異世界転生から3年。人間だけど、魔王軍幹部としてダラダラしてます 作:ラハズ みゝ
侵入者四人もまた、《
(早速来たな、エンドールの
先頭でやる気のなさそうな半目の男――ルヴァンは
(ゲイル、ちゃんと忠告は守ってるんだろうな?)
ルヴァンは瞳孔をゆっくりと右後ろに居るはずの男――ゲイルへと傾けながら
(警戒しておけば良いんだろ?
ゲイルは、攻撃を仕掛けようとしていた――。
(ゲイル!! 低速化が来た時は勝手に攻撃を仕掛けたらダメって話だったじゃんか!)
四人の中で最年少の少女――リオンが叱りつける。魔界に侵入する直前、ルヴァンは同じように三人に忠告したはずだった。
(何が悪いって言うんだ? あらゆる動作が遅くなっただけで、結局やってることはいつもと何ら変わらない。魔王軍の
ゲイルは理解していなかった――《
通常、脳は情報の受信と発信を同時に行っている。腕が立つ者ほど、それをより繊細に行う。不慣れな素人であれば受信と発信は脳で混同し、結果的に非合理的な行動をすることになる。その道の達人であれば、一連の流れである受信と発信との間に間隙を生み、より合理的な行動を導き出す。
その間隙は、当然ながら絶対的である時間が引き延ばされて生まれているのではない。ただその者の感覚が、より研ぎ澄まされているだけである。
現在、空間は《
(――左端の
ヨシノの言葉にヴァウラが一言だけを返す。
(俺がやる)
――受信から発信までの間隙で、対策を練ることができる。そこに《
通常の速度なら、これほど正確に情報を分析し、整理することはできない。
ゲイルは低速化してもやることは通常と何も変わらないと考えているが、そうではない。
エンドールの
パラパラマンガで例えると分かりやすい。
イラストが何枚かある。それらを重ねて、一枚ずつめくることで一つの場面のアニメーションが完成する。めくるペースは、時間の流れの速さ。めくるペースを落とせばアニメーションは低速化するが、これは《
《
イラストの枚数を増やして同じペースでめくれば、アニメーションは低速化する。そして同時に、より繊細な動きとなる。これが情報の受信と発信の間に強制的に生み出された間隙である。
強制的に生み出された間隙は、感覚が研ぎ澄まされ、時間をより繊細に使うことのできる達人にとっては無限とも思える時間。故に、慎重に行動する必要があった。
その者たちの能力によって差はあるが、《
(圧殺――――)
後手に回った方が勝つ。
「ウゥゥ‥‥‥ヴェェッ――――――――」
ゲイルは独りでにくしゃくしゃに押し潰れてしまった。
ヒロトは驚きが隠せない。ゆっくりと動くその空間で、既に魔王軍幹部と侵入者の攻防は始まっているのだと、ようやく理解できたからだ。
侵入者四人のうち、一人が撃退された。