機動戦士ガンダム オリオンの軌跡   作:浅片名羽馬

30 / 71
第29話 この戦争の中の片隅で【下】

ゲルググJの残る二機はスラスターの噴射軌道を鋭く観測し、敵の6機が二手に分かれたことを即座に察知した。

隊長機のパイロットが通信で冷静に告げた。

 

「敵は二手に分裂した。グラーフ・ツェッペリンに向かった三機の後方に母艦の推進光を確認。そこに敵の艦がいる。」

 

三番機がセンサーに映った黒い艦影を見て、

思わず声を上げた。

 

「黒い木馬だと……!?」

 

ジオン軍がホワイトベースを呼ぶ、

忌まわしい通称。300メートル級の強襲揚陸艦が、

これほど近くにまで接近しながら、センサーにほとんど反応しなかったことに隊長機のパイロットも驚愕を隠せなかった。

 

「ジャミングの類いか!?あのサイズを索敵で発見出来なかったとは!?ステルス戦に長けている…?だが、発見した以上は叩く!」

 

二機のゲルググJはスラスターを逆噴射させ、急激に方向転換。

バイアリータークを目標に猛然と突進を始めた。

大型ビーム・マシンガンを構え、艦橋を狙おうとする。

 

 

その瞬間――二つの影が高速で割り込んだ。

 

 

ヤザン・ゲーブル曹長のペイルライダー・ヴァンガードと、シイコ・カタギリ中尉のジム・コマンドだった。

ヤザンのヴァンガードが隊長機のゲルググJに肉薄し、

ハイパービーム・ライフルを至近距離で放つ。

ビームがゲルググJの肩をかすめ、装甲を焦がした。

ヤザンは通信で獰猛に笑う。

 

「はははっ!やっと本当の戦闘だぜ!ジオンの新型か、俺の相手にゃちょうどいい!!」

 

シイコのジム・コマンドは三番機のゲルググJに高速で接近。

ビーム・ガンを連射する。

シイコの声が興奮と喜びに満ちて響いた。

 

「ふふ……ジオンの新型を相手に初めての実戦。

どこまで私のスティグマが通用するか……本当に楽しみだわ!」

 

二機のゲルググJは突然の接近に一瞬たじろいだが、すぐに反撃態勢を取った。

隊長機がヤザンのヴァンガードに大型ビーム・マシンガンを向け、三番機がシイコのジム・コマンドに照準を合わせる。

ソウヤのマスケッティアはスコープバインダーを額まで上げた。

メガ・ビーム・シューターはバックパックの右側に装着されたサブアームに懸架され、腰の後ろに装着していたハイパービーム・ライフルに持ち替える。

 

「メガ・ビーム・シューターは威力がありすぎる。ヤザンとシイコさんを巻き込んでしまう。ハイパービーム・ライフルの方がいいな。」

 

ゲルググJの残る二機はバイアリータークを狙おうと方向転換した直後、ヤザンとシイコの猛攻に気を取られていた。

隊長機がヤザンのヴァンガードにビーム・マシンガンを向け、三番機がシイコのジム・コマンドに照準を合わせようと旋回する。

その隙をソウヤは見逃さなかった。

 

「撃たせない!」

 

静かに、しかし確実に二機のゲルググJをハイパービーム・ライフルで捉える。

ソウヤはコックピット内で深呼吸を一つし、引き金を二回引いた。

ハイパービーム・ライフルから赤いビームが二発、連続して放たれる。

ビームは虚空を一直線に駆け抜け、二機のゲルググJに襲い掛かる。

隊長機と三番機は寸前でそれを察知した。

隊長機のパイロットが叫ぶ。

 

「回避!」

 

二機のゲルググJは高推力スラスターを全開、急激な動きをし、機体が捻る。

第一弾が隊長機の肩部をかすめ、第二弾が三番機のシールドで防いだ。

 

ゲルルグJのパイロット2人は冷や汗を流しながら、

すぐに反撃態勢を取る。

 

隊長機が怒りを込めた通信をした。

 

「くそっ……あの後衛の射撃機体か!次は絶対に仕留める!!」

 

三番機も息を荒げながら応じた。

 

「了解……チキン野郎をを叩き潰します!」

 

ゲルググJの三番機はマスケッティアを狙おうとした。

 

だが、ビーム・ガンの赤い閃光が、ゲルルグJの死角から襲い掛かった。

シイコのジム・コマンドが高速で背後から迫り、ビーム・ガンを連射しながら肉薄する。

三番機のパイロットは慌てて距離を取ろうとした。

 

しかし、ジム・コマンドは離れない。

むしろ、さらに詰め寄る。

 

「な……なんだと!?」

 

三番機のパイロットは思わず声を漏らした。

先ほどまで蹂躙したジム・コマンドたちはゲルググJの機動に全く追いつけなかった。

連邦軍のモビルスーツの限界を思い知らせるように、簡単に引き離せたはずだ。

なのに、この一機だけが、まるで影のように張りついてくる。

 

(なぜだ……!?このジムは、なぜ俺に追いつける!?)

 

シイコはコックピット内でヘルメットのバイザー越しに目の前の獲物を睨む。

 

ジム・コマンドの左手の人差し指マニピュレーターの付け根からはワイヤーフックが伸びており、フックがゲルルグJの右肩装甲に食い込んでいた。

マスケッティアの援護射撃で気を取られた時にスティグマ攻撃を仕掛けていたのだ。

スラスターを全開にし、ワイヤーを軸に急旋回。

ゲルググJの機体を強引に引きずり、変則的な軌道でゲルルグJを中心にして、回り始める。

機体にかかるGがシイコの体を強く押しつける。

 

(流石はジオンの新型、体に掛かるGがすごいわ!本当に高性能なのね!)

 

だが、その驚きは、すぐに喜びに変わった。

胸の奥から、熱いものが込み上げる。

 

シイコは通信で、甘く、狂おしく笑った。

 

「ふふ……ふふふふ!いいわ、本当にいい!!このG、このスピード……最高の獲物ね!!」

 

ゲルググJの三番機は遠心力に引きずられ、バランスを崩し、機体は大きくバランスを崩す。

パイロットは、必死にスラスターやアポジーモータを調整しようとするがシイコの変則的な旋回に翻弄され、完全に主導権を奪われていた。

一方、隊長機のゲルググJは三番機に張りつくジム・コマンドを見て、目を疑った。

 

「なんだ、あの動きは……!?ジムごときにあんな旋回は無理なはずだ!?」

 

隊長機は三番機を援護しようと大型ビーム・マシンガンを向ける。

だが、その前に別の影が割り込んだ。

ヤザンのペイルライダー・ヴァンガードがハイパービーム・ライフルを連射しながら、猛然と突っ込んでくる。

赤いビームが隊長機のゲルルグJの装甲をかすめ、火花を散らす。

ヤザンは獰猛な声で言う。

 

「はははっ!ようやくサシだぜ、新型!!お前は俺が相手してやるよ!!ソウヤ、魔女の援護を頼んだ!こいつは、俺一人で仕留めたいんだよ!!」

 

ソウヤはヤザンの本質、"戦闘を純粋に楽しむ心"をよく理解していた。

 

「了解、ヤザン。カタギリ中尉の援護に回るよ。」

 

マスケッティアはスラスターを噴射し、シイコの方に急行する。

 

ゲルググJ三番機は必死にスラスターを全開に噴射し、

シイコのジム・コマンドから逃れようと暴れた。

推力の奔流が虚空を焦がし、機体が激しく揺れる。

だが、右肩に深く食い込んだワイヤーフックが、それを許さない。

ジム・コマンドは、まるで暴れ馬を綱で繋ぎ止めるように頑として離れない。

三番機のパイロットは歯を食いしばりながら叫んだ。

 

「なんなんだ!?このジムは!?離れろ!離れろ!!離れろー!!」

 

シイコはコックピット内で体にのしかかる強烈なGを感じながら、小さく笑った。

 

(まるで……暴れ馬を御するみたい……ふふ、楽しいわ。)

 

ビーム・ガンをゲルルグJに向けて、数発放つ。

ビームがゲルググJの装甲を焦がし、大型シールドに弾かれる。

だが、火力不足は明らかだった。

装甲に何ヵ所か溶かすが、致命傷には程遠い。

シイコは舌打ちしながら、冷静に判断した。

 

(ビーム・ガンじゃ、火力が足りない……このままじゃ、倒しきれないわ)

 

すると、後方から青白い推進光が急速に接近した。

ソウヤのマスケッティアがハイパービーム・ライフルを構え、援護に駆けつけた。

シイコは通信で、感激を隠せない声で呼びかけた。

 

「タカバ少尉……!来てくれたのね!」

 

ソウヤは落ち着いた声で応じた。

 

「カタギリ中尉、援護に来ましたよ。」

 

シイコは目を細め、熱を込めて言った。

 

「ありがとう……正直、私のビーム・ガンじゃ、この新型に致命傷を与えられないわ。一緒に……タッグを組んで、倒さない?」

 

ソウヤは一瞬の間もなく、即座に答えた。

 

「もちろんです。一緒に倒しましょう!」

 

二機は完璧なタイミングで動きを合わせた。

ジム・コマンドはワイヤーをさらに絞り込み、ゲルググJの動きを鈍らせ。

ソウヤのマスケッティアは、その隙を逃さず、ハイパービーム・ライフルを構える。

銃口に光が凝縮される。

シイコが楽しげに囁いた。

 

「いくわよ、タカバ少尉……二人で倒しましょう。」

 

ソウヤは確かな声で応じた。

 

「了解。……撃ちます。」

 

シイコのジム・コマンドはワイヤーを軸に変則的に旋回を繰り返す。

 

 

ゲルググJ三番機の死角を縫い、

予測不能の軌道で迫り、

ビーム・ガンを連射する。

三番機のパイロットは必死に機体を捻り、

大型ビーム・マシンガンで反撃を試みる。

だが、シイコの動きは嘲笑うように常に一歩先を読んでいる。

 

「ふふ……あなた、本当にいい動きをするわね!もっと、もっと暴れてちょうだい!」

 

ゲルググJがシイコを捕捉しようと照準を合わせた瞬間。

赤いビームが虚空を裂いた。

ソウヤのマスケッティアがハイパービーム・ライフルを放ったのだ。

ビームはゲルググJの大型シールドに直撃。

シールドの表面が抉れ、装甲が歪み、熱で赤く輝く。

三番機はマスケッティアの攻撃を辛うじて防いだが衝撃で機体が大きく揺れた。

シイコはその隙を見て、さらにワイヤーを絞り込み、旋回を加速させた。

 

「今よ、タカバ少尉!あなたなら、わかるわよね!?」

 

ソウヤは静かに応じた。

 

「はい……。完璧に捉えています!」

 

ゲルググJはマスケッティアを優先目標に切り替え、ビーム・マシンガンを向ける。

その瞬間、死角からシイコのジム・コマンドが襲い掛かる。

ビーム・ガンの連射がゲルググJの左側面装甲を焦がす。

衝撃でマスケッティアへの照準が外れる。

シイコは興奮を抑えきれずに叫んだ。

 

「どう!?私のスティグマは?ここまでやれるのよ!もっと本気で来なさい!!」

 

ソウヤは次の射撃を準備しながら、静かに言った。

 

「スティグマ攻撃……本当に凄いな。こうやって見るとカタギリ中尉のやりたいことが分かりやすい!」

 

シイコは、その言葉に胸が熱くなった。

 

(すごい……私の動きを、ここまで完璧にフォローしてくれる……タカバ少尉、本当に最高だわ!!)

 

ゲルググJ三番機のパイロットは、必死に対応しようとした。

だが、二人のコンビネーションの前では無力だった。

ソウヤのハイパービーム・ライフルが、ついにシールドを貫き、左腕を吹き飛ばす。

火花と爆炎が広がり、ゲルググJの機動がさらに低下した。

パイロットは歯を食いしばり、最後の意地でマスケッティアにビーム・マシンガンを向けた。

 

「この射撃機さえ……倒せば……!」

 

それをシイコは見逃さなかった。

ジム・コマンドは一気に距離を詰めた。

右手に持っていたビーム・ガンを投げ捨て、腰からビーム・サーベルを抜刀。

赤い光刃が輝き、ゲルググJの背後から胴体に深く突き刺さった。

爆炎が噴き出し、機体が硬直する。

通信機から断末魔の叫びが響いた。

 

「ぐあああっ……!!」

 

ゲルググJ三番機は大爆発を起こして、四散した。

 

シイコは息を弾ませながら、通信でソウヤに囁いた。

 

「ふふ……私たち、意外と相性が良いわね。少尉の射撃が私の動きにぴったりシンクロしたわ。もっと、一緒に戦いたくなるわ。」

 

ソウヤは少し照れを隠しながら、静かに答えた。

 

「……ありがとうございます。シイコさんのスティグマ攻撃、本当に綺麗でした。また、ご一緒に戦いたいですね。」

 

シイコは、その言葉に甘く笑った。

 

「約束よ、ソウヤ。次は……一緒に、ね。」

 

二人の機体は、残骸の漂う虚空で並んで浮かんでいた。

 

 

 

ゲルググJの隊長機は三番機の爆散をモニター越しに目撃し、機体が硬直した。

 

「な……なんだと……!?三番機が……!?」

 

パイロットは信じられない声で呟いた。

 

自分たちは、キリング中佐直轄のエースパイロット部隊だ。

最新鋭のゲルググ・イェーガーを駆り、先程までは連邦軍のジムを一方的に蹂躙していた。

 

 

なのに、新たに現れた連邦の新手――あの三機に逆に押され、僚機の二機を失った。

 

「どうして……我々が……こんな連邦の雑魚どもに……!?」

 

困惑と怒りが胸を焦がす。

その隙をヤザンのペイルライダー・ヴァンガードが見逃さなかった。

ヴァンガードが猛然と突進し、ハイパービーム・ライフルを連射する。

ビームの雨がゲルググJに降り注ぐ。

一発が、ゲルググJの大型ビーム・マシンガンに直撃した。

銃身が歪み、エネルギーが暴走する。

隊長機のパイロットは、慌てて叫んだ。

 

「くそがっ……!」

 

ビーム・マシンガンを投げ捨てる。

捨てられた銃は虚空で爆散し、火球を広げた。

ゲルググJは即座にビーム・サーベルを抜刀。

黄色い光刃を構え、ヴァンガードに斬りかかる。

ヤザンは、それを待ち構えていた。

通信で獰猛に、喜びに満ちた笑い声を上げる。

 

「はははっ!ようやく本気か、新型!!射撃じゃ物足りねえ、格闘戦で来いよ!!モビルスーツの醍醐味だろ!!」

 

ヴァンガードはハイパービーム・ライフルを腰の後ろに担架し、左腰からビーム・サーベルを抜き放つ。

赤い刃が輝き、ゲルググJのサーベルと激しく斬り結ぶ。

火花が散り、二機の刃が虚空で交錯する。

ゲルググJのパイロットは怒りを露わに叫んだ。

 

「射撃の有利があるのに、なぜ格闘戦に応じる!?愚かな……!!」

 

ヤザンは、それを聞いて、さらに大笑いした。

 

「ははははっ!!有利だの不利だの、そんなもん関係ねえ!!強い奴と本気でぶつかり合うのが俺は好きなんだよ!!」

 

二機のビーム・サーベルが激しく打ち合い、火花を散らす。

 

ヤザンは、その斬り合いを心底楽しんでいた。

ゲルググJのパイロットはヴァンガードの性能とヤザンの戦闘センスに次第に押され始めた。

刃の受けが甘くなり、機体の動きが鈍る。

 

(近接では……分が悪い……!このままでは……!?)

 

パイロットは、グラーフ・ツェッペリンへの合流を決意し、スラスターを逆噴射して離脱を試みた。

 

「艦隊に合流する……!ここで死ぬわけには……!」

 

だが、その瞬間。ヴァンガードの右腕のスタン・アンカーのワイヤー付きアンカーを射出、ゲルググJの胴体に深く突き刺さった。

パイロットは衝撃に機体を震わせ、叫んだ。

 

「なっ……!?これは……!?」

 

遅かった。

ワイヤーから、高圧電流が流される。

ゲルググJのアクチュエーターが焼き切り、モーターが悲鳴を上げる。

機体が硬直し、火花が散る。

パイロットは感電の痛みに悲鳴を上げた。

 

「ぐあああーっ!!やめろ!やめろおおお!!」

 

ヤザンは冷酷に笑った。

 

「これで、終わりだ!!」

 

ヴァンガードの左腕に装着されたシールド・ヒートクローが赤熱化した二本の鉤爪を展開。

灼熱の爪がゲルググJの胴体に深く突き刺さった。

爆炎が噴き出し、機体が内部から崩壊する。

ゲルググJの隊長機パイロットは最後の言葉を吐き出した。

 

「くそ……最新鋭のゲルルグが……連邦の……モビルスーツに……負ける……など……!!」

 

通信が途切れ、ゲルググJは大爆発を起こし、四散した。

ヤザンは残骸を見下ろしながら、満足げに笑った。

 

「ははっ……いい勝負だったぜ、ジオンの新型。」

 

 

 

 

 

グラーフ・ツェッペリンの艦橋は静寂に包まれていた。オペレーターの一人が、

震える声で報告した。

 

「艦長……!ゲルググJ小隊……全機、撃破されました!通信も、反応も……一切ありません!」

 

ヘルシング大佐は、モニターに映る三つの爆散した残骸を見つめた。

最新鋭のゲルググ・イェーガー。

キリング中佐直轄のエース部隊。

あの三機が全滅した。

 

「そんな……馬鹿な……キリング直轄のエース部隊で最新鋭のゲルググイェーガーだぞ……?」

 

ヘルシングの口から、呟きが漏れた。

キリングの監視がなくなった。

 

 

これで、ようやく――投降できる。

 

 

ヘルシングは一瞬だけ目を閉じ、深く息を吐いた。

そして、決意を込めて立ち上がった。

 

「オープンチャンネルを開け!全周波数で降伏の意思を伝える!」

 

オペレーターが慌ててコンソールを操作する。

 

「了解!オープンチャンネル、開放します!」

 

ヘルシングはマイクを握り、静かだが力強い声で告げた。

 

「こちらジオン公国軍チベ級重巡洋艦グラーフ・ツェッペリン艦長、フォン・ヘルシング大佐。連邦軍諸君に告げる。我々は戦闘を停止し、無条件降伏を申し出る。

繰り返す。無条件降伏を申し出る。」

 

同時に艦橋の指示で、白い信号弾が五つ、連続して宇宙空間に放たれた。

白い光が静かに広がる。

降伏の伝統的な意思表示。

残るムサイ級二隻と、取り巻きのザクⅡ改、リック・ドムⅡの6機は即座にスラスターを停止し、武器を収めた。

戦闘行動を完全に停止した。

その様子をバイアリータークの艦橋と、イーサン、ボカタ、ライラの三機がモニター越しに確認した。

ハーツクライ艦長は通信で穏やかに指示を出す。

 

「オリオン1、ウィッチ1、ウィッチ3。敵は本気で戦う気がない、こちらも武器を納めよう。」

 

イーサンが静かに応じた。

 

「了解、艦長。敵の動きが鈍いのは、やはり内部に何かあるようですね。」

 

ボカタも冷静に言った。

 

「ええ。まるで、戦うのを嫌がっているみたい。」

 

ライラは少し緊張しながらも頷いた。

 

「はい……私たちも攻撃しないようにします。」

 

三機はビーム兵器の充電を止め、機体を静止させた。

敵側も完全に動きを止めた。

 

 

バイアリータークの艦橋にオープンチャンネルからの通信が入った。

 

「こちらジオン公国軍チベ級重巡洋艦グラーフ・ツェッペリン艦長、フォン・ヘルシング大佐。バイアリーターク艦長に直接お話ししたい。」

 

ハーツクライ艦長はナタリアに目配せし、通信を繋いだ。

 

「こちらバイアリーターク、艦長クリフトフ・ハーツクライだ。お話し願おう。」

 

ヘルシングの声は疲れと安堵が入り混じっていた。

 

「ハーツクライ艦長……貴官が私の降伏の申し出を信じ、受け入れてくださったことに心より感謝する。」

 

ハーツクライは穏やかに応じた。

 

「そちらの艦隊は積極的に動いておられなかった。モビルスーツ部隊も明らかに戦闘の意志が薄いように見えた。だから、信じた。」

 

ヘルシングは一瞬沈黙し、苦笑交じりに言った。

 

「……見抜かれていたか。軍人として、戦闘の意志がないのは恥ずべき行為だ。だが、貴官のバイアリータークが、こちらの意図を読み取り、無駄な攻撃を控えてくださったこと……それに、深く感謝する。」

 

ハーツクライは、少し照れくさそうに頭を掻く仕草をした。

 

「……はは、見抜かれたのはこちらの方だな。恥ずかしい限りだ。」

 

ヘルシングは、その言葉に静かに微笑んだ。

 

(この男は……信用できる人物だ。)

 

彼は声を落ち着けて続けた。

 

「ハーツクライ艦長。私は、どのような処罰を受けても構わない。だが、部下たちには……どうか温情を。南極条約に従った、人道的な対応をお願いしたい。」

 

ハーツクライは即座に、はっきりと答えた。

 

「了承した。約束しよう。部下の方々には、条約に基づいた扱いを保証する。」

 

フォン・ヘルシング大佐は、しばらく沈黙していた。

そして、真剣な表情で語り始めた。

 

「ハーツクライ艦長……もう一つ、貴官にお伝えしたいことがある。」

 

ハーツクライは画面越しにヘルシングの目を見て、静かに応じた。

 

「言ってください。」ヘルシングは声を低め、懇願するように言う。

 

「グラーフ・ツェッペリンの左側面格納庫を……確認してほしい。どうか、貴官のモビルスーツ部隊に直接見てほしいのです。」

 

ハーツクライは、その真剣な表情に、ただ事ではないことを悟った。

 

「……了解しました。重大なことのようですね。」

 

ハーツクライ艦長は即座に指示を出した。

 

「オリオン1、ハーツクライだ。グラーフ・ツェッペリンの左側面格納庫を確認してくれ。慎重に、だが急いでだ。」

 

イーサンの声が即座に返ってきた。

 

「了解、艦長。直ちに接近する。」

 

ジム・ドミナンスを先頭にボカタとライラのジム・コマンドが続く。

ジオンのザクⅡ改とリック・ドムⅡは無言で進路を譲った。

グラーフ・ツェッペリンの左側面で装甲がゆっくりと開き、格納庫が露わになる。

イーサンのジム・ドミナンスが慎重に内部を覗き込んだ。

 

 

そして――

 

 

 

「これは……!?」

 

 

 

イーサンの声が通信に驚愕を込めて響いた。

格納庫に核の印が描かれた、巨大なミサイルが静かに収められていた。

ボカタも、ライラも、機体を近づけ、内部を確認し、息を飲んだ。

 

「核……ミサイル……!?」

 

イーサンは即座に報告した。

 

「艦長!グラーフ・ツェッペリン格納庫に核弾頭搭載ミサイルを確認!間違いありません!」

 

ハーツクライ艦長は艦橋で拳を握りしめ、ヘルシングに問い詰めた。

 

「ヘルシング大佐……これは、どういうことだ!?南極条約違反の核兵器を、なぜ搭載している!?」

 

ヘルシングは静かに、すべてを語り始めた。

 

「これは、ルビコン作戦責任者、キリング中佐の独断です。彼はリボーコロニー内に隠された、連邦軍の新型ガンダムを核で破壊しようとしていました。サイド6は南極条約を批准していない、だから核使用は問題ない――そう主張して、強行しようとしたのです。」

 

 

イーサンは、その言葉を聞き、ブリティッシュ作戦の記憶が蘇った。

コロニーに核攻撃と毒ガスを加え、無数の命を奪ったジオン。

あの時の怒りが再び胸に込み上げる。

だが、ヘルシングの声は苦痛に満ちていた。

 

「私は……それを止めたかった。キリング直轄のゲルググJ小隊が監視していたため、投降もできなかった。貴官たちがあの部隊を撃破してくれたから、ようやく……この蛮行を止められたのです。」

 

ヘルシングは深く頭を下げた。

 

「スペースノイドとして、サイド6の民を核で焼き払うなど、許せなかった。バイアリータークの皆さんに心より感謝します。」

 

ハーツクライは静かに応じた。

 

「貴官が核攻撃に苦悶し、葛藤してくれたことに、こちらこそ感謝する。人の心がある限り、戦争は終わらないかもしれないが……貴官のような人がいる限り、希望はあります。」

 

イーサンは二人のやり取りを聞き、胸の奥が熱くなった。

ジオンにも、コロニー攻撃を苦悶する人がいる。

ブリティッシュ作戦で自分を殺さなかった青いザクⅠの背中が脳裏に浮かんだ。

バイアリータークはグラーフ・ツェッペリンの拿捕作業を地球連邦軍第3艦隊第14戦隊司令、マイーア・パゾク中佐に引き継いだ。

通信でマイーアの声が響いた。

 

「こちらは地球連邦軍第3艦隊第14戦隊司令マイーア・パゾク中佐だ。バイアリーターク、ハーツクライ艦長。貴艦のおかげで、私のモビルスーツ部隊のパイロットも僚艦も無事だった。心より感謝する。」

 

ハーツクライは静かに応じた。

 

「マイーア中佐、こちらこそ、あなたの艦隊の奮闘に敬意を表する。」

 

そして、少し声を低めて続けた。

 

「一つ、お願いがあります。ヘルシング大佐とその部下たちを、どうか丁重に扱ってほしい。彼らは、核攻撃を止めるために自ら降伏を選んだのです。」

 

マイーアは即座に答えた。

 

 

「命の恩人である貴官の願いだ。快諾しよう。南極条約に基づき、人道的に対応する。」

 

マイーアのサラミス級二隻がグラーフ・ツェッペリンの横に並び、接舷準備に入った。

連邦軍の兵士たちが核ミサイルの取り出しと、ヘルシング大佐の連行のため、乗り移りを開始する。

その頃、バイアリータークの艦橋に民間の緊急通信が入った。

 

「こちら、サイド6の民間シャトル!貴艦の戦闘のために長時間待機しており、船内の空気が限界に近づいています!通過許可を、どうかお願いします!」

 

ハーツクライはマイーアに相談した。

 

「マイーア中佐、民間シャトルの通過許可を出してもよろしいか?」

 

マイーアは、少し考えて答えた。

 

「サイド6の民間船だ。問題を起こせば外交問題になりかねない。許可しよう。」

 

ハーツクライはシャトルに返信した。

 

「通過を許可する。安全に航行せよ。」

 

民間シャトルは、ゆっくりと推進光を強め、バイアリーターク、グラーフ・ツェッペリン、マイーアのサラミス級の横を慎重に通り過ぎていった。

シャトルが通過し、しばらく時間が経過した後に他の連邦軍のパトロールのサラミス級が次々と集まり始めた。

マイーアは最後に通信で告げた。

 

「後のことは、我々が引き受ける。バイアリータークは、予定通りリボーコロニーに向かってくれ。」

 

ハーツクライはモニターのマイーアに敬礼する。

 

「感謝します、マイーア中佐。では、我々は任務を続行します。」

 

ナタリアはハーツクライの意を察し、全機に帰艦命令を出した。

 

「オリオン小隊、スペース・ウィッチーズ隊、全機帰艦せよ。繰り返す、全機帰艦せよ。」

 

六機のスラスターの光がバイアリータークに向かって、静かに帰路についた。

 

 

 

 

 

バイアリータークはサイド6のリボーコロニーに向かっていた。

格納庫では、整備班たちが忙しく動き回っている。

金属の打音と溶接の火花が格納庫に響く。

整備班長のナガト中尉はタブレットを片手に各班の報告を聞きながら、

的確に指示を出していた。

 

「第一班、ジム・ドミナンスの左肩装甲の交換を急げ!第三班、ヴァンガードの駆動系を急いで確認しろ!第二班、マスケッティアは軽微損傷だ、弾薬補充と簡単な装甲補修して、他の班の応援!」

 

オリオン小隊の三機は大きな損傷こそなかったが、激戦の痕跡は残っていた。

特に、隊長機のゲルググJと近接戦を繰り広げた、ヤザンのペイルライダー・ヴァンガードとグラーフ・ツェッペリンのモビルスーツ部隊と撃ち合いを演じた、イーサンのジム・ドミナンスは装甲に焦げ跡や弾痕が目立っていた。

ナガトは、その二機の整備を最優先に指示した。

一方、ソウヤのマスケッティアは後衛で援護射撃に徹していたため、損傷は他の二機に比べてかなり少なかった。

弾薬消費と簡単な装甲補修程度で済む。

格納庫の一角でヤザンはヴァンガードのコックピットから降り、ソウヤに興奮冷めやらぬ様子で戦闘の話をしていた。

 

「いやー、あの新型の動きは良かったぜ!最後は俺のヒートクローでぶっ刺してやったけどよ、あいつらはなかなか強かった!特にサーベル捌きが……」

 

ソウヤは整備兵の点検を待ちながら、ヤザンの話を聞いていた。

ヤザンの熱い語り口に少し笑みを浮かべる。

 

(ヤザンのやつ……本当に、戦いが好きなんだな)

 

ふと、壁の時計に目をやる、時計は14時を示していた。

 

(もう、そんな時間か……戦闘が終わってから、時間が結構経っているな)

 

ソウヤはヘルメットを脱ぎ、髪をかき上げた。

 

 

すると、バイアリータークの艦内放送が突然、響き渡った。

 

「全乗員に通達!リボーコロニー内でザクⅡ改が出現!ガンダムNT-1が単機で応戦中!サイド6防衛隊は協力を拒否したため、バイアリータークに加勢を要請!繰り返す――リボーコロニー内でザクⅡ改が出現!至急対応を!」

 

格納庫にいた全員が動きを止めた。

整備班長のナガト中尉は急いで、連絡用の受話器を掴み、艦橋のナタリアに報告した。

 

「艦橋、こちら格納庫のナガトだ!オリオン小隊の状況はジム・ドミナンスとヴァンガードは整備中!出撃は不可能!出せるのは……マスケッティアだけだ!」

 

ナタリアの声が少し焦りを帯びて返ってきた。

 

「了解です、ナガト中尉。スペース・ウィッチーズ隊も全機整備に入り、即時出撃はできません……ハーツクライ艦長もサイド6宙域に入ったからと安心して、整備を優先してしまったことを後悔しています。」

 

その会話を聞き、イーサンは、すぐにソウヤの元へ駆け寄った。

 

「ソウヤ!単機でいい、ガンダムNT-1の支援に向かってくれ!」

 

ソウヤは少し驚いた顔で振り返った。

 

「隊長……了解です。ですが、マスケッティアの推力では、コロニーに到着するまで約15分かかります。」

 

イーサンは歯を食いしばり、強く言った。

 

「構わない!それでも、行くんだ!あのガンダムは一人で戦っている!」

 

ソウヤは、一瞬目を閉じ、すぐに頷いた。

 

「……了解しました。リボーに向かいます!」

 

そう言うと、ソウヤは素早くコックピットに乗り込み、

ハッチを閉めた。

コロニー内戦闘の可能性を考慮し、メガ・ビーム・シューターはすでに取り外されていた。

装備はハイパービーム・ライフルと左腰のビーム・サーベル一本だけ。

マスケッティアの整備をするためにほとんどの武装が取り外された状態での出撃だ。

 

整備兵たちは大慌てで、散らばった工具やパーツを片付け、マスケッティアの周囲を空けた。

 

「道を開けろ!マスケッティアが発進するぞ!」

 

ナガトの号令一下、全員が素早く退避する。

 

マスケッティアは、カタパルトに足の乗せ、ロックされた。

 

 

通信機から、ハーツクライ艦長の声が流れた。

 

「マスケッティア、発進を許可する!タカバ少尉、頼むぞ!」

 

ソウヤは静かに応じた。

 

「マスケッティア、発進します!」

 

カタパルトが起動し、マスケッティアは青白い推進光を噴き、虚空へと飛び出していった。

 

 

マスケッティアはスラスターを全開に噴射し、

リボーコロニーへと急いだ。

青白いスラスターの光が、漆黒の宇宙に長い尾を引く。

 

コックピット内で、ソウヤは静かに祈った。

 

(間に合ってくれ……ガンダムがやられる前に……)

 

15分後。

なんとか、リボーコロニーのスペースゲートに到着した。

 

コロニーの巨大な円筒形のシルエットが、目の前に広げている。

 

ソウヤは即座に管制室へ通信を送った。

 

「こちら連邦軍ペガサス級強襲揚陸艦4番艦バイアリーターク所属オリオン小隊のソウヤ・タカバ少尉!コロニー内で戦闘が発生していると聞きました!内部進入許可を求めます!ガンダムの支援に来ました!」

 

管制室からの返答は冷ややかだった。

 

「……連邦軍か、上から確認を取る。待機せよ。」

 

ソウヤは声を強めた。

 

「待機はできません!コロニー内でザクⅡ改が出現し、ガンダムが単騎で応戦中です!一刻を争います!すぐに許可を!」

 

管制官の声が苛立ちを露わに返ってきた。

 

「連邦軍の好き勝手で、これまで二度もコロニー内で戦闘が起きた!住民に死傷者が大量に出てるんだぞ!簡単に入れると思うな!!」

 

その言葉に胸を締めつけられた。

 

(……そうだ。この人達も戦争に巻き込まれて、コロニーの人たちに死傷者が……)

 

ソウヤは声を落ち着かせ、真剣に訴えた。

 

「……すみません。ですが、今許可が下りなければ、さらに被害が出る可能性があります。私も、コロニー住民の方々に被害を出したくありません。どうか、できるだけ急いで、許可をお願いします。」

 

 

管制室は一瞬沈黙し、声のトーンが少し柔らかくなった返答が返ってきた。

 

「……わかった。できるだけ急ぐ。待ってろ。」

 

ソウヤは通信を切り、マスケッティアを静止させた。

 

コロニーの外壁をじっと見つめながら、祈るように呟いた。

 

(早く……早く許可が下りてくれ……!)

 

マスケッティアはスペースゲート前に静止し、その場で待機した。

コロニーの外壁が巨大な影を落とす。

コックピット内の時計が一分一秒を刻む。

 

(早く……早く許可を……)

 

その時、管制室から通信が入った。

 

「こちらリボーコロニー管制室。バイアリータークのソウヤ・タカバ少尉か?状況報告だ。」

 

ソウヤは即座に応答した。

 

「はい、タカバ少尉です!許可は――」

 

管制官の声は疲れと安堵が入り混じっていた。

 

「ガンダムは戦闘で中破した。出現したザクⅡ改は撃破され、現在は戦闘は終了している。」

 

ソウヤは一瞬、言葉を失った。

 

(間に……合わなかった……)

 

胸に悔しさが込み上げる。

 

管制官は続けた。

 

「応援に駆けつけたバイアリーターク所属のモビルスーツは第二波を警戒し、コロニーの中に入った後は中破したガンダムの警護を頼まれている。」

 

ソウヤは深呼吸を一つし、声を落ち着けた。

 

「……了解しました。コロニー進入の許可をいただけますか?」

 

管制官は柔らかい声で答えた。

 

「許可する。ゲートを開くぞ。……ありがとうな、少尉さん。遅かれ早かれ、助けが必要だったかもしれん。」

 

スペースゲートがゆっくりと開き始めた。

ソウヤはスラスターを軽く噴射し、コロニー内部へと滑り込んだ。

コックピット内で小さく呟いた。

 

「……間に合わなかったか…。」

 

コロニー内部に入ったマスケッティアは人工の空を滑空しながら、ゆっくりと高度を下げた。

ソウヤはコックピットから上空を見渡し、中破したガンダムNT-1“アレックス”を探し始める。

コロニーの街並みが遠くに広がり、公園、住宅地、針葉樹林の緑が人工の太陽光に照らされている。

やがて、視界の端に煙の立つ一角が見えた。

針葉樹林に囲まれた、白い建物の群れ。

その中央に白と青の機体――ガンダムNT-1“アレックス”が仰向けに倒れていた。

 

ソウヤはマスケッティアをその近くに着陸させた。

着地の衝撃が軽く機体を揺らす。

周囲には、連邦軍の兵士たちが現場検証と後処理に追われていた。

黄色いテープが張られ、兵士達が残骸をスキャンしている。

ソウヤはコックピットのモニターで周辺を確認の行う。

まず、アレックスに目を向けた。右腕は損傷し、頭部は切り落とされていた。

 

(ガンダムと言えども、一つの兵器でしかないな)

 

キャリフォルニア・ベースでガンダム6号機が闇夜のフェンリル隊に破れており、そう思った。

次に、視線を上半身を失ったザクⅡ改の残骸に移した。腰から下はほぼ原型を留めていたが、上半身は木っ端微塵に吹き飛ばされ、モノアイの残骸すら見当たらない。

ソウヤは、その残骸をじっと見つめた。

すると、胸の奥に、もの悲しい感情が広がった。

このザクⅡ改は決して強くはない。

性能では、ガンダムに遠く及ばないだろう。

それでも、震えながら、強敵に挑んだ。

 

 

何かを、誰かを、守り通そうとした。

 

 

そんな、静かな意思が残骸から伝わってくるようだった。

ソウヤは無意識に右手を上げ、敬礼した。

哀悼の意を名も知らぬパイロットに捧げて。

この戦闘の中で、誰もが必死に戦っている。

その片隅で、名も知らぬ兵が誰かのために、自分の正義のために、命を賭けていた。

そして、そのザクⅡ改に青年の勇気と少年の願いが託されていたことを。

ソウヤは知る術はなかった。

ただ、静かに敬礼を続けた。

コロニーの風が針葉樹の香りを運んでくる。

いつか、この戦いの記憶が遠くになろうとも。

平和の祈りがいつかは、ソラに届いて欲しいと願った。




最後まで読んでくださり、誠にありがとうございます。

今回の【この戦争の中の片隅で】は、正直自分でも「盛りすぎだろ」って思うくらい詰め込んだ章になりました(笑)

マスケッティアの専用武装、メガ・ビーム・シューターの初お披露目から始まり、ムサイを一撃で撃沈するほどの威力に自分でも書いてて、楽しかったです(笑)

シイコさんのスティグマ攻撃も、ようやく本格的に描写できて満足しました。
ワイヤーでゲルググJを振り回す変則的な動きはかなり考えましたね。
最後はあっちの世界でシュウジにされた意趣返しをやってみました(笑)
そして、ソウヤくんとのタッグ攻撃……あの二人のマヴ感、書いていてとても楽しかったです。
ヤザンの初宇宙戦も、ヴァンガードの武装をフルに活かして大暴れしてもらいました。
ヴァンガードの武装でヤザンらしく、戦わせられたと思っています。
そして最後のリボーコロニー。
正直に申し上げますと、バーニィのザクⅡ改の残骸にソウヤくんが敬礼するシーンは、
少し蛇足かな……とも思いました。
ゲルググJを全滅させ、核攻撃を阻止して、連邦軍の大勝利でハッピーエンドにしても良かったのですが。
でも、どうしても、バーニィの死を無視することが出来なかったです。
一年戦争の中で起きた、ちっぽけな出来事かもしれませんが、バーニィの行動は無意味じゃないと思い。
ソウヤに静かに哀悼の意を捧げてもらいました。


バーニィ、あなたのことは忘れないよ。


さて、次の話も個人的には面白いと思ってますので、お楽しみに~♪
最後にマスケッティアの専用武装のメガ・ビーム・シューターの設定を書きますね。



【メガ・ビーム・シューターの設定】

マスケッティアの専用武装、ガンダム4号機のメガ・ビーム・ランチャーを大幅にデチューン・改良した派生武装です。
ガンダム4号機のメガ・ビーム・ランチャーは対艦隊レベルの破壊力を有する一方で、
エネルギー供給の不安定さ、システムの過剰負担など、実戦での信頼性が極めて低かった。

「艦隊殲滅級の出力は不要」という判断のもと、
威力を意図的に落とし、安定性・連射性・即応性を優先した武装が求め、その結果生まれたのが「メガ・ビーム・シューター」です。

ガンダム4号機のメガ・ビーム・ランチャーの最大出力を約50~60%に抑制。
リミッター解除時の「艦隊一掃」級の威力は失われたが、
その代償としてエネルギー供給の安定化に成功。
エネルギー供給方式はガンダム4号機と同じ
、外部ジェネレーターを使用。
マスケッティアの右腰に装着された専用外部ジェネレーターからエネルギー供給を受ける。
これにより機体本体のジェネレーター負荷を軽減し、
連続運用時の安定性を確保している。

出力低下により発熱量が大幅に減少。
ガンダム4号機に必要だった高性能冷却システムは不要となり、
標準的な冷却ユニット+外部ジェネレーターで対応可能に。
ビーム収束時間も大幅に短くなり、
実戦での即応性が飛躍的に向上。
次弾の発射間隔は約8~10秒間隔の連射が可能(状況による)。
作中のように、モビルスーツ相手ではオーバーキル、艦船相手では十分脅威の破壊力の位置づけしてみました。

【機動戦士ガンダム オリオンの軌跡】に登場するオリジナル機体で好きな機体はなんですか?

  • 陸戦型ジム改
  • バイアリーターク
  • ペイルライダー・ヴァンガード
  • ペイルライダー・マスケッティア
  • ヴァルキリー
  • グフ・ノクターン
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。