「フットボールフロンティアーー!!」
朝の登校中、守がそう叫びながら学校内に駆け足で入っていく。
「ふふ、守ったら張り切ってるね。」
「念願だったフットボールフロンティアに参加できるんだ。無理もないさ。」
風丸と一緒に登校していた彩は苦笑した。
推しと一緒に登校できるなんて…!!といまだにドキドキする事もあるが、家が近所だったと出会った次の日にお互い知り、その時から一緒に登校しているのである。
しかし、最近の彩には悩みがあった。
(最初のテンマーズ達との試合、帝国学園、尾刈斗中の試合は原作をよく覚えてたけど、フットボールフロンティアの地区予選、決勝戦がどこと当たるのか思い出せなくなってきてる…記憶がゴッソリ消えたような感じで…)
フットボールフロンティア戦での登場人物はまだある程度覚えているが、それもいつ思い出せなくなるのか怪しい。忘れない為に目もノートに書いておかなければ、と決心した。
「みんなーー!!とうとうフットボールフロンティアが始まるんだ!!」
「おぉぉぉぉぉぉ!!」
「で、相手はどこなんだ?」
「相手は……知らない!!」
守の答えにみんながずっこける。
「野生中ですよ。野生中は確か、去年のフットボールフロンティアで帝国と戦っていたはず…初戦敗退っていうのは、勘弁してほしいですね。あぁ、それから…」
「ちーす、オレ、土門飛鳥、一応DF希望ね!!」
冬海先生の背後から出てきたのは新たに加入する土門だった。
(土門が加入するのって、このタイミングだったけ…?).
「君も物好きですね。この弱小クラブに、わざわざ入部したいなんて」
土門がなんだあいつと言いたげに去っていく冬海先生を指さす。
「土門君」
「あれぇ?秋じゃない?お前雷門中だったの?」
「?2人は知り合いなのか?」
「うん、昔アメリカにいた時があって、その時一緒にサッカーしていたの。幼馴染って感じかな。」
秋ちゃんは土門と再開できて嬉しそうだった。
「とにかく、歓迎するぜ!土門!!一緒にフットボールフロンティア頑張ろう!!」
「でも、相手は野生中だろ?大丈夫かなぁ?」
土門が心配そうに問いただした。
「なんだよ、新入りが偉そうに」
「前の中学で戦ったことあるからねぇ。瞬発力、機動力は大会屈指だ。特に、高さ勝負にはめっぽう強いのが特徴だ。」
ドラゴントルネードやファイアトルネードが効かないかもしれない事に考えあぐねていると、
「新、必殺技だーーー!!新しい必殺技を生み出すんだよ!空を制するんだ!!」
その日から野生中との試合に向けて特訓が始まったのだが…
(その消防車、どこから借りてきたんだ…?)
「お前、どこ投げてるんだよ……ふざけるなボール拾いか俺は!!」
「よぉ、お前らせいが出るなぁ。この間の試合、見せてもらったよ!まるでイナズマイレブンが再来したみたいだった!!」
「イナズマイレブン……?」
「おぃおぃ、円堂大介の孫が知らないのか?イナズマイレブンを……」
古株さんがそう話し、40年前にフットボールフロンティア優勝間違いなしだと言われたチームの事を話し出す。
「よしっっっ!!みんな、なってやろうぜ!イナズマイレブンに!!」
「おぅっっっ!!」
放課後、風丸と円堂,彩と豪炎寺は一緒に帰宅していた。
「まさか必殺技の一つも思い浮かばないなんて…」
「諦めるなよ」
「諦めてる訳じゃないさ。ただ、最悪の事態も考えておかないと…」
「新必殺が見つかったとしても、身につけるまでには時間が必要だ。」
「野生中の高さに対抗する為の必殺技だしね。高さに特化した必殺技じゃないと…」
4人が新必殺について悩んでいる中、
「ぐぅぅぅぅ…」
円堂のお腹が鳴った。腹が減っては考えも浮かばない為、雷雷軒による事にする。
(響さんのラーメンだ!!めっちゃ美味い!!)
隣で風丸と円堂が話をしている中、彩はラーメンの美味しさに感動していた。
「イナズマイレブンの秘伝書がある…」
(なんで雷雷軒のおじさんがイナズマイレブンの秘伝書を知っているんだ…?)
豪炎寺が怪しむ中、響さんがイナズマイレブンの秘伝書は災いをもたらすかもしれない、それでもみたいか?と円堂に問いかけていた。
翌日、イナズマイレブンの秘伝書が理事長室の金庫にあることを知った円堂達はこっそり理事長室に忍び込み、金庫にある秘伝書を取ろうと躍起になっていた。
「はぁ、何をしているのかしら?あなた達。」
「まさかホントに忍び込むとは…」
「?なんで彩が夏美と一緒にいるんだ?」
「昨日雷雷軒で話を聞いてから、今日の朝夏美さんに秘伝書を見せてほしいってお願いしていたのよ。わざわざ忍び込まなくても、直接お願いすればよかったのに…」
そう言うと一郎太や染岡などはバツが悪そうに目を逸らした。
「探し物はこれではなくて?」
夏美さんが一冊の大学ノートを皆に見せるが…
「なんだこれ…」
「外国の文字でやんすかね?」
「いや、恐ろしく汚い字なんだ!」
「守の字になんとなく似てる…」
秘伝書に書かれていた文字が恐ろしく汚い字だった為読めず。せっかくの秘伝書の字が読めない事に対して風丸や染岡は円堂!!とキレてたが…
「すげぇ、ゴッドハンドの極意だって!!」
「「読めるのかよ!!」」
円堂は小さい頃からノートを見て練習していた為、秘伝書を読めていた。
「ん、相手の高さに勝つ為にはこれだ!イナズマ落とし!」
「1人がビョーンて飛ぶ。もう1人がその上でバーンとなって、くるっとなってズバーン!これぞイナズマ落としの極意!えっ!?」
擬態語ばかりの極意にみんなもうちょっと何か書いてくれよ…とずっこけるのであった。
「本日のメインイベントはこれ!敵の凄技を受ける特訓だ!!」
そう言って染岡が抱えているのは木にローブを括り付け、タイヤの間にマットを敷き詰めたものだった。
(あれでどうやって特訓を……?)
彩が考えてると一郎太が彩の手を引き、逃げるぞ!!と離れた距離に移動する。逃げ遅れた宍戸はポツンと残っており、まわりに誰もいない事に逃げ遅れた事を察し、タイヤに吹き飛ばされて行った。
(ご愁傷様…)
一年達が次々と特訓によって吹き飛ばされていくのを見ながら染岡に見つからないように風丸の背後に隠れている彩だった。
豪炎寺が1人高くジャンプし踏み台になり、もう1人がそれを踏み更に高くジャンプ、そしてオーバーヘッドキックというイナズマ落としの解説をしてくれたおかげで道筋が見え、踏み台になれる選手が壁山だと言う事で高くジャンプできるように特訓が始まった。しかし…
「た、高いところ苦手なんですぅぅぅ」
(最初から高いところ苦手だって言えばよかったのに…)
と内心ツッコんでしまった。
試合当日、野生中に向かったら雷門イレブンだったが…
「コケーッ、これが車ってやつなのかコケ!!」
「初めてみたんだウホッ!!」
「こんな奴らと試合するのかよ…」
(いくら山奥とはいえ、車は見たことあるはずなんだよなぁ…)
野生中の生徒たちの応援が響く中、
「雷門中ガンバレーー!!」
「サ、サク!?」
壁山の弟が友達と一緒に応援にきていた。
「壁山、弟が応援に来たからには、かっこ悪いとこは見せられないね。壁山ならイナズマ落とし成功させる事ができる!自分を信じな!!」
「彩先輩……」
いよいよ野生中との試合がはじまる。
雷門中フォーメーション
FW 豪炎寺 染岡 ベンチ:宍戸 目金 栗松
MF 壁山 半田 山野 松野
DF 少林 土門 風丸 影野
雷門中のキックオフで試合スタート、風丸のパスをうけて染岡が上がっていく。
「野生中の実力を見せてもらうか!!豪炎寺!!」
豪炎寺がファイアトルネードの体制になるが、鶏井が豪炎寺の高さまで高く飛び、ファイアトルネードを阻止してしまった。
「コンドルダイブ!!」
「ターザンキック!!」
相手選手がシュートを放ったと思ったらその間に別の選手が割り込んで別方向にシュートを放つ。
シュートが右側にくると思ってた円堂は咄嗟に方向を変え、
「させるか!熱血パンチ!!」
なんとかシュートを止める事ができた。再びボールは豪炎寺に渡るが、相手の切り替えも早く、豪炎寺には特に厳しいマークがつく。
「豪炎寺!こっちだ!」
染岡がフリーになっていた為、パスをし染岡がシュートを放とうとする。しかし…
「うわぁっっ」
獅子王がボールを染岡ごと吹き飛ばしてしまった。染岡は近くにあった木製の柵に激突してしまう。
「足首を捻っている。試合続行は無理だわ。」
選手交代で宍戸がMFに入り、MFにいた壁山をFWにあげる。
大鷲のスローインで試合再開、亀がドリブルで上がっていく。
「いっちょやったりますか!キラースライド!」
「ナイス土門!」
(あれは帝国のDF技!?なぜあいつが?)
土門がゴール前にボールを高く上げる。しかし、イナズマ落としは成功出来なかった。
試合は膠着し、0対0のまま前半は終了する。
グローブを脱いだ守の手は赤くなっていた。
「守、手が赤くなってる。休憩の間だけでも氷で冷やさなきゃ。」
「あぁ、ありがとな、彩。」
「キャプテン…」
「ねぇ、壁山、地面を見て高いところが怖いなら、地面を見なければいいんじゃない?空をみるとか…」
「無理っスよ…やっぱおれにはイナズマ落としは無理だったんっス…」
「今ここで諦めて逃げるって事は、一番かっこ悪いわよ?私達の信頼を裏切る事にもなるし、応援に来てくれたサク君達の期待も裏切ることになる。」
そう言われ、ハッとした壁山は弟を見る。脳裏に浮かぶのは、今まで高いところが苦手な自分の特訓に付き合ってくれた円堂や1年のメンバー達だった。
野生中のキックオフで試合スタート。相手選手が雷門中のゴール前の近くまで駆け上がっていく。
(守の手は赤く腫れ上がっていた。これ以上守に負担はかけられない。ここで防いでみせる!)
「ここから先は行かせない!ワンダートラップ!!壁山!!」
ボールをカットし、壁山にパスをだす。
(みんなが、キャプテンが、彩先輩が、信じてパスを出してくれたボール。このボールだけは、このボールだけはっっ!!おれにできる事は、これだ!!)
そうして壁山がだした答えは、お腹を上に向けることだった。
「そうか!下を見なきゃ怖くない!!」
「これがおれのイナズマ落としだぁぁぁ!!」
高いところからシュートされたボールに野生中のGKも反応できず、ゴールに突き刺さる。
「ゴォォォル!!雷門中、ついに野生中のゴールをこじ開けたぁぁぁ!!豪炎寺と壁山の見事な必殺技で先制点!1対0です!!」
「そして、試合終了!!1対0で雷門の勝利です!!」
「まさか腹とはな。誰にも真似できない、お前だけしかできない、イナズマ落としだ。」
「へへっみんなのおかげっス。」
「やったやったぁぁぁ!!やっぱ兄ちゃんは凄いんだぁぁぁぁ!!」
翌日の放課後、部室に集まろうとしたところ、すでに先客がいた。
「えっ!?なんでお前がここに?」
「今日から私、雷門夏美はサッカー部のマネージャーになりましたので、どうかよろしく。」
「「えっ、ぇぇぇぇ!?」」
「そうなの!?女子がサッカー部に入ってくれるのは大歓迎!!よろしくね、夏美さん!私の事は彩って呼んでほしいな!!」
男子達が驚愕する中、1人テンションが爆上がりした彩は自己紹介する。
「あら、じゃぁ私の事も夏美って呼び捨てで構わなくて良よ。ただし、理事長代理として動くこともあるので、節度は守ってくださいね。」
「へへ、じゃぁ改めて、よろしくね。夏美。」