低身長ツインテ爆乳負けヒロインがエルドラを救うためにがんばる話 作:ピンク髪ツインテの女の子はかわいい
「それで、どうする。続けるのか? 全員が単発のミッションと思い込んでいたはずだが」
フレディたちが暮らしている村を後にして、神殿へと戻ってきた途端に、黒髪の女性がそう問いかけてくる。
ミミは当然のように続行するものだとばかり思っていたから、少々面食らった。
だが、確かにこのメンバーは即席も即席、寄せ集めもいいところだ。中には初心者も混ざっている以上、リタイアも選択肢には入るのだろう。
「そうね、先が伏せられたストーリーミッション……その上初回から敵のスペックも高めでメンバー変更も増減もダメって言われてたら、パーティー単位で離脱するしか──」
「おいおいおい! 待てよ爆弾娘! 俺は続けるぜ、絶対にやめねえ! なんせ、GBN初導入のストーリーミッションなんだぜ!? クリアすりゃきっと激レアな称号報酬も手に入る! 他の誰かに持ってかれるのはごめんだぜ!」
黒髪の女性へと同意を示したミミに対して、カザミが必死に喰らいつく。
激レアな称号報酬が手に入るかどうかはともかく、始めたミッションを途中で離脱するのがミミの性に合わないのは確かだ。
だが、状況を顧みれば、主義主張を捻じ曲げるのも選択肢に入るということでもある。
「あんたねぇ……とりあえず全員の意見を聞いてみるって発想はないわけ?」
「ぐっ……けどよ、お前だって後味悪りいだろ、1話だけ体験してストーリーミッションを離脱するなんてよぉ!? それにちょっと嬉しそうにしてたろ、ビルドダイバーズだって!」
カザミは先ほどから俯いている銀髪の少年の肩を組んで、そう問いかける。
「で、でも……ぼくはバトル初心者で……チームバトルには憧れていたのですが、この先何個ステージがあるかどうかもわからないので、皆さんの足を引っ張ってしまうかもしれなくて……」
初心者特有の「上級者の足を引っ張りたくない」という心配が前に出過ぎているな、と、ミミは思った。
しかし、初心者がいきなりハードモード相当の敵が出てくるミッションに放り込まれて、キャリーの結果クリアできました、となれば気まずいのも確かだろう。
少年がやめるというのなら、それも仕方ない話だ。
「大丈夫だって! 不安なら俺が教えてやっからよ! 俺の教えを受ければ一瞬で最強ファイターになれるって! だから任せとけ、な? 続けようぜ?」
「そ、それは……はい……」
「誰があんたの教えで最強ファイターですって?」
無理やり少年を言いくるめようとするカザミに対して、ミミは怪訝な顔でそう問いかける。
「そりゃもちろん、俺の──」
「あのね、あんた一人の話じゃないの。この子が続けたいって思ったなら、全員でフォローする。続ける以上、あたしたちはチームでしょ?」
「正論だな」
「ぐ、ぐぬぬ……」
ミミと黒髪の女性から向けられた視線に抵抗することもできず、カザミは正論パンチの前に歯軋りする。
だが、教え導く役が複数いる、というのは、冷静に考えるなら明確にメリットでもある。
気に食わないところは多いものの、ミミの腕前は確かで、コミュニケーションも得意な方だ。そこはカザミも認めるところだった。
「きょ、教官が複数いるに越したことはないからな! それでお前はどうする、続けんのか?」
先ほどから黙り込んで夕陽を見つめていたヒロトへと、カザミが問う。
ヒロトとしては心労と興味をどう天秤にかけるのか、という話だったが、それでもこの謎のディメンションに対して後者が上回るところがあるのは確かだった。
久しぶりに興味をくすぐられた感覚にむず痒さを覚えつつ、ヒロトは答える。
「……ああ。やるよ、このディメンションに興味があるから」
「よし、じゃあ決まりだな! ここらでチームメンバー同士、自己紹介でもしておくか!」
「そうね、よく考えたらあたしたち、お互いのこと全然知らないし」
カザミの提案で、全員が一通りダイバーネームと愛機の名前を言い合った。
提案したカザミについては、しつこいほど自己紹介を重ねていたから、正直知っていることの方が多かったが、黒髪の女性がメイ、という名前で、銀髪の少年がパルヴィーズ……略してパル、という名前なのがわかったのは収穫だ。
どう呼んでいいかわからなかったのがわかるだけでも、ミミとしては心強い。
「それじゃあ今日は解散ね、解散できるのかどうかわかんないけど……って、あっ」
「どうやら解散のようだな」
メイが相槌を打った通り、自己紹介を終えてすぐに、ミミたちは次第に透き通り、ロビーへと転送されていく。
課題は山積み、前途多難もいいところだったが、それでもどこか「悪くない」と感じている自分がいるのも確かだ。
それなら、楽しみ尽くしてやろうじゃないか。ヒロトとせっかく、GBNの中では二人きりなのだから──多少の私欲を交えつつ、ミミは強く決意を固めるのだった。
△▼△
「それで、作戦はどうする」
翌日、メイがコンソールを表示して、いつもと変わらない真顔でそう問いかけてくる。
ロビーの通路に設置されているテーブルと椅子を占拠する形で集まっていたミミたちは、顔を突き合わせて首を傾げた。
ミミは当然、防衛作戦なのだから村へと繋がる二手に分かれた通路を自分たちが封鎖する形で守ればいいと思っていたのだが。
「作戦って……そんなんあれだろ、このぐるって囲んである山の外側で待ち受けときゃいいじゃん」
カザミのあまりにもなにも考えていない発言に、ミミは思わずテーブルに頭を打ちつけた。
「お、どうした? 立ちくらみか? 鉄分足りてねえのか?」
「あのねえ! だから防衛作戦だって言ってるでしょうが!」
「突然キレんなよ! さてはカルシウムも足りてねえだろお前!?」
「うっさいわね! 牛乳なら毎日飲んでるわよ!」
「それでその背丈なのかよ……煮干しでも食え煮干し」
「憐れむな!」
ミミは鋭く尖った犬歯を剥いてカザミに反発する。
だが、大人と子供ぐらいある身長差から繰り出される哀れみの視線の前には抵抗も虚しく、完全に駄々をこねる子供のような構図になってしまった。
つま先立ちで、ぽかぽかとカザミの胸板を殴ろうとするお怒りモードのミミに対して、メイが小首を傾げながら真顔で話を続ける。
「それに、敵の戦力差は最大でこちらの4倍……万が一にでも取り逃がした敵が村に侵入するリスクを考えれば、同時に相手にするのは避けたい」
「……村の防衛が目的の場合、この二つのルートを手分けして、守りを固めるしかないと思うけど」
「流石ね、ヒロト。あたしもそれが言いたかったのよ」
ヒロトが指し示した通り、敵の侵入を防ぐためには、その通路に陣取って自らが蓋になる他にない。
「はーん、そういうことか……なんかまどろっこしくねえか?」
「……明日シミュレーションしてみよう。俺がクリエイトミッションを仕込むから」
小さく溜息をついて、ヒロトがカザミの問いにそう答える。
クリエイトミッション。
それはダイバー側でマップから敵の配置などまで調整することが可能なモードのことであり、有名なものに「ロータス・チャレンジ」などがある──と、ミミは小首を傾げていたパルにそう解説した。
「ありがとうございます! そっか、誰もクリアできなかったのを本物のビルドダイバーズがクリアしたっていう……」
「そうそうそれそれ」
「……要するに、フォース単位だとイベント前のリハーサルをやるのにも使われるから、俺たちもやってみようってことだ」
「敵の数と強さはどうするのよ、ヒロト?」
「……敵はハードモードのリーオーNPDが20。ミッションの目的は基地の防衛。二つの入り口を3機と2機に分かれて守る。ミミと俺はそれぞれ別の箇所を担当する形で」
「わかったわ、じゃあ明日ね。あたしたちがみっちり鍛えてあげるから、覚悟しときなさいよ!」
パルと、ついでにカザミへと視線を向けてミミはログアウトボタンに手をかけた。
ヒロトと一緒の場所を防衛できないのは少し残念だったが、戦力を偏らせないという意味では正しい判断だ。
そう明日に期待を寄せながら、ミミは現実へと解けていった。
栄養が全部バストに行くタイプの女