熱狂に包まれていた戦技競技会が閉幕し、トリントン基地は急速に本来の静けさを取り戻しつつあった。
スタジアムでは、施設科の兵士たちが慌ただしく動き回っている。
あれほど観衆を沸かせた大型モニターがクレーンで吊り上げられて撤去され、優勝した第4小隊が立った表彰式のステージも、金属音を響かせながら手際よく解体されていく。
色鮮やかだったペイント弾の染料や、スラスターの熱によって焦げ付いた赤土だけが、そこに確かに存在した激闘の余韻を物語っていた。
世界各国から集まっていた連邦軍の精鋭たちも、すでにこの地を去っている。
予選リーグ戦で敗退を喫したユーラシア代表『シャンシー独立重機化小隊』、アフリカ代表『デザート・ドラゴン隊』、中東代表『スコーピオン隊』、そして太平洋代表『オセアニア混成隊』。彼らは決勝トーナメントが始まる前日から順次、それぞれの母港や駐屯地への帰隊の途に就いていた。
残る決勝進出組や観戦するために残っていた部隊も、数日中にはそれぞれの戦線へと戻る手筈になっている。
本来であれば、このトリントン演習場は競技会という「祭り」を終え、元の退屈な日常へと戻るはずだった。
トリントン基地に所属するサウス・バニング大尉たちテストパイロットチームが、新型機や改修機のデータ採取ための、いつもの不毛なテストフィールドへと。
だが――広大な演習場の最奥、スタジアムの喧騒から完全に遮断された赤茶けた荒野には、異常な光景が広がっていた。
陽炎が立ち上る赤土の地平。そこには、公式のスケジュールには一切存在しない、「12機」ものモビルスーツの機影が厳然と佇んでいた。
「――本バトルオペレーションの統合オペレーターを務める、ノエル・アンダーソン少尉です。皆さん、よろしくお願いいたします。」
コンソールの前に座るノエル・アンダーソン少尉が、メインスイッチを入れ、クリアな音質で12機のモビルスーツへ向けて無線を開いた。
陽炎が立ち上る赤茶けた演習場の片隅。
1台のホバー・トラックが、砂漠の熱気の中にひっそりと身を潜めていた。
その狭い車内には、通常ではあり得ない、各部隊の優秀な女性オペレーターたちが一堂に会していた。
ファントム・スイープ隊を統括するマオ・リャン少佐。
チーム・シリウスのノエル・アンダーソン少尉。優勝したコジマ大隊第4小隊のエミリア・ドットナー准尉。
そして、SRT-ユニット1のホア・ブランシェット軍曹。
彼女たちは、ハーツクライ中佐とコーウェン中将が裏で仕組んだこの「特別戦」のオペレートと、極秘の実戦データ採取という重大な任務を帯びて、このトラックに座っていた。
ノエルの凛とした声がそれぞれのコックピットに響き渡る。
即座に、Aチームの指揮権を預かる第4小隊、ソウヤ・タカバ中尉からの応答が回線に滑り込んできた。
「こちらハンター1、ソウヤ・タカバ中尉だ。ノエル少尉、よろしく頼む。――Aグループ所属の6機、すべてシステム・オールグリーン。いつでもいける。」
「了解しました、タカバ中尉。……これより、Aグループの登録機体を照合します。」
ノエルの指先がコンソールを叩くと、ホバートラックのメインモニター、そして各機のコックピットに、Aチームとして選抜された6機のデータが次々とマッピングされていった。
その並び立つ姿は、まさに重力下の戦場における「ひとつの究極」とも言える壮観なものだった。
中央に並び立つのは、ソウヤ・タカバ中尉の緑のガンダム改修機『スライフレイル』と、リリス・エイデン中尉の紅い突撃機『ガンダム・ピクシー(LA)』。
重火力枠として両肩に大型砲を誇示するエイガー中尉の『ジム・キャノンII』。
後方から長大な狙撃銃を構えるレオン・リーフェイ中尉の『ジム・スナイパーII』。
ジャングル戦仕様の荒々しい近接兵器を携えたマロビ・ブレイドン曹長の『ジムRR』。
そして最後に、ジオンの系譜を継ぐ、ミコト・I・ケネディ少尉の『ガルバルディα』。
緑、紅、鈍色、白、そしてジオンの系譜――。
それぞれの戦線で最強と謳われた、異なるバックボーンを持つ6機のモビルスーツが、遮蔽物の点在する赤土のスタートラインに完璧な横一列を形成する。
「……全機、配置に異常なし。Aグループ、戦闘準備完了です。」
ノエルが静かに告げると、エミリアやホア、マオ・リャン少佐もまた、固唾を呑んでモニターの熱源反応を凝視した。
大会という枠組みを超えた、夢のオールスター布陣。
ソウヤとリリスが肩を並べ、エイガーの火線がレオンの狙撃とシンクロする。
『続いて、Bグループの登録機体を照合します。』
ノエルがコンソールを操作すると、モニターの反対側に新たな6つの光点が並び、その詳細データが次々と展開されていった。
Bチームの指揮権を預かるのは、ユーグ・クーロ大尉。その愛機である、FS(フルアーマー)システムの換装によってあらゆる局面に適応する高性能機『ジーライン・ライトアーマー』が中央に位置する。
その横には、SRT-ユニット1の隊長、アラン・アイルワード中尉の『ジム・スナイパーⅡ』。
ヴァルターの騒動を経て、これが軍での最後の操縦となるであろうクリスチーナ・マッケンジー中尉の『ジム・カスタム』。
そして優勝トロフィーを高く掲げ、ラサ基地への異動を控えたテリー・サンダースJr.軍曹の『陸戦型ガンダム』。
さらに、トリントン基地のテストパイロットチーム隊長、サウス・バニング大尉の駆るもう1機の『ジム・カスタム』。
最後に、ルナツー教導隊のヒタチ・カキゾノ中尉が乗る、『量産型ガンキャノンⅡ』。
「Bグループ、全機オンラインを確認。指揮官機はユーグ大尉のジーラインです。」
ノエルが告げると、ホバートラック内のモニターには、Aチーム6機とBチーム6機、計12機の精鋭たちが赤土の演習場で正面から睨み合う完璧な対峙構図が完成した。
「各機、回線の接続を維持したまま、開始まで今しばらくお待ちください。……ふふ、皆さん焦らないでくださいね。」
ホバートラックから届くノエル少尉の少し弾んだ声を聞きながら、Bチームの通信回線には、それぞれの機体の駆動音と共に静かな熱気が流れ込んでいた。
指揮官機であるジーラインのシートに深く腰掛けたユーグ大尉が、ふっと口元を緩めて無線を開く。
「……まさか、特務部隊の先輩であるSRTのアラン中尉と同じチームで、こうして肩を並べて戦える日が来るとは思わなかったな。」
ユーグの少し感慨深げな言葉に、ジム・スナイパーⅡのコックピットからアラン中尉の穏やかな笑い声が返ってきた。
「僕もだよ、ユーグ大尉。本当なら敵味方に分かれていてもおかしくないのにね。こんな粋な計らいをしてくれたハーツクライ艦長には、後でたっぷり感謝を伝えないと。」
「ああ、同感だ。」
2人の特務隊の隊長ならではの短い信頼の応酬が交わされる中、もう一つの回線では、トリントンのベテランと元テストパイロットの会話が始まっていた。
バニング大尉がジム・カスタムの操縦桿を軽く握り直し、隣に並ぶ同じ機体のクリスへと問いかける。
「マッケンジー中尉。ジャブローの最新鋭機であるジム・カスタムを、俺のような老兵が借り受けてしまって、本当に良かったのか?」
モニターに映るクリスは、おっとりとした、しかしどこか悪戯っぽい笑みを浮かべて言葉を返した。
「問題ありませんわ、バニング大尉。ヴァルター大尉は例の騒動の件でジャブローの査問会に呼び出されてしまいましたから、機体がちょうど余っていたんです。これは、この競技会で私たちの機体調整に付き合ってくださったこと、そして準決勝の時に席を確保してくださったことへのお礼です。……何より、あの『不死身の第4小隊』の隊長だったバニング大尉に、ぜひ乗っていただきたかったんです。」
「ふ、美人の頼みとあっては断れないな。このジム・カスタム、ありがたく使わせてもらう。」
バニングが不敵に笑って機体を軽く駆動させると、最後方からはルナツー教導隊のヒタチ中尉が、隣の陸戦型ガンダムを見つめて声をかけた。
「……サンダース軍曹。本当に、こっちのBチーム側で良かったのか?」
ヒタチの問いかけに対し、サンダースは優しく、しかし確固たる意志を込めて頷いた。
「ええ。タカバ隊長とは、東南アジアの泥沼の中でずっと一緒に、味方として戦ってきました。――なら、この地を離れる最後くらいは、一度くらい敵として、自分の全力をもって全力の隊長にぶつかってみたい。そう思ったんです。」
「なるほど……最後の門出に、本気の恩返しというわけですね。納得しました、サンダース軍曹。――では、勝ちましょう!」
「ええ、勝ちましょう、ヒタチ中尉。……そちらも、同じ教導隊のミコト少尉に負けないように暴れてくださいよ。」
「はは、手厳しいな。お互い、若手に見せ場を譲る気はありませんよ。」
ヒタチが量産型ガンキャノンⅡの重火器のロックを解除する。
ノエルの開始合図を待つ静寂の中、Bチームの6機は、それぞれの誇りと絆を胸に、静かにジェネレーターの出力を高めていくのだった。
Aチームの回線でも、異なる戦線を生き抜いた精鋭たちの声が重なり合っていた。
ソウヤ、リリス、そしてエイガー。
3年前の一年戦争末期、キャリフォルニア・ベース奪還作戦に共に参加し、互いに自分達が追っているものを語り合った3人が、いま同じチームに並び立っている。
「本当に不思議な巡り合わせですね。あのキャリフォルニア・ベースの夜に語り合った3人が、こうしてまた同じ戦場に立てるなんて。」
ソウヤの感慨深げな言葉に、エイガー中尉がジム・キャノンIIのコックピットからフッと笑い声を返す。
「ああ。あの過酷な大戦を生き延びたからこその、贅沢な余興だな、ソウヤ。」
「ええ……。これで、あの時一緒に戦ったユウ・カジマ中尉がいないのだけが、少し寂しいですね。」
ピクシーのリリスが微笑混じりに呟くと、突然、スピーカーから弾んだ大声が割り込んできた。
「ちょっとちょっと! そこの3人だけで盛り上がらないでよ!」
ジムRRのマロビ曹長だった。
リリスが「マロビ曹長、そういえば……」と思い出したように問いかける。
「マロビ曹長は、私やソウヤに散々『因縁の相手』って突っかかっていたのに、どうして今回は同じAチームに志願してくれたんですか?」
「う、うぐっ……! それは……その……。」
急に話を振られ、マロビは通信回線の向こうで分かりやすく狼狽した。
しばらくもじもじとした気配のあと、恥ずかしそうに小さな声で白状する。
「……だって、これが最後になるかもしれないじゃない。最後くらいは、あなた達と一緒に、同じ側で戦いたかったんだもん……っ。」
そのあまりにも素直で可愛らしい本音に、ソウヤ、リリス、エイガーの3人は同時に声を上げて笑ってしまった。
「ちょっと! 笑うなー! あたしは真面目に言ってるのよ!」
「す、すまない、マロビ曹長。怒らないでくれ。」
「もう! ――まあいいわ。とにかく、『オデッサの新星』のソウヤに、『魔女狩り』のリリス、それにあの『ガンダム6号機』のパイロットだったエイガー中尉まで揃ってるのよ!? あたしたち4人にぴったりな、最高に格好いいチームの二つ名を今から考えてあげるんだから!」
「「「……それは遠慮しておく(わ)」」」
3人が一斉に突っ込みを入れる様子を、後方からジム・スナイパーIIのレオン中尉は微笑ましく見つめていた。
その横に並ぶガルバルディαのミコト少尉が、ふとレオンに問いかける。
「レオン中尉は、どうして今回の特別戦に参加されたんですか?」
「俺か? 最初は、部下のカイルやヴァイに経験を積ませるためにどちらかを出すつもりだったんだ。だが、あの2人が『今回はレオン隊長の格好いいところが見たいです』なんて言うものだから、押し切られてな。」
レオンの落ち着いた言葉を聞き、ミコトはコンソールを前に小さくため息をついた。
「……羨ましいですね。私たちルナツー教導隊とは完全に真逆です。上官のボカタ少佐が『若手に経験を積ませるチャンスだ』と言い出しましてね。こんな悪巧みを企てたハーツクライ艦長に向かって、『上層部に報告されたくなければ、私とヒタチをこの特別戦に出せ』って強請ったんですよ。」
教導隊の強烈な裏話を聞かされ、レオンは思わず声を上げて笑った。
「ははは! それは凄い。ミコト少尉は、本当に良い上官を持ったな。」
「もう、人ごとだと思って……。レオン中尉こそ、本当に良い部下に恵まれていますよ。」
ミコトが苦笑交じりにガルバルディαのシールドを構え直す。
若手の意地、ベテランの誇り、そしてかつての戦友たちの想いを乗せて、Aチームの6機は一斉に不毛の荒野へと銃口を向けた。
トリントン基地の遥か上空、高度を下げた『バイアリーターク』の艦橋からは、赤土のフィールドに並び立つ12機のモビルスーツの熱源反応が、鮮烈な光点となって見事にマッピングされていた。
その光景を腕を組んで見下ろしながら、ジョン・コーウェン中将がフッと苦笑を漏らした。
「……まさか、君の言う『ワガママ』がこれほどの大規模な私闘だとはな。驚いたよ、ハーツクライ艦長。」
その言葉に、ハーツクライ中佐はシートの横でフッと不敵な笑みを浮かべた。
「これほどの豪華なメンバーが揃ったのです。このようなドリームレースを観てみたいと、誰だって思いますよ、中将。」
「確かに、そうだな。」
コーウェンはガラスの向こうの荒野を見つめ、静かに頷く。
「一年戦争の終結から数年。澱みつつある軍組織の中で、これほどの精鋭が再び一つの演習場に集まる機会など、今後二度と訪れないかもしれんからな。」
「そうでしょ、そうでしょ。」
ハーツクライは嬉しそうに声を弾ませ、それからフッと視線を鋭くした。
「タカバ中尉の第4小隊じゃなかったら、ジャブローの最新鋭機チームを相手にするような、あんな分の悪い賭けを私がするはずがありませんよ。」
その言葉に、コーウェンは動きを止め、眉をひそめて隣の艦長を振り返った。
「……何だと? ハーツクライ艦長、私を『謀った』のか?」
「普通はあんな無謀な賭けなんてしませんよ、中将。自分の首がかかっているんですから。」
ハーツクライは不敵な笑みを深くした。
「実は……バイアリータークの倉庫に眠っていた外部ジェネレーターを準決勝前に、内密で渡しておいたのです。そうすれば、ソウヤの勝率は『6割弱』まで跳ね上がると踏んでいました」
「……何だと!?」
コーウェン中将は、流石に驚愕を隠しきれずに目を見開いた。
「してやられたな……。私ともあろう者が、一艦長の手のひらで完璧に転がされていたわけか。クク、これは悔しいな。」
コーウェンが苦々しく、しかしどこか愉快そうに喉を鳴らすと、ハーツクライは肩をすくめてみせた。
「本物の馬券師は、勝つ見込みがなければ絶対に賭けませんよ。それが、己の艦長職を賭けた大一番なら尚更です。……ですがね、中将。私はただ、こんな夢みたいなレースを、どうしてもこの目で観てみたかった。だから、あの時は本気で、自分の首をチップとして差し出したのです。」
コーウェンは、深くため息を吐き出すと、ふっと表情を和らげた。
「……よかろう。これほど夢のような試合を特等席で観させてもらえるのだ。お前が私を謀った件については、今回の件に免じてすべて不問にしてやろう。」
「感謝いたします、コーウェン中将。」
ハーツクライ中佐は鮮やかに敬礼を捧げると、自身の艦長席へと深く座り直した。
コンソールのディスプレイに映る12機の機影を見つめ、静かに呟く。
「……きっと、この試合は、ここにいる誰もが望んだ『夢』なんだから。」
ハーツクライは前を向き、艦橋の通信コンソールへ向かって鋭く指示を飛ばした。
「ナタリア中尉。地上のホバートラックのノエル少尉へ回線を。――両チームへ、試合開始のカウントダウンを行うよう指示を。」
「了解いたしました、艦長!」
コンソールの前に座るナタリア中尉が鮮やかにオペレートスイッチを叩き、地上のエミリアたちが乗るホバー・トラックへと、極秘の暗号回線を通じて戦闘開始の最終シグナルが送られた。
「――こちらバイアリータークブリッジ、ナタリア中尉。ノエル少尉、ハーツクライ艦長より作戦開始の許可が降りました。カウントダウンを開始してください。」
『了解しました、ナタリア中尉。――各機、データリンク最終確認。カウント、開始します!』
上空の巨艦から届いた合図を受け、地上のノエル少尉の指先が、ついに赤文字のデジタルタイマーを起動させた。
すべてのバックボーンを越え、誰の記録にも残らない、しかし誰もが焦がれた『夢の戦場』の幕が、いま静かに上がろうとしていた。
ホバー・トラックの電子席から届くノエル少尉の凛とした声が、12機の精鋭たちのコックピットへ同時に滑り込んだ。
「――バイアリータークより最終シグナルを受信。これより、カウントダウンを開始します!」
コンソールに鮮烈な赤文字のデジタルタイマーが浮かび上がり、刻限を刻み始める。
Aチームの指揮権を握るソウヤ・タカバ中尉が、スライフレイルの操縦桿を深く握り直し、鋭い眼光で前方の陽炎を見据えた。
「こちら、ソウヤ・タカバ。了解した。――いくぞ、みんな!」
ほぼ同時に、対峙するBチームの戦列の先頭で、ジーラインのジェネレーターを高鳴らせたユーグ・クーロ大尉の声が応じる。
「こちらユーグ。了解。――各機、遅れるな。全力を叩きつけるぞ!」
『10……9……8……』
デジタル音がコックピットの静寂に響く。
Aチームの前衛では、リリスのピクシーが全身のアポジモーターをかすかに駆動させ、マロビのジムRRがアイアン・ネイルの稼働を確かめるように拳を握り、ミコトのガルバルディαがモノアイを左右に動かす。
後方ではレオンのジム・スナイパーIIとエイガーのジム・キャノンIIが、すでに完璧な射線を交差させている。
『3……2……1……』
対するBチームもまた、アランのジム・スナイパーIIのスコープが冷徹に獲物を捉え、クリスとバニングの2機のジム・カスタムが駆動音を響かせ、ヒタチの量産型ガンキャノンIIが砲身を仰角へと傾ける。
そして、中央のサンダースの陸戦型ガンダムが、かつての戦友を真っ向から迎え撃つべく踏み出した。
デジタルタイマーの数字が、ついに『0』を示す。
【――SIGNAL GREEN(戦闘開始)】
「――ミッション・スタートです! 皆さん、ご武運を!!」
ノエルの叫びにも似た号令が、トリントンの不毛な荒野に響き渡った。
ドォォォォォォンッ!!!
その瞬間、地鳴りのような爆発的推進音がオーストラリアの青空へと突き抜けた。
12機のモビルスーツが一斉にスラスターを激しく吹かし、赤茶けた大地を狂おしく蹴り出した。
巻き上がる凄絶な砂煙が、陽炎の彼方へと一気に引き裂かれていく。
公式の記録には絶対に載らない、本物の精鋭12人による、誰もが焦がれた夢の宴。
ジャブローの軍政家たちも、戦史記録すらも預かり知らぬ、彼らだけが知る黙示録。
だが、この大戦後の地球圏において、これ以上の精鋭たちが刃を交える瞬間は、後にも先にも存在し得ない。
互いの意地と、誇りと、執念のすべてを乗せた火線が荒野の真ん中で激しく交錯する。
重力下の大地を駆ける、この場に居た者達にしか分からない。
この『夢の宴』の結末を知る者は、ただ純粋に戦士の輝き放つ、彼ら12人の戦士たち。
そして、上空のブリッジや地上のホバー・トラックから固唾を呑んでモニターを見つめる、この場にいる関係者たち以外に誰もいない。
だが、この夢のような戦いは紛れもなく、ここに存在していたのだ。
彼らが赤土に刻みつけた名もなき軌跡は、確かに輝きを放っていたのだから。
騙して悪いが、前回の後書きは嘘だ!(アーマードコアの鉄板ネタ)
これが本当のトリントン基地の競技会編、最後の話です!
ハーツクライ艦長のワガママとは、夢のドリームマッチのことでした!
こんな豪華なメンバーいるなら、しないわけないでしょー(笑)
ただ、大変申し訳ありませんが、今回の勝負の行方や試合の経過は読者の皆様にお任せします。
この試合は読者の皆様が想像し、自分なりの結末を思い描いてくれたら、嬉しいです。
ではでは、次の話は宇宙世紀0082年の〆の話を書こうと思っているので、よろしくお願いいたします。
【機動戦士ガンダム オリオンの軌跡】に登場するオリジナル機体で好きな機体はなんですか?
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陸戦型ジム改
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バイアリーターク
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ペイルライダー・ヴァンガード
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ペイルライダー・マスケッティア
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ヴァルキリー
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グフ・ノクターン