宇宙世紀0083年10月22日
北米大陸西海岸、カリフォルニア州の南北を貫く広大な低地地帯――サクラメントバレー。
一年戦争の焦熱が嘘のように、そこには見渡す限りの平坦な農地地帯が広がっていた。
地平線の彼方まで続く広大な畑や、等間隔に美しく整列した果樹園。
のどかで、驚くほど直線的な景色のなかを、一台の四輪駆動ジープが乾いた排気音を響かせながら猛スピードで疾走している。
運転席でステアリングを握るのは、サングラスをかけ、無骨な私服を身にまとったボルク・クライ。
そして助手席では、ワインレッドのロングヘアを揺らすドルセ・ブセアールが、膝の上に載せた軍用規格のノートパソコンの液晶画面を、鋭い手つきで操作していた。
東南アジアの「華星警備」地下拠点でカルロス少佐から下された、緊急の北米派遣命令。
彼らはチエとドルセが瞬時に構築したロンダリング網により、偽装されたパスポートを確保。定期便の航空機へ平然と乗り込み、連邦軍入国監査局の厳重なチェック網を合法的に潜り抜けてサンフランシスコ空港へと降り立った。
そこから現地ルオ商会のセーフハウスで調達したジープを飛ばし、現在、彼らは万が一の事態に備えて設定されていたエスケープ・ポイントへと急行している最中だった。
窓の外を流れるのどかな田園風景を見つめながら、ボルクは前方から視線を外さないまま、低く、どこか感心したような声を漏らした。
「……それにしても、大した手際だな。あの厳重な連邦の空港セキュリティを、書類一枚、指紋一つ引っかからずにパスさせやがった。パスポートの偽造からジープの手配まで、お前のその身軽さには恐れ入るよ、ドルセ。」
ボルクの言葉に、ドルセはキーボードを叩く指を微かに緩め、液晶の白い光に照らされた口元に、不敵な笑みを浮かべた。
「ふふ、同じ『ピクシー乗り』の先輩にそう褒めてもらえるなんて、光栄だわ。わざわざあの大陸から飛行機で飛んできた甲斐があったというものね。」
キキィ、とジープのタイヤが微かに悲鳴を上げた。
果樹園の美しい緑が流れる穏やかな世界のなかで、ステアリングを握るボルクの頑強な両腕が、一瞬だけ目に見えて硬直したのだ。
サングラスの奥の瞳が、驚愕に大きく見開かれる。
ゴビ砂漠の地獄を生き延び、ジオンのカルロス隊に拾われてなお、自身の魂の一部として決して誰にも明かさなかった「連邦軍時代の過去」。
それを、目の前の若いハッカーが当然の既知事項であるかのように口にし、なおかつ、地球連邦軍の最重要機密であるはずの「あの機体」の名を紡いだのだ。
「……お前、なぜその名前を、いや、なぜ俺の経歴を知っている?」
ボルクの声音からいつもの余裕が消え、戦場でのみ見せる熟練のエースパイロットとしての冷徹な警戒が滲み出る。
ドルセはパソコンの画面をスライドさせ、一年戦争時の、今やジャブローの最深部でも完全にシュレッダーにかけられたはずの極秘の軍籍データを画面に表示させた。
「地球連邦軍、アルバトロス中隊所属。モビルスーツ隊隊長、ボルク・クライ大尉。……一年戦争中期、オデッサ作戦に先んじて地上へロールアウトした、白兵戦特化型次世代試作MS『ガンダム・ピクシー』を運搬中に、ゴビ砂漠の補給基地においてジオン軍と交戦。機体を残したまま行方不明――連邦軍の公式記録では『戦死(MIA)』。……これで間違いないわね?」
ボルクの背筋に、冷たい戦慄が走った。
ルオ商会の情報網が優秀だとは知っていた。
だが、連邦軍が最も隠蔽したがった「アルバトロス中隊の悲劇」の真実を、これほど正確に言い当てるなど、ただの情報屋の領分を遥かに超えている。
「驚かせて悪かったわね。でも、別にあなたを売るつもりなんてないから安心しなさいよ、ボルク『隊長』。」
ドルセは驚愕に震えるボルクを宥めるように、悪戯っぽいウィンクをしてみせた。
長閑な畑の境界線をなぞるようにジープが緩やかにカーブを曲がるなか、彼女はノートパソコンのキーボードをトントン、と小気味よく叩きながら、さらにとんでもない告白を付け足した。
「私があなたの過去を知っているのは、ルオ商会のデータベースをハッキングしたからじゃないわ。……単純な話よ。私も一時期、その『ガンダム・ピクシー』のコックピットに座っていた時期があったからよ」
「……何だと!?」
ボルクは今度こそ、ジープのブレーキを踏みちぎらんばかりの衝撃を受け、助手席のドルセを凝視した。
わずか3機しか製造されず、歴史の闇に葬られたはずの「あの機体」に、目の前の女が乗っていたのだ。
「私が座っていたのは、ベルファスト基地に配備される予定だった『1号機』よ。」
流れる畑の緑を退屈そうに見つめながら、ドルセは淡々とした口調で、だがとんでもない内幕を明かし始めた。
「当時のジャブローの兵站データは穴だらけだったわ。だから、私がほんの少し書類の輸送コードに細工をしてね。ルートを丸ごと書き換えて、自分たちの部隊に配備されるように仕組んだの。」
「……おいおい。」
ボルクの額から、じっとりとした冷や汗が滲み出た。
連邦軍の総力を挙げたオデッサ作戦の最中、軍の最重要機密のガンダムを、書類の偽装だけで横取りしてみせたというのか。
目の前の若いハッカーの規格外な能力に、背筋が冷たく震える。
ドルセは液晶画面から視線を外し、どこか遠い過去を愛おしむような、酷く懐かしそうな顔をして言葉を紡いだ。
「横取りした1号機は、自分たちの部隊で便利に使わせてもらったわ。……でも、キャリフォルニア・ベース奪還作戦の時、私たちが生き残るために、一人の大切な仲間が敵の足止めを引き受けてくれたの。……お陰で、私たちは、自分たちを『口封じ』しようと迫っていた上官の部隊を撒くことができたわ。」
「……待て。話が歪(いびつ)だぞ、ドルセ。」
ボルクは混乱に眉をひそめ、直線道路の先を睨み据えた。
「お前は一年戦争時、確かに連邦軍に籍を置いていたはずだ。それがなぜ、同じ連邦の上官の部隊に口封じのために命を狙われる? ジオンに追われていたんじゃないのか?」
「ジオン?まさか。」
ドルセは乾いた小さな笑い声を漏らし、背もたれに深く身体を預けた。
「私が所属していたのは、真っ当な正規軍じゃないわ。極刑の執行を待つだけの凶悪犯や、訳ありの犯罪者たちの中から、各ジャンルの『一流のスペシャリスト』だけを選出し、罪状の抹消を条件に最前線の汚い任務に放り込む……特殊部隊の皮を被った、ただの『懲罰部隊』よ。私たちは、その上官にとって政治的に不都合な人物や、邪魔な部隊を裏から綺麗に『消す』こと。それが私たちの役割だったのよ。」
ボルクは絶句した。
ゴビ砂漠で大義のために戦い、部下を失った自分。
だが、自分の知らない連邦軍の底暗い深淵には、味方を暗殺するためだけにガンダムを動かし、使い捨てる狂気の組織が存在していたのだ。
戦慄にも似た恐怖が、ボルクの肉体を内側から支配していく。
「――でも、私たちはただの捨て駒で終わるつもりはなかったわ。」
ドルセはふっと視線を鋭く尖らせ、自らの細い指の関節をパキリ、と小さく鳴らした。
「追手を撒いたあと、私たちをトカゲの尻尾みたいに切り捨てようとしたその最低な上官に、特大の仕返しをしてやることにしたの。奴が管理していた非合法な実験をしていた研究施設。……だけど、襲撃するには私たちの戦力はあまりにも心細かった。だから、私はキャリフォルニア・ベースで回収されていたピクシーを、もう一度盗み出して使うことに決めたの。」
「回収されていた……? だが、君達を逃がすために戦った機体なら、まともに動くはずがなかろう?」
「ええ、本来ならボロボロだったわ。……だけど、ベースのハンガーを調べて驚いたわ。私達のピクシーは、完璧に修理を終えていたのよ。」
ドルセはノートパソコンのキーボードを一度強く叩き、ボルクのサングラスの奥を覗き込んだ。
「なぜ直っていたか、理由が知りたくて修理データをハッキングしたわ。……そこに書かれていたのよ。ゴビ砂漠で回収された『ガンダム・ピクシー2号機』。その無事なパーツを丸ごと移植して、1号機を修理したことを。……私は持ち出す時に、その共喰い整備の事実を知って、興味本位で機体の出所をさらに深く掘り返した。――そこで初めて知ったのよ。ゴビ砂漠でジオンの特務部隊と相打ちになり、歴史から消された『アルバトロス中隊』の悲劇をね。」
「……ッ、そう、いうことか……!」
ボルクは呻くように息を吐き出し、深く、強く納得した。
点と点が、最悪な形で線となって繋がったのだ。
「フッ……。歴史の裏側ってやつは、どこまでいっても泥に塗れてやがるな。」
ボルクは自嘲気味に笑い、ジープのギアシフトを力強く叩き込んだ。
愛機の残骸が、ドルセたちの魂を救うための部品になっていた。
その奇妙な因縁に、ボルクの胸の奥で、燻っていた戦士の火が再び静かに灯り始める。平坦で、のどかなサクラメントバレーの景色が、ジープの速度に比例して激しく後ろへと流れていく。
ボルクがそっとジープの速度を維持したまま、のどかなサクラメントバレーの畑の境界線を眺め、低い声で問いかけた。
「……で、その仕返しとやらは、無事に果たせたのか?」
ドルセは液晶画面から完全に顔を上げると、今日一番の、ひまわりのように眩しい満面の笑みを浮かべて答えた。
「ええ、大成功よ!大事に管理していた研究施設を跡形もなく徹底的に破壊してやったわ。それだけじゃない。私たちの部隊の全作戦記録と、その研究所で行われていた非人道的な実験データを丸ごとコピーして、軍内部の『反レビル派』の高官たちに匿名で密告してあげたの。おまけにね、これまでの戦闘記録やジオンに横流しされていた物資の出所も、奴のサインを真似た偽造命令書を添付して、ぜーんぶその上官の責任としてやったの。……本当に、痛快だったわ!」
ドルセは思い出すだけでも愉快でたまらないといった様子で、少女のようにはらわたの底からケラケラと笑声をあげた。
「ハッ、そうか。お前さんは無事に、その手で復讐を遂げられたわけだ。……羨ましいねえ。」
ボルクの言葉に、ドルセはピタリと笑うのをやめた。
その鋭い瞳が、サングラスで表情を隠したボルクの横顔をじっと見つめる。
「……ボルク。あなたにも、死ぬほど復讐したい相手がいたの?」
「ああ、いたさ。確かにいた」
ボルクはステアリングを握る手に少しだけ力を込める。
「そいつのせいで、俺は大事な部下たちを全員失った。それだけじゃない。俺がそれまで軍人として信じて疑わなかった『信念』とやらを、これ以上ないってくらい残酷に踏みにじられたからな。」
「……その相手は、いまどうしているの?」
ドルセの静かな問いに、ボルクは乾いた、ひどく冷めた声で吐き捨てた。
「奴は俺たちを見捨てて、自分だけ真っ先にミデア輸送機で逃げようとした。……だがな、世の中ってのは皮肉に満ちてやがる。ミデアが浮き上がった直後、潜入していたジオン兵が自爆をかましやがった。ミデアは空中で爆発炎上して、そのまま砂漠へ墜落だ。……生存者はゼロ。だから、俺の復讐はそこでおしまいさ。自分の手じゃ、何一つ成し遂げられなかった。」
その言葉のあと、車内には重苦しい沈黙が降りた。
直線道路を走るジープのエンジン音だけが、のどかな果樹園の間に虚しく響く。
ドルセは何も言わず、膝の上のパソコンを見つめたまま、完全に黙り込んでしまった。
それを見たボルクは、サングラスの端からチラリと助手席を見やり、少しだけ苦笑を浮かべて声をかけた。
「なんだ、ドルセ。そんなに黙り込んじまって……。もしかして、復讐の機会を失ったこの哀れな中年に、同情でもしてくれているのか?」
ドルセはゆっくりと顔を上げると、同情とはまったく違う、どこか冷徹で、それでいてボルクの本質をすべて見透かしたような、不思議に温かい瞳で静かに答えた。
「――同情なんかじゃないわ。ただ、あなたも本当に、辛い思いをしたんだなって思っただけよ。」
ドルセはゆっくりと顔を上げると、そう静かに答えた。
そのワインレッドの髪の隙間から覗く表情には、いつもの人を食ったようなハッカーの傲慢さは微塵もなかった。
かつて同じように連邦の暗部で血を吐き、それでも泥を啜って生き延びてきた者だけが浮かべられる、酷く痛ましげで、それでいてボルクの魂の傷にそっと寄り添うような、そんな不器用な優しさが滲んでいた。
ボルクはサングラスの奥の視線を一瞬だけドルセの横顔に走らせ、すぐに正面の直線道路へと戻した。
そして、照れ隠しのように鼻を鳴らす。
「……ハッ。連邦の最悪な汚れ仕事を一手に引き受けていたお前さんに比べれば、俺の悲劇なんざ可愛いもんだろ。」
「そんなこと――」
「いや、そんなもんだ。」
ボルクはドルセの言葉を遮り、ギアシフトを力強くローへと叩き込んだ。
ジープの車内に、奇妙な、だが不思議と居心地の悪くない空気が流れる。
かつては地球の表と裏、それぞれの場所でガンダム・ピクシーという呪われた牙を駆っていた二人が、互いの昏い傷口を確認し合ったがゆえの、奇妙な戦友としての連帯感だった。
のどかなサクラメントバレーの畑を見つめながら、ボルクは深く息を吐き出し、忌々しそうに呟いた。
「しかし、思い返しても連邦って組織は本当に糞だな。都合が悪くなれば部下を簡単に見捨てるし、私欲のために平然と味方殺しをさせる。大義だの正義だの表看板を綺麗に塗り替えているが、中身はただの糞の吹き溜まりだ。」
その剥き出しの毒舌に、ドルセは一瞬だけ驚いたように目を見張ったが、次の瞬間には愉快そうな笑みを浮かべて深く同意した。
「本当、その通りよね!上が腐りきっているから、末端のまともな人間から順番に死んでいくのよ。裏で核武装したガンダムを作っちゃうような組織だもの。一年戦争の時から何も変わってないわ。巨大な権力を持った、ただの最低最悪の犯罪集団よ。」
「違いない。そんな組織の制服を、いまだに未練がましく着続けている俺も、相当な大馬鹿野郎だがね。」
「あはは! 自覚があるならマシよ、先輩!」
2人の乾いた笑い声が、ジープのエンジン音と共にサクラメントバレーの平坦な農地へと溶けていく。
連邦軍という組織の腐敗を徹底的に罵り合うことで、二人の胸の内にあった暗雲は、驚くほど綺麗に晴れ渡っていった。
ジオンだ、連邦だという過去の壁はもうそこにはない。
あるのは、共通の「糞な現実」を知るプロフェッショナル同士の、確固たるバディの絆だった。
「――ところで、ドルセ。」
連邦への悪態を吐き散らして笑い合った余韻のなか、ボルクは前方を見据えたまま、ふと思いついたように口を開いた。
「ドルセ・ブセアールってのも、どうせ偽名なんだろ? キリー・ギャレットがアエロ・ハルピーって名乗っているみたいによ。」
その問いかけに、ドルセはタイピングしていた手を止め、不思議そうに首を傾げてボルクを振り返った。
「どうしてそう思うの? 意外と本名かもしれないじゃない」
「ブセアール(Bucear)だ。」
ボルクはサングラスの奥の目を細め、ジープのステアリングを軽快に回しながら言った。
「スペイン語で『潜水する』だとか『潜る』って意味の動詞だ。あるいは比喩的に、資料の山や記憶の底を『探索する』、徹底的に『調べる』って意味でも使われる。ネットの情報の海をいくらでも深く潜っていける、お前さんみたいな凄腕ハッカーには、あまりにも出来すぎたピッタリな名前だからな。」
ドルセは一瞬だけ呆気に取られたように目を見張ったが、すぐに嬉しそうにパチパチと両手を叩き、ボルクの推理を称賛した。
「参ったわね。まさかくたびれた連邦の元大尉殿から、そんな語学的なアプローチで看破されるとは思わなかったわ。……ええ、あなたの言う通り。ドルセ・ブセアールは完璧な偽名よ。」
ドルセはノートパソコンの画面をパタンと閉じ、エージェントの顔を外して、一人のまっすぐな女性としてボルクを見つめた。
「私の本当の名前は、『ドリス・ブラント』。一年戦争の懲罰部隊にいた頃のコールサインが、情報の海へ深く潜る『ダイバー』だったから。そこから捩って自分で作ったのよ。」
「ドリス・ブラント、か……。」
ボルクはその響きを確かめるように一度口の中で呟くと、深く満足したように頷いた。
「ハッ、いい偽名じゃねえか。お前さんの本質をよく表してる。……よろしく頼むぜ、ドリス。」
「こちらこそ、ボルク隊長。私の正体を知る人間がまた1人増えちゃったわね。」
ドリスは悪戯っぽく笑いながら、再びパソコンを開いて元の「ドルセ」へと戻った。
偽名を明かし、本名で呼び合える関係になったことで、2人の間にある信頼の深度はさらに一段と深まっていた。
「ドリス。さっきからノートパソコンに向かって、一体何をそんなに必死にタイピングしてるんだ?」
ジープのサスペンションがサクラメントバレーのなだらかな起伏を拾うなか、ボルクは前方の直線道路を見据えたまま問いかけた。
ドリスはキーボードを小気味よく叩きながら、画面のログを見つめたまま答えた。
「これから向かう、エスケープ・ポイントに入るための準備よ。万が一に備えて、色々と準備しているの。」
「そういえば、俺たちの向かっているポイントってのはどんな所なんだ? カルロスからは『ドルセのナビに従え』としか言われていない。何が待ち受けているのか、俺は何も聞かされちゃいないんだが。」
ボルクの言葉に、ドリスはタイピングの手を止め、窓の外に広がる平坦な農地地帯のさらに先――北方の空にうっすらと聳える険しい山影へと視線を向けた。
「元々はね、キリーがいたあの『ノイジー・フェアリー隊』の拠点にしていた、館があった場所なのよ。一年戦争の終盤、連邦軍に居場所を特定されて、脱出を余儀なくされた。その際、追撃してきた連邦軍を道連れにするため、そして部隊のあらゆる証拠を隠滅するために、彼女たちの手で館を跡形もなく自爆させたの。……ただ、館の周辺の鬱蒼とした森の中にね、有事に備えた簡易的なセーフハウスが手つかずで残されていたのよ。」
「なるほどな。本当の妖精の隠れ家ってわけか。」
ボルクは感心したように鼻を鳴らし、ギアシフトを一段上げてジープを加速させた。
「で? その拠点の名前はなんて言うんだ?」
ドリスは不敵な笑みを浮かべ、液晶の白い光のなかでその名前を静かに紡いだ。
「――ティルナノーグ。北カリフォルニアのカスケード山脈南部付近にあった、妖精の隠れ家だった場所よ。」
サクラメントバレーののどかな果樹園の緑が終わりを告げ、ジープの前方には、いよいよ険峻な山脈の入り口がその黒い顎を開けて迫りつつあった。
2人の元ピクシー乗りを乗せた車輌は、乾いた排気音を荒々しく響かせながら、険しい山道へと足を踏み入れていくのだった――。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
遂にルオ商会のもう一人のエージェントである「ドルセ・ブセアール」の正体が判明しました!
なんと、機動戦士ガンダム外伝 ミッシングリンクの登場人物である凄腕ハッカー「ドリス・ブラント」でした!
前の話で、たまに「ドリス」と出ていたのは、伏線です。
原作のドリスは一年戦争後には姿を眩ませるので、彼女の凄腕ハッカー能力なら、ルオ商会にスカウトされていると思い、キリーの相棒キャラクターにしました。
さて、次回も衝撃的な展開があるので、楽しみにしてください。
【機動戦士ガンダム オリオンの軌跡】で登場する、オリジナルキャラクターで好きなキャラクターは誰ですか?
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ソウヤ・タカバ
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イーサン・ミチェル・オルグレン
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ジル・ペロー
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ケンジ・ナガト
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イヤン軍曹
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ミサキ上等兵
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クラウディア・オルグレン
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ジョージ・オルグレン
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クリフトフ・ハーツクライ
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タケシ・トヨタ
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ナタリア・アルスター
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カルロス・ボドリゲス
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ヒルダ&エイル&カーラの三姉妹