ダンジョン超人は美人化ペットと無双する〜30年ぶりにダンジョンから出た地上は、女子率99.999%のハーレム世界でした〜 作:ラディ@小説家もどき
「小さき者はおまえらより多少賢しい、知性というのは高ければ高いほど思いや想いの密度を上げる。だから小さき者は知性で本質や構造を見抜くことが出来るのだ」
私は話の続きを語り切る。
しかし……これは厄介だ。
ここから青を殺しに行くにあたり、小娘共は足手まといになる。
それどころか、青の『幻惑』は現実と幻の境界線すら惑わせる。
本気を出せばこの私すらも一瞬程度なら惑わすことも出来る。
主様には効かぬとしても、小娘共がいると小娘共を守る動きを強いられる。
小娘共を先に殺しておけば……いや、それは主様の本意ではないか。
面倒だな、私が本気出すとあいつ多分逃げるし。
まあ主様がなんか考えるだろう。
さっさと七竜皆殺しにして、主様とまた殺し合いの日々を過ごそう。
「よし、とにかく居住区には俺とヴィオラと縞島だけで入る。モンスターに突然襲われることを考慮すると、人とモンスターの区別がつかない状況ではあまりに危険過ぎる」
主様は私を抱っこからおんぶに背負い直しながら、小娘共に指示を出し始める。うむ、やはりおんぶも良いな。ぴったりする。安定感というか安心感が違う。
というか……そんなに危険か? まあ『幻惑』は厄介ではあるが。
襲ってくるやつは全員敵なんだから叩き潰してしまえば良いのに。敵なら人も魔獣も関係ないだろう。
まあ本来敵ではないはずの人らが主様や小娘共を魔獣のように認識して襲ってくるきた場合の考慮だろうが……。
そもそも青の『幻惑』に踊らされて襲ったのなら、そいつが弱いのが悪い。別に殺しても良いとは思うが。
まあ、この辺の価値観は主様を尊重しよう。私には全然わからん。
「まずは情報収集を行う……こりゃあかなり異常な事態だ」
やや空気をピリつかせながら主様はそう言って。
「ミライ、喜怒、暗木、里々は待機だ。住民との接触は避けろ。それと、ミライはボディカメラを通して住民を見た時にどうなるかの確認も頼む」
つらつらと小娘共へと告げて。
「俺たちは居住区の状況を確認し、玄海攻略隊に現状に関して聴取を行う」
そう言って、人らの住処へと足を向けた。
「ねえ…………、万が一。万が一の話だけど、もし玄海攻略隊が……居住区にモンスターを……受け入れているなんてことないわよね……?」
小娘が話の終わり際に何やら慄きながら主様へと問いかける。
「ないだろう、有り得ない。攻略者は公人だ、日本が災害としている存在を民間人に接触させるなんて絶対に有り得ない。警察官が町に熊を招き入れるようなもんだぞ」
主様は小娘へと即答する。
「…………そうよね」
主様の答えに、小娘は不安を飲み込んだが……。
「どうだかな……、まあ人らのことは私にはわからん。主様の判断に委ねる」
私は主様や小娘共の話に賛同できない旨を、一応伝えておく。
人らは想像以上に弱く脆く愚かだ。
ここにいる主様のような例外も極稀に現れることもあるし、小娘共も脆弱で愚かしいが例外に踏み入れつつある上澄みではあるが。ここを基準に考えてはならない。
私と戦えるような人らは本当に極稀にしか現れない。
だから私は人らの弱さを嫌というほどに理解している。
実際、前の世界での人らは白や紫なんかが人らの愚かさにつけ込んで何回か文明が滅んだりしていた。
価値基準の違う強大な力を持つ別の生き物に、人らはその弱さから戦いではなく理解で対峙してしまう。
そんなものは、対等な存在でないと成り立たない。
そんなこともわからないほどに、人は脆くて愚かだ。
私ですら別に人らを認めてもなければ好いてもいない。
ただ、主様に恋をしているだけ。
恋をした主様が人だから、殺さないようにしてやっているだけだ。
さておき。
そのまま、主様と私と小さき者で青の下僕共が混ざる町を進み。
主様が目当ての建物へと到着。
しかし、ここで主様は珍しく。
いや、出会ってから初の激昂を目の当たりにすることになる。
怒りや恨みや憎しみというのは、心を強める起爆剤なので嫌いじゃあなかったが。
主様が怒るのは、何かさみしい気持ちになるのでやっぱり主様を怒らせるのはやめておこうと思った。
どうせなら私は、主様と一緒に笑っていたいのだ。