格ゲーの悪の組織のナンバー2やってます   作:テムテムLvMAX

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13コンボ目 げに恐ろしきは身内

 ファッツマンの娘サンディ……お前の狙いは一体……? 

 

 

「サンディとか言いましたねおめー……お兄さんに少し馴れ馴れしいんじゃないです?」

 

「これは失礼しました!」

 

 

 __パチッ

 

 

 突然サンディは指を鳴らした、するとリヴィちゃんが静かになって……いや、止まって……ファッツマンもピタリと動かなくなり……気が付けば外の音も空調も何もかも止まっていた。

 

 これをサンディが……? なら何で俺は動けて……何が起きているんだ……? 

 

 

「ナインライン様……」

 

 

 耳元で聞こえる囁くようなサンディの声、聞こえた方向に視線を向けると、俺が気がつけない程に静かに触れた事すら感じさせない手際で、俺の腕に彼女の両腕が絡みつき、俺を……火照る顔でじっとりと見つめている。

 

 

「サン……ディ……?」

 

「はい……」

 

「なぜ……そんなことを?」

 

「それはお慕いしているからです……ふふ」

 

 

 そんな……まさか……俺は何もしてないのになぜだ……! 

 

 原作は……原作はどうだっけ……いや、違う、原作じゃない既に原作じゃない俺がいるんだぞ、それを誘拐するアンヌがいて、今こうして俺を見つめるサンディがいるんだ、思い出せない原作にはもう用はない! 

 

 だがこれは……何故だ、サンディとは今日が初対面のはずなのに! 

 

 

「どうして俺を慕うんだ、初対面だろう」

 

「何を仰いますか……前世からの仲ではありませんか」

 

「っ!? 前世から……だと……?!」

 

 

 

 サンディ……俺の前世を知っているのか……前世からの……前世……? 俺の前世にサンディのような女性……心当たりがない……

 

 俺の前世に彼女は居ないし結婚もしていなかった、誰かに好かれるように生きていたわけでもなければ誰かを好きになろうとした人生でもない……自分で言ってて悲しくなってきたが、まぁ色恋に無縁のはずだけれど……

 

 

「そう、前世からです…………美しき白鳥のつがいだったのですよ」

 

「そうだったのか……そう……白鳥?」

 

 

 なんで白鳥? あー……まさかと思うが、思ってしまったが……“私たちは前世からの運命の人”というステレオタイプの中二病を患ってらっしゃる? 

 

 

「えぇ……そうなのよ……ア・ナ・タ?」

 

「……こっこけこー」

 

 

 あぁ……あまりの……その……彼女のアレ度が高すぎて……目も当てられない……俺、ひやっとして損した……

 

 サンディがまさかの残念美人であることが発覚してしまったが、問題はそこではない……この停止した空間は一体何なのか、聞きたい事は多い。

 

 だから、俺はあえて、あえて! 彼女の話に合わせて話を進めることにした、断じて前世が白鳥だったわけでは無いぞ。

 

 

「そうか、俺は君と前世からの仲だったんだな、それはそうとこの空間はどうなっているんだ?」

 

「えっ? あっ……認めてくれるのね! ……あっ、この空間の事なら、私の超能力で時間を遅延しているの……遅らせることしか出来ないけど、強いでしょ? アナタ」

 

 

 話を合わせると逆に驚かれたが、功を奏して能力の詳細は聞けたのでヨシ! しかし時間の遅延を可能にする能力とは……アクダーマに引けを取らないかもしれない……

 

 それに、考えてもみろ……溜まりに溜まった仕事を一気に片付ける助けになるだろ! 時間に追われる現代に置いてこれほど強い味方はいない! ぜひ手元に置きたい人材だ! 

 

 ただ……爆弾であることは留意しておかないとな、なんせ前世からの縁だなんだと言いふらされると、アクダーマに俺の記憶を覗かれかねない……アクダーマの恐ろしい所はカリスマだが、それを支えているのは彼の類まれなサイコメトリーだ……もう格ゲー関係なくね? 

 

 口封じと監視、時間の遅延で仕事するも含めて考えると俺の秘書にするのが好ましいか……。

 

 

「なぁ、サンディ……俺の所へ来る気はないか? 俺の秘書として本部で共に暮らそう」

 

「素敵ね……アナタと一緒ならどこへでも……」

 

「ただし、秘密だ、前世のことを話すのも俺と親密であることも」

 

「……アナタが言うならいいわ、でも、さみしくなったら構ってね?」

 

「約束しよう」

 

 

 こうして俺は秘書としてサンディを引き入れたのだった……

 

 いや、マジで欲しいよ時間遅延、多少の爆弾は……目を瞑る、俺の業務優先でヨシ! 

 

 

 サンディに頼んでこの遅延した空間をもとに戻してもらい、丁度戻ってきたアンヌ、サンディを訝しむリヴィ、満面の笑みを浮かべ俺の隣に陣取るサンディ、状況がよくわかっておらずとりあえず笑ってるファッツマン、そして……とりあえず愛想笑いだけで乗り切ろうとする俺、それぞれの食事をしたのだった。

 

 この時ばかりはリヴィちゃんの視線とアンヌの視線が突き刺さり、穴が空くかと生きた心地はしなかった。

 

 食事を終えた後はテキサス支部の不正を調べるターンである、こればかりはしておかないと旅行先で彼女作って帰ってきたような感じに見られてしまうからな……

 

 結論から言うと問題はあったが既に解消されつつある、というのもグスタフがこっちにも手を出していたので奴が消えたことでバッドバルカンはファッツマンに解体され始めていたのだ。

 

 ということでテキサス支部の話はこれで終わり、俺達はこのまま中国支部へ足を伸ばす、中国支部は今まで以上に手強いだろう、アンヌのように俺を拉致するとか、サンディみたいに前世からの彼女宣言するようなキャラは流石に居ないと思う、だがそれ以上に……

 

 この中国支部というのは、仕事しない支部長のせいでほぼ機能停止状態だ! ふざけんな。

 

 

「不正どころではないぞ……なんとかなるか?」

 

 

 気が重いが、中国支部の無労働主義を掲げる支部長、コウ・ライジンに会いに中国へ飛んだ。

 

 




気軽に読む分に無茶苦茶でも無理くり辻褄あわせばええやろ……
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