格ゲーの悪の組織のナンバー2やってます   作:テムテムLvMAX

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お前ふざけんな投げキャラの星にして人間の屑


11コンボ目 耐えて投げれば大体勝てます

 テキサス支部の中は……広い。

 

 天井にはシャンデリア、床にはレッドカーペット、内壁は全て白一色で差し色に赤薔薇が飾られていてシンプルながらも高級感がある。

 

 ただ各扉前にスネに傷がありそうなドミニオンで採用した黒服とは違う本物の黒服、マフィアたちが銃を両手に見張り番しているのは心臓に悪い。

 

 

「なんかビビってんの?」

 

「そんなことはない……ない……」

 

「パンピー如きにビビってんの〜? ナンバー2たる者がぁ〜? ぷーくすくす!」

 

「おめーお兄さん怒らせると怖いんですよ、下手なからかいはやめたほうが良いですよ?」

 

「あっ……うっす……」

 

 

 なんかリヴィが張り切ってからアンヌの俺の見る目変わっちまったなぁ……きっとアンヌはリヴィより俺が強いとか思ってるんだろうなぁ……大丈夫だよこの中だと俺が一番弱いからさ……サイキックパワーで小細工出来るだけで正面戦闘はからっきしさ……

 

 だからお願いだよアンヌそんな化け物を見るような目で俺を見ないで……視線が痛い。

 

 

「ストォーップ! お客さんかい!」

 

 

 突然大声で呼び止められた、声に続いてズンズンと背後から足音と共に大男が俺たちに近寄ってきた。

 身長は2メートルを超え、全身余す所なく大きく仕上がった筋肉に覆われている、当然着ているタンクトップもパツパツでまるで服の虐待だ。

 

 この男、凶悪な体つきと裏腹に優しげな目をしている、スキンヘッドなのは恐らく趣味なこの男こそ悪名高きヒールレスラーファッツマン、その人なのである。いいね、いかにも投げキャラの風格を感じるよ、実感投げキャラだった。

 

 こうして話す分には優しいおじさんだったのは、知らなかったけどね。

 

 

「よぉ……そっちの小さい女の子は……四天王のリヴィかな? 写真と同じく愛らしい人だね! ハッハ!」

 

 

 豪快に笑うなぁ、節々に優しさが滲み出るというか、子供には優しいんだろうなって感じがする、まぁなんというか子供扱いされたリヴィの殺気を物ともしない胆力があるってだけで恐ろしい相手だよ。

 

 

「む〜っ! 子供扱いとは度胸あるですね!」

 

「これは失礼っ! むっははは! 私にも娘がいましてね! ついうっかりそう扱ってしまった! すまん!」

 

「……やりづらーい、ってアンヌ? なんで固まってんです?」

 

 

 リヴィの言う通りアンヌが大男を見て停止してしまっていた、なんかこう驚きすぎて思考が追いつかない時の強張った顔で大男から目を離さないまま、しばらくして動き出す。

 

 

「えっと……まさかと思うんだが……元プロレスラーのファッツマンさん?」

 

「あぁ! その通り! と言うかまだ名乗ってなかったなぁ! すまない!」

 

「ひぃぃぃぃ……!」

 

 

 ファッツマンにビビったアンヌが俺の背に隠れて出てこなくなった、ファッツマンは今のところ人当たりの良い気さくなおじさんだが……一体何処にビビったんだ? 

 

 

「ナナナ……ナインライン! ファッツマンってヒールプロレスラーだそっ!」

 

「あぁそうだな」

 

「全米最強のプロレスラーだぞ! サインとか! この私がテキサスで暴れていたときのトップレスラーだぞ! サインとか!」

 

 

 アンヌってプロレス好きだったんだ……

 

 アンヌがファッツマンにサインを貰いながら話をするために悪の組織らしく暗幕の下ろされた円卓のある会議室に移動した。

 

 趣味がいいな、椅子はカー用品を存問にするメーカーのゲーミングチェアで俺も使っているタイプだ、この部屋を設えた者とは気が合いそう。

 

 

「改めて! ア〜イム、ファッツマン! お見知り置きを!」

 

 

 ファッツマンが満面の笑みで力こぶを作って見せてくれる、アンヌは限界オタクみたいに口を手で押さえて涙目である、そんなに好きだったのアナタ……? 

 

 

「……で、そちらのグッドボーイ……が、噂に聞くナンバー2のナインライン……様? かい?」

 

「あぁ、俺は__」

 

「そう! お兄さんこそがナインライン! このドミニオンを束ねるナンバー2なんです! ね、お兄さん!」

 

 

 

 リヴィちゃん? 気持ちは嬉しいけど俺に発言させてくれ……

 

 ともかく、ここに来たのは何もファッツマン限界オタクのアンヌの為でもないしリヴィちゃんに俺をヨイショさせて悦に浸る為でもなくドミニオンという組織の健全化のため不正な流通のチェックと支部長クラスとの顔合わせだ。

 

 

「あ……、あのファッツマンさん……これ聞いてみたかったんですけど……」

 

 

 前置きをしてから限界オタクしていたアンヌが涙を無理に引っ込めおずおずと質問を投げかけた。

 

 

「以前はヒールレスラーとして名を轟かせていたが……くだんのタイトルマッチで不正があったとか……その話は本当ですか……?」

 

「オゥ……その話は……私は何もしていない、だが……誰も話を聞いてくれなかった……アレは私に怨みのあった団体の……ひいてはプロレスを食い物にしていたマフィアの仕組んだ芝居のせいだ……そのせいで妻には離婚され……家庭はバラバラだ……その怨みで私に眠るサイキックパワーが目覚め、ドミニオンに、プロフェッサーアクダーマにスカウトされたことは不幸中の幸いだったがね……」

 

 

 そんな過去が……ファッツマン……

 

 落ち込み気味に言葉を紡いだファッツマンがぐっと顔を上げ力強い笑顔を作る、その表情は寂しさを振り払い今を謳歌しているようであった。

 

 

「でも……良い! 娘は私を理解してくれている! 私を引退に追いやった団体の裏にいたマフィアを叩きのめし、ついでにその繋がりのあったマフィアも叩き潰し配下にした! これも全てドミニオンが力を貸してくれたおかげだ! だからこそ私はプロフェッサーに忠誠を誓うし、その人が選んだナンバー2にも最大限の敬意を払おう! むんッッッ!」

 

 

 今日一番のスマイルでナイスなバルクをファッツマンが決めればアンヌはやっぱり泣いていた、リヴィちゃん相変わらず、すん……とすまし顔。

 

 俺? 俺は……ドミニオンは本当に潰されるべき悪の組織なのかと悩む種が増えてしまったな……だってさ、ゲームじゃそんな設定出てこないじゃん、あっても設定資料集レベルだし……

 

 人間はうわべだけじゃ無いんだ、組織もそうなんだろうね……悪いやつは確かにいるだろうけど、悪いやつに対するため悪の英雄になるやつも居るんだとファッツマンの話でそう実感したよ。

 

 

「む……そろそろ夕食時だな! 食べていくだろう?」

 

「ご飯食べーる! きょーみない話ばっかりでリヴィちゃんおなかすきましたー!」

 

「むはは! 今日は娘が料理を作る日だ! 美味いぞ!」

 

 

 娘……この歩く要塞みたいな人間の娘……2択かな? 

 例によってなんでこの男の遺伝子からこんな美人が!? と驚くか、まぁそうだよな! っていうマッスルボディの持ち主か……俺としてはどっちも“アリ”。

 

 なーんて考えてたらアンヌに肘で脇腹突かれた。

 

 

「……ナインライン、ファッツマンの娘が気になるか?」

 

「どっちでも良いだろアンヌ」

 

「……私は気にすんだよ」

 

 

 人材コレクターの血が騒ぐというやつかな、スカウトしたかったら勝手にしてくれ……

 

 

「お兄さん、たぶん違うとリヴィちゃん思うですよ」

 

 

 ええーっ!?心読んだ?

 

 

 

 

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