低身長ツインテ爆乳負けヒロインがエルドラを救うためにがんばる話 作:ピンク髪ツインテの女の子はかわいい
「ん……っ」
解けた意識が元に戻るまでは、一瞬だった。
ミミが辺りを見回すと、視界に映ったのは確かに神殿と思しき遺跡のような内装と、一緒にミッションを受けた四人が同じような台に立っている光景だった。
そして、目の前にはあの、犬を直立二足歩行にして服を着せたらこうなる、の実例のような推定NPDが立っていた。
「そ、創造主様! 本当に創造主様にお越しいただけるとは! 光栄ですっ!」
「創造主だぁ? 俺らは確かにビルダーだけどよ……」
「び、ビルダー?」
「話の腰を折るんじゃないわよ。ところで、キミの名前は? あたしはミミ」
「ミミ様というんですね! ボク……いえ、私はフレディといいますっ!」
尻尾を左右にぶんぶんと振って、推定NPD改め、フレディは嬉しそうに笑顔を浮かべる。
様付けで呼ばれるのはどうにも背中がむず痒くなるが、これもダイバーを気持ち良くさせるための演出なのだろうか。
ぼんやりとミミはそう考える。
「なんかNPDの演出、過剰じゃねえか?」
「それよりも機体だ。機体はどこにある? ステータスではフィールド上にあるようだが」
ゲームシステムに対して首を捻るカザミの発言をバッサリと切り捨てて、黒髪の女性はフレディへと問いかける。
確かに、これがミッションなら機体──ガンプラも転送されてなければ筋が通らない。
ミミはヒロトに目配せをすると、小さく頷いて、「こっちだと思います!」と神殿の外に向かったフレディの後についていく。
「わあぁっ……!」
目の前に広がる圧倒的な光景に、銀髪の少年が思わず感嘆の息をついた。
18メートルクラスに拡大された1/144スケールのガンプラ──自分たちの愛機が、神殿の外には直立していたからだ。
ミミもふふん、と、愛機であるコアガンダム1.5の姿を確認して鼻を鳴らした。
「へへっ、すげえだろ? これが俺様の愛機! その名もガンダムジャスティスナイトだ!」
インフィニットジャスティスをベースに、騎士風の改造が施された機体を指して、カザミは不敵に笑う。
インフィニットジャスティスの強みである多彩な近接武装の多くはオミットされているが、ミミはその分使いやすそうだな、という印象を受けた。
作りもまだ甘いところこそあるが、「こういうのが好き」というのが全力で伝わってくるのは好ましい。
「ん? どうした爆弾娘? さては俺のジャスティスナイトに……惚れちまったか?」
「少しでも感心したあたしがバカだったわ!」
「なんでいきなりキレるんだよ!? 情緒不安定か!? ……って、相棒のガンプラちっさ! えっ、その隣にあるガンプラって、相棒のとよく似てっけど……」
「あたしのだけど、なんか文句ある?」
「あっいや……別に文句とかはねえけどよ……」
ヒロトのコアガンダムの隣に並んでいる、青と白を主体にしたカラーリングのコアガンダム1.5を指して、カザミは困惑する。
だが、ミミは有無を言わせない圧力を込めた笑顔を向けて、カザミが継ごうとしていた二の句を封じた。
このコアガンダム1.5については、誰にも文句は言わせないつもりだからだ。
ミミはヒロトのコアガンダムを一瞥し、きゅっと胸の前に拳を当てた。
「んで、そっちの機体が……ウォドム!?」
「なにか問題でもあるのか」
「いや問題はねえけどよ……んでそっちは、恐竜!?」
「えへへ……」
「なんてこった、まともな機体が俺しかいねえ……! って痛てててて!!!!」
現状を受けてがくり、と膝から崩れ落ちたのがカザミだったが、ぶちり、と頭の血管がキレていたのがミミだった。
「あのね、ガンプラを見た目で判断するほど浅はかなことはないのよ!? どんな見た目でも、その人が本気で作った想いの結晶がガンプラなんだから! 今日日こんなこと初心者だって知ってるわよ!?」
「痛い痛い痛い! わかった、わかったよ! これ以上耳を引っ張らないでくれ、千切れる!」
「ふんっ。今日はこのぐらいで勘弁してあげるわ。感謝しなさいよね!」
カザミの耳を引っ張っていた指を離して、ミミは豊かな胸を支えるように腕を組む。
「……漫才は終わりか? ところで、敵が来ているようだが」
「デスアーミーの改造機……数は3機だな」
黒髪の女性の言葉に反応し、ヒロトは双眼鏡で土煙をあげて神殿に迫ってくる敵機を観測する。
その内訳はタンク型が1機、浮遊型が2機。
先行しているのはタンク型だ。
「痛ててて……3機だぁ?」
「す、すみません! つい数を盛ってしまいましたぁっ!」
「40機と戦わなくて済んだと見ていいだろう、出るぞ」
「あっ、ちょっと待ちやがれ! 俺のジャスティスナイトの見せ場が──!」
慌てるカザミを差し置いて、黒髪の女性はウォドムの改造機に乗り込んで一番槍を掻っ攫う。
女性に続く形でカザミも、銀髪の少年もそれぞれの愛機に乗り込んで、戦場へと飛び出していく。
だが、ミミとヒロトは動かなかった。
「この場所、意図的に外して撃ってる?」
「……多分。ここはスタート地点で、バトルエリア外なんだと思う」
「……そっか。あたしは出るわ。ヒロトがどうするかは……任せたわよ!」
ミミは、コアガンダム1.5に乗り込んでスラスターを全開にする。
正直なところ現有戦力で、あのデスアーミーもどきとどこまでやり合えるのかはわからない。
30機倒すと意気込んでいたカザミは恐らくそこまで腕がない。動きのぎこちなさから見るに、銀髪の少年は初心者だ。
頼れるのはウォドムの改造機を使う女性だけだが──彼女も見ていると、スタンドプレーに走る傾向がある。
「即席チームとはいえ、ひっどい有様ね……!」
「わ、わぁっ……!」
タンク型の攻撃を受ける銀髪の少年の機体は、回避運動を取れずに硬直していた。
この状況を鑑みれば、まず最優先でバックアップすべきは少年だろう。
ミミはコアスプレーガンの先端にνガンダムのビームライフルの砲身を切り詰めたものを接続した「νコアライフル」を構えて、タンク型を撃ち抜こうとレティクルを覗き込む。
──が、刹那。
「待たせたな! この俺ことスーパーヒーロー、ジャスティス・カザミのショータイムだぁぁぁっ!」
「射線上に割り込むんじゃないわよバカ!!!!」
空中で華麗に決めポーズを取ったカザミの機体──ジャスティスナイトは敵の集中砲火を浴びる形で墜落、ミミの射線を遮ってしまう。
バカだバカだとは言っていたが、よもやここまでとは思ってもいなかった。
空中で決めポーズをとって許されるのはアニメの中での話だというのに。
「貰ったっ!」
「お、俺を踏み台にしたぁ!?」
心の中で盛大に文句を喚き立てながらも、ミミの頭脳と行動は冷静だった。
墜落してきたジャスティスナイトを踏み台にして跳躍、浮遊型の背後をとってνコアライフルの一撃で破壊する。
残りはタンク型と、あと1機だけだ。
「う、うわあああっ! や、やられ……」
「……敵の数と構成は把握した。およそハードモード相当……やれる」
一番御しやすい相手だと見たのか、銀髪の少年を執拗に狙う浮遊型の前に、ヒロトのコアガンダムが割って入る。
しかし、なんのアタッチメントも装備していないコアスプレーガンと、コアガンダム状態でのビームサーベルの出力では、ハードモード相当の敵を撃破するのは難しいと、ヒロトはそう判断した。
ミミが敵を倒せたのは、あくまでもライフルアタッチメントを装備していたからだ。ならば。
「コアチェンジ、ドッキング・ゴー……!」
コアガンダムと共に読み込ませていたSFSが纏っていた装甲が合言葉と共に分離し、機体に吸着していく。
アースアーマー。
ヒロトが作っていた、コアガンダムの真の姿とでもいうべきそれは、手足を大きく延長し、18メートルサイズにまでグローアップさせる。
「……これで!」
アースアーマーと合体したコアガンダム──「アースリィガンダム」は出力が強化されたビームサーベルを引き抜いて、浮遊型を両断した。
そして、随伴機を失ったことで不利だと判断したのか、タンク型は凄まじい速度で戦線から後退していく。
勝利条件は、敵の殲滅。ならば、と、ヒロトは通信回線を開く。
「……ミミ!」
「任せて、ヒロト! コアチェンジ、アイズトゥアステール、ドッキング・ゴー!」
ミミのコアガンダム1.5もまた、SFSとして読み込ませていたサポートメカから分離したアーマーと合体し、その真なる姿、「アステールガンダム」を白日の下に露わにする。
「ふんっ。生憎機動力なら、こっちが上なのよ!」
弾幕砲火を掻い潜り、後退していくタンク型に、背部へ接続したマルチスラスターユニットが生み出す凄まじい速度で追い縋ったアステールガンダムは、νコアライフルの一撃で瞬く間に敵機を塵へと還す。
「さ、さすがですっ! さすがはビルドダイバーズの皆さんです!」
「は?」
5人の即席チームが敵機を瞬く間に全滅させたことで歓喜に沸くフレディの口から飛び出てきた言葉には、聞き覚えがあった。
しかしそれは、ヒロトにとっても、ミミにとっても──否、この場にいる誰もが、予想し得ないものだったのだ。
射線上に立つなってあたし、言わなかったっけ?
ひとくち解説
【アステールガンダム】
ミミのコアガンダム1.5に、ウラヌスアーマーとサターンアーマーをベースとした「アステールアーマー」を装備した形態。背部に装備されたユニバーサルブーストポッドにより高い機動力とを誇り、全身のハードポイントにより武装を拡張することで様々な環境に対応することが可能な汎用性を獲得している。