ソードアートオンライン 翠玉の守護者 ~神様のミスで死んだので、SAO世界に転生して頑張りたいと思います。~   作:灯油明太子

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第1話 前から分かってたけど、いざデスゲーム宣言されると、ちょっとビビるよね

 皆さんどうも、初めましてシュウトです! え?誰に向けて喋ってるのかって? それはこんな異世界転生なんてしたら付き物な、この物語を読んでる読者の皆さんに対してですよ。それは置いといて。

 私は今、話題の最新作「Sword Art Online」のアインクラッド第1層、始まりの街に来ています! 前世でたくさんのゲームをやってきた私ですが、こんなにリアルに感じるゲームは初めてです。そしてなんとですね、メインメニューに"ログアウト"の選択肢が消えているという速報が入ってきました。これはいったいバグなのでしょうか!? 運営からの公式アナウンスなどの続報が待たれます。

 

 

 

 なんて、ニュース速報を伝えるアナウンサーみたいなことやってるんですけど、まあ、この始まりの街が広すぎて、街の外に出るのにも時間がかかって退屈なんですよ。残念なことに、βテストで土地勘をつけるなんてこともできませんでしたから、走って移動なんてした日にゃ、迷子まっしぐらですからね。しっかりと、街を見ていきながら町の外を目指してるんですよ。おかげで、退屈になるくらいには時間がかかってるんですけど。

 

 そんなことを言ってたら着きましたね、門です。ここから、外に出れば死の危険が迫る状況になります。アニメだと、クラインが17時半にピザを注文してたけどログアウトできないことに気づいて、それからチュートリアルだったので、17時半ごろになったら、例のチュートリアルが始まるはずです。なので、それまでとりあえずはあの猪―フレンジーボアとかって名前でしたっけ?―を狩って、戦闘の感覚をつかみつつ金策をしていきたいと思います。

 

 そういえば原作だと、キリトとクラインが一緒に狩りをしていましたが、ここで会えると今後の交流のタイミングをうかがう必要がなくなるので、少しは楽になるでしょうか。まあ、会えたらラッキーってことで一旦は狩りをしていきますかね。

 

 あ、ここまで一言もしゃべってないって思いましたね。いや、逆に考えてみてくださいよ。こんなメタい発言してるやつがいたら、どう考えても不審者じゃないですか!だから、喋れないんですよ。

 

 そうして、しばらく歩くと、何頭かの猪がいる草原が広がる場所にたどり着いた。

 

 ということで、このアインクラッドに来てから初めての戦闘ですね。あらためて、エネミーの名前を確認して、自分の記憶があっているかを確かめる。

 

「うん、フレンジーボアであってるな。確か、ソードスキルの発動は構えてからグッて感じでためるんだったっけ? だから、こんな感じかな?」

 

 溜めた感じの後に、装備している剣が光を帯びていく。それを敵にタイミングを合わせて解放する。綺麗に決まると、爽快感が半端ない。いや、自分の身体を動かしているような感覚があることも手伝ってるんだろうけどさ。ホントに、達成感というかをすごい感じる。

 

 そんなこんなで、1分にフレンジーボアを1体倒すくらいのペースで討伐していた。ときどき休憩を取りながらではあったが、アイテムストレージの戦利品の数から逆算してみると、たぶん200体くらいかな?誰かが見てたら、生き急ぎすぎとか言われるのだろうか。そのころには、17時を過ぎており、一旦街に戻ることに決めた。

 

 悲しいことに、キリトやクラインとすれ違いつながりを持つことはなかった。仕方ないので、ストレージ内の戦利品を一定数残して、残りは売ることにした。まあ、自分の考えてる最終的なプレイスタイル的に、剣だけじゃなくて盾が欲しくてそのためにお金が必要だからなんですけどね。

 

 ついでに、余ったお金でポーション類も買うことにしました、はい。まあ、体力がバカほど多いので、イエローゾーンに入りそうなことは当分ないと思うんですけどね。だって、今日の戦闘も基本的に、体力削られたとしても1%程度で、連戦してても体力が90%切ることなかったんですよ、ええ。

 ただ、アニメでキリトが、フレンジーボアはスライムみたいなチュートリアル的な敵だって言ってましたからね。念には念を入れてというやつですよ。そのうちキリトが持ってたみたいなバトルヒーリングスキルとかも習得したら、ヒースクリフみたいな壁性能発揮できたりしてね。

 

 そんなことを考えていると、不気味な鐘の音が鳴り響いた。つまり、これから茅場晶彦によるデスゲーム宣言が始まるわけだ。

 

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 不意を突くように鳴り響いた鐘の音を聞いた直後、俺は始まりの広場に居た。目の前では青白い炎のような光が発生してはその中から次々とプレイヤーが現れ、プレイヤーの出現が収まったころに、鐘が鳴りやんだ。

 

「あ、上」

 

 誰が言ったか、聞こえてきた発言にしたがい、周囲のプレイヤーが一斉に上を向く。俺もそれに倣うと、赤い六角形に"WARNING"と書かれたアイコンが警告音のようなSEとともに点滅しているのが見えた。直後、赤い六角形が空全体を埋め尽くし、その隙間から赤い血のような液体がこぼれて集まり、赤いローブをまとった人のようなものを作り出した。

 

「うわっ気持ち悪、あの演出」

 

 つい、アニメを見ていた時からの率直な感想が口をついて出てしまった。いままで、画面越しに見てたものを肉眼で見せられたんだから、まあまあなグロさを感じるよ。あの液体ホントに、血みたいなんだもん。ローブ男-ゲームマスターの茅場晶彦-が腕を広げ、話し始めた。

 

「プレイヤー諸君、"私の世界”へようこそ。私の名前は茅場晶彦。今や、この世界をコントロールできる唯一の人間だ。プレイヤー諸君は、すでにメインメニューからログアウトボタンが消滅していることに、気づいていると思う。しかし、これはゲームの不具合ではない。繰り返す、不具合ではなく、ソード・アート・オンライン本来の仕様である」

 

 ログアウトできないことがデフォルトの仕様って。クリアするまで他のこと出来ないとか、どんなクソゲーだよ、どこかの鳥頭のクソゲー大好き高校生ですらやらないだろうよ。いや、俺はプレイする前から分かってたことだけどさ。クソゲーなんて括りでまとめるのもおこがましいレベルのくそ仕様だろ。

 

「諸君は自発的にログアウトすることはできない。また、外部の人間の手によるナーヴギアの停止、あるいは解除もあり得ない。もし、それが試みられた場合、ナーヴギアの信号阻止が発する、高出力マイクロウェーブが諸君の脳を破壊し、生命活動を停止させる」

 

 最初は有名人である茅場晶彦の登場に沸いていたプレイヤーたちも、本人からの説明の意味を理解し、少しずつ盛り上がりを失っていく。突拍子もない説明に飽きたのか、このエリアから出ていこうとしたプレイヤーが見えない壁にぶつかり、叫ぶ声がした。

 

「!? おい、こら、出らんねえぞ!」

 

 あ、年齢サバ読んでるやつと性別詐称してるやつのデュオが出ようとしてる。まあ、出られないのも知ってるから、余計にパニックになるなんてことはないけど、何も知らない奴らからしたら、大変な状況に巻き込まれたってことしか考えられないよな。

 

「残念ながら、現時点でプレイヤーの家族、友人などが警告を無視し、ナーヴギアを強制的に解除しようと試みた例が少なからずあり、その結果、213名のプレイヤーがアインクラッドおよび現実世界からも永久退場している」

 

 ローブ男の周りに実際のネットニュースの記事やニュース番組のスクリーンショットの画像が現れる。

 

「御覧の通り、多数の死者が出てことも含めこの状況をあらゆるメディアが繰り返し報道している。よって、すでにナーヴギアが強制的に解除される危険は低くなっているといってよかろう。諸君らは、安心してゲーム攻略に励んでほしい。しかし、十分に留意してもらいたい。今後、ゲームにおいてあらゆる蘇生手段は機能しない。HP(ヒットポイント)がゼロになった瞬間、諸君らのアバターは永久に消滅し、同時に、諸君らの脳は、ナーヴギアによって破壊される」

 

 この場の全員が、否応にもデスゲームに参加させられたという認識を持ったのであろうか。広場は静寂に包まれた。そして、ここまで説明されていなかった解放の条件が明かされた。まあ、その条件も知ってるし、ちゃんと聞く必要はないんだけど、せっかくだし聞いとくか。

 

「諸君らが解放される条件はただ一つ、このゲームをクリアすればよい。現在君たちがいるのは、アインクラッドの最下層、第1層である。各フロアの迷宮区を攻略し、フロアボスを倒せば上の階に進める。第100層にいる最終ボスを倒せばクリアだ」

 

「クリア、第100層だと!? できるわけねえだろうが、βテストじゃあ、ろくに上がれなかったんだろ!」

 

 クリア条件に対する抗議の声が聞こえてきた。あの発言は確か、クラインだったか。てことは、クラインとキリトはあのあたりにいるってことか。

 

「それでは、諸君のアイテムストレージに私からのプレゼントを用意してある、確認してくれたまえ」

 

 俺は、メニューを操作してアイテムストレージの中の『手鏡』を確認し、それを呼び出す。アイテム化させた手鏡を見つめていると、この場にテレポートさせられた時のような青白い光に包まれた。

 

 ホントは手鏡を使わないで、現実世界の自分とは違うアバターにして、そのままプレイするっていうヒースクリフ的なプレイスタイルもアリかなと思ってたんだけどさ。SAOをクリアした後に帰還者学校に通学して、現実世界でもキリトやアスナ、クラインあたりと交流を持つことを考えると、ここは使っておいた方が良いと思うんだよね。だって、会った時に不審に思われても嫌じゃん。

 まあ、そんなことを考えてたから最初のアバターにこだわらずに現実世界の容姿とほとんど変わらいアバターになってるから、本来なら大きく変化して「お前誰だよ」案件なんだろうけど、手鏡見てもほとんど変化しないんだよなぁ。

 

 光が収まってからも、改めて手鏡を見ても現実世界で慣れ親しんだ顔がそこにあった。ただ周囲では混乱が広がっているようで、ネカマや年齢のサバ読みなどがばれているようだ。あ、さっきの奴らやっと気づいたみたいだ。やっぱり、ネットの人間は信用ならないよな~。それにしてもナーヴギアは信号素子で顔を覆ってるとはいえ、かなり精巧な3Dモデルだよなこれ。こんな技術、前の世界にはなかったから、やっぱり茅場晶彦が天才ってことなんだろうなぁ。

 

 そんなのんきなことを考えていると、再び茅場の声が聞こえてきた。

 

「諸君は今、『なぜ?』と思っているだろう。『なぜ、ソードアート・オンラインおよびナーヴギア開発者の茅場晶彦はこんなことをしたのか?』と。私の目的はすでに達せられている。この世界を作り出し、観賞するためにのみ、私はソードアート・オンラインを作った。そして今、全ては達成せしめられた。

 以上でソードアート・オンライン正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の健闘を祈る」

 

 そう言い残し、ローブ男は煙のように消えていった。一面に広がった赤いアイコンは消え去り、再びきれいな夕焼け空が見えるようになっていた。そんなきれいな空とは対照的に、プレイヤーたちは暗く静まり返っていた。しかし、一人の悲鳴をきっかけに茅場晶彦の説明を聞きながら溜まった恐怖や混乱の爆発が伝播していき、すぐに広場には突然の理不尽に対する怒号などであふれかえった。

 

 その時、それまでこの広場を覆っていた透明な障壁が消えたのが確認できた。俺は、原作のキリトよろしくすぐに広場を抜け出して宿を取りに行った。幸い、広場の混乱はいまだに続いていたため、宿屋に他のプレイヤーはいなかった。それゆえ、比較的スムーズに部屋の確保が出来た。そして、ベッドでこれからの行動について考え事をしていた。

 

 ここまでの展開は原作通り。この後の展開も原作通りに進むなら、この後は1か月近く第1層の迷宮区が攻略されないことになる。そして、その間の2000人ものプレイヤーの死の責任をβテスターが手助けしなかったせいだ、というやつが出てくる。実際に、ボス攻略会議でひと悶着起こしてたキバオウとかもいたしな。

 

 さて、どうしたもんか。そういう風潮が出来たせいで、キリトが『ビーター』として、βテスターへの風評被害を一手に引き受けることになったわけだしな。まあ、あれはディアベルの若干の暴走のせいでもあるか。となれば、そうならないように、やっぱり、第1層のボス攻略に参加するべきだろうな。

 

 現状維持は最悪だ。βテスターへの不必要なヘイトを集めさせないことも必要だろう。もし、何も変えられずに、キリトが『ビーター』の汚名を背負ってしまえば、2層以降で交流を深める難易度が高くなってしまう。そうなれば、『月夜の黒猫団』によるキリトの心の傷を防ぐことも難しくなる。

 

 俺の最大のアドバンテージは、転生時の特典として得たの異常なまでの耐久力と、前世で培ったSAOの原作知識だ。この二つを最大限に活かせば、生存確率を飛躍的に高め、さらに他のプレイヤーの手助けをすることも不可能ではない。

 

 まず必要なのは情報だ。茅場晶彦の宣言で広場がパニックに陥った時も、冷静さを保って宿を確保できたように、正確な情報こそが生き残るための鍵となる。MMO Todayは、管理人であるシンカーさんがSAOをプレイしていたはずだから、このアインクラッド内でも完全にとは言わないが機能しているはずだ。そして、情報屋として有名なアルゴも当然存在する。彼女なら、βテスト時の詳細なマップデータやクエスト情報、モンスターの出現パターンまで、正確なデータを持っているはずだ。キリトもアルゴとはパイプがあったはずだし、キリトとの交流が出来ればいずれは接触する機会もあるだろう。となればひとまずは、アルゴのガイドブックをどうにか手に入れるべきだな。それが一番手っ取り早く、確実な情報源になる。

 

 次に、自身の戦闘能力の確認と熟練も必要だな。始まりの街の周辺にいるフレンジーボアを200頭ほど狩り、初期装備のショートソードの耐久値も減ってきたし、剣のソードスキルは多少熟練度が上がったが、盾を使うことに関してはまったくもって素人だ。フレンジーボア程度の被弾なら、俺のHPは微動だにしなかった。しかし今後のことを考えれば、盾を使ってのパリィや攻撃の受け流しに関しては練習していかなければならないし、そのタイミングを見極めていくには戦闘を重ねて、敵の動きが完全に頭に入っていなければいけないだろう。

 

 そして、第1層フロアボス「イルファング・ザ・コボルド・ロード」についてだ。原作通りなら、彼は攻撃パターンが変化した際に、曲刀カテゴリーのタルワールではなく、野太刀に持ち替えるはず。こればかりはβテスターも知らない。なぜならβテスト版から正式サービス版への移行に伴って変化したものであるからだ。

 ただ、それを何の根拠もなく言うだけでは、信用されないどころか、反感を買う可能性すらある。「お前は一体どこでそんな情報を仕入れたんだ?」と詰問されて、クエストのクリア報酬で得たといっても、キバオウあたりなら、一人だけの情報などデマだと言いかねない。なんかキバオウって現実世界にいると、陰謀論とかにのめりこんでそうだな。おっといけない、話が脱線してしまった。

 ボスのモードチェンジの時の武器種が違うというの情報は、「客観的な事実」として提示される必要がある。であれば、やはりキリトと接触し、彼を通じてアルゴのガイドブックにその情報を載せるのが一番確実な方法だろう。あのガイドブックは信頼性が高いからこそ、βテスターの間でも重宝されていたはずだ

 

よし、とりあえず、この1か月でやる事はこのあたりかな。

 

1. 効率的なレベル上げと金策で、自身の装備を整える。

2. キリト・アルゴと接触し、ガイドブックにボス情報の詳細を載せてもらう。

3. 第1層ボス攻略会議に参加し、ディアベルの保護とβテスターへの不当なヘイトを防ぐ。

 

 当面の目標は、まずSAOからの無事生還だ。そのために、このデスゲームを無事に生還することだな。とりあえず、今日は早めに寝て、明日は早朝に次の街に出発だな。そこには、βテスト時に「アニールブレード」を入手できるクエストがあったはずだし、まずはそのクエストの確認からだ。

 

明日の朝早い出発に備えるということで、普段の寝る時間にはまだ早かったが寝ることにした。

 

 

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