンがジム・ドミナンスのセンサー強化アタッチメントでモニターを凝視し、ガンダムタイプの状態を確認を行う。
「あれはガンダム6号機!?コックピットにパイロットが取り残されているのか!」
ジム・ドミナンスは急いでガンダム6号機に近づき、接触回線を試みる。
ガンダム6号機の制御システムにアクセスし、コックピットハッチのロック解除命令を出す。
ハッチが軋みながら開き、煙の中からパイロットがよろめきながらコックピットから出ようとするが、バランスを崩し地面へと落下しようとした。
「おっと!危ねーー!」
ヤザンの陸戦型ジム改が素早く反応し、ガンダム6号機のパイロットを左手マニピュレーターで受け止めて保護した。
パイロットは咳き込みながら陸戦型ジム改の中指にしがみつき、イーサンに通信を行う。
「助かった…! だが、ガンダム6号機がまだ燃えてる! 頼む!消火をお願いしたい!」
その声には切実さと未完成の機体への悔しさが滲む。
イーサンは6号機の切実な願いに応じる。
「了解した。周囲をスキャンする!」
ジム・ドミナンスのセンサーを駆使し、格納庫内を探索。
崩れた瓦礫の陰に、宇宙船のダメージコントロール用消火剤を積載したタンクローリーを発見する。
「ダメコン用の消火剤か。俺がガンダム6号機を消火する!」
イーサンはジム・ドミナンスを加速させ、タンクローリーに接近し、マニピュレーターでノズルを掴む。
ソウヤはガンキャノンのキャノン砲を構え、周辺の警戒を続ける。
「隊長、敵の気配はなし! 消火に集中してください!」
イーサンはタンクローリーのノズルを牽引すると、ノズル口をガンダム6号機に向け、消火剤を吹き掛けた。
ノズルから噴射された白い泡が炎を包み、黒煙が薄れ、ガンダム6号機に纏わり付いていた炎が消える。
炎上していたガンダム6号機は無事に鎮火することが出来たのだ。
「ガンダム6号機の消火完了!」
ヤザンはパイロットを陸戦型ジム改の左手の掌に乗せ、格納庫の安全な隅の方に移動する。
周囲が安全であると判断すると、ガンダム6号機のパイロットをそっと地面に降ろす。
降りたパイロットは膝をつきながらイーサンのジム・ドミナンスに目を向ける。
「ありがとう…! あなたたちはどこの部隊ですか?」
イーサンは冷静に答える。
「ジャブロー直轄のオリオン小隊だ。」
部隊名を曖昧に答え、イーサンはガンダム6号機のパイロットに尋ねる。
「ところで、誰にやられたんだ?」
パイロットは息を整えながら答える。
「狼のエンブレムが特徴のMSに襲われた。ガンダム6号機の冷却システムの弱点を突かれて、こうなった。オデッサでも何度も交戦した因縁の相手だよ…。」
その声には怒りと悔しさが混じていた。
「狼のエンブレム?マルコシアス隊に襲われたのか?」
イーサンは狼のエンブレムと聞き、宇宙船ドックを襲ったのはマルコシアス隊なのかと、6号機のパイロットに尋ねる。
6号機のパイロットは首を横に振り、イーサンの問いに答えた。
「いや、俺が襲われたのはフェンリル隊だ。」
「フェンリル隊!?キャリフォルニア・ベースの地下潜水艦ドッグを制圧したフェンリル隊なのか!?」
イーサンはフェンリル隊の名前を聞き、驚愕する。
「隊長、フェンリル隊とは?」
ソウヤはイーサンにフェンリル隊のことを尋ねた。
「マルコシアス隊と同じ、キシリア配下の部隊だ。かなりの手練れでこの部隊に遭遇した連邦の部隊はかなりの損害を出すことで恐れられている。」
すると、ジャブロー司令部から通信が入る。
「オリオン小隊、ジオンの降下部隊は全て撃破または撤退。宇宙船ドックエリアは安全確保。引き続き警戒を。」
ソウヤはガンキャノンのコックピットで肩の力を抜き、ブランリヴァルの損傷した船体を眺める。
戦いの爪痕を痛感するのだった。
ジャブローの密林での激戦を終え、オリオン小隊のモビルスーツが地下基地の格納庫にゆっくりと戻ってきた。
ジム・ドミナンス、陸戦型ジム改、量産型ガンキャノンの足音が金属製の床に反響し、格納庫の薄暗い照明が反射した装甲には焦げ跡、弾痕、泥が目立つ。
整備班のナガト中尉が先頭に立ち、ミサキ伍長とイヤン軍曹、他の整備員を従えて、無事に帰還したオリオン小隊を出迎える。
ナガトは一瞬笑みを浮かべ、「お前ら、生きて帰ってきて良かったぜ」と呟き、整備班も安堵の表情を見せる。
しかし、すぐにナガトが鋭い声で指示を出す。
「おし! すぐに機体のダメージチェックと整備を今すぐ始めろ! ミサキ、イヤン、野郎ども!動け!」
帰還したオリオン小隊のモビルスーツがハンガーに固定されたのを確認すると、整備班は慌ただしく動き出し、工具を手に持つ音や足場の振動が格納庫に響く。
ミサキが陸戦型ジム改の関節を点検し、イヤンが量産型ガンキャノンの冷却ダクトをスキャンし始める。
イーサン、ソウヤ、ヤザンがコックピットから降り、ナガトに近づく。
イーサンが落ち着いた声で報告する。
「ナガト中尉、無事に帰還したよ。敵の降下部隊は退けたが、グフ・ノクターンやアッガイの攻撃が激しく、機体に幾らかダメージが。」
ナガトは頷き、3人を労う。
「よくやった、イーサン、ソウヤ、ヤザン。お前たちの働きで基地は守られた。…だがな、」
と一転して厳しい目でソウヤとヤザンを見る。
「ソウヤ、お前のキャノン砲の射撃ペースが速すぎた。機体を見ただけで冷却ユニットが悲鳴を上げてるのが分かる。ヤザン、お前のジム改の関節負荷はまた無茶な操縦をしたな。無茶が過ぎる。」
ソウヤは気まずそうに頭を下げ、「了解しました。中尉、確かにペースを抑えるべきでした…。」
と反省する。
ヤザンはムッとして「ったく、おやっさんの目は透視鏡かよ! あれは忍者野郎を倒すためで!と愚痴をこぼす。
しかし「疲れてるだろ。休め。後で機体状況を詳しく話す」とナガトは一蹴する。
イーサン、ソウヤ、ヤザンはナガトに促され、格納庫内の休憩室へ移動する。
粗末な部屋に自販機が一つあり、イーサンが「少し休憩だ。飲み物は俺が奢る」と言い、3人が順に自販機から飲み物を選ぶ。
イーサンはコーヒー、ソウヤはアイスティー、ヤザンは炭酸ジュースの缶を取り、テーブルに腰を掛ける。
缶を開ける音が静寂を破り、ほっとした空気が流れる。
ヤザンがジュースを一口飲むと、ニヤリと笑いながら話し始める。
「なぁ、ソウヤ、あの忍者グフを俺が仕留めたの見たか? シールド・ヒートクローで仕留めたぜ! 次はお前もしっかり見とけよ!」
「わかったわかった。今度はしっかりとヤザンの勇姿を見るよ。」
ソウヤはアイスティーを一口飲み、遠い目で呟いた。
「しかし、信じられないよ…あれだけのジオン降下部隊を退けたなんて。ガウの大群やグフ・ノクターン…まだ現実感がない。」
イーサンはコーヒーを飲みながら静かに労う。
「二人ともよくやった。ソウヤの援護射撃、ヤザンの機動、どちらも決定的だった。オリオン小隊の初戦にふさわしい働きだ。」
ソウヤはアイスティーの缶を置き、声を低くする。
「でも…この戦場の状況、混迷しすぎてて不安ですね。次は何が来るかまったく分からない。」
イーサンは穏やかに応じる。
「確かに状況は複雑だ。マルコシアス隊にフェンリル隊、謎の青いモビルスーツ、ジオンも連邦も戦局の終盤に近づいてる。ただ、ソウヤ、お前が冷静に射撃を続けたことがチームを支えた。仲間がいる限り、どんな敵も乗り越えられる。」
ヤザンがジュースを勢いよく飲み干し。
「おう! どんな敵が来ようと俺がぶっ潰してやる! マルコシアスだろうがフェンリルだろうがな!」
と気炎を上げる。
ソウヤはイーサンの言葉に励まされ、薄く笑みを浮かべる。
休憩室のドアが開き、ナガト中尉がデータパッドを持って入ってくる。
ナガトがデータパッドを手に機体の状況を説明を始めた。
「帰還した機体のダメージを確認した。ソウヤのガンキャノン、冷却ユニットが7%オーバーで配管に亀裂。ヤザンの陸戦型ジム改、装甲に数か所の損傷、更に関節のトルクが限界を超えてて補修が必要。イーサンのドミナンスは脚部装甲の補修が必要だな。あと、センサーアタッチメントに軽い歪み。修理は整備班が引き受けるから、3人は部屋に戻って休め。修復計画書は後で伝える。」
イーサンが立ち上がり、「すまんな。ケン、頼むぞ」と礼を述べ、ソウヤとヤザンも後に続く。
3人はそれぞれの部屋へ戻り、疲れと戦いの余韻に浸りながら休息を取る。
ソウヤは部屋に戻るとパイロットスーツを脱ぎ捨て、シャワーを簡単に浴びた。
体を拭き終わるとフラフラとベッドに向かい、ベッドにダイブ。
「なんとか……生き残れた………。」
戦闘での緊張が解け、ソウヤは夢を見ることもなく、深い眠りに落ちるのだった。
ジオンのジャブロー降下作戦から二日後。
ジャブロー基地の地下深くにあるブリーフィングルームにオリオン小隊のメンバーが揃っていた。
長机が並び、ソウヤ・タカバは量産型ガンキャノンの整備データを手に、ヤザン・ゲーブルは足を組んで壁にもたれ、整備班の数名がホログラム投影機の周りに集まっている。
ジャブロー降下作戦から2日が経ち、疲れが顔に滲むが、戦いの余韻がまだ消えていない。
ドアが開き、オルグレン少佐が静かに部屋に入る。
隣にはナガト中尉がデータパッドを手に従う。
隊長とナガト中尉が入室した瞬間、部屋に居た全員が椅子に着席する。
ナガトは作業着のポケットに手を入れ、鋭い目で部屋を見渡し、オリオン小隊のメンバーが全員揃っているかを確認。
メンバー全員が居ることを確認すると、イーサンが口を開く。
「全員、ジャブロー降下作戦の阻止によく尽力してくれた。ジオンの侵攻を食い止めたのは君たちの働きだ。よくやった。」
イーサンが話を続け、重要な情報を伝える。
「諜報班から連絡が入った。我々が追っているターゲットの居場所が判明した、北米のキャリフォルニア・ベースだ。かつてジャブロー防衛の要だったが、ジオンに占領され、現在はジオンの地上最後の砦と化している。オデッサ敗北とジャブロー強襲失敗でジオンは疲弊し、連邦軍は奪還作戦を計画中だ。敵の戦力は未知数だが、準備を急げ。出発は明日だ。」
ナガトがデータを投影し、技術士官として状況を報告する。
「モビルスーツの状態を確認した。ソウヤの量産型ガンキャノンは、イヤン軍曹が主砲の調整を終えたが、冷却ユニットに軽微な損傷が残る。ヤザンの陸戦型ジム改は、ミサキ伍長が腕部とトルクの補修を完了したが、反応速度の微調整が必要だ。北米への移動にはミデアを2機用意し、モビルスーツと機材の搬入を今夜中に終える予定だ。整備班は既に準備を進めている。」
ミサキ伍長が小さく頷き、イヤン軍曹が「ガンキャノンの搬入は問題ない」と補足する。
イーサンがさらに付け加える。
「ただし、北米には奇妙な噂がある。『魔女』と呼ばれる存在が笑いながら戦うという話だ。どうも、かなりの手練れの部隊で北米の連邦軍の部隊が、かなり手を焼いてるようだ。」
ヤザンが目を輝かせ、身を乗り出す。
「魔女だって? 笑いながら戦うなんて、面白そうだなぁ! 」
興味津々で言い出す。
ソウヤは机に置いた拳を握り、胸に重い予感が広がる。
「次は北米か…、新しい戦いが…始まるのか…。」
彼の呟きは、部屋の静寂に溶け込む。
ソウヤは握った拳を見つめ、仲間と共に戦い抜いたジャブローの激戦を思い出す。
恐怖と緊張の中で、仲間を信じ、オリオン小隊が初めて掴んだ勝利を胸に刻むのだった。
【機動戦士ガンダム オリオンの軌跡】に登場するオリジナル機体で好きな機体はなんですか?
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ヴァルキリー
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グフ・ノクターン