格ゲーの悪の組織のナンバー2やってます 作:テムテムLvMAX
1コンボ目 なんで俺が転生してまでこんな目に合うんだ……
新西暦2025年、世界征服を企む組織が現れた!
「我々はドミニオン! 我々は世界へ宣戦する! フハハハ!!!」
ドミニオン総統のアクマーダの宣戦は初めこそ遊びとしてあしらわれていたが、世界征服の手始めに小国の政治、経済、流通を支配しその王座を簒奪した! これには世界も怯えるしかなくドミニオンの支配を待つばかりかと思われた!
しかし、ドミニオンの支配に対抗するために立ち上がるヒーロー達がいた!
「俺たちがドミニオンの野望をぶっ潰す!」
ストリートで鍛えた喧嘩家の青年が。
「相手が悪の親玉なら奥義を使うことを厭わない!」
ジャパンの空手家が。
「アテシの爪は痛いニャんよ!」
ジャングルで育てられた猫人間が。
「……忍の使命は民を安んずること、サイファーの名に掛けて」
世界を股にかける裏組織の一員が。
「ぐわぁっはっはぁ! この大統領を差し置いて世界征服なんてナンセンスだなぁ!」
大国の大統領が。
「国際警察としてあなたを逮捕します!」
チャイナの刑事が。
「女王陛下の命により、騎士としてお前を討つ!」
ブリテンより騎士が。
「風のうわさに聞きました……貴方の支配は許せません、大自然の意志より、天罰を下します!」
そして、自然と共にある民族の戦士が。
彼らはそれぞれ立ち上がり、旅の中で出会い、各国にあるドミニオン支部を潰しながら集まり、ドミニオン総統アクマーダの待つ小国アクマスタンへ乗り込み、ドミニオンを支持する組織とのバトルを乗り越え、ついに四天王と戦い、アクマーダとの壮絶なバトルの末に世界に平和を取り戻したのだった!
こうして世界は平和になりましたとさ。
と、言うのが本来有るべき筋書きだな。
もうとっくにご存知なんだろ? 俺が転生者なんだって……いや、すんません調子乗りました……俺は何の変哲もない転生者です……。
ただ、ちょっと違う所あるんですよ。
「ナインライン……各支部の様子はどうか」
「ええと、順調に支配を強めていますね、世界征服へは滞り無いかと」
「なら良い……このアクマーダの世界征服は必ずや成功しよう、お前の力があればな……フッフッフ……」
「ハハ、ソッスネー」
俺、悪の組織でナンバー2やってます。
でも勘違いしないでくれよな、俺は平和が好きだ、世界征服なんてもってのほかだ、だからナンバー2だけどアクマーダの野望を止める為の、一応は正義の味方のつもりで働いている。
ただ、近くで接している内にアクマーダのこと、完全な敵とは見れなくなったのは事実だよな。
そんな俺だがナンバー2の仕事はきっちりやってるんだぜ、一応は組織なんだからな。
でも、まずは俺とアクマーダ総統の出会いから話そうか。
あれは……数年前のことだった。
◆
俺がこの世界に転生したことに気がついた、と言うか、一度死んで別の世界に来たんだと自認できたのは10歳の頃だ、俺は人と違うけど、前世と似たような世界だったのが幸いして特にギャップに苦しむ事なく大人になって、前世と同じ事務方の仕事を選んで就職した。
特に普通に平和で、前世と少し違う今世を楽しんでいた、二度目の人生だからと思い切った事が出来て、多少は豊かに暮らせていたかな。
そんな俺もこっちの世界に来てある秘密を抱えてしまった、その、中二病臭いがサイキックパワーなんてものに目覚めていたのだ、ただこのサイキックパワーは扱い方を間違えると物を壊したり人を傷つけたり、人を操ったり宙に浮いたりと、色々と危ないので、俺は隠してきた。
そしてサイキックパワーに目覚めた時点で俺はこの世界が格ゲーの世界だと気付いたよ、だからサイキックパワーはできるだけ隠すようにした、してた。
だってサイキックパワーを持ってると悪の組織に勧誘されてしまうからね、そう思って本気で気をつけていたんだけど……
とある日の通勤中にいきなり黒服の人たちに囲まれた、駅前で人混みもあったのに、問答無用という感じで囲まれた。
「な、なんですか貴方達!」
「お前がサイキックパワーを持っていることは分かっているぞ……ククク」
黒服を割って入ってきたのが、後の総統アクマーダだった。特徴的なマントとガッチリした身体は顔を見ずともアクマーダだと判別できるほどだ、その顔も見てしまうともう二度と忘れないくらい濃い。
俺は、この時必死に逃げた、逃げて逃げて、逃げ続けた、その内に人混みから離れて人の少ない閑散とした公園にたどり着いてしまった。
「ほほう、わざわざ人の目がない所を選んだか……」
そんなつもりはなかった、でも夢中で逃げている内にそうなってしまったから仕方ない。
アクマーダとその取り巻きの黒服に囲まれて俺は最後の抵抗として拳を構えた、ファイトスタイルなんてものは持ってない、ただサイキックパワーは持っている。
「やめて下さい、俺はあなたたちに用はないんです!」
「こちらは用がある、やれソルジャーたち!」
「「「ヒャッハー!」」」
アクマーダの合図で次々に襲いかかる黒服たち! 俺はそれをサイキックパワーの恩恵で上昇した動体視力と運動神経で避ける避ける避ける、そしてもみくちゃになった所にサイキックパワーを込めたキックで纏めて蹴り飛ばす。
青色のオーラが足に纏わりつき、それを弾く様に蹴る。
__どかーん!
「「「ぎゃぁぁぁっ!」」」
「へっ、ざまあみろ」
そう言って調子に乗った束の間、背後に立ったアクマーダの一撃で俺は意識を刈り取られ、昏睡状態に陥った。
「ほう、やるではないか、素人とは思えん……やはりサイキックパワーの才能がある」
アクマーダのこの言葉を最後に俺は誘拐されたのだった。
◆
そして、なんやかんやとあって今に至る、なんやかんやの部分は正直話す必要のない部分だ、だって諦めて仕事覚えることと組織運営に携わってナンバー2にされたこと以外何も無いから。
と言うか組織と言う割に運営方面に強いやつが居ない、実質俺だけで回してる、アクマーダもふんぞり返ってるだけで何も言わないし、それだけなら良いけど下からも突き上げが来るもんだから中間管理って辛すぎるだろと日々泣いている、泣きながらキーボード叩いてる。
ちなみに組織での俺の呼び名はナインラインだ、俺が日本の名前が九条だかららしい、適当だな……。
あーあ、早くヒーローたち乗り込んでこないかな……まだ無理だよな、まだ世界征服を宣言してないってことは、原作始まってないし。
俺は日常に戻りたい、戻らせてくれ…、せめてナンバー2降りたいんだが……俺の受難はどこまで続くんだ。
一応元ネタあるんですよ、ヒーローたち、何人分かるかなー?