結城家の隣人転生者、気づけばハーレムに…。   作:射蓄労働者

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お久しぶりです。

間隔が空きすぎて作風変わってたらすみません。


7話 いざ臨海学校

 

「さぁー諸君、いざ出発!!!」

 

変態こと校長先生の音頭で、学生たちは一斉にバスへと乗り込んだ。所詮は臨海学校である。

男女ペアのお肝試しに、水着指定なしの海水浴、その他たくさん!!!

 

色々と緩いなあ……というのが率直な感想だ。

 

入学して最初の大きなイベント。三日間、学年全員が同じ屋根の下で過ごすことになる。

気持ちが浮つくのも無理はなく、「ここで彼女作るぞ。」と息巻く男子もちらほら見える。

 

 

 

バスの窓から見える景色は、徐々に都会の色を失っていく。

田んぼ、林、ポツンとある建造物。

それに合わせて、車内の空気も少しずつ緩んでいった。

 

「なあ、やっぱ水着はビキニだよな。」 「スクール水着だったら泣く。」 「いや、逆にアリだろ。」

 

今はBクラスのバスの中で、俺は周囲の男子たちとの他愛もない会話を楽しんでいた。

話題は当然、海水浴と女子の水着についてである。

男女別の水泳授業では見られない、合法的に同級生の水着姿を拝める機会。多少浮かれるのも仕方ないだろう。

 

もっとも、そんな会話の輪の中心に俺がいるかと言われれば、微妙なところだ。話は聞いているし、笑ってもいる。

けれど自分から水着談義を振るほど、熱が入っているわけでもない。

リトみたいに、無自覚で周囲を巻き込むタイプでもない。かといって、完全に達観しているわけでもない。

 

――まあ、こんなものか。

そうやって、自分の立ち位置をぼんやりと受け入れていた。

 

あと、ジト目でこちらを見る委員長がチラチラ見えて、理性が働いてしまっていたせいでも少しある。

 

 

 

そんな話に興じていると、あっという間にバスは旅館に到着した。

 

年季の入った木造の建物。

潮の匂いと、少しだけカビっぽい空気。

ただ決して悪くはない。風情のある“旅館”であった。

 

 

相変わらずクラスメイトは浮ついてはいたが、オリエンテーションと風呂は何事もなく済むこととなった。

 

ただ他クラスでは女湯を覗こうとした猛者がいたらしい。

 

猿山‥‥、お前漢だな‥。

 

心の中で、俺は猿山に賛辞を送った。

 

 

 

夕食後、外が完全に暗くなった頃。

今日一番のイベントが始まる。

この学校の恒例行事らしい肝試しである。

 

「さて、では今から肝試しのペアをくじ引きで決めまーす!」

 

校長先生の妙にテンションの高い声が響く。

顔は見事に腫れ上がっているが、どうやら女湯に忍び込んで返り討ちに遭ったらしい。

 

それで警察沙汰にならないのがこの世界の不思議だ。

 

「男女それぞれ引いてねー。同じ番号同士がペアでーす!」

 

クラス中がざわつく。

 

「誰がいい?」 「〇〇だけはやめてくれ……」 「手、繋げるかもな」 「イケメン来い……!」

 祈りの方向性はだいたい同じだ。

 

俺はというと、特に誰と組みたいという希望はなかった。

せいぜい、無難に終わればいいくらいだ。

 

「……よろしく。古手川委員長。」 「……なぜ、あなたなのよ……。」

 

だがトラブルの神は見ているのだろうか‥

くじの結果、ペアは古手川だった。

じっとこちらを見据えるジト目。

それですら様になっているあたり、さすがというか何というか。

 

 

 

ペアが決まった後もしばらくは、その場で待機であった。

前の組が出発するのを、列を作って待つ。

 

他のペアを見ていると、露骨に距離が近い組もいれば、逆に一歩以上間を空けている組もいる。

 

古手川は――隣にはいるが、肩が触れない絶妙な距離を保っていた。

意識しているのか、無意識なのか。

どちらにせよ、彼女らしい。

 

 

 

 

「そんなに怖がってないみたいだけど、オバケは平気?」

 

「非科学的なものは信じてないわ。」

 

思ったより待ち時間があり、今は古手川と雑談に興じている。

古手川は肝試し前とは思えないほど落ち着いている。

 

「梶羅くんは?」

 

「俺はいると思うよ。怖くはないけど。」

 

実際にお静ちゃんの存在を既に知っているが、本気では言えないので適当に濁す。

 

「意外ね。そういうの信じなさそうなのに。」

 

「信じてた方が、人生楽しいだろ?」

 

 少し考えた後、古手川は小さく鼻を鳴らした。

 そうしている間に、順番が回ってくる。

 

 

 

森の中は、昼とは別世界だった。

足元は見えづらく、虫の声だけがやけに大きい。

Aクラスはすでに全員出発している。

 

リトと春菜、ララは今頃どんな空気なのか……などと、どうでもいいことを考えながら進む。

 

「……静かね。」

 

「確かに。もうちょい悲鳴とか聞こえてもよさそうだけど。」

 

足元の砂利を踏む音が、やけに大きく感じる。風で枝が揺れるたび、影が動く。

横を見ると後ろを振り返りたくなる衝動を、なんとか堪えている古手川がいる。

 

 

その瞬間だった。

 

「ヴァァァァァァァァ!!」

 

草むらから落武者が飛び出してきた。

 

 

妙に出来が良くて、思わず観察してしまった。

 

――ビクッ。

背後から急に衝撃。

古手川が反射的に俺の背中へ回り込み、しがみつく。

 

 

ムニュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ。

 

 ……柔らかい。

背中に当たる圧倒的な存在感。

高校一年生が持っていていいものじゃない。

 

 

 

 

 

 

「あの、古手川さん?」

 

思わず堪能してしまったが、そろそろ平手打ちが来てもおかしくない。

 

俺は声をかける。

しかし離れる気配はない。

 

 

<<<<<Side古手川・視点>>>>>

 

……驚いた。

大声に反応してしまった自分が情けない。

非科学的だと言い切った直後だっただけに、余計に。

 

でも――

離れられなかった。

目の前の彼は、何もしてこない。

変な呼吸もしない。

触ろうともしない。

ただ、黙って前に立っている。

……頼もしいな‥。

胸が当たっていることに気づいて、ようやく恥ずかしさが遅れてきた。

破廉恥なのは嫌いなはずなのに。

なのに、嫌じゃない。

それが一番、困った。

 

 

「……もう、大丈夫そうだよ。」

 

 

落武者が引っ込んだのを確認して、彼は一歩前に出る。

古手川も、ゆっくりと距離を取った。

少し気まずい沈黙。

 

「……ありがとう。」

 

小さな声だった。

 

「どういたしまして。」

 

それだけで、十分だった。

夜の森を抜ける頃、

彼女がこちらを見る目は、来た時よりほんの少しだけ柔らかく、そして赤くなっていた。




改めましてお久しぶりです。

やる気低下、方向性再検討、リアルの忙しさ、色々重なり気づけば夏を超え年は過ぎておりました。
大変申し訳ございません。

今はリアルやる気共に良好なため、今のうちに再開いたします。
お詫びも込めて明日も続けて投稿します。

内容については、ハードルを下げて見ていただければ幸いです笑
(間隔空きすぎて作風とかがどんなだったか‥‥)
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