ソードアートオンライン 翠玉の守護者 ~神様のミスで死んだので、SAO世界に転生して頑張りたいと思います。~ 作:灯油明太子
仮面ライダーオーズ、前回までの三つの出来事。
一つ、シュウトはキリトとパーティーを組み、トールバーナへ到着。
二つ、迷宮区での探索によって、βテスト時とボスの武器が異なる事を発見。
そして三つ、シュウトはキリト・アスナとパーティーを組み、ボス攻略に挑むことが決定した。
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皆さんこんにちは、シュウトです。
いや、朝起きてすぐだから、「おはようございます」の方が正解かな?
まあ、そんなことは置いといて、今日はボス攻略ですね。
え?前回までのあらすじ?あぁ、アレですか。いや、さっき起きてから振り返ろうと思ってですね、振り返ってみてたんですよ。ただ、普通に振り返るのもなんだか面白みがないなぁ、って思ってですね。前世で僕が唯一、グッズとして販売されてた変身アイテムに触れたことのある特撮の奴を真似してみたんですよね。
「でも心の中では、作品名をちゃんと言ってた気がするし、ここでぼかしても意味ないのでは?」
「ん?シュウト、何か言ったか?」
「あぁ、ただの独り言。なんでもないよ」
危ないですね。ついうっかり、考えてたことが口をついてたようです。というか、もしちゃんと聞かれてたら、ここにいない人に向けて何か喋ってるやばい奴ってことになるじゃん。他の人に見えないものが見える不思議ちゃんなんて言われるのは嫌だ、親父にも言われたことないのに!()
昨日ちゃんと早寝をしたおかげで朝はちゃんと起きれたので、今はキリトと宿の近くで朝ご飯を食べてます。まだアスナさんとは合流してません。まあ、集合時間の10時には早い9時30分くらいなので、当然と言えば当然かな。だって、昨日会ったばかりの異性ですからね。普通に考えて、時間の5分前くらいに来るんだと思います。この時期のアスナって、まだゲーム攻略のことしか考えてないはずだから、余計なことはしないって考えてそうだし。
「シュウトも食べ終わったし、そろそろ集合場所に行こうか」
考え事をしながら朝ご飯を食べてたら、いつの間にか完食してたみたいですね。キリトから声を掛けられて気づきました。
「そうだな」
そう一言だけ言って、俺達は席を立ち、集合場所へと歩を進めた。
集合場所に着くと、かなりの人数がすでに待機していた。その中にはフードを深くかぶったアスナもいたので、早速合流して出発予定の時間を待った。まあ待ってる間に特別なことは何もなかったんですけどね。ほんでもって、迷宮区へ向かう道中で俺達3人での戦闘においての流れを確認するということになった。
「確認しておくぞ。あぶれ組の俺たちの担当は『ルイン・コボルド・センチネル』っていうボスの取り巻きだ」
「分かってる」
物静かな感じにアスナが肯定してますね。いかんいかん、このままじゃ、俺、要らない子になっちゃう。ちゃんと会話に混ざっとかないと、話を聞いてないと思われて雰囲気が悪くなってしまう。
「基本的には、盾持ちの俺が前衛で攻撃を引き付ける感じか?」
「そうだな。で、シュウトがソードスキルで敵の武器を跳ね上げたら、すかさず『スイッチ』して飛び込むって形かな」
「......『スイッチ』って?」
「ん?もしかして、パーティー組むの、これが初めてなのか?」
「うん」
アスナが初めてのパーティープレイであることを、頷いて肯定した。
「あぁ......」
キリトが前途多難になりそうなことを予感して、歩みを止めてがっくりしている。
うん。いや分からんでもないよ。そろそろゲームが始まってから1か月経つし、アスナは、すでにトールバーナまで来れてるわけだからある程度の戦闘ができるわけで。それなのに、パーティー戦の基本を知らないってなると、その気持ちもわかるけどもね。アニメだと、このシーンまだ2話目ですからね。チュートリアルは終わってないのは当たり前というかなんというか。
なんともメタいことを思いながら、シュウトは歩みを止めたままのキリトに呼び掛けた。
「おーいキリト、早く来ないと置いてかれるぞ」
呼びかけると、キリトは走ってこっちまでやってきた。そんなキリトに対して、俺は小声で話しかけた。
「まあ、ソロだったとはいえここまで来れてるんだから、ある程度動けるはずだろうさ。それに、新規が育たなきゃ界隈が廃れるだろ」
「......そうだろうけど、今はそういうことを言える状況じゃないだろ!」
小声で話しあってたので、アスナには聞こえてないようだ。アスナは小声で話しあうこちらを訝しげに見ていただけだった。とはいえ、アスナがこのまま『スイッチ』を知らないのはまずいので、説明することにした。
「あー、『スイッチ』てのは、『プレイヤーを交代する』ことって言ったらいいのかな?ソードスキルを使うと、その後に硬直で動けなくなる時間があるだろ?その『カバー』、援護のために他のプレイヤーに前で戦ってもらうて感じかな」
「なるほどね」
「あとは、味方のソードスキルが敵だけに当てられるようにって意義もある。ソードスキルが味方に当たって体力を削られるとか、技同士が干渉して邪魔されるとか、そういうことを防ぐ目的もあるな」
「「へぇ」」
キリトの補足説明に対するリアクションが、アスナと被ってしまった。
「いや、お前は『へぇ』って言っちゃ、ダメな側だろ、シュウト!」
「そういう意義があるって知らなかったんだから、素直にリアクションするのはしょうがないだろ!」
だってしょうがないじゃん。今までやってきたゲームって、同士討ち、いわゆるフレンドリーファイア(FF)ほとんどがないんだよね。某モンスターをハンティングするゲーム然り、某三国志や戦国時代の偉人を使って無双するゲーム然り、味方からダメージ受けるゲームって最近プレイしてないから、それに気づかなかったや。SAOでのここまでのプレイでも最高がキリトとの二人パーティーだったからね。
「『百聞は一見に如かず』って言うし、とりあえず、敵に遭遇したら実践してみるか」
「OK!」「うん」
ということで、敵に遭遇した時に実際にやってみたんですけどノー問題でしたね。まあ、俺が耐久力ありすぎて、崩れないってのもあるんでしょうけどね。盾とか剣で武器を跳ね上げて、『スイッチ』って言うと、爆速でキリトかアスナのどちらかが敵を倒していってました。
そんなこんなで、ボス部屋の前に着いた俺達は、ボス戦前の小休憩をしていた。
これが普通のゲームだったら、ここで一旦セーブして保険掛けられるんだけどね~。
まあ、そうは問屋が卸さないんですよ。だってこれ、デスゲームだもの。
そう思いながらも、口には出せない。それだけの緊張感と静寂が漂っていた。
その静寂を切り裂いたのは、ディアベルの言葉だった。
「聞いてくれ、みんな。俺から言うことはたった一つだ、『勝とうぜ!』」
その言葉に、この場の全員が気を引き締めなおした。
「行くぞ!」
ディアベルはそう言うと、ボス部屋の扉に手をかけて開いていく。そこには薄暗いながらも広い空間が広がっており、最奥部にはボスモンスターが鎮座しているのが見える。ディアベルのパーティーを先頭に進むと空間が明るくなり、奥にいたボスが飛翔した。そして、その近くに、取り巻きも出現すると、こちらに向かってきた。それに呼応したディアベルの掛け声によって戦闘の火蓋が切って落とされた。
戦闘が始まってからしばらく経過したが、基本的にやる事は変わらない。自分はとにかく取り巻きを引き付けること。まあ、もしものことを考えて、横目でボスの体力ゲージは確認してますが。
あと、アスナってすごいね。ホントに今日が初めてのパーティー戦闘なの?いや、原作でもそうだったから疑ってるわけではないんだけどさ。さっき、覚えたばかりの『スイッチ』をもう完璧に使いこなしてますからね。やっぱり、攻略の鬼ってすごいんだなぁ......と思いながら、引き付けた敵の武器をソードスキルで跳ね上げる。
「スイッチ!」
今度は、キリトがスイッチで来たようだ。キリトが敵を倒した後、俺に話しかけてきた。
「お前の予想通り、あの子かなり動けてるな」
「あの子は、『攻略の鬼』になるよ。俺のサイドエフェクトがそう言ってる」
「またそれかよ。まあ、あの動きを見てると本当にありえそうだな」
そんなやり取りをしていると、遠くて剣が落ちたような音が聞こえた。音の発生源を見てみると、何も持っていないボスモンスターが居た。よく見てみれば、ボスの体力ゲージが最後の一本で赤になっていた。その様子を見ていたキバオウの声が聞こえてきた。
「情報通りみたいやな」
「下がれ、俺が出る!」
ディアベルがそう言うと、キリトは不思議そうな視線をディアベルに向けた。それに対してディアベルは、俺とキリトの方へ意味ありげな視線を向けてきた。しかし、それも一瞬でボスに向き直ると、ソードスキルを使おうと剣盾を構えていた。
「ああ......せっかくβテストの情報が通用しないって言っても、ディアベルはラストアタックボーナスを取ろうと突出するのか。キリト、カバー頼む」
俺は、キリトに一言かけて、すぐにディアベルを追いかけるように走った。事前に、武器が変わっている可能性を示せば、防げると思っていたが甘かったようだ。キリトも俺の意図を察して、すぐについてきてくれた。
しかし、俺とキリトがディアベルに追いつくよりも早く、ボスのイルファング・ザ・コボルド・ロードは野太刀を手に、攻撃モーションに入ろうとしていた。
「また、シュウトの予想通りか。......ディアベル!全力で後ろへ飛べ!」
キリトが叫んだ。だが、ディアベルは攻撃しようとすでにボスに対して走り出していた。このままではディアベルは確実に死ぬだろう、原作通りに。しかし、今は俺がいる。
「させるか!」
俺は、ボスの攻撃からディアベルをかばうように飛び出し、持っていた盾を構えた。野太刀が振り下ろされ、俺は構えた盾ごと吹き飛ばされた。
ガァァァン!!
金属がぶつかり合う鈍い音が響き渡り、火花が散る。強烈な衝撃が全身を襲い、俺のHPバーが大きく減少した。一瞬、ぐらり、と視界が揺らぐほどの衝撃だったが、致命傷には至らない。ディアベルは、俺の背後で直撃は免れたが、その身体は軽く吹き飛ばされ、地面に転がった。彼のHPバーも、イエローゾーンまで減っていた。
「嘘だろ......ここまで、吹っ飛ばされるのかよ。まあ、脳震盪とかで動けないってことにはならなくて良かったかな」
「シュウト!」
キリトが吹き飛ばされた俺の下に駆け寄ってきて、ポーションを渡してくれる。俺はそれをすぐに飲み干すと、離れたところに落ちていた装備を拾って再び立ち上がった。見てみれば、ディアベルもキバオウ達に回復してもらっていた。
ボスが咆哮を上げている間にアスナも近くまで来ていた。ボスは野太刀を振りまわして、他のメンバーは近づけていなかった。どうも、さっき俺とディアベルが吹き飛ばされた武器変更直後の高火力の攻撃に足がすくんでいるようだった。その様子を見たキリトは、俺達が倒すしかないと決心したようだ。キリトが俺とアスナにアイコンタクトをすると、一斉に走りだした。
「手順はセンチネルと同じだ!」
「了解!」「分かった!」
そして、俺を先頭に3人でボスに突っ込んでいく。相手は、居合切りのような構えのソードスキルのようだった。俺は、そこに剣のソードスキルをもって剣を弾く。
「キリト、スイッチ!」
その言葉を合図にキリトが攻撃を仕掛けていく。その後、アスナが攻撃に入ろうとしたところで、ボスの攻撃モーションが見えた。その様子を見て、キリトが叫んだ。
「アスナ!」
アスナは間一髪のところで避けたが、フードが切られてしまったようだ。おかげで綺麗な栗色の長髪が見える。しかしそれを意に介さず、アスナはボスへの攻撃を続行する。その後も、俺、キリト、アスナの順にスイッチをして、攻撃を重ねていっていた。しかし、ボスのフェイントに引っかかってしまい、ノックバックされてしまった。同時に後ろにいたキリトとアスナを巻き込むことになってしまい、体勢が崩れてしまう。それを逃さず、攻撃を仕掛けてくるボスに対応しようとするが、手元に盾がなく、剣で応戦しようとした。
ギィィィン!!
金属がぶつかり合う音が響いたが、俺の手元には衝撃がなかった。見れば横には、今しがた大斧スイングした大男、エギルがいた。それに続くように他のプレイヤーもボスに攻撃を仕掛けようと走り出していた。
「回復するまで、俺達が支えるぜ!」
うん、エギルの兄貴、やっぱカッコイイですわ。
そのまま、ボスを取り囲んでいたが、範囲攻撃でノックバックさせられる。そこに追い打ちをかけるように攻撃モーションに入ったボスを見て、俺とキリトが最速でカバーに動く。キリトが空中で攻撃を当てて、そのまま地面へと落とす。
「シュウト!アスナ!最後の攻撃、一緒に頼む!」
「「了解!!」」
そのまま、3人でボスへ突っ込む。俺がパリィして、キリト、アスナが攻撃を仕掛け、最後にキリトがとどめを刺し、ボスがポリゴン体となって消滅する。
「......や、やったああああああああああああああああ」
一瞬の静寂の後、出現した"Congratulations!!"の文字と同時に、攻略メンバーが沸き立つ。そんな喧騒のなかで、俺とアスナ、エギルがキリトの下に近づく。
「お疲れ、さすがキリト」
「お疲れ様」
「見事な剣技だった、"Congratulation" この勝利はあんたのものだ」
エギルの言葉に、他のメンバーも賛同する。その中には、ディアベルやキバオウも含まれていた。
良かった、キバオウの他責発言が出なくて。ということは、とりあえず目標達成かな。
「さっきはありがとう。おかげで命拾いしたよ。」
そう思っていたら、ディアベルがこちらにやってきて、話しかけてきた。
「ディアベルが無事なようで何よりだ。」
じゃないと、キバオウが「なんでディアベルはんを見殺しにしたんや!」てキレ散らかしてくるんですもん。そんでもって、キリトがビーターって呼ばれちゃうので。一応、ディアベルに釘を刺しておこう。
「今回はなんとか助けられたけど、もうラストアタックボーナスを狙おうとして、単独行動するなよ。」
「......ああ。次からは気を付けて攻略に挑むことを心に刻もう。」
ディアベルがちょっと驚いたような顔をしながら、俺の忠告を受け入れてくれた。あの表情からすると、もしかしたら俺もβテスターだったと思われてる?まあ、どっちでもいいか。
キリトがラストアタックボーナスを獲得したはずだけど、あの黒いコートを着ていない。まあ、あれはビーターとしての印象操作も含めてやったことだろうから、今回はやる必要がないってところか。
なんやかんやあって、第2層の転移門のアクティベートも完了し、パーティーを解散するというときになって、アスナがキリトを呼び止めて質問をした。
「待って!あなた、戦闘中に私の名前読んだでしょ?」
「ごめん、呼び捨てにして。とっさのことだったから。それとも、読み方違った?」
なんかアニメの時よりも、キリトの返答が明るいですね。まあ、あの時はビーターの汚名を被った直後だったからそういうもんなのでしょう。
「どこで知ったのよ?」
アスナの質問に対して、自身の左側の視界を指さしながらキリトが答える。
「この辺に、自分の以外に、追加でHPゲージが見えるだろ。その下に、何か書いてないか?」
それを聞いたアスナは、自身の視界に映るUIに注目するようなしぐさを見せる。
「キ、リ、ト、キリト?これがあなたの名前?」
「ああ。んで、こっちがシュウトだよ。」
あ、微笑ましくキリトとアスナによるチュートリアルの会話を聞いてたら、俺も巻き込まれた。まあ、パーティーメンバーだから、紹介されるのはわかるけど。
「ふふ、なぁんだ。こんなとこにずーっと書いてたのね」
そう言いながら、アスナは笑顔になった。
いや、これは可愛すぎるな。そりゃ、クライン達、風林火山のメンバーもファンになるわ、納得の可愛さ。これが作り物じゃなくて、これで現実世界にいるんでしょ?ヤバ過ぎ。いや、まあこれは創作の世界が元になってるはずだから、作り物ではあるんだろうけどさ。
でも、そんな明日奈の婚約者に名乗りを上げて、意識がない状態の時に髪をクンカクンカする下衆野郎がいるって考えると、控えめに言って吐き気がするな。まあ、あと2年近く先の話なんだけど。
「キリト、現実世界で殺したい奴が出来たから、早くゲームクリア頼むわ」
「待て待て!なんで、急にそんなことを思ってるんだよ!脈絡なさすぎるだろ!というか、攻略はシュウトもやるのに、なんで俺に任せてるんだよ!」
「俺も攻略には参加するよ。でも、俺のサイドエフェクトが『このゲームをクリアする勇者はキリトだ』って言ってるからさ。あと、俺はやることがあるから、一旦別行動ってことで」
「え、シュウト、お前……」
キリトが何か言いかけたが、俺は軽く手を振ってその場を後にした。アスナも驚いた顔でこちらを見ていたが、すぐにキリトの方に視線を戻したようだ。
二人と別れ、俺は第2層の転移門を使い、第1層の始まりの街に戻ってきた。さっきキリトに言ったように、やっておきたいことがあるのだ。その目的を果たすために第1層のフィールドに足を踏み入れると、どこからか賑やかな声が聞こえてきた。遠くに見える、見慣れない……いや、見覚えのある赤色のハチマキを巻いたプレイヤーのパーティー。
目的を早々に達成できそうだと思った俺は、自然と笑みをこぼした。