翌日。父ちゃんもおデジを受け入れた為、家に完全に俺の味方はいなくなった。こんちくしょう。そして今日、俺はウチの相続やなんやらを取り仕切ってくれた弁護士に、おデジを連れて相談する事にした。ちゃんとおデジは帽子を被り、尻尾を隠している。
「先生、ちょっと、内密で、デリケートで、深刻な相談があるんです。」
「急に来たからびっくりしましたよ。どうしたんですか・・・?」
「本当に、本当にバレたらマズイんです。」
「・・・何か法を犯すことを・・・?そうなったら私も見過ごせないんですが・・・」
「法を犯す・・・ある意味・・・犯してるの・・・かも・・・」
「本当ですか・・・?」
「わかりません・・・」
先生の秘書さんがお茶を淹れてくれる。さて・・・どうしたものか・・・
「先生・・・あの・・・例えば・・・神隠しにあった少女を保護した場合って・・・どうなるんでしょう・・・」
「神隠しにあった少女・・・?まぁ・・・行方不明者を保護した場合は、然るべき機関に報告するべきでしょうね。」
「報告するのが難しいとしたら・・・?別世界から来て・・・人間じゃなかったら・・・」
「・・・まさか、この女の子って。」
「おデジ、帽子取って。」
おデジが帽子を取る。それを見た先生は不思議な顔をした。
「耳・・・?え・・・?」
「触ってみてください。おデジいいよな」
「はい。」
先生はおデジの耳を触る。人の耳のある位置は髪で覆われているのも確認した。そして本物だと確信したようで、顔色を変えた。
「これは・・・え・・・?これは・・・?」
「彼女が・・・次元の壁を超えて、現れたんです。」
「なる・・・ほど・・・」
先生は唸ってしまう。まぁ・・・そうなるな・・・
「そうですね・・・私の見解で言うと・・・保護するのには問題は無いと思います。というかそれこそ然るべき機関に保護されたら、病院や研究施設をたらい回しにされてしまうでしょう。」
「ですよね・・・」
「ええ・・・まぁそれでも日本は法治国家なので・・・彼女の意思はある程度尊重されると思いますが・・・異世界人・・・それも、動物と融合したような人などと言うには・・・」
「あたしは・・・この人と一緒にいたいです・・・だから・・・ここ以外の場所に行くと言うのは・・・」
「わかりました・・・」
先生はパソコンで何か打ち込み出すとこう切り出した。
「えーっと伝慈子さん・・・でしたっけ?あなたの意思を尊重します。少なくとも望まない保護がされない様に詰めておきます。」
「ありがとうございます!」
「わぁ・・・!」
「前代未聞ですからね・・・日本に神隠しの前例はいくつもありますが。神隠しで向こうからやってくるのは初めてのことです。ありえないことではないんですが・・・」
「とりあえずは貴方の家での保護。です。一応、真偽は不明ですが、日本の国籍と戸籍がある。日本国民と認める事が出来ます。もっと立場を強固にするなら・・・例えば結婚などしてしまえばいいんですが・・・」
「え゛。」
「・・・あは♡」
「まぁ・・・異世界人との結婚・・・動物融合人間・・・との結婚は・・・世間や周りがどう思うか・・・」
「ですよね。」
「・・・むぅ。」
「まぁ隠し通す事は可能だと思います。人を隠すには人の中って言いますしね。」
「まぁおデジが暴れれば人間なんて敵いませんので。」
「・・・それは?」
「おデジの種族・・・ウマ娘、というのですが。この小さなおデジでも軽トラを持ち上げる程のパワーと3000メートルを時速60キロで走るスピードとスタミナがありますので。」
「異世界というのはそうでもしないと生きていけない世界なのですか?」
「いえ?人間と共生する世界ですよ。」
「その世界の人間はウマ娘に隷属してるんですか?」
「そんなことしてませんよ!?」
「全然想像出来ない・・・そんなに力の差がある生物と共存・・・?信じられない・・・実に興味深いですね・・・」
「まぁ先生。異世界の事はさておき、よろしくお願いします。」
「え、ええ・・・とりあえず信頼出来るかなり口の硬い知り合いに頼みます。伝慈子さんを守る為のチームを組みますので。」
「お願いします。」
「お願いします。」
先生の協力は漕ぎつけた。よし。
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母ちゃんの運転する車に乗り、帰宅中。俺は向こうでは運転免許持ってたけどこっちでは取ってない。ちかたないね。
「ね・・・あ・な・た♡」
「なんだおデジ・・・気色悪い・・・」
「気色悪いってなんですか!!!」
「なんだよ・・・」
「弁護士の先生も言ってましたよね・・・結婚した方が良いって♡」
「しないよ。」
「なんでですか!!!」
「お前学校の先生が生徒と結婚するのがどう言うことかわかってる?」
「ロマンがありますよね。」
「狂ってやがる・・・」
おデジはプンプンしながら腕をぶん回している。危ないからやめて。母ちゃんは結婚しちゃいなさいよーと言っているが無理だよ。やだよ。俺学生と結婚するの。
「はぁ・・・」
「・・・そんなに嫌なんですか?あたしと結婚するの。」
「嫌だよ・・・」
「あたし・・・こんなに大好きなんですよ。答えてくれないんですか?」
「それとこれとは話しは別だ。俺だっておデジのことは・・・好きだよ?」
「・・・♡」
「でも結婚は別。向こうでならまだ可能性はあった。おデジが大人になったら可能性は少しあった。だけどお前はこっちに来た。向こうとは訳が違うんだぞ。」
「でも、あたしの立場をどうこうするには結婚が良いって・・・」
「そうなんだよなぁ・・・」
結婚すれば、妻としての立場が強固になる。ちょっとやそっとじゃ離れなくなる・・・そうした方が良いのはわかる・・・早く決断しなきゃならんかなぁ・・・
「まぁ・・・早くしてくださいね?」
「わかったよ・・・」
「あは♡」
そしたら母ちゃんの車は家に帰るのかと思ったら携帯ショップに入っていった。え?おデジちゃんにスマホあげなきゃねーとのこと。
「いや母ちゃん・・・おデジを世に晒したらいけないんだからスマホは・・・家にいるんだし・・・」
「お義母さんいいんですか?」
いいわよー支払いは任せて!とのこと。甘やかしすぎ。
「わーどんなのがいいでしょ。」
「まぁ俺は最近のわからんし・・・うわ、最近のスマホって容量2TBもあんの。」
「あたしも詳しくはわかりませんけど・・・ウマホとかわりありませんよね・・・というかこの大きさだと耳に届かないんですけど。」
「まぁそれは仕方ない。」
おデジはいろいろ手に取っている。まぁどれも変わらんやろ。うぇ今ってあいぽん22なの。
「お義母さん!これにします!」
おデジはすぐに決めたようだった。エクステリアVVⅣ。カメラが4億5000万画素。すごいな・・・母ちゃんははいよーと契約しに行く。
「ウマホは一応持って来たんですがやっぱり使えませんでしたね。」
「そりゃそうだろ。」
はい契約。おデジの名前で。さ、帰ろー
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夜。俺の部屋。
「うーん・・・うーん・・・ショートカット覚えないと素早くできませんね。」
おデジはパソコンでお絵描き中。なかなか・・・いや物凄く上手い。
「左手キーボードも慣れませんねー」
「そうか。」
「ふふ・・・出来た。」
出来たらしい。そしてちゅいったーにアップした。いつのまに・・・
「ウマッターより活気が無いですねー。」
「そりゃウマッターはいつもレースの話題で炎上してたからだろ。」
「ウマスタグラムの代わりの・・・インチュタグラムでしたっけ。こっちはなんかご飯と旅行の写真ばかり・・・うーんです。」
「まぁ・・・なぁ・・・」
「ちゅいったーに上がってるイラストはなんか向こうより癖が強いですね・・・変態度はこっちが上です。」
「嬉しくねぇ・・・」
「あはは・・・」
おデジはカタカタちゅいったーを眺めている。
「お。もうリプライが来ましたよ・・・もっとセクシーに。太もも太く。おしりもでかく、ケモ耳ハスハス・・・変態しかいないんですかここは。」
「何も言えねぇ。」
「まぁウマ娘ちゃんをえっちに描くことは許されない蛮行ですので。」
「その意識はまだあったか。」
「もちろんですよ〜」
そう言ってお絵描きを再開するおデジ。まだ描くのか。
「ほどほどにして寝るんだぞ。俺風呂入ってくる。」
「はーい。」
「よし。」
「あ・・・一緒に入りますか♡」
「それは犯罪です。」
「あたし婚約者なんで大丈夫ですよ!」
「婚約した覚えはありません。」
「ちぇー」
そんなこんな。とりあえず落ち着いて日々を過ごせそうだった。というか異世界に来たというのにおデジは飄々としている。キモの座ったやつだ・・・