遊戯王の二次創作は初めてなので、効果処理を間違えていたらすみません。あと丁寧に説明してたら前後半で2万文字になりました。遊戯王二次創作書いてる人って凄いなぁ……。
「いらっしゃいませだぜ!」
「あ、あの……すみません」
「どうしたんだぜ?」
ここはカードショップ『マジックショップ』
デュエルモンスターズ───我々の世界では遊戯王と呼ばれているカードゲーム───を取り扱っているお店であり、小さいながらも多くの種類のカードが置かれている事から、隠れた名店として一部に認知されている。
その店に、緊張しているのが全身から感じられる少年が一人訪れた。
少年の手には使い古されていたり、新品同然の様々な種類のカードが1つのデッキとして纏まっており、誰かから貰ったりパックを開けて作成したデッキなのだと見て取れる。
「デュエルモンスターズの対戦をしたいんですけど」
「分かったぜ。誰かと一緒に来てるかぜ? それとも一人かぜ?」
「ひ、一人です」
店員は対戦スペースの使用許可を取りに来たのだと納得し、使用人数を確認してからパソコンで目の前の少年以外に誰が対戦待ちしている形跡が無いかを調べる。
「今対戦待ちしてる人は誰も居ないぜ」
「えっあっ、そうなんですか」
しかし少年以外に対戦を待っている人物は居ないと判明すると、少年は肩を落としてトボトボとマジックショップから出ようとする。
「…………デュエルモンスターズは初めてかぜ?」
「は、はい。最近デッキを組み始めたばかりで」
そんな少年に対して店員は優しく声をかけてデッキに視線を向ける。
傷だらけのカードや一度も使われた形跡の無いカードで組まれたデッキと、挙動不審そうに自身に話しかけてきた少年の様子から店員は、目の前の少年はデュエルモンスターズ初心者。しかも対戦を殆どしたことが無い人間だと考察した。
その考察は少年が肯定したように正解である。
少年は周りの友達から貰ったり、道端に落ちてる拾ったカードでデッキを組み、一通りルールを確認したものは良いが、実際に誰とも戦った事が無かった。
最初は友達を誘おうとも考えたが、魔が悪かったのか少年の友達はみんな予定が入ってしまってた。ならばカードショップで対戦しようとして最初のシーンへと戻り、残念そうに少年は帰ろうとしていた。
「なら俺が相手になるぜ」
「えっ、良いんですか?」
「ああ! 客も殆ど居ないから問題ないぜ」
店員はサッと辺りを見渡したが、居るのは自身と同じこの店で働く人物だけでありレジから離れても問題ないと判断すると、レジに「現在対戦中」と看板を残して、対戦スペースへと向かう。
そして店員は対戦用の机の電源……ソリッドビジョンと呼ばれる、モンスターが3Dになって飛び出す機能を持つ対戦机の電源を付ける。
別に付けなくても対戦自体は出来るのだが、モンスターが飛び出して実際にバトルを繰り広げる光景を見た方が、少年も楽しいと思うからと言う理由である。
「そうえば
「ぼ、僕は『電撃男』と言います」
「よろしくな電撃男! ところで電撃男。決闘を始まる前に確認したいが、君のデッキには相手のカードを
「え? はい。入っていますけど、それがどうかしましたか?」
「初心者と言っても、どのカードを持っているかは判断付かないから、ちょっとした確認だぜ」
「あっ、なるほど」
自身を初心者と言う少年───電撃男のデッキの中身を質問する魔法店員。
本来なら相手のデッキの中身を探るのはマナーが悪い行動ではあるが、初心者と名乗る少年の実力や持っているカードが分からないこその苦肉の決断である。
ルールが曖昧な者。効果の処理が曖昧な者。攻撃力の高いモンスターしか入ってない者。枚数合わせで噛み合いの無いカードをデッキに入れている者。それぞれの方向性は違うが、それら全てを一括して初心者と呼ぶ。
この中で電撃男はどの立ち位置なのか。それは一目見ただけでは何も分からない。だからこそ、魔法店員は電撃男に質問した。もし変に強いカードを出してしまえば、それだけで電撃男が勝てない状況が発生してしまうからである。
もし本気で戦うのであれば相手に勝たせない戦法は正解と言えるだろう。しかし今回の相手は初心者であり、対戦の目的は「相手に勝つ」ではなく「相手に楽しんでもらう」である。
「準備は良いか? 電撃男」
「は、はい!」
「それじゃあ始めるぜ」
「「
電撃男
LP:8000
手札:5枚
魔法店員
LP:8000
手札:5枚
デュエルモンスターズのルールは簡単。
最初の手札は5枚、
あくまで「基本的には」であって、デッキからカードを引けなくなったり、一定の条件を満たせば勝利するカードも存在するが……今回は関係無いので割愛となる。
「電撃男。先行と後攻、どっちが良いぜ?」
「先行と後攻、ですか……」
「先行は最初のターン、ドローとバトルが出来ないぜ。一方で後攻はドローとバトルが出来る代わりに相手フィールドのカードを警戒する必要があるぜ」
電撃男はどちらを選ぶべきか悩み、魔法店員はソッと先行と後攻について教える。
インフレが激しいデュエルモンスターズでは、先行で勝利する先行1ターンキルなる概念が存在するが、電撃男のデッキも魔法店員のデッキもそんな事は出来ない。
「後攻でお願いします」
「分かったぜ。それじゃあは先行は俺が貰うぜ!」
少し考え、電撃男は手札が増やせて尚且つ攻撃が可能な後攻を選択する。
手札があれば動ける範囲、つまりは選択肢が増える。さらに後攻ならば相手がどんなカードを持っているか観察も可能だ。相手のフィールドに強力なカードが並んだ状態で巻き返さなければ行けない問題もあるが、練習だからと手を抜いている魔法店員はそんな事をするつもりは無いだろう。
「俺は手札から
魔法カード
カップ・オブ・エース
効果:コイントスを1回行う。表だった場合、自分はデッキから2枚ドローする。裏だった場合、相手はデッキから2枚ドローする。
「コインは……表! よって俺はカードを2枚ドローするぜ!」
魔法店員
手札4枚→6枚
魔法店員はコイントスを行い、結果は表。よって魔法店員はデッキからカードを2枚ドローする。
そして使用したカード【カップ・オブ・エース】は墓地へと送られる。
最初の手札は5枚であったが、使用したカードは墓地へ送られ手札が4枚へ。それから【カップ・オブ・エース】の効果で手札が2枚引き、合計で手札が6枚となった。
「そして俺は【チョコ・マジシャン・ガール】を攻撃表示で召喚するぜ!」
星4/水属性/魔法使い族
チョコ・マジシャン・ガール/効果 攻撃表示
ATK:1600
DFF:1000
効果:1ターンに1度、手札から魔法使い族モンスター1体を捨てて発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。
「俺はフィールドの【チョコ・マジシャン・ガール】の効果発動! 手札の【ブラック・マジシャン】を捨てる事で、デッキからカードを一枚ドローするぜ!」
星7/闇属性/魔法使い族
ブラック・マジシャン/通常
ATK:2500
DFF:2100
「攻撃力2500のモンスターを墓地に?」
「星7のモンスターを通常召喚する場合、自分のフィールドに2体のモンスターが必要だぜ」
「……なるほど。先行で出すのが難しいなら、新しくカードをドローする為のコストにするって事ですか」
「正解だぜ」
デュエルモンスターズには召喚権、そしてレベルが存在する。
召喚権はその名の通り、モンスターを召喚する為の権利である。召喚権は1ターンに1回であり、それを通常召喚と呼ぶ。
また、通常では無い召喚……モンスターや、魔法や罠などのカードの効果による召喚を特殊召喚と呼ぶ。
そして通常召喚で召喚出来るモンスターは星1~星4のレベルのモンスターである。
それ以上の星5~6は自分フィールドのモンスターを1体リリースして墓地に。星7~星12は自分フィールドのモンスターを2体リリースして墓地に送らなければ通常召喚出来ない。
今回の場合、魔法店員が墓地に送った【ブラック・マジシャン】のレベルは7。自分のフィールドにリリース可能なモンスターが居ない状況では持っていても意味が無いカードである。
「ところで電撃男! 何かカードの効果は使用するかぜ?」
「…………?」
魔法店員の言葉に電撃男は首を傾げる。
自分の場に伏せてあるカードも、モンスターも存在しない。少なくともフィールドにカードが存在しないのだから、カードの効果と言われても何の話か分からない。
「デュエルモンスターズには、手札から効果が使えるカードがあるんだぜ」
「手札から効果、ですか」
「ああ! 例えば相手がデッキからカードを手札に加えるのを無効にするカードとかだぜ」
「えっと……少し待ってくださいね」
電撃男の反応から、自分の言葉の意図が伝わってないのだと察すると、魔法店員は手札を見るようアドバイスし、今の状況───効果でデッキからカードをドローする───に対して、発動出来るカードが無いか確認するようにさせた。
「ありました! 僕は手札から【
星3/炎属性/アンデット族
効果:1ターンに一度しか使えない。相手がデッキからカードを手札に加える効果を含む魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、このカードを手札から捨てて発動できる。その効果を無効にする。
電撃男
手札5枚→4枚
「上手いぜ電撃男!」
「い、いえ。魔法店員さんがアドバイスをくれたお陰です」
電撃男は手札からボロボロの───誰かのお下がりだろう───【
なお、【チョコ・マジシャン・ガール】の「カードを墓地に送り、デッキから1枚ドロー」のドローする効果のみ無効化されたので、墓地に送られた【ブラック・マジシャン】はそのまま墓地に居る状況となっている。
【チョコ・マジシャン・ガール】のドローする効果が無効化され、【ブラック・マジシャン】が墓地へ行き手札が減ってしまったが、魔法店員のターンはまだ終了していない。
「まだまだ行くぜ! 俺は手札から永続魔法【切り裂かれし闇】を発動!」
魔法店員はフィールドの魔法・罠ゾーンに、永続魔法【切り裂かれし闇】を表表示でセットする。
本来なら魔法及び罠は使われた後は墓地に行くのだが、永続魔法はフィールドに永続的に残り続けるカード。これを墓地に送るには、別のカードの効果に頼る他は無い。
「き、切り裂かれし闇?」
魔法カード/永続魔法
切り裂かれし闇
効果:レベル5以上の通常モンスターが相手と戦闘を行う攻撃宣言時に発動出来る。その自分のモンスターの攻撃力は、ターン終了時まで、その相手モンスターの攻撃力分アップする。
「レベル5以上の通常モンスター。つまりは、レベル7以上で尚且つ通常モンスターの【ブラック・マジシャン】がこの効果の範囲内だぜ」
「でも【ブラック・マジシャン】は墓地ですよね? いくら効果が適応されるからと言っても、墓地にあるんじゃ……」
現在フィールドに居るのは、星4で効果モンスターの【チョコ・マジシャン・ガール】のみであり、永続魔法の【切り裂かれし闇】の適応範囲概のモンスターである。
墓地の【ブラック・マジシャン】ならば効果に適応出来たが、墓地に居る現状では意味が無い。電撃男もテキストを読んでそれは理解しているので、魔法店員の行動に疑問を浮かべる。
「ああ。いくら効果の適応内と言っても、墓地に居るんじゃ意味は無いぜ」
「だったらなんで」
「それは俺の【チョコ・マジシャン・ガール】の効果を読めば分かるぜ」
「手札のモンスターを墓地に捨てる効果の事ですか?」
「チッチッチッ。実は【チョコ・マジシャン・ガール】にはもう一つの効果があるんだぜ」
「もう一つの効果!?」
モンスターを墓地に送る効果とは別の、もう一つの効果があると聞いて、電撃男はソリッドビジョンを使い【チョコ・マジシャン・ガール】のテキストを確認する。
星4/水属性/魔法使い族
チョコ・マジシャン・ガール/効果 攻撃表示
ATK:1600
DFF:1000
効果:1ターンに1度、このカードが攻撃対象に選択された場合に発動出来る。自分の墓地の魔法使い族モンスター1体をフィールドに特殊召喚でき、攻撃対象をそのモンスターに差し替えられる。また、攻撃してきたモンスターの攻撃力は半分になる。
「戦闘時に墓地の魔法使い族を蘇生して、蘇生したモンスターに攻撃対象を変更……って、この効果はまさか!」
「ああ。もし電撃男が【チョコ・マジシャン・ガール】に戦闘を仕掛けてきた時、効果で【ブラック・マジシャン】がフィールドに復活するぜ!」
「その上、攻撃したモンスターの攻撃力低下。さらに【切り裂かれし闇】の効果で【ブラック・マジシャン】の攻撃力が上昇するって事ですか!?」
「正解。100点をあげるぜ」
もし電撃男が自身のモンスターで【チョコ・マジシャン・ガール】に攻撃をした場合、効果によって攻撃力2500の【ブラック・マジシャン】が攻撃表示で蘇生され、強制的に攻撃対象が蘇生された【ブラック・マジシャン】へ変更される。
そして攻撃したモンスターの攻撃は半減され、魔法カード【切り裂かれし闇】の効果で【ブラック・マジシャン】は攻撃してきたモンスターの攻撃力分、攻撃力が上昇する。
「こんなのどうやって突破すれば良いんですか!」
より簡潔に纏めると、電撃男が【チョコ・マジシャン・ガール】に攻撃をした場合、墓地の【ブラック・マジシャン】が蘇生され、戦闘で倒すのが難しくなるのである。
ある程度デュエルモンスターズに慣れたモノであれば突破する方法を容易に思い付く盤面ではあるが、初心者である電撃男はその限りではない。
戦闘で勝てないのなら、どうやって【チョコ・マジシャン・ガール】と【切り裂かれし闇】の盤面を突破すれば良いのかと、頭を抱える。
「電撃男。俺が決闘開始前に言っていた言葉を思い出してみると良いぜ」
「魔法店員さんが決闘開始前に言っていた事……」
『よろしくな電撃男! ところで電撃男。決闘を始まる前に確認したいが、君のデッキには相手のカードを
「ハッ!」
「おっ。どうやら気付いたみたいだな」
このまま打開策が思い付かない状態では対戦について学ぶ所ではないので、魔法店員は電撃男へと盤面を突破するヒントを教える。
そして電撃男は思い出す。魔法店員の言葉を、自分の手札にはこの盤面をイーブンに……いや、優勢にまで引っくり返せるカードが入っている事に。
「俺はカードを一枚伏せてターンエンドだぜ」
魔法店員はここからどう巻き返してくるか、口角を上げて楽しみにしながらも、油断はせずにカードを一枚伏せて様子を伺う。
魔法店員
LP:8000
手札:3枚
《モンスター》
攻撃表示 チョコ・マジシャン・ガール
《魔法&罠》
切り裂かれし闇
伏せカード×1枚
「僕のターン。ドロー!」
電撃男
LP:8000
手札:4枚→5枚
「僕は【太陽電池メン】を攻撃表示で召喚!」
星4/光属性/雷族
太陽電池メン効果 攻撃表示
ATK:1500
DFF:1500
効果:1ターンに1度しか使用出来ない。召喚時、デッキから雷族モンスター1体を墓地へ送る事が出来る。
「そして召喚した【太陽電池メン】の効果発動! デッキから雷族モンスターを一体墓地に送る!」
「雷族モンスター……いや、電池メンモンスター中心のデッキか。中々に珍しいデッキだぜ」
「僕は【充電池メン】を墓地に!」
星5/光属性/雷族
充電池メン/効果
ATK:1600
DFF:1800
「そして僕は手札から魔法カード【
魔法カード
充電器
効果:500ポイントのライフを払って発動。自分の墓地から『電池メン』という名のついたモンスター1体を特殊召喚する。
「電池メン専用の魔法カード!?」
コストとしてLPを支払い必要があるものの、1ターンに1度と言う制約無しで墓地の電池メンモンスターを特殊召喚できる蘇生カード。
召喚時に雷族モンスターを墓地に送れる【太陽電池メン】との相性はバッチリと言えるだろう。
「僕はLP500を払って発動! 自分の墓地から電気メンの名前がつくモンスターを1体、フィールドに特殊召喚する! 頼んだよ【充電池メン】!」
電撃男
LP:8000→7500
「フィールドに召喚された【充電池メン】の効果発動! このモンスターの攻撃及び守備は自分フィールドの雷族のモンスター×300ポイントアップになる!」
星5/光属性/雷族
充電池メン/効果 攻撃表示
ATK:1600→2200
DFF:1800→2400
効果:このカードの攻撃力、守備力は自分フィールドの雷族モンスターの数×300ポイントアップする。
「【充電池メン】と【太陽電池メン】は2体とも雷族。つまり上昇値は600……面白いコンボだぜ」
「そして雷族が特殊召喚された事で、フィールドの【太陽電池メン】の効果が発動! フィールドに【電池メントークン】を守備表示で特殊召喚!」
星4/光属性/雷族
太陽電池メン/効果 攻撃表示
ATK:1500
DFF:1500
効果:雷族モンスターが召喚・特殊召喚された場合に発動。自分フィールドに「電池メントークン(雷族/光族/星1/攻撃0、防御0)」を1体特殊召喚する。
星1/光属性/雷族
電池メントークン/トークン 守備表示
ATK:0
DFF:0
星5/光属性/雷族
充電池メン/効果 攻撃表示
ATK:2200→2500
DFF:2400→2700
「1ターンのモンスターが三体も……凄いぜ電撃男!」
「まだまだいきます!」
カードの効果によって産み出された疑似モンスター、またの名を「トークン」と呼ばれるそれの攻守は0。効果も存在せず、主な使用方法は召喚時のコストにするか、攻撃を防いでくれる盾にするかである。
電撃男は既に召喚券を使用している。そして特殊召喚出来るようなモンスターも居ない。ともあれば次の自分ターンにコストとして使用するか、盾にするかであるが、電撃男の選択はどちらでも無い。
「魔法カード【
「トークンも電池メンモンスター扱いになるから、条件は満たされてるぜ」
第三の選択肢。魔法カードの発動条件を満たす為に電池メンモンスターとして扱うである。
他のトークンモンスターでは意味の無い、電池メンモンスターと扱われる【電池メントークン】だからこそ為せる使い方である。
「【
「なにッ!?」
魔法カード
効果:自分フィールド上に「電池メン」と名のついたモンスターが3体以上存在する場合に発動出来る。相手フィールド上のカードを全て破壊する。
発動条件を満たすには、フィールドに電池メンモンスターを3体以上揃える必要がある。しかしその条件さえ満たせば、相手フィールドのカードを……モンスターも魔法も罠も関係無く破壊出来る強力なカードである。
まさか自分フィールドのカードを全て破壊してくるとは思いもしなかった魔法店員。
「ならばそれにチェーンするぜ! 俺は伏せていた
罠カード
威嚇する咆哮
効果:このターン相手は攻撃宣言できない。
相手の攻撃宣言を封じるカード。
これによって戦闘によるダメージを防ぐが、フィールドのカードが破壊されるのは防げない。【
「罠カードですか。でもそれは効果で破壊しましたよ」
「悪いが電撃男。俺は破壊される前に効果を発動していたぜ」
「え? でも罠カードが使われるよりも先に【
罠カードを破壊した筈なのに効果が発動された事に疑問を溢す電撃男。
もしも【威嚇する咆哮】の発動条件が破壊された時ならば電撃男は何も疑問に思わなかっただろうが、そこはデュエルモンスターズ。カードの効果が発動する順番が存在するのである。
「電撃男、ここで効果処理の順番。所謂『チェーン』について教えるぜ」
「チェーン?」
魔法店員は持っていた手札を下ろし、授業をするかのようにデュエルモンスターズの効果処理の順番について説明していく。
通称『チェーン』と呼ばれる処理は一見簡単に見えるが、カードの効果によっては複雑になる場合がある。
「電撃男。最初に使った【
「は、はい。魔法店員さんのターンの時に、手札から使ったカードですよね」
「正解だぜ。じゃあ一つ質問だが、その効果の処理はどうなったと思うぜ?」
「……? でもあれって、効果が使えたから使っただけですよ。効果の処理に順番なんてあるんですか?」
電撃男は、相手の効果に対して【
しかしデュエルモンスターズでは「ただそれだけ」の行動でも、勝敗が大きく変わる大切な処理である。初心者の内に覚えておいて損は無いだろう。
「相手の効果が発動する前に、自分のカードを効果させると後から発動した効果から順番に処理されるぜ」
「なら相手の効果の後に自分の効果を使った方が有利って事ですか?」
「それは状況によるとしか言えないぜ。ただ、後から使われた効果から処理しないと、ちゃんと効果が処理されないぜ」
「うーんと……」
「デッキからカードをドローする効果を無効にする為に、電撃男は【
「ドローする効果と、ドローを無効にする効果。もし前者から使われたら……あっ! 僕が効果を使った意味が無くなる!」
「正解だぜ」
ドローする効果に対して、ドローを無効にする効果がチェーンされた状況。
もしもこの効果処理が早くカードが出された方から行われた場合、カードをドローし手札に加えた後で、カードのドローを無効にする効果が発動すると言う意味の無い状況が発生してしまうのだ。
ドローを無効にするのに、その無効効果がするのは既にドローされた後。そうなっては無効にした意味が無く、チェーンする行為の必要性が問われる。
「だから後から使われた効果から処理を行う。これを『チェーン』と呼ぶぜ」
「なるほど。つまり相手フィールドのカードを破壊する【
「ああ。そういうことだぜ。アニメで言う「俺はこのカードを発動していたッ!」ってやつだぜ」
「あー……主人公達の台詞はそういう処理がされてたからだったんですか。てっきり、アニメ特有のモノかと思ってました」
「あくまでアニメはアニメだぜ。さぁ、チェーンの説明が終わったから決闘に戻ろうぜ」
「はい! えっと……今は僕のメインフェイズでしたね」
「ああ。どうするぜ? モンスターを特殊召喚するかぜ? それとも伏せカードを置いてターンを終了するかぜ?」
電撃男は自分の手札を確認する。
バトルフェイズで攻撃が封じられた以上、残るはメインフェイズかエンドフェイズである。
エンドフェイズはその名の通り、エンド……つまりは自分のターンを終了させる。従って何か動きたい場合はこのメインフェイズ中に動くべきだが、今の電撃男の手札に特殊召喚出来るモンスターは居ない。
となれば他に出来るのは、カードの効果を使用するか、カードを伏せるか、ターンを終えるかの三択。そして手札、フィールド、墓地、デッキにも今効果を発動出来るカード無い以上、電撃男の選ぶ三択は最初は一つである。
「僕はカードを2枚伏せてターンエンドです」
電撃男
LP:7500
手札:1枚
《モンスター》
攻撃表示 太陽電池メン
攻撃表示 充電池メン
守備表示 電池メントークン
《魔法&罠カード》
伏せカード×2枚
電撃男は2枚のカードを魔法・罠カードを伏せてターンを終了した。
その伏せたカードは相手ターンに発動出来る罠カードや速攻魔法、もしくは自分ターンにしか発動出来ない通常魔法かは伏せた本人にしか分からない。だが、魔法店員からすればとてつもない圧を感じているだろう。
「行くぜ! 俺のターン、ドロー!」
後半は21時に投稿されます。