東方廻現想   作:リーグルー

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まず最初に。
この前よりも更に遅れてしまい、本当に申し訳ありませんでした。
春雪異変に入ろうかどうか迷っていたのと、私用で色々あったのもあり、といった感じです。
はい、今回から春雪異変に入ることにしました。
どうぞ、ゆっくり見ていって下さい。



19; 止まない雪とスキマ妖怪の依頼

―――ふわり、ふわり、ふわり、と。

止まること無く空から落ちてくる白い雪を見て、ライラは一つだけ、はぁ、と溜め息を吐く。

場所は人里の、ライラの営んでいる『何でも屋』の建物の屋根の上。

ライラはそこで、屋根の上に降り積もった雪を屋根から降ろす作業をしていた。

冬に入ってから今まで、自分の家は勿論、稀に依頼で頼まれた家の雪降ろしもやっており、この作業自体は、もうやり慣れたものであり、特に今更何か感じることも無いし、ライラ自身、どちらかと言えば冬は好きな季節に分類される。

もっとも、嫌いな季節を聞かれても答えられないのではあるが。

………それはともかく、ならば何故、ライラが溜め息を吐いているのか、と言えば、

 

 

 

「………もう五月に入ったんだけど、何時になったら春になるんだろうな~」

 

 

 

と、まぁ、そんな訳だったりする。

ライラの言葉通り、現在は暦の上ではもう五月に入っていて、去年で言えば、もう桜も咲き終わっている季節である。

しかし今年は、桜が咲き終わる処か未だに連日雪が降っている始末。

今年の春は遅いのか、とか、そもそも暦自体があてにならないのか、とも考えてみたが、春の到来を告げる春告精があちこちを飛び回っているらしいので、それもない。

そうなると、必然的に答えは一つ―――異変の発生しか無くなるのだが、それに関しても、調査までは出来ても、条件が揃ってないので動けない。

結果、今のライラに出来ることは、早く博麗の巫女さんが異変の解決をしてくれないかな~、と思いながら、普段通りに生活をする事だけだったりする。

 

 

 

「………よし、こんな感じかな。取り敢えず終わりっと」

 

 

 

考え事をしている間に雪降ろしも終わり、ライラはそう呟いてから、自身の服や髪に付いた雪を手で払い、仕事場でもある何でも屋の建物の中に入る。

そのまま、雪を払う為に下に向けていた視線を上げて、

 

 

 

「久し振りね、ライラ」

 

 

 

いつの間にか、中で寛いでいた紫を視界に納めて、足を止めた。

 

 

 

「お久し振りです、紫さん。此処に顔を出すのは初めてですよね。少し待ってて下さい。お茶を淹れてきますから」

 

 

 

「あら?ありがとう。でも要らないわ。別に、お茶を飲みに此処に来た訳じゃないもの」

 

 

 

一瞬の硬直の後、すぐに何時ものような笑顔を浮かべながら言ったライラの言葉を、紫は礼を言った後に断る。

それを聞いたライラは、分かりました、と一つ頷いてから、紫の座っている来客用の席の対面にある椅子に腰掛ける。

それを確認して、紫もすっとライラと視線を合わせた。

 

 

 

「お茶を飲みに来た訳じゃない、ということは、『何でも屋』に依頼に来た、ということで良いんですよね?………それでは、なんの依頼でしょう?」

 

 

 

「そうね。まず、ライラ。貴女は今起きている事に気が付いているのかしら?」

 

 

 

問い掛けたライラに質問で返してくる紫。

ライラはそれに頷いて返す。

 

 

 

「勿論です。春が来ない、ですよね。私がちょっと調べた結果で言えば、正確には『春が奪われた』みたいですけど。………まったく、春を形にする、なんて、誰が考えついたんですかね」

 

 

 

「あら?そこまで分かってるなら話は早いわ。実はこの異変、私と私の友人が一緒になってやってるんだけど」

 

 

 

「………あなたがやってたんですか、紫さん」

 

 

 

まるで当たり前の事を話すように、自分が異変の犯人の一人だ、と自白した紫に、ライラは苦笑を浮かべて言葉を返す。

それに紫はふふん、と得意気に胸を張ってみせた。

 

 

 

「今回だけじゃないわ。前回の異変をするように唆したのも私よ!」

 

 

 

「自慢気に言うことじゃないですよ………」

 

 

 

頭に手を当てて紫に返したライラに、紫は何処か満足そうな表情をする。

どうやら紫的には満足出来たらしい。

 

 

 

「………取り敢えず、話を戻すわね。問題は異変じゃなくて異変を解決する方なのよ」

 

 

 

「ということは、博麗の巫女さんに何かあったんですか?」

 

 

 

「何かあったというか………何も無かったのが寧ろ問題というか…………」

 

 

 

要領を得ない紫の言葉に、ライラは首を傾げる。

少なくとも、異変の解決は基本的に博麗の巫女の仕事であり、ライラは普通は関われない。

関われる例外として、博麗の巫女本人か、紫に異変の解決を依頼される、という二つがあるが、それも博麗の巫女に何も無ければ基本的にされない筈なのだ。

それなのに、異変が起きて、博麗の巫女に何も無いのが寧ろ問題、というのはどういう事なのだろうか?

 

 

 

「………あの、それってどういう事なんですか?」

 

 

 

「………何時まで経っても異変解決に向かわないのよ、あの子。元々マイペースだったけど、まさか此処までとは思っても無かったわ」

 

 

 

「あぁ、そういう事ですか」

 

 

 

溜め息を吐きながら、困った様に簡潔な説明をした紫に、ライラは納得の言ったようにそう返す。

そういえば、前回の異変の時もすぐには解決に動いていなかった、という事を思い出したのだ。

 

 

 

「今回の異変に関しては、あの子―――霊夢が居ないと異変を起こした意味が無いし、だからと言って黙って放っておくと大変な事になるから早く解決して欲しいのだけれど………」

 

 

 

「異変を起こした犯人の一人が何を言ってるんですか………」

 

 

 

とんでもない事を暴露した紫に、ライラは力無く突っ込みを入れる。

紫はそれに「まさか此処まで動かないとは思わなくて………霊夢なら最悪の事態になる前に解決出来ると思って少し友人を唆したら思ってた以上に乗り気で………」と苦しい言い訳を返してから、気を取り直した様にライラを見て、だから、と続ける。

 

 

 

「今回、貴女に依頼したいのは二つ。一つ目は今回の異変の調査を本格的にやって、博麗の巫女が異変解決に乗り出したらその手伝いをする事。これは、さっきも言った通り、この異変は博麗の巫女が解決しないと意味が無いから一人で異変解決をしない事が絶対よ。そして、二つ目はもし、最後の最後、万が一最悪の事態になるまで博麗の巫女が動かなかった時の話。その時は貴女が異変を解決しなさい」

 

 

 

「………成る程、分かりました。つまり、私に博麗の巫女を動かすための起爆剤の役になれ、という事ですね?」

 

 

 

紫の出した依頼内容をしっかりと頭に叩き込み、その後少しだけ考えるような素振りを見せてから紫に向けてライラが言った言葉に、紫はええ、と頷いて見せる。

 

 

 

「本当に、貴女は話が早くて助かるわ。その通りよ。人里には『妖怪が異変の解決に動き出した』とでも噂を流しておくわ。それが耳に入りさえすれば、霊夢も仕事をしないと稼ぎは無い訳だし、妖怪に仕事を盗られるのは癪に触るだろうから、きっと異変解決に乗り出す………と思いたいわね」

 

 

 

「自信は無いんですね。何となく分かる気がします」

 

 

 

言葉を進める毎に、段々と自信が無くなっていく紫に、ライラは苦笑しながらそう言葉を返す。

紫はそれに、「一ヶ月前までならまだ自信を持てたんだけど………」と呟いてから、それで?とライラに視線を向ける。

 

 

 

「はい、了解しました。その依頼、何でも屋が引き受けます。………と、言いたい所ですけど、一つだけ質問しても良いですか?」

 

 

 

「あら?何かしら?」

 

 

 

「いえ、万が一の場合の方なんですけど、紫さんの友人さんって、私がどうにか出来るような相手なんですか?正直、紫さんクラスの反則級だと、その最悪の事態って時に止められる自信が無いんですけど………」

 

 

 

ライラの問い掛けに、紫は笑って「それなら大丈夫」と返す。

 

 

 

「彼女は私程強くは無いし、争う時は弾幕ごっこ以外やったら駄目、って念を押しているもの。貴女は弾幕ごっこがそれなりに得意みたいだし、幽香をどうにか出来た貴女なら、止められるわ」

 

 

 

「そうですか。なら、改めて。………了解しました。その依頼、何でも屋が引き受けます」

 

 

 

何時ものように笑顔を浮かべながらライラの返した答えに、紫は少しだけ笑顔を返してからスキマを開き、その姿を消した。

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