格ゲーの悪の組織のナンバー2やってます   作:テムテムLvMAX

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狂信者


15コンボ目 許されざるはお前の存在

 中国にその人あり、仙人と謳われた少林寺拳法の達人はさらなる高みを目指した……仙道、それは人から仏へ至る道、人を超えた存在になる修行。

 

 いつだったか、その道に行き詰まりを感じ、心折れかけた時、現れた。

 

 

「諦めてはならん、サイキックパワーの目覚めは近い」

 

 

 そう言って現れたのが……我が最大の恩人、アクダーマ様……まさに御仏のような人。

 

 それからアクダーマ様によって己の中にある力は目覚めた、仙道の一端を……仏へ至る道筋を。

 アクダーマ様こそ私の仏であり、唯一崇める存在だ、四天王などと言う集まりでは断じてない、アクダーマ様だけが……正義だ。

 

 だと言うのに、腹立たしい事に……あのようなものが現れたのだ。

 

 

「ライジン様、瞑想中に失礼します……ドミニオン本部より……ナインラインと言う人物から連絡があり……顔合わせに来ると申しておりました」

 

「ナインラインとは誰だ、そのような見知らぬ者に会う必要はこちらにはない」

 

「あの……それが、ナンバー2と言う立場にあるようでして……」

 

「……ほう」

 

 

 ただの幸運とアクダーマ様の慈悲により見定められただけの凡人めが……右腕として振る舞う……あり得ぬ、あり得ぬ! 

 

 顔を合わせたその時、私は容赦なくその首を刎ねるだろう。

 

その時までに、更に鍛え、更に強く、精神の限界を超え“氣”を高めなければ、私こそがアクダーマ様を守護する不動明王となるのだから。

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

 

 あれ、おっかしーな……首筋に悪寒がきたな……俺なんか恨まれてる? 全然止まらないんだけど……殺気か?殺気なんか?悪い噂なのか!?俺なにかしたかよぉ!

 

 

「どうしたです?」

 

「首がな……ヒヤリとしただけだよ、リヴィ」

 

「寒いのか? コート貸すぜ」

 

「必要ない、アンヌの方が軽装だろう」

 

 

 中国支部の支部長であるライジンを待つ、それだけなのに何故こんなにも悪寒に震えるのか自分にも分からない、分からないのに体は反応している、この不思議な挙動は一体なんだ……? 

 

 俺が違和感を感じていると、ライジンを呼びに行ったリーが戻ってきた、汗でリーはびしょ濡れだ、何かあったのか? 

 

 代表して俺がリーに汗のことを聞いてみる。

 

 

「その汗は?」

 

「……ええ、えぇ……恐ろしいのです、瞑想中のライジンに、話しかけるというのは……どんな事があっても瞑想の間には入ってはならないと言うのが、この中国支部の暗黙のルールですから……」

 

「そうか」

 

 

 ライジン、なんかヤバそうな人間っぽいな……ただ呼びに行くだけで汗だくになるなんて……ひょっとしてサウナで瞑想してる? 

 

 

「……それよりも、ライジンは会うと申しておりました、ですのでナインライン様お一人で……武道場に来ていただく事になります」

 

「えぇ〜」

 

「ここまで来てお払い箱かよぉ私達は?」

 

「……まぁ、いい、その程度なら許容範囲だ」

 

 

 と言うことで、リーに案内されて中国支部にある一番巨大な施設、大きな武道場へと移動する。

 

 板に光沢が出るほど使い込んだ床に簡素な掛け軸とサンドバッグ代わりの木人、そしてその一番奥には黄色い袈裟を着た男。

 

 分かる、ライジンとはあの男だと。

 

 

「では、ごゆっくり……私はこれで……」

 

「あぁ……」

 

 

 リーが武道場から離れていく、去り際の背は雨に降られたような有様だった、どうやらライジンという人間は恐ろしい人物のようだが、心配することはない……俺は顔を見て話をしたいだけだからな! なんなら握手でもしてやろう、サインもいるかな? ガハハ! 

 

 

 ……なんてね、そんな空気じゃないですよここ、この武道場だけ世界観が違うような気がしてきた、漂ってくる気配だけで殺伐とした感覚になるんだ、ここから先命のやり取りさえ厭わない、そんな奴がいる。

 

 覚悟を決めて、武道場の奥へと歩を進める。

 

 

「はぁぁぁぁ…………すぅ〜……」

 

 

 腹の底から吐き出すような深い吐息と共にライジンはゆっくりと立ち上がり、肩を上げるほどたっぷり空気を吸い込む。

 

 

「見えるかね、この“氣”……見えるだろう、ナンバー2なのだがらな」

 

 

 明らかに力の籠もった声が俺を貫くように放たれる、ライジンは背を向けたままだ、だがその気迫はファッツマンを超える、いや下手をすれば四天王さえも超える力を全身に叩きつけら浴びせられている気分だ。

 奴のいう“氣”はサイキックパワーだ、だが……普通であるなら感じ取ることは出来ても視覚で捉えられないはずの物を可視化されるほど濃密に放出するなど……精神に起因する力を、本来持つ素質以上に鍛えるその執念、称賛に値する。

 

 ……さて、と……要約すると、なんでそんなにキレてらっしゃるの? 

 

 

「やっと会えた、ナンバー2……私はお前を殺す為により過酷に、より壮絶に……この身体を練り上げてきた……」

 

 

 袈裟を翻し振り返るライジン、怒りに顔を歪めた般若の如き表情で俺を睨み、中国拳法独特の構えを見せた。

 

 

「貴様の墓場はここだ」

 

 

 そこまで言われて引き下がるほど俺、優しい人間じゃないんだ……この野郎分からせてやる! 

 

 

「誰に喧嘩売ったのか理解させてやる」

 

 

 この空気、あの時と同じだ、四天王の顔合わせの時に殺されかけたよなぁ……死合ってそう何度もやるもんだっけ……? 

 

 まぁ良いか、殴って止めればいい! 

 

 いざ勝負! 

 

 




次回はこってりバトルを書いて、第一章が終わるぜ的な?
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