偽約 とある魔術の分岐世界(パラレルシフト) 作:LIMITER
「……ここドコだ?」
上代刀牙の第一声はそれだった。 自分の寝かされていた四人は悠々と座れるソファー、床に敷かれたカーペットが透けて見えるガラステーブル。 そのガラステーブルを挟んでソファーと対面した白い壁に掛けられている薄型テレビ。 テレビのある壁の反対側には大きめの食卓とそれを囲む四つの椅子、更にその奥にキッチンがあり、左には扉が一つ、右に視線を遣ると太陽の光差し込む窓からは外に広がる都会の街並みを一望出来る。 一言で言えば高層マンションのリビングルームだ。 それも街並みから察するに日本だ。
だが上代はロシアの雪原に居たはずだ。
何故こんな場所に居るのかは覚えていないが原因があるとすればやはり……、
「あの声と光が原因だろうけど……」
魔術師共を倒し立ち去ろうとした時に、頭の中に響いた少女の声と身体を覆った真っ白な光。
しかし、腑に落ちない。
上代はソファーに腰掛けあの時の状況を鮮明に思い出す。 あの場に居た魔術師は確かに全員気絶していたし、それ以外に人は確実に居なかった。
それは“二つ”能力を使って確認していたのだが……。
「
それは違うと断言できる。 仮にそうだとしたならばその見ず知らずの魔術師が、『異端者』である上代を生かしておく理由がない。
それに上代の“正確過ぎる体内時計”はあの光に覆われて、この場で目覚めるまで僅か五秒しか経過していなかった。
「……ダメだ、情報がなさ過ぎる。 ここが何処の街か調べてから考えるか。 ……ん? 手紙?」
ガラステーブルの上に三つ折りされた紙が置かれていた。 こんなのあったかなぁ、と首を傾げながら手に取り、開く。
「え〜っと……、
〔上代刀牙様へ
出来るならば直接話したかったのですが、この様な形でご挨拶する事をお許し下さい。
早速ですが本題に入りたいと思います。
私は幾億もの枝分かれした世界……
そこで私は考えました。
『直接がダメなら間接的にすればいい』と。
その考えに至り、その役に適した者である貴方方に協力して貰おうと相成ったわけです。
つまり、貴方方にはこれから幾つかの並行世界を巡って行き、それぞれの世界で『不幸な結末』を『
もちろん、それぞれの世界で衣食住は揃えてありますし、生活に必要な物は一通りあると思います。 それと並行世界とひと口に言っても文明や歴史、国名や常識が違う世界があり、貴方方の居た世界とは異なり困惑すると思われます。 その世界の資料も置いてはありますが念のためにガイドを付けましたので解らない事はそちらにお訊き下さい。
それでは、貴方方三人にご武運があらん事を。
by.神
P.S お気付きかと思いますがそこが最初の世界です。
P.SのP.S 因みにちゃんと協力してくれないと元の世界に帰しませんので☆!〕……、」
神と名乗る謎の人物からの手紙を読み終えた上代は無言で俯いていた。 心なしか手紙を持った手がピクピクと震えている気がしないでもない……いや、確実に時が一秒進む毎に震えは強くなっている。
そして、きっちり一○秒たったその瞬間に爆発した。
「……ふ、ふざけんなァあああああああああああああああああああああああああああッ!?」
まぁ当然の反応だろう。 なんせ勝手に異世界に飛ばしておいて協力しないと帰さないとガキ大将もビックリするほど横暴な事を書いているのだから。 それに加えて上代にはこの手紙に書かれている事は冗談でも悪戯でもない、全てが“本当だと分かってしまった”から尚更だ。
だからと言ってここで叫んでいても仕方がない。 手紙に書かれた内容は全て覚えたーー覚えたくなかったーーが気になる点がある。
「所々『貴方』じゃなくて『貴方方』になってるし、本文の最後の行が『三人』って事は俺以外にもあと二人いるって事だよな?」
……何となく一人は把握した。 この文からも一番の適任者はアイツだし。
(……いまの俺が言え義理じゃないが相変わらず巻き込まれ体質だな〜)
少し遠い目をしながら虚空に向かって合掌する。
残りの二人を待つ事にしたが、手持ち無沙汰になったため上代はこのマンションの間取りを確認しておいた。 ……かなり広かったとだけ言っておく。
その後はリビングのソファーを独り占めして寛いでいると、どさっ!と背後から音がした。
上代が振り向いたその先には……、
「予想通り、当麻。それと…………一方通行だったか」
上代の幼馴染み兼クラスメイトの黒髪ツンツン頭の少年、
「取り敢えずは、二人の介抱が先かな?」
気絶している二人を見てそう呟くのだった。
ようやく三人が揃いました!
プロローグは次話で終わる……予定。
主人公は基本オリ主で場合によって上条さんや一通さんになる時がある(確信)。
感想やアドバイスお待ちしてます!
…………この神様の名前分かった人居ますか?(私の独自解釈がありますが)