赤土の荒野に、鼓膜を震わせる凄絶なミノフスキー粒子同士の干渉音が炸裂した。
緑の『スライフレイル』が構えるロング・ビーム・ジャベリンと、紅い『ガンダム・ピクシー』が振るうツイン・ビーム・スピア。
両雄の掲げた光刃が真っ向から激突し、激しいプラズマの火花が2機の装甲を焼き焦がす。
ガギィィィィィィンッ!!!
火花を散らす至近距離。
ソウヤはコンソールに狂ったように走るアラートを見つめ、歯を食いしばった。
(――速い、そして重い……っ!!)
明確な不利。それが、激突した瞬間にソウヤが肌で感じた戦況だった。
ソウヤのスライフレイルは、頑強ながらも基本フレームは陸戦型ガンダムの改修機。
対するリリスのピクシーは、重力下での瞬発力を極限まで高めた地上最速の格闘特化機だ。
一回り以上も違う機動性の差が、そのまま挙動の遅れとなってソウヤにのしかかる。
それ以上に致命的なのは、互いの主兵装が持つ「間合い」の差だった。
リリスの持つツイン・ビームスピアは、リーチが長く、その先端に展開されたビーム刃の長さも圧倒的だった。
対するソウヤのロング・ビーム・ジャベリンは、先端から放出される五叉のビーム発振器の破壊力こそ凄まじいものの、ビーム刃そのものの長さはリリスのスピアの半分ほどしかない。
「ああっ、ソウヤ! やっぱり、あなたは最高だわ!!」
リリスの歓喜に満ちた叫びと共に、ピクシーの槍捌きがさらに加速する。
リリスの天性の格闘センスが、その長いリーチを最大級に活かしていた。
突きを基本とする『ロッドモード』でスライフレイルの死角へ凄まじい刺突を連打し、ソウヤの防御を強引にこじ開けにかかる。
ソウヤは連結させた柄でその刺突を必死に受け止めるが、ビーム刃の短いジャベリンでは、一歩間違えればビームの刃ではなく「実体の柄」でリリスの光刃を受け止めることになってしまう。
高出力のビームを受け止めてしまえば、ジャベリンの柄自体が焼き切られて破壊されかねない。
完璧な角度、完璧なタイミングで受け止めなければ即座に兵装を失うという、薄氷を踏むような防御を強いられていた。
「これならどう!?」
リリスは突撃の慣性を乗せたまま、ツイン・ビーム・スピアの先端部を可動させ、敵を薙ぎ払う大鎌状の『サイズモード』へと瞬時に変形させた。紅い死神の二つ名に相応しい、凶悪な大鎌が、スライフレイルの首元を刈り取るべく横一線に奔る。
「――甘いっ!!」
ソウヤは鋭く叫び、操縦桿を操作した。
連結させたロング・ビーム・ジャベリンのまま、もう片方の先端から五叉の穂先が現れる一
『ダブル・ビーム・ジャベリンモード』。
ブワッと膨れ上がった十本の凶悪な光刃の束が、変則的な回転を伴って死神の大鎌を受け止める。凄まじいエネルギーの反発が起き、スライフレイルは強烈な回転薙ぎ払いで、ピクシーのサイズモードによる圧力を強引に弾き飛ばした。
しかし、リリスは弾かれた反動すらも、全身のアポジモーターの強制噴射で即座に殺した。
ピクシーは猫のようなしなやかさで体勢を立て直すと、再び地上最速の足さばきで、スライフレイルの懐へと肉薄していく。
「まだまだ!!」
「くっ……!!」
大鎌と槍、変幻自在に形を変えるリリスの苛烈な猛攻。
長槍と両頭槍を死に物狂いで使い分け、機体スペックの差を純粋な操縦技術と執念で埋めようとするソウヤ。火花散る赤土の大地の上で、2機の「ガンダム」による、一瞬の油断が即座に敗北へと繋がる神速の斬り結びが続いていた。
(――チッ、このままじゃ……スペック差だけでジリ貧になる……!)
ピクシーの高速の槍捌きを辛うじて捌きながら、ソウヤは冷や汗を流していた。
自分の槍の短いリーチは、これまでの戦いで培った純粋な操縦技量と間合いの読みでなんとか誤魔化せている。
だが、フレームそのものの駆動速度、アポジモーターの絶対数といった「機体スペック」の差だけは、どれほど技術を尽くしても埋めきれるものではなかった。
押し寄せる紅い死神の猛攻。
リリスのピクシーは、戦えば戦うほどその格闘センスを研ぎ澄ませ、スライフレイルの装甲裏センサーを容赦なく削りにかかってくる。
(ここで俺が押し切られて負ければ……リリスを完全無傷のまま、サンダース軍曹やジョシュアの元へ行かせることになる。それだけは、絶対に阻止しなきゃならない……!)
死力を尽くして戦っている仲間のためにも、エースである自分がここで手傷一つ負わせられずに沈むわけにはいかない。
ソウヤは奥歯を噛み締め、コンソールの中央、固くロックされていた赤いカバーを跳ね上げた。
(リスクは承知の上だ。相討ちになってでも、あんたの足をここで止める……!)
迷いはなかった。ソウヤの指が、秘匿されたリミッター解除スイッチを激しく押し込む。
「スライフレイル――『マックスモード』、起動(ドライブ)!!」
――ドクン、と機体が心臓の鼓動を打ったかのような錯覚が走った。
直後、コックピット内のインジケーターが全点灯し、緑の警告灯が狂ったように明滅を始める。
ズウゥゥゥゥゥンッ!!!
スライフレイルの熱核反応炉が、まるで獣のような凄まじい咆哮を上げた。
バックパックと全身のバーニアから、これまでの倍以上の高密度な推進焔が吹き荒れ、周囲の赤土を爆風で派手に吹き飛ばす。
その圧倒的なプレッシャーの変貌を、リリスの空間認識能力が敏感に察知した。
リリスは歓喜と狂おしいほどの興奮にその瞳をギラつかせ、ゾクゾクとするような闘志を燃え上がらせる。
「そうこなくっちゃ、ソウヤ!! あなたが本気で来てくれるのを、私はずっと待っていたのよ!!」
「いくぞ、リリスーーーッ!!」
加速する緑の影。
マックスモードによってピクシーの「地上最速」に並ぶ圧倒的な瞬発力を手に入れたスライフレイルが、大気を引き裂いて突撃する。
紅い死神と、命を燃やす緑の狩人。
互いの全てを賭けた本当の激闘が、トリントンの荒野で激しく火花を散らす。
ジョシュアのジム・キャノンが放つ、肩のキャノン砲が赤土の大地を激しく抉る。
ドオォォォンッ! ドオォォォンッ!
だが、その爆炎を文字通り「紙一重」のステップで切り抜けてくる機影があった。
ルイザ・ルイス少尉の駆る『陸戦型ジム』だ。
(……くっ、なんて機動力だ! 後発のジム・コマンドあたりより、重力下のキレが完全に上回ってる……!)
ジョシュアはコンソールに映る敵機の挙動に、冷や汗を流していた。
ルイザの陸戦型ジムは、連邦軍のMS量産計画初期に先行試作された高性能量産機。
地上戦用に極限までチューンされた内装部品は、重力下においてはガンダムに匹敵するとすら言われるスペックを誇る。
支援機であるジム・キャノンでは、純粋な運動性において一歩劣らざるを得なかった。
「そこですっ……! 落ちてくださいっ!」
ルイザの鋭い叫びと共に、ビームライフルから減衰フラッシュビームが鋭く連射される。
一発でも被弾すれば、装甲裏のセンサーが直撃を判定し、一撃で機能停止に追い込まれる凶悪な弾幕だ。
ジョシュアは左腕の連邦軍標準シールドを構え、機体を躍動させて突っ込んでくるルイザの射線を必死に弾いた。
シールドの表面がビームの熱量で激しくログを刻む。
(まともに距離を詰められたら、中距離支援の俺に勝ち目はない。……なら!)
ジョシュアは一瞬の隙を突き、コンソールのサブ・トリガーを叩いた。
プシュゥゥゥゥッ!!!
ジム・キャノンの左胸に装着されたスモークディスチャージャーから、高濃度の煙幕弾が一斉に発射された。
爆発的に広がった遮蔽煙幕が、一瞬にして2機の間の視界を完全にゼロにする。
「きゃっ!? 煙幕……っ!?」
突入ルートを白い闇に遮られ、ルイザの陸戦型ジムがわずかに制動をかけた。
だが、ジョシュアの狙いはここからだった。
「ここまで来たんだ……! 先輩の門出を汚させてたまるかよッ!!」
ジョシュアは煙幕の向こう、エミリアのホバートラックからデータリンクで送られてくるルイザ機の熱源座標へ向けて、両手に構えた二挺ビーム・スプレーガンを突き出した。
ズバババババババババババッ!!!
左右の腕を交互に、かつ高速で連射する変則的なスタイル。
煙幕の奥から、無数の光の散弾がルイザの陸戦型ジムを襲った。
通常のジムよりも遥かに手数の多い近接信地射撃の弾幕。
しかし、ルイザもまたウィッチハントの精鋭だ。
ルイザはショート・シールドを前に掲げ、ビーム・スプレーガンの直撃を強引に耐え凌ぐ。
彼女の機体を守るルナ・チタニウム合金の装甲は、スプレーガンの出力を文字通り「鉄壁」の如く受け止めた。
「リリス先輩やバリー隊長を、これ以上困らせないで……! 私だって、負けられないんです!!」
ルイザはシールド越しに光弾を受け止めながら、スラスターを激しく吹かして煙幕を強引に突破。
ビーム・ライフルの銃口を、至近距離のジム・キャノンへと真っ直ぐに突き付けた。
「しまっ……!?」
突き付けられたビーム・ライフルの銃口が、ジョシュアの視界を絶望で満たす。
だが、ジョシュアの身体は恐怖にすくむことなく、反射で操縦桿のトリガーを引いた。
「当たれぇぇぇッ!!」
ジム・キャノンの頭部バルカン砲が、至近距離から狂ったように火を噴く。
凄まじい密度の弾幕がルイザの陸戦型ジムの右腕へと殺到。
至近距離からの容赦ない打撃がライフルの機関部を直撃し、装甲裏のセンサーが即座に反応を返す。
――ピピピッ!
【ALERT:WEAPON DESTROYED】
「えっ……!? ビーム・ライフルが……!?」
主兵装の強制ロックに、ルイザのコックピットに慌てた声が響く。
だが怯んだのは一瞬。
ルイザは使用不能になったライフルを即座に投げ捨てると、その爆発的な重力下スペックの推進力をそのまま突撃の慣性へと変えた。
「だったら――これでぇッ!!」
ルイザは左腕を大きく振りかぶり、頑強なショート・シールドを、まるで巨大な鉄槌のようにジム・キャノンへ向けて叩きつけた。
凄まじい質量を伴ったシールドの打突。
ジョシュアは咄嗟に左腕の標準シールドを掲げてガードするが、陸戦型ジムの恐るべき突進エネルギーは、ジム・キャノンの防御姿勢を完全に粉砕した。
ガギィィィィンッ!!!
強烈な衝撃波がジョシュアの脳を揺らす。
衝撃に耐えきれず、ジム・キャノンの左腕からシールドが吹き飛ばされた。
金属音を立てて宙を舞ったシールドは、赤土の大地へと真っ直ぐに突き刺さる。
「捕まえました……!」
ルイザの陸戦型ジムは、体勢の崩れたジム・キャノンへとそのまま馬乗りになるように組み付き、荒野の地面へと猛烈な勢いで押し倒した。
バックパックから地面へ叩きつけられた衝撃で、ジョシュアの視界が激しく暗転する。
その隙を逃さず、ルイザの右手は、陸戦型ジムの右ふくらはぎの装甲内に内蔵された近接兵装――ビーム・サーベルのグリップへと迷いなく伸び、引き抜くと同時に低出力モードの光刃をブワッと形成した。
輝く光の刃がジム・キャノンのコックピットハッチへ向けて真っ直ぐに突き刺さろうとする。
(――間に合わない……っ!?)
押し倒された衝撃で、ジョシュアの反応は完全にコンマ数秒遅れていた。
サーベルの先端が迫る。
だが、ジョシュアの左右の指は、まだ両手に握りしめていた二挺のビーム・スプレーガンのトリガーを、死に物狂いで引き絞っていた。
「サンダース軍曹の……花道を、邪魔させるかぁぁぁーーーッ!!」
ズドォォォォォォンッ!!!
ジム・キャノンの胴体の真上で、二挺のビーム・スプレーガンがゼロ距離で同時に炸裂した。
強烈な減衰フラッシュビームの光条が、ルイザの陸戦型ジムの腹部装甲を内側から爆破するように閃光を放つ。
直後、2機のコックピットモニターに、システムログが同時に赤文字でフラッシュした。
【ALERT:GENARATOR DOWN / UNIT SILENT】
完全に重なり合った撃破判定。
センサーが、2機に厳格な判定を告げていた。
「嘘……、そんな……! あと一歩だったのに……相討ちだなんて、悔しい……っ!」
メインモニターが暗転し、完全に機体機能を物理ロックされたコックピットの中で、ルイザは操縦桿を握りしめたまま、自身の不覚にポロポロと悔し涙を流した。
大好きなリリス先輩たちの力になれず、ここで脱落してしまったことが、何よりも堪え難かった。一方、同じく完全に沈黙したジム・キャノンの中で、ジョシュアはシートに深く身体を預け、天井を見上げて大きく安堵の息を吐き出していた。
「はぁ……はぁ……。あぶ、ねぇ……。なんとか、相討ちには持ち込めた……。あとは、頼みます……隊長、サンダース軍曹……!」
若き精鋭2機の意地が火花を散らした戦場には、沈黙した2機のモビルスーツと、地面に真っ直ぐ突き刺さったシールドだけが、静かに硝煙を上げて残されていた。
ジョシュアとルイザが相討ちで散った硝煙がトリントンの空に立ち上る中、もう一つの戦場でも、激しい金属の咆哮が荒野を震わせていた。
「くっ!ジョシュアが!? だが、なんとか陸戦型ジムを仕留めてくれたようだな……。」
サンダースの陸戦型ガンダムが、右腰から引き抜いた100mmマシンガンを両手でガッチリと保持し、前方の鈍色の巨体へと銃口を向けた。
対するウィッチハント隊の隊長、バリー・アボット大尉の『装甲強化型ジム』は、脚部の推進システムを唸らせ、赤土を滑るように円軌道を描いて接近してくる。
ホバー移動独特の、上下動のない不気味なほどの滑らかさだ。
ダダダダダダダダダダダダッ!!!
サンダースは躊躇なくトリガーを引き絞った。
陸戦型ガンダムが戦場を生き抜いてきた象徴とも言える、100mmマシンガンの激しい連射。
演習用ペイント弾の豪雨が、バリーの進行ルートを正確に塞ぐように殺到する。
しかし、バリーの戦術眼はサンダースの予測をさらに上回っていた。
「甘いな……いや、そのトリガーワーク、お前も『大戦』をくぐり抜けてきたクチだな!」
バリーはホバーの慣性を極限まで利用し、瞬時に横へとスライド。
マシンガンの弾幕の大半を紙一重の滑走で回避してみせた。
どうしても避けきれない数発の弾丸は、上半身に辛うじて残されていたリアクティブ・アーマーが爆発を伴って迎え撃ち、機体本体へのセンサー直撃を完全に無力化する。
(――チッ、ホバーによる挙動変化に、残った反応装甲か! 接近戦になれば、あの追加装甲が文字通りの『盾』として機能する……!)
サンダースはコックピットの中で冷や汗を流しながらも、冷静に次の一手を計算していた。
バリーのジムは、先ほどの待ち伏せでリアクティブ・アーマーのほとんどを剥がされたはずだった。
だが、上半身の要所にはまだ装甲が残っている。肉薄され、コマンドシールドと反応装甲による強引な押し込みを受ければ、手数のマシンガンでは装甲を貫通させる前に、こちらが押し切られかねない。
ズウゥゥゥゥンッ!!!
バリーの装甲強化型ジムが、背部スラスターを一瞬だけ同調させて爆発的な前進ホバーを敢行した。
一気に距離を詰め、右手に握られた低出力モードのビーム・サーベルが、陸戦型ガンダムの胸元を目がけて鋭く奔る。
「だが、隊長の……そして第4小隊の勝利のために、一歩も引くわけにはいかんのだッ!!」
サンダースは吼えた。
陸戦型ガンダムのフットペダルを力強く踏み込み、無理な回避ではなく、あえて自らも一歩前へ踏み出す格闘戦のステップ。
サンダースは左腕のシールドを絶妙な角度で傾け、バリーのサーベルの軌道を強引に上方へと「受け流す」ように滑らせた。
ガギィィィンと激しい火花が散る。
その至近距離、サーベルを弾かれて一瞬だけバリーの機体が硬直したその瞬間。サンダースは右手の100mmマシンガンの銃口を、バリーの装甲強化型ジムの腹部――反応装甲が完全に剥がれ落ち、内部フレームのセンサーが露出している部位へと、文字通りゼロ距離で突き付けた。
「これで、終わりだ……!」
ダダダダダダダダダダッ!!!
至近距離からの容赦ないバースト射撃。
しかし、バリーもまた北米の凄惨な戦場を生き抜いた戦士だ。
弾丸が叩き込まれる直前、バリーは強引に機体を捩じり、左腕のコマンドシールドを滑り込ませてマシンガンの銃口を力任せに殴り飛ばすシールドバッシュを行う。
至近距離での弾幕がシールドの表面を激しく叩き、激しいログが2機のコックピットに走る。
「いい反応だ! だが、俺を破るには、まだ手数が足りんな!」
「……なんという粘り強さ……!」
互いの機体が激しくぶつかり合い、赤土の荒野に強烈な砂煙が舞い上がる。
ホバー移動による変幻自在な肉薄と、残る反応装甲を活かしてインファイトを仕掛けるバリー大尉。
100mmマシンガンの弾幕をミリ単位でコントロールし、相手の僅かな装甲の隙間を冷徹に狙い撃ち続けるサンダース軍曹。
そこには、華やかなエース同士の戦いとは一線を画す、大戦を泥と硝煙にまみれて生き残ったベテランたちにしかできない、息詰まるような意地と技術の応酬があった。
ガギィィィィンッ!!!
サンダースの100mmマシンガンを強引に弾き飛ばしたバリーの装甲強化型ジムが、ホバーの推進力を右旋回へと一気に爆発させた。
コマンドシールドでのシールドバッシュから流れるような格闘コンビネーション。
「これで、チェックメイトだッ! サンダース軍曹!!」
バリーの鋭い声と共に、ジムの右腕から突き出された低出力モードのビーム・サーベルが、鋭い軌道で陸戦型ガンダムの胸部へ向けて突き出される。
ホバー移動の慣性を完全に殺しきった、ゼロ距離の突き。
これをまともに喰らえば、コックピットフレームのセンサーが反応し、一撃で機能停止に追い込まれるのは確実だった。
(――避ければ、あのホバーの旋回速度に追い付けなくなる。なら……!)
サンダースの脳裏に、3年間ともに東南アジアの泥にまみれて戦ってきた仲間たちの顔が、そして隊長であるソウヤの背中が過った。
ここで自分が退けば、ウィッチハントの隊長を無傷でソウヤの元へ行かせることになる。
自分の門出を祝おうと死力を尽くしてくれたジョシュアやエミリアたちの想いに、ここで背を向けるわけにはいかなかった。
「……うおおおおおおおおおッ!!」
サンダースは吼えた。
フットペダルを力任せに踏み込み、陸戦型ガンダムの左腕――先ほどの激突で無数のログを刻み、ボロボロになっていたシールドを、あえてバリーのビーム・サーベルの切先へと真っ直ぐに突き出した。
ズバァァァァァンッ!!!
低出力モードとはいえ、ビーム・サーベルの超高温が陸戦型ガンダムのシールド中央を完全に捉えた。
装甲裏のセンサーが一斉にレッドゾーンへと跳ね上がる。
――ピピピピピピッ!
【ALERT:SHIELD DESTROYED】――【ALERT:LEFT ARM DAMAGED / OUTPUT DOWN 50%】
「何っ……!? あえてシールドを喰わせたか!」
バリーが驚愕の声を上げた瞬間、サンダースの左腕に装着されていたシールドが、破壊判定される。
さらに、ビーム刃が陸戦型ガンダムの左腕フレームに届いたと判定し、コックピットのモニターには「左腕損傷判定・出力50%に低下」の非情な文字が明滅する。
強制ロックこそ免れたものの、ガンダムの左腕はダラリと脱力した。
だが、サンダースの右腕は、最初からこの「コンマ数秒の隙」だけを冷徹に待っていた。
「これが、第4小隊と一緒に駆け抜けた……俺の意地だぁぁぁッ!!」
シールドと左腕を犠牲にして作り出した、バリーの完全なガラ空きの胴体。
サンダースは右手の100mmマシンガンをガッチリと片手で持ち、反応装甲が完全に剥がれ落ち、内部フレームのセンサーが完全に露出している部位へと銃口を深々と突き刺すようにして密着させた。
至近距離、文字通りのゼロ距離射撃。
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!!!
トリガーを限界まで引き絞る。
100mmマシンガンの銃口から放たれた演習用ペイント弾の豪雨が、バリーのジムの腹部周辺を容赦なくペイント塗れにする。
至近距離での凄まじい衝撃が、装甲強化型ジムの巨体を激しく震わせる。
直後、バリーのコックピットの全モニターが、一瞬にして鮮烈な赤文字で塗り潰された。
【ALERT:CORE SENSOR DIRECT HIT / SYSTEM PHYSICAL LOCK】
「……見事だ。肉を切らせて、骨を断たれたか……!」
バリーは操縦桿から手を離し、完全に沈黙し、物理的に四肢の駆動をロックされたジムの中で、清々しい苦笑を漏らした。
シールドを自ら犠牲にし、腕の一本を差し出してでも叩き込んだその執念。
北米の激戦を生き抜いた自分すらも捩じ伏せる、東南アジアのベテランパイロットの底力に、心地よい敗北感を抱いていた。
「……はぁ、はぁ、はぁ……っ!」
一方、勝利をもぎ取ったサンダースの陸戦型ガンダムもまた、満身創痍だった。
左腕のシールドはパージされ、左腕は出力が半分に落ちて満足に動かすこともできない。
だが、右手に握られた100mmマシンガンは、まだ鈍い鈍色を放って健在だった。
「……撃破判定。――隊長、なんとか……なんとか1機、仕留めたぞ……!」
サンダースは荒い息を吐きながら、暗転していくバリーの機体を見届け、すぐに機体の機首を中央の戦場へと向けた。
これで戦況は「2対1」。
コジマ大隊第4小隊が数的有利を掴み取った。しかし、残るウィッチハント隊の最後の1機は、地上最速を誇るリリスのガンダム・ピクシー。そして、それを迎え撃つソウヤのスライフレイルは、命を燃やす『マックスモード』の制限時間5分が、刻一刻と迫りつつあった。
『バリー大尉、撃破判定を確認!!』
後方からエミリアの歓喜の通信が飛び込んでくるが、サンダースの表情は一瞬で引き締まった。
メインモニターの端、遠く離れた遮蔽物の向こうから、凄まじいプラズマの火花と熱核反応炉の咆哮が鳴り響いている。
ソウヤとリリスの、次元の違う死闘の音だ。
(中尉のマックスモードの限界が迫っている。……だが、この距離では、今から急いで駆けつけたとしても間に合うかどうか怪しい!)
地上最速を誇るピクシーに対し、一回り機動性が落ちる陸戦型ガンダムでは、ただ走って向かうだけではソウヤの援護に間に合わない可能性が極めて高かった。
さらに言えば、左腕を負傷して満身創痍のいまの機体では、辿り着いたところでリリスの高速格闘戦の足手まといになりかねない。
(ならば――あの距離に届く武器で、ここからガンダム・ピクシーを直接狙い撃てばいい!)
サンダースは一つの解を導き出し、彼はすぐさま機体を旋回させ、先ほど自らが地面へと手放した、『180mmキャノン』が横たわる方向へと陸戦型ガンダムを猛進させた。
手放した地点へと瞬時に到達したサンダースは、右手に持っていた100mmマシンガンを躊躇なく荒野へと放り捨てた。
そして、屈み込みながら、両手で巨大な180mmキャノンを保持しようとアームを伸ばす。
「くっ、……あ、上がれ……ッ!」
だが、その瞬間、コックピット内のインジケーターが激しく赤く明滅した。
先ほどのバリーとの死闘で、ペナルティを喰らった左腕。
出力が50%にまで半減した左腕は、油圧シリンダーが悲鳴を上げるようにガタガタと激しく震え、180mmキャノンの凄まじい重量をまともに保持することができなかった。
何とか右アームの力でキャノンをもちあげたものの、砲身を支える左腕が安定しないため、メインモニターに映るレティクルが狂ったように激しくブレてしまう。
(――しまっ……照準がブレて、これでは狙いが定まらん……!)
サンダースの胸に、焦りが奔った。遠方で繰り広げられているソウヤとリリスの超高速戦闘。
ほんの数ミリの照準のズレが、数百メートル先では致命的な誤射となって隊長を巻き込みかねない。
かと言って、今から走って向かっても間に合わない。
万策尽きたかと思われた、その時だった。
焦燥に駆られるサンダースのメインカメラの視界に、赤土の荒荒しい地面が映り込む。
そこには、先ほどの激闘でルイザの陸戦型ジムに押し倒される直前、ジョシュアのジム・キャノンから吹き飛ばされた、あの『連邦軍標準シールド』が、真っ直ぐに突き刺さっていた。
「……っ! ジョシュアの、盾……!」
それを見た瞬間、サンダースの脳裏に、電撃のような閃きが駆け抜けた。
(――使える……ッ!!)
サンダースの瞳に、不屈の闘志の輝きが戻った。彼はすぐさまスラスターを吹かし、ジョシュアのシールドが突き刺さるその場所へと、ガンダムの巨体を滑り込ませた。
スタジアムを埋め尽くす万雷の歓声も、先ほど巻き起こったバリーとサンダースの激闘の轟音も、今の二人の耳には一切届いていなかった。
ソウヤとリリス。
2人の若きエースの視界は、もはや目の前の互いの槍の光条と、互いの掲げる光刃の軌跡だけで完全に満たされていた。
戦況マップも、残存機数のインジケーターも、すべてが彼らの意識の遥か外側へとパージされている。
周囲の空間のすべてが消失し、ただ、緑と紅の機影だけが世界の中心で狂おしく踊っていた。
「ははっ、ソウヤ! すごい、すごいわ! あなたの動き、さっきまでと完全に違ってる!」
リリスの歓喜の叫びと共に、ピクシーの『ツイン・ビーム・スピア』が大鎌状のサイズモードに変形し、空間を十文字に引き裂く。
マックスモードによって機体のリミッターを強制解除したスライフレイルは、ジェネレーターと駆動系が悲鳴のような咆哮を上げながら、ピクシーの「地上最速」に完璧に追随していた。
「――おおおおおおおッ!!」
ソウヤは喉が張り裂けんばかりに吼え、ダブル・ビーム・ジャベリンを旋回させた。
両方の先端から発生する五叉の光刃が、変則的な回転攻撃となって死神の大鎌を真っ向から受け止める。
凄絶なプラズマの火花が荒野を昼間の如く白く照らし出し、余波の熱量が赤土を次々と融解させていった。
かつて、一年戦争の泥沼。
燃え盛るキャリフォルニア・ベースの戦場で出会った2人だった。
あの時は、生き残るための、殺すための、ただ凄惨なだけの戦いだった。
だが、今は違う。
ここは戦技競技会の舞台だ。
装甲裏のセンサーが直撃を判定し、部位がロックされるだけの、命を奪い合わない世界。
(ああ……なんて、心地良いんだ……!)
操縦桿から伝わる凄まじいフィードバックのなかで、ソウヤの胸を突いたのは、奇妙なほど純粋な「感謝」の念だった。
まさかあの地獄のような大戦を生き延び、こうして地球連邦軍の頂点を決める決勝戦の舞台で、命の恩人であるリリスと再び巡り会えるなんて思わなかった。
誰の命も奪わず、誰の死を悼むこともなく、ただ1人のパイロットとして、自らが磨き上げてきた技術のすべてをこの人にぶつけ、競い合っている。
リリスもまた、同じ純粋な法悦のなかにいた。ピクシーの全身のアポジモーターを強制噴射させ、重力下での限界を超えたステップでスライフレイルの死角へ肉薄する。
ツイン・ビーム・スピアを再び刺突用の『ロッドモード』へとスイッチし、神速の突きを連打する。
長いリーチを活かした死神の針が、緑の装甲をミリ単位でかすめていく。
(うれしい……、うれしいわ、ソウヤ。あなたが私を『魔女狩りの死神』ではなく、ただの『リリス・エイデン』という1人の人間として、全身全霊で受け止めてくれているのが……!)
復讐の亡霊としてではなく、1人の戦士として、己の技量のすべてを出し切って戦えるこの瞬間の幸福。
2人の槍捌きは、戦いでありながら、互いの存在を確かめ合うような、美しくも苛烈な対話へと昇華されていく。
バチィィィィィンッ!!!
ロング・ビーム・ジャベリンの穂先が、ピクシーの長い槍の穂先と至近距離で幾度も激しく擦れ合い、コックピット内のフレームが軋みの振動を伝える。
マックスモードのタイムリミット5分は、刻一刻と、無慈悲に減り続けている。
ジェネレーターの限界熱量は、すでにレッドゾーンの深奥へと踏み込んでいた。
だが、2人は止まらない。
ただ出会えたことの奇跡に、そしてこの極限のステージで雌雄を決する巡り合わせに感謝しながら、2人のガンダムは、魂のすべてを燃やし尽くすようにして、超高速の輝きの中へとさらに深く身を投じていった。
(――ここが、限界か……!)
コックピットのコンソールで激しく明滅する赤文字のデジタルタイマー。
マックスモードの制限時間5分は、残り数十秒を切っていた。
ジェネレーターの過熱を示す警告音が鳴り響く中、ソウヤはすべての迷いを捨てて操縦桿を限界まで押し込んだ。
この最後の攻撃に、持てるすべての技術と執念を懸けて、勝負を決める。
ソウヤは連結させていた柄を、信じられないほどの速さでパージした。
リリスがダブル・ビーム・ジャベリンモードとロング・ビーム・ジャベリンモードの『長い間合い』に慣れ始めたその刹那、あえて連結を解除して短槍の二刀流へと一瞬でスイッチする。
『ツイン・ビーム・ジャベリンモード』。
「――っ! 懐に潜られる!?」
リリスが驚愕した瞬間には、ソウヤの緑の機体がピクシーの懐の最深部へと滑り込んでいた。
二刀流の短槍による怒涛の超至近距離ラッシュ。
リリスは防戦一方に追い込まれるが、ソウヤの容赦ない短槍の刺突弾幕に対し、左腕のバックラー・シールドを強引に突き出して肉壁とした。至近距離からの減衰ビームログが左アームに集中し、センサーが直撃を判定。
一瞬にしてピクシーの左腕全体が完全に機能停止に追い込まれ、バックラーごとダラリと脱力した。
リリスは己の左腕を完全に犠牲にすることで、まずはこの超至近距離の猛攻を耐えきってみせた。
だが、ソウヤの連撃は止まらない。
ソウヤは突きを放ちながら再び2本の柄をカチリと接触させ、両端の五叉の光刃を輝かせ『ダブル・ビーム・ジャベリンモード』へと移行。
変則的な回転を伴う凄絶な連続薙ぎ払い攻撃へと繋げた。
「ソウ、ヤぁぁぁぁッ!!」
リリスは悲鳴にも似た歓喜の咆哮を上げながら、残された右腕一本で『ツイン・ビーム・スピア』を死に物狂いで旋回させた。
十本の光刃の束が嵐のように襲いかかる中、リリスは右腕の凄まじい槍捌きだけでそのすべてを巧みに受け止める。
ガガガガガギィィィィィンッ!!!
凄絶なプラズマの火花が散る。
しかし、ダブル・ビーム・ジャベリンモードの圧倒的な破壊力と手数を片腕で受け流し続けた代償は重かった。
ピクシーの主兵装であるツイン・ビーム・スピアの限界許容量を超え、スピアは直撃判定によって完全に破壊判定にされ、リリスの右手から滑り落ちた。
攻防の最終幕。
両腕の防御手段をすべて失ったリリスへ向け、ソウヤのスライフレイルは流れるように一本の長槍たる『ロング・ビーム・ジャベリンモード』へと回帰。
残された力をすべて乗せた、必殺のロング・ジャベリンの一突きが、ピクシーのコックピット目がけて真っ直ぐに突き出された。
「これで、終わりだ――っ!!」
しかし、リリスはその極限の死線をも捉えていた。
リリスは操縦桿を蹴り込むように引き、全身のアポジモーターを強制噴射。
――シュウウウゥゥンッ!!!
迫る五叉の光刃。
ピクシーは文字通り、髪の毛一本分、紙一重でその長槍の切先を躱してみせた。
ジャベリンの余波が紅い右肩の追加装甲をかすめ、白い熱線を上げながら赤土へと突き抜けていく。
(……凌がれた、か……っ!)
必殺のコンビネーションを放ち尽くしたソウヤの視界の先で、左腕を失い、武器をも破壊され、満身創痍になりながらも、ピクシーはコックピットだけは絶対に死守して厳然と立ち塞がっていた。
「すごい…っ、すごいわ、ソウヤ! 今の連続攻撃、本当に危なかったわ!」
リリスが心からの称賛を贈った、まさにその瞬間だった。
――プシューーーーーッ!!!
スライフレイルの胸部ダクトから、限界まで熱された大量の冷却排気が激しく噴き出された。
それと同時に、過熱したジェネレーターを保護するための強制セーフティが作動。
コックピットに『MAX MODE END / OVERLOAD』の警告灯が非情に灯り、緑のガンダムの動きが目に見えて鈍くなっていく。
マックスモードの反動による、急激な機体性能の低下だった。
リリスはふっと口元を緩め、バックパックからビーム・サーベルを右手に引き抜くと、鮮やかに可動させた。
「――私の勝ちね、ソウヤ。」
機体のパワーが失われていく感覚の中で、ソウヤもまた、すべてを出し切った晴れやかな笑みを浮かべて操縦桿からそっと手を離した。
「ああ、俺の負けだな。……あの5分間を凌ぎきった、君の完全な勝ちだ。」
ピクシーの手にするビーム・サーベルが、不敵な弧を描いて空間を一閃した。
低出力のビーム刃がスライフレイルの胴体を鮮やかに捉え、ソウヤのメインモニターが一瞬にして鮮烈な赤文字で塗り潰される。
【ALERT:CORE SENSOR DIRECT HIT / SYSTEM PHYSICAL LOCK】
「やった……。勝った、勝ったんだわ、ソウヤに……!」
メインカメラの光が消えていくスライフレイルの姿を見つめながら、リリスはコックピットの中で、あの一年戦争の地獄を生き延びた末に掴み取った「1人のパイロットとしての勝利」に、胸を熱くして歓喜に震えていた。
だが――コジマ大隊第4小隊の執念は、まだ終わっていなかった。
ドガァァァァァンッ!!!
突如として、ピクシーの紅い背装甲に凄まじい衝撃が炸裂した。
「きゃっ!? ――な、何!?」
リリスが驚愕して悲鳴を上げる。
メインモニターに次々と走る致命的なダメージログ。
慌ててリリスが攻撃の方向を振り向くと、遙か数百メートル後方の硝煙の向こうに、その『姿』はあった。
地面に墓標の如く真っ直ぐに突き刺さった、ジョシュアのジム・キャノンのあのシールド。
その盾を力強く「土台」にして長大な砲身を完全に固定し、出力の落ちた左腕のブレを克服して完璧なロックオンを完了させている、サンダースの『陸戦型ガンダム』の姿がそこにあった。
「タカバ隊長が繋いだこの瞬間、絶対に無駄にはせんッ!!砲身が焼け付くまで撃ち続けてやる!!」
サンダースは吼えた。
ズドンッ! ズドンッ! ズドンッ!
180mmキャノンが、咆哮を上げて次々と連射される。
動きの止まったピクシーへ向けて、寸分の狂いもなく吸い込まれていく演習用ペイント弾の砲撃。
直撃判定がピクシーの全身のセンサーを次々と直撃し、リリスのモニターは警告のフラッシュで埋め尽くされていく。
そして、サンダースは最後の一発を装填し、ありったけの力を込めて叫んだ。
「これが――俺たちの、第4小隊の力だぁぁぁッ!!!」
ドォォォォォンッ!!!
放たれた最後の大口径弾が、ガンダム・ピクシーの胸部中央へと命中し、鮮やかな赤いペイント染料が紅い装甲を完全に染め上げた。
【ALERT:GENARATOR DOWN / UNIT SILENT】
完全に駆動をロックされ、ゆっくりと赤土の大地へと膝を突くピクシー。
「あちゃぁ……。最後にソウヤに勝てた嬉しさで、完全に油断しちゃったなぁ……。」
コックピットの全モニターが暗転していく中、リリスは操縦桿に頭を預け、少し困ったように、しかし最高に幸せそうな笑みを浮かべて呟いた。
「……でも、まあいっか。ソウヤには、勝てたんだもんね。ふふ、最高の決勝戦だったわ……。」
【――TIME UP / MATCH SET】
トリントン基地の空に、激しい試合終了のサイレンが鳴り響いた。
赤茶けた荒野の中央、完全に沈黙して立ち尽くすスライフレイルとピクシー。
そして遙か後方で、ジョシュアの盾にキャノンを預け、満身創痍のまま誇らしげに立ち尽くすサンダースの陸戦型ガンダム。
世界各国の精鋭たちが集った戦技競技会。
その頂点を掴み取ったのは、東南アジアの過酷な密林を生き抜き、固い絆で結ばれた『コジマ大隊第4小隊』だった。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
やりました、やったんですよ!
どうしても、サンダース軍曹に花を持たせたくて。
どうしても、陸戦型ガンダムで「輝き撃ち」をしたくて。
陸戦型ガンダムの本来が盾が小さいなら、もう一回り大きな盾で「輝き撃ち」をしたんですよ!
やっぱり、陸戦型ガンダムを出して、180mmキャノンを持たせたなら。
盾を土台にして、「輝き撃ち」をしたいじゃないです(泣)
いやー、今回の決勝戦は本当に完全燃焼しましたね。
自分が思い描いたロマンをぶち込み過ぎて、燃え尽きました(笑)
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