低身長ツインテ爆乳負けヒロインがエルドラを救うためにがんばる話 作:ピンク髪ツインテの女の子はかわいい
「……ミミ、話があるんだけど」
「なにかしら、ヒロト」
GBNにログインしたヒロトは、同じくログインしたミミへと話を切り出した。
十中八九、例の村落防衛戦についてのことだろうとはわかっていた。
それでもヒロトから頼りにされることに心が満たされるのを感じつつ、ミミは平静を装って小首を傾げる。
「……ミミから見て、あいつらは……カザミとパルは戦力になるレベルになったって、言えるか」
クリエイトミッションを通じてビシバシと二人を鍛えていたおかげで、最終的な基地の損耗率は8割から9割まで抑え込めた。
だが、本番は何度もリトライできない。
一度切りの勝負で、戦力を分散させての戦いはこの寄せ集めチームには荷が重いと、ヒロトはそう考えているのだ。
「そうね、カザミのやつにはタンク役としての立ち回りをみっちり仕込んでやったわ。パルも素質はある。だから、あたしがヘマしない限り片方のルートは受け持てるわ」
「……わかった。そうなると、問題は俺とメイが担当するルートの方か」
ヒロトが考えていたサブプランとしては、村への被害を抑えるために片方の街道を封鎖して、窪地に誘い込む形で各個撃破していくというものがあった。
しかし、ミミが「戦力になる」と断言した上で片方を受け持てると言った以上、その言葉は信じられる。
ミミは気性こそ荒くとも、嘘をつくことだけはしないと、知っているからだ。
「おっいたいた、まだミッション開始まで時間があるってのに、なに話してたんだよ」
「……なんでもない。それより、ミミの訓練はどうだった」
「あいつ鬼だろ、鬼軍曹だぜ相棒……だが、おかげで確実に昨日の俺よりはレベルアップしてるぜ!」
「……そうか」
「ミミさんの指導は丁寧で、要点を押さえてくれるからわかりやすいです!」
カザミとパルはぐっ、と拳に力を込めてヒロトの言葉にそう答える。
この分だと、街道封鎖作戦に打って出る必要はないだろう。
信じる、信じないの話をするなら──あくまでヒロトが信じているのは、幼馴染であるミミの言葉だけ、であるが。
△▼△
「……以上が、俺たちの考えた作戦です」
「安心してちょうだい、村には一切被害を出させないわ!」
ミッション発生の時刻近くに、謎のディメンションへと転移していたミミたちは、トノイをはじめとした村の有力者たちを前に、二正面で敵を迎え撃つ作戦を説明していた。
「しかし……敵の数は10から20と聞き及んでいます、本当に部隊を分けて戦えるのでしょうか」
「その辺は心配いらねぇ! なんせこのリーダーたる俺が直々に考えた完璧な作戦だからな! この村は俺たちが守ってみせる、大船に乗ったつもりでいてくれ!」
『おお……!』
またいつもの大言壮語が始まった、とミミは呆れ果てるが、その威勢が村人たちの背中を押したところがあるのも確かだ。
「いつリーダーが決まったんだ?」
「あ、あはは……」
「別にいいんじゃない? 言うだけならタダだし」
カザミがこのチームにおけるリーダーかどうかはともかく、強引にでも人を引っ張っていく力があるのは確かなことだった。
多少向こう見ずなところはあるが、行き過ぎればミミが強引にでも修正してくれる。
なら、案外似合いの役か。そう結論づけて、ヒロトはウィンドウを閉じ、村落に残った人々へ万が一に備えて避難を促すべく、外に出た。
「……あんたたちが創造主とやらか」
ヒロトたちが村の外れまで歩くと、クマを思わせる獣人のNPDが、畑を耕している姿が視界に入る。
懐疑的な視線を向けられて、いい気持ちはしないが、村に被害を出さず守り切ると言い切った手前、嘘つきだとは思われたくない。
ミミがどう話を切り出そうかと小首を傾げていたそのときだった。
「ご老体、あなたのお名前は」
メイがいつもの真顔でそう問いかける。
「……ジリクだ」
「ここの土地は代々ジリクさんの家系が面倒を見てるんです!」
フレディの補足に、ジリクはふん、と鼻を鳴らしてクワを畝へと振り下ろした。
「……戦いを始めようって連中にわかるとは思わない。だがな、この畑は──」
「この村の、命の糧ってことでしょ?」
「む……」
「正義の味方って柄じゃないし、ただ一輪の花のために戦えるほど高潔じゃないけど。それでも、任されたミッションはやり切ってみせるわ」
小さく芽吹いた双葉を見遣って、ミミは怪訝な雰囲気を漂わせていたジリクへと、臆することなくそう言い放つ。
「……ミミ」
「どうしたの、ヒロト」
「……いや、なんでもない」
自分の考えた街道封鎖作戦が孕んでいるリスクを考え直して、ヒロトは小さく俯いた。
本当のパーフェクトクリアを目指すなら、見据えるべきはこの村の「今」だけではない。
守るべきは、「未来」も含めてだ。
フラッシュバックする記憶の中で、戦火にさらされて散った花を悼む少女の顔が、ヒロトの脳裏に浮かんでは消える。
万が一に備えて自分たちが受け持つ街道には「最後の保険」を隠してあるが、できればそれを切るような事態にはなってほしくない。
全ては、自分とメイの手に委ねられ、そしてミミたちを信じることにかかっている。
ヒロトは拳を握りしめて、空を仰いだ。
△▼△
「ヒトツメを確認したわ、ヒロト!」
『……こっちも確認した。そっちで数を受け持ってくれると助かる』
「了解よ! そんなわけでカザミ、行ってきなさい!」
びしっ、と人差し指を立ててミミはカザミへとそう命令する。
「命令すんのはリーダーの俺の役目だろうが! まあいいぜ……やめておけよな、ヒトツメ共! 本気で喧嘩したら、お前らが俺に敵うはずがないだろ!」
ショットランサーを構え、カザミが先陣を切って押し寄せてくるヒトツメを挑発するように啖呵を切った。
しかし、ヒトツメたちの動きは無機質で、街道を愚直に真っ直ぐ進んでくる。
挑発が効くなんてことはハナから期待していない。期待しているのは──
「よっしゃあ、ビンゴ!」
「よくやったわ! あとは射線上からどいてなさい、巻き込まれたくなかったらね!」
事前に掘っていた落とし穴に、ヒトツメが落下すること、ただそれだけだった。
敵のヘイトを稼いで火力枠が付け入るための隙を作る。
タンク役の王道にして基本の役割を果たせる程度には、カザミも進化したということだ。
ならば、自分も負けていられない。
「バッテリーセルと砲身の接続確認……ライトニングコメット、発射ぁっ!」
「このっ、このっ、このっ!」
落とし穴に落ちたヒトツメに対して、ミミはアステールガンダムの両肩に接続している追加装備──レールガン「ライトニングコメット」を、パルはヴァルキランダーの口から放たれる火球を容赦なく浴びせかける。
ライトニングコメットの直撃と衝撃波から逃れられたとしても、瀕死になったヒトツメには火の玉が降り注ぐ。
敵からすれば、悪夢のような光景だろう。
「あっという間に一網打尽ってな!」
「油断しないでよね、こっちが受け持ってるのは大体15機なんだから!」
ヒトツメもこの侵攻ルートに陣取っているミミたちを脅威だと判断したのか、二手に分けた部隊を再編し、大挙して押し寄せている。
ライトニングコメットは砲身の冷却にまだ時間がかかる以上、あとはカザミの働き次第だ。
ミミは左手でビームサーベルを引き抜いて、中衛ポジションへと陣取る。
「うお、おおおっ! まずは1機だ!」
「オッケー!」
残ったヒトツメは同胞の残骸を踏み越えて侵攻してくるが、それをカザミのジャスティスナイトが一度受け止め、ミミのアステールガンダムへと1機ずつ流していく。
最後衛のパルに負担がいかないための作戦だ。
それに、撃ち漏らしが発生しても、瀕死の敵であればパルも冷静に対処できるだろうと踏んでのことでもある。
『……ミミ、そっちはどうなってる!?』
「順調! ヒロト、そっちは!?」
『1機戦線を突破したのがいる、足が速いやつだ……! 追撃する!』
5対2という戦力差であったとしても、不利なものは不利だ。
メイもヒロトもよく頑張った方だろう。
自分たちが受け持った敵はあらかた殲滅している。
──ならば。
思い立ったら、ミミの行動は早かった。
『アッザムリーダー、起動……!』
ヒロトが、あらかじめ仕込んでおいた「保険」から射出したアッザムリーダーで、取り逃がした敵を捕縛する。
それでも足止めできるのは30秒が限度だろう。ただ、それで十分だ。
そして、最後のヒトツメを村から遠ざけるために、ヒロトは躊躇うことなく奥の手を、切り札を切ることを決めた。
『コアチェンジ、アーストゥマーズ……!』
切り札として隠していた、赤い装甲を纏うSFS──格闘戦に特化した「マーズアーマー」をヒロトのコアガンダムが纏うことで、「マーズフォーガンダム」が戦場に顕現する。
『……行くぞ、ミミ!』
マーズフォーガンダムが腰に装備している大剣、「ハードヒートレヴ」をヒトツメに突き刺すと、ヒロトは推力に任せて機体を天高く上昇させた。
「砲身の冷却はバッチリ……ライトニングコメット、いっけぇっ!」
そして、マーズフォーガンダムの離脱を確認した上で、ミミは「ライトニングコメット」を残された最後のヒトツメへとぶっ放し、塵へと還す。
その威力の前には、もはや、骸すら残らなかった。
夜が明けて差し込む朝陽に、2機のガンダム──マーズフォーガンダムとアステールガンダムが照らされる。
「……ビルドダイバーズ、か……」
本当に何の被害も出さずに村を守ってみせた5人に対して、ジリクは少し絆されたかのように、その名前を呟いた。
畑に芽吹いた双葉が、そよ風に揺れる。
この村の「未来」は、確かに守られたのだ。
ミミちゃんの存在が割とデカくなり始めてくる頃