機動戦士ガンダム オリオンの軌跡   作:浅片名羽馬

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第5話 赤と青の閃光

「ヤザン曹長……。」

 

「なんですか?」

 

「これで何連敗です?」

 

「15連敗ですね。」

 

私とヤザン曹長はシミュレータールームの床に座り込みながら、何連敗したかを尋ねる。流石に15回も連敗していると心が折れそうだ。

 

「どうした?二人とも?二人掛かりでやっているのに。俺を倒せないのか?」

 

オルグレン少佐はモビルスーツのシミュレーター装置から出てきて、座り込んだ私達を見る。

 

「隊長!俺たちは地上の敵を探すんですよ!なんで、宇宙戦闘のシミュレーターをするんですか?」

 

ヤザンの意見はもっともだ。地上のジオンの部隊を追跡する部隊なのに私達は宇宙戦闘のシミュレーターをしていることに困惑していた。

 

「お前たちに必要なことだと思ったから、しているまでだ。シミュレーターばかりしていたは体が鈍るから走ってこい!20キロだ!」

 

少佐に走ってくるように言われたので、私とヤザンは渋々了解し、シミュレータールームを後にした。

シミュレータールームを後にした私達は更衣室に入り、黄色の連邦軍標準パイロットスーツを脱ぎ。

そして、運動用のトレーニングウェアに着替えようとする。

 

「少尉、隊長の意図はわかりますか?」

 

「まったく分からない。地上戦闘がメインになるのに今から宇宙用の戦闘訓練をされてもな。」

 

私とヤザン曹長は着替えをしながら、隊長が宇宙戦闘の訓練をするのかを話し始めた。

 

「宇宙まで追いかけるですかね~?」

 

「流石にそれはないだろう。敵を宇宙に逃したら、ジオンの勢力圏だから地上での捕獲がベストだと思う。」

 

「そうですよね~。なんで、宇宙戦闘をするのか。わかりませんな。」

 

「まあ、なにか考えがあってのことだと思う。」

 

「そうですね。走りに行きましょう。」

 

トレーニングウェアに着替え終わると私達は施設の外に出て、ジャブローの敷地を走り始めた。

丁度いい涼しさを感じながら、私とヤザン曹長は走る。ジャブローの地下基地はほとんどが整地されており、アスファルトなどで舗装されているが所々は鍾乳洞由来の複雑な地形が残っており、急な坂や緩やかな坂となっている。体に丁度いい負荷が掛かるランニングコースだ。

 

「少尉はなんで、入隊したのですか?」

 

不意にヤザン曹長が私の入隊理由を聞いてくる、私は少しだけ話すかどうかを迷うが話すことにした。

 

「ハイスクール時代に傷害事件を起こして、大学に行けなくなったから士官学校に入学したんだ。」

 

「少尉が傷害事件を?それは意外だ。」

 

曹長は私が傷害事件を起こしていたことに驚く。

 

「あの時はジオンと連邦の対立が激しかったから、傷害事件持ちの私でも入学することができたよ。」

 

「人は見かけによりませんね。優男の顔立ちをしているのに。」

 

「そう見えるかな?ヤザン曹長はどうして、入隊したんです?」

 

ヤザン曹長が私の入隊理由を聞いてきたので、私もヤザン曹長の入隊理由を聞いてみた。

 

「俺ですか?そりゃあ、戦闘ができて。その戦闘の結果で偉くなれるからですよ。」

 

私はヤザンの返答に驚く、今の連邦の兵士たちは先のコロニー落としへの復讐やジオンの侵略に対する怒りで入隊する者が多い。彼のように戦うことが目的で出世に貪欲な下士官はあまりいないからだ。

 

「俺は少年時代はストリートファイトに明け暮れていて、荒んだ生活を送ってました。親もろくでなしでね。欲望に忠実な親でしたよ。俺はそんな親を見て育ったから、荒んでいたんだと憎みましたね。」

 

「そうなのか…。」

 

「戦うことで偉くなれる仕事がないかと考えていたら、連邦軍の募集ポスターを見て。これだと感じたので入隊しました。」

 

私はヤザンの過去を聞いて、少しだけ親近感を覚えた。彼が戦いを求めていることは理解はできなかったが彼の親を怨む気持ちは少しだけ理解できる。

 

そう話してると目標の20キロまでもうすぐだった。

 

「もうちょっとで20キロですな。少尉殿。」

 

「ところで、曹長。頼みがあるんだが?」

 

「なんですか?」

 

私からの頼みごとがあると言われた、ヤザン曹長はすこし戸惑う。

 

「その〝少尉殿〟はこしょばい感じがする。」

 

「では、どう呼べば?」

 

「〝ソウヤ〟でいい。年齢も近いし、私は尉官に任命されたばかりだ。それに同じチームメイトだろ。」

 

ヤザンは私からの提案を聞くとジャブローの鍾乳洞に響くらい大笑いする。

 

「ははははは!それは面白い!わかりました!では、俺のことも〝ヤザン〟でいいですよ。」

 

「よろしく。ヤザン。」

 

「では、親睦の印に。」

 

そう言うと、ヤザンは一気に走るスピードを上げた。

 

「先にゴールしたやつが後でゴールしたやつからビールを奢ってもらうのはどうでしょうか?」

 

「ヤザン!お前!」

 

ヤザンの提案を聞き、私も慌てて彼を追いかける。

 

「戦場は臨機応変ですよ!」

 

「待ってーーーー!」

 

私は必死に追いかけるが先にスパートを仕掛けたヤザンに先にゴールされ、私は少し遅れてからゴールしたのだ。

 

「くそ!一杯奢りか!」

 

私は息を整えながら、ヤザンに一杯奢らないといけないことに悔しがる。

 

「油断大敵でしたな。」

 

顔から流れる汗を拭いながら、ヤザンはニヤニヤと笑いながら私に勝ったことをいじる。

 

「次の勝負は私が勝つよ。」

 

私は負け惜しみを言うと、更衣室に備え付けられたシャワールームに向かう。

 

「次も俺が勝ちますよ。」

 

そう言うと、ヤザンも私の後を追うようにシャワールームに向かうのだった。

 

 

 

 

シャワーを浴び終わった私達はパイロットスーツに着替えると再び、シミュレーションルーム戻る。

部屋に入ると少佐は表紙が少しくたびれた本を読んでいた。

かなり読み込んだのだろう。本のページの紙が少し茶色く変色し、ページの端の所々に傷が見えるのだった。

少佐は私達が入ってきたことに気付き、読んでいた本を閉じられた。

 

「戻ってきたか、ではシミュレーター訓練を再開しよう。」

 

少佐は本を近くの机に置き、シミュレーター装置に入る。

私達も割り振られたシミュレーター装置に入り、訓練の準備をするのだった。

シミュレーターの操縦席は私達が乗っている操縦席と同じ造りではあるが、本物独特の金属の匂いと油臭さに土の匂いが混じったような匂いがせず。

まるでゲームセンターのゲーム機のようなプラスチックの軽い匂いがする。

私は自分のシミュレーターで使う機体のデータを確認、使用する機体はRGM-79『ジム』だ。

私はジムに使用する武器をビームライフルにセットし、各種機体データを確認。

シミュレーター戦闘が始まるのを待つのだった。

 

「ソウヤ、そっちの武器はなんだ?」

 

ヤザンの通信が入り、私はビームライフルを選んだこと伝える。

 

「そっちはビームライフル、俺はビームスプレーガンで行く。」

 

ヤザンがビームスプレーガンを選んだのは短時間で武器の持ち替えができるからだろう。

あれは威力もあり、コンパクトな武器なのでスムーズに脱着ができるからだ。

お互いに装備した武器を確かめ、どの戦術を試すかを話し合う。

 

「私が射撃でのバックアップで、ヤザンがどんどん攻めるスタイルはどうだ?」

 

「8回目の時の作戦か。俺が攻撃に集中できるのと一番粘れたから良いですな。」

 

「じゃあ、それにしよう。ファーストアタックはこっちがするよ。俺が囮になって、ヤザンは得意な距離まで近づいてくれ。」

 

「分かった。今度こそ、少佐を負かしましょう!」

 

 

 

 

 

 

シミュレーターの画面に数字が表示され、カウントが始まる。

操縦桿を握り、私は戦闘が始まるのを待つのだった。

カウントの数字が0を示し、シミュレーターの戦闘開始の合図のスタートの文字が現れるが、すぐに消えた。

合図が表示されていた画面には真っ黒な背景に浮かぶ大小様々な建築物の残骸が浮かんでいるように漂っている光景だ。

 

「デブリ宙域での戦闘か……。」

 

そう呟くと私はレーダーでヤザンを探そうとする。彼と合流し、隊長に各個撃破されないために。

幸いにもヤザンはかなり近い位置にいた。アポジモータで上下軸を調整し、ヤザンがいる場所に移動する。

 

「隊長は見つかったか?」

 

「いや、まだ発見できていない。」

 

「分かった。私が先行するから後に付いてきてくれ。」

 

「了解!」

 

私のジムが先頭になり、デブリ帯宙域の移動を開始した。

スラスターを噴射させたまま移動をすると、スラスターから発せられる光が宇宙空間では目立つのでデブリに機体が隠れた瞬間にスラスターとアポジモーターを吹かし、慣性運動での移動をする。

最初はこの移動方法をしていなかったために少佐にすぐに発見され、先制攻撃を許していた。

 

「こちら、オリオン2。敵はまだ発見できず。」

 

私はモニターの映像とレーダーをこまめに確認するが、少佐のジムの機影を発見することができない。

 

「おい、ソウヤ。」

 

「どうした?ヤザン?」

 

「先、あそこのデブリの辺りでスラスターの噴射光を見たような気がする。」

 

「なんだって?」

 

私はヤザンが噴射光を見たと言う、デブリを確認する。デブリはコロニー外壁の大型な物でモビルスーツが隠れられる大きさだった。

 

「間違いないか?」

 

私はヤザンに確実に隊長のジムのスラスターの光かどうかを確認する。

 

「一瞬だったが、間違いないと思う。」

 

「幸先がいいな。今まで先制攻撃されぱなっしだったからな。」

 

ビームライフルの銃口をコロニー外壁のデブリに向け、私はいつでもデブリを撃ち抜けるようにした。

 

「発射して、隊長のジムを確認したら。ヤザンは手筈通りに距離を詰めてくれ。」

 

「了解した。」

 

「行くぞ、3、2、1、今!」

 

私は合図とともに操縦桿のトリガーを引く。ビームライフルから閃光が放たれ、コロニー外壁のビームが命中した場所は、はんだごてを押し付けられたように溶けていく。

だが、ビームが外壁に命中した瞬間にデブリから離れる白い機影と青白い発光を確認したのだ。

 

「ビンゴ!隊長のジムだ!」

 

私は初めて、隊長に先制攻撃ができたことに歓喜した。

 

「喜ぶのはまだ早い!本番はこれからだ!」

 

ヤザンはそう言うと、隊長のジムに接近するために下から移動を始める。

私もヤザンの一言で喜んでる場合ではないと自覚し。

気持ちを切り替え、私は隊長のジムを見失わないように追尾するのだった。

隊長のジムはデブリの合間を縫うように宇宙を飛ぶ。

私はそれを追い駆けるが小さなデブリを機体にぶつけ、思うようにスピードが出せなかった。

 

「同じジムなのに!どうやったら、あんなスピードでデブリにぶつからずにできるんだ!?」

 

自分と隊長の操縦技術の差に愕然としつつも、なんとか食らいつこうとする。

 

「おし!なんとか、捉えた!」

 

標準が定まり、トリガーを押す。ライフルからビームが放たれた。

しかし、隊長のジムは少しだけ横に軌道を変える、ビームは僅かに外れてしまう。

 

「避けられた!」

 

隊長のジムはデブリが集まっている所に機体を潜り込ますように中に入る。

そのまま、私が中に入ると隊長の待ち伏せで返り討ちにされるリスクを考え。

デブリが集まっている所の外側で待機するのだった。

しかし、機体を停止させた瞬間、コックピットの直上からの警報アラームが鳴り響く。

 

「あの短時間で外に出たのかよ!?」

 

複雑に入り組んだデブリの塊の中を短時間で脱出し、自分の真上から攻撃してくるとは予想外だった。

直上からバズーカの弾が降り注ぐ。自分の機体の周辺のデブリに着弾し、爆風とともにデブリの破片がジムにぶつかるのだった。

致命的なダメージは負わなかったがモニターに表示された全身のダメージレベルカラーが注意色の黄色になり、ダメージ警報のアラームが鳴り響く。

 

「デブリを使った散弾攻撃!?やられた!!」

 

隊長を追い詰めたと思ったが、逆に誘き寄せられたと自分の失態に後悔する。

 

「チッ!ソウヤのやつ!隊長を引き付ける筈が逆に誘きだされてやがる!」

 

下の方から隊長を奇襲しようと隠れながら移動していたヤザンは隊長の策に引っ掛かったソウヤのジムを目撃し、ソウヤの元に急行した。

イーサンは損傷したソウヤのジムに狙いをつけようとするが直前で回避行動を行う。

すると、真下の方からヤザンのジムが急速にイーサンのジムに近づき、ビームスプレーガンで牽制射撃をするのだった。

 

「真下から接近して、ビームスプレーガンの牽制射か。いい攻撃だ。」

 

ビームスプレーガンの攻撃を回避したイーサンはヤザンのジムとの距離を離す。

 

「おい、ソウヤ!まだ動けるか!?」

 

「なんとか、戦闘行動は可能だ!」

 

「おし!俺はこのまま、距離を詰める!お前は援護射撃だ!!」

 

「分かった!ヤザン、頼んだ!」

 

ヤザンはスラスターを噴射させると隊長を追い駆けるのだった、私もそれに機体のチェックを素早く済ませるとヤザンに追従する。

隊長と距離を詰めたヤザンはビームスプレーガンを連射するが隊長のジムは装備したシールドと周辺のデブリを巧みに使い、ビームスプレーガンのビーム射撃を全て防がれた。

私もビームライフルを数発撃つがデブリが密集しているエリアなので、発射したビームがデブリに当たってしまう。

 

「クソ!障害物が邪魔で援護射撃ができない!!」

 

ヤザンへの援護射撃ができてないことに私は焦り、隊長に有効な射線を確保するためにデブリ密集地帯を迂回して回り込もうとするのだった。

 

「ソウヤのやつ、援護射撃が少ないぞ!」

 

ヤザンはなんとか、隊長に喰らい付いてる。

しかし、オルグレン隊長の動きはまだ余裕がありそうな感じが残っており、相手を追い詰められていないことにヤザンは苛立ちを覚えるのだった。

オデッサの時なら、これ位の攻めでジオンのモビルスーツは倒せていたのにと、ヤザンはそう思った。

隊長のバズーカの攻撃はバズーカの弾の発射光と噴煙でタイミングが分かるので、なんとか回避はできる。

しかし、相手が自分のビームスプレーガンの射線と発射タイミングを読み切られているので、盾や障害物で防がれてしまう。

 

「くそ!!思い通りに攻めきれねー!!」

 

ヤザンは苛立つ感情に任せ、ビームスプレーガンを乱射。

しかし、感情のままに放たれる攻撃は狙いが定まっておらず易々と回避されてしまい、反撃のバズーカ攻撃をされるのだった。

 

「ちっ!弾切れか!!」

 

ビームスプレーガンにチャージされていたエネルギーを使い果たしてしまい、弾切れを起こす。

ヤザンはスプレーガンを放棄し、背中のバックパックに装備されているビームサーベルに武装を切り替えた。

すると、イーサンのジムも装備していたバズーカを投げ捨て、同じようにビームサーベルを抜き放つ。

 

「隊長も弾切れかよ。だったら、格闘戦で仕留めさせてもらう!!」

 

ヤザンはそう言うと、スラスターのスロットルを全開にし加速、一気に隊長との距離を詰めたヤザンは勝利を確信する。

 

「もらった!」

 

ビームサーベルを横一閃に振りかざし、隊長を両断したとヤザンは思った。

しかし、モニターには両断されたジムの姿はなく、映し出されているのはデブリが漂流している光景であった。

 

「隊長はどこに!?うわぁ!?」

 

隊長の姿を見失ったヤザンは慌てて探そうとした瞬間に背後から衝撃が襲う。

ヤザンがビームサーベルで攻撃した瞬間にAMBAC(移動による姿勢制御)で前転するように前に動き、ヤザンのビームサーベルを回避するとAMBACで機体を90度で急停止させ、ジムの頭部バルカンでヤザンのバックパックを破壊したのだ。

 

「メインスラスターが!!」

 

ヤザンのジムはバックパックのメインスラスターを破壊されたことで著しく機動力が低下し、思うように旋回が出来ない。

旋回に手間取っている隙にイーサンは距離を詰めるとヤザンのジムの背中にビームサーベルを突き刺す。

ヤザンのモニターは暗転し、画面に『撃破』の文字が表記されるのだった。

 

「くそ!得意な距離まで追い詰めたのに!!」

 

ヤザンは撃破されたことに怒声をあげるのだった。

 

「ヤザンが撃破された!?」

 

私はモニターに映し出された爆発の光を見て、ヤザンの通信状態を確認。

通信状態は〝シグナルロスト〟となっていた。

 

「くそ!俺が手間取ったせいだ!!」

 

自分が移動に手間取り、ヤザンの援護に間に合わなかったことに責任を感じるのだった。

 

「なんとか、隊長に一矢報いないと…。」

 

どうやって、自分一人で隊長を撃破するかと思考を巡らせていると急速に接近する物体をレーダーが感知し、警告アラームが報せる。

 

「上角30度、1時の方向に急速接近する物体!?なんだ!?」

 

急いで、その方向を確認すると私は目を丸くした、コロニーの外壁がこっちに突っ込んでくるのだ。

 

「うお!?」

 

私は慌てて、急速に接近してきたデブリを避けるために横に回避をした。

しかし、コロニーの外壁の後ろに隠れていた隊長のジムが回避行動をした後の私のジムのコックピットにビームサーベルを突き刺すのだった。

 

「しまった!!」

 

私のモニターが黒く暗転し、『撃破』の文字が表示される。

 

「これで16連敗か……。」

 

 

 

 

 

 

シミュレーターから出た、私とヤザンはオルグレン隊長から先ほどのシミュレーターの反省会をすることになった。

 

「さて、今回の戦闘は今までの中では良い方だった。先制攻撃もできていたし、お互いの役割分担もできていた。だが、まだ甘いところがあるな。二人は反省点を言ってみてくれ。」

 

オルグレン少佐は私達に反省点を述べるようにと言われる。

 

「私はヤザン曹長の援護に駆け付けるのに手間取りました。もっと早く駆け付けていれば、ヤザン曹長の負担を減らせたと思います。」

 

「そうだな。デブリ帯は絶えず動いているから移動ルートの変化が起きる。ソウヤはその見極めが遅かったのが反省点だな。」

 

「はい、隊長。」

 

「あと、最後のデブリの対応も悪かった。思案しているのは悪いことではないが急に敵が襲ってきたら、対応が遅れてしまう。そして、撃破されてしまうからな。」

 

「はい!肝に銘じます!」

 

オルグレン少佐は私の反省点を聞くとヤザンの方に顔を向けた。

 

「ヤザン曹長は自分の反省点はなんだと思う?」

 

「自分の反省点はAMBACを熟知してないことです。あの動きを予測していれば、撃破できていたと思います。」

 

「確かに、君の戦闘は地上戦闘のクセがまだ抜けてないと思う。動きが二次元的だ。もっと上下の動きも意識すると良い。」

 

「ありがとうございます。」

 

「あと、もうひとつ言うなら、一人で敵を倒そうするんじゃなくて、仲間と連携して戦うことも意識した方が良いかな。持久戦に持ち込んで、ソウヤの到着を待ってから数の有利で攻めても良かった。」

 

「はい、分かりました。」

 

ヤザンはやや不服そうにオルグレン少佐に返答する。

 

「お前たちが動かしているのは機動兵器だ。機動せずに止まっていてはカカシと変わらない!、今日のシミュレータでの訓練はここまでとする。明日の訓練も今日と同じ時間から開始!解散!」

 

オルグレン少佐はそう言われると教材と本を脇に抱えて、シミュレータールームを後にするのだった。

 

「すまない、私が遅れたばかりに援護ができなくて。」

「いいんですよ。前回は俺が前に出過ぎて、撃破されましたからチャラで。」

 

「そうか、ありがとう。」

 

「ただ、今度は早く来てくださいよ。」

 

「分かった。さて、今日の戦闘記録を見返そうか。」

 

「また、俺達が無様にやられる姿を見直しますか。」

 

私達はシミュレータールームの記録室に入り、この日の戦闘記録を見直す。

機動データ、機体の各種パラメーター、弾道データなどを確認し、改善点を探すのだ。

 

「やっぱり、オルグレン少佐の機体の動かし方は綺麗だな。三次元的に動けているし、AMBACの制動のメリハリがある。」

 

少佐の機動データを見て、自分の操縦技術の未熟さに痛感するのだった。

 

「本当に少佐のAMBACは凄いよ。今回は斬ったと思ったが、あんな回避方法があるんだな。」

 

「まったくだ。あんな度胸と技術、俺にはないよ。」

 

私とヤザンは今日の戦闘の議論を話しているとシミュレータールームのドアが開く音がする。

ヤザンと一緒にドアの方に顔を向けるとシミュレータールームに連邦軍の茶色のジャケットを着た男性が入室していた。

青みが掛かった黒い髪で短めでややウェーブのある髪型の男性だ。

男は私達に気付くと、こちらに歩み寄って来るのだった。

 

「お、先までシミュレーターで訓練していたのか?」

 

男の襟の階級章は中尉であり、私とヤザンは慌てて敬礼をする。

 

「はい、先ほどまで訓練をしていました。もう終わりましたので中尉がお使いください。」

 

私は中尉がシミュレーターを使うと思い、譲ろうとした。

 

「二人はこの後、用事とかはないか?シミュレーターの相手をして欲しいんだ。」

 

中尉の思いの寄らない提案に私とヤザンは顔を見合わせる。

 

「この後、予定もないからシミュレーターのお相手をした方がいいかな?」

 

「俺も予定がないし、隊長とばっかり戦っていたから中尉殿と戦ってみたいな。」

 

「じゃあ、対戦の申し入れを受けようか。」

 

「おう、そうしよう。」

 

「中尉、シミュレーターの相手の件、了解しました。よろしくお願いいたします。」

 

 

私は対戦相手になることを中尉に言う。

 

「おお!助かるよ!先、実機のデータを受け取ったばっかりで試してみたくて、ウズウズしていたんだ。」

 

中尉は新しくもらった玩具を遊べることで喜ぶ、子供のようにはしゃぐのだった。

 

「じゃあ、シミュレーターを始めようぜ!早く動かしたいんだ!」

 

中尉はシミュレーター装置に駆け寄り、乗り込もうとする。

 

「中尉!お名前を聞いてもよろしいですか?」

 

ヤザンが乗り込もうとする中尉を呼び止め、名前を尋ねた。

 

「フォルド!〝フォルド・ロムフェロー〟だ!」

 

中尉は名前を言うと、シミュレーター装置の中に入るのだった。

私とヤザンもそれぞれのシミュレーター装置に搭乗し、戦闘シミュレーターを起動させた。

 

 

 

 

 

オルグレン少佐は休憩室のベンチに腰掛け、ノートパソコンで先ほどの二人のデータを見ていた。

 

「この短期間でここまで成長するとは……。」

 

缶コーヒーを飲みながら、イーサンは呟くのだった。

 

「アイツ、どこに行きやがった…。」

 

ふと、聞き覚えのある声が聞こえたのでイーサンは缶コーヒを飲み干すと休憩室から出る。

すると、廊下に茶色の連邦軍ジャケット着たブロンド髪の30代くらいの男性が辺りを探し回るように歩いていた。

 

「ルース?〝ルース・カッセル〟か!?」

 

歩いていた男はイーサンの声に反応し、イーサンの方を振り向く。

男はイーサンだと分かると慌てて駆け寄ってくる。

 

「オルグレン少佐?オルグレン少佐ではありませんか!!」

 

「やっぱり!あの突撃バカのルースか!久しぶりだな。」

 

「あの頃のことは本当に申し訳ありませんでした。」

 

「お、謝れるようになったてことは少しは落ち着いたか?」

 

二人は語り合うと軽くハグをするのだった。

 

「ルウムとかで沢山、セイバーフィッシュ乗りが死んだからな。お前が無事に生きていて、本当に良かったよ。」

 

「隊長もお元気そうで、隊長の活躍はオーガスタにも伝わってますよ。」

 

「そうかそうか。ところでルースは何を探していたんだ?」

 

イーサンはルースが何かを探していることを尋ねた。

 

「はい、実は俺の相棒を探しているんです。新しく受領したモビルースーツの実機データをもらったので、あいつはそれを試したくて、こっちに来たはずだと思ったのですが。」

 

「全部のシミュレータールームを探したのか?」

 

「いえ、一つだけ使用中だったので、そこは探してません。」

 

イーサンはなにかを直感する。

 

「ルース、一緒に使用中のシミュレータールームに行くぞ。あそこは俺の部隊が使っていた。」

 

「少佐の部隊が使っている、シミュレータールームですか?」

 

「ああ、君の探し物はそこにあると思う。」

 

イーサンとルースはソウヤ達が居るシミュレータールームに向かうのだった。

 

その頃、シミュレータールームではソウヤとヤザンは目の前の敵に困惑していた。

 

「ヤザン、あれは反則だと思わないか?」

 

「同感だ。あんな機体を持ち出すんなら、断っていた。」

 

「だよな。まさか、データだとしても〝あれ〟にお目にかかるとは思わなかった。」

 

二人の目の前には一機のモビルスーツが立ちはだかっている。

プロポーションはジムに似ているがジムよりも精巧に作られたボディー、そして、特徴的な顔。

人の目のように配置されたツインアイ、額にあるV型アンテナの装備。

 

「〝ガンダム〟が相手かよ。」

 

私とヤザンは〝ガンダム〟を相手にしなければならないことに愚痴を漏らすのだった。




遂にヤザン以外の原作キャラクターが登場しました!
[機動戦士ガンダム外伝 宇宙、閃光の果てに…]から、フォルドとルースが参戦!
ゲームの「機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙」に収録された作品のキャラクターです。
このゲームは本当に宇宙戦闘の作り込みが凄かったです。
ただ、本当に宇宙戦闘がよく出来ていたので、宇宙空間で迷子になりまくりました(笑)
難しかったけど、楽しいゲームでした。

登場人物紹介

フォルド・ロムフェロー
原作は [機動戦士ガンダム外伝 宇宙、閃光の果てに…]
ガンダム5号機のパイロット。
[機動戦士ガンダム外伝 宇宙、閃光の果てに…]の主人公。
声は黒衣の復讐者、年上大好きの岩タイプ、二重の極みの方です。



ルース・カッセル
原作は [機動戦士ガンダム外伝 宇宙、閃光の果てに…]
ガンダム4号機のパイロット
バトオペの方で、4号機にはお世話になっております。
脚部がーーーー!

【機動戦士ガンダム オリオンの軌跡】に登場するオリジナル機体で好きな機体はなんですか?

  • 陸戦型ジム改
  • バイアリーターク
  • ペイルライダー・ヴァンガード
  • ペイルライダー・マスケッティア
  • ヴァルキリー
  • グフ・ノクターン
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