「なんだか最近…騒がしい気がするねぇ。どうしたんだろう」
今日は万魔殿の仕事が入ってたのだけどバイト先の配達屋から救援要請をされたから議長さんには申し訳ないけど今日の仕事をお断りさせてもらった。今度たっぷりとサービスするつもりだ。
「私を指名して急ぎってなると……あそこかなぁ」
はぁ、気が滅入る。顧客を相手にあまり滅多なことは言いたくないけどさ。それでもちょっとね?アレなんだよね。
薄暗い路地を運送用のドローンと一緒に進んでいく。いつもこんな感じの人気のない場所に配達を頼まれるんだよね。暗くて足元が見え難いし。例のアレも時々見かけるからゾッとする。
「あんまりお客さんに文句は言いたくないけど…もうちょっと綺麗な場所で受け取り出来ないのかな」
「その点に関しましては謝罪をさせてもらいます。嘘字盡ノクスさん」
廃墟の中から黒い靄が人になったような姿をした大人が出てきた。私は軽く手を上げてから挨拶する。
「やぁ!いつものヤツを持ってきたよ黒服さん……所で…黒服さんが居るってコトはやっぱり?」
「えぇ、いつもながら私が代理として受け取りと支払いをさせて頂きます」
「…………はぁ、いつか本人からソノ対価を頂かないとね。いつも他の予定が入ってるのにも関わらず、人をこんな場所まで呼びつけた挙句、本人が受け取りに来ないなんて…黒服さんとの取引は気楽だよ。しっかり契約を守ってくれるからね」
「そう言ってもらえるとありがたいですね。嘘字盡ノクスさん。マダムの代わりの方が物資を受け取りますのでそちらに物資を、サインは私が書きます」
「いつもご利用ありがとうございます!」
黒服さんからサインを貰った後は黒服さんの後ろに居る。フードを被ってなんだか格好いいマスクで顔を隠した人とその友達らしき人達にドローンに積んだ荷物を手渡す。この人もこの人で大変だよね。どこに運ぶのか知らないけどこんな大荷物を運ばないといけないんだし。
「お姉さんもいつも大変だねぇ。こんな場所まで荷物を受け取りに来ないといけないなんて」
「……」
「…相変わらず何も喋ってくれないな〜不満があるなら口にしてもイイと思うんだけど…あまり人がとやかく言うコトでないのか…それじゃあね!お姉さん!黒服さんもナニか困ったコトがあれば言っておくれ?サービスとして格安で引き受けてあげるよ!」
「はい、その時は是非よろしくお願いします」
荷物を引き渡してドローンの電源を切り、バッグの中に仕舞う。振り返ってから広がる薄暗い路地にげんなりしながら歩こうと考えた時、ふと思い付く。
「お姉さんお姉さん!ちょっと待っておくれ!」
「…?」
「どうかされましたか?嘘字盡ノクスさん」
「いやね?私も顧客には次も仕事を指名してもらえるように色々とするんだけどさ。お姉さん達にはまだサービスしてなかったと思い出してさ。だからコレをあげるよ!」
私は黒服さんの分を含めて板チョコを5個渡す。
「私にもですか?」
「黒服さんも上客だからね。今後もイイ取引をって意味さ!」
「それはそれは、ありがとうございます」
「それじゃあ今度こそじゃあね!ゲヘナ学園バイト部を今後もご贔屓に!」
いや〜危ない危ない!私としたことがサービス忘れかけるなんて、お姉さんたちいつも気を張ってる感じがしたから甘いものでも食べてもらってリラックスして貰おうかなとチョコを買ったのを思い出せて良かった!多分、荷物を運ぶ距離があるからいつもあんな感じなんだろうねぇ。
−−−全く、最初の取引以降顔を出さないマダムさんには文句の一つでも言いたいくらいだね!