結城家の隣人転生者、気づけばハーレムに…。 作:射蓄労働者
間隔が空きすぎて作風変わってたらすみません。
「さぁー諸君、いざ出発!!!」
変態こと校長先生の音頭で、学生たちは一斉にバスへと乗り込んだ。所詮は臨海学校である。
男女ペアのお肝試しに、水着指定なしの海水浴、その他たくさん!!!
色々と緩いなあ……というのが率直な感想だ。
入学して最初の大きなイベント。三日間、学年全員が同じ屋根の下で過ごすことになる。
気持ちが浮つくのも無理はなく、「ここで彼女作るぞ。」と息巻く男子もちらほら見える。
バスの窓から見える景色は、徐々に都会の色を失っていく。
田んぼ、林、ポツンとある建造物。
それに合わせて、車内の空気も少しずつ緩んでいった。
「なあ、やっぱ水着はビキニだよな。」 「スクール水着だったら泣く。」 「いや、逆にアリだろ。」
今はBクラスのバスの中で、俺は周囲の男子たちとの他愛もない会話を楽しんでいた。
話題は当然、海水浴と女子の水着についてである。
男女別の水泳授業では見られない、合法的に同級生の水着姿を拝める機会。多少浮かれるのも仕方ないだろう。
もっとも、そんな会話の輪の中心に俺がいるかと言われれば、微妙なところだ。話は聞いているし、笑ってもいる。
けれど自分から水着談義を振るほど、熱が入っているわけでもない。
リトみたいに、無自覚で周囲を巻き込むタイプでもない。かといって、完全に達観しているわけでもない。
――まあ、こんなものか。
そうやって、自分の立ち位置をぼんやりと受け入れていた。
あと、ジト目でこちらを見る委員長がチラチラ見えて、理性が働いてしまっていたせいでも少しある。
そんな話に興じていると、あっという間にバスは旅館に到着した。
年季の入った木造の建物。
潮の匂いと、少しだけカビっぽい空気。
ただ決して悪くはない。風情のある“旅館”であった。
相変わらずクラスメイトは浮ついてはいたが、オリエンテーションと風呂は何事もなく済むこととなった。
ただ他クラスでは女湯を覗こうとした猛者がいたらしい。
猿山‥‥、お前漢だな‥。
心の中で、俺は猿山に賛辞を送った。
夕食後、外が完全に暗くなった頃。
今日一番のイベントが始まる。
この学校の恒例行事らしい肝試しである。
「さて、では今から肝試しのペアをくじ引きで決めまーす!」
校長先生の妙にテンションの高い声が響く。
顔は見事に腫れ上がっているが、どうやら女湯に忍び込んで返り討ちに遭ったらしい。
それで警察沙汰にならないのがこの世界の不思議だ。
「男女それぞれ引いてねー。同じ番号同士がペアでーす!」
クラス中がざわつく。
「誰がいい?」 「〇〇だけはやめてくれ……」 「手、繋げるかもな」 「イケメン来い……!」
祈りの方向性はだいたい同じだ。
俺はというと、特に誰と組みたいという希望はなかった。
せいぜい、無難に終わればいいくらいだ。
「……よろしく。古手川委員長。」 「……なぜ、あなたなのよ……。」
だがトラブルの神は見ているのだろうか‥
くじの結果、ペアは古手川だった。
じっとこちらを見据えるジト目。
それですら様になっているあたり、さすがというか何というか。
ペアが決まった後もしばらくは、その場で待機であった。
前の組が出発するのを、列を作って待つ。
他のペアを見ていると、露骨に距離が近い組もいれば、逆に一歩以上間を空けている組もいる。
古手川は――隣にはいるが、肩が触れない絶妙な距離を保っていた。
意識しているのか、無意識なのか。
どちらにせよ、彼女らしい。
「そんなに怖がってないみたいだけど、オバケは平気?」
「非科学的なものは信じてないわ。」
思ったより待ち時間があり、今は古手川と雑談に興じている。
古手川は肝試し前とは思えないほど落ち着いている。
「梶羅くんは?」
「俺はいると思うよ。怖くはないけど。」
実際にお静ちゃんの存在を既に知っているが、本気では言えないので適当に濁す。
「意外ね。そういうの信じなさそうなのに。」
「信じてた方が、人生楽しいだろ?」
少し考えた後、古手川は小さく鼻を鳴らした。
そうしている間に、順番が回ってくる。
森の中は、昼とは別世界だった。
足元は見えづらく、虫の声だけがやけに大きい。
Aクラスはすでに全員出発している。
リトと春菜、ララは今頃どんな空気なのか……などと、どうでもいいことを考えながら進む。
「……静かね。」
「確かに。もうちょい悲鳴とか聞こえてもよさそうだけど。」
足元の砂利を踏む音が、やけに大きく感じる。風で枝が揺れるたび、影が動く。
横を見ると後ろを振り返りたくなる衝動を、なんとか堪えている古手川がいる。
その瞬間だった。
「ヴァァァァァァァァ!!」
草むらから落武者が飛び出してきた。
妙に出来が良くて、思わず観察してしまった。
――ビクッ。
背後から急に衝撃。
古手川が反射的に俺の背中へ回り込み、しがみつく。
ムニュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ。
……柔らかい。
背中に当たる圧倒的な存在感。
高校一年生が持っていていいものじゃない。
「あの、古手川さん?」
思わず堪能してしまったが、そろそろ平手打ちが来てもおかしくない。
俺は声をかける。
しかし離れる気配はない。
<<<<<Side古手川・視点>>>>>
……驚いた。
大声に反応してしまった自分が情けない。
非科学的だと言い切った直後だっただけに、余計に。
でも――
離れられなかった。
目の前の彼は、何もしてこない。
変な呼吸もしない。
触ろうともしない。
ただ、黙って前に立っている。
……頼もしいな‥。
胸が当たっていることに気づいて、ようやく恥ずかしさが遅れてきた。
破廉恥なのは嫌いなはずなのに。
なのに、嫌じゃない。
それが一番、困った。
「……もう、大丈夫そうだよ。」
落武者が引っ込んだのを確認して、彼は一歩前に出る。
古手川も、ゆっくりと距離を取った。
少し気まずい沈黙。
「……ありがとう。」
小さな声だった。
「どういたしまして。」
それだけで、十分だった。
夜の森を抜ける頃、
彼女がこちらを見る目は、来た時よりほんの少しだけ柔らかく、そして赤くなっていた。
改めましてお久しぶりです。
やる気低下、方向性再検討、リアルの忙しさ、色々重なり気づけば夏を超え年は過ぎておりました。
大変申し訳ございません。
今はリアルやる気共に良好なため、今のうちに再開いたします。
お詫びも込めて明日も続けて投稿します。
内容については、ハードルを下げて見ていただければ幸いです笑
(間隔空きすぎて作風とかがどんなだったか‥‥)