(自称)純白の天使降臨異変〜楽園の素敵な巫女達〜 作:ライムα
「おお〜盛り上がってきたねぇ〜。ここで勇儀再登場は胸熱展開すぎ!」
破壊神はそう言いながらモニターの前で手を叩いた。隣で時空神は紅茶を飲みながら言う。
「しっかりあいつの影響を受けていますね。…萃香達が到着するまで耐えられるのかしら。」
「何言ってんの時空神さんよ〜。こいつらはここでは死なないわよ。ほら、萃香達も地底に着いてるみたいよ。」
破壊神はそう言いながらもう一つモニターを出した。そこには地霊殿へと向かっている萃香達の姿が映し出されていた。破壊神は霊夢達の方に視線を戻すと不敵に微笑みながら呟く。
「一体どんな激しい戦いを見せてくれるのかしら♪」
ーーーーー
「うがあああ!」
勇儀は雄叫びを上げながら真っ直ぐ霊夢に向かって殴りかかった。霊夢は飛び上がって避けるとその後ろから魔理沙が魔法で火球を放つ。
「食らえ!パチュリーの魔導書で勝手に覚えた精霊魔法だ〜!」
火球は真っ直ぐ勇儀に飛んでいった。しかし勇儀は飛んできた火球を両手で握り潰した。手からはプスプスと煙が上がっているがそんな事お構いなしに攻撃を仕掛けてくる。
「なるべく部屋を壊さないように戦って下さいね。一応重要書類とかも保管してあったりするので…。」
「そんな余裕ないわ、紅魔館よかマシよ!」
霊夢はそう言いながら勇儀に向かって針や御札弾を放つ。しかし勇儀は全て片腕でなぎはらい叩き落とした。
「くそっ全部の攻撃が防がれちまうのぜ。なんとかしてあいつの動きを止めないと…。」
「それなら私に任せて!」
菫子はそう言うと勇儀に向かって両手を突き出し握りしめた。すると勇儀は凍りついたように動きを止めた。
「長くはもたないから霊夢っち達今のうちに攻撃を叩き込んで!」
「わかったわよっと!スペカに保存してた分が使えないから即興で『夢想封印』!」
霊夢はそう言いながら七色に輝く弾幕を勇儀に放った。それを見ていた魔理沙は歓声を上げる。
「おお、やるな霊夢!よーし私のもくらえ!」
魔理沙はそう言いながらミニ八卦路から高出力の魔力光線を放った。光線はうねりながら進み、勇儀の身体を包み込んだ。と、同時に菫子の拘束がとけた。
「ぐ…うぅ…。」
勇儀は小さくうめき声を漏らしながら膝と両手を地面についた。魔理沙は頭の後ろを掻きながら不思議そうな表情で言う。
「ん、もう終わりか?まあこれで正気に戻ってくれれば…。」
「魔理沙!気をつけて!!勇儀はまだ…その程度じゃやられないわよ!!!!」
パルスィが叫ぶと同時に勇儀は腰を上げ、クラウチングスタートの如く魔理沙に突進した。
「やべっ…!」
魔理沙は避けようと試みたが間に合わない。勇儀の右腕が魔理沙の腹にのめり込む。
「がはっ…。」
魔理沙は咄嗟に腹に魔力を込めて防御力を上げたがそれでも鬼の力は防ぎ切れない。魔理沙はそのまま吹き飛ばされ、ドアを突き破り廊下に飛び出た。
「魔理沙!?」
霊夢は魔理沙を助けに行こうとしたが勇儀が行く手を阻む。
「がぁぁ…ムカつくなぁぁもう!」
そう言いながら拳を霊夢に振り下ろした。霊夢は咄嗟に避けたがそのせいでバランスを崩して転んでしまった。
「霊夢っち!」
勇儀はニヤリと笑うと力を込めた拳を霊夢に振り下ろした。霊夢は慌てて結界を張るが次々と割られていく。もう駄目かと思い霊夢はギュッと目を瞑った。
「おっとと、そこまでだよ勇儀。」
そう言いながら霊夢と拳の隙間に小さくも力強い手が入り込み、勇儀の攻撃を受け止めた。霊夢は恐る恐る目を開け、手の主の顔を見ると安心したように呟く。
「もう…遅いわよ。萃香。」
「ははっすまんすまん。私だけじゃ無理だと思ってちょっと旧友を呼びに行ってたら遅くなっちまった。」
萃香はそう言いながら扉の方を親指で指した。そこには立派な角を二本生やしたピンク色の長い髪の女性がポケットに手を突っ込みながら入ってくるのが見えた。
「おお結構派手にやってるじゃねーか。いいねえ地底の華だねえ。」
「バカ言ってないで、早く止めるわよ。童子。」
そう言いながら入ってきたのは右手に包帯を巻き、角のようにお団子を二つ付けた仙人、茨木華扇だ。背中には気絶した魔理沙を背負っている。華扇は霊夢に気付くと近付き、魔理沙を下ろしながら言う。
「勇儀相手によく持ちこたえてくれたわね。その様子だと、修行は少なからずしていたようね。偉い偉い。さ、後は私達に任せて、貴女達は避難しなさい。」
華扇はそう言いながら霊夢の頭を撫でると、包帯を引き締めながら言う。
「じゃあ、行くわよ。萃香に童子。」
ーーーーー
一方その頃、地上の人里では。
「あややーあーややあややややー全く霊夢さんも面倒な仕事を押し付けてくれましたねぇ…。人数が多すぎですよ。」
文はそう呟きながらもおかしくなった人間達を引き付けている。人里の人間のおよそ三分の一程度はおかしくなってしまったようで、訳の分からない事を叫びながら周りに拳やクワを振り下ろしている。
「ふ~む…霊夢さん達と違って脆いですからね。力の調整に気を付けつつ気絶させてきますか。」
文はそう呟くと軽く地面を一蹴りすると人々の隙間を縫うように走り抜けた。次の瞬間暴れていた人達はバタバタと倒れていった。文は首をコキコキ鳴らしながら言う。
「やっぱこういう時は首の後ろトンってするのが一番ですね~。人間ならこれで簡単に眠ってくれます。」
文はそう言って倒れた人を見回しながら顔を上げた。すると文の表情は少し曇った。視線の先には緑のジャケットを着た白髪の剣士が二本の刀を持って立っていた。白髪の剣士はゆっくりと顔を上げると文と目が合った。
「あややー…妖夢さんも居たんですか〜…。ははっ本当に面倒な仕事を押し付けてくれましたねぇ霊夢さんは。」
文が苦笑いしながら呟いた瞬間妖夢はとてつもない速さで文に斬り掛かった。しかし天狗の速さには敵わない。文は涼しい顔をしながら避け続けた。
「はいはーいこっちですよー。そろそろ私も一発いきますね。」
文はそう言うと拳を握りしめ腰を深く落とすと、思い切り妖夢に鬼直伝の正拳突きを食らわせた。妖夢は後ろにふっとばされ、地面に倒れた。しかしこちらも人間ほど脆くはない。妖夢はゆっくりと立ち上がり再び斬り掛かった。
「タフですね~。また避けますか…。」
文がそう言いながら後方をちらりと確認ずるとそこにはうずくまって泣いている女の子が居た。文は一瞬顔を引きつらせ、妖夢の方に視線を戻すと彼女の刀は眼前に迫っていた。
「こういう時人間ならこの娘を庇うのでしょうね。でも残念ながら私は天狗。人間を庇う気なんてないわ。」
文はそう言いながら後ろに飛び退いた。文を狙っていた刀はそのまま振り下ろされ、女の子のうずくまっていた場所に刺さる。女の子は文の腕の中でキョトンとした表情で固まっている。
「天狗なら子供一人抱えて咄嗟に飛び退くくらい容易いですよ。」
文はそう呟くと女の子を降ろし、頭を撫でながら言う。
「さあ、貴女はお家にお帰りなさい。ここは危ないですからね。」
「…うん!」
女の子は戸惑いながらも文の優しい表情を見て安心したのかそのままうずくまることもなく走り去った。文は膝を叩きながら言う。
「さて、殺すわけにはいかないし…手加減してあげるから本気でかかってきなさい?」
文はそう言うと妖夢の足元を狙って真空波を巻き起こした。妖夢はそれを斬り伏せると距離を一気に詰めた。
「おっと危ない。けど好都合!」
文はそう言いながら妖夢に回し蹴りを食らわせた。妖夢は避けようとしたものの動きにいつものキレが無く、もろにくらってしまった。
「理性を失うと普段見切れる攻撃も見切れないですよ。ところで…まだ倒れてくれませんかね?」
文はそう言いながら倒れている妖夢をちらりと見た。妖夢は相変わらず何事もないように立ち上がると再び距離を詰めた。文は面倒そうに飛び退いて避けながら呟く。
「ああそうですか…。ちょっと見くびっていたようね。」
文はそう言うと一瞬で姿を消した。次の瞬間には妖夢が地面におでこをついた。文は少し遠くの方からカメラを構えて言う。
「ふぅ…ようやく寝てくれましたか。もう半分は永眠してるようなもんなのに元気ですね〜。それじゃあ新聞用に少し写真を…ああそうだ、後で霊夢さんにも終わった事伝えておかないと。」
文はそう言いながらカメラを手に取った。
ーーーーー
その頃地霊殿では、霊夢達が退避したあとの部屋で鬼達がぶつかり合っていた。
「おらよっ!」
童子はそう叫びながら右腕を勇儀に振り下ろす。勇儀は童子の拳を受け止めるとそのまま後ろに投げ飛ばした。
「うぉ!?」
童子は思い切り飛ばされ本棚に激突し、本に埋もれた。童子は自分の上に積もった本を退けながら言う。
「おいおい…勇儀のマジってここまでやべーのかよ。おい華扇!今こそ再び一つにならないか!?」
「なりません!」
華扇はバッサリ言い捨て、勇儀の攻撃をいなしながら反撃の機会を伺っている。萃香は勇儀に回し蹴りをしながらニヤニヤ笑って言う。
「お?なんだなんだ百合的な話か?いやーお前らも仲睦まじいな〜。」
「あんたも馬鹿なこと言ってるんじゃないわよ!まさか酔っ払ってんの!?」
華扇が般若の形相で言うと萃香はヘラヘラ笑って返す。
「いやいやそんなことないさ。本気の勇儀を相手にするんだからこっちも酒飲んでられないよ。今の萃香さんは世にも珍しいシラフ状態さ!」
萃香はそう言いながら勇儀の懐に一発くらわせた。さすがの勇儀も萃香の一撃は防ぎきれない。そのまま後ろに飛ばされ、地面に倒れた。
「貰ったぁ!」
すかさず童子が倒れている勇儀に追撃を仕掛けるが勇儀は横に転がり間一髪のところで避けた。童子の右腕はそのまま床にめり込んでしまった。
「ガァァ!」
勇儀は獣のような雄叫びを上げると萃香に突進した。萃香は勇儀の攻撃を身軽にかわしながら足払いを仕掛けた。しかし勇儀はサッと飛び上がって攻撃を避けると萃香に拳を振り下ろす。
「おっと危ない。」
萃香はそう言いながら勇儀の攻撃を受け止めた。萃香の足元の床は衝撃でひび割れていく。萃香と勇儀はお互いの両手をがっちり掴み、押し合いをした。
「お前が戦いで両手を使うなんて幾年ぶりだろうな。巫女が攻めて来た時だってお前は盃を手放さなかかったと言うのに…。」
「ぐ…ムカつく…。」
「…そうか。童子、華扇!終わらせてくれ!!」
萃香が握る手に力を込めながら言うと、二人は勇儀の真後ろに立って返す。
「ああ分かってるよ!」「ええ分かってるわ!」
同時に叫ぶと二人は拳を握り締め腰を深く落とすと、勇儀の背中に正拳突きをくらわせた。
「が…はぁ…!」
勇儀の背中はメリメリと音を立て、そのまま萃香の方に倒れ込んだ。萃香は倒れる勇儀をしっかり支えてふぅと小さく息を吐き出して言う。
「やっと終わったか…。今までやり合ってきた中で一番強かったかもしれないな。後で永遠亭に連れて行ってやらないと。」
萃香はそう言いながら倒れたソファを足で起こすとそこに勇儀を寝かせた。その時影からこっそりと戦いの様子を見ていたパルスィが中に駆け込んで来た。その後ろから霊夢達もついてくる。
「勇儀!大丈夫!?」
パルスィはそう言いながら勇儀の側に座り込んだ。勇儀は小さくうめき声を上げながらゆっくり目を開けて呟く。
「う…うん…あれ、パルスィ…?私の盃は…?」
「盃…もっと他に心配することあるでしょ…。」
パルスィは呆れたように言いながらもいつもの様子の勇儀にほっとした表情を見せた。勇儀は何が何だかという表情でパルスィに尋ねる。パルスィ達は勇儀が誰かに心を操られていた事、それを止めるために萃香達が来てくれた事を説明した。
「…なるほどな。覚えていないが、お前らにだいぶ迷惑をかけたみたいだな。すまなかった。萃香達も、来てくれてありがとな。」
「別に構わないわよ。放っておくわけにもいかなかったしね。」
華扇は右腕の包帯を締め直しながら返すと萃香も笑いながら言う。
「華扇の言う通りだ。…で、これは明らかな異変であるわけだが首謀者とかは分かってるのか?」
萃香はそう言いながら霊夢を見た。霊夢は少し唸った後に答える。
「一応フランの姿をした怪しいのは見つけたんだけどね…。逃げられたわ。こっちにももう一人先にこっちをシメようと思って来たんだけれど…地底のはまだ姿すら見てないわ。」
「なるほどなるほど…。ついでにもう一つ、こいつについて何か知ってるか?」
萃香はそう言いながら一枚のカードを取り出した。それを見た霊夢は驚いたように言う。
「それ…スペルカードじゃない!」
霊夢が言うと萃香は微笑みながら返す。
「ほう…その様子だとお前はこいつについて知ってるみたいだな。私はこのカードについての知識は全くないがこいつがただのカードじゃない事くらいは分かる。んじゃ、これについて説明してくれな。」
萃香はそう言いながら瓢箪を手に取ると中の物を呑み始めた。霊夢はその様子に呆れつつ、スペルカードの役割やこれについての記憶がほとんどの住民から消えてしまっている事を話した。
「ふむ…つまり何者かの仕業によってそのスペルカードについての記憶は消されてしまった。そしてその異変の方の首謀者と勇儀達が操られる異変の首謀者はどちらもフランの姿をした者の可能性が高いと、そういうわけね。」
「ええそうよ、華扇。少なくともあのフラン(?)は確実に黒よ。」
霊夢がそう言い切ると萃香が顔を赤くしながら不思議そうに尋ねる。
「ならなんでこんなとこ居るんだ?あいつが犯人ならとっとと紅魔館に行けばいいじゃないか。」
「ここにも黒幕が居る可能性があるから調べに来たのよ。そしたら勇儀に襲われて、今に至るというわけよ。」
霊夢がそう言いながら溜息をつくと、ずっと大人しく話を聞いていたさとりが口を開く。
「なら、ここの調査は我々地底の者達に任せて貴女方は地上にお戻りください。何かあれば連絡しますので。」
「あらそう?正直、人里とかも見に行かなきゃいけないからここにずっと居るわけにもいかなかったのよね。お言葉に甘えさせてもらうとするわ。」
霊夢はそう言いながら立ち上がった。萃香はヘラヘラ笑って言う。
「ん?なんだ霊夢もう行くのか?ちょっと飲んでけよ〜。」
「馬鹿!そんな暇無いわよ。そこの仙人とでも呑んでなさい!」
「私も暇ではないわよ。」
霊夢はそう言いながら部屋を出ようとして振り返り言う。
「それじゃあこっちは任せたわ。魔理沙、行くわよ。」
「へーい。」
そう言いながら二人は地上に戻って行った。
二人はまず人里に降り立った。そこは先程の騒ぎによって壊された家などの修理に追われていた。
「こりゃ酷い有様だな。あっちこっちに穴が空いてるぜ。」
「ええそうね。これ以上被害が出る前に何とかしないと…。」
二人がそんな事を話していると後ろからカメラと手帳を持った女性が声を掛ける。
「あややー霊夢さん達帰ってらしたんですか。今、人里の騒動鎮圧の連絡しようと思っていたので丁度良かったです。」
「うお、びっくりした!後ろからいきなり声かけるなよ文。」
魔理沙がビクッと肩を震わせて言うと文が頭の後ろを掻きながら返す。
「あははー驚かせちゃいましたか。まあそれは良いとして…地底の方はもう良いんですか?」
文が聞くと霊夢は頷いて答える。
「ええ、あらかた片付けてきたわ。文もありがとね。」
「いえいえ〜ところで人間が操られた原因ってもう分かってたりするんです?」
文が尋ねると霊夢はポンと手を打って言う。
「そうそう思い出した!原因はこのスマホにあるから皆から遠ざけないと!皆ちょっと注目〜私の話聞きなさーい。」
霊夢がそう言うと人里の人々は手を止めて霊夢の方を向いた。霊夢はスマホを掲げて続ける。
「今から簡潔に説明するわね~今回人里でおかしくなった人が出たのはこのスマホのせい。だから皆スマホを一箇所に集めて目の届かない所に置いてちょうだい!壊しても構わないわ。」
霊夢がそう言うと途端に人々はざわめきながらスマホの画面を確認し始めた。やがて人々の中から一人歩み出てきて叫ぶ。
「お前…博麗の巫女様に化けた妖怪だな!俺達は騙されないぞ!」
「…はあ?」
突然の出来事に霊夢達は唖然とした。その間にも人々は次々と霊夢に罵声を浴びせ、中には瓦礫を投げつけるものまで現れた。
「お、おいおい何がどうなってるのぜ?」
「あ…あーー!ちょっと霊夢さんに魔理沙さんこれ見てくださいよ!」
文はそう言いながら二人にスマホの画面を見せる。
「博麗の巫女に化けた妖怪がスマホを手放させようとしているので注意されたり…何よこれ!?」
霊夢は目を丸くして叫んだ。その間にも人里の人々は霊夢達に罵声や瓦礫を浴びせる。
「白々しいぞ妖怪め!」「文ちゃん危ないからこっち来てなさい!」「そこの金髪も仲間か!?」
「く…霊夢、ここは一旦引くぞ!」
「ええ、そうするしかないようね。文、引き続き人里は任せたわ!」
霊夢達はそう言うと文の返事も聞かずに飛び立った。残された文が呆然と立っていると周りに文の新聞の購読者の一人が走ってくる。
「大丈夫かい?文ちゃん。なんか変なことされてない?」
「え…えぇ大丈夫です!と、とりあえず夕刊作るので失礼しますね!」
文はそう言いながら群衆をかき分けて人里を出ると羽を出しながらポツリと呟く。
「あそこまでの影響力…これ早く何とかしないと読者減りそうですねぇ…。頼みましたよ、霊夢さん方。」
Next Phantasm
おまけ
紅魔の素敵な住民たち
メイド長の生まれた日 その後の巻
「貴女の名前は『十六夜咲夜』よ。」
レミリアがそう言いながら銀髪の少女の頭を撫でてから数日が経った。美鈴に連れられ紅魔館内を散策して、ある程度の内部構造を覚えられた咲夜は今日からメイド長としての研修に取り掛かる。
「…うん!よく似合ってるわね。」
レミリアはそう言いながら咲夜の服のシワを伸ばしてやる。レミリアは咲夜用にと急遽、紺を基調とした可愛らしいメイド服を仕立てたのだ。咲夜も嬉しそうにくるくる回ってみる。エプロンに付いたフリルがヒラヒラと舞っていた。
「よくお似合いですよ。良かったですね〜。」
美鈴は手を叩きながら言った。咲夜は頬を赤らめながらはにかむ。その隣でレミリアはスカートを叩きながら言う。
「さて、それじゃあ始めましょうか。まずはお料理から!」
「了解です、おじょうたま!」
咲夜はそう言いながらビシッと敬礼した。美鈴はこの様子をいつまでも見守っていたいとも思ったが門前をもぬけの殻にするわけにもいかないので少し寂しい気持ちもありつつ戻って行った。
(いやー友人様が咲夜さんを連れて来た時にはどうなるかと思いましたが…案外何とかなりそうで一安心ですね!)
そんな事を考えながらしばらく門前に立っていると誰かが美鈴の足をつつく。美鈴が下を向くとお皿を持った咲夜が自信満々に言う。
「お昼出来たから美鈴味見して!」
「お、出来たんですね〜どれど…」
美鈴は皿の中を見て絶句した。そこには黒の混じった深緑と焦げた肉が乗っていた。お世辞にも美味しそうとは言えない。美鈴がチラリと顔を上げるとそこには玄関から申し訳なさそうに顔を覗かせているレミリアが居た。美鈴は自信満々の咲夜の顔と申し訳なさそうなレミリアの顔を交互に見比べると覚悟を決めたように料理(?)を口に運ぶ。
「どう?よく出来てる?」
咲夜は目を輝かせて尋ねる。到底美味しいわけないが美鈴は目に涙を浮かべながら褒める。
「え、えぇ美味しいですよ咲夜さん…」
「なら良かった!」
咲夜はそう言うとスキップしながらレミリアの元に帰って行った。
ーーーーー
「そんな事もありましたねぇ。あれからどんどん腕も上達して今じゃ考えられないですけど。」
美鈴はそう呟きながらぼんやりと湖を眺めていた。すると誰かが美鈴の肩を叩く。
「美鈴お昼よ。」
「お、咲夜さんありがとうございます。」
美鈴は嬉しそうに言いながら振り返る。そこには鮮やかな緑の野菜とタレのよく絡んだ肉がこんもりと乗ったお皿を差し出す咲夜が居た。
「今日は回鍋肉ですか…中華良いですねえ。では早速いただきます!」
美鈴はそう言うと美味しそうに回鍋肉をかき込むのだった。
終わり