(自称)純白の天使降臨異変〜楽園の素敵な巫女達〜 作:ライムα
これは、精霊寄生異変を書いている最中思いついてしまった動画サイトを舞台に繰り広げられる新たな異変の物語。正直投稿どころか書くかすらも迷っていたが思いついてしまったからには書くしかなかったんです。まあ、そんな事言ったけど思いついたのはほんの一部だし今までの設定を事細かにまとめている訳でもないから今までのお話と矛盾の無いように、必要に応じて見返しながら作る予定でいるんですよ。①でもって私もこの続きばかり作ってられるほど集中力も創作力もある訳ないんですよ。② …①、②より導き出される答えはただ一つ。この話の更新頻度は、早くても隔週…下手したら一シーズンに一話とかの超低頻度の超不定期になるの確定なんです。と、言う訳で気長に待ってもらったら幸いです。また、お気に入り登録したら(詳しく知らんけど)投稿されたよ〜って通知行くと思うので続き気になると思っていただける方がいらっしゃるならご登録のほどお願いします。最後にお願いです。万が一本作品中に誤字脱字矛盾点その他ナンダコレという違和感を感じられましたらコメントで教えてくださると幸いです。それでは、ここまで読んでくださった皆様は大変長らくお待たせしました。新章開幕です。
よいしょっと…。それじゃあ、続きを書いていくとしましょうか。えーとノートの続きは…あったあったここからね。早速…。
「お嬢様ー!紅茶のおかわり入りますか!?」
…ええ、お願いするわ。さてと、とりあえず導入から書き始めようかしら。今回も完結目指して書き切るわよ!
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精霊寄生異変から半月。この半月の間にはさまざまな変化が幻想郷に見られた。幻葬石の大きな鉱脈が見つかり、それに伴いにとりの作成したきゅうり印のスマートフォンが幻想郷中に広まっていった。最初は皆使い方がよく分からず悪戦苦闘していたが次第に慣れたいったある日、霊夢達の元に一通のメールと共にURLがにとりから送られてきたところから物語の続きは始まる。
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レミリアが紅茶を飲んでいると机に置いていたスマホが低い音と共に震えた。
「あら、誰からかしら…。」
レミリアは、そう呟くとティーカップを置きスマホを開いた。スマホには一件のメールが入っており差出人はにとりだった。どうやらそれはレミリアだけでなくスマホを持っている人全員に一斉送信されたもののようだ。
「にとりから?珍しいわね…ええと内容は、『本日より新たなコンテンツとして動画配信サイトの運営を始めます。ここでは自分で撮った動画を皆に向けて配信したり逆に配信された動画を見たりすることができます。更に動画に対してコメントを書き込むこともできちゃいます!その上なんとたくさん見られた動画を毎月ランキング形式で発表する予定なので皆様一位目指してみては如何でしょうか?』ねぇ…。」
「なかなか面白そうじゃないですか。」
レミリアの背後から咲夜が言った。レミリアはビクリと肩を震わせて振り返った。
「何だ咲夜か…。いきなり後ろから声かけないでよ心臓に悪い…。」
「あら、驚かせちゃいましたか。でもほら、お嬢様も面白そうだと思いませんか?一緒に何かしら撮ってみましょうよ!」
咲夜は目を輝かせながら言った。しかしレミリアはあまり乗り気じゃなさそうに返した。
「えぇ…。私そういう撮影とかってあまり得意じゃないのよね。フランとかこあ辺りを誘ってみたら?」
レミリアはそう言いながら紅茶を一口飲んだ。咲夜は少し考えたのち首を横に振って言った。
「やっぱり私お嬢様と一緒に撮りたいです!ほら、ショート動画っていう短い動画でも良いらしいのでとりあえずやってみましょうよ!ね!?」
あまりにも咲夜がしつこく誘ってくるのでレミリアはついに折れて承諾した。
「分かったわよ…それじゃ、何をするのか一緒に考えましょうか。」
「それでしたらお嬢様の頭の上にりんごでも乗せてそれに向かってナイフを当てるなんてどうでしょうか?」
「…それ銀のナイフでやらないわよね?」
「大丈夫です!私たまにしか失敗しないので!」
「…私明日の月を見られるかしら。」
そんな会話を交わしながら二人は着々と撮影の準備を進めていった。他にもさまざまな幻想郷の住民達が動画撮影に興味を持ち続々と撮影や投稿の準備を始めていた。
ー数日後の朝。霊夢はあくびをしながら境内の掃除をしていると空から一つの箒に乗った人影が神社目掛けて飛んでくるのが見えた。それは霊夢の前で箒を急停止させて降り立った。
「よう霊夢!私が来たのぜ!」
「魔理沙か。何か用事?」
霊夢は少し面倒くさそうな表情をして聞いた。魔理沙はニヤニヤしながらもったいぶるように腰に手を当てて答えた。
「ちょっと面白い話を持ってきたんだ。まあ立ち話もあれだし中でお茶でも飲んでゆっくりしながら教えてやるよ。」
魔理沙はそう言うと箒を玄関に立てかけてズンズン神社の中に入っていった。霊夢は呆れた表情をしながらため息をついて後をついていった。
「今日はまだ買い物に行ってないからお茶菓子なんかはないからお茶だけしか出せないわよ。」
霊夢はそう言いながら渋々魔理沙と自分の前に湯呑みを置いた。
「おう、悪いな!」
魔理沙はそう言ってお茶を一口飲みながらスマホで何かを探している。霊夢は頬杖をつきながら相変わらず呆れた表情で尋ねた。
「で、面白い話って何よ。言っとくけど私にお茶まで淹れさせたんだからつまんなかったらタダじゃおかないわよ?」
「はいはいっと。ほらこれだよ。」
魔理沙はそう言いながら霊夢にスマホの画面を見せた。霊夢はスマホを見ながら呟くように言った。
「ん?ああ、ちょっと前ににとりから送られてきたメールのやつね。ヘぇ〜意外と皆面白そうなの投稿してるのね〜。」
「ああ、意外とな。それで一本お前に絶対見せたい動画があってさ〜…。あったあったこれなのぜ。」
魔理沙は動画を再生してスマホをちゃぶ台の上に置くと霊夢は魔理沙の隣に座って動画を一緒に見始めた。
「どれどれ…あら、咲夜とレミリアじゃないの。」
そこには腕を組みながらリンゴを頭に乗せて立っているレミリアと布でナイフを磨いている咲夜がそれぞれアップで映っていた。咲夜は磨いていたナイフを置くとカメラ目線で話し始めた。
「どうも皆様、こんばんは。今宵は皆様にちょっとした奇跡の瞬間をお見せ致しましょう。」
咲夜はそう言いながらナイフを一本手に取った。魔理沙はそのナイフを見ると何かを思い出すように呟いた。
「ん?今のナイフどこかで見たことある気がするな…。まあいいか。」
動画の中の咲夜はレミリアに向き直り説明を続けた。
「今からお嬢様に向かってこのナイフを投げます。一応素材としてはいつも使ってる銀ではなく合金にしておきました。流石に銀で挑戦して失敗したらお嬢様の命に関わりますからね。そしてそのナイフでお嬢様の頭の上に置いてあるリンゴを見事撃ち抜いて見せましょう!では早速…。」
咲夜が今にもナイフを投げようとした瞬間レミリアは青い顔をしながら止めた。
「ちょ、一旦ストップ!本当に大丈夫なんでしょうね!?まかり間違って頭にサクっとかって刺さったりしたら大事よ!?」
「安心してください。その時はモザイクかけますので。」
「そういう心配じゃなくて私の心配をしなさいよ!」
レミリアは顔を赤くしたり青くしたりしながら叫んでいる。咲夜はため息をつくと素早くナイフを投げた。そのナイフは叫び続けるレミリアの頭に乗っているリンゴに見事刺さった。レミリアは口をあんぐり開けて度肝抜かれたという表情をして小刻みに震えていた。咲夜は得意げな表情で言った。
「やった!見事命中しましたね。どうですお嬢様、何も心配はなかったですよね?」
「確かにお見事だけどね…投げる時はせめて一声かけてよ。」
レミリアはそう言いながらその場にへたり込んだ。咲夜はナイフを回収して拭きながら言った。
「まあいいじゃないですか。…でもこれじゃちょっと物足りないですね。そうだ!ちょっとお嬢様その壁バックにして立ってください。」
「え〜しょうがないわね。これでいい?」
レミリアはそう言いながら咲夜の指差した壁を背にして立った。咲夜は満足げに微笑むとまたナイフを構えた。
「今度はその壁にナイフで綺麗にお嬢様の型を取ってみましょう!」
咲夜が言うとレミリアは不安そうに言った。
「それ大丈夫なの..?今度こそ刺さらない?」
「絶対大丈夫ですよ!私の腕は確かだってさっき証明したばかりじゃないですか。安心して立っててもらって大丈夫ですよ。」
咲夜は胸を張って言うとレミリアは渋々頷いた。
(まぁ、最悪刺さっても銀が含まれてなければすぐ治るから大丈夫ね。それにあの子も楽しそうだしもう少し付き合ってあげましょうか。)
レミリアはそんなことを考えながら後ろで手を組みながら立っていた。咲夜は両手にナイフを構えて言った。
「それじゃあお嬢様、行きますよ〜!」
「ええ、いつでも来なさい。」
レミリアが答えると同時に咲夜の姿が消え次の瞬間にはレミリア目がけて何本ものナイフが襲いかかった。咲夜は懐中時計片手にポーズを決めながら言った。
「ふっ…どうですお嬢様。綺麗にナイフがお嬢様の形に刺さって…。」
咲夜は喋りながらレミリアの方を振り返った。そこには五,六本のナイフが刺さったレミリアが意識を失いそうになりながら倒れていた。
「あら、私もまだまだですね。とりあえずナイフを抜いて…。」
咲夜は冷静に呟きながらレミリアの腕や足からナイフを抜いた。いつもならこれで傷が塞がるはず。しかし今回はいつまで経っても出血が止まらなかった。咲夜は何か小さな紙切れを見ると少し焦った顔をしながらカメラに走っていき撮影を止めた。動画はここで終わりのようだ。
「もしかしてあのナイフ…。」
魔理沙は先ほど昨夜が見ていた紙切れと同じものを取り出すとやっぱりとため息をついた。
「ねえねえその紙なによ。」
「これなぁ…さっき咲夜が使ってた合金ナイフの成分表なんだけど…まあ見てみろよ。」
魔理沙はそう言って霊夢に紙切れを渡した。霊夢は不思議そうにその紙切れを見つめた。
「えぇと…銅十%、鉄二十五%、アルミ十五%、銀五十%…次の紅魔館の主人は誰になるのか予想する?」
「おいおい、まだ死んだとは限らねえだろ。」
魔理沙はそう言って苦笑した。霊夢は魔理沙に紙切れを返して言った。
「冗談よ冗談…。それより何で咲夜が使ってたナイフの成分表なんかをあんたが持ってたのよ?」
霊夢が尋ねると魔理沙は何やらポケットをゴソゴソと漁り、一本のナイフをちゃぶ台に置いた。それは先ほど咲夜が投げていた合金ナイフと同じデザインだった。
「私も同じのをきのこ狩りで使うために香霖堂で特注で買ったんだよ。銀は毒に反応して変色するからもし収穫したのが毒キノコだったとしてもすぐ分かるようにな。」
魔理沙はそう言いながらお茶を一口飲んだ。霊夢はふと不思議そうな表情を浮かべて言った。
「あら、特注ならどうして咲夜が持ってたのかしら。」
「こーりん曰くなんか私が帰った後に咲夜が合金のナイフを探しに来たらしいのぜ。ちょうど試作品が残ってたから全部あげたらしいけど…。多分あいつ成分表見ずに使ったんだろうな。」
「全く…何やってるんだか。」
魔理沙達は呆れた表情で言った。霊夢はふと魔理沙のスマホを下にスクロールしながら言った。
「これがコメント機能ね。へぇ〜動画だけじゃなくてコメント自体にも返信ができるのね。」
レミリア達の動画には数多くのコメントが寄せられていた。魔理沙も霊夢と一緒になって動画のコメント欄を眺めた。
「どれどれ…『レミリアさん大丈夫ですかね…。』『多分ナイフの成分に銀が入ってたんだろうなぁ。』意外と文章だけじゃ誰が書き込んだのかわからないものなのねぇ。」
霊夢がコメントを見ながら呟くと魔理沙は苦笑いしながら言った。
「いや案外そうでもないらしいのぜ。ほら見てみろ。」
魔理沙はそう言いながらスマホを指差した。
「どれ…。『倒れただけで済んだのはまさに奇跡の力ですね!!』『吸血鬼は柔いのね。私だったら空から落ちても無傷だったのに…。』『剣術習えばこのくらい簡単に避けられますよ!』…本当ね。あいつらの顔がありありと目に浮かぶわ…。」
霊夢も苦笑いしながらスマホの画面をいじっていると一つの返信が目に止まった。
その返信のアカウント名には『純白の天使ラフレシア』と書かれていた。
「ん、なにこれ…。『こんなクソ動画にコメントしてる暇があるならもっと有意義な事に時間使えよ。』うわぁ…やっぱりこういうのもあるのねぇ…。」
霊夢は画面を見ながらドン引きした表情で言った。魔理沙も覗き込みながら言った。
「どれどれ…。うわまたこいつかよ。確か他のとこでも似たような書き込みして喧嘩売ってたのぜ。」
「あらそうなの?」
霊夢が少し驚いたような表情で言うと魔理沙は怒りのこもった表情で頷いた。
「ああ…。にしてもこういうやつ見ると…凄くムカつくなぁぁぁぁ!!」
魔理沙はそう叫びちゃぶ台を思い切り叩いた。その目はどこか虚ろだ。霊夢は今までの付き合いで見たことのない旧友の姿に驚きつつ慌てて魔理沙をたしなめた。
「ま、まあまあ落ち着いて魔理沙。確かにムカつくけれどいきなり怒鳴るなんてらしくないわよ。」
霊夢の言葉を聞いた魔理沙はハッとした顔で言った。
「あ、あぁすまんすまん。つい興奮しちまったのぜ…。」
そう言う魔理沙の目はいつも通り金色に輝いていた。霊夢はほっとしたように返した。
「全く…。気をつけてよね。…ん?」
霊夢は言いながら微弱だがこの場にいる誰のものでもない力を感じた。
(この力…魔力…いや妖力かしら。どちらにせよ私でも魔理沙でもない別の奴の力ね。一体何処から。)
そう思いながら霊夢は辺りを見回しやがてそれはスマホの返信…というより純白の天使ラフレシアから発せられていたことが分かった。
(間違いないわ。確かにこのアカウントから力を感じるわ。妖力とも霊力とも魔力とも似つかない不思議な力…。でも何処かで感じたことある気がする力…。一体誰が…?)
「…霊夢?大丈夫なのぜ?」
霊夢がぼんやり考え込んでいると魔理沙が心配そうに声をかけた。霊夢はハッとして返した。
「え、ええ…私は大丈夫よ。ちょっと考え事をね。」
「そうか?ならいいんだけど。っとそれよりこいつの事を感じるさっさとにとりに連絡して消してもらわないとな。」
「ええそうね。それじゃあ私今からにとりのとこ行ってくるわ。」
霊夢が言うと魔理沙は不思議そうに言った。
「わざわざ行かなくても電話とかで良いんじゃないのぜ?…それとも直接じゃないと何か行けない理由が…?」
魔理沙が疑わしそうに聞くと霊夢は少し黙った後このアカウントから微弱な力を感じた事などを話した。
「…というわけでこの力がなんなのかまだわからないし電話とかだともしかしたら盗聴されるかもしれないのよね。だから直接会って話すのよ。」
「なるほどなぁ。そういう事なら私もついてくのぜ!ほら早く!」
魔理沙はもう外に出ながら霊夢を急かした。霊夢もいつにもまして真剣な表情で外に出ると二人は妖怪の山に向かって行った。
一方その頃。幻想郷中が映し出されている謎の空間の真ん中にたたずむ白いねずみがピクリと動いた。
「もう俺の力に気づいた奴がいるのか。…面白いじゃないか。」
白いねずみはそう言ってにやりと笑った。新たな異変は既に幕を開けていたようだ。
Next Phantasm
おまけ
〜紅魔の素敵な住民たち〜
赤い髪の来訪者の巻
赤い髪の少女が幻想郷に訪れる前日。少女は右手に持った剣を一振りした。辺りには剣に付いた血が飛び散った。少女は顔に付いた血を拭いながら呟いた。
「私の知っている限りではここで最後…か。思っていたより長くかかってしまったな。全く…紅魔館を出たあの日から百年くらい経ってしまったか。ヴァンパイアハンターというのはどこまでもしぶとい奴らだったよ。…でもこれでようやくあいつらのところに帰れるなっと!」
少女はそう言いながら黒い羽を広げて力強く地面を蹴った。すると恐ろしく速いスピードで少女は飛び立った。かつて紅魔館のあった場所へ。
ー紅魔館跡地に着いた少女は案の定という表情で小さくため息をついた。
「やっぱ遅かったかぁ。あいつらはもう紅魔館ごと旅だったみたいだな。マジで置いていきやがって。確か移転先は幻想郷…とかパチュリーが言ってたか。んなのどうやって探せって言うんだよ~。でもこのままここで一人で過ごし続けるのもなぁ…さてどうしたもんか。」
そう言いながらズボンのポケットに手を突っ込むと少女は指先に何か紙のような感触を感じた。その瞬間ハッとしたように目を見開き慌てて紙を取り出し呟くように言った。
「そうだ思い出した…!昔パチュリーに一人で幻想郷に行く方法と場所をメモした紙を貰ってたんだ!すっかり忘れてたぜ。」
嬉しそうに声を上ずらせながら紙を凝視した。
「ええとまずは場所だ。なになに…『欧州を抜けシナの国(今の中国)まで行き海を越えた先にある小さな島国。そこにある神社、博麗神社を目指しなさい。そこがこの世界と幻想郷を繋ぐ入り口。』か。よおし!」
少女は再び黒い羽を広げて言った。
「とりあえずまずはこの島に行って博麗神社とやらを探してみるか!詳しい場所は…行ってから確認するか。」
地面を強く蹴って再び空高く舞い上がり、シナの国の先にある国…日本へと向かって行った。
ー数時間後。少女は赤い髪を靡かせながら鉄塔の上の方に腰を下ろしていた。あたりはすっかり日が沈み真っ暗だ。
「あいつのメモだとこの島のどこかに博麗神社があるらしいが…アバウトすぎるだろ。これ神社見つけるだけでエグい時間かかるぞ…。」
そう呟きながら少女はパチュリーから渡されたメモを取り出した。すると不思議なことに先ほど見た時とメモの内容が変わっていた。
「あん?さっきと中身が変わってる…このメモに魔法でもかけてたのか?便利なもんだな…今度いくつか教えてもらうか。」
少女はぶつぶつ言いながら新たなメモを頭から読み進めた。
「んえーっと…『島に到着したら次はマップの印の示す場所に行きなさい。』か。マップがあるなら最初から載せてくれれば良かったのに…。」
少女は文句を言いながらメモをしまい羽を広げた。
「とりあえず…この印の場所がどこらへんなのか知る必要もあるし適当な人間捕まえて方角だけでも教えてもらうか。幸いあっちの方にでかい建物があるしそこで人間を見つけないとな…。」
少女はそう言いながら羽をはためかせて建物のある方角へ飛んでいった。しばらく飛ぶとちらほら人影も見え始めてきたので正体を隠すために羽をしまい近くの賑やかな建物の屋上に降り立った。
「うん、ここで適当な人間捕まえて方角教えてもらおう。できれば日が昇る前に着きたいな…っとあそこの女でいいや。」
少女はそう言いながらスマホを眺めているメガネをかけた女子高生に近づき声を少しカタコトな日本語で掛けた。
「あー…ちょっとスミマせん。少し尋ねてもいいです?」
女子高生はスマホをしまい優しい表情で言った。
「うんいいよー。お姉さんは海外から旅行?綺麗な髪色だね。」
「ああ、アリガトウ。それでここ行きたいんですケド…。」
少女はそう言って女子高生にマップを見せた。すると女子高生は少し驚いたような表情で言った。
「ここって…霊夢っちの神社のある場所!?」
「アノ…ここを知ってるんデスか…?」
少女が不思議そうに尋ねると女子高生はハッとして返した。
「え、あぁ地名だけね。ここは長野県白馬村っていうとこにある神社。ここからだと…北西の方角かな。」
女子高生はそう言いながらその方角を指さした。
「そうですか~アりがトウございまス。」
少女はそう言ってお辞儀をするとそそくさと屋上の方へと向かって行った。その背中を見ながら女子高生はポツリと呟いた。
「…うーん。普通だったら近づいても博麗大結界に阻まれて幻想郷の方の神社には辿り着けないらしいけど…一応今夜霊夢っちにあの人のこと教えておこうかな。そうと決まれば早く帰ろ!もうすぐ補導される時間だし。」
そう言いながら女子高生もそそくさと走っていった。
ー少女がしばらく北西の方角に飛んでいるとやがて小さな社と鳥居が見えてきた。その周りは霧に覆われている。
「あれが言ってた博麗神社か。だいぶ小さいしさびれてるな…。」
そう言いながら少女は鳥居の前に降り立ちメモを取り出した。やはり内容が変わっている。
「え〜と…『幻想郷に行くには博麗神社の鳥居をくぐる必要がある。しかしただくぐるだけでは永遠に幻想郷には辿り着くことは出来ない。何故なら幻想郷の周りには結界が張ってあるからだ。この結界は実体があるものではなく外の世界と幻想郷を繋ぐ境界自体に作用しているものなので物理的に壊す事は不可能である。』これで終わりか?」
少女がそこまで読むと新たな内容が浮き出た。
「何だまだ続きがあるのか、長いな…。『ただしこの結界の力を弱める事は出来る。その方法とは、神社の周りを取り囲むようにして立っている木々を全て切り倒す。これらは結界の核の一つであり力の源。それを破壊することによって結界を消し去るとまではいかなくとも綻びを生じさせられる。そして貴女程の実力ならその綻びをとおり 幻想郷に入れるはずよ。さぁ、帰っていらっしゃい。紅魔館に。』…か。」
少女が読み終えるとメモは塵となって消え去った。少女は手をパンパンはたくと剣を創り出して呟いた。
「ありがとよ、パチュリー。もうちょいで私の名前を教えてやるから待ってろよ!…まぁ、そんな百年前の約束をあいつらが憶えてるかも分からんがな。」
言い終わると一瞬のうちに社の周りの木々を全て斬り伏せた。すると霧の中にぼんやりと赤い鳥居のようなものが見えた。
「…帰るか。家族のもとに!」
少女はそう呟くと勢いよく霧の中に突っ走っていった。
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霧を抜けた先には美しい大自然が広がっていた。山や森、湖などが少女の到着を祝福するかのように月明かりを反射していた。
「ここが幻想郷。ありとあらゆる種族が混じって暮らす楽園…だったか。良い夜だ。今の時間ならあいつも起きてるだろうし、早く紅魔館を探すか。」
そう呟きながら羽を広げた。少女が早速飛び立とうとすると目の前に一本のお祓い棒が行く手を阻むように差し出された。
「ここから先には行かせないわよ。どうやって結界を弱めたか分からないけどこう言う異変まがいのことされると私が貴女の事を退治しなきゃいけなくて迷惑なのよ。まだ三時よ?なのに貴女が結界を突破したせいで…。」
「…お前、誰だ?」
少女は首をコキコキ鳴らしながら尋ねるとおおぬさを肩に乗せて答えた。
「私は博麗の巫女の博麗霊夢。結界を弱めてまで幻想郷に来たって事は少なくともここに住むつもりでしょうからよく覚えておきなさい。…私を敵に回したら後悔するって事を!」
霊夢はそう言うと早速御札弾を少女目掛けて飛ばした。少女は咄嗟に空に飛び上がり御札弾を避けると頭を掻きながら言った。
「ん~この世界は結界を突破しただけでこんなに怒られるのか。まぁいいや、久しぶりに骨のありそうな奴と戦えて私も楽しみだぜ!」
少女はそう叫ぶと霊夢の足元に魔法陣を描いた。すると魔法陣からいくつもの剣が突き出した。
「!?」
霊夢は体験したことのない攻撃に仰天しつつ空に飛んで避けた。すると少女は楽しげに言った。
「油断すんな、次行くぞ。おらぁよ!」
少女が叫ぶと同時に今度は霊夢の真横に魔法陣が出現し、長さの違う剣が刃先を向き合わせてスライドしてきた。避ける為には刃先と刃先の隙間を通らなくてはならない。普通だったら避け切れずピチュってしまうが流石は場慣れしている博麗の巫女、スイスイと簡単そうによけてみせた。
「凄いぞ!まさかこれも避け切るとは思わなかった。流石は…ええと…白面の巫女?」
「博麗の巫女!!私そんな顔色悪くないわよ!」
霊夢はそう叫びながら少女目掛けて再び御札弾を放った。
「またか。戦闘技術はあるが攻撃手段は乏しいな。」
少女は御札弾を避けながら言うと霊夢はニヤリと笑った。
「それはどうかしら?さっきと同じ御札と思ったら大間違いよ!」
霊夢はそう言いながら指パッチンをした。すると少女の周りにあった御札弾が一斉に爆発した。少女は驚いた表情のまま爆風に巻き込まれた。
「どんなもんよ〜、博麗印の起爆札よ!さ、帰ってもうひと眠り〜。」
霊夢はそう言いながら立ち込める煙を背に家の中に戻ろうとした。その瞬間煙が二つに切り裂かれその間から黒ずんだ赤髪の少女が霊夢に斬り掛かった。霊夢が振り向かず正確に結界を張り剣の攻撃を防ぐと少女は今まで以上に声を上ずらせて言った。
「お前…最っ高だよ!ここまで強い奴はレミリア以来だよ!お前もしかして吸血鬼じゃないか!?人間のフリしてるけど本当は違うってやつだろ!?前パチュリーから借りた本でそんな展開見たぞ!少なくとも人間ではないんだろ!?」
少女が興奮気味に言うと霊夢は攻撃を弾き返して不機嫌そうに言った。
「失礼ね…。私はれっきとした人間様よ!その余裕もいつまで続くかしらね!」
霊夢はそう言うと再びお祓い棒を構える。少女も楽しげに剣を構える。二人は目を細め同時に踏み込んで攻撃を仕掛けようとした。その時二人の前にそれぞれ傘と槍が差し出され二人を遮った。
「その辺にしときなさい霊夢。」「その辺りでやめておきなさい。」
霊夢達は驚いて動きを止めた。霊夢は腕を小刻みに震わせながら傘の持ち主を怒鳴りつけた。
「ん~~もう!何で邪魔するのよ紫!!」
霊夢はそう言いながら紫の腕を掴んで左右に揺さぶった。少女もハッと我に返ったように槍の持ち主に文句をたれた。
「そうだぞレミリア。せっかく今良いとこだったのに…。」
レミリアと紫は顔を見合わせてため息をつくと紫が口を開いた。
「全く…巫女の仕事を全うするのは結構だけど、周りを見てみなさい。」
「え…?」
霊夢は言われるままに周りを見渡した。そこには倒れた木々や穴の空いた境内が無惨に広がっていた。
「…あ、あぁ…私の…神社が…あぁ…。」
霊夢は膝から崩れ落ちて泣き出した。レミリアは呆れた表情で槍を消して言った。
「はぁ…博麗の巫女が無様な姿ね…。霊夢がここまで落ち込んだのはいつ以来だったかしら?」
「確か…半年くらい前にいつもよりちょっと高いお酒の一升瓶落として割った時以来だったわ。どっちも本人にとっちゃとんでもない大異変なんだろうけど…しょうもない理由ねぇ…。」
紫とレミリアは再び顔を見合わせため息をつくとレミリアは少女に向き直り肩に手をまわして言った。
「さ、私たちは帰るわよ。私も銀ナイフで刺されたばかりでまだ本調子じゃないのよねぇ、疲れちゃったわ。」
レミリアは肩をポンポンと叩くと紅魔館に向けて飛び立った。
「え…ここはこのままでいいのか…?あと咲夜って誰だよ…。」
少女が戸惑ったように尋ねると月明かりに照らされたレミリアが振り返り答えた。
「いいのよ。霊夢には後で私の方から修理費用を渡しておくから今は放っておきなさい。それに、百年来の友人の土産話をゆっくり聞きたいことだしね。ついでに前から約束していた貴女の名前も教えてもらおうかしら?」
そう言うとレミリアは柔らかく微笑んだ。それに釣られて少女も微笑むと羽をはばたかせて宙に浮かんだ。
「ならそうしようか。“私達の家”に帰るまでの道中は私と別れたあとの話を聞かせてくれ。」
「えぇ、良いわよ。それじゃあまずは美鈴が咲夜を拾ってきた話でもしましょうか。」
「あ!そうそうその咲夜ってやつ気になってたんだよ。」
そんな会話をしながら二人は紅魔館へと向かっていった。その後ろ姿を見送るように眺めながら紫は口を開いた。
「…霊夢。お疲れ様だったわね。」
「うぅ…私の神社がぁ…私の睡眠時間がぁぁ…!」
霊夢は境内の瓦礫を拾い上げながらまだ泣いている。紫はその様子を見ながらため息をついて言った。
「全く…しょうがないからしばらくは家に泊めてあげるから泣き止みなさい。藍の作るご飯美味しいわよ?」
紫がそう言った瞬間霊夢は飛び起き紫の腕をがっちり掴んで言った。
「ほんと!?私藍の作るご飯久しぶりだから楽しみだわ〜!早く行きましょ!!」
「…やっぱり霊夢には甘くなっちゃうわねぇ。それじゃあ、行きましょうか。」
「わーい!!!」
紫は自分の家にスキマを繋ぐと霊夢を先に通してから自分もあとを追うようにスキマを通っていった。
ーその頃レミリア達は紅魔館に向かって幻想郷の夜空で羽を動かしていた。
「…という感じでその子に『十六夜咲夜』と名付けて美鈴と一緒に家事を教えたのよね。あの子物覚え良い上に手先も器用だから今ではすっかり家事が上手くなってくれたわ。咲夜の作る料理なんかは私や美鈴の作るより美味しいもの。」
「ほ〜そうかそうか…。」
赤髪の少女はレミリアの話を聞きながら嬉しそうに頷くとまさかの言葉を続けた。
「いや〜私があいつを紅魔館に置いてきた時はまだこんな小さかったのになぁ…感慨深いものだ。」
「ちょっと待って?紅魔館に咲夜連れてきたのって貴女だったの??」
レミリアは目を丸くして尋ねた。少女はヤッベというように苦笑いしながら答えた。
「ははは…口滑らしちまった…。ま、その話はまた今度してやるよ。…っと、見えてきたな〜。」
少女は話を逸らすように紅魔館を指差しスピードを上げた。レミリアはため息をつくと少女の後を追ってスピードを上げた。
ー少女達が門前に降り立つと美鈴が片膝をつきながらうやうやしく言った。
「お帰りなさいませ、ご友人様。私はこの日をとても…とっても楽しみにしておりました。」
美鈴がそう言いながら頭を下げると少女は照れくさそうに笑って返した。
「ははっそんなかしこまらないでくれよ。レミリアやパチュリーはもちろんのこと美鈴とももう友達みたいなものであり家族だ。もっと前みたいに気楽にいこうぜ!」
「ふふっそうですね。失礼失礼っと。」
美鈴はそう言いながら立ち上がり膝をはたいた。少女は紅魔館の門をくぐりながらレミリア達の方に目線をやって言った。
「んじゃ、続きは中で話そうぜ。そこで私の本名も満を辞して教えてやるよ。」
そう言いながら少女は勝手に紅魔館の扉を開けるとズカズカ中に入っていった。その背中を見ながらレミリアは再びため息をついて呟いた。
「はぁ…あの子ったらまるで自分の家のように…少しは遠慮というものを学ばせるべきかしらね。」
そう言うレミリアをたしなめるように美鈴が口を挟んだ。
「まぁまぁお嬢様、あの人にとってはここはほんとに自分の家みたいなものですしね。さ、私たちも行きましょう。ようやく本名がわかるのですから。」
「…それもそうね。行きましょうか。」
ー紅魔館のエントランス。その先にある大階段に少女は頬杖をつきながら座っていた。そのすぐ近くには咲夜が前で手を組み背筋を伸ばして立っていた。完全で瀟洒な従者といえども急にスカーレット姉妹以外の吸血鬼の家族が増えるという事実には動揺を隠しきれていなかった。しかもそれがつい最近話題に挙がったばかりの吸血鬼だったのだから尚更だろう。レミリア達が少し遅れて中に入ると咲夜は一瞬でレミリアの横に立ち尋ねた。
「お嬢様、もしかしてあの方が例の…?」
「えぇ、名前を知らない旧友よ。」
レミリアがそう言うと少女はニコニコしながら咲夜に向かって手を振った。咲夜は少し照れくさそうに笑いながら会釈で返した。少女は手を下ろすとピョコリと立ち上がりつかつかとレミリア達に歩み寄りながら言った。
「それじゃ、長いこと待たせたがいよいよ私の名前を教えようか。パチュリーは…まああとで個別に教えるか。」
「いよいよって感じですね。」
美鈴が拳を胸の前で握りしめながら言うとレミリア達も楽しそうに頷いた。レミリアは口元に片手を当てて呟いた。
「ただ改めて自己紹介するだけなのに…百年引き伸ばされるだけでここまで気になるものなのね…。」
少女はみんなの顔を見回しこほんと咳払いを挟んで続けた。
「これ以上勿体ぶっても仕方ないから行くぞ?我が名は…!」
「あ〜!やっぱりリム姉帰ってたんだ!!気配がしたから地下から飛び出してきちゃったわよ。紅魔館へおかえりなさい!!!」
少女がいよいよ名前を言おうとしたその時、フランが廊下の奥から飛び出し叫ぶと嬉しそうに抱きついた。レミリアはポカンとしながら少女に尋ねた。
「…リム…姉?それが貴女の名前…?」
少女はあちゃーと言う表情で答えた。
「そういえばフランには昔決闘ごっこで負けた罰ゲームで教えてたんだった…。ああそうさ。私の名前はリム、リム・ミリストロって言うんだ。」
赤髪の少女…改めリムはちょっと気まずそうな声で言うとフランはリムに抱きつきながら顔を上げて言った。
「リム姉まだお姉さま達に名前言ってなかったの?昔名前が分かんない謎の吸血鬼の方がかっこいいとか言ってたけどもしかしてまだそう思ってた…?」
「純粋な瞳で人の黒歴史抉るのは止めてくれ…。その話は私のここに来るんだ…。」
フランが悪気なく言うとリムは顔を引きつらせながら自分の胸を指差して呟いた。レミリア達はその様子を見ながら百年前と変わらない友人の様子に呆れたようなホッとしたような思いで吹き出した。和やかな雰囲気になったところで咲夜が口を開いた。
「リム様のお部屋はすでに整えてありますので、お休みになる際はいつでもどうぞ。お風呂…は苦手だと思いますので代わりにサウナのご用意をさせて頂いてますのでいつでも入って頂いて構いませんよ。」
「お、そうか。ありがとな〜ええと…咲夜だっけか?」
リムが自信無さげに言うと咲夜は笑顔で返した。
「はい。お嬢様から伺っているかもしれませんが、私はこちらでメイド長をやらせて頂いてる十六夜咲夜といいます。以後、お見知りおきを。」
咲夜はそう言いながら頭を下げるとリムもつられて頭を下げながら言った。
「これはこれはご丁寧に…。それじゃあ、お言葉に甘えてサウナに入ろうかな。フランも一緒に入るか?」
リムがフランの頭を撫でてやりながら言うとフランははしゃぎながら答えた。
「やったー!リム姉と入るのなんていつぶりかしら。ねぇねぇ早く行きましょうよ!咲夜、洗面所に着替えお願いね。」
フランはリムの手を引っ張りながら嬉しそうに言った。二人の楽しげな様子を見ながら美鈴も微笑ましそうに言った。
「妹様もごゆうじ…リム様も楽しそうでよかったですねぇお嬢様。私御二人があんなに仲良かったなんて知りませんでしたよ。」
「私もあの二人があそこまで仲良いなんて知らなかったわ。ここに来る前はフランは部屋に引きこもってばかりだったし、リムが地下室に出向く様子も見られなかったし、いつ会ってたのかしらね。」
レミリアが不思議そうに言うと廊下の方から足音と共に低い声が響いた。
「二人とも私のところにしょっちゅう魔法習いにきてたのよ。フラン達が出会って仲良くなったのもそれきっかけね。」
そう言いながら現れたのは目の下にうっすらくまを作ったパチュリーだった。リムはパチュリーに気がつくと片手を挙げて挨拶した。
「お、パチュリー久しぶりだな!お前のメモのおかげで帰ってこれたぜ。あ、そうそう。パチュリーにも私の名前を…。」
リムが言いかけるとパチュリーは片手をさっと挙げて言った。
「聞かなくても知ってるわよ。リム・ミリストロさん?」
パチュリーが少しドヤ顔で言うとリムはつまんなそうに口を尖らせた。
「ちぇっ、魔法で盗み聞きしてやがったか。今度その魔法も教えてもらうからな~。」
「はいはい、そう来ると思ってたわよ。また今度ね。今は新しい魔法の研究も始めちゃったし、いつでもという訳にはいかないけれどね。」
パチュリーはあくびをしながら返した。会話に区切りがついたところでまたもや何も知らなかったレミリアが不思議そうに尋ねた。
「貴女いつの間に魔法の講義開いてたのよ…。」
「あら、本当に何も知らなかったのね。私が言うのもあれだけど何もせず部屋に引きこもってばかりでも退屈だろうと思って幻想郷に行く方法の研究の合間に簡単な魔法を教えてあげてたのよ。そこにリムが私も混ぜろという感じで混ざってきて二人仲良くなったって感じ。あの子達意外と素質良かったわよ。」
レミリアはひたいに手を当てると自分に呆れたような表情で言った。
「全く知らなかったわ…。リムはともかく、フランの事は何でも知ってると思ってたし私が一番あの子に寄り添ってると思ってたけれど…。」
レミリアはリムの腕にぶら下がりながら楽しげに笑うフランを見つめながら続けた。
「大きな勘違いだったみたいね。私もお姉ちゃんとしてまだまだだわ〜。リムの方がよっぽどお姉ちゃんらしくやってるかもね。」
少し寂しそうに呟くレミリアを横目にパチュリーは相変わらず眠そうな表情で返した。
「そんなこともないんじゃない?確かにリムはレミィの知らないところでいっぱいフランと遊んであげてたし私達の知らないフランの一面を知ってるかもしれない。でも、貴女がフランの為に色々考えて行動しているのもまた事実。レミィはレミィらしくフランと接してあげればそれだけで立派なお姉ちゃんだと思うわよ。」
「…!ふふっありがとね、パチェ。」
レミリアは笑顔でパチュリーにお礼を述べながら嬉しそうにリム達を眺めていた。二人は咲夜からバスタオルだけ先に受け取ると手を繋ぎながらサウナへと向かって行った。
その後も紅魔館からは楽しそうな笑い声や軽い爆発音が響き渡っていた。
新たに幻想入りしたレミリアの旧友、赤髪の吸血鬼少女「リム・ミリストロ」。彼女が幻想郷にもたらすのは幸か不幸か、はたまた特に何も影響は無いのか…それはまだ誰にも分からない。
赤い髪の来訪者
完
紅魔の素敵な住民たちの方が本編より長い気がするのは、気のせい…かな。
私のコメント欄にご本人様が降臨しないことを祈って…また次話でお会いしましょう。