シミュレーターのモニターに映像が映り、漆黒の宇宙の映像が表示された。
先ほどのシミュレーションよりも漂流しているデブリは少ないようだ。
レーダーを確認するヤザンのジムも近くに居るのだった。
「今回はすぐ近くに配置されていたみたいだな。」
「そのようだな、合流するために探索しなくて良かった。」
「しかし、フォルド中尉の受領した機体はなんだろうな?」
「どうせ、ジムのバリエーション機じゃないか?最近はジムを素体にした局地戦用機の開発が頻繁だからな。」
私は近くに配置されたヤザンに通信を入れるとフォルド中尉の機体が何の機体を使うのかを話し合う。
この時期でジャブローで受領される機体なら、ジムを素体に局地戦用に改造したバリエーション機だろうと話す。
話し終わると二人でフォルド中尉の機体を捜索するのだった。
周辺を捜索していると漆黒の宇宙空間に一筋の閃光が走る。
「なんだ?あの光?」
ヤザンはその閃光の一筋を発見し、それが何なのかを凝視する。
「スラスターの噴射の光に似ているが、あれだけ速くはないだろう?」
確かに、スラスターの噴射の光に似た光だが、私達が知ってるモビルスーツであれだけ速い機体は知らなかった。
すると、閃光が消えた先で何かが光る。
「発光!?ヤザン!回避運動!!」
ヤザンは私の通信に反応し、回避行動を行う。
私もヤザンから少し離れるように回避を行った。
発光した場所から赤いビームの閃光が放たれ、私達が居た場所を通過するのだった。
「おい!ソウヤ!こっちのセンサー外からの攻撃だぞ!?」
「どんな距離からこっちを感知してるんだ!?」
「データを弄ったんじゃないのか!?あの中尉!」
自分もデータ改竄を疑ったが、あの短時間でデータの書き換えができるものなのかと考えた。
しかし、中尉がこっちを捕捉しているなら動いてない状態は危険だと感じた。
「ヤザン!動こう!中尉はこっちを捕捉しているなら、動かないとまずい!カカシになるぞ!!」
「確かにじっと考えていたら、いい的だな。機動兵器は機動してなんぼだな。」
私とヤザンはジムのスラスターを噴射させ、ビームが放たれた場所に向かう。
狙いをつけられないように不規則に左右にジグザグに移動をする。
二射目のビームが放たれたが、不規則に動いてお陰で命中することはなかった。
しかし、この距離であの威力のビーム攻撃ができるとは驚いた、自分のジムが装備しているビームライフルよりも威力が高いのは間違いなさそうだ。
「おい、ソウヤ!太陽の方角に敵のシルエットを発見!」
「了解、敵の機体の形状は?」
「ジムぽいな。ガンキャノンみたいなゴツイみたい見た目じゃない。」
「よし、このまま不規則にジグザグに動きながら接近しよう。」
「分かった。どんなインチキをしてるか、拝ませてもらおうぜ。」
2機のジムはジグザグに動きながらデブリを盾にしながら、敵影に接近をする。
接近中に何発か、ビームライフルを撃たれるが隊長とのシミュレーター訓練のお陰か命中することはなかった。
段々と距離を詰め、相手のシルエットがはっきりと見え始める。
はっきりと見えようになったシルエットに違和感を覚え、私は通信機に叫んだ。
「ヤザン!待って!!」
私から急に止まるように言われ、ヤザンはデブリの陰に急いで隠れるのだった。
「なんだ?ソウヤ?」
「中尉の機体を確認してみろ。」
「うん?」
ヤザンはジムの頭を少しだけ出し、中尉の機体を確認する。
ジムよりも精巧に作られたボディー、ジムのようなのっぺりしたようなゴーグルフェイスではない、特徴的な顔。
人の目を思わせるような二つのカメラアイからなるツインアイ、額のV型アンテナの装備。
「ヤザン、あれは反則だと思わないか?」
「同感だ。あんな機体を持ち出すんなら、断っていた。」
「だよな。まさか、データだとしても〝あれ〟にお目にかかるとは思わなかった。」
確かにあの機体のデータなら、あのデタラメな速さと攻撃力だと分かる。データを改竄する余地はないのだから。
「〝ガンダム〟が相手かよ。」
私とヤザンは〝ガンダム〟を相手にしなければならないことに愚痴を漏らすのだった。
ジオンのモビルスーツに対抗するために鹵獲したザクを徹底的に研究し、連邦軍の技術の粋を結集して作られたモビルスーツ。
機体に使われるパーツはどれも一級品で厳しい品質管理がされており、基準を満たさないパーツは不採用になるほどだ。
そして、この機体が生み出した戦果が目を疑う異常なものだった。
戦闘経験もモビルスーツの操縦訓練を受けたこともない技術士官の息子が初戦でザク2機を撃破し、ルウム戦役でなどで恐れられた〝赤い彗星〟のシャア・アズナブルの追撃を凌ぎ、北米のシアトルでジオン公国地球方面軍司令官のガルマ・ザビを討つなどの伝説的な武功をあげた機体である。
最初は連邦軍のプロパガンダ的な誇張された戦果だろうと思っていたが、オデッサでガンダムが〝黒い三連星〟を撃破したと報告を聞いたときはデマではないと思い知らされた。
開発者の異常なまでの高水準の設計の賜物か、それとも乗っているパイロットが化け物なのか分からないが。
一兵卒から言わせてもらうと〝異常〟の一言しか言いようがない。
それが【ガンダム】の私達の認識だ。
「ガンダムは青、白、赤のトリコロールカラーだと聞いていたが、あの機体の色は赤と白だな。」
「多分、別個体のガンダムだろう。映像で見せてもらったガンダムとは腕や脚の形状が違うようだ。」
「つまり、あのサイド7のガンダムよりもパワーアップしてることか?」
「かもしれない。かなり厄介な相手だ。」
目の前のガンダムの色が知っている色と違うことをヤザンから話され、私は腕と脚の形状が違うことから別の個体であることを話し合う。
「性能はこっちが使用しているジムとは性能がかなり差がある。相手の注意を分散させつつ、攻めよう。」
「それしかなさそうだな。俺が先に出るからお前は敵の注意が俺に向いた瞬間にガンダムを撃て。」
「分かった。頼んだぞ。」
「任せろよ!」
ヤザンはデブリの陰から飛び出した、ガンダムは飛び出したヤザンの方にビームライフルを向けようとする。
「そこ!」
ヤザンにビームライフルの銃口を向けた瞬間に私のジムがビームライフルを放つ。
フォルド中尉のガンダムは攻撃に反応し、アポジモーターを横に噴射させ、ビームを回避するのだった。
「推進力と反応速度がジムとは全然違うな。あのタイミングなら隊長はやれたのに。」
ジムの反応速度と推進力の移動距離なら、あの攻撃は命中したと確信はした。
しかし、ガンダムの性能ならあの攻撃のタイミングでも回避されるのだと分からされた。
だが、攻撃を回避してくれたことでガンダムはヤザンを見失ってくれたようだ。
「この距離、もらった!!」
ヤザンのジムはガンダムとの距離を詰め、左手に持ったビームサーベルを振りかざす。
ガンダムはヤザンの奇襲を寸前で察知し、寸前で回避した。
「チッ!先の攻撃なら隊長は両断できていたな。その性能忌々しいぜ。」
圧倒的な性能差にヤザンは愚痴を言うとジムの右手に持たせていたビームスプレーガンをガンダムに連射する。
ガンダムは装備したシールドでヤザンのビームスプレーガンを防ぎつつ、右腕を突き出す。
すると、右腕に装備されたビーム・ガン・ユニットをヤザンに向けて放つ。
「こいつ!右腕にビームを発射する装備があるのかよ!?」
見たこともない武器にヤザンは驚きつつもガンダムが放ったビームを全て回避する。
ヤザンが回避行動をしてる時にガンダムは攻撃をしようとするが、ソウヤのビームライフルの射撃でヤザンへの攻撃を断念した。
「ヤザンはやらせないよ!」
ビームライフルを放ち、ガンダムをヤザンに近づけないようにするのだった。
ガンダムは距離を取ると装備しているビームライフルをソウヤのジムに発砲する。
「銃口が見えているから、当たらないよ。」
銃口を向けている方向が分かるために、ソウヤはガンダムのビームを軽々と回避するのだった。
フォルドはソウヤのジムに注視していると死角からヤザンのジムが近づき、左手に装備したスプレーガンを乱射しながらガンダムに近づいた。
「俺のことも忘れてもらったら、困りますな!!」
スプレーガンのビームは何発かは命中するがガンダムには致命傷にならなかった。
「どんだけ硬いんだよ!」
ガンダムの装甲の硬さにヤザンは呆れつつも、右手のビームサーベルを起動させ、ガンダムに斬りかかる。
しかし、ガンダムは左手でジムの右腕を掴むとそのまま押さえる。
「なんつーパワーをしてやがる!びくともしねぇ!」
圧倒的なパワーで右腕を押さえつけられ、ジムの右腕に高い負荷が掛かっていることを報せるアラームが響く。
ガンダムは右腕の固定武装のビーム・ガン・ユニットをヤザンのジムの腹に接射した。
ビーム・ガン・ユニットは有効射程も短く、威力も低い武装だが接射した状態ならジムの装甲を貫通させることもできるのだ。
「くそ!そんなのありかよ!?」
ヤザンのジムはビーム・ガン・ユニットで腹の動力炉を破壊され、撃破判定をされる。
「くそ、ヤザンがやられたのかよ!?」
ガンダムとヤザンのジムが密着した状態だったのでソウヤは援護射撃をできなかったのだ。
ヤザンが撃破されたことをソウヤは確認するとビームライフルの射撃を開始する。
だが、ガンダムの圧倒的な機動力の前ではジムのロックオン可能範囲を軽々と外され、狙いをつけることができなった。
「ジムの倍のスピードがあるだろう!?あんなのサシで戦えるか!!」
ガンダムはビームライフルをソウヤに向けて放つ、ソウヤはビームを回避したがガンダムを見失ってしまう。
「しまった!?見失った!!」
ソウヤはガンダムを慌てて探す。左右を見渡すがガンダムの姿は発見できなかった。
ピー、ピーと警報が鳴り、機体の真下からガンダムが接近していることを警告される。
「真下からか!?」
ソウヤは急いで真下を見ようとするが遅かった。
ガンダムは右手に新しく装備したビームサーベルを起動させ、ガンダムの推進力に物を言わせた斬り込みをしたのだ。
ソウヤのジムは真下からビームサベルで両断され、撃破されるのだった。
「申し訳ない!フォルドが勝手に君達を巻き込んでしまって!」
フォルド中尉の相棒のルース・カッセル中尉がソウヤとヤザンに頭を下げながら、謝罪をする。
「いえ、私達も中尉の申し入れを受けましたので、大丈夫ですよ。」
私は頭を下げるルース中尉に気にしてないことを伝えるがルース中尉は頭を上げなかった。
「いや、君達はジムを使っていたのに、この馬鹿はガンダム5号機のデータを使っていた。本当に申し訳ない!」
確かにガンダムのデータを使われたのは文句は言いたいと思ったが、これだけ頭を下げられると申し訳ない気持ちに私はなってしまう。
だが、後ろのヤザンは頭を下げるルース中尉を睨んでいるようだ。
確かにあんなハイスペック機体を黙って使われたら、ヤザンは不満を持つだろう。
「おい、ルース。もういいだろう?少尉は気にしてないって、言ってるぜ。」
ルース中尉の後ろで立っているフォルド中尉が口を出す。
すると、ルース中尉はフォルド中尉の方を振り向くと鬼の形相で説教をするのだった。
「お前は分かっていない!ガンダム5号機のシミュレーションデータを他の部隊の隊員に見せてるんだぞ!お前は軽率な行動が多い!しかも、二人はジムなのにお前だけ、ガンダムとはどういうことだ!?」
フォルド中尉が説教されている姿を見て、ヤザンはニヤニヤと笑っていた。
「悪かった!悪かった!俺が悪かった!そんなに説教すると頭のハゲが進行するぞ?」
「フォルドー!お前はーーー!!」
フォルド中尉は詫びながら、ルース中尉の髪の生え際を茶化すが火に油を注いだようだ。
ヤザンと私はフォルド中尉とルース中尉の説教のやり取りを暫く面白そうに眺めていたが、オルグレン隊長が説教をするルース中尉に話し掛けるのだった。
「まあまあ、ルース中尉。落ち着け。」
「オルグレン少佐!あなたの部下に迷惑を掛けてしまったんです!これが落ち着いていられますか!」
「ははは、確かに二人も急にガンダムを戦うことになったことは驚いたかもしれないが、ジムでガンダムに善戦したじゃないか。」
「確かにそうですが、ジムとガンダムの性能差がありすぎます!」
「二人とも良い経験値を稼いだと思っているよ。」
オルグレン少佐は私とヤザンの方を顔を向けると誇らしそうな顔で私達を見るのだった。
「ルース中尉。もし、申し訳ないと思っているなら一つだけ頼みがあるんだ。」
「頼みと言いますと?」
ルース中尉は申し訳なそうな顔で少佐の顔を見る。
「もう一戦、うちの部下二人とフォルド中尉を戦わせて欲しいんだ。」
少佐の申し入れにルース中尉は勿論、私やヤザン、フォルド中尉も驚くのだった。
「もう一戦ですか?相手はガンダムなんですよ?」
ルース中尉は戸惑いながらも少佐に相手が〝ガンダム〟であることを伝える。
しかし、オルグレン少佐は自信に満ちた顔で答えた。
「相手が〝ガンダム〟だから、良いんだ。今度はこっちが設定した戦場で戦ってもらうけどいいかな?」
少佐の自信に満ちた顔を見た、ルース中尉は根負けし。
「分かりました。少佐がそこまで言うなら、もう一戦させていただきます。」
「ありがとう、ルース。俺たちはシミュレータールームの管制室で戦いを見守ろう。」
「了解しました。」
「フォルド中尉、ソウヤ少尉、ヤザン曹長はもう一度、シミュレーター装置に搭乗してくれ。」
そう言うと、少佐とルース中尉はシミュレータールームの管制室に入るのだった。
私達は少佐に言われた通りに各々のシミュレータ装置に搭乗し、模擬戦闘の準備を開始した。
すると、シミュレーターの通信装置から少佐からの通信が入る。
「ソウヤとヤザン、聞こえているかい?」
どうやら、ヤザンにも通信を入れているようだ。
「今回の戦闘では君達に課していた制約を解除する。機体データを更新するから確認するように。」
私は機体データを確認すると顔をニヤリと笑うのだった。
シミュレータールームの管制室のルース中尉はオルグレン少佐の先の会話の内容が気になり、隣に居る、オルグレン少佐に〝制約〟のことを尋ねた。
「オルグレン少佐、彼らに課している〝制約〟とはなんですか?」
オルグレン少佐はルースの疑問に答える。
「簡単なことだよ。搭乗機体の制約だよ。」
「搭乗機体ですか?」
「そうだ。汎用的なジムに乗せることで。いつもなら、できることをできないようしたんだ。」
「いつもなら、できることをできないようにした?」
「まあ、観ていたら分かるよ。」
オルグレン少佐は微笑みながら答えるとシミュレーターの設定を弄り始め。
その設定内容を見た、ルースは顔をしかめるのだった。
「少佐?この設定は先程の仕返しですか?」
「まあ、半分ほどは仕返しだね。でも、そろそろネタ晴らしをしても良いと思ったんだ。」
「ネタ晴らしですか?」
「そうだ。あの二人に宇宙戦闘のシミュレーターをさせた意味をね。」
「はあー。まあ、先にやらかしたのはフォルドの方ですから、ご自由にどうぞ。」
「ありがとう、ルース。フォルド中尉もある程度、戦えるように設定するから安心して。」
ルース中尉にお礼を言うと、少佐はシミュレーターを起動させ、戦闘を開始したのだ。
シミュレーターが起動し、ソウヤはモニターの映像を確認する。
モニターには沢山の廃墟になった街の風景が映されていた。
「今回は地上戦なのか?使用する機体も量産型ガンキャノンだし、どういうことだ?」
ソウヤはオルグレン少佐の意図が分からず、思案する。
今までは搭乗する機体がジムに固定され、宇宙戦闘のシミュレーターをしていた。
そして、このタイミングで急に地上戦をすることに何か意味があるのだろうかと考えるのだった。
「おい、ソウヤ。お前はオデッサと同じ、ガンキャノンかよ。」
モニターを確認するとヤザンが搭乗していると思われる、陸戦型ジムが近づいてきた。
「ヤザンか。そっちは陸ジムみたいだな。」
「ああ。てっきり、宇宙戦闘をもう一回すると思っていたぜ。」
「私もそう思ったよ。だけど、地上戦をするようだな。」
「そのようだな。隊長の考えはよく分からん。」
私はヤザンの陸戦型ジムの装備をモニターで確認する、どうやらビームライフルを装備しているようだ。
「ビームライフルを装備しているのか。」
「あのガンダムの装甲を撃ち抜くなら、これくらいの火力がないとな。ソウヤもビームライフル装備か。」
「これを一番使っているから、この装備にした。」
「分かった。おし、ガンダムを探し出そうか。」
ヤザンの陸戦型ジムを先頭に廃墟の街の探索をするのだった。
暫くすると私達はある異変に気付く。
「おい、ソウヤ。」
「なんだ?」
「俺達、クリアリングが早くなってないか?」
「確かに!市街地戦のクリアリングをいつも通りにしてるんだがな?」
私はモニターに映し出されている地図と経過時間を確認した。
想定していた時間よりも速く移動していたのだ。
市街地は複雑に入り組んでおり、敵が奇襲しそうなポイントは入念にチェックしながら移動してるはずなのに、すでに市街地の半分は探索を済ませていたのだ。
「想定よりも早いな。」
「ああ、今までなら半分くらいの範囲しか探索できてないはずだ。」
ヤザンと私は身を隠しながら、話し込んでいると僅かなスラスターの噴射音が聞こえた。
「ヤザン!10時の方向からスラスターの噴射音が聞こえた!」
「なに!すぐに確認する!」
「いや、俺のガンキャノンで確認する。こっちのセンサーの方が探知距離が長い!」
「おし、任せた。」
私のガンキャノンは物陰からスラスター音が聞こえた方角を確認。
すると、高速道路の高架下にガンダム5号機が隠れているのを発見するのだった。
「いた!ヤザン、ガンダム5号機を発見した!」
「なんだと!やったじゃないか!」
ヤザンにもデータ通信を行い、ガンダム5号機の映像を共有する。
「さて、どうやって攻める?ソウヤ?」
「最初にガンキャノンのキャノン砲で高速道路の柱を吹き飛ばす。」
「柱を?ガンダムに直接撃たないのか?」
ヤザンは私の意外な提案に驚く。
「直接、狙うとこっちの位置がバレてしまう。あの柱を遮蔽物にして、こっちの位置を特定されないようすれば、ダメージは確実に与えられる。」
「ほう、それは面白そうだな。」
「俺が攻撃したら、ヤザンはガンダムとの距離を詰めるために移動してくれ。」
「ふん、了解した。その作戦で行こう。」
私はすぐにガンダムの位置を再確認する、幸いにもガンダムは高架下から移動してなかった。
ガンダムが移動してないことを確認を済ますと操縦桿のトリガーを引く。
高速道路を支える分厚い柱にキャノン砲の弾が発射される。
ガンダムはキャノン砲の発射音に反応し、周辺を見渡すが柱が死角になっているので気付くのが遅れしまった。
ガンダムは十分に分厚い柱から距離を取っていなかった為にキャノン砲の砲弾で飛び散った破片と爆風をくらう。
ガンダムはよろけながらも態勢を立て直すが、ヤザンの陸戦型ジムが態勢を立て直した瞬間にビームライフルを放つ。
ガンダム5号機は寸前でビーム攻撃をシールドで防ぐがシールドがビームの直撃に耐え切れず、破壊される。
高い推進力を活かし、ガンダム5号機はヤザン達から距離を取ると市街地に隠れるのだった。
「先の戦闘よりも動きが鈍かった?」
先程の戦闘でガンダムの反応速度と推進力を見ていたソウヤは違和感を感じる、今のガンダム5号機には宇宙戦闘のような精彩な動きが欠けていると感じたのだ。
そして、ソウヤは先の攻撃に自分に変化があったことに気付く。
「あれ?どうして、キャノン砲が当たると感じて、すぐにトリガーを引いたんだろう?」
いつもなら、スコープでよく狙ってから撃つはずなのに今回は感覚的にトリガーを引いて、目標に命中させたことに気付いたのだ。
ソウヤはその事で思案しようと思ったが、今は戦闘中だと頭をすぐに切り替えて、ヤザンと一緒にガンダムを追う。
先程の戦闘でフォルドのガンダム5号機はシールドを失い、背中のバックパックと腰部にダメージを受けた。
高速道路の柱で背中を守っていたが、まさか、柱を破壊することで間接的なダメージを狙うとは思わなかった。
フォルドはビルの陰に隠れながら、周囲を確認する。
「あの二人、先の宇宙戦とは動きが全然違うぞ?どうなってやがる?」
宇宙戦闘の二人はまだ宇宙戦闘に慣れてない感じはしたが、地上戦闘だと猟犬のように俊敏に動き、自分とガンダムを追い詰めていると感じた。
「まさか、ガンダム5号機で地上戦をするとは思いもしなかったぜ。」
本来、ガンダム5号機は無重力の宇宙戦闘に特化した機体であり、地上戦闘をすることを想定して作られていない。
お陰でガンダム5号機は宇宙戦闘の時のような機敏な動きが出来ず、スラスターを噴射させて、強引に移動しているのである。
「ここまで動きが鈍いと地上での戦闘は役に立たないな。」
フォルドはガンダム5号機の地上での鈍さの不満を漏らすと、レーダーにモビルスーツの反応が表示される。
「もう、発見されたのかよ!?」
敵のモビルスーツが近づく方向を向くと、ヤザンの陸戦型ジムがこちらに真っ直ぐに向かってくるのだった。
「俺のガンダムのビームライフルの餌食になりに来たか?」
ガンダム5号機は突っ込んでくる陸戦型ジムにビームライフルを向けた、その時。
隠れていたビルが爆発し、ビルの破片と爆風がガンダム5号機を襲うのだった。
「あ!?なんで、ビルが爆発するんだよ!?」
急にビルが爆発したことにフォルドは動揺し、ヤザンの陸戦型ジムから視線を外してしまう。
ヤザンはその一瞬の隙を見逃さず、ビームライフルを発射する。
放たれたビームはガンダム5号機のライフルに命中し、フォルドは慌てて手放した。
破壊されたビームライフルは爆発し、その爆発のせいで右腕に装備されたビーム・ガン・ユニットが故障するのだった。
「くそ!武器を二つも失った!」
フォルドは慌てて、ビームサーベルを抜刀し、ヤザンの陸戦型ジムを迎え撃とうとするが陸戦型ジムの姿はそこにはなかった。
「くっ!どこに行きやがった!?うわあああああああ!!」
ヤザンの陸戦型ジムを探そうとした瞬間、背後から強い衝撃が走る。
背後の高速道路の上に量産型ガンキャノンが陣取り、ガンダム5号機を攻撃したのだ。
「先のガンキャノンか!?」
フォルドは背後を確認しなかったが、背後からの攻撃がソウヤの量産型ガンキャノンであると確信する。
すると、正面からヤザンの陸戦型ジムが再度襲い掛かるのだった。
「また来たのかよ!だが、パワーはガンダムの方が上だ!」
フォルドはペダルを踏みこみ、スラスターを噴射させ、ガンダム5号機は猛スピードでヤザンの陸戦型ジムに襲い掛かろうとする。
しかし、急にガンダム5号機があらぬ方向に進路を変えて進むのだった。
「どうした!?ガンダム!!なんで、真っ直ぐに進まない!!」
フォルドは画面を見ると驚愕する。
ガンダム5号機の右脚が破壊されていたのである。
陸戦型ジムに斬りかかった瞬間にソウヤのガンキャノンがビームライフルでガンダム5号機の右脚に狙いを定め。
ガンダムがスラスターを噴射させたタイミングで右脚を狙撃し、右脚を破壊。
それで片足を失ったガンダムはスラスターのバランスを崩してしまい、思うように進まなくなってしまったのだ。
バランスを崩したガンダム5号機は建ち並んでいるビルの一つに激突し、崩れたビルの瓦礫に埋もれてしまう。
「嘘だろ?こっちはガンダムなんだぞ!?」
フォルドはなんとかガンダムを動かそうするがビルの激突、量産型ガンキャノンの背後からの攻撃、ヤザンの奇襲によるダメージでガンダムと云えどもボロボロだった。
ルナ・チタニウム合金だからこそ、ビルの激突で撃破はされてないが並みのモビルースーツなら激突の時点で爆散していたであろう。
瓦礫に埋もれたフォルドのガンダム5号機が近づく足音が聞こえる。
ズシン、ズシンと近づき、ガンダムに近づくと右手に持ったビームライフルの銃口を向けるのだった。
「俺の負けか……。」
フォルドはこの状況をひっくり返すことができないと悟った。
そして、フォルドのシミュレーターの画面が暗転し、『撃破』の文字が浮かび上がる。
「地上戦だとしても、フォルドが乗ったガンダム5号機を撃破するとは流石は少佐の部下ですね。」
「ありがとう、ルース。ガンダムのパイロットである君に言われると嬉しいよ。」
イーサンとルースは先ほどのシミュレータールームの話をしながら、廊下を歩いていた。
「しかし、君の相棒は負けず嫌いだね。シミュレーションが終わった後も再戦を申し込んできたね。宇宙戦なら絶対に負けないって、言っていたね。」
イーサンはクスクスと笑いながら、シミュレーター装置から出てきたフォルド中尉が再戦を申し込んできた光景を思い出す。
「お恥ずかしい限りで、フォルドは俺にはない可能性を持っていると思うのですが。まだ、経験が浅いので。」
「これからの成長に期待か。突撃ばかりしていた、君が言うなら間違いないだろう。」
「オルグレン少佐、茶化さないでください。」
二人はそれぞれが見出した可能性を語り合うのだった。
「ところで、あの二人に宇宙戦闘のシミュレーションをさせていたのですか?地上の模擬戦闘の動きですが全然動きが違いました。」
ルースはなぜ、ソウヤとヤザンに宇宙戦闘の訓練をさせたのかをイーサンに尋ねる。
「宇宙戦闘は三次元的に動くだろ?そうなると地上戦のように前、後ろ、横の動きを意識するんじゃなくて、前、後ろ、横、上、下の動きも意識しないといけない。」
「確かに、宇宙は無重力ですから、そうなりますね。」
「さらに周りは漆黒の宇宙だから得られる情報も少ない、その状態で戦闘をすると脳が処理する情報が多いんだ。」
ルースはイーサンのここまでの話を聞いても、イーサンの意図が分からなかった。
「それでそんな情報処理が多い戦闘を繰り返したら、二人が処理できる情報量が増えるんだよ。そして、情報処理量が増えた二人を地上戦をさせると、ああなるわけだ。」
「どういうことですか?」
「地上戦は前、後ろ、横を意識したらいいだろ?だから、二人は宇宙戦闘のような上と下を気にすることがなくなったから、増えた情報処理能力を別のことに使うことができるんだ。」
「ああ!なるほど!確かに!」
「だから、素早くクリアリングができるようになったし、ソウヤも素早く射撃を実行することができた。」
「そうだったんですね。かなり、訓練したのではないのですか?」
「いや、3日だけだ。」
「3日だけですって!?」
ルースはイーサンの訓練期間を聞き、驚くのだった。
「俺とフォルドはオーガスタで何カ月も訓練してるんですよ?それなのにあの二人は宇宙戦でジムで善戦し、地上戦では撃破している。冗談を言ってるんすか?」
「冗談は言っていない。私達はオデッサ作戦に参加し、部隊を結成したのは最近なんだ。」
「信じられない。」
ルースはソウヤとヤザンのポテンシャルの高さを只々驚くのであった。
「まあ、こうやって久しぶりに会えたんだ。一杯付き合えよ。」
イーサンはルースの肩をたたき、慰めるとお酒を飲むためにバーに誘うのだった。
「分かりました。お供させていただきます。」
二人はバーに行き、昔のことを語らいながら酒に酔うのであった。
なんとか、ガンダム5号機を倒しました!
さて、今回は戦闘面の補足をさせていただきます。
ガンダム5号機は宇宙戦闘用のモビルスーツなので、地上の戦闘を考慮した造りをしていました。
そのせいで、思うように歩行が出来ず、歩行による細かい移動が出来ない状態でした。
だから、スラスターの推量ゴリ押しの大雑把な移動しか、出来なかったのです。
次に宇宙戦闘シミュレーターで、情報処理能力の向上は私のバトルオペレーション2での経験です。
バトルオペレーション2の地上戦は前後左右の動きを意識します。
宇宙になると、前後上下左右の動きを意識します。
これがかなり神経を使うので、宇宙戦が出来る人は滅茶強いです。
【機動戦士ガンダム オリオンの軌跡】に登場するオリジナル機体で好きな機体はなんですか?
-
陸戦型ジム改
-
バイアリーターク
-
ペイルライダー・ヴァンガード
-
ペイルライダー・マスケッティア
-
ヴァルキリー
-
グフ・ノクターン