低身長ツインテ爆乳負けヒロインがエルドラを救うためにがんばる話 作:ピンク髪ツインテの女の子はかわいい
「ビルドダイバーズ? あたしたちが? なんかの間違いじゃなくて?ねら
「ぼくたちが、ビルド……ダイバーズ……?」
ミミと銀髪の少年は、揃って小首を傾げる。
フレディの言葉を受け、突如としてポップアップしてきた入力画面には、確かにデカデカと「BUILD DIVERS」の文字が躍っている。
ミミは意図的にそのフォースについて調べようとしてこなかったものの、そんな名前のフォースがあることは覚えていた。
そして、デフォルトとして出力されるフォース名が、既存のフォースと被っているのは、一体どういうことなのか。
「なあこれ、バグか? いやでも制限時間あるっぽいし、早く決めねえと……!」
「え、えっと……確かビルドダイバーズにいたんですよね? な、なら問題ないんじゃ」
「そいつの経歴なら詐称よ、真に受けるもんじゃないわ」
「ちょ、待て、バッカお前! 余計なこと言うなって!」
「だって事実じゃない。本当のこと言ってなにが悪いのよ」
「ぐ、ぐぬぬ……」
たとえどんなに取り繕おうとも、事実は事実なのだから仕方がない。
歯ぎしりをするカザミに対して、ミミはふん、と小さく鼻を鳴らした。
銀髪の少年は、ミミの言葉に少しだけしょんぼりしたような表情を見せる。
「け、経歴詐称……えっと……あはは……」
「そ、そんなことより早く名前を決めちまおうぜ! 時間切れになっちまう!」
強引に話を方向転換して、カザミはポップしたウィンドウを指差す。
このままでは既存のフォース──それも有名フォースと名前被りを起こしてしまうのは事実だ。話の変え方は強引だが、カザミの言い分は理にかなっている。
ヒロトはその文字列に対して複雑な表情を見せていたが、制限時間が5秒を切っていたこともあって、ミミはそれに気づかなかった。
「これなら、別の名前だろう」
あたふたしている3人と、呆然としているヒロトを尻目に、黒髪の女性は「BUILD DIVERS」の「I」を小文字の「i」に置き換えて、決定ボタンを押下する。
フォース、「BUILD DiVERS」。
即席で決まったから仕方ないとはいえ、なんともパチモノ感が拭えない名前だと、ミミは小さく溜息をつく。
「一文字違いだけどね」
「被っていなければ問題ないのだろう?」
「そりゃそうだけどよ、って、おお?」
黒髪の女性の言葉にそう返したカザミは、自らのダイバールックが次第に透けていくのに戸惑って、気の抜けた声を出す。
ウィンドウには「TIME OUT」の文字列が出力されていることから察するに、恐らくこれでミッションはクリアになったのだろう。
ミミは小さく欠伸を噛み殺して、やっと終わったかとばかりに、現実へと解けていく感覚へと疲れた身を任せた。
「……俺が、ビルドダイバーズ……!?」
吐き捨てるように呟いた、ヒロトの言葉に気づくこともなく。
△▼△
「お待たせいたしました!」
G-cafeのアルバイト面接に合格したらしいヒナタが、客に対して初々しくも可愛らしい笑みを振り撒いている。
ヒロトとマツムラ店長、そしてミミの3人はその仕事ぶりを見守っていたが、今のところ特に問題はないようだった。
友達がバイトに合格した。そのこと自体は自分にとっても喜ばしいことのはずだったのに、どうしてか、ミミの心はエプロン姿のヒナタを見るたびにささくれ立つ。
いや、最初からわかっていた。
塩が足りないのどうのこうのとガノタにしか通じないパフォーマンスをリクエストされて困惑しているヒナタを見て、少しだけ安心したような気持ちになるのは。
自分は、ヒナタがこのガンダムベースシーサイドベース店というヒロトと二人きりになれる唯一の場所に入り込んできたのを、妬んでいるからだと、ミミは自己嫌悪の溜息をつく。
「どうしたんだいミミちゃん、憂鬱そうな顔して」
それを見たマツムラ店長が善意から優しく声をかけてきたが、今は下手に同情されたくない、というのがまた乙女心の複雑なところだった。
「えーっと、大丈夫です! ただ、あたしもGBNやってなかったらカフェの看板娘になれたのかなーって思って!」
「……ミミに看板娘は無理だろ、すぐ怒るし」
「うっ……す、好きで怒ってるわけじゃないわよ! もう!」
ぼそりと呟いたヒロトに対して、ツインテールを逆立ててミミは噛み付く。
意中の人を相手にこんな態度をとっているからいつまでも恋心が結ばれないのだとはわかっていたが、生まれ持った性分ばかりはどうにもならない。
自分の気性の激しさは父親に似たのか母親に似たのか、それとも隔世遺伝なのか。いずれにしても厄介なものだとミミは再び自己嫌悪の殻に閉じこもる。
「いやしかし、ヒロトくんも隅におけないねぇ」
「えっと……なにがですか?」
「ヒナタちゃんとミミちゃんだよ。こんなに甲斐甲斐しくて健気な子は滅多にいない、大事にするんだよ」
「はあ……」
マツムラ店長の唐突な説教じみた言葉に、ヒロトは苦い顔をしてフライドポテトを一つ摘んだ。
ヒナタが甲斐甲斐しい、というならわからなくはない。
しかし、ミミは手のかかる妹のようなお転婆娘なのだから、どの辺りが甲斐甲斐しいのやら、ヒロトにはさっぱりだった。
「お待たせしました!」
マツムラ店長が頼んだパフェを持ってきたヒナタが、にっこりと笑顔の花を咲かせる。
動作自体にまだぎこちないところはあっても、その笑顔は間違いなく堂に入っていた。
ミミだったら多分塩が足りないのパフォーマンスで盛大にキレ散らかしていたんだろうな、と、ヒロトは改めて確信する。
「ねえ、ヒロト」
「……ん?」
「また本格的にやる気になったの? ガンプラバトル。ここ最近、ミミちゃんとずっと一緒に来てるみたいだし」
「……いや、そういうわけじゃないんだけど」
バトルといっても対人戦はやっていないし、ミミと一緒に来ているのも子守りみたいなものだ。
あとは、あのシークレットミッションについて気になるところがあるからだろうか。
真っ当な理由だ。それでも、どこか言い訳じみた後ろめたいものがある気がして、ついヒロトはヒナタから目を逸らしてしまう。
「そっか。でもまたガンダムベースに行くようになってよかった。今日も、ミミちゃんとGBNするんだよね? いってらっしゃい!」
「……わかった。行ってくる。行こう、ミミ」
「……うん」
天使のように柔らかく、あたたかくも、どこか影を帯びたような笑みを浮かべたヒナタに対して、ミミは再び心がささくれ立つのを感じずにはいられなかった。
そんなんだから負けるんだぞミミちゃん(2敗目)