広「P、わたしにお姫様抱っこをしてほしい」 作:mamanaranai
「おはよう、P」
「おはようございます、広さん」
今日の朝は自由時間ということで、プロデューサー室で今後の活動について打ち合わせをすることになっている。
最近、広さんは体力がついてきたのか集合時間に遅れることも少なくなってきている。いいことだ。
「昨日はよい休日を過ごせましたか」
「うん。とても充実した1日だった。貴重な体験をすることができた、よ」
「ほう、何をされたんですか」
「麻央寮長にお姫様抱っこをしてもらった」
「麻央寮長・・・有村さんですか。それでお姫様抱っことは」
またしてもこの人は何か変わったことをしたらしい。
「寮長のお姫様抱っこはとてもドキドキして、心が苦しくなるという噂があって、それを確かめるのに寮長にお願いした」
「・・・な、なるほどそういうことですか。あまり、有村さんの手を煩わせてはいけませんよ」
後でお詫びにいくべきか。
「大丈夫。寮長もすごいノリノリだった。わたしお姫様って呼ばれてすごいドキドキした、ふふ」
「まあ、それならいいのですが」
「そのあと、お姫様抱っこの指導もしてもらった」
「・・・お姫様抱っこの指導ですか?ど、どうして」
「お姫様抱っこする方も楽しそうに思えたから、わたしも友達にしてあげてドキドキさせたい」
「ふー、・・・それでどのような指導をされたんですか」
「まず筋力をつけることが必要。お米袋1kgを抱える練習をした。だから今日上半身が筋肉痛。ふふ、ままならないね」
「無茶をしないで下さい。筋肉痛ならば今日のレッスン内容を見直す必要がありますね」
「ごめんね、P」
「いえ、筋力トレーニングをしたと思えば、休日に自主レッスンをしたのは褒められることです。ですが無理は禁物ですよ。練習メニューを組みましょう」
「P、止めないんだね」
「ええ、やりたいんでしょう。ならばそれを支えるのが俺の役目です」
「うん。やりたい。ふふ、さすがP。ありがとう、大好き」
(とりあえず、有村さんにはお礼を言いにいこう)
「ところでP、お願いしたいことがある」
「なんでしょうか」
「私にお姫様抱っこをしてほしい」
「・・・な、なぜ」
「麻央寮長のお姫様抱っこはすごいドキドキして心がきゅーってなった。もしもPにしてもらったらもっと心が苦しくなると思う。それを体験したい」
この人はどうしてこうなのか。困ったなこれはめんどくさいぞ。
「そもそも俺は何度か広さんをお姫様抱っこをしています。レッスンで倒れたときとかで」
「そうなんだ、知らなかった。わたし覚えてない」
「それは気絶してましたからね」
「じゃあ、ノーカンだ、ね」
「そんな」
「P、お姫様抱っこ、して」
琥珀色の瞳がこちらの目を見据える。・・・最初から俺に選択肢はなかった。
「・・・わかりました、少しだけですよ」
「ありがとう。Pの悩んでる姿、可愛かった、よ。ふふ」
「まったく。持ち上げますよ」
俺は腕を広さんの腰にまわし、抱きかかえる。
あまりにも軽い少女の身体に不安を覚える。動けばすぐに倒れ、立っているだけでも倒れる。
そんな彼女に俺は逆らえないのだから、なんとも理不尽だ。
「ふふ、P、顔に色々と書いてあるよ」
「読まないで下さい」
俺は顔を広さんに向ける。彼女の瞳と目が合う。いつもよりも彼女の顔が近くに感じる。
「あっ、えと。P、そんなに見つめられると、ちょっと恥ずかしい」
いつも飄々とした彼女のうろたえる表情がおかしくつい笑ってしまった。なんとなくだがからかいたくなってしまった。
「・・・お姫様、とても可愛いですね」
「へっあっ・・・・・・・・・・きゅう」
「広さーーーーん!!」
篠澤広は幸せそうな顔をして気を失ってしまった。