格ゲーの悪の組織のナンバー2やってます   作:テムテムLvMAX

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謎ジャム……


12コンボ目 対空きっちり用心しよう!

「娘が料理中だ、少し待ってほしい」

 

 

 ファッツマンの好意に甘え、彼の娘の手料理をご馳走になることした俺達はテキサス支部にある大きな食堂にきていた。

 

 悪の組織の支部に食堂……とは思ったがファッツマンによればここは元々校舎の居抜きを改造したと言うので、これはその名残らしい。

 なんだか学生の時の気持ちを思い出してほっこりしてしまった、あの頃はドミニオンにスカウトされるなんて欠片も思って無かったんだよなぁ……

 

 俺がしみじみと昔のことを思い出して浸っているとファッツマンからこんなこんなことを聞かれてしまった。

 

 

「君の事を何と呼べばいいかな? 名前に様というのも、何か違和感があってねぇ」

 

「別に呼び捨てて構わないが?」

 

「オーノー! 一応はプロフェッサーの次に偉いんだからそれじゃあ格好つかないじゃないか、例えそう見られなくとも呼び名一つで見られ方も変わるからね、少なくとも名前で呼ばせるなんてしちゃあダメだね」

 

「それもそうか……なら……」

 

 

 確かに四天王やアンヌのような無遠慮に名前を呼ぶ奴らを除けば、ナンバー2の呼び方もこだわったほうが良いか? 

 ただでさえアクダーマ総統とかも陛下とかプロフェッサーなんて呼ばれてるわけだし、好きに呼べとも思うが……一応は総統であることを加味した派生の呼び名だしな……

 

 

「じゃあ、今後俺のことを呼びたければ……」

 

「おぉ! 呼びたければ!」

 

「やっぱり、ナンバー2でいい」

 

「そうかい? ならいいけどねぇ」

 

 

 考えたけど、やっぱり俺はナンバー2が一番しっくりくる。

 

 こんな話をしていれば厨房のほうで動きがあって、料理が出来上がったのか黒服たちが我々のテーブルへ料理を並べていった。

 

 鮮度抜群のつやつやのネタをふんわりとシャリと一緒に握った、日本食である本格的な握り寿司が並べられていく、それだけではなくアンヌの前にはカラッと揚がったフィッシュ&チップス、リヴィの前にはボルシチが、ファッツマンの前には分厚いステーキが並んでいった。

 

 

「それぞれの好みに合わせて料理を作ってくれたようだな、この寿司は良い出来だよ」

 

「リヴィちゃんがボルシチ好きだと言いましたっけ? 美味しそうなので問題ないですけど!」

 

「おーフィッシュ&チップスじゃねぇか! いい具合に揚がっててうまそー! ベッタベタにケチャップつけて食べると美味いんだ」

 

「HAHAHA! 娘は料理が好きでね、皆さんに振る舞えると張り切っていたんですよ! このステーキなんかも焼き加減最高でしょう?」

 

 

 どれもいい匂いがする、寿司は形が綺麗で文句無し! 娘さん相当料理好きなんだとこれだけで分かる。

 

 

「さぁでは娘も呼んで食事を頂きましょう! サンディ! おいで!」

 

 

 ファッツマンがそう呼ぶと厨房から大きな箱を乗せた台車と共に華奢な女性が元気よく現れ、テーブルの横までくるとにこやかに挨拶をしてくれた。

 

 サンディ、華奢とは言うがファッツマンの娘だけあって身長が高い、モデルにも引けを取らないスタイルと合わさって、人目を引くだろうと思う、細い美形の顔をしているが眉が太いのは親譲りなんだろう。

 

 だがさっきから感じるこの気配、見た目に油断していると彼女の術中に嵌るだろう、彼女を目視した時から細い線で見えるサイキックパワーを俺に当て続けている……今の所この線が見えているのは俺だけのようだ。

 

 

「ハァーイ! 私はファッツマンの娘のサンディ! 突然ですがナインライン様に……プレゼントをご用意しました!」

 

 

 サンディの言葉に反応したように大きな箱が大きく横に揺れた。

 

 ……確実に変なものが入っているのと思ってサイキックパワーで中身を読み取る。

 

 あっ……コイツなの!? サンディ……かなりの実力者か? 

 

 

 

「なるほど……」

 

「どうしたのお兄さん」

 

「この箱はアンヌに開けてもらおう、アンヌ?」

 

「構わないが……そらよっと!」

 

 

 __ガボッ! 

 

 

「んー! んんー!?」

 

 

 箱の中に収まっていたのはなんとあの逃げた“バッドバルカン”のボス、グスタフ! 

 丁寧に手足を縛られ、口も聞けないように布を噛まされてこの中に閉じ込められていたのだ! 

 これにアンヌは大爆笑して、箱を蹴り転がし、グスタフの口に噛ませた布を乱暴に引きちぎった。

 

 

「ギャハハ! グスタフ!? 何やってんだテメェ!!??」

 

「痛っ!! ……た、助けてくれ!! この女に殺される!?」

 

「はぁ? 何だグスタフ? 因果応報だろがクソストーカーが、さーて……どうやって痛めてやろうかな」

 

 

 ぽきぽきと手の関節を鳴らすアンヌにグスタフは助けを求めていた、殺されそうだと言いながら助けを求めるのは、変な話だな。

 

 

「ちが……違う! 助けてくれアンヌ! この女だ! この女は魔女だ!」

 

 

 と言い、グスタフはサンディの方を見て怯える。サンディはにこやかな笑顔のままである、貼り付けたような笑顔だが。

 

 アンヌは一度サンディを見て、まだ視線をグスタフに戻し、グスタフの話に耳を傾けるつもりだ。

 

 

「じゃあ聞かせてもらおうか?」

 

「ああ! あの女はサイキックパワーなんてものじゃない! 魔法だ! 魔法を使うんだ! ……正直に言うとあの娘を誘拐してファッツマンを操ろうとしたんだが間違いだった、そのまま返り討ちにあってこのザマだ……なぁアンヌやり直そう! たのむ! 悪かった! だがお前よりいい女は知らない!」

 

 

 グスタフの訴えにアンヌが逡巡したが……

 

 

「だからどうした」

 

「んひっ!?」

 

「グスタフ……テメェに返さなきゃなら無ぇ借りが数え切れないほどあるんだ……死んだ程度で返せない借りがなぁ……?」

 

 

 アンヌがカットラスを腰から引き抜きグスタフの首に沿わせて当て、一言添える。

 

 

「グスタフ、あばよ!」

 

「や、やめっ」

 

 首に当てたカットラスを一息に引いて首を……首の皮を1枚だけ切り、数滴の血がこぼれる程度の切り傷を与えた、だがそれだけでグスタフは本当に首を切り落とされたようにくったりと力が抜け大人しくなる。

 

 

 

「何をしたんだ……?」

 

「へっ……コイツの脳を焼き切って廃人にしてやったのさ」

 

「じゃあ首を切った理由は」

 

「……さらし首にしようとしたが……そこまでするほどの価値が無い、そう思いとどまっただけさ……ファッツマンにはすまないけど……このゴミを捨ててくる」

 

 

 アンヌは僅かに付着した血をグスタフの服で拭い、カットラスを仕舞うと、アンヌは清々しい顔でグスタフの襟首を掴んで食堂から出ていった。

 

 

「お気に召しましたか?」

 

「……!」

 

 

 気配を感じさせずにサンディが俺の隣へいつの間にか立っていた、一体サンディは何を狙ってこんなことを……

 

 

 

 

 

 

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