トリントン基地演習場
遮蔽物代わりの巨大なコロニー残骸があちこちに転がる乾いた荒野は、真昼の苛烈な太陽の下、激しい陽炎を立ち上らせていた。
空気が歪み、視界さえ揺らぐほどの熱波が、今日ここで行われる最初の激突を予感させるように赤茶けた大地で渦を巻いている。
昨日までの華やかな展示会の喧騒は嘘のように消え失せ、今や基地全体が張り詰めたミリタリーの熱気に包まれていた。
演習場の周囲に急造された観覧席や管制テントでは、各方面軍の関係者やパイロットたちが戦況モニターへと釘付けになっている。
基地所属の兵士たちも、食堂や待機所、会議室のスクリーン前にすし詰め状態で群がり、誰もが固唾を呑んで息を潜めていた。
そして、その赤い大地の遙か上空。重低音の稼働音を響かせて浮遊する漆黒の強襲揚陸艦『バイアリーターク』が、演習場全体を見下ろすように悠然とその巨体を晒していた。
静まり返った艦内ブリッジの艦長席には、クリフトフ・ハーツクライ中佐が、いつもの飄々とした姿勢で深く腰を沈めている。
そのすぐ傍らには、背筋をピンと伸ばしたジョン・コーウェン中将が、軍上層部らしい重厚な威厳を纏って直立していた。
中将の視線は、ブリッジの大型メインスクリーンに映し出される演習場の赤い大地に向けられている。
昨日、自らこの地に招いたあの「歴史の証人」たる英雄の言葉が、まだ耳の奥に残っているかのように、その眼光は鋭い。
「……始めるか。」
コーウェン中将が低く、しかしよく通る声で呟いた。
ハーツクライ中佐は穏やかな微笑みを浮かべたまま、ゆっくりと頷く。
細身で肩幅の広い長身を艦長席に預けた姿勢のまま、中佐は視線だけを隣のオペレーター席へと移した。
「ナタリア、競技会Aグループ第一試合開始まで5分前。全関係者および両小隊へ合図を。」
「了解しました、艦長。」
ナタリア・アルスター中尉は即座に返事し、メインコンソールを素早く操作した。眼鏡の奥の瞳は冷静そのもので、その声には一切の揺らぎがない。
「Aグループ第一試合、開始まで5分です。コジマ大隊第4小隊およびシャンシー独立重機化小隊は指定位置へ移動してください。観覧者は安全ラインを厳守願います……通信送信完了。」
彼女の声がブリッジ内に響き渡り、同時にトリントン基地全域のスピーカーと、出撃を控えた両小隊のコックピットへと届けられた。
コーウェン中将はメインスクリーンをじっと見つめたまま、わずかに口元を緩める。
「君の目から見て……どうだ? どちらが勝つと思う?」
ハーツクライ中佐は一瞬、目を細めてスクリーンに映る2機のモビルスーツ――深緑のスライフレイルと、白・青・赤のトリコロールカラーのガンダム――を眺めた。
長身を預けたまま、しかしその声には絶対的な確信が籠もっていた。
「第4小隊、ソウヤ・タカバ中尉の勝利でしょう。スライフレイルは単なる現地改修機ではありません。対するユーラシアの機体は……外装こそ派手ですが、中身は飾り立てただけのハリボテです。虎の威を借る狐が本物の虎に勝てるはずがない」
コーウェン中将は小さく鼻を鳴らし、しかし否定はしなかった。
「……ずいぶんと自信満々だな。」
ハーツクライ中佐は静かに微笑んだ。
「ええ。ソウヤは、本当に強いですから。」
中将は昨日、ハヤト・コバヤシが語った言葉を思い返し、深く納得するように再びメインスクリーンへと視線を戻した。
メインスクリーンの赤い大地に、2機のモビルスーツが遠く対峙する姿が拡大表示されていく。
深緑の森林迷彩に包まれた『スライフレイル』と、白・青・赤の派手なトリコロールカラーを纏った『ガンダム』。
演習場の広大さゆえ、まだ肉眼では互いの姿を確認できないほどの距離が取られている。ハーツクライ中佐は穏やかな微笑みを浮かべたまま、静かに言った。
「本物のサラブレッドと、飾り立てただけのハリボテ……。このレースで勝つのは、間違いなく前者だ。ソウヤ・タカバ中尉が勝ちますよ。」
コーウェン中将が横目で艦長を見ると、ハーツクライは静かに頷き、その知性的な瞳で出走の瞬間をじっと見据えた。
演習場指定位置
『スライフレイル』のコックピット内。ソウヤは操縦桿を握る手にわずかに力を込め、メインモニターの拡大映像で、遠く対峙する白い機体を真っ直ぐに捉えていた。
広大なトリントン基地の演習場ゆえに直接の肉眼視認は不可能だが、高性能なセンサーとカメラの走査線だけが、相手の位置をスクリーンに伝えている。
(……来るな。)
昨日の展示会で、ハヤト・コバヤシの圧倒的な格の前に晒された恥辱。
それらが今、シャンシー独立重機化小隊の白い機体から、押し潰すような激しい殺気となって演習場全体に溢れ出ているのを、ソウヤは肌で感じ取っていた。
「全機、戦闘態勢。サンダース軍曹、ジョシュア――俺があのガンダムを相手にする。奴は間違いなく俺を最優先で狙ってくるはずだ。2人は残りの2機を頼む。」
「了解、タカバ中尉。任せてください。」
「了解です! こっちは問題ありませんよ!」
テリー・サンダースJr.軍曹の陸戦型ガンダムと、ジョシュア・ウィルソン軍曹のジム・キャノンから、頼もしい返事が即座にスピーカーを介して戻ってきた。
ソウヤは手元のスイッチを弾き、さらに通信チャンネルを切り替えた。
「エミリア、ノア。ホバートラックは指定位置で固定。エミリア、アンダーグラウンド・ソナーでの敵の位置探知を頼んだ。」
ホバートラックの運転席から、ノア軍曹の明るい応答が跳ねる。
「了解! アンダーグラウンド・ソナー固定します!」
コンソール席に座るエミリアが、凛とした落ち着いた声でそれに続けた。
「了解しました、隊長。ソナーの展開を開始します。相手の動きを逐一お伝えしますね。お気をつけてください。」
「ああ、頼む。」
ソウヤが短く答えた、まさにその時。オーストラリアの青い空と赤い大地を完全に切り裂くように、トリントン基地全域のスピーカーから試合開始を告げる大音量のアナウンスが響き渡った。
白・青・赤の派手なトリコロールカラーを纏った『ガンダム』のコックピット。
ボリス・ソコロフ中尉は、奥歯が砕け散らんばかりに強く食いしばり、操縦桿を握りしめていた。
昨日、大衆の面前であの――ハヤト・コバヤシ本人に「ひどいハリボテ」と断言され、ユーラシア全軍の嘲笑の地獄へと叩き落とされた、あまりにも凄惨な屈辱が胸の奥で真っ黒に煮えたぎっている。
「……あの東南アジアの腰抜け野郎。昨日は大勢の前でよくも俺を辱めやがって。今日こそ完膚なきまでに叩き潰してやる。」
握った操縦桿が軋むほど力を込める。ジムの軽量フレームに、陸戦型ガンダムの駆動系を移植したこの機体は、カタログスペックの上では決して低くはない。だがボリスにとって、これは単なる兵器ではない。
『ガンダム』であることそのものが、彼の歪んだ自尊心の全てだった。
そこへ、冷徹なノイズを混じらせた通信が割り込んできた。
「ボリス中尉、いつも通りだ。貴様の機体が先陣を切って敵を撹乱しろ。後方から私たちが援護する。」
小隊長であるチェン・ウェイ大尉の、温度の無い声だった。ボリスは不敵に口の端を歪めて笑った。
「了解……! この俺のガンダムで、あいつらの薄汚い機体を一方的にダウンさせてやりますよ、大尉。」
チェン大尉はわずかに声を低くし、機体の骨格を見上げるような調子で言葉を継いだ。
「陸戦型ガンダムのパーツを高い金を払ってかき集め、その機体を改造したんだ。頼んだぞ、ボリス。」
「ええ。この機体を作ってくれたからには、それ相応の働きをしてみせますよ。」
ボリスが自信たっぷりに言い返すと、上官であるチェン大尉は冷ややかに釘を刺した。
「ふん。ジオン残党どもなら、その機体の姿を見ただけで震え上がり、楽に狩れただろうが……今回は競技会だ。ジオン相手ならその威嚇は効果があるが、同じ連邦の精鋭だ。ガワの見た目など誰も怖がりはしない。期待するなよ。」
「ふん、心配無用です。」
ボリスはチェン大尉の懸念を鼻で笑い飛ばした。
「自分はあのア・バオア・クーの地獄から生還した男ですよ。あんな地上の密林を這いずり回っているだけのパイロットに、遅れをとるはずがありません。」
その時、トリントン基地全域、そして各機のコックピットへ同時に非情な秒読みが響き始めた。
『Aグループ第一試合、開始まで10……9……8……』
ボリスとチェンは不毛な会話を完全に切り、スロットルレバーと操縦桿を限界まで握りしめた。
ユーラシアの威信と、踏みにじられたプライドをかけた戦いが、目の前に迫っている。
『5……4……3……2……1……』
『――Aグループ第一試合、戦闘開始!』
けたたましいサイレンが広大な演習場に鳴り響いた。
次の瞬間、両小隊の合計6機のモビルスーツが赤い大地を激しく蹴り、真昼の灼熱の陽炎を引き裂きながら、一斉に砂塵を巻き上げて前線へと駆け出した。
シャンシー独立重機化小隊は、ボリス・ソコロフ中尉のトリコロールカラーの『ガンダム』を先頭に、コロニーの巨大な残骸を巧みに利用しながら慎重に前進を開始した。
派手なカラーリングの機体が、鉄骨の不気味な影から影へと移動する姿は、これまでの泥臭いジオン残党掃討を勝ち抜いてきた、獰猛な狼の群れを思わせた。
「索敵を徹底しろ。奴らは密林戦の専門家だ。どこかに潜んでいるはずだ。」
ボリスが低く唸るように通信を飛ばす。
コックピット内でメインモニターを凝視し、辺りを見回すが、遮蔽物の多さと激しい陽炎の影響で、直接の視認は難しい。
小隊長であるチェン・ウェイ大尉の量産型ガンキャノンが後方でがっしりと援護位置を取りながら、頭部のレーダーコンソールをフル稼働させていた。
「……レーダー反応あり。北東方向、距離約2.8キロ。」
チェン大尉が即座に報告した。
ボリスたちがその方向へ機体を向け、一気に間合いを詰めようとした。
まさにその瞬間――ドォンッ!!
空気を引き裂く重い砲撃音が、広大な演習場に轟き渡った。
「――っ!?」
「散開しろ!」
ボリスが叫ぶと同時に、3機のモビルスーツは慌てて左右へと飛び退いた。
直後、彼らが先ほどまで進軍していたラインのすぐ近くに、巨大な土煙と凄まじい爆炎が巻き上がる。演習用のペイント弾とはいえ、着弾の衝撃で周囲の赤い砂塵が激しく舞い上がった。
チェン大尉の量産型ガンキャノンが素早く姿勢を低くし、残骸に背を預けながら通信を飛ばす。
「おかしいな。センサーの有効半径はこっちが上だぞ。向こうの陸戦型ガンダムやジム・キャノンより、俺のガンキャノンの方が索敵範囲は広いはずだ。……それなのに、こちらの感知外から完全に先制を食らった」
ボリスはコックピットの中で激しく舌打ちを漏らした。
トリコロールカラーの機体が、残骸の陰に強引に身を寄せながら苛立ちを露わにする。
「チッ……先制攻撃だと? ふざけるな! 所詮は東南アジアの腰抜け小隊が、運良く一発当てただけだ!」
僚機のジム改も、着弾点の衝撃波でわずかに体勢を崩しながら、ノイズ混じりのイラついた声で応答した。
「中尉……奴ら、かなり距離を取って待ち伏せていたようです。こちらの動きを、完全に先読みされている……!」
チェン大尉はモニターのノイズを払い、声音にわずかな苛立ちを滲ませた。
「過信するなと言ったはずだ、ボリス。……次はこっちが叩く。突撃のタイミングを計れ。」
「分かってますよ……!」
ボリスは操縦桿を強く握りしめ、歯を食いしばった。
敵の姿すら見えない段階で初手を奪われ、先制の一撃を浴びせられた屈辱が、昨日ハヤト・コバヤシに晒した恥辱と重なり、彼の狂気的な苛立ちをさらに激しく煽り立てていた。
しかし、ボリスたちの周囲に容赦のない一方的な砲弾が降り注ぎ始めた。
ドン! ドン! ドドン!!
赤い大地が次々と抉られ、土煙と砂塵が激しく舞い上がる。
演習用ペイント弾とはいえ、至近への着弾がもたらす激しい衝撃波が機体を激しく震わせ、コロニーの残骸に叩きつけられた金属破片が、耳障りな音を立てて辺りに飛び散った。
「くっ……!」
ボリスは操縦桿を握りしめ、トリコロールカラーの『ガンダム』を残骸の陰に押し込むようにして耐えた。
メインモニターが衝撃のたびに激しく明滅する。
「これだけ正確に撃ち込まれているなら、こちらの位置が完全に特定されている! どういうことだ、大尉!?」
ボリスが苛立った声を上げた。上官であるチェン・ウェイ大尉の量産型ガンキャノンも、素早く強固な遮蔽物へ退避しながら、機体ログを走らせて必死に分析を試みる。
「……この砲撃の初速、弾道はジム・キャノンだ。我が量産型ガンキャノンよりもセンサー性能が低いはずの機体が、どうしてここまで正確にこちらの位置を射抜いてくる……?」
チェン大尉も珍しく、余裕のない戸惑いの声を漏らした。自身のガンキャノンが誇るセンサー有効半径が優位のはずなのに、先手を取られ、しかも的確に遮蔽物の裏まで追撃されている。
その計算の合わない事実に、コックピット内の苛立ちが募る。
その時、砲撃音がさらに近くなり、密度を増した。
ドドドンッ!!
「まだ来るか!」
ボリスが身を隠しながら、砲撃の方向へ無理やりメインカメラを向けた。
激しく巻き上がる土煙の向こうから、2機の影が残骸の隙間を縫うように接近しながら、射撃を続けているのが確認できた。
1機は、取り回しの良いロケット・ランチャーを担いだ陸戦型ガンダム――テリー・サンダースJr.軍曹機。
もう1機は、右肩の240mmキャノン砲をがっしりと構えたジム・キャノン――ジョシュア・ウィルソン軍曹機。
2機は互いに美しい連携を取りながら、弾幕の隙間を埋め合うようにして、着実にこちらとの距離を詰めてきていた。
サンダースのロケット・ランチャーが低く唸りを上げて爆煙を呼び、ジョシュアのキャノン砲が連続して火を噴く。
ボリスは歯ぎしりをしながら、自慢の『ガンダム』のビーム・ライフルを構え直した。
昨日まで抱いていた「地上の這いずり回りども」への圧倒的な優位意識が、目に見える恐怖となって急速に崩れ始めていた。
特設観覧席の一角
南米代表『赤い三巨星』の面々は、空いている席を探しながら列の間を歩いていた。
すると、トリントン基地所属のサウス・バニング大尉が、部下のディック・アレン中尉やフェデリコ・カークス中尉を連れて座っているすぐ隣の席が空いているのが目に入った。
「どうも、バニング大尉。」
金髪のラルフ・ザブカ中尉が軽く手を上げて声をかけた。
バニングは戦況モニターから視線を外し、こちらを向いた。
百戦錬磨の強者らしい落ち着いた表情で軽く頷く。
「ラルフ中尉か。」
ラルフは穏やかな笑みを浮かべて続けた。
「機体調整のための模擬戦闘でお世話になりました。おかげで俺たちの機体の最終チューニングが上手くいきましたよ。……隣、座っても構いませんか?」
バニングは一瞬だけモニターに目を戻してから、淡々と答えた。
「ああ、構わない。座ってくれ。」
「ありがとうございます。」
ラルフが礼を言い、部下たちと共に空いている席に腰を下ろした。
マロビ曹長とウィリアム軍曹も続いて座る。
大型モニターでは激しい土煙が上がり続け、コジマ大隊第4小隊の精密な砲撃がシャンシー独立重機化小隊を執拗に苦しめていた。
その一方的な展開に、カークスが感心したように呟いた。
「先制攻撃が完全に効いていますね。」
バニングは腕を組んだまま、ベテランらしい淡々とした口調で分析を述べた。
「ホバートラックのオペレーターの練度がかなり高いな。あの正確な砲撃修正と、ソナー分析能力……特にアンダーグラウンド・ソナーの読みが鋭い。シャンシーの奴らの位置をいち早く特定し、的確に射撃修正を入れている。支援車両の役割を完璧にこなしている証拠だ。」
アレンが隣で深く頷いた。
「エミリア・ドットナー准尉……でしたか。補佐官としてだけでなく、電子戦や索敵面でも極めて優秀ですね。」
隣でその分析を聞いていたマロビ曹長が、身を乗り出して興奮気味に反応した。
「へえー! あの緑の陸戦、意外とやるじゃない! でもあたしたちCグループだから、ソウヤたちAグループとは決勝リーグまで当たらないんだよね? ――ふふん、同じ陸戦型ガンダムベースの機体を預かる身としては、絶対に負けられないわね!隊長!」
ラルフが苦笑しながらマロビの肩を軽く叩いて窘めた。
「マロビ、まずは自分たちのグループを勝ち抜いてからの話だ。……それにしても、バニング大尉の言う通りなら、第4小隊の連携は本物だな。支援車両込みでここまで完璧に統制が取れていると、戦う側としては非常に厄介な相手になる。」
バニングは静かにモニターの奥で激しく上がる爆煙を見つめ、わずかに口元を緩めた。
「そうだな。相手を殺さずに最前線で戦い続ける『覚悟』があるだけのことはある。」
しばらくモニターを見つめていたラルフが、ふと切り出した。
「バニング大尉、率直に伺いますが……シャンシー独立重機化小隊と、第4小隊の練度をどう見ていますか?」
バニングは小さく鼻を鳴らして笑った。
「ほう。俺から情報収集か?」
ラルフは苦笑しながら肩をすくめた。
「そういうところです。……我々も参考にしたいので。」
バニングは仕方なさそうにため息をつきながら、淡々と答えた。
「シャンシーはまあまあ腕は良いが、お前達よりも全体的にレベルが低い。ただ、ボリス・ソコロフ中尉はア・バオア・クー帰りだけあって、操縦技術自体はかなり高い。単純な機体操作だけで言えば侮れない相手だ。」
後ろの席からウィリアム軍曹がサングラスを直しながら、愚痴るように言った。
「はあ……流石はア・バオア・クー帰りか。あのハリボテを動かすだけの腕はあるってわけですか。」
バニングは小さく笑った。
「ア・バオア・クー帰りだからといって過大評価するな。俺との機体調整の模擬戦では負けている。それに……俺もタカバもア・バオア・クー帰りだぞ。」
その言葉に、赤い三巨星の面々が一瞬で固まった。
「えっ……!?」
マロビ曹長が目を丸くして身を乗り出した。
「タカバ中尉も……バニング大尉も、ア・バオア・クー帰りだったの!?」
ラルフも驚きを隠せずにバニングを見つめた。
「それは初耳です……。本当ですか?」
バニングは静かに頷いた。
「ああ。本人はあまり触れたがらないようだがな。」
観客席では、ラルフが未だ驚きの表情を浮かべたままバニングを見つめていた。
「タカバ中尉までア・バオア・クー帰りだったとは……。地上のオデッサだけじゃなかったのか…。」
マロビも珍しく目を丸くしている。
「マジで!? あの生真面目そうな顔して、そんな凄まじい修羅場くぐってたの!?」
バニングはそんな彼らの反応を横目に、モニターへ視線を戻した。
すると、戦況が明確な殺気を孕んで動き始めていた。
「……第4小隊が仕掛けるぞ。」
その一言に全員の視線が再びスクリーンへと吸い寄せられる。
ジョシュアとサンダースの猛烈な面圧砲撃によって、シャンシー隊の射線と注意が完全に前方へと釘付けにされたその一瞬。
赤い大地の爆煙とコロニー残骸の深い影を縫うようにして、これまで息を潜めていた「緑の狩人」が、驚異的な爆発力でその牙を剥き出しにしようとしていた。
最後まで読んでくださり、誠にありがとうございます。
遂に競技会が開始しました!
12の部隊の熱い戦いが繰り広げられることになります!
さてさて、どこの部隊が勝つかを予想してみてくださいね。
では、次の話もお楽しみに!
【機動戦士ガンダム オリオンの軌跡】に登場するオリジナル機体で好きな機体はなんですか?
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陸戦型ジム改
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バイアリーターク
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ペイルライダー・ヴァンガード
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ペイルライダー・マスケッティア
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ヴァルキリー
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グフ・ノクターン