我らゲヘナ学園バイト部!   作:CoCoチキ

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七話 甘くて苦〜い飲み物はどうかな?・続

 

 「良く飽きもせず此処に来ますわね。貴女のお得意であるアルバイトはどうしたのかしら?」

 「それがね〜怪我が治るまで事務バイトまで禁止させられちゃったんだよ!私バイト部の部長なのに!」

 「ほほ〜う?それは実に嬉しい誤算…エッヘン!!ご愁傷様ですわね!」

 「もう素直になれば良いのに、ほんと面倒な性格してるわねぇ」

 

 おかしいな〜先日ちょっとだけ多い書類を運んだだけなのにチナツちゃんに帰されちゃったし。私より風紀委員の方が怪我してるよね?

 

 「そう言えばお聞きになりまして?エデン条約の事について」

 「…なんだいそれ?」

 「まぁ!アルバイトをしていると言うのに知らないだなんて!」

 「生憎とそう言う政治とかはどうでもよくてね。聞き流しちゃった」

 

 政治なんて気にしてたら気軽にバイトなんて出来ないからね!現在進行形で全く出来てないけど。う〜!体を思いっきり動かしたいよ!

 

 「それにバイト部である私たちにはなんの関係もないだろう?」

 

 野菜スティックをポリポリと齧りつつ妹ちゃんの話を聞いていたら妹ちゃんはやれやれと言う様子で首を横に振ってため息を吐く。

 

 「それがそうでもないのですわ。貴女にも分かりやすく説明するとエデン条約とは我々トリニティと貴女方ゲヘナとの平和条約ですわ。これが実現すれば…まぁ、戦争だなんて言う野蛮な方法で白黒付ける必要が無くなると言う事ですの」

 「平和条約?…え〜っと、つまり問答無用で店から追い出される心配が無くなるってコトかな?」

 「分かっていませんわねぇ。実に分かっていませんわ!」

 

 妹ちゃんは機嫌が良さそうに翼をパタパタさせて顔もまたこれまでに無いくらい機嫌が良さげな表情を浮かべて私を見ていた。何か良い事でもあったのかな?

 

 「貴女とわたくしにどれ程の差があるかはっきりと決着を着けられると言う事ですわ!」

 「…へ?」

 「いつもバイトバイトと優雅さの欠片もない貴女にわたくしの優雅な一日を見せつけて差し上げますわ!」

 「いや、私だってこうしてゆっくりとするコトぐらいは…」

 「否!!全くもって否ですわぁ!怪我をしてからゆっくり過ごすよう事は優雅ではなく療養と言うのですわ!」

 

 おぉう。勢いが…普段の私の数倍くらい勢いが凄い。

 

 「そんな貴女にわたくしが!自ら真の優雅とは何かを教えて差し上げますわ!その時を首を洗って待っていなさい!」

 

 ズビシ!と鼻先に指を突き付けられ私は勢いに押されたままコクコクと頷いた。私の返答に満足が言ったのかフンスと鼻息を荒くして彼女はケーキを食べ始める。

 

 「要はエデン条約が実現したら一緒に遊びましょうねって事よ。回りくどい誘い文句だと思わない?」

 「お姉様!わたくしはただいつまで経ってもマグロのようにアルバイトばかりしているブナシメジに呆れているだけですわ!他意はございませんことよ!」

 

 マグロなのかブナシメジなのかどっちなんだい。あぁ、でも痛いところを突かれたなぁ。確かにバイト部を設立してから趣味に費やした時間って言うのはあまり無かったかも。

 

 「はっはっは!それじゃあその時を楽しみに待っているよ!トリニティの良いところ。しっかり見せておくれよ?」

 「!…と、当然ですわ!ブナシメジには勿体無いと感じる程の素晴らしい場所の数々を体験させてあげますわ!…やりましたわ!

 

 いつ条約を結ぶのかは分からないけどせっかくお誘いを受けたんだ。拒否する理由がないね!

 

 「では貴女が忘れないようにこちらの羽根飾りを差し上げましょう。この程度の口約束、いつ忘れてしまうか分かったものではございませんもの」

 「ちょっと!私はこれでも約束事には強いホウなんだよ?」

 「ではプライベートで何かしらの約束をした事などはございますか?」

 「それは!………ない、ね」

 

 バイトとかの契約とかならした事はあるけどどこかに遊びに行こうかなんて言う約束はした事ないな。ハーブとは普段帰り道が一緒だからそのまま一緒に遊ぶこともあるし…。

 

 「ほら!どうせアルバイトなどをしている内にキノコの傘を取るようにすぽ〜んと忘れてしまうに決まっていますわ!そのバタバタと忙しない羽根に飾りを付けてしまえば幾ら貴女でもわたくしとの約束を優先なさいますわよね?」

 

 今日はほんとに押しが強いな妹ちゃん!それとも私はそんなに信用がないのかな!?

 

 またも勢いに押されたまま私の羽根に星型やら三日月型やら幾つかの羽根飾りが付けられた。トリニティでは羽根専用のアクセサリーがあるとは聞いてたけどまさか悪魔の羽根にも飾り付けが出来るなんて。

 

 「ふむふむ…少々安物ですが。まぁ見れなくはない程には似合っているのではなくて?」

 「や、安物?…コレはお返しする時の金額が怖いなぁ」

 「ふん、庶民に見返りなどは求めませんわ。これは…そう!貴女とわたくしの契約の証ですの!」

 「契約…?」

 「そうですわ!今日貴女はわたくしと契約しましたの。それを破る事は許しませんからね!」

 

 契約……契約かぁ、ふふ…悪魔と契約しちゃうだなんてほんと可愛らしい天使ちゃんだね。

 

 「私と契約するからには…その対価としてしっかり私を楽しませておくれよ。妹ちゃん」

 「言われるまでもないですわ。「野蛮なゲヘナよりも美しく優雅なトリニティ住みたい!」と言わせて差し上げますわ!」

 

 少し先の口約束、それがこんなにも胸を高鳴らせてくれるモノだったんなんて知らなかったなぁ。

 

 −−−私は今もご機嫌そうな妹ちゃんに隠すように口元を隠してクスリと笑った

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