この話を読む時は絶対に人がいない所で読んでください。
また、1名だけキャラ崩壊してるかもしれないので、苦手な人は読まないようにするか。
寛大な心で読んでくれたら、嬉しいです。
テーブルの上の山のような料理を綺麗に平らげたジョシュアとノアの2人は、手に炭酸飲料のグラスを持ちながら、完全に満腹の弛緩しきった体勢で椅子に背を預けていた。
「ふぅ……。食った食った、もう一歩も動けねえ……」
「本当に。トリントン基地のご馳走、完全に舐めてたよ……」
だが、彼らの胃袋は満たされても、若いパイロットとしての旺盛な好奇心までは止まらない。2人はグラスを傾けながら、会場を行き交う華やかな正装姿の女性たちへと、品定めをするように不届きな視線を走らせ始めた。
「なあジョシュア、よく見てみろよ。今回の競技会、集まってる補佐官とかオペレーターの女性陣、全員レベル高すぎないか?」
ノアがグラスの縁から目を光らせ、小声で隣のジョシュアの脇腹を小突いた。
「それな。俺もさっきからずっと思ってた。ジャブローの最新鋭部隊のパイロットなんて、モデルかよってくらいスタイル抜群だしさ。それに、あのルナツー代表の女性少尉……ミコトさんだっけ? 凛としてて、めちゃくちゃ顔が整ってるよな。」
ジョシュアは鼻の下を伸ばしながら、遠くでボカタ少佐たちと並んでいるミコトの姿を視線で追いかける。
「いやいや、俺は断然、北米の『ウィッチハント隊』のあのエースパイロットの女性だな。ちょっと大人っぽい雰囲気があってさ……。ハノイの密林に引きこもってる間に、地球連邦軍の容姿基準、いつの間にか爆上がりしてない?」
ノアが真剣な顔でそんな馬鹿げた分析を口にすると、ジョシュアも深く首を縦に振った。
「まぁ、うちのエミリアさんも相当可愛いけど、あそこまで美女揃いだとな。やっぱり各方面軍、こういう大舞台のメディア対策用に、容姿端麗なエリートを引っ張ってきてるんじゃないか?」
「お役所仕事の唯一の良いところだな!」
サンダースの目が届かないのをいいことに、2人は完全に緊張感を放り出し、パーティーの女性たちの容姿やスタイルの話で大いに盛り上がっていた。
「へえ、なかなか良い着眼点をしてるじゃないか。特にあのジャブローの最新鋭部隊のオペレーターについては、俺も全くの同意見だ。」
不届きな噂話に花を咲かせていたノアとジョシュアの背後から、不意に、軽薄だがどこか人当たりの良い男の声が掛けられた。
2人が驚いて振り返ると、そこにはウェーブのかかった小洒落た茶髪に、同じく柔らかな茶色の瞳を浮かべた、一人の男が立っていた。
グラスを片手に、ニヤニヤと楽しげな笑みを浮かべている。
だが、2人の視線が男の制服の襟元へと向いた瞬間、満腹で弛緩しきっていた全身の筋肉が一気に強張った。
そこに鈍く光っていたのは、自分たちよりも階級が上であることを示す「曹長」の階級章だった。
「――っ! 失礼しました!」
ノアとジョシュアは慌てて持っていたグラスをテーブルに置き、直立不動の姿勢でピシッと敬礼を捧げようとする。
しかし、茶髪の曹長は「おっと、やめてくれよ」と苦笑いしながら、空いた手で2人の手を制した。
「そんなに固くならないでいい。ここは戦場じゃなくてパーティーの会場だ。お堅い上官たちの目を盗んで女の子の品定めをするっていう、兵隊の健全な娯楽を楽しんでいる最中なんだから。お互い、階級のことは忘れて気楽にやろう。」
男のどこか抜けた、しかし親しみやすい口調に、ノアとジョシュアは顔を見合わせ、ようやく少しだけ肩の力を抜いた。
「ありがとうございます、曹長。……自分はコジマ大隊第4小隊所属、ノア伍長です。こっちはジョシュア軍曹です」
「ノアにジョシュアか、よろしく。俺はデニス。デニス・バロウ曹長だ。気軽にデニスって呼んでくれ。」
デニスは気さくに自らの名前を名乗ると、一口シャンパンを煽った。
「デニス曹長……いえ、デニスさんは、どこの所属なんですか? 」
「俺かい? 俺は、はるばる海の向こう――ベルファスト基地からミデアに揺られてやってきた、ヨーロッパ代表の『SRT-ユニット1』さ。まあ、そこのモビルスーツパイロットをやらせてもらっている。」
「えっ、SRT……!?」
先ほどソウヤ中尉がバニング大尉に説明していた、あの「レビル将軍の懐刀」と呼ばれた広域特殊対応MS部隊。その精鋭の一人が、まさか自分たちと同じように鼻の下を伸ばして女の子の品定めに興じているという事実に、ノアとジョシュアは本日何度目か分からない驚愕に目を見張るのだった――。
デニスは手にしたグラスを持ったまま、自分のチームが陣取っている方向へと、ニヤニヤしながら顎をしゃくった。
「ほら、あそこ。あれがうちの『SRT-ユニット1』のメンバーだ。」
ノアとジョシュアがデニスの目線を追うと、少し離れたテーブルの周りで、熱心に何事かを話し合っている3人の男女の姿が視界に飛び込んできた。
まず目に留まったのは、金髪でブラウンの瞳をした、どこか少年らしさを残す童顔の男性だ。彼こそがユニット1の隊長、アラン・アイルワード中尉であった。
その隣には、濃い青色の長い髪を肩にかかる程度に自然に下ろし、前髪を少し長めに流した、清楚で可愛らしい印象のアジア系の女性が佇んでいる。
おっとりとした上品な雰囲気を纏う彼女は、上層部からも一目置かれる情報解析能力を持つオペレーター、ホア・ブランシェット軍曹だ。
そしてもう一人、明るいオレンジ色の髪を後ろで綺麗にまとめ、勝気そうな青い瞳を輝かせている少女がデニスの愚痴らしきことを言っていた。
彼女は元オーガスタ研所属のわがままな天才肌、リル・ソマーズ少尉である。
3人がそれぞれの個性を放ちながら談笑しているその一角は、華やかなレセプション会場の中でも一際、目を引く輝きを放っていた。
「うわ……本当だ。デニスさんのチームメンバー、めちゃくちゃ綺麗ですね。」
ノアが炭酸飲料のグラスを持ったまま、呆然としたように呟く。
「あの青い髪の女性なんて、お淑やかそうで最高じゃないですか。オレンジの髪の女の子も、ちょっとツンとした感じがそそるというか……。デニスさん、毎日あんな美女たちに囲まれて任務をこなしてるんですか? 羨ましすぎて、ハノイの密林にいるのが馬鹿馬鹿しくなってきますよ。」
ジョシュアも深く首を縦に振りながら、鼻の下を限界まで伸ばしてデニスのチームを凝視していた。
「だろ?まぁ、うちの隊長が童顔のせいで、いまいち威厳が出ないのが玉にキズだけどな。女の子のクオリティに関してだけは、このデニス・バロウが保証する。」
デニスはいたずらっぽく目を細め、グラスを軽く傾けながら2人に尋ねた。
「ところでさ、色々品定めをしておいてアレだけど、君たちの本当に『好み』の女性は、この会場の中にいるかい?」
ノアは少し悩むように視線を泳がせ、それから意を決したように、遠くのテーブルにいる青い髪の女性を指差した。
「自分は……あの、ホア・ブランシェット軍曹です」
「ほう、ホアか! 理由は?」
デニスが興味深そうに身を乗り出すと、ノアは熱を帯びた口調でその魅力を一気に語り始めた。
「あの濃い青色の長い髪を自然に下ろした、清楚で可愛らしい雰囲気が最高ですよ。大きな瞳と柔らかな微笑みが、親しみやすくて癒やされます。それに……あのスタイルです。スリムなのにジャケットの上からでも分かる柔らかそうで豊かな胸と、細いウエストのコントラストが素晴らしすぎます! 全体的に可愛さとセクシーさが同居してて……あのおっとりのほほんとしたお姉さん系な雰囲気で、日々の激戦の疲れを全力で癒やしてくれそうじゃないですか!」
息をもつかせぬノアの熱弁に隣のジョシュアは引き気味に苦笑していた。
しかし、当のホアを身近でよく知るデニスは、ノアの言葉を聞いてクスクスと肩を揺らし、同情を誘うような笑みを浮かべた。
「あはは! なるほどね、確かにおっとり癒やし系に見えるよな。……だが、ノア伍長。ホアにアタックするなら、一つだけ忠告しておくぜ。」
デニスはトーンを落とし、人差し指を立ててノアの鼻先に向けた。
「あの子、見た目はおっとりのほほんとしてるけど、中身はかなりの『天然系毒舌』だからね? 悪気ゼロの笑顔で、男のプライドをクリティカルヒットで粉々に砕くようなきつい一言をサラッと言い放つんだ。僕も何度あの笑顔の裏の毒舌に撃沈させられたか分からないよ。癒やされるどころか、心をハチの巣にされないように気をつけなよ?」
「えっ……天然、毒舌……?」
デニスのあまりにリアルな被害者の言葉に、ノアはショックを受けたように固まり、遠くで天使のように微笑んでいるホアの姿を、今度は少し怯え混じりの目で見つめ直すのだった。
デニスは次に、ニヤニヤとした笑みを崩さないまま、隣のジョシュアへと視線を向けた。
「それじゃあ、ジョシュア軍曹。君の『好み』の女性は誰だい?」
ジョシュアは待ってましたとばかりに、少し胸を張って、ホアの隣にいる明るいオレンジ色の髪の少女を指差した。
「自分は……あの、リル・ソマーズ少尉です。」
「おっと、今度はリルか!」
デニスは意外そうに眉をひねり、すぐに興味深そうに身を乗り出した。
「あの子を選ぶとはね、またなかなかに命知らずだ。理由は?」
デニスに理由を尋ねられたジョシュアは、会場の照明に照らされるリルの姿をじっと見つめながら、熱っぽく語り始めた。
「いや、だって容姿がすごく可憐じゃないですか。それに、あのスタイルです。胸は控えめなボリュームですけど、全体的にキュッと張りのある魅力的なバストラインをしています。それに、タイトなドレスの上からでも分かる、あの丸くプリッとした形の良いヒップが最高ですよ! あの可憐なボディラインでツンと澄まされたら、男としてはたまらないものがあります!」
ジョシュアの熱量のあるボディライン評価を聞いて、デニスは堪えきれずにクスクスと声を上げて笑った。
「あはは! なるほどね、確かにリルのスタイルは抜群だし、容姿も綺麗さ。でもね、ジョシュア軍曹。」
デニスはグラスを軽く回しながら、リルのいる方向を見つめて肩をすくめた。
「あの子、実はああ見えて良家のお嬢様なんだよね。だから育ちは良いんだけど……とにかく性格が気が強くて、少々わがままなんだ。あの可憐な見た目に騙されて近づくと、彼女のご機嫌取りで一日が終わるかもしれないぞ?」
「えっ……良家のお嬢様で、わがまま……女王様……?」
デニスのあまりに生々しい愚痴を聞かされたジョシュアは、遠くで腕を組んでツンと澄ましているリルの姿を見つめながら、ごくりと唾を呑み込んで圧倒されるのだった。
「それじゃあさ、デニスさんはこの会場ならどの女性が好みなんですか?」
ノアとジョシュアの2人が身を乗り出し、数々の修羅場を潜ってきた先輩パイロットへ逆質問をぶつけた。
デニスはニヤリと不敵な笑みを浮かべると、持っていたグラスで会場のさらに奥、特別枠として参戦している『ファントム・スイープ隊』のテーブルへと顎をしゃくった。
「俺か? 俺は断然、あのマオ・リャン少佐だね。」
2人がデニスの視線を追うと、そこにはダークグリーンの髪を高めの位置でまとめ上げ、紫色のシュシュで飾ったアップスタイルが印象的な女性が佇んでいた。
鋭くも色気のある目元と整った顔立ち。クールで自信に満ちた表情を浮かべる彼女は、周囲の並み居る男性士官たちを完全に気圧すような、凛としたオーラを放っている。
「ええっ!? あんなにキツそうな美人が好みなんですか!?」
ノアとジョシュアは思わず声を揃えて驚いた。
階級章を見れば自分たちより遥かに上の「少佐」であり、いかにも一筋縄ではいかなそうな苛烈な冷徹さを感じさせたからだ。
しかし、デニスは「分かってないなぁ」と人差し指をチッチッと横に振った。
「いいかい、君たち。あのマオ少佐のスタイルを見てごらんよ。胸は豊かで凄まじいボリュームがあるのに、ウエストは驚くほど細く引き締まっている。そこから丸みを帯びたヒップラインへと繋がる、あの豊満で魅力的なコントラスト……まさに大人のラグジュアリーボディさ。それにね。」
デニスは2人にさらに顔を近づけ、自信満々に声を潜めた。
「ああいうクールで完璧主義な大人の女性ってやつはね、一見すると氷の女王みたいだけど、一度心を開いて好いた相手の前では、とことん甘々にデレるものなんだよ。ギャップ萌えの最高峰さ。僕はあの鋭い瞳に睨まれながら、裏でこっそり甘えられたいね。間違いない、男のロマンだ!」
「おおお……!」
「なるほど、デレた時の破壊力……! 深すぎる……!」
デニスのあまりに熱い「デレ理論」に、ノアとジョシュアの2人はまるで人生の心理を教わるかのように、深く感心して目を輝かせた。
「ふん。お前たちのチョイスも悪くはないが、女を見る目に関しては、まだまだ青二才の若造だな。」
「「「――っ!?」」」
突如として背後から響いた、低く、重厚で、絶対的な威厳を持つ男の声。
3人が弾かれたように振り返ると、そこにはいつの間にか、グラスを片手にしたサウス・バニング大尉が不敵な笑みを浮かべて立っていた。
トリントン基地お抱えのテストパイロットチームの隊長であり、この競技会の「調整役」として特別に参加しているベテランの登場に、デニスも含めた3人は一瞬で直立不動の姿勢を取った。
「バ、バニング大尉……!」
「そんなに固くなるな。今はただの酒の席だ。」
バニングはフッと鼻で笑い、一口琥珀色の液体を喉に流し込んだ。
ジョシュアがごくりと唾を呑み込み、恐る恐る尋ねた。
「あの……それじゃあ、バニング大尉なら、この会場の誰が良いんですか?」
デニスとノアも、百戦錬磨のベテランが一体どんな女性を選ぶのかと、興味津々で耳を傾ける。
バニングはニヤリと笑うと、言葉で答える代わりに、遠くの壇上付近へと静かに目線をやった。
3人の視線がその先へと吸い込まれる。
バニングの目線の先にいたのは、競技会の主催者であるジョン・コーウェン中将のすぐ側に寄り添い、静かに書類を確認している女性――専属補佐官のレーチェル・ミルスティン中尉であった。
明るいブロンドのウェーブがかかったセミロングヘアを優雅に流し、知的な印象の細フレームの眼鏡をかけた美しい容姿。
青い瞳と落ち着いた大人の魅力があふれる表情、そして柔らかな唇が特徴的で、聡明さと色気を兼ね備えたフェミニンな顔立ちをしている。さらに、制服の上からでもはっきりと分かるそのスタイルは、若者たちには真似できない、グラマラスで成熟した大人の女性らしい極上のプロポーションを誇っていた。
「……レーチェル、中尉……。」
ノアがその圧倒的な美しさに息を呑む。バニングはグラスを軽く揺らしながら、若き兵士たちを見遣って渋く語り始めた。
「……いいか、よく見てみろ。」
バニングはグラスを傾けたまま、声を潜めて語り始めた。
その視線は、コーウェン中将の傍らで整然と執務をこなすレーチェル・ミルスティンから外れない。
「あの灰色の軍服風のタイトなジャケットとスカートの制服……。一見すると堅物なキャリアウーマンの装いだ。だが、あの豊満な胸はどうだ? 制服の胸元をこれでもかと大きく押し上げて、ボタンの周りがきつそうに見えるほどのボリュームを誇っている。それでいてウエストは綺麗にくびれており、タイトスカートに包まれたヒップは丸く肉付きの良い、プリッとした魅力的な曲線を誇示している。すらりと伸びた長い脚も含めて、全体としてバランスの取れた、セクシーでエレガントな極上のボディラインだ。」
あまりに理路整然とした、かつディテールに拘り抜いた肉体評価に、3人は完全に圧倒されていた。
「さらに言えばだ。」
バニングは不敵に唇の端を上げる。
「あの眼鏡をかけた知的な雰囲気と、軍人らしい凛とした立ち姿。あの聡明な大人の女性が持つキャリアウーマン的な色気こそ、お前たちのような青二才にはまだ早い、本物の男が辿り着く究極のロマンというやつさ。」
「……深すぎる。」
「さすが大尉、戦術眼だけじゃなく、女を見る目もベテランの領域だ……!」
デニス、ノア、ジョシュアの3人は、まるで戦場での必勝の鉄則でも授かったかのように、深く感心して何度も首を縦に振った。
「いや、でも待ってくださいよ!」
バニング大尉の完璧な「眼鏡お姉さん理論」に一度は圧倒されたノアだったが、ここで若さゆえの反骨心に火がついた。
ノアは持っていた炭酸飲料のグラスをテーブルにコトッと置くと、身振り手振りを交えて熱弁を再開した。
「バニング大尉の言う成熟した魅力も分かります。分かりますけど、やっぱり俺はあのホア軍曹の『おっとりのほほんとした癒やし系』を推します! どんなにきつい戦場から帰ってきても、あの柔らかそうな胸と大きな瞳で微笑みかけられたら、それだけでパイロットは救われるんですよ! 毒舌だろうが何だろうが、あの癒やしの前には些細な問題です!」
「甘いな、ノア。」
その言葉に、今度はジョシュアが即座に異議を唱えた。
「癒やしなんて実戦じゃ何の役にも立たないだろ! 男なら、あのリル少尉みたいな『ツンとした可憐さ』を強引に捩じ伏せて、あのプリッとしたヒップをこちらに向かせるくらいの方が、よっぽど操縦のモチベーションが上がるってもんだ。わがままなお嬢様を乗りこなしてこそ、一人前のエースだろ!」
「ハハハ! 2人とも全然見当違いのコースを走ってるな。」
デニスがグラスを回しながら、2人の意見を鼻で笑った。
「ホアの毒舌に凹まされ、リルのわがままに振り回されるなんて、ただの自傷行為さ。やっぱり男なら、あのマオ少佐のような氷の女王が、2人きりになった瞬間に自分だけに『とことんデレる』究極のギャップを狙うべきなんだよ。あの豊満なボディで甘えられた時の破壊力を、君たちはまだ分かってない!」
「フン、どいつもこいつも目先の刺激に惑わされおって。」
最後にバニング大尉が、腕を組んでフッと冷たい笑みを漏らした。
「お前たちの言うギャップやわがままなんてものは、若さという名のただの錯覚だ。戦場を生き抜いた男が本当に求めるべきは、レーチェル中尉のようなタイトな制服に包まれた極上のボディラインと、あの知的で凛とした立ち姿……すなわち『完成された大人の包容力』だ。これ以上の正解は無い。」
「「「いやいやいや!!」」」
言い出しっぺのノアを筆頭に、4人は誰一人として譲る気配を見せず、酒の席特有の不毛で、しかし本人たちにとっては極めて重大な「女性の好み議論」へと本格的に突入していった。
模擬戦であれほど緊迫したドッグファイトを繰り広げ、明後日からは各方面軍の看板を背負って激突するはずのパイロットたちが、グラスを片手に「癒やし系」「ツンデレ」「クーデレ」「大人の色気」について真剣な顔で火花を散らしている。
そんな男たちの熱い戦いを、少し離れたビュッフェテーブルの側から冷ややかに見つめている視線があった。
「……やれやれ。」
テリー・サンダースJr.軍曹は、手に持ったグラスを弄びながら、心底呆れ果てたというように深い溜息を漏らした。
あれほど凄まじい鬼の気迫を見せていたトリントン基地のエースであるバニング大尉が、他部隊の曹長やうちの不真面目コンビを従えて、一体何を熱弁しているのかと思えばこれだ。
「どこの方面軍も、戦場を一歩降りれば似たようなものだな……。」
サンダースは、呆れ半分、微笑ましさ半分の複雑な表情で頭を振りながら、再びジョシュアたちが山盛りに残していったローストビーフの皿へと視線を戻そうとした。
次の瞬間、サンダースは怯んだ。
「――っ!?」
数々の激戦を潜り抜けた、サンダースの巨体が本能的な恐怖で僅かに後ろへ退いた。
ローストビーフの皿へと向けかけた視線は、会場の通路からノアたちの背後へと向かう「4つの影」に完全に釘付けになる。
そこには、凄まじい怒気を放ちながら、眉間にくっきりと青筋を立てて進軍してくる4人の女性たちの姿があった。
かなりのご立腹、いや、すでに周囲の空気が凍りつくほどの殺気を放っている。
戦場のジオン軍エースを前にしてもこれほど怯まないであろうサンダースだったが、そのあまりの恐ろしさに、ただ遠くから息を呑んで見守るしかできなかった。
そんな周囲の静まり返る気配にも気づかず、ノアたち4人は未だに熱い議論を交わしていた。
「だから大尉、眼鏡お姉さんの包容力は認めますけど、やっぱりホアさんの癒やしが最強なんですって!」
「いやいや、リルのプリッとした尻を――」
「――そこまで熱心に私たちの『品評』をしていただけるなんて、本当に光栄ですね。皆様?」
議論に夢中になっていた4人の後ろから、不意に、背筋が凍りつくような冷ややかな女性の声が響いた。
おっとりのほほんとした響きを残しながらも、完全に温度の消え失せたその声の主は、ホア・ブランシェット軍曹だった。
「ひっ……!?」
4人が心臓を跳ね上がらせ、恐る恐る、錆びついた人形のような不格好な動きで一斉に後ろへと振り向いた。
そこには、デニスたちのいた方向から歩いてきたホア、リル、マオ、そしてコーウェン中将の側からいつの間にか移動してきていたレーチェルの4人が、並んで立っていた。
4人とも、眉間に綺麗な青筋をこれでもかと立てながら、瞳の奥が一切笑っていない「完璧な笑顔」を浮かべてノアたちを見下ろしている。
「私を乗りこなす?良い度胸してるじゃない、軍曹。私はデリカシーゼロな男はノーサンキューなのよ。」
「リ、リル……少尉、これはですね……!」
「ほお、私が好いた相手にはとことんデレる、か……。デニス曹長、その『デレ』とやらを今ここで、私の手で徹底的に叩き込んでやろうか?」
「ま、マオ少佐……! 誤解です、自分の溢れんばかりの敬意がですね……!」
「ノア・ヴェルナー伍長。東南アジアでの第4小隊の活躍は伺っていましたが、地球連邦軍の軍紀を『容姿のコントラスト』で計るような不届き者が我が軍にいるとは思いませんでした。明日からの競技会、相応の覚悟をして臨んでくださいね?」
「ア、アァ……」
「……バニング大尉。テストパイロットチームの隊長ともあろうお方が、他部隊の若い兵を従えて、私の制服の『ボタンのきつさ』について熱弁ですか。ジャブローのコーウェン中将に、素晴らしい戦術論として今すぐ報告書を提出して差し上げましょうか?」
「レ、レーチェル中尉……それだけは勘弁していただきたい……」
つい先ほどまで「癒やし系」「ツンデレ」「クーデレ」「大人の包容力」を熱く語っていたはずの男たちは、今や完全に蛇に睨まれた蛙のように縮こまり、額から大量の冷や汗を流しながら、この世の終わりを迎えたような顔でただ震えるしかなかった。
遠くからその様子を眺めているサンダースは、十字を切るようにして静かに目を閉じ、男たちの冥福を祈るのだった。
最後まで寛大な心で読んでくださり、本当に!本当に!ありがとうございます!( ノ;_ _)ノ
バニング大尉、デニス曹長、ジョシュア軍曹、ノア伍長の熱い戦いはどうでしたか?
楽しんでもらえたら、本当に嬉しいです!
いやー、バニング大尉とデニス曹長がいるなら、こんなふざけた話を書きたいなと衝動に襲われて、書いてしまいました。
タグに「硬派」て、タグしているのに書いてしました!
本当にすいません(汗)
たまに、ギャグを挟まないと死んでしまうので許してください!
ではでは、次は展示会の話です。
お楽しみ~♪
原作キャラクター紹介
アラン・アイルワード
階級 少尉→中尉
原作 MS戦線0079
デニス・バロウ
階級 曹長
原作 MS戦線0079
リル・ソマーズ
階級 准尉→少尉
原作 MS戦線0079
ホア・ブランシェット
階級 伍長→軍曹
原作 MS戦線0079
レーチェル・ミルスティーン
階級 中尉
原作 ガンダム戦記 Lost War Chronicles
【機動戦士ガンダム オリオンの軌跡】に登場するオリジナル機体で好きな機体はなんですか?
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陸戦型ジム改
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バイアリーターク
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ペイルライダー・ヴァンガード
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ペイルライダー・マスケッティア
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ヴァルキリー
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グフ・ノクターン