ソードアートオンライン 翠玉の守護者 ~神様のミスで死んだので、SAO世界に転生して頑張りたいと思います。~   作:灯油明太子

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第3話 なんだかんだでアスナと出会ったけど、やっぱりキリトをたてといた方が何かと楽そうだよね

 皆さんこんにちは、シュウトです。さて、とうとうアインクラッドの第1層における最後の街、トールバーナへやってきました。

 

 私の隣には、なんとSAOの主人公であるキリト君がいます。確か、自分が2007年生まれで、アスナやリズベットと同じ世代なハズなので、2008年生まれのキリト君は一つ年下ですね。あ、こんなこと言ってますけど、BL展開は絶対にありえません。だって、僕は女の子が大好きですもん。出会う女子にことごとく恋愛感情を持たせるハーレム主人公なんて、もってのほかですからね。

 

「やっぱり、キリト。一発殴らせてくれない?」

 

「何でだよ!ていうか、『やっぱり』ってなんだよ!」

 

 キリトが若干引き気味な声でツッコミを入れる。いや、だってトールバーナに来てみたら、想像以上にβテスターらしきプレイヤーが大勢集まっていて、みんな効率よく狩りをしてるわけですよ。その中にキリトは当然のように混じってて、その周りにはそこはかとなくβテスト時代からの「知り合い」みたいな雰囲気を醸し出すプレイヤーもチラホラ。もちろん、その中には、いずれキリトの恋人になるアスナとか、たまに攻略組に加わりながら阿漕な商売をするエギルもいるはずで……。俺が苦労してアニールブレード取ったり、キリトに恩売ってここまで来たってのに、このリア充め。そう思ったら無性に腹が立ってきた。だって、唯一の非リア充のクラインは他のメンバーと一緒にプレイしてるから、進むペースが遅くてまだこの街に来れてないですし。

 

「いやぁ、年齢=彼女いない歴である非リア充の俺の横に、将来ハーレムを築くキリトがいることに腹が立ってね。」

 

「だから、濡れ衣だろそれ。勝手に、ハーレム築くって決めつけないでくれよ」

 

「いやそれで苦労するだろうから、今のうちから気を付けてた方が良いよキリト君。俺のサイドエフェクトがそう言ってる」

 

「サイドエフェクトってなんだよ」

 

「未来視的なものかな。それより、このトールバーナに来たってことは、迷宮区に挑むつもりなんだろ? いつ探索するんだ?」

 

俺がそう尋ねると、キリトの表情が引き締まった。

 

「ああ、とりあえず今日は迷宮区の入り口までで本格的な探索は明日だな。この街まで来たなら、そろそろ迷宮区の攻略を考えてるだろうしな。俺らも一度見ておくべきだろうな」

 

「じゃあ、まずは迷宮区の入り口まで行ってみるか」

 

 そうして、何事もなくトールバーナと迷宮区をつなぐ森のフィールドを探索し、問題なく進めることを確認して、宿へ戻ることにした。その道中、俺がキリトのことをβテスターだと思っていることを打ち明けることにした。

 

「なあ、キリト。お前、βテスト経験者なんだろ?」

 

 キリトが驚いたような、そして、観念したような顔をした。一瞬ではあるが、彼の表情に動揺が走るのが分かった。

 

「いつから、気づいてたんだ?」

 

「ん~、最初からだよ。ホルンカ近くのフィールドで、キリトが敵に囲まれてた時」

 

 俺は、したり顔で答える。キリトが目を丸くしているのが面白い。

 

「というか、デスゲーム宣言されてから1週間ほどであの街にいて、さらにはあの面倒なクエストのアニールブレードを手に入れてたから、ほぼ確でそうだろうなとは思ってた。それに、クリームがクリア報酬でもらえるクエストなんてものを、一刻でも早くクリアしたい状況のプレイヤーが寄り道で見つけるとは思えない。そうなれば、必然的にβテスターだろうって考えるわけだよ」

 

 嘘です。「全部前世でアニメを見ていた知識からです」なんて言えないからね。普通に考えて、この世界に生きてる住人からすれば、「アニメを見ていたから分かる」なんて、妄想癖のあるやつとされても仕方ないので、理由をでっち上げました、はい。

 

「……なるほどな。まさか、そこまで見抜かれていたとはな。流石だ、シュウト」

 

 キリトは乾いた笑みを浮かべた。彼の言葉に、俺は少しだけ優越感を覚えた。原作知識チート、最高だぜ!

 

「別に流石とかじゃねえよ。少し観察すればわかることさ。で、俺が見抜いたところで、お前を『初心者を見捨てたβテスター』なんて非難しないよ、安心しろ。俺はお前のβテスターとしての経験を、責めるつもりなんて毛頭ない。むしろ、頼りたいと思ってるくらいだ」

 

俺はキリトの肩を軽く叩いた。彼の心の重荷を少しでも軽くできれば、今後の協力体制も築きやすくなる。

 

「頼りたい、だと?」

 

キリトが訝しげな顔をする。

 

「ああ。俺はβテストに参加してないから、このゲームの深い知識がない。でも、このデスゲームを生き残るためには、効率的な攻略が必要だ。お前のβテストの知識と、俺の耐久力と……サイドエフェクトを合わせれば、最前線で安全な攻略を進められるはずだ。それに、前も話したけど、アルゴとも会いたいんだ。「情報は鮮度が命!」だからな」

 

 俺は改めて、アルゴとの接触の必要性を強調した。

 

 キリトは、しばらく黙って何かを考えていたが、やがて顔を上げた。その瞳には、迷いよりも決意の色が濃く宿っていた。

 

「わかった。シュウトの言う通りだ。俺のβテストの知識は、確かに今のこの状況で活かせる。だが、一人で抱え込むのは限界があるのも事実だ。シュウトのその……『特殊な能力』とやらも、確かに頼りになりそうだ」

 

 彼は少しだけ口元を緩めた。

 

「アルゴの件だが、明日、たぶん会えると思う。」

 

「サンキュー、キリト! 助かるぜ!」

 

 これで、第一段階はクリアだ。アルゴとの接触、そして彼女を通じて最新の、そして重要な情報を手に入れる準備が整った。

 

 そして翌日

 

 キリトがアルゴと連絡を取った結果、意外にもすんなりと会う約束が取り付けられた。場所は、トールバーナの街外れにある、あまり人目のないカフェのテラス席。アルゴらしい、警戒心の強さがうかがえるチョイスだ。

 

 指定された時間が夜だということで、一旦迷宮区の探索に乗り出すことにした。まあ、昨日同様森のフィールドは難なく突破することが出来た。そして、迷宮区の探索をして、フロアボスの部屋を見つけた。

 

「これがフロアボスのいるところか。ボス部屋だけあって、なんか威圧感を感じるな」

 

「まあな。とりあえずはここまでのマッピングも完了したし、街に戻るか」

 

 そうして、迷宮区を出て森のフィールドに戻ったところで、問題が起こった。

 

「なあ、確かβテストの時の第1層のボスはコボルドだったんだよな。」

 

「ああ、『イルファング・ザ・コボルド・ロード』だったな。体力が減った後はタルワールを使ってたはずだ。」

 

「あそこのコボルドの死体、近くにタルワールがないか?」

 

「確かに、あれはタルワールだな。この傷は刀系統によるものか?」

 

「てことはボスがβテストの時と変わってる可能性が出てきたわけか。こりゃあ、アルゴへのいい手土産になりそうだな。変更後の武器は......野太刀かな、俺のサイドエ...」

 

「サイドエフェクト、か?そんなことやってないで、早く戻るぞ。あんまり時間ないし」

 

 約束の時間が迫っていたため、俺達は急いでトールバーナへ戻り、アルゴとの待ち合わせ場所であるカフェへと向かった。そこにはフードを深く被り、顔の半分以上を隠した小柄なプレイヤーが座っていた。まさに情報屋然とした出で立ちだ。キリトが隣に座るのを確認し、俺も向かい側に座る。

 

「よお、キー坊。そっちが例の客カ?」

 

アルゴの声は、どこか飄々としていて、それでいて警戒心を全く緩めていないのが伝わってきた。フードの奥から覗く、鋭い瞳が俺を品定めするように見つめる。

 

「ああ、こいつがアルゴに会いたいと言っていたシュウトだ。で、シュウト、こいつが情報屋のアルゴだ」

 

キリトが紹介してくれた。俺は自己紹介をする。

 

「初めまして、シュウトだ。アルゴってよんでもいいか? 本当は挨拶だけでもと思ってたんだが、さっき仕入れた特ダネがあってな」

 

「ふうん、......特ダネ? どんな情報なんダ?」

 

アルゴの瞳が鋭く光った。彼女の注意が、完全に俺に向けられたのがわかる。

 

「第1層の迷宮区にいるフロアボス、イルファング・ザ・コボルド・ロードについてだ。βテストから攻撃パターンが変わっている可能性がある。具体的には、第二形態に移行する際の武器がタルワールではなくなっている、という情報だ」

 

 俺が淡々と告げると、アルゴの顔からフードが滑り落ちた。彼女の頬には特徴的なヒゲのようなマーキングがある。なんかホントに猫みたいだよね、このペイント。なんて言おうものなら怒られそうだけど。

 

「へぇ、それは面白い情報だナ。信用できるのカ?」

 

 アルゴは身を乗り出してきた。

 

(よし、食いついた!)

 

「キリトも一緒に確認したよ。森のフィールドでタルワールを持ったコボルドの死体が転がってたんだ。なあ、キリト」

 

 俺がキリトに話を振ると、すぐに答えてくれた。

 

「ああ、間違いない。俺もその死体を見たが、前はあんなものはなかった。だから、シュウトの言う通り、ボスの第2形態の武器が変わっている可能性は高いだろうな」

 

「出来れば、早めにこの情報をガイドブックに記載してほしい」

 

「へぇ……キー坊も確認済みカ。そりゃあ、確かに特ダネだナ。もしボスが別の武器を使うってなら、βテストの情報はほとんど役に立たないナ。シュー坊、いったいどこでそんな情報を……」

 

 アルゴは俺をじっと見つめ、その問いには探るような、しかし強い興奮の色が滲んでいた。

 

「シュー坊って呼ばれるの新鮮だわ。あぁ、情報の出どころは森のフィールドだよ。なんなら、明日見に行くか?あと、情報料もタダで良いよ。見返りは欲しいけど」

 

「ああ、そうだナ。キー坊の確認もあるから、嘘ではないだろうけど、自分でも裏どりしておきたいからナ。確認できたら一般に広めておくヨ。βテスターでもないのにこんな特ダネ持ってくるとはネ。それで欲しい見返りってのは何なんダ?」

 

「今後、ガイドブックを有料にすることがあったら、ちょっとお友達価格で売ってくれないかな、と思ってな。まあ、無理ってんならやらなくてもいいけどな」

 

「そんなことで良いのカ? まあいいだろう、交渉成立だナ。」

 

 アルゴはそう言って、満足げに頷いた。アルゴと別れる前に暫定版のガイドブックをもらって、俺の予定は完遂できた。ガイドブックの入手、キリトとの関係強化、そしてアルゴという強力な情報源との繋がりの確立。加えて、第1層ボス攻略の致命的な情報が、最速で広まる手筈まで整ったのだ。

 

「じゃあ、また明日だな、アルゴ」

 

 アルゴは「また明日だナ」とだけ言って、風のようにカフェのテラス席を後にした。そして、翌日に俺とキリトと一緒にタルワールのコボルド・ロードの死体を確認すると、アルゴはすぐに情報の追加をしてくれた。

 

 第1層のボス攻略会議はゲームが始まってから1か月程度たった頃だった。今日が11月20日ごろだから、あと1週間後ほどで行われるだろう。ということで、それまではキリトとともに迷宮区に入り浸る生活を続けていた。

 

 そして、12月2日になり、ボス攻略会議が開かれることになった。会場は前世にライブ映像で見たことのある河口湖ステラシアターみたいな作りだった。多分、こういう建築物の名称はあるんだろうけど、そんなに物知りじゃないから知らないんですよね。なんか、窪地にステージがあって、それに面するように段々になっている半円状の観客席があるって感じ。まあ、目立ちたくないし、後ろの方で座ってます。

 

「はーい、それじゃあ、そろそろ始めさせてもらいまーす!今日は、俺の呼びかけに応じてくれてありがとう!俺はディアベル、職業は気持ち的に『ナイト』やってます!」

 

 うわー、聞いたことある~。ついでに、「ジョブシステムなんてねえだろ!」ってツッコミも聞こえてきました。

 

「今日、俺達のパーティーが、あの塔の最上階でボスの部屋を発見した。俺達はボスを倒し、第2層に到達して、このデスゲームをきっとクリアできるってことを始まりの街で待っているみんなに、伝えなくちゃあならない!それが、今この場所にいる、俺達の義務なんだ!そうだろ、みんな!」

 

 うん、このセリフだけ聞いてると、職業は『ナイト』よりも『勇者』の方が正解だよな。まあ、これにチャチャ入れる奴がこの後来るんだろうけど。あ、横でキリトがなんか面白そうな顔してる。それをニヤニヤ見てたら、急にぎょっとしたような顔になる。どうしたんだろう?

 

「キリト、どうした?」

 

「いや、お前聞いてないのかよ。さっき、6人パーティーを組んでくれって言われただろ?」

 

 俺は、今見つけたようなふりをして、近くの赤いフードを被った女子を指さして言った。

 

「じゃあ、キリト。あそこの子をパーティーに誘っといたら。多分、ここにいる人数じゃあどこも6人パーティーってわけにはいかないし、人数少なくても大丈夫だろう」

 

 そう言ったら、キリト君ちょっと嫌そうな顔しながらもパーティーに誘いに行ってくれました。そういえば、この時期のアスナってつんけんしてるよね。まあ、無事キリトがパーティーに誘うことが出来たみたいで、俺の視界の端に、アスナのHPバーが現れた。

 

「ちゃんと、史実通りみたいだな。ってことは......」

 

「ちょ、待ってんか?ワイはキバオウってもんや」

 

 あ、出てきた。嫌な奴その1のキバオウ。まあ、これからこいつが何を言うか知ってるから、話を聞く気にもならないな。まあ、内容をエギルの兄貴がまとめてくれるから、考えなくてもいいですね。あ、キリトが罪悪感を感じてる。まあ、わからんでもないか。キリトはβテスターでありながらクラインという初心者を見捨てて、自分は次の街は行ったわけだもんな。

 

「発言いいか? 俺の名前はエギルだ。キバオウさん、あんたの言いたいことはつまり、『元βテスターが面倒を見なかったから、ビギナーがたくさん死んだ。その責任を取って、謝罪・賠償しろ』ということだな。」

 

「そうや」

 

 キバオウの返答を聞くと、エギルが懐からガイドブックを取り出して、答えた。

 

「このガイドブック、あんたももらっただろ?道具屋で無料配布してるからな。」

 

「もろたで。それがなんや!」

 

「配布していたのは、元βテスターたちだ。」

 

 エギルの言葉に、ざわめきが広がっていく。やっぱり、自分から元βテスターだった身分を明かして、ガイドブック作って、配布までしていたアルゴのすごさってホントにすごいよね。俺が原作知識なくその立場だったら、元βテスターって身分を明かそうとは思えないもん。

 あとキバオウ、「もろたで」まで言うたら、「工藤」まで言わなあかんでしょうに。

 

「いいか、情報は誰にでも手に入れられたんだ。なのに、たくさんのプレイヤーが死んだ。その失敗を踏まえて、俺達はどうボスに挑むべきなのか?それがこの場で論議されると、俺は思っていたんだがな」

 

 さっすが、エギルの兄貴!いけ好かないキバオウを正論のナイフで論破してくれてますね。うん、スカッとしますね。あ、キバオウがふてくされて、最前列に座った。それを見届けたエギルの兄貴も最前列に座ってる。兄貴、そんな奴の近くに座らなくても...... あ、ディアベルがボスの情報を話し始めた。ガイドブックを頼りに読んでるから、たぶん、武器が変わったことも明記されてるはずだよね。うん、ちゃんと、第2形態で武器が変わるとは言ってるけど、タルワールとは明言されてないね。これで、ディアベルのラストアタックボーナス狙いの暴走凸がなくなるといいけど。

 

 「攻略会議は以上だ。最後に、アイテム分配についてだが、金は全員で自動均等割り。経験値はモンスターを倒したパーティーのもの。アイテムはゲットした人のものとする。異存はないかな? よし、明日は朝10時に出発する。では、解散!」

 

 ということで、会議が終わりました。俺は眠いからってことにして、早めに宿にいます。そうしないと、キリトとアスナのパンにクリーム塗って、一緒に食べるイベント起きなそうじゃないですか。まあ、こうやって配慮してるので、そのイベントが無事発生してることを祈ってますよ。じゃないと、ユイが来た時のパパとママって関係性が成立しなくなっちゃうしね。あと、宿の窓からみてて思ったんだけど、ディアベルとキバオウのやってた、互いの腕を交差させながら、飲み物の飲むあの体勢、見た目難しそうだよね。

 

 そんなことを思い、俺はベッドに入った。明日は朝10時に出発ということなので、夜更かしはしていられないのです。

 

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