低身長ツインテ爆乳負けヒロインがエルドラを救うためにがんばる話   作:ピンク髪ツインテの女の子はかわいい

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多分原作との分岐点


だから防衛作戦だとry

「ミッションのエントリーメンバーが規定数ログインしたため転送を開始します……? なにこれ、って、きゃあっ!?」

 

 GBNにミミとヒロトがログインすると同時に、謎めいたポップアップが立ち上がり、二人は瞬く間に神殿へと転送されていた。

 そこにはなぜか空気椅子でパソコンのキーボードを叩いているような姿勢をしているカザミと、困惑した顔の少年、そして相変わらずなにを考えているのか読めない黒髪の女性が勢揃いしている。

 無論、ミミの隣にはヒロトも転送されていた。

 

「お、お助けくださいー! 創造主様ー!」

 

 呆然としているミミたちを尻目に、フレディが半泣きで縋りついてくる。

 相変わらずNPDとは思えない、自然で可愛らしい振る舞いと質感だ──と、ミミは感嘆の息をつく。

 一方でカザミは、どうやらなにか思うところがあったらしく、真っ先にフレディへと詰め寄っていく。

 

「ああーっ! お前ーっ!」

「う、うわぁ!?」

「この前のクリア称号! 報酬! いつ貰えんだよ! 今日プレボ覗いてもなんもなかったんだぞお前ーっ!」

 

 怒り心頭に発するといった様子で大声を出してカザミはフレディに問いという名のクレームをぶちまける。

 

「あんた、NPD相手にムキになりすぎでしょ……カルシウム足りてないの?」

 

 所詮、どれだけ精巧に作り込まれていたとしてもフレディはこのシークレットミッションに配置されたNPDで、その中身はスクリプトとプログラムの塊だ。

 試すつもりはないが、やろうと思えば旧来のAIが陥るように、会話をループに持ち込むことも可能だろう。

 それに、あくまでも報酬を付与するのは運営であって、NPDが直接渡してくれるわけではない──ミミは、呆れた様子で溜息をつく。

 

「四六時中キレてるお前に言われたくねえわ! おかしいだろうがよ、ミッションクリアしたのに報酬が貰えないって!」

「誰が好きで四六時中キレてるですって!? クリアしたのに報酬が貰えないなら、そんなのクリアしてないってことに決まってるじゃない! 脳みそ詰まってんの!?」

「お、お前……言いやがったな! じゃあこの間のアレはなんなんだよ!? 俺たちはあのデスアーミーを撃破して! フレディを守っただろうが!」

 

 売り言葉に買い言葉で、ミミとカザミは顔を突き合わせて口論を交わす。

 四六時中キレてる──というところに間違いはそんなにないんだけどな。

 どちらかといえば気に食わないことには噛み付かずにいられないだけだけど、と、ヒロトがぼんやり失礼なことを考えていると、銀髪の少年がなにやら尻尾を抱いてもじもじとなにかを話したがっている様子に気づいた。

 

「……ミミ、カザミ。そこの……えっと。とにかく、話があるみたいだ」

「なによ話って!?」

「そうだぜ、俺たちは今まさに大事な話を……!」

「ひっ! あ、あのぅ……み、ミミさんの言ってること、もしかしたら一理あるかもしれないんです」

 

 少年はヒロトに背中を押され、おずおずと小さく手を挙げて語り出す。

 

「あん? この爆弾娘の言ってることが正しいってか?」

「ふふん。それ見たことか! ってやつね」

「ぶ、Vガンダム……そ、その話は一旦置いておいてですね、もしかしたら今僕たちがやってるのは、ストーリーミッションなのかもしれません」

 

 少年は手元のウィンドウを操作して、運営の告知を表示しながら語り出す。

 

「それって、今度のアプデで追加されるって噂の、ステージが連続する……要は長編のストーリーを追体験する形式のミッションよね?」

「は、はい。ぼくたちがやっているのは、その先行配信で……だからクリア扱いにまだなってないのかもしれません」

「……その説は一理ある。今確かめたけど、ミッションの情報や進行状況が非開示になってる」

 

 ヒロトもまた、手元のウィンドウを反転させて、ステータスやミッション名すらも「Unknown」で埋め尽くされている画面をミミたちに提示した。

 先行配信だとしても、全てが非開示になっているのはおかしいが、そこはそれ、βテストだから正式にミッションの名前が決まっていないなどの理由もあるのだろう。

 そう割り切って、ヒロトはウィンドウを閉じた。

 

「なんだよ、それならそれらしいフラグ立てとけよな!」

「まだ未完成なものに文句を言っても仕方ないだろう。あとで運営に問い合わせればいい。ところで、フレディも話があるようだが」

 

 黒髪の女性は、ミミとカザミの剣幕に押されて遺跡に置いてある石板の影に隠れていたフレディを指して淡々と語る。

 

「あ、あの……ボクは喋っていいんでしょうか」

「……別にいいと思うけど」

「ありがとうございます、創造主様! 実はボク……じゃなかった、私から創造主様にお願いがありまして」

「お願いはいいけどよ、俺たちは創造なんちゃらじゃなくてビルダーだっての!」

「そ、そうでした! ビルダー様、本日はぜひ私たちの村までお越しいただきたく!」

 

 ご機嫌そうに尻尾を左右に振りながら、フレディは言った。

 

「んだよ、そんなことか……」

「ぼやかないの。次のミッションに繋がる手がかりかもしれないでしょ」

「それもそうか……お前に言われるのは癪だけどよ」

「そんなことも思いつかないぐらい頭スッカスカなあんたに教えてあげてんのよ」

「なんだと!?」

「なによ!?」

 

 バチバチと火花を散らし、カザミとミミが鋭い視線の刃を交わす。

 まさに水と油といった風情だ。

 ヒロトは幼馴染その2の変わらない狂犬っぷりに、ただ溜息をついて天を仰ぐことしかできなかった。

 

 

 

△▼△

 

 

 

 フレディたちの村まで向かうのに、ガンプラを持っていくかどうかという話になったが、結局のところ戦闘のないパートなら無理に動かす必要もないということで、ヒロトのコアガンダムに全員が乗り込むことになった。

 その道中、銀髪の少年が尻尾を抱えてガタガタと震えていたり、なにかに襲撃されたような跡が残っている場所が見つかったりもしたが、それ以外は特筆すべきこともない。

 ただただ、ミミの眼下に映る景色には、広大な荒野が広がるばかりだった。

 

 そして、村に辿り着くと、フレディの案内でミミたちは村長の家へと招かれた。

 村長の家というには、やや……否、かなり質素な土造りの簡素な建物で、原始的な世界観なのかな、とミミはぼんやり考える。

 住人のNPDも概ね獣と人を足して2で割ったような外見をしていて、良くも悪くもガンダムの世界観とはかけ離れていた。

 

「ようこそお越しくださいました、私がこの村の長、トノイといいます」

「この方たちが創造主……じゃなくて、ビルダー様です!」

 

 トノイ、と名乗ったNPDに続く形で、フレディがミミたちを紹介する。

 

「ふーん。フレディ、村長の息子って設定なのね」

「設定? なんのことやらわかりませぬが、先日は、この子が危ないところを助けていただいたようで……」

 

 思わずミミが呟いていた言葉に困惑しつつも、トノイは礼を言って頭を下げる。

 

「別に、困ったときはお互い様っていうか──」

「いいってことよ! 俺はカザミ! 人呼んで『ジャスティスナイト』! キャプテン、もしくはヒーローと呼んでくれ!」

「ちょ、人の言葉に被せるんじゃないわよ!」

 

 つん、と唇を尖らせて豊かな胸を支えるように腕を組んだミミを押し除ける形で、割り込んできたカザミが、そのことを一ミリも気にかけることもなくトノイへとアピールした。

 自分の実力が全く伴っていないのに、ヒーローやらキャプテンやらとなんの臆面もなく名乗れる度胸にはある意味感心すべきなのだろうが、とミミは呆れ果てる。

 NPD相手に格好つけたところでどうしようもないだろうに、という言葉を呑み込んだのは最後の理性だった。

 

「それじゃあ早速、セカンドミッションについて聞かせてもらおうか!」

 

 キラキラと目を輝かせてトノイへと言葉を投げかけるカザミだったが、そんな彼に呆れたような視線をぶつけているのはミミだけではなかった。

 

「あ痛ぁっ!?」

「はあ、もう……ビルダー様だかなんだか知らないけど、あの遺跡に立ち入っちゃダメって何度言ったらわかるの?」

 

 気丈な印象を受ける獣人の女性が、カザミを一瞥してフレディの頭上に拳骨を落とす。

 

「だってぇ!」

「だってもなにもない!」

「ボクがあの石板に触ってなかったら──」

「やめなさい、フレディ。マイヤ。お客人の前だぞ」

 

 どうやら女性の名前はマイヤというらしい。

 察するに、フレディの姉なのだろう。

 勝ち気なところにどこかミミの面影を感じつつ、ヒロトはあとでログデータを参照すればいいかと割り切って、くるりと踵を返した。

 

「ヒロト? どこ行くの?」

「……あとでログデータを見ておくから、その辺を見てくる」

「そう……行ってらっしゃい、ヒロト」

 

 こういった影を帯びたヒロトの行動に対して、ミミは強く出ることができない。

 これがカザミだったら話の一つぐらい最後まで聞きなさいよ、と雷を落とせるのだが。

 惚れた弱みというものはなんともしがたいものなのだ。

 

「ええ、と……東の村の惨状は、見てこられたでしょうか」

「通りかかったときに煙が上がってたところね? なにかに襲われてるの?」

「はい。我々は『ヒトツメ』と呼ばれるものに狙われておりまして……しかし、まさかこんな辺境の村までも標的になるとは……」

「ヒトツメ、ねえ……フレディが襲われてたあのデスアーミーもどきで合ってるかしら?」

「で、デスアーミーという言葉は存じ上げませぬが、やつらは皆目が一つでして、それで『ヒトツメ』と……」

「ふーん、なるほどね」

 

 デスアーミーを知らない、というのはGBNのミッションにしては違和感があったが、そういう設定なのだから仕方あるまい、とミミは自分を納得させる。

 ただ、「ヒトツメ」というのが敵対勢力の名前だとわかっただけでも収穫だ。

 黒髪の女性が事情を深掘りしているのを横目に、ミミは小さく頷く。

 

 トノイ曰く、このエリアのNPDは居住地を放棄して逃亡する勢力と、太古の遺物なるもので「ヒトツメ」に抵抗するレジスタンス、そしてフレディのように自分たち──ダイバーに期待する派閥に分かれているらしい。

 ただし、レジスタンスの拠点は遠く、村への支援を期待するのは望み薄。

 そして、村が抱える人口と外からの避難民を移動させる手段も場所もない──そうなれば、必然的に「ヒトツメ」を倒せるダイバーに頼ろうとするのは無理もないことだ。

 

「話は聞かせてもらったぜ! 要はドカーン! とやって、ボカーン! とやりゃあいいんだな!?」

「そう単純な話ではないと思うが。確認しておこう、ヒトツメの部隊編成は10機から20機で、3日おきに襲撃してくる。これらを殲滅すること、そして集落の防衛が勝利条件といったところか」

 

 黒髪の女性は細い顎に指をやって、小さく考え込むような仕草を見せる。

 

「……ただいま、ミミ」

「遅いわよ、ヒロト。話終わっちゃったわ」

「ごめん」

 

 愛想のない生返事はいつものことだ。

 

「弟が世話になったっていうし……せめて、これぐらいは」

 

 その間になにか、スープのようなものを準備してくれていたマイヤが、五つのコップを盆に乗せて運んでくる。

 

「ありがと。いただくわね」

「しっかしあれだよなぁー! 20機ともなるとこの辺りに爆弾でも仕掛けるか、ダインスレイヴかなんかでドーン! と殲滅しちまうってのはどうだ?」

 

 ミミがスープを受け取ったその瞬間、カザミが大声でそんなことを言ってのける。

 そんなことをすれば、敵は確かに殲滅できるかもしれないが、代償としてこの村は間違いなく荒れ地に成り果てるだろう。

 モノを考えて発言しているのか、このバカは。

 

 マイヤが俯いて足を止めたのにも気づかず、楽天的に「いや、サテライトキャノンもいいな」と呟いてコップを取ろうとするカザミの頬に、ミミは思わずジャンプして張り手を食らわせていた。

 

「痛ってえ!? なにしやがんだ、この──」

「防衛作戦だって言ってるでしょうがこのバカ! 敵を殲滅できても、そのあとマイヤたちが住む場所がなくなったらどうするわけ!?」

「そ、それは……その、悲しいけどこれって戦争なのよねというか……」

「戦争なら尚更民間人を巻き込んだ焦土作戦なんてバカやるんじゃないわよこのバカ!!!!」

 

 目一杯背伸びをして、ミミはカザミの耳元で怒鳴りつける。

 いくらマイヤたちがNPDであるとはいえ、後先を考えない焦土作戦に巻き込むのは人道問題だ。

 それに、最悪、NPDの好感度を損ねれば、他でもないカザミが欲しがっているクリア報酬がもらえなくなる可能性だってある。

 

「……ビルダー……」

「ごめんなさいね、勝手に怒っちゃって」

「ううん、代わりに怒ってくれてありがとう。あなたたちが創造主だなんて、信じられないけど……あなたのことは信じられるかも」

「気が合いそうね、あたしたち」

 

 ミミとマイヤは顔を合わせて苦笑した。

 所詮はそれがプログラムによって走らされたスクリプトによるものだとわかっている。

 だが、ミミはその微笑みがどこか心を暖かくしてくれるように感じずにはいられなかった。




サイクロプスと言い出さなかっただけマシなのかもしれない
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