ハノイから南西約900キロ、デリーから東南約1400キロの中間点の山岳ジャングル。
標高2000メートルを超える険しい山々が連なるこの地は、熱帯雨林の濃い緑に覆われていた。
空は抜けるように晴れ渡り、青い空が木々の隙間から差し込み、陽光が葉の表面をキラキラと反射させる。
木漏れ日が斑模様に地面を照らし、シダや竹林の葉が風にそよぎ、乾いた土の匂いと樹液の香りが混じり合う。
岩肌がむき出しになった急斜面は、陽光に晒されて白く輝く。
足を踏み外せば数百メートルの谷底へ転落する危険な斜面だが、遠くの山並みがクリアに見渡せる。
旧英国植民地時代に掘られた錫鉱山の坑道が、いたるところに口を開け、崩落した入り口はジャングルの蔓に隠されて見つけにくい。
連邦軍の偵察機が飛んでも、濃霧と山岳地形がレーダー反射を乱し、ミノフスキー粒子を薄く散布すれば、ほぼ完全に姿を隠せる。
そんな山岳ジャングルの奥、旧鉱山の坑道群を再利用したジオン残党の補給基地は静かに息を潜めていた。
地上には何もない。
坑道入口は崩落したように偽装され、蔓と苔で覆われている。
陽光が岩肌を照らし、入口の影がくっきりとして、逆に隠れにくく見える——だが、内部は暗く、連邦軍が近づかなければ決して気づかれない。
そのジオンの補給基地周囲を、連邦軍の部隊が取り囲んでいた。
中央に鎮座するのは、陸上戦艦ビッグトレー級を小型化した外見の小型陸戦艇——ミニ・トレー級。
その周囲を、100mmマシンガンと連邦標準シールドを装備したジム12機が左右に展開し、ミニ・トレーを警護していた。
白い機体が岩肌と乾燥した土を踏みしめ、陽光の下で影を長く伸ばす。
彼らは艦のすぐ近くで待機し、坑道入口を遠巻きに監視——まるで「自分たちは安全圏から見守るだけ」という姿勢を態度で示しているかのようだ。
そして、最も坑道入口に近い位置に第4小隊が配置されていた。
ミニ・トレーの拡声器から、連邦軍指揮官の戦勝国のおごりに満ちた傲慢な声が響く。
「こちら地球連邦軍アジア方面軍の『ハドソン』少将だ。ジオン残党諸君、貴様らの補給基地は完全に包囲されている。これ以上無駄な抵抗を続ければ、貴様らの命はない。さあ、武器を捨てて出てこい。勝者である我々が、慈悲深く受け入れてやる。……抵抗するなら、この山ごと焼き払ってやるまでだ。」
声は山肌に反響し、乾いた風に運ばれて消えた。
坑道の奥から、かすかな金属音が返ってくるだけだった。
スライフレイルのコックピット内で、ソウヤは操縦桿を握ったまま、静かに息を吐いた。
蒼色の瞳がHUDに映る少将の姿を睨む。
投降の文句は、いつものように人を見下した傲慢な響き。
ソウヤの眉がわずかに寄る。
嫌悪感が、胸の奥に静かに広がった。
「……勝者のおごりだな。」
隣の陸戦型ガンダム——サンダースの機体では、巨体がシートに沈み、腕を組んで待機している。
コックピットの照明が、サンダースの顔を青白く照らす。
指揮官の言葉を聞きながら、軽蔑が瞳に浮かぶ。
無言のまま、操縦桿を握る手に力がこもった。
後方のホバートラック内では、ノアが運転席にだらしなく寄りかかり、退屈そうに舌打ちした。
赤髪を乱暴にかき上げ、窓の外の山肌を睨む。
「……チッ、いつまで喋ってんだよ、さっさと終わらせて帰りてえぜ。」
助手席のエミリアはシートに体を沈め、両手を膝の上で強く握りしめていた。
彼女はセンサーデータを凝視しながら、小さく息を吐いた。
「……敵との距離が近すぎる……やっぱり、デリーの部隊は私達を囮に……」
そして、ホバートラックの隣に配置されたジム・キャノン——ジョシュアの機体。
コックピット内で、彼は左腕の火傷痕を無意識に指でなぞっていた。
掌がわずかに震え、茶色の瞳がモニターの景色をじっと見つめる。
戦車では何度も実戦をくぐり抜けてきたが、モビルスーツでの初出撃だ。
陽光の下に潜む敵の気配を感じながら、落ち着こうと深呼吸を繰り返す。
火傷痕の赤みが、照明に照らされて薄く浮かぶ。
「……俺は生きて……家族に仕送りを……」
ジョシュアの呟きが、コックピットに小さく響いた。
スライフレイルの緑の装甲が木々の葉と陽光の斑模様に溶け込み、ほとんど気配を消す。
ソウヤは静かに無線を入れる。
「……全機、待機。予定通り、ハドソン少将の指示があるまで待機。」
ソウヤは待機指示を出すと、コックピット内で数日前の出来事を思い出す。
数日前のことだった。
真っ暗な部屋。
唯一の光源は壁に埋め込まれた大型スクリーンの青白い光だけ。
そんな真っ暗な部屋にコジマ中佐はスクリーンを見ながら、姿勢を正して立っていた。
スクリーンに映るのは、デリー基地の上層部——軍縮派のハドソン少将の顔が映っている。
「コジマ中佐、君の基地のMS小隊は最近、かなりの成果を出しているようだね。」
大佐の声は、スピーカー越しに平板に響く。
まるで報告書の一行を読み上げているかのように。
「軍縮の観点から、無駄な部隊がないか調査する必要がある。ジオン残党の小規模補給基地を発見したので、それを叩く作戦に、君の基地から応援の部隊を出して欲しい。成果が出なければ、君の基地の必要性を再検討せざるを得ない。……残念だがね。」
一瞬の間。
スクリーンの光が中佐の眼鏡の縁を白く反射させる。
コジマ中佐は表情一つ変えずに静かに答えた。
「……了解しました。」
声は低く、抑揚がない。
ハドソン少将の映像が途切れ、スクリーンが暗転する。
中佐はゆっくりと椅子に背を預け、眼鏡を外して額を擦った。
その仕草は、いつもの冷静な指揮官とは違う——疲れと、静かな怒りが滲んでいる。
「……前線を知らない者が、よくもぬけぬけと。」
独り言のように、しかしはっきりと呟いた。
声は小さく、しかし重い。
「軍縮しても、自分たちの椅子は安全だから、あんな事が言えるんだろうな。」
中佐は眼鏡をかけ直し、机の上の通信機に視線を落とした。
そして、ゆっくりと立ち上がる。
「タカバ中尉、入ってくれ。」
扉の外で待機していたソウヤが、静かに部屋に入った。
背筋を伸ばして、コジマ中佐に敬礼する。
「……お呼びでしょうか、中佐。」
中佐はソウヤを正面に見据え、短く尋ねた。
「先ほどの話、聞いていたな?」
ソウヤは敬礼をやめ、目を一瞬伏せた。
そして、静かに、しかしはっきりと答える。
「……はい。全部、聞いていました。」
その声には、呆れと、かすかな苛立ちが混じっていた。
中佐は小さく鼻を鳴らし、ソウヤに尋ねた。
「どう思う?」
ソウヤは視線を上げ、中佐の目を見た。
蒼色の瞳に、静かな怒りが宿る。
「……勝者のおごり、ですね。」
中佐は小さく頷き、苦い笑みを浮かべた。
「ああ、そうだ。成果を出せなければ基地ごと再評価、か。随分と簡単に、人の命と生活を数字で切り捨てるものだ。」
ソウヤは無言で拳を握った。
制服の袖が、わずかに震える。
「……俺たちは、囮にされるんですか?」
中佐はゆっくりと首を振った。
「いや、そんなことはさせない。だが……上からの命令は絶対だ。作戦に参加するしかない。ただし——」
コジマ中佐はソウヤを正面から見据え、はっきりと告げた。
「……好きに暴れろ。」
ソウヤは一瞬、言葉を失った。
蒼色の瞳がわずかに揺れ、眉が寄る。
耳を疑うような中佐の言葉に、思わず息を詰めた。
「……は?」
中佐はニヤリと笑った。
いつもの冷静で厳格な指揮官の顔ではなく、どこか少年のような、悪戯っぽい笑みだった。
「別に、第4小隊だけで鎮圧しても構わないだろう。ハドソン少将は『応援の部隊を出して欲しい』と言っただけだ。支援の要請はしたが、具体的な作戦内容——陽動だの、包囲のタイミングだの——は一切指示していない。つまり、君の判断に委ねられている。だから……第4小隊だけで片付けてしまっても、誰も文句は言えんよ。」
ソウヤは呆気に取られたまま、中佐の顔を見つめた。
中佐はさらに言葉を続ける。
声は低いが、確信に満ちていた。
「そうなれば、この基地は高く評価されるはずだ。『少ない戦力で残党の補給基地を鎮圧した』——そんな報告が上がればな。数字と結果しか見ていない上層部に一泡吹かせることが出来るはずだ。ならば、その数字を、最大限に盛ってやろう。」
ソウヤは我慢できずに、ぷっと吹き出した。
小さく、しかしはっきりと笑ってしまった。
制服の肩がわずかに震え、口元を手で覆う。
「……それは、いくらなんでも買い被りすぎですよ、中佐。」
中佐は首を横に振った。
笑みが消え、真剣な眼差しに戻る。
「いや、買い被りじゃない。これまで第4小隊は、モビルスーツが2機しかなかった頃から、困難な任務を次々と達成してきた。麻薬村、ザクに襲われた村、グフの件……どれも、普通なら全滅してもおかしくない状況だった。なのに、お前たちは生き残った。いや、生き残るどころか、成果を上げ続けた。」
中佐は一呼吸置き、ソウヤに近づき、肩を軽く叩いた。
「そして、ジム・キャノンが配備され、本来の3機編成になった。しかも、その3機に乗るのは、訳ありだが、腕の立つパイロットばかりだ。お前はア・バオア・クー帰り、サンダースはアプサラス基地攻略から生き残り、ジョシュアは腕利きの戦車乗りだった。そして、エミリアとノアが後方支援で君達を支える。だから……私は信じている。今回も、必ずやってくれると。」
ソウヤは中佐の言葉を聞き、ゆっくりと拳を握った。
胸の奥で、何かが熱くなる。
それは、信頼の重さだった。
「……好きに暴れても、いいんですね?」
中佐はニヤリと再び笑い、眼鏡を指で押し上げた。
「ああ。好きに暴れろ。始末書も、俺が一緒に書いてやる。お前たちが成果を上げれば、俺の評価も上がるからな。」
ソウヤはもう一度、くすっと笑った。
今度は、照れ隠しではなく、心からの笑みだった。
彼は姿勢を正し、右手を額に当てて敬礼した。
「……期待に応えられるよう、善処します。」
中佐は軽く手を上げ、敬礼を返した。
「頼んだぞ、タカバ中尉。生きて帰ってこい。」
ソウヤは深く頷き、背を向けて部屋を出た。
スライフレイルのコックピット内でソウヤは思わず、くすっと小さく笑ってしまった。
ホバートラックから、エミリアの不思議そうな声が無線越しに届いた。
「隊長? 今……笑いました?」
ソウヤはハッとして、慌てて姿勢を正した。
だが、口元にはまだ笑みが残っている。
「ああ、ちょっとね。色々と……期待されてるんだな、と思って。」
エミリアは不思議そうに首をかしげる。
「期待、ですか?」
ソウヤは軽く息を吐き、モニターに映る山肌を眺めながら、ぼかして答えた。
「中佐が、俺たちを信じてくれてるってことさ。……まあ、期待が重い分、応えなきゃいけないんだけどね。」
エミリアは少し間を置いて、静かに頷くような気配を返した。
「……そうですよね。隊長なら……きっと、応えられます。」
「さて……エミリア准尉。アンダーグラウンド・ソナーの索敵結果はどうだ?」
助手席のエミリアは、すぐにコンソールに視線を戻した。
ヘッドセットのマイクに息を寄せ、落ち着いた声で報告する。
「……はい。音紋解析完了しました。ザクⅡが合計9機がジャングルに潜伏しています。おおよその位置データを、今転送します。」
コンソールの操作音が小さく響き、ソウヤのHUDに赤いマーカーが9つ点灯、ソウヤはマーカーを一つずつ確認する。
「……9機か。」
隣の陸戦型ガンダム——サンダースの機体からも、無線越しに低い声が返ってきた。
「確認した、密集していないな……。十字射線を意識した布陣だな。」
ジム・キャノンのジョシュアも、すぐにデータを確認したようだった。
彼の声は、少し硬く、しかし落ち着いていた。
「……隊長。デリーの部隊は、俺たちを囮か露払いに使う魂胆ですよね?援護は期待できない。しかも、俺たちは攻撃側、相手は防衛側。3対9……圧倒的に不利です。
これ、無謀じゃないですか?」
ジョシュアの言葉は、率直だった。
戦車乗りとしての経験が、冷静に状況を分析している。
ソウヤは頭を軽く掻き、苦笑を浮かべた。
「……確かに、一見無謀かもしれないな。」
ソウヤは操縦桿を握り直し、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「でも……俺たちは、君が配属される前から、無謀とも思える任務を何度もこなしてきた。モビルスーツが2機しかなかった頃から、だ。それでも、生き残って、成果を上げてきた。そして今、君が加わった。君の砲撃能力とジム・キャノンの火力が加わったことで、第4小隊は今まで以上に力が発揮できるはずだ。」
ジョシュアは一瞬、言葉に詰まった。
コックピット内で、左腕の火傷痕を無意識に指でなぞる。
「……それは……精神論じゃ……」
言いかけた言葉を、ノアが遮った。
ホバートラックの運転席から苛立たしげだが、どこか認めたような声が響く。
「……確かに、隊長の言うことは無謀かもしれないぜ。
でもよ……この隊長は、実力で、無謀で困難な状況を、俺の目の前で何度も乗り越えてきた。認めたくねえけど……この隊長の強さは、本物だ。」
ノアの声には、いつもの反抗的な響きが薄れ、代わりに素直な苛立ちと信頼が混じっていた。
エミリアが、慌ててフォローするように言葉を継いだ。
「……隊長は、本当に凄いんです。私が提案した、困難な作戦だって……信じてくれて、成功させてくれました。だから……今回も、きっと……」
彼女の声は少し震えていたが、確信に満ちていた。
サンダースの低い声が、最後に静かに響いた。
「……この人の言う言葉は信用できる。だから、俺は着いていくと決めたんだ。」
コックピット内に、短い沈黙が落ちた。
ソウヤは仲間たちの声を聞き、ゆっくりと息を吐いた。
蒼色の瞳が、HUDに映る9つの赤いマーカーをじっと見つめる。
「……ありがとう。みんなの言葉……ちゃんと受け止めた。俺たちは、第4小隊だ。生きて帰る。それだけだ。」
スライフレイルの緑の装甲が、陽光の下で静かに光った。
すると、ハドソン少将の声が無線越しに冷たく割り込んでくる。
「第4小隊、何を喋っている。あと5分後にミノフスキー粒子を散布する。散布したら、即座に前進を開始しろ。
以上だ。」
短く、事務的で、返答を待つ気配すらない。
ソウヤはヘルメットの通信マイクを握ったまま、静かに応答した。
「…了解しました。」
声は抑揚なく、ただ形式的に返した。
エミリアの声が、震えを抑えながら無線に入る。
「……予想通りです。ミノフスキー粒子を散布して、外部との連絡を遮断。通信を封鎖して、救援を呼べない状況にし……私達を使い捨ての囮にして、手柄をデリー基地の部隊に持っていこうとしてる……」
彼女の言葉は、淡々と事実を述べているようでいて、どこか痛みを帯びていた。
ノアが運転席で舌打ちを大きくした。
「チッ……マジでクソみてえな野郎だな。俺たちを捨て駒扱いかよ。ふざけんなっての。」
ジョシュアの声が、わずかに上擦って入る。
「……本当に……そんなこと、するんですか?俺たち、味方のはずなのに……」
掌が操縦桿を強く握り、関節が白くなる。
左腕の火傷痕がモニターの光に照らされて赤く浮かぶ。
ソウヤはゆっくりと息を吸い、吐いた。
蒼色の瞳が、モニターに映る9つの赤いマーカーをじっと見つめる。
「……よし。想定通りに動くぞ。」
声は静かだが、確かだった。
「スライフレイルが吶喊、敵の射撃を誘い出す。
サンダース軍曹の陸戦型ガンダムは俺に追随するように追従して、カバーを頼む。敵の射撃位置が分かったら、ジョシュアのジム・キャノンが砲撃開始。砲撃をしながら、ホバートラックの護衛をするように。ホバートラックはジム・キャノンの砲撃支援のために、観測と着弾修正を頼む。危なくなったら、ミニ・トレーの位置まで後退してくれ。後退判断はノア伍長に任せる。作戦が始まったら、以降はエミリア准尉が指揮を執ってくれ。」
ソウヤの瞳がゆっくりと、しかし確実に鋭さを増した。
胸の奥で静かに、だが激しく火が点いた。
もう迷いはない。
「俺は……久しぶりに、『目の前のことだけに集中』する。」
コックピット内に、短い沈黙が落ちた。
サンダースの低い声が、最初に返ってきた。
「……了解しました、カバーは任せてください。」
エミリアの声が、少し震えながらもはっきり響く。
「……わかりました。私が指揮しますね。隊長……絶対に、無事で……」
ノアが、苛立たしげだがどこか力強く続ける。
「……チッ、わかったよ。危なくなったら、俺がぶっ飛ばして逃げるからな。死ぬんじゃねえぞ、隊長。」
ジョシュアは一瞬、息を詰めた。
だが、すぐに操縦桿を握り直し、静かに答える。
「……了解しました。俺も……タカバ中尉を信じます。」
「……ありがとう。みんな。」
ソウヤは小さく頷き、口元に薄い笑みが浮かぶ。
ハドソン少将の号令が、通信機から冷たく響いた。
「ミノフスキー粒子散布! 前進開始!」
その瞬間、ソウヤはペダルを全開に踏み込んだ。
スライフレイルのバックパックに備わった4基のスラスターが、一斉に青白い噴射炎を噴き上げた。
低く唸る推進音が山肌に反響し、機体が地面を蹴るように前へ跳んだ。
緑の装甲が陽光を切り裂き、猛スピードで突っ込んでいく。
木々の葉が熱風に煽られ、乾いた土が渦を巻いて舞い上がる。
ミニ・トレーの艦橋で、ハドソン少将の目が見開かれた。
「……何?」
ゆっくりと前進するはずの機体が、スラスター全開で敵陣に突っ込んでいく。
予想外の速度に、少将の声がわずかに上擦る。
「待て……何をしているんだ、あの機体は!?」
護衛のジム12機のパイロットたちも、狼狽の声を上げた。
「おい!……全速力で突っ込んだぞ!?」
「気でも狂ったのか!? 弾幕の中に飛び込む気か!?」
山岳ジャングルの影に潜んでいたザク9機が、一斉に反応した。
モノアイが赤く光り、ザク・マシンガンの銃口がスライフレイルに向けられる。
120mm弾が連続で火を噴き、弾幕が霧のように広がった。
岩肌を削り、木々が爆ぜ、土煙が陽光を遮る。
スライフレイルのコックピット内で、ソウヤはモニターに映る無数の弾道を静かに見つめた。
(……ア・バオア・クーの嵐のような弾幕に比べたら、こんなの……小降りの雨だな。)
唇の端が、わずかに上がる。
ソウヤは操縦桿を微調整し、バックパックの4基スラスターを小刻みに噴射。
機体が不規則にステップを踏み、左右に滑るように動きながら前進する。
強力な脚部の駆動系が地面を抉り、推進剤の青白い炎が尾を引く。
一年戦争で鍛え抜かれた操縦技術が敵の弾幕を散らし、火線を乱す。
弾丸が装甲をかすめ、火花が散るが、致命傷には至らない。
スライフレイルは、どんどん距離を詰めていく。
遅れて追従するように、サンダースの陸戦型ガンダムが動き出した。
白い機体がスライフレイルの背後に付き、ショートシールドを構えながら援護射撃を加える。
100mmマシンガンの連射音が、山に反響した。
ミニ・トレーの艦橋でハドソン少将は唖然とした。
「……何だ、あの動きは……」
ジムのパイロットたちも、息を飲む。
「弾幕を……軽々とかわしてる……!?」
「緑の機体……あれ、ただのパイロットじゃないぞ……!」
ジョシュアもまた、その光景に一瞬呆気に取られた。
だが、すぐに我に返る。
茶色の瞳がモニターを睨み、右肩の240mmロケット砲の照準を合わせ始めた。
ザクの銃口から噴き出す火花を探し、位置を特定する。
「……見えた。」
ジョシュアの指がトリガーを引く。
肩部キャノン砲が低く唸り、240mm弾が轟音とともに発射された。
砲身から噴き出す火と煙が、陽光に照らされて白く輝く。
弾頭が弧を描き、ザクの潜む斜面に着弾——爆発が山肌を抉り、土煙が立ち上った。ホバートラック内では、エミリアがコンソールを叩きながら着弾修正を入れる。
「着弾確認! 右に3度、仰角プラス2! 次弾、修正値送ります!」
スライフレイルは、さらに加速した。
緑の装甲が木々の間を滑るように抜け、敵陣の懐へと迫る。
ソウヤの視界に、ジャングルの影が動いた。
木々の隙間、岩陰に潜むザクⅡのモノアイが赤く光る。
緑の装甲に溶け込んだスライフレイルのセンサーが、敵の熱源を即座に捉えた。
「……見つけた!」
ソウヤは静かに呟き、操縦桿を微調整した。
バックパックの4基スラスターが短く噴射し、機体が低く滑るように前進する。
右手に握ったビームライフルを、素早く構える。
照準がザクの頭部にぴたりと重なる。
トリガーを、3回引いた。
赤い三筋の閃光が銃口から迸る。
ビームが一直線にザクへ飛んだ。
1発目が頭部メインカメラを貫通し、2発目が右手に握られたマシンガンを溶解、3発目が左肩のスパイクアーマーを撃ち抜く。
ザクの巨体が力なく膝を折り
機体が斜面に倒れ込む。
金属の軋む音と土煙が上がる。
残り8機が、一斉に反応した。
モノアイがスライフレイルを最大の脅威と認識し、マシンガンの銃口が密林の狩人に向けられる。
120mm弾が連続で火を噴き、弾幕が再び広がり始めた。だが、その瞬間——轟音が山を震わせた。
ジム・キャノンの右肩から、240mm砲弾が咆哮を上げて飛んだ。
ジョシュアの照準は正確だった。
砲弾が弧を描き、斜面の岩陰に潜むザクの脚部に直撃。
爆発が土煙を巻き上げ、ザクの脚がもげ、機体が崩れ落ちる。
着弾の衝撃で周囲の木々が折れ、土砂が流れ落ちた。
「着弾確認! 次弾、装填!」
ジョシュアの声が無線越しに短く響く。
同時に、サンダースの陸戦型ガンダムが動いた。
白い機体がスライフレイルの背後に付き、100mmマシンガンを連射。
援護射撃がザクの動きを封じ、敵の弾幕を散らす。
ソウヤはもう1機のザクを発見した。
岩の影からマシンガンを構えようとするザク。
HUDに照準が重なり、ソウヤはトリガーを引く。
ビームライフルが連続で火を噴き、赤い閃光がザクの両腕を溶解させる。
マシンガンが攻撃の影響で内部誘爆を起こし、爆発の衝撃でザクの巨体が斜面から転げ落ちる。
岩にぶつかりながら、地面に倒れ込む。
スライフレイルが止まらない。
4基スラスターの青白い炎が尾を引き、緑の機体がジャングルを切り裂くように前進する。
ザクの弾幕が装甲をかすめ、火花が散るが、ソウヤの動きは揺るがない。
敵の射線を次々と外していく。
ホバートラック内では、エミリアがコンソールを叩きながら叫んだ。
「敵の位置、更新! 右斜面に3機、左尾根に2機!
ジョシュアさん、次弾は右斜面の密集部へ!」
ジョシュアのジム・キャノンが再び砲身を上げる。
240mm砲が低く唸り、次の砲弾が山肌を抉った。
ソウヤはスライフレイルを山裾まで接近させると、斜面を見上げた。
急峻な岩肌と絡みつく蔓が、陽光に照らされて影を濃く落としている。
ここからさらに接近するには、スラスターで一気に駆け上がるしかない。
バックパックの4基スラスターにチャージ音が低く響き、推進剤が圧縮される。
ソウヤは操縦桿を握り直し、ペダルを踏み込む準備をした。
その瞬間——斜面の上から、ザクⅡの1機が滑るように降りてきた。
モノアイが赤く光り、右手に握ったマシンガンの銃口がスライフレイルに向けられる。
ザクの脚部が岩を蹴り、土煙を巻き上げながら急接近。
パイロットは動きが止まった最大の脅威に、引き金を引こうとした。
だが、その動きを——サンダースが先読みしていた。
陸戦型ガンダムの白い機体が、素早く旋回。
右腕の100mmマシンガンが、降りてくるザクに向けられる。
サンダースの低い声が、無線越しに短く響いた。
「やらせはしない!」
トリガーを引く。
マシンガンが連続で火を噴き、弾丸がザクの両脚を正確に撃ち抜いた。
脚部の装甲が穿たれ、駆動系が火花を散らす。
ザクはバランスを崩し、脚を着けた瞬間、力が入らず膝から崩れ落ちた。
巨体が斜面に倒れ込み、土煙が陽光を遮る。
サンダースは即座に間合いを詰め、ザク・マシンガンをを100mmマシンガンで破壊。
無力化したザクはモノアイの光を弱く点滅させながら、動かなくなった。
ソウヤはそれを見届け、スラスターのチャージ完了を確認した。
「よし、行ける!」
バックパックの4基スラスターが一気に噴射。
青白い炎が斜面を焦がし、スライフレイルの緑の機体が急角度で左尾根の2機のザクに向かって駆け上がる。
岩を蹴り、蔓を薙ぎ払いながら、敵陣の懐へ飛び込む。
風圧が木々の葉を散らし、土煙が尾を引く。
右斜面のザク3機が慌てて迎撃態勢を取った。
モノアイがスライフレイルを捉え、マシンガンの銃口が一斉に動き出す。
だが——轟音が山を震わせた。
ジム・キャノンの右肩から、240mm砲弾が再び咆哮を上げた。
エミリアの的確な着弾修正が、ジョシュアの照準をさらに研ぎ澄ます。
砲弾が弧を描き、ザクの密集した斜面に直撃。
爆発が岩を砕き、3機のザクが脚部を吹き飛ばされて転倒。
エミリアの声が、無線越しに短く響く。
「着弾確認! 右斜面のザク3機戦闘不能! やりました!」
ジョシュアは操縦桿を握り直し、静かに息を吐いた。
「……マジかよ。なんなんだ、あの人は……」
スライフレイルは斜面を駆け上がり、左尾根のザク2機の懐へさらに迫る。
左尾根のザク2機が、接近するスライフレイルに即座に反応した。
モノアイが赤く輝き、両機が同時にザク・マシンガンを構える。
120mm弾が連続で火を噴き、弾幕が緑の機体に向かって降り注ぐ。
スライフレイルは動いた。
4基スラスターが短く噴射し、機体が不規則にステップを踏む。
ソウヤの指が操縦桿を微調整し、弾道の隙間を縫うように前進。
右手に握ったビームライフルを構え、照準を素早く合わせる。トリガーを引く。赤い閃光が2連射。
1発目が右側のザクの右腕を貫通し、マシンガンを溶断。
2発目が頭部メインカメラを撃ち抜く。
ザクの巨体が膝から崩れ、煙を上げながら動かなくなる。
残った1機は僚機が戦闘不能にされたことに気を取られ、射撃を中断してしまう。
ソウヤはその隙を見逃さなかった。
スラスターが低く唸り、スライフレイルの緑の機体が一気に加速。
機体が跳躍し、残ったザクの頭上を飛び越える。
陽光が装甲を照らし、影がザクの巨体に一瞬だけ落ちた。
上空でスラスターを逆噴射。
機体が急旋回し、背後を取る。
Gがソウヤの体をシートに押しつけ、ヘルメットの中で歯を食いしばる。
額に汗が浮かび、息がわずかに乱れるが、瞳は揺るがない。
スライフレイルは地面を抉りながら着地し、ザクの背後を取る。
ザクのパイロットは慌てて旋回しようとした。
だが、時すでに遅し。
ソウヤはバックパックの左側ラックからビームサーベルを抜き放った。
赤白い光刃が輝き、空気を切り裂く低い唸りが響く。
一閃。
右腕が根元から斬り落とされ、マシンガンが地面に落ちる。
続けて横薙ぎ。
両脚が一刀両断され、装甲が赤熱して溶け落ちる。
両脚を失ったザクは仰向けに倒れた。
巨体が斜面を滑り、岩にぶつかって止まる。
モノアイの光が弱く点滅し、やがて完全に消えた。
スライフレイルは静かに立ち、ビームサーベルを構えたまま周囲を確認した。
HUDに映っていた赤いマーカーは全て消え、
9機すべてが戦闘不能。
土煙がゆっくりと陽光に溶け、静けさが戻る。
ソウヤは息を吐き、無線を開いた。
「……全敵機、鎮圧完了。」
声は静かだったが、確かだった。
ジム・キャノンのコックピット内で、ジョシュアは操縦桿を握ったまま、呆然と息を飲んだ。
「……たった3機で……ザク9機を……全部、鎮圧した……?」
ジョシュアの茶色の瞳が、モニターに映るスライフレイルを捉える。
左腕の火傷痕を無意識に握りしめ、声がわずかに震えた。
「……俺たちの第4小隊……こんなに強かったのか…。」
ホバートラック内では、エミリアがコンソールを握りしめ、目尻に涙を浮かべた。
「……隊長……みんな……無事で……本当に…良かった……」
ノアがハンドルを握ったまま、照れくさそうに舌打ちした。
「……チッ……流石は隊長だぜ。」
サンダースの低い声が、無線越しに静かに響く。
「全員、無事だな。」
スライフレイルの緑の装甲が陽光の下で静かに輝いていた。
スライフレイルはゆっくりと斜面を降り始めた。
陽光が緑の装甲を照らし、土煙がゆっくりと尾を引いて消えていく。
9機のザクはすべて戦闘不能——山肌に転がる残骸から、かすかな煙が立ち上るだけだった。
ミニ・トレーの護衛に展開していたジム12機が揃って後ずさりした。
白い機体が一歩、二歩と退がり、100mmマシンガンの銃口がわずかに下がる。
先ほどの戦闘を間近で見ていたパイロットたちは言葉を失っていた。
緑の機体が弾幕を軽々とすり抜け、たった3機でザク9機を全滅させた光景が脳裏に焼きついている。
スライフレイルは静かにミニ・トレーの側面に近づき、左腕をゆっくりと伸ばした。
左手が艦の装甲に触れると、接触回線が自動で接続される。
コックピットのHUDに「回線確立」の文字が点灯し、ハドソン少将の映像が映し出された。少将の顔は青ざめ、額に冷や汗が浮かんでいる。
先ほどまでの傲慢な口調はどこにもなく、声がわずかに震えていた。
「……タ、タカバ中尉……か。」
ソウヤは静かに、しかしはっきりと告げた。
「ザク9機、全機撃破しました。これで任務は完了です。第4小隊は基地に帰隊してもよろしいでしょうか?」
ハドソン少将の喉が、ごくりと鳴るのが聞こえた。
彼は一瞬、視線を逸らし、慌てて頷いた。
「……あ、ああ……許可する。すぐに帰隊しろ。後始末は……こちらでやる。以上だ!」
通信が一方的に切れた。
少将はモニターの前で肩を震わせていた。
あんな弾幕を軽々と回避し、たった3機でザクを全滅させた部隊と、これ以上長居したくなかった。
自分のデリー基地のパイロットでは、到底歯が立たない——それが、痛いほどわかっていた。
ソウヤは小さく息を吐き、無線を全員に開いた。
「……後始末は任せろだそうだ。第4小隊全機、帰るぞ。」
スライフレイルがゆっくりと向きを変え、ミニ・トレーから離れ始めた。
陸戦型ガンダムがその背後に付き、ジム・キャノンが砲身を下げて追従する。
ホバートラックが低く浮上し、赤土を蹴って隊列に加わった。
陽光の下、4機と1両の影が長く伸び、戦域を後にする。
ホバートラックの運転席から、ノアがいつもの調子で舌打ちした。
「……チッ、ようやく終わったぜ。あのクソ少将の度肝を抜かれた顔を見たかったぜ。」
ジム・キャノンのジョシュアが、無線越しに静かに尋ねた。
「……タカバ中尉。なんで、あんな凄い操縦が出来たんですか?あんな動き、見たことないです……。」
ソウヤは操縦桿を握ったまま、軽く笑みを浮かべた。
「……君がいてくれたからだよ。」
ジョシュアは首をかしげた。
「……俺が……?」
ソウヤはゆっくりと説明した。
声は穏やかだが、確かだった。
「今までは、ホバートラックの護衛も考えなきゃいけなかった。エミリアとノアが乗ってるトラックから、あまり離れられなかったんだ。だから、常に後ろを気にしながら戦うしかなかった。でも……君が配属されて、ジム・キャノンが加わった。ホバートラックを守ってくれる存在ができたから、俺はもっと前へ行けるようになった。目の前の戦闘に、集中できるようになったんだ。」
ジョシュアは一瞬、言葉を失った。
胸の奥で、何かが熱くなった。
「……俺が……そんな……」
サンダースの低い声が、無線越しに静かに響いた。
「……喜べよ。ジョシュア軍曹が加わったおかげで、隊長が自由に動けたんだ。」
ノアが、照れくさそうに口を挟む。
「そうだぜ。喜ぶべき時は喜んでおいた方がいいんだよ。あんたがいなきゃ、隊長はあんなに前へ行けなかったんだからな。」
エミリアの声が、少し震えながらも優しく続いた。
「それにジョシュア軍曹の砲撃も凄かったですよ。あんなに正確に命中させて、3機も戦闘不能にしたんですから。バッチリ、記録してますよ。」
ジョシュアは、しばらく黙っていた。
茶色の瞳が、モニターに映る隊列をゆっくりと見回す。
スライフレイルの緑の背中、陸戦型ガンダムの白い装甲、ホバートラックの赤土を蹴る姿。
そして、自分のジム・キャノンの肩部キャノン砲。
「……ありがとうございます。」
声は小さく、しかしはっきりしていた。
ジョシュアは、初めて、心からの笑みを浮かべた。
「……俺も……この小隊の一員で、良かった。」
隊列は陽光の下、基地への帰路を進み続けた。
後日
コジマ中佐のテントは、いつものように静かだった。
机の上には、エミリアが丁寧にまとめたデータディスクと、戦果報告書の束が置かれていた。
モニター映像、センサーログ、通信ログ——すべてが時系列順に整理され、タイムスタンプ付きで記録されている。
エミリアはディスクを中佐に差し出し、背筋を伸ばして敬礼した。
「……中佐、これが今回の作戦の全記録です。映像、ログ、通信……すべて揃えました。」
コジマ中佐は眼鏡の縁を指で押し上げ、ディスクを受け取った。
ゆっくりとディスクを手に持ち、静かに頷く。
「……よくやったな、ドットナー准尉。これで十分だ。」
中佐は椅子に座り直し、報告書を一枚ずつめくり始めた。
最後のページ——戦果報告書の結論部分に、ペンを走らせる。
文字は丁寧だが、どこか棘のある書き方だった。
『通信途絶中、第4小隊が単独でジオン残党補給基地を鎮圧。敵MS9機全機撃破。デリー基地からの支援は一切不要でした。』
中佐はペンを置き、報告書を閉じた。
苦い笑みが、口元に浮かぶ。
「……これでいい。堂々と提出してやる。」
中佐はディスクと報告書を大型通信機にセットし、ジャブロー連邦本部への暗号回線を開いた。
画面に「送信中」の文字が点滅し、数秒後——「送信完了」の通知が表示される。
テント内に、静かな沈黙が落ちた。
中佐は眼鏡を外し、額を擦った。
声は低く、しかし確信に満ちていた。
「……これで、デリーの連中は言い訳できん。ミノフスキー粒子を散布したのは奴らだ。通信途絶の責任は、完全に彼らにある。後方で待機していたジム12機は何もしてないことが、ログで丸わかりになる。『粒子散布は自分たちがしたのに、なぜ支援しなかった?』——今度は上層部から、彼らが詰められる立場だ。」
中佐はゆっくりと立ち上がり、テントの外を見た。
陽光が赤土を照らし、遠くの山並みがクリアに見える。
「……囮作戦は完全に失敗。辺境の寄せ集めが、自分たちの支援なしで成果を上げた——という屈辱を、デリー基地は味わうことになる。軍縮派の上層部は、『コジマ基地の無駄を証明できなかった』として、逆に調査対象にされる可能性すら出てくるだろう。」
中佐は小さく息を吐き、笑みを深めた。
「……いい気味だ。これで、少しは前線を知らない連中の鼻を明かしてやれた。」
エミリアはそんなコジマ中佐の姿を見て、クスッと笑った。
画面に映るジャブロー本部の受信確認が、静かに点灯していた。
報告書は、すでに上層部へと届いている。
コジマ大隊基地は静かに、だが確実に一矢報いた。
そして、デリー基地では——ハドソン少将の顔が、青ざめきっていた。
届いたばかりのジャブロー本部からの照会文書を、震える手で握りしめている。
『……なぜ、第4小隊の支援をしなかったのか?通信途絶の責任は、デリー基地にある。詳細な説明を求む。』
少将の額から、冷や汗が滴り落ちた。
後方で待機していたジム12機の記録が、すべて残っている。
言い訳の余地は、どこにもなかった。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
今回は第4小隊フルメンバーの戦闘を描きました。
いやー、やっと揃ったー(泣)
ジム・キャノンの砲撃能力を活かせた戦闘を作れたと思っています。
あと、ホバートラックを守ってくる存在が出来たので、ソウヤとサンダースをガンガン前に出せるようになったので、嬉しいですね。
ではでは、次の話もお楽しみにー!
【機動戦士ガンダム オリオンの軌跡】に登場するオリジナル機体で好きな機体はなんですか?
-
陸戦型ジム改
-
バイアリーターク
-
ペイルライダー・ヴァンガード
-
ペイルライダー・マスケッティア
-
ヴァルキリー
-
グフ・ノクターン