機動戦士ガンダム オリオンの軌跡   作:浅片名羽馬

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第3話 秘匿の機兵

「脚部の修復は応急修理でいい!キャノン砲の弾薬補給を優先しろ!」

「撃破された機体から使える武装の回収とチェックを急げ!」

 

整備兵達は片膝をついて、待機している量産型ガンキャノンの周辺で忙しく動いている。

私は地面に座り込んだまま、死んでしまった二人のことを思い返しながら液体栄養食をすすっていた。

機械化砲撃小隊に配属され、1カ月の量産型ガンキャノンの操縦訓練をし、このオデッサ作戦に参加したのだ。

しかし、アロンソ大尉もコルサコフ中尉はもういない、新兵の自分だけが生き残ってしまったことに不甲斐なく罪悪感を覚える。

 

「すいません、二人とも…。」

 

二人に対する詫びの言葉を私は漏らすのだった。

 

「タカバ少尉!タカバ少尉!」

 

整備兵の一人がしきりに私の名前を呼んでいるのを気付き、食べ終わった液体栄養食の容器を捨てると整備兵の方に駆け寄った。

 

「私です!どうかされましたか?」

 

「ソウヤ・タカバ少尉ですね!部隊長のオルグレン少佐がお呼びですので至急、来てください!」

 

「了解しました。オルグレン少佐はどちらに?」

 

「私が案内しますので、ついてきてください。」

 

私は、その整備兵のあとについていくのだった。

 

 

 

整備兵についていった先に木箱に置かれた通信機とせわしく話している人物がいる。

身長は180cmくらいあり、無駄がなく引き締まった肉体、髪は濃いブラウンのベリーショートで鋭く整った眉と深みのあるダークブラウンの瞳をした端正な顔立ちな人だった。もし、軍人でなかったら、俳優業もできるくらいに顔立ちが良かった。

私は案内してくれた整備兵に敬礼をすると、オルグレン少佐に近づき、敬礼をしながら声を掛ける。

 

「ソウヤ・タカバ少尉、参りました!」

 

オルグレン少佐は私の声に気付き、通信機に一言だけ言うと通信を終え、私の方に近づく。

 

「やあ!タカバ少尉、よく来てくれた!」

 

オルグレン少佐は右手を差し出し、握手を求めてきたので私も右手を差し出し、握手をした。

 

「イーサン・ミチェル・オルグレンだ。アロンソ大尉とコルサコフ中尉のことは非常に残念だ。だが、君が生き残ってくれて、本当に良かった。」

 

「ありがとうございます。少佐。」

 

オルグレン少佐は労いと哀悼の言葉を言ってくれるが、やり切れない気持ちがあるので素直に受け取ることができない。

 

「もう一人はまだ来てないかな?」

 

「もう一人ですか?」

 

どうやら、もう一人呼ばれているらしい。

私は辺りを見回すと私達と同じ、陸戦パイロットスーツのヘルメットとパイロットチョッキを着た男が駆け寄ってきた。

 

「ヤザン・ゲーブル軍曹!参りました!」

 

私と同い年くらいで髪は明るい金髪でやや短めに無造作に切り揃えた髪型、体格はがっしりしており、顔立ちは鋭く、目つきは獲物を狙う肉食獣のように鋭い男だった。

男は息を整えると、オルグレン少佐に敬礼する。

 

「ヤザン軍曹、よく来てくれた。これで全員が揃ったな。」

 

オルグレン少佐は私とヤザン軍曹の顔を交互に確認し、会話を続けるのだった。

 

「オデッサ作戦も佳境に入った。西側と東側の部隊が敵の防衛網を突破し、オデッサの市街地まで進むことができた。しかし、我々は先程の戦闘で戦力のほとんどを削られ、残っている戦力は先行したモビルスーツが3機と戦車4個小隊とここで補給と修復を受けている、我々だけだ。」

 

少佐は少しだけ間を置いてから、本題を言われる。

 

「ソウヤ・タカバ少尉、ヤザン・ゲーブル軍曹は私のナイト小隊の指揮下に入り、敵の工場プラントの制圧を命ずる!」

 

オルグレン少佐は再度、私達の顔を交互に確認し、敬礼をされた。

私とヤザン軍曹はその敬礼と命令に敬礼で答えるのだった。

 

「では、各員は速やかに機体に搭乗し、工場プラントに向けて前進する。解散!」

 

解散の合図を聞き終わった瞬間、ヤザン軍曹と私は自分の機体に向かって走り出す。

まだ、心の中に迷いはあるが、オデッサ作戦は続いている。だが、ここで迷っているだけでは意味はないと自分に言い聞かせた。

 

量産型ガンキャノンの元に辿り着き、整備班長から機体の修繕具合と弾薬補給状態と装備の説明を受ける。

 

「キャノン砲の補給は大丈夫ですが、頭部のバルカン砲の補給が済んでおりません。あと、先ほどの戦闘で脚部にダメージがあったので応急処置はしましたが、あまり無茶をすると姿勢制御に影響が出るかもです。」

「装備の方はどうなります?」

 

修繕具合と補給状態を聞き終わると、私はガンキャノンの装備を尋ねた。

 

「ビームライフルは予備がないので、撃破されたロングボウ1のロケット・ランチャーを装備させます。機体が爆発しなかったので誘爆せずにすみました。弾倉は新しい物に変更済みです。」

 

「分かりました。ありがとうございます。」

 

整備班長に敬礼を終えると、私はコックピットハッチに取り付けられている搭乗用の牽引ワイヤーのフックに足を置くとセンサーが反応し、牽引ワイヤーが巻き取られながら上昇する。

コックピットの位置まで上昇すると巻き取りがストップし、コックピットに乗り込める状態になるので、私は片足をコックピットの出入り口の淵に足を置き。

牽引ワイヤーのフックから足を外し、私はガンキャノンのコックピットに乗り込んだ。

コックピットに乗り込むと火器管制システムを起動させ、弾薬補給状態を確認。

確認が終わると素早く起動シークエンスを行い、ガンキャノンを起立させた。

整備兵が誘導棒を振り、ロケット・ランチャーが置かれている場所を示す。

私はその誘導に従い、ロケット・ランチャーの位置にガンキャノンを歩行させる。

案内された場所にはコックピットハッチに風穴を開けられた、アロンソ大尉のガンキャノンが横たわっていた。

私は開けられた風穴に目をやり、アロンソ大尉が戦死されたという事実をもう一度、心に刻み込む。

私は地面に置かれたロケット・ランチャーにセンサーの標準を合わせ、ガンキャノンに武器を取らせるアクションを実行し、ガンキャノンにロケット・ランチャーを装備させる。

 

「アロンソ隊長、お借りしますね。」

 

私は哀悼と決意の言葉を隊長に手向け、新たな戦場に進むためにオルグレン少佐の元に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

夕日に照らされたオデッサの北部の大地を3機のモビルスーツが駆け足で走っている。

彼らが向かうはジオン軍が第1次降下作戦の時に占領し、膨大な鉱山資源と工業能力を有するオデッサに向かっていた。

 

「あと少しで目的のオデッサの工業プラントに到着する!コールサインはソウヤ少尉はナイト2!ヤザン軍曹はナイト3で呼称する!」

 

「了解!」

 

オルグレン少佐のコールサインの割り振りに私とヤザン軍曹は了解と返答した。

私は返答を終えると工業プラントの周辺地図を確認をする。

工業プラントエリアは倉庫街は縦横に道路が整備されているが、工場エリアは入り組んだ造りになっているようだ。

確認をしていると通信機から野太い声が入ってきた。

 

「ガンキャノンの少尉殿、先はありがとうます。お陰で命拾いしましたぜ。」

 

「えっと、なんのことです?」

 

「あのグフにこかされて、やられそうになった時に援護射撃してくれたじゃないですか。」

 

「ああ、あの時の陸戦型ジムはヤザン軍曹の。」

 

グフ・カスタムにカウンターのショルダータックルをされたジムに乗っていたのは彼だったようだ。

あの化け物みたいな相手に格闘戦を仕掛け、何度も苛烈な攻撃を凌いだヤザン軍曹の操縦技術に感服する。

 

「あの化け物に一歩も引かず、格闘戦ができるヤザン軍曹はすごいですよ。」

 

「ははは、ありがとうございます。まあ、アイツのとどめは少尉殿に持って行かれましたがね。」

 

「いやいや、あれはヤザン軍曹と少佐が隙を作ってくれたので撃破することができました。」

 

「ご謙遜を。」

 

「しかし、ヤザン軍曹はその若さで軍曹の階級とはすごいですね。」

 

私はヤザン軍曹の若さで軍曹の階級なのが気になり、彼の階級について聞いてしまう。

 

「まあ、元々は歩兵で伍長でしたが、モビルスーツに乗ることになったので戦時昇格で軍曹に。」

 

「なるほど。」

 

先のルウム戦役やジオンの地上降下作戦でかなりの熟練の兵士が戦死し、連邦軍も若手の士官や兵士を前線に投入しなければならない状態である。

特にモビルスーツパイロットの確保は急務であるので、卒業したての士官の私や伍長だったヤザン軍曹でも適性があれば、モビルスーツのパイロットになることができるのだ。

 

「ところで、ソウヤ少尉は日系の方ですか?」

 

「いえ、ハーフです。母が日本人で父が独系ルナリアンだ。」

 

「それで黒い髪をしているのに、綺麗な青い瞳をしてるのですか。」

 

不意にヤザン軍曹から自分の容姿の話をされ、驚きはしたものの軍曹の質問に答えた。

確かに、日本人らしい黒い髪で明るいベージュ色の肌をしているが瞳は日本人らしくない青い瞳をしている。

士官学校時代でも、よく同級生に好奇の目で見られたものだと思い返す。

 

「ナイト2、ナイト3。楽しい自己紹介の時間は終了だ。オデッサが見えたぞ。」

 

オルグレン少佐からの通信が入り、モニターの映像を確認する。

旧世紀のバロック様式の建物が建ち並び、さらに奥に水平線が見え、黒海が広がっていた。

バロック様式の建物はピンク、薄緑、黄色の外壁に、白い装飾や柱が施された優雅な雰囲気を出していた。しかし、その美しい街並みの間から爆発の黒煙と火柱、対空射撃のための曳光弾の弾道が見えるのだった。

 

「敵の戦力のほとんどは西側と東側の対応に戦力を注いでいる、こっちの方は手薄のようだ。我々は市街地には入らずに郊外の工業プラントに移動する。」

 

 

「ナイト3、了解!」

 

「ナイト2、同じく了解です。」

 

オルグレン少佐の指示に了解すると進路を郊外の工場プラントの方に変え、目的地に向かうのだった。

 

 

 

 

日が沈み、空が群青色に染まる。

倉庫街は静寂に包まれ、風が吹くたびに空き缶が転がり、金属音が薄闇に響いた。

鉄とコンクリートの壁が音を吸い込み、ナイト小隊の三機――ソウヤの量産型ガンキャノン、イーサンとヤザンの陸戦型ジム2機はVフォーメーションを組んで慎重に進む。

 

「敵影なし。レーダーもサーモも反応なし……。」

 

ソウヤの声が無線に流れ、コックピットのモニターを睨む。心臓の鼓動が、モーターの唸りと重なる。

アロンソ大尉の風穴の開いた機体が脳裏をよぎり、胸が締め付けられる。

 

「静かすぎる。」

 

ヤザンが吐き捨てる。陸戦型ジムのマシンガンが、わずかに揺れる。

 

「奴ら、放棄したのか?」

 

「いや、そんなタマじゃねぇすよ。」

 

私の疑問にヤザン軍曹の低い声が応えた。

 

その瞬間――

 

「少尉!右だ!」

 

ヤザンの叫びと同時に、黒い影が倉庫の狭い通路の奥から飛び出した。

赤いモノアイが光り、冷却蒸気が地面を這う。黒紫の装甲のグフだ。

鋭い実体剣が閃き、ソウヤのガンキャノンの左腕が音もなく切り落とされる。

切断面は焼け焦げず、まるで紙を切ったように滑らかだ。

 

「な――っ!?」

 

警報がコックピットを震わせ、ソウヤの視界が揺れる。

左腕の制御系統が死に、機体がバランスを崩す。

 

「こ、こんな切れ味……!」

 

「少尉、下がれ!」

 

イーサンの陸戦型ジムがソウヤを庇うように前に出る。

100mmマシンガンを構え、黒紫のグフに牽制射撃を放つが、黒い影は滑るように横に跳び、弾丸を回避。

 

「この傷痕、ヒートホークみたいに溶断したんじゃねぇ! 切れ味だけで切断したのか!?」

 

ヤザンが叫び、ジムの盾を構えて突進する。

 

「面白いじゃねぇか!」

 

黒紫のグフが低く身を沈め、実体剣――コールド・ブレード――を振り上げる。

イーサンが盾で受け止めるが、刃は装甲を切り裂き、左腕を切断される。

火花が散り、イーサンの機体が膝をつく。

 

「少佐!」

 

ソウヤが叫ぶが、ガンキャノンの脚部が軋み、動けない。

応急修理をした脚部がここまでの移動で負荷が掛かり、バランスを崩した時に脚部が破損したようだ。

警報音が頭を劈く。

 

『やっぱり、俺じゃダメなのか……!』

 

アロンソ大尉とコルサコフ中尉の顔が浮かび、ソウヤの喉が詰まる。

 

「下がってろ、二人とも!」

 

ヤザンが吠え、陸戦型ジムがグフに突っ込む。

マシンガンを連射し、倉庫の壁に穴を空けながら間合いを詰める。

黒紫のグフはステルス機構で熱源を遮断し、レーダーを撹乱。

ヤザンの弾丸が空を切る。

「おっと!」

 

グフのブレードがジムの頬装甲をかすめ、白い火花が散る。

ヤザンはスラスターを一瞬噴かし、バックステップ。すぐにマシンガンを逆手で構え、至近距離で撃ち込む。

弾丸がグフの肩を掠め、塗装が剥がれる。

 

「反応が遅ぇんだよ!」

 

ヤザンが笑い、ジムの拳を黒紫のグフの腹部に叩き込む。

鈍い金属音が響き、ノクターンが体勢を崩す。

冷却蒸気が白い霧となって噴き出し、敵パイロットの呻きがスピーカーから漏れる。

 

「連邦の犬ども……よくもノクターンに傷を!」

 

ジオンのパイロットの声は冷たく、低く響く。

 

「次は貴様らの心臓を切り裂くぞ!このミツル・サタケの名前!覚えておけ!」

 

グフ・ノクターンがスラスターを全開にし、倉庫の影に滑り込む。

ヤザンはマシンガンを構え直すが、弾切れを確認し、マガジンを叩く。

 

「チッ、逃げ足だけは速ぇな!」

 

夜想曲は闇に消えた。焦げた鉄と冷却剤の匂いだけを残して。

 

「逃げやがったか。」

 

ヤザンが肩を回し、息を吐く。

ソウヤはコックピットで拳を握り、震えを抑える。

『俺、役に立たなかった……。』

 

イーサンの声が無線に割り込む。

 

「ヤザン、よくやった。ソウヤ、機体の状態を報告しろ。」

 

「は、はい……左腕全損、脚部の応急修理が外れて、姿勢制御が不安定です。」

 

「分かった。援軍が来るまで持ちこたえるぞ。ヤザン、周辺警戒を頼む。」

 

「了解!」

 

ヤザンのジムが倉庫の通路を見張るように構える。

 

その背中に、ソウヤは頼もしさと同時に、自分の不甲斐なさを感じた。

 

 

 

 

周囲の安全を確認し、敵の気配がないことを確かめた。

ヤザンのジムが通路の奥を見据え、センサーを走らせる。薄闇の中、冷却剤の匂いがまだ鼻をつく。

 

「しかしよ、少佐。あのグフ、ただのグフじゃねぇな。こんな場所に何を隠してるんすかね?」

 

ヤザンが無線越しに尋ね、ジムのコックピットで首を振る。 イーサンのジムがゆっくり立ち上がり、損傷した左腕を庇いながら答える。

 

「あのステルス性能とコールド・ブレード……ジオンがここで何か企んでるのは間違いない。倉庫を調べるぞ。ソウヤ、機体が動けないなら周辺のレーダーを頼む。」

 

「了解しました、オルグレン少佐。」

 

ソウヤは応えるが、声に力がない。コックピットのモニターに映るヤザンのジムとイーサンの損傷したジムが、倉庫の鉄扉に向かう姿を見つめる。

 

『俺も動けたら……。』

 

罪悪感が胸を締め付け、ソウヤはセンサーに集中しようと自分を奮い立たせる。

イーサンとヤザンはビームサーベルの出力を絞り、倉庫の鉄扉を慎重に切り開き始めた。

金属が溶ける音と火花が、薄闇に響く。

数棟の扉を開けた後、ヤザンの声が無線に飛び込む。

 

「こちら、ナイト3! 見つけましたぜ!」

 

イーサンのジムが素早くその倉庫に近づき、中を覗く。

倉庫の中には、組み立て途中のモビルスーツが寝かされていた。

黒紫の装甲はノクターンと同じだが、体型はよりがっしりしており、動力パイプの露出が少ない。

 

「こいつ、敵の新型か?」

 

ヤザンがジムのセンサーで機体をスキャンしながら呟く。

 

「かもしれん。だが、アジア圏の砂漠で残骸が発見されたジオンの希少なモビルスーツに似ている。オデッサ近辺でも目撃情報があったらしい。」

 

イーサンが冷静に答える。

 

「希少なモビルスーツ?」

 

ヤザンが興味を引かれたように声を上げる。

 

「ああ。目撃例は少ないが、特徴的な外見を持つ機体だ。だが、こいつはオデッサで目撃された機体とは別個体だな。色が濃く、建造途中のようだ。」

 

機体は7割ほど完成していたが、装甲の一部が取り付けられておらず、内部のフレームや配線が露出している。

その姿は、まるで日本の忍者のような異様な雰囲気を漂わせていた。

 

「隣の倉庫も調べてみるか。」

 

イーサンがそう言うと、ヤザンが頷き、次の倉庫の扉にビームサーベルを向ける。

鉄扉が溶け落ち、中に現れたのは別の建造中のモビルスーツだった。

右腕と上半身しかなく、装甲も未装着で配線とフレームがむき出しだ。先ほどの機体とは全く異なる、流線型の体型。

イーサンがジムのセンサーでスキャンし、眉をひそめる。

 

「こいつ……フレーム骨格がザクやドムとは違う。関節構造も独特だ。ジオンがこんな設計を使ってたとはな。」

 

イーサンの声に、ヤザンが肩をすくめる。

 

「妙なもん作ってんな、ジオン。こいつ、動くんすかね?」

 

二人は倉庫の中をさらに調べ、ジオンの隠された秘密に迫るのだった。

 

 

 

 

 

 

執務室で、ゴップ大将が提出された書類を吟味している。40代後半か50代前半、灰色がかった髪を短く切り揃えた中肉中背の男だ。

鋭い目つきでオデッサ作戦の戦果と損害を読み込む。

ドアがノックされ、ゴップは低く「入れ」と許可を出した。

 

「ゴップ大将、失礼します。」

 

中年の士官が敬礼し、書類を差し出す。

 

「オデッサ北部戦線の最新報告書です。」

 

ゴップは書類をめくり、顔をしかめる。

 

「1機のグフ・カスタムにモビルスーツ6機、戦車8両が壊滅……大損害だな。」

 

「はい。このグフの残骸を調査しましたら、例の組織が開発した機体かもです。コックピット周りの配線が特徴的でした。また、異常な戦闘能力でモビルスーツ3個小隊を壊滅させております。」

 

ゴップの目が鋭くなる。

 

「ジオンから亡命したクルスト博士が言っていた例の組織か……噂以上の脅威だ。さらに?」

 

「別の襲撃で、ステルス性の高いグフに遭遇。高いステルス機構を備え、オルグレン少佐の臨時編成のモビルスーツ小隊に損害が。量産型ガンキャノンは左腕全損、脚部損傷。オルグレン少佐のジムも左腕を失いましたが、ゲーブル軍曹が単独で撤退させました。」

 

「ふむ、二つの別系統か。」

 

ゴップは顎に手をやり、考える。

 

「例の組織のグフ・カスタムとステルス技術のグフ……ジオンはオデッサで複雑な動きをしているな。資源確保以上の目的がある。」

 

「さらに、工場プラントで新型2体を発見。1機は残された資料を調べたら、『イフリート・ナハト』と名前が判明、オルグレン少佐たちが鹵獲。もう1機は入念に資料は消されていましたが配線配置の特徴が例のグフと似ており、機体名だけは分かりました。機体名は『ヴァルキリー』です。」

 

「戦乙女か……。」

 

ゴップは鼻で笑う。

 

「イフリート・ナハトは鹵獲済み、開発途中ならジオン全体にこのステルス技術は普及していないな。解析を急ぎ、連邦のモビルスーツに応用しろ。」

 

ゴップは書類を握り直し、目を細めて士官を見据えた。背筋を伸ばし、顎を軽く引く。

 

「例の組織の動きは看過できん。ジャブローで精鋭部隊を編成し、その組織を捕まえる。指揮はイーサンに任せる。彼なら奴らを必ず仕留める。」

 

報告を終えた士官にゴップは下がるように指示した。

士官が敬礼し、部屋を後にする。

ゴップは椅子に座り直し、鋭く前を見据えるのだった。




はーい、お待たせしました!
遂に原作キャラクターが本格的に参加しました!
かなり攻めましたが、あの『ヤザン・ゲーブル』を登場させました!
漫画の『ジョニー・ライデンの帰還』では、ZZの後のヤザンを描かれていましたが、私は一年戦争時代のヤザンを書いてみました。
Z時代では最強のニュータイプの一人と言われているカミーユに迫れるくらいですから。
一年戦争時代のヤザンは様々な激戦を潜り抜けたと妄想し、一年戦争の激戦を潜り抜けてもらおうと思っております。
でも、実際に書いてみるとヤザンのセリフを考えるのは本当に難しいです。
野性的で獣みたいだけど、どこか知性的で計算高いバトルジャンキーなので、セリフを書いていると「ヤザンらしいセリフて、どうすればー!」と悩んだりします。
あと、ヤザンは色々と戦いにこだわりがあるので。
私なりの自己解釈で、ヤザンはどうして、こだわりを持ったか、を描きたいです。
あと、ゲーム「ガンダム戦記」から、イフリート・ナハトも登場させました。
原作の方でも、鹵獲された経緯が書かれてなかったので。
ヤザン達が鹵獲した、設定にしてみました。
そして、この小説オリジナルのモビルスーツも初登場!
簡単な機体説明ですが、下に書いたので読んでください。


キャラクター紹介
ヤザン・ゲーブル
一年戦争の年齢は20歳
Ζガンダムに登場した、あのヤザン・ゲーブル。
まだ一年戦争時のヤザンなので、精神的にもまだ未熟な部分があり、モビルスーツの操縦も全盛期ではない。


オリジナル機体紹介
グフ・ノクターン

ステルス実験機でイフリート・ナハトの前に開発された機体。
本機はイフリート・ナハトに施されるステルス技術の技術立証を目的で作られた。
ただ、イフリート・ナハトに装備されているジャミング装置は装備されておらず、廃熱対策とステルス装甲しか施されていない。

【機動戦士ガンダム オリオンの軌跡】に登場するオリジナル機体で好きな機体はなんですか?

  • 陸戦型ジム改
  • バイアリーターク
  • ペイルライダー・ヴァンガード
  • ペイルライダー・マスケッティア
  • ヴァルキリー
  • グフ・ノクターン
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