犯罪都市、同僚はスパンコールドレス着用没落令嬢巨乳ロリ   作:胡椒こしょこしょ

1 / 8
ファーストインプレッションはやっぱり大事!

第二次世界大戦の結果、かつての日本は列強に分割統治された。

その中でも唯一の国連保有の空白地帯であるトウキョウでは、安すぎる税と列強の顔色を窺ってばかりの『トウキョウ地域政府』の無能さ故に、この地域全体が金を生む卵となり、世界各地から人が集まるようになる。

奇しくも国際的な貿易都市となったトウキョウ、しかし人が集まれば当然治安は悪化する。

 

多くの人が出稼ぎ先と犯罪者の避難場所目的で集まり、列強からの大使はトウキョウを盤上にグレートゲーム的小競り合い。

実際に東京の各部を支配しているのは、地域ごとに根を下ろした国ごとの犯罪組織『傘下』。

彼らが持ち込んだのか分からないが、化け物のような奇妙な生き物や事象だって見られるようになっていた。

 

そんな倫理も何もかもがゆるゆるの場所だからこそ、金になるなら何でも引き受けるような者たちが現れた。

人呼んで『我楽多』。

我楽多と言う言葉には雑多な連中、半端者のチンピラという意味を持つ。

 

報酬があればどんな依頼でも受け、後ろ盾がない者が多いことから傘下からはいつでも消すことのできる駒として見られることもあるしみったれたアウトローもどき。

トウキョウに住む人々は寧ろなんでも屋とまで捉えている節がある彼ら。

そんな彼らは今日も、このトウキョウで奔走する。

 

 

 

 

 

 

「そんで、キミはその『鏖殺魔法少女ラディカル☆バスタちゃん』とやらのフィギュアの為にお金をかき集める必要があるから、こうしてオレの人員募集に応募してきたってことで良いのかな?」

 

「あ、あの……ただのフィギュアじゃないです。『3周年アニバーサリー限定の等身大、リアル質感バスタちゃんフィギュア、股部分に意味深スペース付き☆彡』のフィギュアです」

 

「あー、そうなんだ。へー。」

 

暗い室内。

隠れ家的な薄暗く、狭く汚い内装のBar。

 

地下BAR『ICEBOX』。

『独房』を意味するスラング通り、我楽多の人たちが取引だったり打ち上げだったりでよく使うバーらしい。

依頼を受けるのも大体ここだとか。

正直、僕のような陰キャにはこれまで縁のない場所だ。

店に入った時に集まった視線に、心がくじけるところだったくらいだ。

 

そんな店内の奥まった半個室。

全体的に黒いファッションに、ファー付きのジャケットを着た男と向き合う。

顔立ちが整った痩身猫目な美青年だ。

そんな彼は僕の補足の言葉をすげなく流すと、ノートパソコンと睨めっこしている。

 

お金が要る。

それもある程度まとまった額のお金が。

真面目に手元の金でなんとか買おうとしたら全財産吹き飛びかねない額なのだ。

趣味が生きがいとはいえ、それで路頭に迷うのは本末転倒。

そんな額のお金を別途手に入れる必要がある。

そしてそんな手段なんて、なんのバックもない僕にはそれこそ……我楽多だけだった。

 

彼はそんな僕に色々アテンドしてくれるフィクサー、セセラ・ソソギさんだ。

フィクサーってのは依頼を我楽多や我楽多志望に斡旋して、チームとして引き合わせることで依頼の分け前をもらうということをやっているらしい。

SNSでの趣味垢で知り合った人間がそんな人だったとは思いも寄らなかった。

けど、こうしてお金の当てに繋がれたのだからネットの人脈とやらもバカにならないなと思う。

 

「その、どう……ですかね? 人員として……」

 

「ん? あー、大丈夫大丈夫。十分合格だよ。要はその『コレクション』が欲しいけど手が届かないから我楽多になろうってことなんでしょ? 一番シンプルな理由だよ、オレは好きかな。」

 

「コレクション……?」

 

「思い入れがあったり、実際に何か特別で便利だったり……そういう物を僕たちの業界では『コレクション』って呼ぶのさ。誰かにとっては何円積んでも良いような喉から手が出る物であっても、別の誰かからすれば道端に転がっている石のごとき無用の長物にしか見えない……そんな物品のことだ。そのなんちゃらフィギュアって言うのはオレにとってはまったく心惹かれない物だけれど、キミにとっては我楽多になってでも欲しい物なんだろう? ならそれは十分『コレクション』だ」

 

「そ、そうですか……」

 

なんだかちょっと嬉しかった。

ほら、僕みたいなオタクの趣味ってのは狭い同好の士以外には軽んじられがちというか。

特に僕の言っているゴリゴリの美少女アニメなんか鼻で笑われることだってある。

そんなもののグッズの為に、大枚叩こうとしているだなんてなんてってさ。

だから、それでもいいって認められたのは……素直に嬉しかった。

 

「それじゃあ、高島アンゴくん。キミには先ほど説明したように『マンハント』の依頼を受けてもらう。要は人探しさ。」

 

そう言うと、セセラさんは2枚の写真を机に置いて僕に見せてくる。

一人は髭の剃り残しのある冴えないやせ型中年男性の写真。

そしてもう一枚はぱっちりとした目をしたセーラー服を着た少女の写真だった。

撮影者に笑顔を向けて、ダブルピースしていた。

 

「依頼人は糸寄ジョナサン。26歳日系アメリカ人ハーフだ。彼の行方不明の婚約者である『米倉スズ』……17歳日本人を探すんだ。直前まで旅行ついでに彼の故郷であるコロラドの両親に挨拶に行こうと話していたらしい。けれど、彼の友人筋からは『豊島(フンダオ)』……まぁ中国人街の方でドレスを着ている彼の婚約者に似ている人物が居たとタレコミがあった。まぁ、依頼人は彼女は何か事件に巻き込まれたんだって言って譲らないけどね」

 

「な、なるほどぉ……」

 

一気に説明されたが、正直情報量が多い。

ただ人探しのことを、我楽多業界ではマンハントって呼ぶことは分かった。

にしても、なんだか痴情のもつれ感のある依頼だなぁ。

こんなのに、どのくらいのお金がかかっているんだろう。

正直、話を聞いた限りたいした値段はかかっていないような……。

 

「前金として依頼を受けた我楽多ひとりひとりに捜索を始める上でのタネ銭として顔巻一つ。成功報酬として、顔束を人数分だとさ」

 

「ぶっっ!!? ごほっこほっ、すみませ……。ま、前金で顔巻一つ!? それに報酬で顔束を人数分!? そんなお金出るんですか?」

 

「まぁ、大体普通の相場感かな? 我楽多に頼むんだ、このくらいは金をかけるさ。それだけ依頼者はなりふり構ってられないのか……それとも一筋縄ではいかない案件なのか。この街で貧困から脱するには我楽多が一番って言われてるのはこういうことさ」

 

顔札ってのは要は紙幣のことだ。

僕のような学校に通えている人間が少数派であるトウキョウでは紙幣が分からない人だって居る。

そんな人にも通じるように我楽多の間では『偉人の顔が印刷されている札』という特徴からお札のことを顔札と呼んでいるんだとか。

それを数枚巻いてまとめた物を『顔巻き』、束になった物は『顔束』とスラングで呼称するということは事前に調べておいた。

 

にしても、すっげぇ~……。

正直結婚詐欺師に騙された線が濃厚そうな依頼だが、それでもそんなにお金が動くのだ。

しかも相場的にはそれが普通だって……!

驚いた……正直、我楽多舐めてたかも。

 

「はい、これが前金の顔巻。拳銃程度だったらこれで買えるから。あとはまぁ……痛みをごまかしたり、眠気覚ましの薬も買えるかな」

 

「はい、ありがとうございます」

 

「そんで、言うたらキミ……こういうこと初めてでしょ? 既に数人この依頼にアサインしてるから、そいつらの内の一人にくっ付いてったらいいよ。習うよりなれろ、背中を見て学べ……じゃないけどさっ。そうだな~……この子が良いかな」

 

セセラさんはそう言うと、僕に一枚の小さな顔写真を手渡してくる。

髪を二つ結びにした気の強そうな目つきをした幼げな少女。

所謂美少女……それも西洋系の血が入ってそうな顔立ち、所謂お人形さんみたいな容貌である。

 

「小学生、中学生くらい……ですかね? こんな幼い子でも我楽多やってるんですね」

 

「へー写真見ただけで分かるんだ、すごいじゃん。その子はこの時刻だと多分宮久保パークに居るだろうから。名前は有澤エリカ、セセラの手配で来た追加人員とでも言えばわかると思うよ」

 

「あの、携帯電話の番号とかは……」

 

「あ~、今はどうかは知らないけど、その子携帯持ってなかったからさ。オレは知らないんだよね。まっ、でも行けば居ると思うよ。依頼遂行中とはいえ結局生きる物種って必要だからね」

 

「そ、そうなんですね……、行ってみます」

 

携帯電話を持っていない人。

それもトウキョウでは珍しくない。

……まぁ、大方は携帯電話を契約できない生活レベルの人ということになるのだが。

 

にしても、可愛い女の子だ。

どんな子なのか気になると同時に、ちょっと不安になる。

なんせ、僕は童貞。

女性と身体を許してもらえるほどの信頼関係を築いたことのない人間なのだから。

 

うまいことやっていけるだろうか……?

優しい人だったらいいなぁ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

宮久保パーク。

周辺に住む人々にとっての憩いの広場、そこそこの広さを誇る公園である。

昼下がりの公園には多くの人がそれぞれ憩いの時間を送っている。

 

砂場付近では子供たちが遊んでいて、茂み付近では同い年くらいの男女が駄弁りながらお互いを小突きあっている。

噴水の周囲は酒を飲んでくだをまいている老人たち、周りにはワンカップのゴミが散乱している。

そして噴水の内部にはなにやら注射器やらゴミがプカプカと水面に浮いていた。

 

今の時間帯ならここに居ると言っていたが、どこに居るんだろうか?

周囲を見回すと、そんな噴水広場の近く。

何かのヴィーナスのような像が立っている付近。

 

路上演奏や大道芸人と並んで、複数の少女が立っている。

あれは……立ちんぼか?

公園だけあって、年齢層は若めだ。

 

時折男性が通りがかると、彼らの前で足を止める。

その中に、僕が今手に持っている顔写真の少女が居た。

 

強気そうな釣り目に、形の整った唇。

艶やかな赤毛の髪に、お人形さんのような顔立ち……西洋系とアジア系のハーフだろうか?

 

そんな少女の印象全てを吹き飛ばす程の大きさの胸。

『トランジスタグラマー』……ここトウキョウは度々常識では測れない事物を目にすることがあるが、僕にとってはまさに目の前の光景がそれだった。

フルフルと揺れる様は肉体凶器と呼んでも過言ではないだろう。

男の視線を刈り取る形をしている。

 

そして猶更、小柄で幼げな彼女をパッと見立ちんぼかと思わせた最大の理由はその出で立ちだ。

そのダイナマイトロリ巨乳ボディを晒すような、パーティドレス。

それこそ高級風俗嬢が来てそうなラメがキラキラと輝くスパンコールドレスを身に着けている。

前面に飛び出た胸と背中のスリットは、もはや下品なまでにエロティックさを際立てていた。

 

そんな彼女が段ボール製の『Free Hug❤』と書かれたプラカードを持って、ニコニコと笑って愛想を周囲に振りまいているのである。

正直恥も外聞もない振舞いだ。

 

え、この……人?

え、えぇ……??

 

正直、こんな子がこれから一緒に行動することになる我楽多であると言われても困ってしまう。

と、とにかく……セセラさんが手配してくれた人だし、話を聞かないと……。

 

そう思いなおして彼女の方へと足を進めると、通りがかった油ギッシュなおじさんが彼女の前で足を止める。

 

「えへへ~❤ どうも~、フリーハグ1分、1顔札でーす❤」

 

「ん~、お嬢ちゃ~ん。高いねェ~、今ちょうど顔札持ち合わせなくってさぁ。このくらいで勘弁してくんね?ほれ、500円w あ~、分かんない? クズ銭5個分」

 

「ごひゃ……そ、それなら30秒です~❤」

 

「んじゃ、それで。おっぱい揉んだりしても良い? 匂い嗅いだり、顔舐めたり……キスもしたいんだけどなぁ~」

 

「すみませ~ん❤ アタシがやってるのはフリーハグなのでぇ❤ そういうのはお控えくださ~い❤」

 

「あっそう、まぁ今はいいや。とりまおじさんの身体でその娘よりもおっきいおっぱい潰しちゃうよ~ん❤」

 

「あ、ありがとうございます~❤ それじゃ、ギュッてして? ほら、おいで~おじさま~❤」

 

な、なんか買い叩かれてる。

ニコニコと営業をトークする推定エリカちゃんに、バーコードハゲの中肉中背のおっさんがニヤニヤとキモイ視線を向ける。

身なりが汚く、顔札も出せないようなので十中八九まともな身の上の人間ではないだろう。

そんな男は、明らかに目の前の露出度の高い少女を安上がりな商売女……明らかに自分よりも下の人間と言わんばかりに舐め腐った態度を取っていた。

 

そのような態度を取られて、一瞬口の端がひくつきながらも懸命に営業トークをする彼女。

そんな彼女は手を広げて、おっさんを迎える。

おっさんはフンフンと鼻息を荒くしながら、彼女をギュ~~~っと抱きしめる。

 

身体を……とくに下半身をヘコヘコとこすりつけつつ、胸の感触を楽しむように身体を横に擦りつける。

推定エリカちゃんは眉根を寄せながらも笑顔を崩さない。

するとおっさんはついには彼女の耳元、髪の匂いを嗅ぎながらギューっとお尻を揉み始めた。

推定される年齢にしてはむっちりとしたお尻の肉に指毛の生えた小汚い男の五指が食い込む。

 

「ちょっ……! やめっ……やめてください~❤ ちょっと、離して~❤」

 

おっさんを押しのけるエリカちゃん。

笑ってはいるが、眉根は寄っているし笑顔はひくついている。

明らかに不快だといった様子だ。

まぁ……控えろって言ったことを明らかにやってるもんなぁ。

 

多分、立ちんぼではないっぽいなあの子。

それも正直フリーハグとやらも見る感じ、いやいややってそう。

それこそ、何か事情があるって感じの……。

 

「は? まだ30秒経ってないけど。ん? どういうこと?」

 

「匂い嗅いだり、お尻揉んだりはサービス外なのでお控えくださ~い❤ 皆さんちゃんとルールを守って楽しんでくださってますので~❤」

 

「はぁ? 硬いこと言うなよ商売女が。つーか、もういいわ、便所行くぞ。こういうことやってんだし、どーせ期待してんだろ乳ガキ」

 

「ちょっ、胸……ふぎっっ❤ お、おっぱい掴まないでくださ~い❤ 痛いからやめてぇ~❤ おじさん、ちっちゃい女の子には優しくしなきゃダメですよ~❤」

 

腹が立ったのか、あからさまにいらだった様子の男が荒っぽく胸を握り締める。

痛みからビクンと肩を跳ねさせながらも、ひくついた笑顔でやめさせようとする。

 

「何が優しくだよクソガキ。お前みたいな外でドスケベチラチラさせながら乞食やってるようなド底辺未成年は、おじさんみたいな日本を作って来た年配男のストレス解消用オナホなんだよ。小銭でどぎつい未成年淫行されながら、知らないおっさんに虐待されて、生んでくれた親に謝りながら俺らにお金の援助を感謝するのがお前らの作法なんだよ。おら、それを教育してやる……!」

 

「ぃたっ……! 胸叩くなっ……、い、いや~ん❤ 強引に引っ張らないでぇ~❤ そういうサービスはやってませ~ん❤ そもそもおじさま、顔札払ってな……」

 

「はぁ? お前ごときが人を金でグレード付けしようってか? ふざけんじゃねぇよ! ちくしょう……お前もおじさんのこと、馬鹿にしてんだろ!! なぁ、オイ!!!! 大人を舐めてんじゃねぇぞクソガキ!! 痛い目見せるぞ、えぇっ!!!!?」

 

「いや、だからそういうわけじゃなくて……あ、あの~❤ そんなに怖い顔しないでぇ~❤ あんまりひどいと大きな声出しますよ~❤」

 

「出せよ、お前みたいな乞食のガキなんざ誰が助けんだよw もういいから! 話は便所で聞かせてもらうね~。 うんこひりだすところでメイクラブしようね~。ちょっとイラッとしちゃったからおじさん抱き方荒くなるかも。ボコボコのまま、ゴキブリやハエが這ってるような床に半日寝転ぶことになるかもだけどキミが悪いんだからね~」

 

「ちょっ、ほんとやめっ……!」

 

男は声を荒げながら、暴力をちらつかせる。

そして無理やり、彼女を公衆トイレの方へと連れて行こうとしていた。

どうやら仮面を被っても居られないようで、焦りと拒否感を表情に出すエリカちゃん。

 

ちょっ、これ……ヤバいヤバい!

あからさまにヤバい現場に出くわしちゃったよ!

我楽多になった瞬間、コレってマジ……?

 

このまま連れていかれると声を掛けられなくて、仕事的に困る。

それに、いくら外でフリーハグとかしているとはいえ、幼い少女が小汚い大人の暴力に晒されようとしているんだ。

流石に止めないとまずいだろう。

 

「あ、あの……!」

 

「ああ?」

 

声を掛けると、こちらに苛立った様子で顔を向けるおっさん。

しかし僕の姿を視界に収めると、あからさまに居づらそうな表情をして忌々しげに舌打ちした。

そもそも顔札も出せないような人だ。

多分女性だったり、自分よりも非力そうで社会的にも弱そうな相手じゃないと強く出れない人なのだろう。

 

「……チッ、やめた。こんなところでこんなバカみたいな恰好しているガキ、どうせ性病持ってんだろw おら、デブ乳が。金は払ってやん……よ!」

 

「ぁ……」

 

おっさんはそう吐き捨てると、ガマ口の中身を乱雑に彼女の足元に放り投げた。

咄嗟に拾う少女に蔑むかのような視線を向けると、彼女の頭に向けてペッと痰を吐いた。

べちゃっと痰が付着して、不快感からか一瞬ピクリと動きを止める。

しかし、彼女は再度小銭を拾い始める。

 

「いや~眼鏡の兄ちゃん悪いね~❤ コイツ、髪すっげぇ良い匂いだったんだけどさ~、おじさんの痰の匂いになっちゃったよ~w 使うんだったら、髪らへんに鼻近づけない方が良いよ~?w まっ、胸はガキとは思えないくらいデカいからよ~。せいぜい楽しめや~w」

 

そしておっさんはヘラヘラと笑うと、当てつけのように僕の肩を馴れ馴れしくポンと叩いてその場を去っていった。

とんでもないモンスターだったな、あの人。

 

そうだ、そんなことよりエリカちゃん……!

 

「あの……」

 

「あっ、え……えへへ~❤ 助けてくださりありがとうございます~❤ ちょうど困ってたんです~❤ すぅごくカッコよかった~❤ お礼にお兄さんにはいつもよりもサービスしますね~❤❤」

 

僕が声を掛けると、取り繕うように立ち上がって愛想を振りまく。

どうやら僕もフリーハグの客だと勘違いしているみたいだ。

 

「いや、フリーハグじゃなくて……セセラさんの手配で来たんだ。マンハントの追加人員で。僕、我楽多になったばかりで……キミの背中を見て学べって」

 

「……ふ~ん、理解したわ。要するにルーキーってことでしょ? 言っとくけど、迷惑をかけたら承知しないから。 あくまでアタシに従うこと。いいわねっ!?」

 

「あ~、えっーと……」

 

「……なに? なんか文句でもあるの」

 

僕が追加人員であることが分かると、エリカちゃんはさっきまでの態度が嘘のように高圧的かつ先輩風を吹かせてくる。

……いや、さすがにそれは無理ないか?

いくら僕が我楽多素人とはいえ、そこらの汚いおっさんにバチクソセクハラされたの見た後に先輩風吹かされても……ねぇ?

 

「いや、特には……」

 

「はぁ~~、なんだか冴えないわねアンタ。ヒョロくてオタクくさいし、大丈夫なの……? ま、まぁ、さ……さっきは助けてもらったのは事実なわけだし? ……いや、一人でもなんとかなったけど? 全然余裕だったけど?? でもまぁ、見どころはあるみたいだし? まっ、面倒は見てあげるわ。感謝しなさい!」

 

どちらかと言えば面倒見てもらう側なのは貴女のような気もするんだけど……。

そんな恰好をしてフリーハグをしているくらい困窮してるんでしょ……?

 

「だから、なによその顔! 言いたいことがあるなら言いなさいよ!」

 

「いや、う~~ん……あの、ごめんね。ちょっとだけ質問があって……なんでそんな恰好してるんです?」

 

「ふぎゅっ……!!」

 

ビクンと肩を揺らすエリカちゃん。

どうやら、つついてはいけないところを突いてしまったらしい。

 

「ひ、拾ったのよ……歓楽街の風俗店の裏で。しょ、しょうがないでしょ! コレしか着る物ないんだから! 寧ろアタシの本来の身分に合うように高級っぽいお店の裏で、このラグジュアリーでゴージャスめなの拾ったんだから!!」

 

なんか高級風俗嬢みたいな服だと思ったが、マジでそこから拾ってきてたとは。

それにどうやら僕の予想はあっていたようで、彼女は路上生活者のようである。

トウキョウじゃ……それに我楽多の中じゃ珍しくないみたいだけど。

 

「ば、バカにしないでくれる!? 本当なら、アンタはアタシと話すことすら出来なかったんだから! 有澤財閥の子女! ノーブルな血筋なんだからアタシは! 本来なら……おじい様の代で分割統治の時に家が解体されなければ……、徹底的に潰されないように恨みを買わなければ……パパとママが生きていれば……。うううぅぅぅぅ……。」

 

どうやらやんごとなき身からここまで堕ちたらしい。

エリカちゃんは涙目で、今にも泣いてしまいそうだ。

 

確かに歴史とかで財閥は列強による分割統治の際に解体されている。

とはいえ、三ツ矢とかはその後立ち直っている所を見ると、どうやら彼女の家『有澤』……だったか。

そこは立ち回りをしくじってしまったと見受けられる。

 

……なんだか嫌なことを思い出させちゃったかな。

このまま泣かすのは周りの目もあるし、……なによりも良心が痛む。

とはいえ、急に何か慰めようにも僕には女の子を慰めた経験などないので、どうしたらいいのかわからない。

 

えーと、えーと……。

 

「あー、えっーと……はい!」

 

「は……? なにこれ、顔札?」

 

僕は財布を開くと、彼女に顔札を差し出していた。

もちろん自分のお金だ。

もらった顔巻は依頼を達成するための軍資金だからね。

勝手に僕の都合で使うのは良くないだろう。

そもそも渡しても同じチーム内で金が巡ってるだけで意味ないし。

 

「あの、ほら……あんなにえげつない感じでハグされてたのに、正規の値段は払ってもらえなかったんでしょ? それはなんか理不尽かな……って。だから代わりに僕が払うし、少しでも元気出してくれたらって……いや、やっぱりこれ自分でもわかるけど、なんか理屈おかしいな! ご、ごめんね……!」

 

やっべ、自分で何言ってるのかわからなくなった!

お金差し出されて、エリカちゃん黙りこくってるし。

意味わかんないでしょ、泣きそうなのも境遇の辛さを思い返したからで、厳密に言えばさっきのキモおっさん関係なさそうなのに!

はぁーーーー! こんなだから僕はいつもいつも……。

 

すると、エリカちゃんは顔札を取る。

受け取ってはくれるみたいだ。

 

「……ん」

 

「えっ?」

 

「ほら、ハグしてあげる。お金、払ったでしょ?」

 

「い、いや! そういうつもりじゃ……」

 

「いいからっ! ほら、ギュ~~~~!」

 

な、なにごと!? 

エリカちゃんは手を広げたかと思えば、僕に抱き着いてきた。

服越しに彼女の胸のむにふにとした感覚が伝わってくる。

いいから!? なにもよくなくない!!? いや、良いのか!!?

フリーハグ料金払ったって勘違いされてる……わけでもなさそうだし!!

 

「あんなはした金払ったキモジジイに好き勝手させてたのよ。追い払ってくれた挙句に正規料金まで払わせたんだったら、アイツにやらせた以上にサービスをしないと嘘でしょ。……ほら、胸とかお尻とか好きに触りなさいよ。匂いは……キモジジイの痰の匂いがするかもしれないからおすすめしないけど」

 

「はわっ、はわわ……」

 

「なに顔真っ赤にしてんのよ、キモ……。手を持ってってもらわないと触れないの? ほんっとしょうがないわねぇ……ほらサービス!」

 

「うおっ、やわらか……」

 

む、胸ってこんなに柔らかいんだ……。

ていうか、なんでこんなことなってるんだっけ……?

 

「あの……さ」

 

状況が理解しきれない中、彼女は目を逸らす。

耳は赤くなっていた。

 

「さっき……言ったことは前言撤回するわ。アンタ、確かに頼りないけど……サイフくらいには使えそうね。だから……まぁ、これからよろしく……」

 

女の子の身体は柔らかいってことを知った日。

どうやら僕は目の前の幼い少女に、同じチームの一員として認めてもらったらしい。

な、なんだかわからないけど……まぁ、認めてもらったならオッケーか!




元令嬢のロリ巨乳路上生活者(全裸大道芸人)を書きたかった

可哀想は、可愛いだから。

その内、オタクくんの部屋で飼うことになるやも。
オタクくんの好きなアニメキャラのコスを部屋着で来ている元令嬢……エッチですわね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。