スティレットのおはなし   作:ぺかちゅう

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#3 アタシが強くなる方法は?

 武希子によるFAガール講座。FAガールはじめて物語と称されたそれは、FAガールがどのように生まれているのかを教える内容だった。

 自分たちについて学んだ轟雷は、闇雲に強い武器を求めたりするだけではなく、自分自身が強くなることを決意する。

 轟雷とFAガールについて学んだあおも、その内容をレポートにまとめてFA社へと送ったのだが──。

 

「全部知ってます、だってさ……。そりゃそうか、FAガールを作ってる会社だもんなぁ……」

 

 FA社から返信された手紙を読んで凹むあおに、バーゼラルドが話しかける。

 

「ねぇねぇ、まだ紙が入ってるよ」

「ん?」

 

 バーゼラルドが見つけた紙には、レポートに記されていた轟雷自身の強くなりたいという気持ちに着眼点を置いたことについて高く評価することと、それに関するデータ収集のために会社で開発したパーツを貸与することも記されていた。

 手紙を読み終えた少し後、ドローンによってあおの部屋にFA社からの強化パーツが届けられる。

 

 

 

 数日後。

 あおの部屋にバトルフィールドが展開されていた。

 そこで戦っているのは二体のFAガール。

 片方はフレズヴェルク、もう片方は白い新型装甲を身に纏った轟雷──轟雷改である。

 

「すごいぞ轟雷改ー!」

 

 フレズヴェルクの攻撃をものともしない轟雷改に歓声を上げるバーゼラルド。

 

「さすがね、轟雷改!」

「素晴らしい初陣だ、あっぱれ轟雷改!」

 

 他のFAガールたちも、バトルを見守りながら称賛の言葉を口にする。

 

「ねぇ、あれ一人で組み立てたの私!すごくない!?」

 

 一緒に見守っていたあおがそう言うも──。

 

「勝てるわよ、轟雷改」

「勝ちなさい、轟雷改」

 

 誰も聞いてはいなかった。

 あおたちがそんなやり取りをしている時、フィールド内でのバトルは佳境に入っていた。

 

「そろそろ決着かしらね」

「うむ」

「やっちゃえー!」

 

 フィールド外からの応援に応えるかのようにフレズヴェルクとの力比べを制した轟雷改は、そのまま背中のキャノン砲を発射。フレズヴェルクの体力を削り切り、勝利を収めるのであった。

 

 

 

「アーキテクト!大丈夫ですか!?」

 

 バトルフィールドでは、勝負を終えた轟雷改がアーキテクトに駆け寄っていた。

 先程まで轟雷改と戦っていたのは、フレズヴェルクの姿を象ったアーキテクトだったのである。

 

「コピーモード、コードフレズヴェルク完了。轟雷、完全勝利」

「ありがとう、アーキテクト」

 

 薄く微笑みながら称えるアーキテクトにお礼を言う轟雷改。

 それと同時に、二人はあおの部屋へと戻るのであった。

 

 

 

 部屋へと戻った轟雷たちは、あおや他のFAガールたちに囲まれていた。

 

「二人ともお疲れ様!」

「すごかったね轟雷~」

「見事な勝利だったぞ!」

「ありがとうございます!」

 

 称賛の声に、嬉しそうに答える轟雷。

 

「……ん?」

 

 それを見ていたスティレットが何かに気づき、アーキテクトとのバトルを提案したマテリア姉妹に話しかける。

 

「ねぇ、アーキテクトがフレズヴェルクとして戦えるって、いつ思い出したの?」

「思い出すも何も──」

「最初から気づいてたわよ?」

 

 もっと早く思い出してくれれば前回の特訓のようなざまを晒さずに済んだと思って問いかけるスティレットに、事も無げに答えるマテリア姉妹。

 

「はぁ!?じゃあどうして教えてくれなかったのよ!?」

「その方がスティレットちゃんたちの無様な姿を楽しめると思ったもの」

「うんうん」

「……そうよね。そういうタイプよね、アンタたちは……」

 

 当たり前のように言われ、怒る気も起きないスティレットであった。

 

 

 

 スティレットたちが話している間に、あおや他のFAガールたちが、フレズヴェルクとの戦いに備える轟雷のために決起集会を開くことを決めていた。

 その内容はと言うと、それぞれが出し物をして轟雷を応援するというもの。

 迅雷は手裏剣での的当てを、スティレットとバーゼラルドは脱出マジックを、アーキテクトは歌唱を、マテリア姉妹は漫才を。大トリのあおは、かつて吹奏楽部で吹いたことのあるトランペットの演奏を披露した。

 出し物に加えて、それぞれが轟雷を応援する言葉を送る。

 少しうまくいかない出し物もあったが、どれも轟雷を勇気づける応援になったのは間違いないだろう。

 

 

 

 そんな決起集会のあと。

 

「アーキテクト。ちょっと相談……っていうか、お願いがあるんだけど」

 

 スティレットが、アーキテクトに頼み事を持ちかけていた。

 

「たしか、アンタの充電くんにこの前部屋に来た武希子って子の連絡先が登録してあったわよね?」

「肯定。寿武希子との連絡は可能」

「よかった。それでね、その武希子と話がしたいの。あおに頼んでもいいんだけど、轟雷の武器を作ったりしてくれてるし、アタシの用事までお願いするのは気が引けるっていうか……その……。とにかく、お願いできないかしら?」

「了承。武希子に通話を繋ぐ」

「ありがと、よろしくね」

 

 お礼を言うスティレットに頷き、武希子に電話をするアーキテクト。

 数コール後、武希子が通話に応じ、充電くんから声が聞こえてくる。

 

「ほいほ~い。アーキテクトちゃん、なんか用なりか~?」

「スティレットから通話の要請」

「スティレットちゃんから?」

「今から通話を交代する」

「ほいよ、了解」

「……もしもし、スティレットよ。いきなり連絡してごめんなさい」

「いいっていいって~。んで、この武希子めに何の用事でありんすか?」

「あのね……アタシを、強くしてほしいの」

「ほう、汝も力を求むる者か。でもでも、あおにも言ったけど、いくらなんでも装甲みたいな物は作れないでありますぞ?」

「それは聞いてたわ。でも、装甲となると大変ってことは、武器とかなら作れるってことでしょ?轟雷にキャノンをあげてたし」

「ふむ、それくらいなら可能なりよ。強い武器をご所望?」

「あと、素早く飛ぶための追加ブースターみたいなのがあったらって思ってるの」

「なるほどなるほど、火力と機動力に特化したいと……」

「やってもらえないかしら?」

「うむ、心得た!」

「……え、ホントに?」

「断られると思った?」

「そういうわけじゃ──」

 

 ない、とは言い切れなかった。

 断られるか、そうでないにしてもあまりに一方的な頼みであるのだから、多少は渋られるだろうとは思っていたのである。

 少なくとも何かしらの条件を出されるだろうと思っていたところに、想定外の快諾。驚くのも当然と言えた。

 それに、一方的に利を得るようで、スティレットの胸中は喜びよりも申し訳無さのほうが大きくなってきていた。

 口ごもるスティレットに、武希子は言葉をかける。

 

「じゃあ、この寿武希子からもお願いがあるなりよ」

「え、なに!?」

 

 少しでも恩を返せると思い、声を弾ませるスティレット。

 

「スティレットちゃんのカ・ラ・ダ」

「……え?」

「うちでスティレットちゃんの事を眺めさせて欲しいんだよね〜」

「──あぁ、そういうことね!それくらいならお安い御用よ、うん!」

 

 一瞬フリーズ仕掛けたのをごまかすかのように話すスティレットだったが、わざわざ誤解しかねない言い回しを選んだ武希子がそれに気づかないはずもない。

 

「スティレットちゃん、どうしたなりか?あ、ひょっとしていかがわしいことを──」

「そ、そんなわけ無いじゃない!うぅ……とにかく、アンタの家に行けばいいんでしょ!?」

「そゆこと。こっちはいつ来てくれてもウェルカムだよん」

「分かったわ。今日はもう夕方だし、明日でどうかしら?」

「うん、お休みだし丁度いいでありんすね」

「じゃあ、明日──ごめん、アンタの家の場所がわからないんだけど……」

「ご一緒させていただきますぞ。あおの部屋に迎えに行くなりよ」

「ありがと。じゃあ、部屋で待ってるわね」

「お任せあれ!そうそう、あおにもちゃんとお出かけのことを伝えとくように。こっちからも連絡はしておくけど」

「分かってるわよ。また明日ね、武希子」

「また明日〜。あ、アーキテクトちゃんもまたね〜」

 

 武希子からの挨拶を受け、小さく頷くアーキテクト。その姿が伝わるとも思えないが、小さな駆動音でリアクションが返されたと判断したのだろう、武希子側からの操作で通話が終了された。

 

「助かったわ、アーキテクト」

 

 改めて礼を言うスティレット。それに対しても小さく頷きを返すアーキテクトであった。

 

「さて、と。……あおー!」

 

 アーキテクトとのやり取りのあと、スティレットはキッチンで料理をするあおの元へ駆け寄って行く。

 

「んー?どしたの、スティ子?」

「アタシ、明日は武希子の家に行くわ。向こうからも連絡あると思うけど」

「武希子の家?なんか珍しい組み合わせだね。何しに行くの?」

「武希子に協力してもらって、強くなってくるの!」

 




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